JP6800023B2 - 画像形成装置用転写ベルト及び画像形成装置用転写ベルトの製造方法 - Google Patents

画像形成装置用転写ベルト及び画像形成装置用転写ベルトの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置に用いる転写ベルトに関する。
従来、電子写真方式を用いたプリンター、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置には、転写ベルトが使用されている。画像形成装置用転写ベルトとしては、体積抵抗が1×10〜1×1013Ω・cmの半導電性を付与した合成樹脂を筒状(シームレス形状)に成形したものが知られている。最近では、トナーの抜けなどのない鮮明な画像を得るために、基材層に弾性層を積層した転写ベルトが提案されている。
例えば、特許文献1には、電子導電剤を配合した合成樹脂からなる基材層の表面にイオン導電剤を配合した架橋ゴムからなるゴム弾性層を設けた二層構造の無端ベルト(転写ベルト)が提案されている。
さらに、特許文献2には、電子導電剤を配合した合成樹脂からなり引張弾性率が500MPa以上のベース層(基材層に該当)の表面に、イオン導電剤を配合した熱可塑性エラストマーからなる中間層(弾性層に該当)を設け、さらに中間層の表面に、合成樹脂の表層を設けた導電性ベルト(転写ベルト)が提案されている。その目的は、従来の弾性層付無端ベルトの欠点である張架時の伸びを低減する事であり、電子導電剤を配合した合成樹脂からなるベース層の欠点である電気抵抗のばらつきを抑えるという効果が記載されている。
また、特許文献3には、繊維状の電子導電剤を含有した基材層(具体的には、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂にカーボンナノチューブを配合したもの)上へイオン導電剤を配合したゴム弾性層を形成させ、基材層の表面抵抗率>弾性層の表面抵抗率とした無端ベルト(転写ベルト)が提案されており、各層の表面抵抗率を制御することにより、無端ベルトの裏面に印加した電荷が無端ベルトの厚さ方向に伝わり、位置ずれを起こさないといった効果が記載されている。
一方、最近では、画像形成装置用転写ベルトの要求性能として、半導電性、機械物性などの特性の他に、温度や湿度変化による電気抵抗の変動が少ない転写ベルトが要望されている。
しかしながら、上述した電子導電性を付与した基材層の上に、イオン導電性を付与した弾性層を積層した転写ベルトが提案されているものの、電気抵抗の環境依存性は向上しておらず、環境依存性の低減が課題(例えば、ポリイミド樹脂と電子導電剤からなる基材層上にアクリル系エラストマーとイオン導電剤からなる弾性層を設けた市販されている転写ベルトの環境依存性は、体積抵抗率、表面抵抗率共に1.50桁であり、環境依存性が悪い)となっていた。
特開2010−156760号公報 特開2002−229345号公報 特開2013−88599号公報
そこで、本発明者らは、環境依存性に優れ、基材層のみからなる画像形成装置用転写ベルトよりも半導電性領域の電気抵抗の均一性を格段に向上させた画像形成装置用転写ベルトを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂と微細炭素繊維とを含有した組成物からなる基材層上に、熱可塑性エラストマーとイオン導電剤とを含有した組成物からなる弾性層を積層した画像形成装置用転写ベルトが半導電性領域の電気抵抗の環境依存性及び電気抵抗の均一性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
(1)ポリアミド樹脂(A)と微細炭素繊維(B)とを含有した組成物からなる基材層と、熱可塑性エラストマー(C)とイオン導電剤(D)とを含有した組成物からなる弾性層とを積層したことを特徴とする画像形成装置用転写ベルト;
(2)前記基材層が、ポリアミド樹脂(A)と微細炭素繊維(B)との合計量のうち、前記ポリアミド樹脂(A)を80〜99重量%、前記微細炭素繊維(B)を20〜1重量%配合されていることを特徴とする(1)記載の画像形成装置用転写ベルト;
(3)前記ポリアミド樹脂(A)は、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,10、ナイロン6,12から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の画像形成装置用転写ベルト;
(4)前記微細炭素繊維(B)が単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、釣鐘状構造単位集合体から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか記載の画像形成装置用転写ベルト;
(5)前記熱可塑性エラストマー(C)が熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを含有することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか記載の画像形成装置用転写ベルト;
(6)基材層上に弾性層を積層した画像形成装置用転写ベルトの製造方法において、
ポリアミド樹脂(A)と微細炭素繊維(B)とを含有した基材層を形成する組成物と、熱可塑性エラストマー(C)とイオン導電剤(D)とを含有した弾性層を形成する組成物をそれぞれ別々の押出機に供給し、環状ダイスより共押出することを特徴とする画像形成装置用転写ベルトの製造方法;
が提供される。
本発明の画像形成装置用転写ベルトの基材層は、ポリアミド樹脂に微細炭素繊維を配合することにより電気抵抗の均一性は良好であるが、該基材層にイオン導電剤を配合した弾性層を積層した転写ベルトは、環境依存性が向上し、電気抵抗の均一性も格段に向上する。
さらに、基材層に弾性層を積層した転写ベルトは、表面に凹凸を形成した高級紙や表面の粗い紙等に対して良好な転写性を有し、また画像の中抜けを防止するといった優れた効果を有している。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルの意味で用いている。
[画像形成装置用転写ベルト]
本発明の画像形成装置用転写ベルトの層構成は、基材層と弾性層とからなる多層構造のチューブ状の転写ベルトや基材層と弾性層と表面層からなる多層構造のチューブ状の転写ベルトである。この画像形成装置用転写ベルトは、例えば、中間転写ベルト、転写搬送ベルト等として使用される。
本発明の画像形成装置用転写ベルトにおいては、体積抵抗率の環境依存性及び表面抵抗率の環境依存性は1.0桁以内が好ましく、さらに0.8桁以内が好ましい。また、転写ベルトの体積抵抗率の均一性は0.5桁以内が好ましく、さらに0.3桁以内が好ましい。(電気抵抗の環境依存性及び均一性の定義及び測定条件は、[0040]に記載。)
[基材層]
本発明の基材層は、ポリアミド樹脂(A)と微細炭素繊維(B)とを含有していることを特徴とする。なお、ここでいう半導電性とは、温度23℃、相対湿度50%RH、印加電圧500Vにおける体積抵抗率が1×10〜1×1013Ω・cmの範囲内であることを意味する。
[ポリアミド樹脂(A)]
本発明に用いられるポリアミド樹脂(A)は、ジアミンとジカルボン酸との重縮合、α,ω−アミノカルボン酸の自己縮合、ラクタム類の開環重合などによって得られ、十分な分子量を有する熱可塑性樹脂である。
ポリアミド樹脂(A)としては、例えば、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン6/6,6、ナイロン6/6,6/12、ナイロン6,MXD(MXDはm−キシリレンジアミン成分を表す)、ナイロン6,6T(Tはテレフタル酸成分を表す)、ナイロン6,6I(Iはイソフタル酸成分を表す)などが挙げられる。
また、ジアミンとジカルボン酸の重縮合により得られるポリアミド樹脂の場合、ジアミンの具体例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどの脂肪族および芳香族ジアミンが挙げられる。ジカルボン酸の具体例としては、アジピン酸、スリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸、シュウ酸、シュウ酸エステル等の脂肪族、脂環族、芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
これらの中でも、吸水率が低いポリアミド樹脂が好ましく、吸水率が低いポリアミド樹脂は、湿潤環境における電気抵抗の安定性に優れる。ポリアミド樹脂の吸水率は、1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。吸水率が1.5%以下のポリアミド樹脂としては、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,10、ナイロン6,12などが挙げられ、吸水率が1.0%以下のポリアミド樹脂としては、ナイロン11、ナイロン12が挙げられる。なお、これらのポリアミドは単独、或いは2種以上を組み合わせて用いても良い。
[微細炭素繊維(B)]
本発明に用いる微細炭素繊維とは、繊維の芯部に中空空間を有するものであり、繊維径が小さく、アスペクト比の大きい繊維状のものが好ましく、カーボンナノチューブと通称されるものも含まれる。具体的には、平均繊維径が1nm〜200nm、平均繊維長が0.1μm〜100μm、アスペクト比が10〜10000の範囲内であることが好ましい。
微細炭素繊維としては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ(特開平1−270543、特公平3−64606、特公平3−77288、特開2004−299986)、カップ積層型カーボンナノチューブ(特開2003−73928、特開2004−360099)、プレートレット型カーボンナノファイバー(特開2004−300631)、釣鐘状構造単位集合体(特開2012−46864、特開2011−47081、特開2011−46852)などが挙げられる。これらの中でも、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、釣鐘状構造単位集合体が好ましい。特に、釣鐘状構造単位集合体は、ファンデルワールス力の弱い力で結合している釣鐘状構造単位の集合体の連結部が、混練や押出による剪断力により容易に切断され、微炭素繊維同士が絡まり合った凝集物となりにくく、分散性に優れることから好ましい。
本発明の基材層におけるポリアミド樹脂(A)と微細炭素繊維(B)との配合割合は、特に制限されるものではないが、ポリアミド樹脂(A)と微細炭素繊維(B)の合計量のうち、ポリアミド樹脂(A)を80〜99重量%、微細炭素繊維(B)を20〜1重量%含むことが好ましく、ポリアミド樹脂(A)90〜99重量%に対して、微細炭素繊維(B)を10〜1重量%含むことがより好ましい。微細炭素繊維(B)の配合量が20重量%を超えると半導電性ポリアミド樹脂組成物は押出適性に劣る為、得られる成形体の表面が平滑でなくなる恐れがある。また、微細炭素繊維(B)の配合量が1重量%未満では、半導電性領域の体積抵抗率(10〜1013Ω・cm)を付与することが困難となる。
本発明の基材層を形成するための組成物は、必要に応じてその特性を損なわない範囲でその他の樹脂や添加剤を配合しても良い。樹脂としては、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。添加剤としては、イオン導電性材料、カーボンファイバ等の電子導電性材料、酸化防止剤、熱安定剤、有機フィラーや無機フィラー、アンチブロッキング剤、可塑剤、滑剤、加工助剤、染料や顔料等の着色剤が挙げられる。これらの樹脂や添加剤は、目的に応じて適量を使用することができる。基材層の厚みは50μm〜200μmが好ましく、さらに70μm〜150μmが好ましい。
[弾性層]
本発明の弾性層は、熱可塑性エラストマーにイオン導電剤を配合した組成物から形成される。弾性層に使用する樹脂は、例えば、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ジエン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマーなど必要に応じて適宜選択することができる。これらの熱可塑性エラストマーは単独でも、必要に応じて2種以上を混合使用してもよい。これらの中でも、特にポリウレタン系エラストマーは、押出成形性に優れ特に好ましい。
これら弾性層に用いられる熱可塑性エラストマーは、ショアA硬度80以下のものが好ましく、ショアA硬度70以下のものがさらに好ましい。弾性層の硬度が高すぎる場合は、厚さ方向の圧縮弾性率が高いため転写時の変形が小さく、ニップ幅が十分に得られず、またトナー転写時にトナーへかかる圧力が高くなり、弾性層を形成させた効果が小さくなる。弾性層の厚みは、80〜600μmが好ましく、さらに200〜500μmが好ましい。
弾性層には導電性材料としてイオン導電剤を配合することが必須である。
イオン導電剤としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド共重合体、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、部分架橋ポリエチレンオキサイド共重合体、アイオノマー(側鎖にカルボン酸のアルカリ金属塩、スルホン酸のアルカリ金属塩、4級アンモニウム塩を有するポリマー)、イオン電解質等があげられ、これらを単独で、あるいは二種類以上併用することができる。イオン電解質としては、4級アンモニウム塩、アルカリ金属のチオシアン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ハロゲン含有酸素酸塩、スルホン酸塩を用いることができ、これらのうち特に、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
導電剤として弾性層にカーボンブラックや微細炭素繊維などの電子導電剤を配合した場合、導電性はカーボンブラックなどの導電剤の粒子の接触による導電経路の形成もしくは分散したカーボンブラックなどの導電剤の粒子間を電子がジャンプするトンネル効果(粒子間のポテンシャル障壁を越える電子の走り抜けの現象のこと)により付与することができると考えられている。しかしながら、基材層上にカーボンブラックなどの電子導電剤を配合した弾性層を形成した画像形成装置用転写ベルトは弾性層が柔軟であるため、転写ベルト駆動時に弾性層が伸縮し、長時間使用すると導電剤粒子間の距離が変化するため、電気抵抗が部分的に変動し、電気抵抗のばらつきが生じるため好ましくない。
[表面層]
転写効率の優れた画像形成装置用転写ベルトを得るために、弾性層の上に表面層を形成してもよい。弾性層上に形成する表面層は、トナーとの離型性やクリーニング性を有し、弾性層と強固に接着し、弾性層の柔らかさを阻害しない性質とクラックの発生しない追従性が求められる。
本発明の表面層は、電離放射線硬化型もしくは熱硬化型の塗工剤を弾性層の表面に塗布した後、電離放射線もしくは熱により架橋硬化させて形成させることが好ましい。表面層の形成方法は、前記塗工剤をロールコート、バーコート、ディップコート、スプレーコート等、好ましくはロールコート、スプレーコートにより塗布し、溶剤を含有する場合は乾燥後、電離放射線を照射、あるいは加熱して塗工剤を硬化させることによって表面層を形成することができる。
ここで電離放射線としては、特に制限がなく、例えば、紫外線、電子線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、エックス線、中性子線などが挙げられ、その照射量は、紫外線の場合、通常100〜15,000mJ/cm2、好ましくは300〜8000mJ/cm2である。
電離放射線硬化型の塗工剤は、(メタ)アクリルモノマー又は(メタ)アクリルオリゴマー、特に多官能アクリレートオリゴマー、多官能アクリレートモノマーを主成分とするのが好ましい。
多官能アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
また、多官能アクリレートオリゴマーとしては、ノボラック型、ビスフェノール型エポキシ樹脂をアクリレート変性したエポキシアクリレート、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるウレタン化合物のアクリレート変性物であるウレタンアクリレート、ポリエステル樹脂をアクリレート変性したポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
電離放射線硬化型の塗工剤は、これらのアクリルモノマー及び/又はアクリルオリゴマーの他に、光重合開始剤、増感剤、界面活性剤、防汚剤等の各種添加剤、更には希釈溶媒等を配合して用いることが好ましい。
熱硬化型の塗工剤は、水系ウレタン樹脂、シリコーン・アクリル系ハイブリッド樹脂、シリコーン・フッ素共重合樹脂等が挙げられる。
[転写ベルトの製造方法]
本発明の基材層を形成するための組成物の製造方法には特に制限はないが、例えば、ポリアミド樹脂(A)、微細炭素繊維(B)及び必要に応じて用いられる添加剤を配合して溶融混練する方法等が挙げられる。
本発明の弾性層を形成するための組成物の製造方法には特に制限はないが、例えば、熱可塑性エラストマー(D)とイオン導電剤(E)とを配合して溶融混練する方法等が挙げられる。
溶融混練するための装置としては、バッチ式混練機であるニーダー、コニーダー、バンバリーミキサー、ロールミル、単軸もしくは二軸混練押出機等、公知の混練機や押出機が挙げられる。これらの中でも、混練能力や生産性に優れる点から単軸もしくは二軸混練押出機が好ましく用いられる。
溶融混練時の温度は、使用するポリアミド樹脂(A)の種類や溶融粘度等により適宜選択できるが、通常、150〜300℃の範囲であり、樹脂の劣化防止の観点から、好ましくは170〜280℃である。
画像形成装置用転写ベルトは、押出成形法、遠心成形法、ディッピング法などで製造することができる。押出成形法については、特にインフレーション押出成形法が好ましい。インフレーション押出成形法としては、例えば、2機の押出機を、該押出機の下方に該押出機に連通して環状ダイスが配置され、該環状ダイスの下方には、該環状ダイスから下向きに押し出される溶融樹脂をその外周に沿わせて冷却固化するマンドレルが配設された押出成形装置が用いられる。具体的には、基材層を形成する組成物と弾性層を形成する組成物をそれぞれの押出機に供給して、一つの環状ダイスからチューブ状に共押出し、マンドレルの外周に沿わせて冷却固化することによりチューブ状の成形体とする方法が挙げられる。また、その際、チューブ状の成形体を所望の長さに切断することでベルト状の成形体とすることができる。
なお、これらの説明は2層の場合であるが、3層以上の時は、層数に応じた押出機及びダイスを準備すればよい。
以下、本発明について、実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において行った物性の測定方法は次の通りである。
(1)溶融粘度
溶融粘度は、長さ10mm×直径1mmのダイを取り付けた島津製作所製高化式フローテスターを用い、200℃、荷重100kgで測定した。なお、その単位を(poise)として表した。
(2)ショアA硬度
厚さ2mmのシートを3枚重ねて厚み6mmとし、デューロメータ タイプA(上島製作所製)を用いて測定した。
(3)電気抵抗(体積抵抗率)のバラつき
URSプローブを取り付けたハイレスタUP(MCP−HT450、ダイヤインスツルメンツ社製)を用い、460mm×400mmのサンプルについてTD方向に10点、MD方向に10点の体積抵抗率を測定した。次いで、体積抵抗率の測定値の平均値を求め、それをサンプルの体積抵抗率(測定条件:温度23℃、相対湿度50%RH、荷重2kg、印加電圧500V、10秒)とした。なお、体積抵抗率の単位は(Ω・cm)として表した。
また、体積抵抗率のバラつきは以下の式で求めた。
体積抵抗率のバラつき[桁]=log10(体積抵抗率の最大値/体積抵抗率の最小値)
(4)電気抵抗の環境依存性
[体積抵抗率の環境依存性]
URSプローブを取り付けたハイレスタUP(MCP−HT450、ダイヤインスツルメンツ社製)を用い、460mm×400mmのサンプルについてTD方向に10点、MD方向に10点の体積抵抗率ρVA(測定条件1:温度15℃、相対湿度35%RH、荷重2kg、印加電圧500V、10秒)とρVB(測定条件2:温度30℃、相対湿度80%RH、荷重2kg、印加電圧500V、10秒)を測定し、その平均値を求めた。
体積抵抗率の環境依存性は以下の式で求めた。
体積抵抗率の環境依存性[桁]=log10(ρVA/ρVB
[表面抵抗率の環境依存性]
URSプローブを取り付けたハイレスタUP(MCP−HT450、ダイヤインスツルメンツ社製)を用い、460mm×400mmのサンプルについてTD方向に10点、MD方向に10点のサンプルの表側(弾性層側表面)の表面抵抗率を(測定条件1:温度15℃、相対湿度35%RH、荷重2kg、印加電圧500V、10秒)、(測定条件2:温度30℃、相対湿度80%RH、荷重2kg、印加電圧500V、10秒)を測定した。次いで、それぞれの表面抵抗率の測定値の平均値を求め、それをサンプルの表面抵抗率ρSA(測定条件1)、ρSB(測定条件2)とした。
表面抵抗率の環境依存性は以下の式で求めた。
表面抵抗率の環境依存性(表側)[桁]=log10(ρSA/ρSB
原料としては、下記のものを用いた。
<ポリアミド樹脂(A)>
・ポリアミド樹脂(A−1)[ナイロン12、Tm:178℃、比重:1.02、溶融粘度:1700poise]
・ポリアミド樹脂(A−2)[ナイロン12、Tm:178℃、比重:1.02、溶融粘度:5400poise]
<フッ素樹脂(a)>
・ポリフッ化ビニリデン(a―1)[融点:168℃、溶融粘度:4500poise]
・ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(a―2)[融点:145℃、溶融粘度:28800poise]
<微細炭素繊維(B)>
・微細炭素繊維(B―1)[釣鐘状構造単位集合体、平均繊維径:11nm、DBP吸油量:330ml/100g、比表面積:230m2/g]
<カーボンブラック(b)>
・カーボンブラック(b−1)[吸油量:190ml/100g、BET表面積:70m/g]
<熱可塑性エラストマー(C)>
・熱可塑性エステル系ポリウレタン(C−1)[ショアA硬度:59、溶融粘度:2150poise]
・熱可塑性エーテル系ポリウレタン(C−2)[ショアA硬度:55、溶融粘度:6000poise]
<イオン導電剤(D)>
・エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(D−1)[プロピレンオキサイド含量:10%]
・過塩素酸リチウム三水和物(D−2)
・テトラブチルアンモニウムハイドロサルフェート(D−3)
<相溶化剤(e)>
・相溶化剤(e―1)[主鎖:メタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体、側鎖:メタクリル酸メチル重合体、エポキシ当量:1650g/eq]
表1に示した配合比(重量比)となるよう、ポリアミド樹脂またはフッ素樹脂と電子導電剤等とを二軸混練機で混練、ペレット化し、基材層を形成する組成物を得た。
Figure 0006800023
次に、表2に示した配合比(重量比)となるよう、熱可塑性エラストマーとイオン導電剤とをニーダーで混練、ペレット化し、弾性層を形成する組成物を得た。
Figure 0006800023
[実施例1乃至8、比較例1乃至4]
シリンダー径50mmの押出機2台の先端に2層の環状ダイを装着した装置を用い、基材層を形成する組成物と弾性層を形成する組成物とを共押出してチューブ状に成形後、長さ400mmにカットし、基材層を内層とする基材層の厚さ150μm、弾性層の厚さ250μm、周長850mm、幅400mmの転写ベルトを得た。
[比較例5乃至7]
シリンダー径50mmの押出機の先端に1層の環状ダイを装着した装置を用い、弾性層を形成する組成物を押出してチューブ状に形成後、長さ400mmにカットし、弾性層の厚み250μm、周長さ850mm、幅400mmの弾性層のみの転写ベルトを得た。
実施例および比較例で作製した転写ベルトは、以下の項目について評価し、その結果を表3及び表4に示す。
Figure 0006800023
Figure 0006800023
ポリアミド樹脂と微細炭素繊維を含有させた基材層にイオン導電性の弾性層を積層した転写ベルトの体積抵抗率の環境依存性は、実施例1(1.08桁→0.88桁)、実施例2(0.68桁→0.62桁)、実施例3(1.11桁→0.93桁)、実施例4(1.24桁→0.92桁)、実施例5(1.01桁→0.78桁)、実施例6(0.97桁→0.68桁)、実施例7(1.08桁→0.64桁)、実施例8(0.97桁→0.59桁)を示し、またその表面抵抗率の環境依存性は、実施例1(1.16桁→0.40桁)、実施例2(0.88桁→0.31桁)、実施例3(1.32桁→0.80桁)、実施例4(1.38桁→0.79桁)、実施例5(1.00桁→0.41桁)、実施例6(1.05桁→0.52桁)、実施例7(1.16桁→0.82桁)、実施例8(1.05桁→0.92桁)を示し、イオン導電性の弾性層のみからなる転写ベルトの環境依存性(体積抵抗率及び表面抵抗率)に比べて大幅に向上した。
また、実施例1乃至8の転写ベルトは、基材層のみからなる転写ベルトよりも体積抵抗率の均一性が格段に優れていた。
一方、フッ素樹脂とポリアミド樹脂とカーボンブラックとを含有した電子導電性の基材層に熱可塑性エラストマーとイオン導電剤を含有した弾性層を積層した比較例1乃至4の体積抵抗率の環境依存性は、弾性層のみからなる転写ベルトの体積抵抗率の環境依存性とほぼ同程度であり、また表面抵抗率の環境依存性は悪くなる傾向を示し(比較例1(体積抵抗率:1.08桁→1.02桁、表面抵抗率:1.16桁→1.22桁)、比較例2(体積抵抗率:1.11桁→1.04桁、表面抵抗率:1.32桁→1.47桁)、比較例3(体積抵抗率:1.24桁→1.19桁、表面抵抗率:1.38桁→1.57桁)、比較例4(体積抵抗率:0.97桁→1.00桁、表面抵抗率:1.05桁→1.18桁))、電子導電性を付与した基材層へ同じ弾性層を積層した転写ベルトでも、基材層の種類(基材層を形成するベース樹脂及び電子導電剤の種類)によって、電気抵抗の環境依存性に差が見られた。
また、ポリアミド樹脂とカーボンブラックとを含有した電子導電性の基材層のみからなる比較例8の転写ベルトは、体積抵抗率の均一性が0.50桁を大幅に超え3.30桁を示し、体積抵抗率のばらつきが大きく、画像形成装置用転写ベルトとしては不適であった。

Claims (6)

  1. ポリアミド樹脂(A)と微細炭素繊維(B)とを含有した組成物からなる基材層と、熱可塑性エラストマー(C)とイオン導電剤(D)とを含有した組成物からなる弾性層とを積層したことを特徴とする画像形成装置用転写ベルト。
  2. 前記基材層が、ポリアミド樹脂(A)と微細炭素繊維(B)との合計量のうち、前記ポリアミド樹脂(A)を80〜99重量%、前記微細炭素繊維(B)を20〜1重量%配合されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置用転写ベルト。
  3. 前記ポリアミド樹脂(A)は、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,10、ナイロン6,12から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置用転写ベルト。
  4. 前記微細炭素繊維(B)が単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、釣鐘状構造単位集合体から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の画像形成装置用転写ベルト。
  5. 前記熱可塑性エラストマー(C)が熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の画像形成装置用転写ベルト。
  6. 基材層上に弾性層を積層した画像形成装置用転写ベルトの製造方法において、
    ポリアミド樹脂(A)と微細炭素繊維(B)とを含有した基材層を形成する組成物と、熱可塑性エラストマー(C)とイオン導電剤(D)とを含有した弾性層を形成する組成物をそれぞれ別々の押出機に供給し、環状ダイスより共押出することを特徴とする画像形成装置用転写ベルトの製造方法。

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