JP2018106032A - 画像形成装置用転写ベルト及び画像形成装置用転写ベルトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材層の機械的強度を高め、基材層のみからなる画像形成装置用転写ベルトよりも格段に半導電性領域の電気抵抗の均一性に優れた画像形成装置用転写ベルトを提供する。【解決手段】ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とカーボンブラック(C)とアルキル鎖の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位とエポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体(D)とを含有した組成物からなる基材層と、熱可塑性エラストマー(E)とイオン導電剤(F)とを含有した組成物からなる弾性層を積層した画像形成装置用転写ベルト。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置に用いる転写ベルトに関する。
ポリフッ化ビニリデン樹脂は、難燃性、耐熱性、耐薬品性、耐汚染性、耐摩耗性、非粘着性、成型加工性等の物性に優れているため、電子写真方式を利用した画像形成装置に用いる画像形成装置用転写ベルトの分野で好適に使用されている。
この画像形成装置用転写ベルトは、上記特性に加え、電気抵抗、特に体積抵抗率が1×10〜1×1013Ω・cmの半導電性領域の電気抵抗を均一に発現することが重要であり、従来から、様々な導電性材料を用いてポリフッ化ビニリデン樹脂に半導電性を付与することが検討されている。
熱可塑性樹脂に半導電性を付与するには、熱可塑性樹脂にカーボンブラック(以下、CBと略記する)を配合することが知られている。導電性は、導電材料であるCB同士の接触によって発現しているため熱可塑性樹脂中へのCBの分散が重要である。しかし、熱可塑性樹脂にCBを均一に分散させるのは難しく、特に成形品とした場合、半導電性領域の電気抵抗を均一に発現する成形体を得ることは技術的な困難を伴う。
本発明者らは、様々な熱可塑性樹脂にカーボンブラックを配合し、難燃性かつ半導電性領域の電気抵抗を均一に示す電子写真用部材を得る検討を行った。熱可塑性樹脂へCBを配合すると、その電気抵抗は配合量を増やすと徐々に低下するが、電気抵抗が半導電性領域に達すると僅かな配合量の変化で何桁も電気抵抗が低下(パーコレーション現象という)し、CBをそれ以上配合した場合は、配合量による電気抵抗の低下がゆるやかになる。
この現象に鑑み、本発明者らは熱可塑性樹脂へ低抵抗(CBよりも高抵抗)の微粒子を分散させれば半導電性領域の電気抵抗を均一に示す電子写真用部材が得られるものと考え、検討を進めた。熱可塑性樹脂中に低抵抗の微粒子を分散させるには、CBを配合した低抵抗の架橋樹脂を微粒子状に粉砕し、それを熱可塑性樹脂中へ分散させる方法が考えられるが、本発明者らは、異なる種類の熱可塑性樹脂を混合すると海島構造をとる現象、および極性の異なる熱可塑性樹脂混合物へCBを分散させると、CBはCBと親和性のある熱可塑性樹脂に集まりやすい現象(フッ素樹脂はCBとの親和性が悪く、ポリアミド樹脂はCBとの親和性が良好)を利用すべく、熱可塑性樹脂として難燃性であるフッ素樹脂を一成分とするフッ素樹脂―ポリアミド樹脂系について検討を行った。
特許文献1には、ポリアミド樹脂にCBを分散したCB配合ポリアミド樹脂(以下、PAと略記する)とポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略記する)とを混練した半導電性複合樹脂が開示されている。一般に、異なる熱可塑性樹脂は相溶性が悪く、2種以上の相溶性のない熱可塑性樹脂をブレンドする場合には物性低下防止のために相溶化剤を配合することが行われているが、PAとPVDFとのブレンドに有効な相溶化剤は知られておらず、特許文献1記載の半導電性複合樹脂は相溶化剤を配合していないため、機械的強度が低い成形体しか得ることができない。
特許文献2には、ポリアミド樹脂30〜80質量部と、フッ素樹脂20〜70質量部と、炭素繊維とを含有した耐衝撃性、導電性に優れた熱可塑性樹脂組成物が記載されているが、フッ素樹脂中へポリアミド樹脂を微分散させる方法は記載されていない。
一方、電子写真方式のプリンター、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置にはチューブ状(シームレス形状)の転写ベルトが使用されており、近年では、トナーの抜け等のない鮮明な画像を得るために、弾性層を有する転写ベルトが提案されている。
例えば、特許文献3には、電子導電剤を配合した熱可塑性樹脂製の基材の表面に、イオン導電剤を配合したエラストマー製の中間層を設け、さらに中間層の表面に熱可塑性樹脂製の表面層を設けた導電性シームレスベルトが提案されている。
また、特許文献4には、繊維状の電子導電剤を含有する基材層(具体的には、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂にカーボンナノチューブを配合)上にイオン導電剤を配合したゴム弾性層を形成させた導電性シームレスベルトが提案させている。しかしながら、いずれのシームレスベルトの基材も遠心成形法で製造し、その上に弾性層を形成する製造方法であるため、製造方法が非常に複雑である。
特開2011−180206号公報 特開2013−14656号公報 特開2002−229345号公報 特開2013−88599号公報
そこで、本発明者らは、基材層の機械的強度を高め、基材層のみからなる画像形成装置用転写ベルトよりも格段に半導電性領域の電気抵抗の均一性に優れた画像形成装置用転写ベルトを提供することを目的とし、本発明に至った。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリフッ化ビニリデン樹脂とポリアミド樹脂とカーボンブラックとアルキル鎖の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位とエポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体である相溶化剤とを含有した組成物からなる基材層に、熱可塑性エラストマーとイオン導電剤とを含有した組成物からなる弾性層を積層した画像形成装置用転写ベルトは、半導電性領域の電気抵抗を均一に示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
(1)ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とカーボンブラック(C)とアルキル鎖の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位と、エポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体(D)とを含有した組成物からなる基材層と、熱可塑性エラストマー(E)とイオン導電剤(F)とを含有した組成物からなる弾性層を積層したことを特徴とする画像形成装置用転写ベルト;
(2)前記基材層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との合計量100重量%に対し、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)50重量%〜95重量%と前記ポリアミド樹脂(B)50重量%〜5重量%とを含有したことを特徴とする(1)記載の画像形成装置用転写ベルト;
(3)前記エポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位が、(メタ)アクリル酸グリシジルであることを特徴とする(1)又は(2)記載の画像形成装置用転写ベルト;
(4)基材層を内層、弾性層を外層とした画像形成装置用転写ベルトの製造方法において、
ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とカーボンブラック(C)とアルキル鎖の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位とエポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体である相溶化剤(D)とを含有した基材層を形成する組成物と、熱可塑性エラストマー(E)とイオン導電剤(F)とを含有した弾性層を形成する組成物をそれぞれ別々の押出機に供給し、環状ダイスより共押出することを特徴とする画像形成装置用転写ベルトの製造方法;
が提供される。
本発明の画像形成装置用転写ベルトの基材層は、特定の材料にカーボンブラックを配合することにより電気抵抗の均一性は良好であるが、基材層にイオン導電剤を配合した弾性層を積層した転写ベルトは、電気抵抗の均一性が格段に向上する。
また、基材層に相溶化剤を用いることにより、ポリフッ化ビニリデン樹脂とポリアミド樹脂が海島構造を形成(連続相がポリフッ化ビニリデン樹脂、分散相がポリアミド樹脂)され、押出成形が可能となり、その結果製膜性が向上するばかりでなく、得られた転写ベルトの耐引裂性が向上する。
さらに、基材層に弾性層を積層した転写ベルトは、表面に凹凸を形成した高級紙や表面の粗い紙等に対して良好な転写性を有し、また画像の中抜けを防止するといった優れた効果を有している。
以下に本発明について詳細に説明する。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルの意味で用いている。
[画像形成装置用転写ベルト]
本発明の画像形成装置用転写ベルトの層構成は、基材層と弾性層とからなる多層構造のチューブ状の転写ベルトや基材層と弾性層と表面層からなる多層構造のチューブ状の転写ベルトである。この画像形成装置用転写ベルトは、例えば、中間転写ベルト、転写搬送ベルト等として使用される。
[基材層]
本発明の基材層は、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とカーボンブラック(C)と相溶化剤(D)とを含有していることを特徴とする。さらに詳しくは、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との相溶化剤として、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)と相溶性を有するアルキル鎖の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位と、ポリアミド樹脂(B)末端のアミノ基やカルボキシル基と反応性を示すエポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体を用いることにより、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)マトリクス中にポリアミド樹脂(B)が微分散した海島構造を呈する半導電性樹脂組成物よりなる。なお、ここでいう半導電性とは、温度23℃、相対湿度50%RH、印加電圧500Vにおける体積抵抗率が1×10〜1×1013Ω・cmの範囲内であることを意味する。
ここで、本発明の基材層を形成するための組成物における微分散について説明する。本発明におけるポリフッ化ビニリデン樹脂(A)マトリクス中にポリアミド樹脂(B)が微分散した海島構造とは、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)よりなる連続相(海)中のポリアミド樹脂(B)の分散相(島)の平均粒径が5μm以下であることをいう。ポリアミド樹脂(B)の平均粒径は、3μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが特に好ましい。ポリアミド樹脂(B)の平均粒径が上記範囲であれば、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)及びポリアミド樹脂(B)の特性を損なうことなく、電気抵抗の均一性に優れる半導電性樹脂組成物とすることができる。
ポリアミド樹脂(B)の平均粒径は、例えば、成形品の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、マイクロスコープ等で観察し、市販の画像解析装置等で解析することにより求めることができる。
[ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)]
本発明に用いられるポリフッ化ビニリデン樹脂は、ポリフッ化ビニリデン、またはその共重合体から選ばれる1種、或いは2種以上の混合物である。フッ化ビニリデン共重合体としては、例えば、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体にフッ化ビニリデンの側鎖を有するグラフト共重合体等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種、或いは2種以上を用いることができる。これらの中でも、引張弾性率を高くするためにポリフッ化ビニリデンを主体とするのが好ましい。
[ポリアミド樹脂(B)]
本発明に用いられるポリアミド樹脂(B)は、ジアミンとジカルボン酸との重縮合、α,ω−アミノカルボン酸の自己縮合、ラクタム類の開環重合などによって得られ、十分な分子量を有する熱可塑性樹脂である。
ポリアミド樹脂(B)としては、例えば、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン6/6,6、ナイロン6/6,6/12、ナイロン6,MXD(MXDはm−キシリレンジアミン成分を表す)、ナイロン6,6T(Tはテレフタル酸成分を表す)、ナイロン6,6I(Iはイソフタル酸成分を表す)などが挙げられる。
ジアミンとジカルボン酸の重縮合により得られるポリアミド樹脂(B)の場合、ジアミンの具体例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどの脂肪族および芳香族ジアミンが挙げられる。ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸、シュウ酸、シュウ酸エステル等の脂肪族、脂環族、芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
これらの中でも、吸水率が低いポリアミド樹脂が好ましく、吸水率が低いポリアミド樹脂は、湿潤環境における電気抵抗の安定性に優れる。ポリアミド樹脂の吸水率は、1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。吸水率が1.5%以下のポリアミド樹脂としては、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,10、ナイロン6,12などが挙げられ、吸水率が1.0%以下のポリアミド樹脂としては、ナイロン11、ナイロン12が挙げられる。なお、これらのポリアミドは単独、或いは2種以上を組み合わせて用いても良い。
[カーボンブラック(C)]
カーボンブラック(C)としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック及びカーボンナノチューブ等の導電性カーボンブラックを挙げることができ、特に、平均粒子径40nm以下のカーボンブラックが少量の配合で電気抵抗を下げることができるので好ましい。また、本発明においては、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、オキサゾリン基、から選ばれる1種以上の官能基を有するポリマーがグラフト付加されたグラフト化カーボンブラック、或いは低分子量化合物で表面処理したカーボンブラックも用いることができる。
[相溶化剤(D)]
本発明に用いられる相溶化剤(D)は、アルキル鎖の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位と、エポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体であって、1分子中に1個以上のエポキシ基を含有することを特徴とする。1分子中に1個以上のエポキシ基を含有する共重合体を相溶化剤として用いることにより、ポリフッ化ビニリデン樹脂マトリクス中にポリアミド樹脂が微分散した海島構造を呈する半導電性樹脂組成物とすることができる。
本発明に用いられる相溶化剤(D)を構成するアルキル鎖の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル等が挙げられる。これらは単独、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。アルキル鎖の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、ポリフッ化ビニリデン樹脂との相溶性の観点から好ましくない。
本発明に用いられる相溶化剤(D)を構成するエポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エタクリン酸グリシジル、イタコン酸グリシジル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましく、工業的に入手し易いことから、メタクリル酸グリシジルを用いることがより好ましい。なお、これらは併用して用いても良い。
本発明に用いられる相溶化剤(D)は、その他の単量体に由来する構成単位を含んでいても良い。その他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。その他の単量体は単独、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。その他の単量体の含有量は、0〜30モル%であり、好ましくは0〜15モル%であり、さらに好ましくは0〜10モル%である。
本発明に用いられる相溶化剤(D)の数平均分子量は、3000以上であることが好ましい。相溶化剤(D)の数平均分子量が3000未満であると、未反応の相溶化剤(D)が成形体表面へブリードアウトする恐れがあり(ブリード現象)、このブリード現象は、電子写真用シームレスベルト等において、他の部品を汚染するばかりでなく転写不良を引き起こす要因となる。
本発明の基材層を形成するための組成物は、必要に応じてその特性を損なわない範囲でその他の樹脂や添加剤を配合しても良い。樹脂としては、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。添加剤としては、イオン伝導性材料、カーボンファイバ等の電子伝導性材料、酸化防止剤、熱安定剤、有機フィラーや無機フィラー、アンチブロッキング剤、可塑剤、滑剤、加工助剤、染料や顔料等の着色剤が挙げられる。これらの樹脂や添加剤は、目的に応じて適量を使用することができる。
次に、本発明の基材層を形成するための樹脂組成物を構成する各成分の組成比について、説明する。基材層を形成するための樹脂組成物は、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との合計量100重量%に対し、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)50重量%〜95重量%と、ポリアミド樹脂(B)50重量%〜5重量%とを含有していることが好ましい。ポリアミド樹脂(B)の含有率は、45重量%〜10重量%が好ましく、35重量%〜15重量%がより好ましい。ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との組成比を上記範囲とすることにより、ポリフッ化ビニリデン樹脂マトリクス中にポリアミド樹脂が微分散した海島構造を呈し、これにより優れた電気抵抗の均一性を示す。ポリアミド樹脂(B)の含有率が5重量%未満であると、海島構造の中で島の間隔が大きくなるため、電気抵抗の均一性が悪くなる。なお、ポリアミド樹脂(B)の含有率が35重量%以下であれば、得られる半導電性樹脂組成物は優れた難燃性(UL94の燃焼性評価においてVTM−0)を示すため、好ましい。
カーボンブラック(C)の配合量は、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との合計量100重量部に対して、1〜25重量部である。カーボンブラック(C)の配合量は、2〜20重量部が好ましく、3〜18重量部がより好ましい。カーボンブラックの配合量が1重量部未満であると所期の半導電性を示す樹脂組成物が得られないので好ましくなく、25重量部を超えると溶融粘度が高くなり、押出成形が困難となる。
相溶化剤(D)の配合量は、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との合計量100重量部に対して、0.5〜10重量部である。さらには、相溶化剤(D)の配合量は、1〜8重量部が好ましく、2〜6重量部がより好ましい。相溶化剤(D)の配合量を上記範囲とすることにより、ポリフッ化ビニリデン樹脂マトリクス中にポリアミド樹脂が微分散した海島構造を呈し、これにより優れた電気抵抗の均一性を示す。また、相溶化剤(D)の配合量を2〜6重量部とすることにより、ポリフッ化ビニリデン樹脂とポリアミド樹脂との相溶性が良くなるだけでなく、機械的特性(引張強度、破断伸び等)にも優れる。
[弾性層]
本発明の弾性層は、熱可塑性エラストマーにイオン導電剤を配合した組成物から形成される。弾性層に使用する樹脂は、例えば、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ジエン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマーなど必要に応じて適宜選択することができる。これらの熱可塑性エラストマーは単独でも、必要に応じて2種以上を混合使用してもよい。これらの中でも、特にポリウレタン系エラストマーは、押出成形性に優れ特に好ましい。
これら弾性層に用いられる熱可塑性エラストマーは、ショアA硬度80以下のものが好ましく、ショアA硬度70以下のものがさらに好ましい。弾性層の硬度が高すぎる場合は、厚さ方向の圧縮弾性率が高いため転写時の変形が小さくニップ幅が十分に得られず、また、トナー転写時にトナーへかかる圧力が高くなり、弾性層を形成させた効果が小さくなる。弾性層の厚みは、80〜600μmが好ましく、さらに200〜500μmが好ましい。
弾性層には導電性材料としてイオン導電剤を配合することが必須である。
イオン導電剤としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド共重合体、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、部分架橋ポリエチレンオキサイド共重合体、アイオノマー(側鎖にカルボン酸のアルカリ金属塩、スルホン酸のアルカリ金属塩、4級アンモニウム塩を有するポリマー)、イオン電解質等があげられ、これらを単独で、あるいは二種類以上併用することができる。イオン電解質としては、4級アンモニウム塩、アルカリ金属のチオシアン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ハロゲン含有酸素酸塩、脂肪族アルコールサルフェート塩、過塩素酸アミンを用いることができ、これらのうち特に、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルサルフェート、テトラアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
導電剤としてカーボンブラックなどの電子導電剤を弾性層に配合した場合、導電性はカーボンブラックなどの導電剤の粒子の接触による導電経路の形成もしくは分散したカーボンブラックなどの導電剤の粒子間を電子がジャンプするトンネル効果(粒子間のポテンシャル障壁を越える電子の走り抜けの現象のこと)により付与することができると考えられている。しかしながら、基材層上にカーボンブラックなどの電子導電剤を配合した弾性層を形成した画像形成装置用転写ベルトは弾性層が柔軟であるため、転写ベルト駆動時に弾性層が伸縮し、長時間使用すると導電剤粒子間の距離が変化するため、電気抵抗が部分的に変動し、電気抵抗のばらつきが生じるため好ましくない。
[表面層]
転写効率の優れた画像形成装置用転写ベルトを得るために、弾性層の上に表面層を形成してもよい。弾性層上に形成する表面層は、トナーとの離型性やクリーニング性を有し、弾性層と強固に接着し、弾性層の柔らかさを阻害しない性質とクラックの発生しない追従性が求められる。
本発明の表面層は、電離放射線硬化型もしくは熱硬化型の塗工剤を弾性層の表面に塗布した後、電離放射線もしくは熱により架橋硬化させて形成させることが好ましい。表面層の形成方法は、前記塗工剤をロールコート、バーコート、ディップコート、スプレーコート等、好ましくはロールコート、スプレーコートにより塗布し、溶剤を含有する場合は乾燥後、電離放射線を照射することにより、あるいは加熱することにより塗工剤を硬化させることによって表面層を形成することができる。
ここで電離放射線としては、特に制限がなく、例えば、紫外線、電子線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、エックス線、中性子線などが挙げられ、その照射量は、紫外線の場合、通常100〜15,000mJ/cm2、好ましくは300〜8000mJ/cm2である。
電離放射線硬化型の塗工剤は、(メタ)アクリルモノマー又は(メタ)アクリルオリゴマー、特に多官能アクリレートオリゴマー、多官能アクリレートモノマーを主成分とするのが好ましい。
多官能アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
また、多官能アクリレートオリゴマーとしては、ノボラック型、ビスフェノール型エポキシ樹脂をアクリレート変性したエポキシアクリレート、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるウレタン化合物のアクリレート変性物であるウレタンアクリレート、ポリエステル樹脂をアクリレート変性したポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
電離放射線硬化型の塗工剤は、これらのアクリルモノマー及び/又はアクリルオリゴマーの他に、光重合開始剤、増感剤、界面活性剤、防汚成分等の各種添加剤、更には希釈溶媒等を配合して用いることが好ましい。
熱硬化型の塗工剤は、水系ウレタン樹脂、シリコーン・アクリル系ハイブリッド樹脂、シリコーン・フッ素共重合樹脂等が挙げられる。
[転写ベルトの製造方法]
本発明の基材層を形成するための組成物の製造方法には特に制限はないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)、カーボンブラック(C)、相溶化剤(D)及び必要に応じて用いられる添加剤を配合してドライブレンドした後、溶融混練する方法、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)にカーボンブラック(C)を予め溶融混練してマスターバッチを作製し、これにポリアミド樹脂(B)、相溶化剤及び必要に応じて用いられる添加剤を溶融混練する方法、ポリアミド樹脂(B)に所定量のカーボンブラック(C)を配合し、溶融混練してマスターバッチを作製し、押出成型時にマスターバッチとポリフッ化ビニリデン樹脂(A)と相溶化剤(D)とを溶融混練する方法等が挙げられる。
本発明の弾性層を形成するための組成物の製造方法には特に制限はないが、例えば、熱可塑性エラストマー(D)とイオン導電剤(E)とを配合して溶融混練する方法等が挙げられる。
溶融混練するための装置としては、バッチ式混練機、ニーダー、コニーダー、バンバリーミキサー、ロールミル、単軸もしくは二軸混練押出機等、公知の種々の混練機や押出機が挙げられる。これらの中でも、混練能力や生産性に優れる点から単軸押出機や二軸押出機が好ましく用いられる。
溶融混練時の温度は、使用するポリフッ化ビニリデン樹脂(A)やポリアミド樹脂(B)の種類や溶融粘度等により適宜選択できるが、通常、150〜300℃の範囲であり、樹脂の劣化防止の観点から、好ましくは170〜280℃である。
画像形成装置用転写ベルトは、押出成形法、遠心成形法、ディッピング法などで製造することができる。押出成形法については、特にインフレーション押出成形法が好ましい。インフレーション押出成形法としては、例えば、押出機を2個と、該押出機の下方に該押出機に連通して環状ダイスが配置され、該環状ダイスの下方には、該環状ダイスから下向きに押し出される溶融樹脂をその外周に担持させて冷却固化するマンドレルが配設された押出成形装置を用いることができる。基材層を形成する組成物と弾性層を形成する組成物をそれぞれの押出機に供給して、一つの環状ダイスからチューブ状に共押出し、マンドレルの外周に沿わせて冷却固化することによりチューブ状の成形体とする方法が挙げられる。また、その際、チューブ状の成形体を所望の幅に切断することでベルト状の成形体とすることができる。
なお、これらの説明は2層の場合であったが、3層以上の時は、層数に応じた押出機及びダイスを準備すればよい。
以下、本発明について、実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において行った物性の測定方法は次の通りである。
(1)溶融粘度
長さ10mm×直径1mmのダイを取り付けた島津製作所製高化式フローテスターを用いて溶融粘度を測定した。なお、その単位を(poise)として表した。
(2)ショアA硬度
厚さ2mmのシートを3枚重ねて厚み6mmとし、デューロメータ タイプA(上島製作所製)を用いて測定した。
(3)電気抵抗(体積抵抗率)及び電気抵抗(体積抵抗率)のバラつき
URSプローブを取り付けたハイレスタUP(MCP−HT450、ダイヤインスツルメンツ社製)を用い、460mm×400mmのサンプルについてTD方向に10点、MD方向に10点の体積抵抗率を測定した。次いで、体積抵抗率の測定値の平均値を求め、それをサンプルの体積抵抗率(測定条件:温度23℃、相対湿度50%RH、荷重2kg、印加電圧500V、10秒)とした。
また、体積抵抗率の測定値のバラつきを以下の式で求めた。
体積抵抗率のバラつき[桁]=log10(体積抵抗率の最大値/体積抵抗率の最小値)
(4)電気抵抗(体積抵抗率)の通電上昇
サンプルに500Vの電圧を3時間連続で印加(主電極外径50mm、ガード電極内径70mm(両側導電ゴム付))し、所定時間毎に電流値を読み取り、体積抵抗率を求めた。次いで、得られた体積抵抗率を常用対数表記に換算し、電圧印加後の常用対数表記の体積抵抗率から電圧印加前の常用対数表記の体積抵抗率を引くことにより、体積抵抗率の通電上昇[桁]を算出した。
(5)分散相の大きさ
ロータリミクロトーム(ST−102型、株式会社日本ミクロトーム社製)を用いて厚さ2〜5μmに試験片を切出した後、得られた樹脂組成物の試験片をデジタルマイクロスコープ(VHX−500、株式会社キーエンス社製)を用いて試験片断面の観察を行った。試験片の相分離構造が海島構造であった場合、測定サンプル上のランダムに選択した点を中心に低倍率から徐々に倍率を上げ、ポリアミド樹脂の分散相(島)が50個以上100個未満観察されたときに、分散相の粒径を測定した。(分散相の粒径は、長軸aの長さと短軸bの長さとの平均値とする。)この操作を10点で繰り返し行い、その平均値をポリアミド樹脂の平均粒径とした。
原料としては、下記のものを用いた。
<ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)>
・ポリフッ化ビニリデン(A−1)[融点:168℃、溶融粘度:4500poise(測定温度200℃、荷重100kg)]
・ポリフッ化ビニリデン(A−2)[融点:168℃、溶融粘度:15000poise(測定温度200℃、荷重100kg)]
・ポリフッ化ビニリデン(A−3)[融点:142℃、溶融粘度:22800poise(測定温度200℃、荷重100kg)、フッ化ビニリデンと6−フッ化プロピレンとの共重合体]
<ポリアミド樹脂(B)>
・ナイロン12(B−1)[融点:176〜180℃、溶融粘度:1700poise(測定温度200℃、荷重100kg)]
<カーボンブラック(C)>
・カーボンブラック(C−1)[吸油量:190ml/100g、BET表面積:70m/g]
<相溶化剤(D)>
・相溶化剤(D−1)[主鎖:メタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体、側鎖:メタクリル酸メチル重合体、エポキシ当量1650g/eq]
・相溶化剤(D−2)[メタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体、平均分子量:6000、エポキシ当量:310g/eq]
・相溶化剤(D−3)[エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、側鎖:メタクリル酸ブチル重合体、エポキシ当量:1350g/eq]
・相溶化剤(D−4)[スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、平均分子量:11000、エポキシ当量:556g/eq]
<熱可塑性エラストマー(E)>
・熱可塑性エステル系ポリウレタン(E−1)[ショアA硬度:59、溶融粘度:2150poise]
・熱可塑性エーテル系ポリウレタン(E−2)[ショアA硬度:55、溶融粘度:6000poise]
<イオン導電剤(F)>
・エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(F−1)[プロピレンオキサイド含量:10%]
・過塩素酸リチウム三水和物(F−2)
・テトラブチルアンモニウムハイドロサルフェート(F−3)
[基材層1乃至7]
表1に示した配合比となるように、ポリフッ化ビニリデン樹脂とポリアミド樹脂とカーボンブラックと相溶化剤とをスクリュー径38φmm二軸混練押出機を用いて溶融混練し、コンパウンドを得た。次いで、得られたコンパウンドを環状ダイス(設定温度:210℃、押出径:50φmm)を備えた単軸押出機に供給し、溶融状態でチューブ状に押出す(押出速度:1.5m/min)ことで厚さ100μmのチューブ状のフィルムを得た。得られたチューブ状のフィルムの分散相サイズを表1に示す。
Figure 2018106032
表1に示すように、相溶化剤として、アルキル鎖の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位と、エポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体(D−1)または(D−2)を配合した基材層1乃至4は、ポリフッ化ビニリデンのマトリクス中にナイロン12が微分散した海島構造を呈し、分散相サイズが2μm以下となる結果を示した。
一方、表1に示すように、相溶化剤として主鎖がエチレンーグリシジルメタクリレート共重合体であり、側鎖がメタクリル酸ブチル重合体である共重合体(アルキル鎖の炭素数が4)を配合した基材層5は、分散相サイズが5μmを超える結果を示した。相溶化剤として、スチレンーグリシジルメタクリレート共重合体を配合した基材層6は、ポリフッ化ビニリデン相とナイロン12相とが交錯した相互連結構造となっており、ナイロン12相が分散相とならず、分散相のサイズを測定することができなかった。また、相溶化剤を配合しなかった基材層7は、基材層5及び6と同様、分散相サイズが5μmを超える結果を示した。
次に、表2に示した配合比となるよう、熱可塑性エラストマーとイオン導電剤とをニーダーで混練、ペレット化し、弾性層を形成する組成物を得た。
Figure 2018106032
[実施例1〜6、比較例1、2]
シリンダー径50mmの押出機2台の先端に2層の環状ダイを装着した装置を用い、基材層を形成する組成物と弾性層を形成する組成物とを共押出してチューブ状に形成後、長さ400mmにカットし、基材層を内層とする基材層の厚さ150μm、弾性層の厚さ250μm、周長850mm、幅400mmの転写ベルトを得た。
実施例、および比較例で作製した転写ベルトは、以下項目について評価し、その結果を表3に示す。
Figure 2018106032
比較例1は、比較的電気抵抗の均一性(体積抵抗率の均一性=0.44桁)に優れているが、比較例1と同じ基材層にイオン導電剤を配合した弾性層を設けた実施例1乃至5の全てにおいて、体積抵抗率の均一性は、0.25桁(実施例1)、0.22桁(実施例2)、0.22桁(実施例3)、0.18桁(実施例4)、0.23桁(実施例5)と比較例1に比べて格段に優れており、電子導電性材料を配合した基材層へイオン導電剤を配合した弾性層を設けることによって、抵抗率のばらつきが格段に向上した。
比較例2は、電気抵抗の均一性(体積低効率の均一性=0.16桁)に優れているが、比較例2と同じ基材層にイオン導電剤を配合した弾性層を設けた実施例6は体積抵抗率の均一性が0.08桁となり、比較例2と比べて格段に優れており、電子導電性材料を配合した基材層へイオン導電剤を配合した弾性層を設けることによって、抵抗率のばらつきが大幅に向上した。
また、実施例1乃至6の画像形成装置用転写ベルトは、通電上昇も全て1桁以内の性能を有しており、画像形成装置用転写ベルトとしての性能(電気抵抗の均一性に加え、電気抵抗の通電上昇が小さい)に加え、弾性層により中抜けが防止され、良好な転写性を示した。




Claims (4)

  1. ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とカーボンブラック(C)とアルキル鎖の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位とエポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体(D)とを含有した組成物からなる基材層と、熱可塑性エラストマー(E)とイオン導電剤(F)とを含有した組成物からなる弾性層を積層したことを特徴とする画像形成装置用転写ベルト。
  2. 前記基材層が、ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)との合計量100重量%に対し、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)50重量%〜95重量%と前記ポリアミド樹脂(B)50重量%〜5重量%とを含有したことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置用転写ベルト。
  3. 前記エポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位が、(メタ)アクリル酸グリシジルであることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置用転写ベルト。
  4. 基材層を内層、弾性層を外層とした画像形成装置用転写ベルトの製造方法において、
    ポリフッ化ビニリデン樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とカーボンブラック(C)とアルキル鎖の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体由来の構成単位とエポキシ基を有するビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体である相溶化剤(D)とを含有した基材層を形成する組成物と、熱可塑性エラストマー(E)とイオン導電剤(F)とを含有した弾性層を形成する組成物をそれぞれ別々の押出機に供給し、環状ダイスより共押出することを特徴とする画像形成装置用転写ベルトの製造方法。

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