JP2018109070A - 化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温においてもスフィンゴ脂質を含む油性成分の乳化安定性が高く、さらに手触りのざらつき感が抑制された、新規な化粧料を提供すること。【解決手段】化粧料は、誘電率が2.8〜7.0の油性成分と、その油性成分に分散又は溶解して油相を形成するスフィンゴ脂質と、水相と、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子と、を含み、前記両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子が油相と水相との界面に介在することにより乳化状態を維持したO/W型エマルションの構造を有する。好ましくは、油性成分の少なくとも一部が、極性基を有する。好ましくは、極性基は、カルボニル基及びエステル基からなる群から選択される1種以上を含む。【選択図】なし
Description
本発明は、O/W型エマルションの構造である化粧料に関する。
セラミド1、セラミド2、セラミド3等のスフィンゴ脂質は、皮膚の角層の細胞間脂質に含まれる脂質である。また、スフィンゴ脂質は水分保持のための重要な役割を果たしており、肌荒れに有効であることが知られている。そのため、スフィンゴ脂質は化粧料の有効成分として着目され、皮膚外用剤等の化粧品に含まれて使用されている。
しかし、スフィンゴ脂質は結晶性の高い物質であり、化粧品に含まれる油性成分への溶解性が低いため、結晶が析出し、安定性を確保することが困難であった。そのため、スフィンゴ脂質の油性成分への溶解性をあげ、また、安定性を向上させるために、種々の化合物を組み合わせる試みがなされている。
例えば、特許文献1には、pH変化に対する安定性と保存安定性を向上させるために、所定の有機酸とスフィンゴシンを配合したベシクル組成物が記載されている。また、特許文献2には、乳化安定性に優れた水中油型乳化化粧料を得るために、スフィンゴシン類、セラミド類を含有する乳化物、界面活性剤を含有する乳化物等を含む水中油型乳化化粧料が記載されている。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、低温においてもスフィンゴ脂質を含む油性成分の乳化安定性が高く、さらに手触りのざらつき感が抑制された新規な化粧料を提供することを目的とする。
本発明者らは、化粧料において、所定の誘電率を有する油性成分にスフィンゴ脂質を分散又は溶解させ、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子により水系でO/W型エマルションを形成することで、スフィンゴ脂質を含む油性成分が安定に乳化され、かつ、低温においても乳化安定性が高く、さらに化粧料の手触りのざらつき感も抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。より具合的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)誘電率が2.8〜7.0である油性成分と、該油性成分に分散又は溶解して油相を形成するスフィンゴ脂質と、水相と、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子と、を含み、前記両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子が油相と水相との界面に介在することにより乳化状態を維持したO/W型エマルションの構造を有する化粧料。
(2)前記油性成分の少なくとも一部が極性基を有する(1)に記載の化粧料。
(3)前記極性基が、カルボキシル基及びエステル基からなる群から選択される1種以上を含む(2)に記載の化粧料。
(4)前記油性成分が、ポリヒドロキシステアリン酸、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル及びイソステアリン酸ポリグリセリルからなる群から選択される1種以上を含む(1)から(3)のいずれかに記載の化粧料。
(5)前記油性成分が、ポリヒドロキシステアリン酸と、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル及びイソステアリン酸ポリグリセリルからなる群から選択される1種以上とを含む(1)から(3)のいずれかに記載の化粧料。
本発明によれば、化粧料において、所定の誘電率を有する油性成分にスフィンゴ脂質を分散又は溶解させ、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子により水系でO/W型エマルションを形成させることで、スフィンゴ脂質を含んだ油相が安定に乳化され、かつ、低温においても乳化安定性が高く、さらに化粧料の手触りのざらつき感が抑制される。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は特にこれに限定されるものではない。
本発明のO/W型エマルションの構造である化粧料は、誘電率が2.8〜7.0である油性成分と、水相と、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子と、前記油性成分に分散又は溶解して油相を形成するスフィンゴ脂質とを含むことを特徴とする。
両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は、水相及び油相の界面に介在し、ファンデルワールス力を介して三相乳化状態を構成することから、極めて良好な乳化状態を構成することができる。従来の界面活性剤による乳化では、分散していても溶解して均一相になっていなければ乳化することができなかったが、本発明の化粧料は、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の乳化特性と、油性成分に誘電率が2.8〜7.0であるものを用いてO/W型エマルションを形成することによって、油に対する溶解性が極めて低いスフィンゴ脂質を、油相中で必ずしも均一相になっていなくとも乳化することができ、かつ、低温においても乳化した状態で安定するので、手触りのざらつき感を抑制することができる。なお、本発明において、手触りのざらつき感を抑制することが可能であるのは、スフィンゴ脂質を含む油相の乳化状態を維持することで、化粧料中からスフィンゴ脂質の結晶の析出(スフィンゴ脂質の結晶の塊が遊離し、その表面に現れること)を抑制しているからであると考えられる。
また、スフィンゴ脂質を含む化粧料は保存の観点から、低温にて安定するのが好ましいが、低温においてはスフィンゴ脂質の乳化状態を保つのが難しく、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子によって乳化をすることが可能であっても、長期間乳化状態を維持するのは難しかった。しかし、本発明によれば、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の乳化特性と、被乳化成分として誘電率が2.8〜7.0であるものとを用いてO/W型エマルションを形成することによって、低温においても乳化状態を長時間保つことができ、手触りのざらつき感を抑制することができる。
油性成分の誘電率は、誘電率が2.8〜7.0であれば特に限定されないが、例えば、2.9以上(具体的には、3.0以上、3.1以上、3.2以上、3.3以上、3.4以上等)であってもよく、6.5以下(具体的には、6.0以下、5.5以下、5.0以下、4.5以下、4.0以下、3.5以下等)であってもよい。この範囲の誘電率であれば、油性成分とスフィンゴ脂質との親和性が高くなるので、低温においてもスフィンゴ脂質を含んだ油相を安定に乳化し、化粧料の手触りのざらつき感を抑制することができる。なお、本発明において、油性成分の誘電率は、液体用誘電率計 Model871(日本ルフト(株)製)によって測定する。
また、スフィンゴ脂質の官能基が極性基と親和性があると考えられるので、油性成分は、よりスフィンゴ脂質を含んだ油相を安定に乳化し、化粧料の手触りのざらつき感を抑制できるという点において、少なくとも一部に極性基を有するのが好ましい。しかし、これに特に限定されず、極性基を有さなくてもよい。極性基としては、例えば、カルボキシル基、エステル基、アルコキシ基、水酸基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アルコキシシリル基、スルホニル基等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。極性基は、よりスフィンゴ脂質を含んだ油相を安定に乳化し、化粧料の手触りのざらつき感を抑制できるという点において、カルボキシル基又はエステル基であるのが好ましい。油性成分は、少なくとも一部に1種の極性基を有してもよく、2種以上の極性基を有してもよい。
油性成分は、誘電率が2.8〜7.0であれば、特に限定されず、単独で誘電率が2.8〜7.0の範囲のものであってもよく、複数油種から構成され誘電率が2.8〜7.0に調整されたものであってもよい。油性成分は、具体的には、ポリヒドロキシステアリン酸、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸ポリグリセリル、スクワラン、αオレフィンオリゴマー、ミネラルオイル、メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、(ポリプロピレングリコール−7/コハク酸)コポリマー等を指すが、特にこれらに限定されない。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、油性成分は、スフォンゴ脂質との親和性が高く、よりスフィンゴ脂質を含んだ油相を安定に乳化し、化粧料の手触りのざらつき感を抑制できるという点において、ポリヒドロキシステアリン酸、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸ポリグリセリルのうち一種以上から構成されるのが好ましい。
また、上記油性成分のうち、ポリヒドロキシステアリン酸は、特に低温での安定性に優れるので、スフィンゴ脂質が低温でよりスフィンゴ脂質を含んだ油相を安定に乳化し、化粧料の手触りのざらつき感を抑制できるという点において、ポリヒドロキシステアリン酸を用いるのが好ましい。また、ポリヒドロキシステアリン酸は肌触りがどろっとしているのに対し、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル及びパルミチン酸エチルヘキシルは、さらっとした感触である。したがって、油性成分は、ポリヒドロキシステアリン酸と、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸ポリグリセリルのうち1種以上を組み合わせて使用することで、それぞれの不足した感触が補完され、より一層肌触りがよくなる。
閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子は、乳化性能に極めて優れる。このため、化粧料における油性成分の量は、0.001〜95質量%の範囲から幅広く選択することができ、スフィンゴ脂質の量、使用の目的等に応じて、適宜選択されてよい。
閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子は、乳化性能に極めて優れる。このため、化粧料における水の量は、0.1〜95質量%の範囲から幅広く選択することができ、油性成分の種類や量、スフィンゴ脂質の量、使用の目的等に応じて、適宜選択されてよい。
スフィンゴ脂質は、特に限定されないが、例えばセラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6、セラミド7、セラミド8等のセラミド(スフィンゴシン又はフィトスフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合した化合物群の総称。なお、糖や燐酸と結合したものも含めてセラミドと称される場合もあるが、本発明においては糖や燐酸と結合したものはセラミドに含まないものとする)が挙げられる。また、セラミドに糖がグリコシド結合したスフィンゴ糖脂質や、燐酸及び塩基が結合したスフィンゴ燐脂質をスフィンゴ脂質として用いても構わない。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、セラミドは極めて難溶性であるため、セラミドに比較すると溶解性の高いスフィンゴ糖脂質やスフィンゴ燐脂質をスフィンゴ脂質として用いることが一般的には多い。しかしながら、本発明によれば、スフィンゴ糖脂質やスフィンゴ燐脂質はもちろんのこと、極めて難溶性のセラミドについても安定に乳化することが可能である。
閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子は、乳化性能に極めて優れており、さらにこれに誘電率が2.8〜7.0である油性成分と組み合わせて使用することで、水や油に対する溶解性が極めて悪いセラミドを含んで乳化することができ、かつ、低温においても化粧料の手触りのざらつき感を抑制することができる。例えば、0.0001〜40重量%の幅広い範囲のスフィンゴ脂質を含んで乳化することができる。スフィンゴ脂質の中でもセラミドは水や油に難溶性であることが知られており、そのセラミドの中でも、セラミド3は特に難溶性であることが知られている。しかしながら、本発明によれば、2重量%以上(具体的には、4重量%以上、8重量%以上、20重量%以上、35重量%以上等)の高濃度においてもセラミド3を含んで乳化することでき、かつ、低温においても乳化安定性を保ち、さらに化粧料の手触りのざらつき感を抑制することができる。
両親媒性物質としては、特に限定されないが、下記の一般式1で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体、もしくは一般式2で表されるジアルキルアンモニウム誘導体、トリアルキルアンモニウム誘導体、テトラアルキルアンモニウム誘導体、ジアルケニルアンモニウム誘導体、トリアルケニルアンモニウム誘導体、又はテトラアルケニルアンモニウム誘導体のハロゲン塩の誘導体が挙げられる。
式中、エチレンオキシドの平均付加モル数であるEは、3〜100である。Eが過大になると、両親媒性物質を溶解する良溶媒の種類が制限されるため、親水性ナノ粒子の製造の自由度が狭まる。Eの上限は好ましくは50であり、より好ましくは40であり、Eの下限は好ましくは5である。
式中、R1及びR2は、各々独立して炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R3及びR4は、各々独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、XはF、Cl、Br、I又はCH3COOである。
両親媒性物質としては、リン脂質やリン脂質誘導体等、特に疎水基と親水基とがエステル結合したものを採用してもよい。
リン脂質としては、下記の一般式3で示される構成のうち、炭素鎖長12のDLPC(1,2−Dilauroyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)、炭素鎖長14のDMPC(1,2−Dimyristoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)、炭素鎖長16のDPPC(1,2−Dipalmitoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)が採用可能である。
また、下記の一般式4で示される構成のうち、炭素鎖長12のDLPG(1,2−Dilauroyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩、炭素鎖長14のDMPG(1,2−Dimyristoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩、炭素鎖長16のDPPG(1,2−Dipalmitoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH4塩を採用してもよい。
さらに、リン脂質として卵黄レシチン又は大豆レシチン等のレシチンを採用してもよい。
両親媒物質は、誘電率が2.8〜7.0以上である被乳化成分と組み合わせて使用された場合に、低温においてもスフィンゴ脂質を含んだ油相が安定に乳化し、化粧料の手触りのざらつき感を抑制できるという点でジラウロイルグルタミン酸リシンNaが好ましい。
水酸基を有する重縮合ポリマーは、天然高分子又は合成高分子のいずれであってもよく、用途に応じて適宜選択されてよい。ただし、安全性に優れ、一般的に安価である点で、天然高分子が好ましく、乳化機能に優れる点で以下に述べる糖ポリマーがより好ましい。なお、粒子とは、重縮合ポリマーが単粒子したもの、又はその単粒子同士が連なったもののいずれも包含する一方、単粒子化される前の凝集体(網目構造を有する)は包含しない。
糖ポリマーは、セルロース、デンプン等のグルコシド構造を有するポリマーである。例えば、リボース、キシロース、ラムノース、フコース、グルコース、マンノース、グルクロン酸、グルコン酸等の単糖類の中からいくつかの糖を構成要素として微生物が産生するもの、キサンタンガム、アラビアゴム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲン、シロキクラゲ多糖類等の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、セルロース結晶体、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシド等の合成高分子が挙げられる。
両親媒性物質又は水酸基を有する重縮合ポリマーは、誘電率が2.8〜7.0である油性成分と組み合わせて使用された場合に、スフィンゴ脂質が安定して乳化され、化粧料の手触りのざらつき感を抑制できるという点で、イオン性ポリマー及び炭素数18以上の長鎖アルキル基を有するポリマーのうちいずれか1種以上を含むのが好ましい。
イオン性ポリマーとしては、スルホン化セルロース誘導体ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はその誘導体等が挙げられるが、特にこれに限定されない。
閉鎖小胞体及び粒子は、エマルション形成前では平均粒子径8nm〜800nm程度であるが、O/W型エマルション構造においては平均粒子径8nm〜500nm程度である。これらの調製方法は、特許第3855203号等に開示されるとおり、従来公知であるため、省略する。
閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子の量は、油相の量に応じて適宜設定されてよく、特に限定されないが、合計で0.0001〜5質量%であってよい。これにより、化粧料の使用前における乳化状態を良好に維持することができる。従来の界面活性剤と異なり、閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子は、優れた乳化特性を有するため、5質量%以下(具体的には、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1.0質量%以下、0.75質量%以下)という少量でも、低温においてもスフィンゴ脂質を含んだ油相を安定に乳化し、化粧料の手触りのざらつき感を抑制できる。
ただし、スフィンゴ脂質を含んだ油相を安定に乳化し、化粧料の手触りのざらつき感を抑制できる点では、閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子は、化粧料に対して0.1質量%以上の量で含まれることが好ましい。これにより、化粧料の使用前における乳化に必要な量を超えた量の乳化剤が存在し、かかる過剰な乳化剤がスフィンゴ脂質の乳化状態を長期間維持するものと推測される。より好ましくは、閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子の量は、化粧料に対して0.5質量%以上である。なお、上記量は、いずれも固形分含量である。
化粧料としての特性を最大化するためには、塗布等の際の外力によりエマルション粒子が十分に壊れ、油相の成分が均一に塗布対象(例えば皮膚、毛髪)に広がることが望ましい。油相の粒子径が小さすぎると、外力がエマルション粒子に十分に負荷せず、エマルション粒子を十分に壊すことが困難である。そこで、油相の平均粒子径が0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.7μm以上、最も好ましくは1.0μm以上である。これにより、官能性(特になめらか感、すべすべ感)が向上するとともに、さらに塗布対象への広がり(使用感)が向上する。また、製造の容易さと上記効果とのバランスの観点から、油相の平均粒子径は、特に限定されないが、20μm以下、15μm以下、10μm以下であってよい。油相の平均粒子径は、乳化物の粘度が十分に低い(必要に応じ、希釈する)状態で、レーザー回折散乱式粒度分布計(島津製作所 SALD2100)により測定される。
本発明に係る化粧料は、任意成分、例えば保湿剤、粉体、ゲル化剤、増粘剤、界面活性剤、乳化剤、抗炎症剤、抗酸化剤、pH調整剤、キレート剤、増粘剤、色素、香料や、コラーゲン等の皮膚老化防止・改善剤、発毛抑制剤、防腐剤、紫外線吸収剤、紫外線分散剤等を適宜含んでもよい。
従来の界面活性剤は、皮膚を被覆し、化粧料中の有効成分が体内等へと浸透するのを抑制すると推測される。これに対し、閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子は、親水性部分を外側に有するため、疎水性である皮膚を被覆して化粧料中の有効成分が体内へと浸透するのを抑制するということが想定されにくいと推測される。このため、閉鎖小胞体及び重縮合ポリマー粒子を含まずに、従来の界面活性剤のみで乳化することは好ましくない。
このような界面活性剤としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、アルキル(又はアルケニル)硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(又はアルケニル)スルホコハク酸塩、ジアルキル(又はジアルケニル)スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)スルホコハク酸塩、アルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルリン酸塩、脂肪酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルタウリン酸塩、N−アシルメチルタウリン等のアニオン界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等の非イオン界面活性剤、が挙げられる。
化粧料の具体的な形態は、特に限定されないが、クリーム、乳液、化粧水、美容液、洗顔料、クレンジング、ボディソープ等の皮膚用化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、スタイリング剤、育毛剤、石鹸、パーマ・カラーの前後処理剤等の髪用化粧料、化粧品と類似した剤型で薬事法の対象外の製品(いわゆる、雑品)であってよい。化粧料に対する要求に応じて、化粧料はO/W型エマルションに加え、適宜他の成分を含んでよい。
化粧料は、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子を含む分散液と、被乳化成分からなる油性成分と、スフィンゴ脂質とを混合してO/W型エマルションを形成することで調製することができる。水溶性の任意成分は、混合前の分散液に添加してもよく、混合後のエマルションに添加してもよい。
常温でのスフィンゴ脂質の乳化の可否、官能(みずみずしさ、しっとり感、なめらか感、べたつき感のなさ)を試験するために、乳化剤、油性成分、セラミド、水を表1の処方となるように調整し、実施例1〜28、比較例1〜14の試料を調製した。その後、−20℃又は常温にて6月間保持し、その後に手触りでざらつき感を確かめることによって、セラミドが析出したか否かを確認し、各試料における経時安定性を調べた。なお、セラミドとしては、特に難溶性であるセラミド3を用いた。誘電率は、液体用誘電率計 Model871(日本ルフト(株)製)により測定した。
<乳化の可否試験>
両親媒性物質又は重縮合ポリマー粒子である、スルホン化セルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体、ジラウロイルグルタミン酸リシンNaを乳化剤として用いた実施例1〜28と、比較例1〜6においては、セラミド3が乳化されたことが確認された。一方、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、モノステアリン酸ソルビタンを用いた比較例7〜14においては、セラミド3を乳化できないことが確認された。この結果より、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子を用いることによって、従来の界面活性剤では乳化することができなかったセラミド3を乳化可能であることが示された。
両親媒性物質又は重縮合ポリマー粒子である、スルホン化セルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体、ジラウロイルグルタミン酸リシンNaを乳化剤として用いた実施例1〜28と、比較例1〜6においては、セラミド3が乳化されたことが確認された。一方、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、モノステアリン酸ソルビタンを用いた比較例7〜14においては、セラミド3を乳化できないことが確認された。この結果より、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子を用いることによって、従来の界面活性剤では乳化することができなかったセラミド3を乳化可能であることが示された。
<安定性試験>
油性成分の誘電率が2.8〜7.0である実施例1〜28においては、常温、−20℃のいずれにおいてもセラミド3が析出しなかった。これに対し、油性成分の誘電率が2.8未満もしくは7.0を超える比較例1〜6においては、常温においてはセラミド3が析出しなかったものの、−20℃ではセラミド3が析出した。この結果より、油性成分の誘電率が2.8〜7.0であるものと、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子とを組み合わせてO/W型エマルションを形成することによって、セラミド3が−20℃において6月間析出しないという、優れた安定性を得ることができることが示された。特に、αオレフィンオリゴマー、又はシクロペンタシロキサンを単独で油性成分として用いた比較例2(誘電率2.11)又は5(誘電率2.47)においては、−20℃でセラミド3が析出したのに対し、シクロペンタシロキサン又はαオレフィンオリゴマーに、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル又はジカプリン酸ネオペンチルグリコールを油性成分として併用した実施例27(誘電率2.99)又は28(誘電率2.96)においては、−20℃においてセラミド3の析出はみられなかった。この結果より、単独で使用すると誘電率が2.8未満もしくは7.0を超える油性成分であっても、誘電率の高い他の油性成分と併用して油性成分全体の誘電率を2.8〜7.0に調整することで、低温においても高い乳化安定性を得ることができることが示された。
油性成分の誘電率が2.8〜7.0である実施例1〜28においては、常温、−20℃のいずれにおいてもセラミド3が析出しなかった。これに対し、油性成分の誘電率が2.8未満もしくは7.0を超える比較例1〜6においては、常温においてはセラミド3が析出しなかったものの、−20℃ではセラミド3が析出した。この結果より、油性成分の誘電率が2.8〜7.0であるものと、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子とを組み合わせてO/W型エマルションを形成することによって、セラミド3が−20℃において6月間析出しないという、優れた安定性を得ることができることが示された。特に、αオレフィンオリゴマー、又はシクロペンタシロキサンを単独で油性成分として用いた比較例2(誘電率2.11)又は5(誘電率2.47)においては、−20℃でセラミド3が析出したのに対し、シクロペンタシロキサン又はαオレフィンオリゴマーに、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル又はジカプリン酸ネオペンチルグリコールを油性成分として併用した実施例27(誘電率2.99)又は28(誘電率2.96)においては、−20℃においてセラミド3の析出はみられなかった。この結果より、単独で使用すると誘電率が2.8未満もしくは7.0を超える油性成分であっても、誘電率の高い他の油性成分と併用して油性成分全体の誘電率を2.8〜7.0に調整することで、低温においても高い乳化安定性を得ることができることが示された。
<官能試験>
官能試験は、「みずみずしさ」、「しっとり感」、「なめらか感」、「べたつき感のなさ」の4項目について行い、それぞれ1〜5点の5段階により評価した。乳化剤として界面活性剤を用いた比較例7〜14においては、「しっとり感」以外はすべて1点であった。これに対し、乳化剤として両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子を用いた実施例1〜28、比較例1〜6においては、全体的に高い点数であることが確認された。特に、本来「しっとり感」と「べたつき感のなさ」は相反する性質であると考えられているにもかかわらず、これらにおいては両方の項目において高い点数であることが確認された。また、油性成分の誘電率が2.8〜7.0である実施例1〜28においては、油性成分の誘電率が2.8未満もしくは7.0を超える比較例1〜6と比較して、「べたつき感のなさ」において優れていることが確認された。この結果より、油性成分の誘電率が2.8〜7.0であるものと、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子とを組み合わせてO/W型エマルションを形成することによって、特に優れた官能性を化粧料に付与できることが確認された。
官能試験は、「みずみずしさ」、「しっとり感」、「なめらか感」、「べたつき感のなさ」の4項目について行い、それぞれ1〜5点の5段階により評価した。乳化剤として界面活性剤を用いた比較例7〜14においては、「しっとり感」以外はすべて1点であった。これに対し、乳化剤として両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子を用いた実施例1〜28、比較例1〜6においては、全体的に高い点数であることが確認された。特に、本来「しっとり感」と「べたつき感のなさ」は相反する性質であると考えられているにもかかわらず、これらにおいては両方の項目において高い点数であることが確認された。また、油性成分の誘電率が2.8〜7.0である実施例1〜28においては、油性成分の誘電率が2.8未満もしくは7.0を超える比較例1〜6と比較して、「べたつき感のなさ」において優れていることが確認された。この結果より、油性成分の誘電率が2.8〜7.0であるものと、両親媒性物質の閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子とを組み合わせてO/W型エマルションを形成することによって、特に優れた官能性を化粧料に付与できることが確認された。
Claims (1)
- 明細書に記載された発明。
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Family Applications (1)
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JP2018077910A Pending JP2018109070A (ja) | 2018-04-13 | 2018-04-13 | 化粧料 |
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2018
- 2018-04-13 JP JP2018077910A patent/JP2018109070A/ja active Pending
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