JP5499341B2 - 導電性樹脂組成物及び該組成物から製造される成型体 - Google Patents
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Description
本発明はまた、表面平滑性に優れた成型体を提供することを目的とする。
本発明はまた、上記導電性樹脂組成物から製造される成型体を提供する。
本明細書において、熱可塑性ポリアミド12エラストマー(PAE12)とは、ポリアミド12をハードセグメント、脂肪族ポリエーテルをソフトセグメント、としたブロック共重合体をいう。熱可塑性ポリアミド12エラストマーは、脂肪族ポリアミド単位としてポリアミド12(通称ナイロン12)と脂肪族ポリエーテル単位とが結合した熱可塑性樹脂であり、該両単位の結合状態(割合、種類等)によって熱的性質(融点、耐熱温度等)、機械的物性(各種強度、硬さ等)などが変化する。
前記ジカルボン酸はハードセグメントの分子量調整剤として働く。ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム、3−スルホイソフタル酸カリウム等の3−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。上記例示したものは単独で使用しても良く、あるいは二種類以上を適宜組合せて使用してもよい。これらのうち好ましいものは脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および3−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩であり、特に好ましいものはアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸および3−スルホイソフタル酸ナトリウムが挙げられる。
ソフトセグメントの脂肪族ポリエーテル成分は、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシ(1,2−、若しくは1,3−)プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシエチレンオキサイドとポリオキシプロピレンオキサイドとの共重合ジオール、及びこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
本件で使用できる熱可塑性ポリアミド12エラストマーは結晶性であり融点が130〜180℃であるものが好ましい。融点が130℃以上の場合、良好な成型加工性が得られ、融点が180℃以下の場合、成型体の機械的特性(特に柔軟性)がより良好となる。表面平滑性の高い成形体を得るためには、さらに145〜170℃であるものが好ましく、特に好ましいのは145〜160℃である。なお、本明細書において、融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
熱可塑性ポリアミド12エラストマーの相対粘度(0.5質量%m−クレゾール溶液、25℃)は、1.1〜3.0が好ましく、更に好ましくは1.2〜2.5である。相対粘度が1.1以下では耐熱性、成形加工性が悪く、3.0を超えると成形性が低下する。
成分(a)は、本発明の導電性樹脂組成物100質量部に対し、好ましくは50〜98質量部、より好ましくは60〜90質量部、さらに好ましくは65〜80質量部の量で配合する。50質量部以上の場合、本発明の成型体の機械的特性、特に柔軟性が良好であるので好ましい。98質量部以下の場合、導電性カーボンの分散性が良好となるので好ましい。
本発明において、熱可塑性芳香族ポリエステル或いはその誘導体は、導電性カーボンブラックとの親和性に優れ、本発明の組成物中における導電性カーボンブラックの分散性を高くすることができる。その結果、本発明の組成物から製造される成型体の表面平滑性を向上することができる。更に、熱可塑性ポリアミド12エラストマーと併用すると、導電性カーボンブラックの量が少なくても所望の導電性を得ることができる。
本発明で使用できる熱可塑性芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートイソフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレートポリエチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートイソフタレート共重合体、ポリエチレンテレフタレートポリエチレングリコール共重合体等のポリアルキレンテレフタレートホモポリマー、コポリマーなどが挙げられる。
本発明において用いることができる熱可塑性芳香族ポリエステルの誘導体としては、脂肪族ポリエーテル或いは脂肪族ポリエステルを上記芳香族ポリエステルに導入した共重合体(芳香族ポリエステルエラストマー)、例えば、ポリブチレンテレフタレートポリエチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレートポリエチレングリコール共重合体等のポリアルキレンテレフタレートコポリマー等が挙げられる。
とりわけ、ポリブチレンテレフタレート或いはその誘導体がより好ましい。本発明の組成物中における導電性カーボンブラックの分散性向上に最も寄与ためである。
成分(b)は、本発明の導電性樹脂組成物100質量部に対し、1〜30質量部、好ましくは5〜25質量部、より好ましくは10〜20質量部の量で配合する。成分(b)の量が上記範囲にあると、導電性カーボンの分散性と成型体の表面平滑性及び柔軟性がより良好となる。
本発明において、成分(a)と成分(b)との配合比は、質量比にして2より大きいのが好ましく、3より大きいのが更に好ましい。質量比で2未満であると、柔軟性が不十分な場合がある。
本発明において、導電性カーボンブラックとは、カーボンブラックの中で、ストラクチャー、すなわち連鎖状乃至は枝分かれしたミクロ構造が発達していることにより、樹脂等の分散媒中において有効な導電回路を形成しうるものを言う。
本発明において使用できる導電性カーボンブラックとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択可能であり、例えば、オイルファーネス法によって原料油を不完全燃焼させて得られるオイルファーネスブラック、特殊ファーネス法によって製造されるケッチェンブラック、アセチレンガスを原料として製造されるアセチレンブラック、天然ガスの熱分解によって製造されるサーマルブラック、これらを酸化または還元処理したもの等があげられる。
このうち、n−ジブチルフタレート(DBP)吸油量が100〜500mL/100gのものが好ましい。吸油量が100mL/100g以上であると導電性付与効果が良好となり、500mL/100g以下であると樹脂中の分散性により優れる。より好ましくはn−ジブチルフタレート(DBP)吸油量が100〜300mL/100gのものである。吸油量がこのような範囲にあると、分散性の良好な組成物をより容易に製造できるので好ましい。DBP吸油量は、ASTM D2414に従い、DBPアブソープトメーターを使用して測定することができる。
平均一次粒子径が20〜50nmのものが好ましい。平均一次粒子径がこの範囲を外れると良好な導電性が得られない可能性がある。
比表面積が50〜1000m2/gのものが好ましい。比表面積が50m2/g未満の場合、電子写真機用各種ローラ等に使用するのに必要な導電性を確保するのに多量の導電性カーボンブラックを配合しなければならず、表面平滑性が低下する可能性もある。1000m2/gを超えると、導電性カーボンブラックを成型体中に均一に分散させるのが困難になる可能性がある。
成分(c)は、本発明の導電性樹脂組成物100質量部に対し、1〜25質量部、好ましくは5〜25質量部、より好ましくは5〜20質量部の量で配合する。成分(c)の量が上記範囲にあると、特に、5質量部以上の場合、導電性付与効果が良好となり、25質量部以下の場合、組成物中における導電性カーボンブラックの分散性が良好で、所望の機械的特性もまた良好となるので好ましい。
本発明の導電性樹脂組成物は、その特性を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂、導電成分、添加剤等を特に制限なく、目的に応じ、適宜選択、配合することが可能である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリレート又はメタクリレートと他の化合物との共重合体、スチレン系樹脂、成分(a)以外のポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、成分(a)以外の熱可塑性エラストマー、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、等が挙げられる。
導電成分としては、例えば、繊維系カーボン、酸化亜鉛、酸化チタン等の金属系導電剤、チタン酸塩ウィスカー、イオン導電剤、例えば、無機塩・有機塩といった低分子イオン導電剤又は高分子イオン導電剤等が挙げられる。イオン導電剤が好ましく、特に、低分子イオン導電剤又は高分子イオン導電剤が好ましい。
高分子イオン導電剤とは、イオン導電可能なポリマーまたはコポリマーをいう。例として、オリゴエトキシ化アクリレートもしくはメタクリレート、芳香族環についてオリゴエトキシ化されたスチレン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテル尿素、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミドまたはポリエーテルエステル等があげられる。このうち、ポリエーテルアミドまたはポリエーテルエステルアミドが好ましい。
低分子イオン導電剤及び高分子イオン導電剤はそのまま樹脂に配合することもできるが、あらかじめ(A)有機ポリマー材料に、前述の(B)高分子イオン導電剤及び/又は(C)低分子イオン導電剤を配合したマスターバッチの形態として使用することが、取り扱いが容易となる点で好ましい。
(A)有機ポリマー材料の例としては、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエステル等があげられる。
(A)に(B)を配合したものとして、ペレスタットNC6321(三洋化成(株)製)が入手できる。
イオン導電剤としては、(A)に(B)と(C)とを配合した組成物、特に、(B)成分としてポリエーテル成分として(CH2−CH2−O)を含み、かつポリアミド成分としてナイロン12またはナイロン6を含むポリエーテルアミド又はポリエーテルエステルアミドと、(C)成分としてNaClO4とを併用するのが好適である。このような過塩素酸ナトリウムを含有するポリエーテルアミドまたはポリエーテルエステルアミドエラストマーは、Irgastat(登録商標)P18およびIrgastat(登録商標)P22(共に、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・インコーポレーテッド製)として入手することができる。
このような性質は特に、数kV程度までの印加電圧をかけて使用されるレーザープリンターや複写機の帯電ローラやカラーレーザープリンターやカラー複写機の転写ベルトの用途に適する。
例えば、(a)〜(c)からなる本発明の導電性樹脂組成物から製造される帯電ローラを用いる場合、帯電ローラへの印加電圧を100〜1000Vの範囲で変化させたとき、表面抵抗率(surface resistivity:SR)が1.5桁以上変化してしまう場合があるのに対し、イオン導電剤を併用した本発明の導電性樹脂組成物の場合、前記印加電圧範囲におけるSRの変化を1桁以内に抑制することができる。このように印加電圧へのSRの依存性を抑制することで、帯電ローラ上での部分的な帯電不良等による画像欠陥の発生を防ぎ、高解像度の画像を得ることができる。
上記イオン導電剤を、本発明の導電性樹脂組成物100質量部に対し、0.05〜1.25質量部、好ましくは0.1〜1.0質量部、より好ましくは0.25〜0.75質量部の量で配合するのが好ましい。上記イオン導電剤の量が上記下限値より大きいと、本発明の導電性樹脂組成物の体積抵抗率(Volume resistivity:VR)を半導電性領域(105〜1012Ω・cm程度)に設定したときの印加電圧に対する抵抗値の依存性を好適に抑制することができる。上限値より小さくすることで、前記抵抗値の湿度への依存性を抑制できる。
上記各種用途に対して、特に前記の過塩素酸ナトリウムを含有するポリエーテルエステルアミドエラストマー型高分子イオン導電剤は、ベースとなる熱可塑性ポリアミド12エラストマーとの相溶性が良好であり、本発明の高い表面平滑性や靭性、柔軟性、屈曲耐性を損なうことなく、上記目的とする性能を付与することができる。
添加剤としては、例えば、難燃剤、顔料、染料、補強剤(炭素繊維など)、充填剤、耐熱剤、耐候剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良剤、帯電防止剤、相溶化剤、安定剤などが挙げられる。
実施例1
(a)成分としてエムスケミージャパン(株)製ELY60(以下、PAE12(i))11質量%、(b)成分としてポリプラスチック(株)製 ジュラネック600FP(以下、PBT)15質量%を予めタンブラー等の混合機で均一に混合し、該混合物をシリンダー温度及びダイ温度を240〜260℃とした同方向2軸押出機(NR−II57mm、ナカタニ機械(株)製)の元ホッパーから定量フィーダーにて供給した。完全に溶融した後、(c)成分としてTIMCAL社製 Ensaco250G(以下、CB(i))14質量%及び(a)成分としてPAE12(i)60質量%を各々サイドフィーダーから、定量フィーダーにより押出機に供給、混練、ペレット化して実施例1の導電性組成物を得た。
実施例2
実施例1において、元ホッパーに供給するための(a)成分として宇部興産(株)製 UBESTA XPA9044X2(以下、PAE12(ii))11質量%、とした以外は実施例1と同様にして実施例2の導電性組成物を得た。
実施例3
実施例1において、元ホッパーに供給するための(a)成分としてPAE12(ii)28質量%、サイドフィーダーから供給するための(a)成分としてPAE12(i)43質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例3の導電性組成物を得た。
実施例1において、元ホッパーに供給するための(a)成分としてPAE12(i)6質量%とPAE12(ii)4質量%との混合物、サイドフィーダーから供給するための(a)成分としてPAE12(i)37質量%とPAE(ii)24質量%との混合物とした以外は実施例1と同様にして実施例4の導電性組成物を得た。
実施例5
実施例4において、CB(i)8質量%とした以外は実施例4と同様にして実施例5の導電性組成物を得た。
実施例6
実施例1において、成分(a)をPAE12(ii)とした以外は実施例1と同様にして実施例6の導電性組成物を得た。
実施例7
実施例1において、元ホッパーに供給するための(a)成分PAE12(i)18質量%、(b)成分PBT8質量%、サイドフィーダーから供給するための(a)成分としてPAE12(i)60質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例7の導電性組成物を得た。
実施例1において、元ホッパーに供給するための(a)成分PAE12(i)16質量%、(b)成分PBT25質量%、サイドフィーダーから供給するための(a)成分としてPAE12(i)45質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例8の導電性組成物を得た。
実施例9
実施例1において、(b)成分をPBT10質量%と三菱レイヨン(株)製ダイヤナイトMA−521H−D25(以下、PET)5質量%との混合物とした以外は実施例1と同様にして実施例9の導電性組成物を得た。
実施例10
実施例1において、元ホッパーに供給するための(a)成分PAE12(i)11質量%、(c)成分としてライオン(株)製ケッチェンブラックEC300J(以下、CB(ii))8質量%、サイドフィーダーから供給するための(a)成分としてPAE12(i)60質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例10の導電性組成物を得た。
実施例5において、CB(ii)8質量%とした以外は実施例5と同様にして実施例11の導電性組成物を得た。
実施例12
実施例1において、元ホッパーに供給するための成分として、(b)成分PBT15質量%と(d)成分として高分子イオン導電剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製 Irgastat P18 を10質量%との混合物、サイドフィーダーから供給ための(a)成分としてPAE12(i)40質量%とPAE12(ii)27質量%との混合物、サイドフィーダーから供給ための(c)成分としてCB(i)8質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例12の導電性組成物を得た。
実施例13
実施例1において、元ホッパーに供給するための成分として、(a)成分PAE12(i)6質量%とPAE12(ii)4質量%と(b)成分PBT15質量%との混合物、サイドフィーダーから供給するための成分として、(a)成分PAE12(i)32質量%とPAE12(ii)21質量%と(d)成分Irgastat P18を15質量%との混合物、サイドフィーダーから供給ための(c)成分としてCB(i)7質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例13の導電性組成物を得た。
実施例13において、サイドフィーダーから供給するための成分として、(a)成分PAE12(i)37質量%とPAE12(ii)24質量%と(d)成分Irgastat P18を5質量%との混合物、サイドフィーダーから供給するための(c)成分としてCB(i)9質量%とした以外は実施例13と同様にして実施例14の導電性組成物を得た。
比較例1
実施例1において、元ホッパーに供給するための(a)成分PAE12(i)26質量%、(b)成分を使用しなかった以外は同様にして比較例1の導電性組成物を得た。
比較例2
実施例1において、元ホッパーに供給するための(a)成分を使用しない、(b)成分PBT50質量%、サイドフィーダーから供給するための(a)成分としてPAE12(i)36質量%、とした以外は同様にして比較例2の導電性組成物を得た。
比較例3
実施例1において、CB(i)30質量%、サイドフィーダーから供給するための(a)成分としてPAE12(i)44質量%、とした以外は同様にして比較例3の導電性組成物を得た。
〔ブツ個数〕
得られたペレットをインフレーション成型し、厚さ100μmのフィルムを得た。尚、インフレーション成形は、シリンダー温度190℃、スクリュー回転数80rpmにて行い、押出機の制御・駆動部には、東洋精機社製ラボプラストミルME型を、ダイ部には、東洋精機社製25mmΦスパイラル型インフレーションダイIND−25型を使用した。
該フィルムから幅5cm、長さ20cm、試験片を得て測定に供した。
目視で存在が認められる凝集物の直径をノギスを用いて測定し、直径0.2mm以上の凝集物の数(ブツ個数)を計数した。
〔表面平滑性〕
上記計測したブツ個数に対し、下記基準にて成型体の表面平滑性を評価した。
◎ : 3個以下
○ : 4〜12個
△ : 13〜20個
× : 21個以上
得られたペレットを射出成型し、日本ゴム協会標準規格のSRIS2301−1969に準拠した方法で体積抵抗率を測定した。実施例1−14の組成物の体積抵抗率(Ω・cm)の常用対数値は2.5−11.5であった。
〔機械的特性〕
1)靭性
得られたペレットを射出成型し、ISO527−2/1A/50に準拠して引張強さ、引張破壊呼び歪を測定した。
2)柔軟性
得られたペレットを射出成型し、JIS K7215 に準拠してショアD硬度を測定した。
上記実施例及び比較例の評価結果を表3に示す。
実施例1において、元ホッパーに供給するための成分として、(b)成分PBT15質量%と、(d)成分として高分子イオン導電剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製 Irgastat P18を5質量%との混合物、サイドフィーダーから供給するための(a)成分としてPAE12(i)43質量%とPAE12(ii)28質量%との混合物、サイドフィーダーから供給するための(c)成分としてCB(i)9質量%、とした以外は実施例1と同様にして導電性組成物のペレットを得た。
このペレットを単軸押出機(東洋精機社製ベント式単軸押出機D2020型)に供給し、環状ダイスを用いて押出したあと直ぐにブロアにて強制冷却して外径40mm、厚み100μmの円筒状チューブを得た。得られた円筒状チューブを切り開き、得られたフィルムをSR及びVR測定用の試料とした。なお、該押出機の制御・駆動部には、東洋精機社製ラボプラストミルME型を、ダイ部には、東洋精機社製25mmΦスパイラル型インフレーションダイIND−25型を使用した。押出温度は、シリンダーの溶融ゾーンからダイ温度まで全て240℃で行い、スクリュー回転数は80rpmで行った。
実施例16、17、比較例4
表4に示す組成の導電性樹脂組成物から実施例15と同様の方法でペレットを製造し、これを使用して実施例15と同様の方法で円筒状チューブからフィルムを製造し、SR及びVR測定用の試料とした。
SR及びVRの測定は、ASTM D257−93に従って行った。測定は、実施例15−17及び比較例4において製造した試料を、23℃、50%RHの条件下に24時間保った後、下記抵抗測定装置及び電極を使用し、試料に電圧を印加して1分後の抵抗値を測定することにより行った。SRは100、500及び1000Vの各電圧で印加して、得られた値であり、VRは100Vの電圧で印加して得られた値である。試料の外周面(円筒状チューブを切り開いて得たフィルムの面のうち、切り開く前にチューブの外周面であった方の面)のSRおよび厚み方向のVRを測定した。測定は5点行い、その平均値を採用した。なお、ASTM D257−93に記載の導電ペイント(銀ペイント)は測定するのに必要がなかったため使用しなかった。
結果を表4に示す。各測定電圧におけるSR(Ω/□)及びVR(Ω・cm)は、測定値の常用対数をとった値として示す。SRの電圧依存性は、測定電圧1000VにおけるSRの常用対数値と100VにおけるSRの常用対数値との差として示す。
抵抗測定機器 : アドバンテスト社製 エレクトロメータR8340
電極 : アドバンテスト社製 レジスティビティチャンバR12702A
Claims (8)
- (a)組成物100質量部に対して、50〜98質量部の熱可塑性ポリアミド12エラストマー、
(b)組成物100質量部に対して、1〜30質量部の熱可塑性芳香族ポリエステル又はその誘導体、及び
(c)組成物100質量部に対して、1〜25質量部の導電性カーボンブラック
を含有し、
成分(a)と成分(b)との配合比が、質量比にして2より大きい、導電性樹脂組成物。 - (b)成分が、ポリブチレンテレフタレート或いはその誘導体であることを特徴とする請求項1記載の導電性樹脂組成物。
- (c)成分が、n−ジブチルフタレート(DBP)吸油量が100〜500mL/100gである導電性カーボンブラックであることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性樹脂組成物。
- さらに(d)イオン導電剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の導電性樹脂組成物から製造される導電性樹脂成型体。
- ショアD硬度が80以下である請求項5記載の成型体。
- フィルムまたはシートの形態である請求項5又は6記載の成型体。
- 管状物の形態である請求項5又は6記載の成型体。
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