JP2024094626A - 樹脂組成物、成形品、ペレット、導電性摺動部品 - Google Patents

樹脂組成物、成形品、ペレット、導電性摺動部品

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JP2024094626A JP2022211289A JP2022211289A JP2024094626A JP 2024094626 A JP2024094626 A JP 2024094626A JP 2022211289 A JP2022211289 A JP 2022211289A JP 2022211289 A JP2022211289 A JP 2022211289A JP 2024094626 A JP2024094626 A JP 2024094626A
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Abstract

【課題】 摺動性と導電性に優れた成形品を提供可能な樹脂組成物、成形品、ペレット、導電性摺動部品の提供。
【解決手段】 (A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維50~150質量部、(C)カーボンブラック10~30質量部、(D)黒鉛10~30質量部、(E)重量平均分子量が1500~10000、かつ、酸価が5mgKOH/g未満であるポリオレフィンワックス5~15質量部、(F)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.1~2.5g/10分、かつ、酸価が5~50mgKOH/gである酸変性ポリオレフィン0.5~5質量部を含む、樹脂組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂組成物、成形品、ペレット、導電性摺動部品に関する。特に、ポリアミド樹脂を主要成分とする樹脂組成物に関する。
従来から、ポリアミド樹脂を摺動部品に用いることが検討されている。例えば、特許文献1には、(A)ポリアミド樹脂と、(B)ポリオレフィンワックスを含み、前記(A)ポリアミド樹脂が、(a-1)半芳香族ポリアミド樹脂10~90質量%と、(a-2)前記(a-1)半芳香族ポリアミド樹脂よりも融点が低く、かつ、ガラス転移温度が20℃以上低い脂肪族ポリアミド樹脂10~90質量%を含む、ポリアミド樹脂組成物が開示されている。
一方、ポリアミド樹脂の導電性を保持ないし改善することも検討されている。例えば、特許文献2には、熱可塑性成形材料であって、該熱可塑性成形材料を基準として、a)少なくとも1種のポリアミド、コポリアミドまたはポリアミド含有ポリマーブレンドを成分Aとして、b)3~20質量%のカーボンブラック、グラファイトまたはそれらの混合物を成分Bとして、c)0.1~3質量%のイオン性液体を成分Cとして含有する該熱可塑性成形材料が開示されている。
特開2017-171880号公報 特表2014-500373号公報
上述のように、摺動性に優れたポリアミド樹脂組成物や、導電性に優れたポリアミド樹脂組成物は検討されている。しかしながら、さらに、摺動性と導電性に優れたポリアミド樹脂組成物が求められている。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、摺動性と導電性に優れた成形品を提供可能な樹脂組成物、成形品、ペレット、導電性摺動部品を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、ポリアミド樹脂と、ガラス繊維と、カーボンブラックと、黒鉛と、所定のポリオレフィンワックスに加え、所定のポリオレフィンを配合することにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、
(B)ガラス繊維50~150質量部、
(C)カーボンブラック10~30質量部、
(D)黒鉛10~30質量部、
(E)重量平均分子量が1500~10000、かつ、酸価が5mgKOH/g未満であるポリオレフィンワックス5~15質量部、
(F)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.1~2.5g/10分、かつ、酸価が5~50mgKOH/gである酸変性ポリオレフィン0.5~5質量部を含む、
樹脂組成物。
<2>前記(E)/(F)の質量比率が1~10である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>さらに、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(G)無機結晶核剤0.1~2質量部を含む、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>さらに、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(H)脂肪酸金属塩0.1~2質量部を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>前記(A)ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6>前記(E)/(F)の質量比率が1~10であり、
さらに、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(F)無機結晶核剤0.1~2質量部を含み、
さらに、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(G)脂肪酸金属塩0.1~2質量部を含み、
前記(A)ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、<1>に記載の樹脂組成物。
<7>導電性摺動部品用である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8><1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
<9><1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物のペレット。
<10><1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物のペレットから成形された成形品。
<11><1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された導電性摺動部品。
本発明により、摺動性と導電性に優れた成形品を提供可能な樹脂組成物、成形品、ペレット、導電性摺動部品を提供可能になった。
実施例で使用した摺動性試験用リングの外観図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書において、融点(Tm)は、特に述べない限り、示差走査熱量測定(DSC)に従い、ISO11357に準拠して、測定した値とする。示差走査熱量計を用い、樹脂を示差走査熱量計の測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で融点を超える温度まで昇温し、急冷する前処理を行った後に測定を行う。測定条件は、昇温速度10℃/分で、280℃で5分保持した後、降温速度-5℃/分で100℃まで測定を行い、融点(Tm)を求める。
示差走査熱量計としては、島津製作所社(SHIMADZU CORPORATION)製「DSC-60」を用いる。
本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2022年1月1日時点における規格に基づくものとする。
図1は模式図であり、縮尺度などは実際と整合していないこともある。
本明細書において、粒子径は、数平均粒子径とし、粒子状ではない場合は、最も長い部分の長さの数平均値を数平均粒子径とする。数平均粒子径は、電子顕微鏡の観察で得られる画像に対して、粒子径を測定する対象の物質をランダムに抽出し粒子径を測定し、得られた測定値から算出する。観察の倍率は1,000倍とし、測定数は1,000個以上として行う。
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維50~150質量部、(C)カーボンブラック10~30質量部、(D)黒鉛10~30質量部、(E)重量平均分子量が1500~10000、かつ、酸価が5mgKOH/g未満であるポリオレフィンワックス(本明細書においては、単に「(E)酸未・微変性ワックス」と表記することがある)5~15質量部、(F)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.1~2.5g/10分、かつ、酸価が5~50mgKOH/gである酸変性ポリオレフィン(本明細書においては、単に「(F)酸変性ポリオレフィン」と表記することがある)0.5~5質量部を含むことを特徴とする。
このような構成とすることにより、摺動性と導電性に優れた成形品を提供可能な樹脂組成物を提供可能になる。
熱可塑性樹脂に摺動性を付与する場合、一般的に、酸未変性ワックスを配合することが考えられる。しかしながら、ポリアミド樹脂に酸未変性ワックスのみを配合すると、十分な摺動性が達成できなかった。本実施形態では、(A)ポリアミド樹脂に、(E)酸未・微変性ワックスに加え、(F)酸変性ポリオレフィンを配合することにより、導電性を阻害せずに、摺動性を高めることに成功したものである。この理由は、(E)酸未・微変性ワックスは、(A)ポリアミド樹脂との相溶性が劣るが、(F)酸変性ポリオレフィンを配合することにより、この点が解消されたと推測される。すなわち、(F)酸変性ポリオレフィンの酸変性部分がポリアミド樹脂と作用し、ポリオレフィン部分が、(E)酸未・微変性ワックスと作用し、結果的に、カーボンブラックや黒鉛によって付与される導電性を阻害せずに、(A)ポリアミド樹脂と(E)酸未・微変性ワックスの相溶性を向上することができたと推測される。
<(A)ポリアミド樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂を含む。
本実施形態で用いる(A)ポリアミド樹脂は特に定めるものではなく、公知のポリアミド樹脂を用いることができる。(A)ポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂であっても、半芳香族ポリアミド樹脂であってもよい。
脂肪族ポリアミド樹脂としては、ポリアミド4、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド666、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12等が例示される。
本実施形態で用いる(A)ポリアミド樹脂は、半芳香族ポリアミド樹脂であることが好ましい。ここで、半芳香族ポリアミド樹脂とは、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位およびジカルボン酸由来の構成単位の合計構成単位の30~70モル%が芳香環を含む構成単位であることをいい、ジアミン由来の構成単位およびジカルボン酸由来の構成単位の合計構成単位の40~60モル%が芳香環を含む構成単位であることが好ましい。このような半芳香族ポリアミド樹脂を用いることにより、得られる樹脂成形品の機械的強度を高くすることができる。半芳香族ポリアミド樹脂としては、テレフタル酸系ポリアミド樹脂(ポリアミド6T、ポリアミド9T)、後述するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂などが例示される。
本実施形態で用いる(A)ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂(以下、「キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂」ということがある)が好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジアミン由来の構成単位は、より好ましくは75モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上、特に一層好ましくは99モル%以上がキシリレンジアミン(好ましくはパラキシリレンジアミンおよび/またはメタキシリレンジアミン、より好ましくはメタキシリレンジアミン)に由来する。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジカルボン酸由来の構成単位は、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上、特に一層好ましくは99モル%以上が、炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。
パラキシリレンジアミンとメタキシリレンジアミンは併用して使用してもよい。これらを混合して使用する場合には、キシリレンジアミンにおけるメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンのモル比率は、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの合計を100モルとしたときに、メタキシリレンジアミン/パラキシリレンジアミンが、10~99/90~1であることが好ましく、30~98/70~2であることがより好ましく、50~97/50~3であることがさらに好ましく、80~96/20~4であることが一層好ましく、90~95/10~5であることがより一層好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の原料ジアミン成分として用いることができるメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2-メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4-アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の原料ジカルボン酸成分として用いるのに好ましい炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示でき、1種または2種以上を混合して使用できるが、これらの中でもポリアミド樹脂の融点が成形加工するのに適切な範囲となることから、アジピン酸またはセバシン酸がより好ましく、アジピン酸がさらに好ましい。
本実施形態におけるキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の好ましい一実施形態としてジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上(好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上)がアジピン酸に由来するものが例示される。
上記炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸といったナフタレンジカルボン酸の異性体等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
なお、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を主成分として構成されるが、これら以外の構成単位を完全に排除するものではなく、ε-カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類由来の構成単位を含んでいてもよいことは言うまでもない。ここで主成分とは、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を構成する構成単位のうち、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位の合計数が全構成単位のうち最も多いことをいう。本実施形態では、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂における、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位の合計は、全構成単位の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましく、97質量%以上を占めることがさらに好ましく、99質量%以上を占めることが一層好ましい。
ポリアミド樹脂(A)の融点は、150~350℃であることが好ましく、180~330℃であることがより好ましく、200~330℃であることがさらに好ましく、200~320℃であることが一層好ましい。
ポリアミド樹脂(A)は、数平均分子量(Mn)の下限が、6,000以上であることが好ましく、8,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましく、また、35,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、25,000以下がさらに好ましく、20,000以下が一層好ましい。このような範囲であると、耐熱性、弾性率、寸法安定性、成形加工性がより良好となる。
ポリアミド樹脂(A)の数平均分子量(Mn)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算値より求める。カラムとしては、充填剤として、スチレン系ポリマーを充填したものを2本用い、溶媒にはトリフルオロ酢酸ナトリウム濃度2mmol/Lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、樹脂濃度0.02質量%、カラム温度は40℃、流速0.3mL/分、屈折率検出器(RI)にて測定する。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定する。
本実施形態の樹脂組成物における(A)ポリアミド樹脂の含有量は、樹脂組成物中、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、35質量%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、ガラス繊維の含有率をある程度抑えることで流動性バランスを整えやすい傾向にある。また、本実施形態の樹脂組成物における(A)ポリアミド樹脂の含有量は、樹脂組成物中、55質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、ガラス繊維等のフィラー配合率が高くなり、剛性や強度面で高い物性値が得られやすい傾向にある。
特に、本実施形態の樹脂組成物に含まれるポリアミド樹脂(A)を100質量部としたとき、そのうちキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の割合は、80~100質量部であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂と(B)ガラス繊維の合計が樹脂組成物の70質量%以上を占めることが好ましく、75質量%以上を占めることがより好ましく、また、88質量%以下を占めることが好ましい。
<(B)ガラス繊維>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維を50~150質量部の割合で含む。(B)ガラス繊維を配合することにより、機械的強度に優れた成形品が得られる。
(B)ガラス繊維とは、長さ方向に直角に切断した断面形状が真円状、多角形状で繊維状外観を呈するものをいう。
(B)ガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Sガラス、Rガラス、Mガラス、Dガラスなどのガラス組成からなり、特に、Eガラス(無アルカリガラス)が好ましい。
(B)ガラス繊維は、カップリング剤等の表面処理剤によって、表面処理されたものを用いることがより好ましい。表面処理剤が付着したガラス繊維は、耐久性、耐湿熱性、耐加水分解性、耐ヒートショック性に優れるので好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いる(B)ガラス繊維は、単繊維または単繊維を複数本撚り合わせたものであってもよい。
(B)ガラス繊維の形態は、単繊維や単繊維を複数本撚り合わせたものを連続的に巻き取った「ガラスロービング」、長さ1~10mmに切りそろえた「チョップドストランド」、長さ10~500μmに粉砕した「ミルドファイバー」などのいずれであってもよい。かかるガラス繊維としては、旭ファイバーグラス社より、「グラスロンチョップドストランド」や「グラスロンミルドファイバー」の商品名で市販されており、容易に入手可能である。(B)ガラス繊維は、形態が異なるものを併用することもできる。
本実施形態では、カット長1~10mm(好ましくは、カット長1~5mm)のチョップドストランドが好ましい。
また、本実施形態で用いる(B)ガラス繊維は、断面が円形であっても、非円形であってもよい。
本実施形態で用いる樹脂組成物における(B)ガラス繊維の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、50質量部以上であり、65質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることがさらに好ましく、90質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の機械的強度がより向上する傾向にある。上限値については、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、150質量部以下であり、110質量部以下がより好ましく、105質量部以下がさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における(B)ガラス繊維の含有量は、樹脂組成物の30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましい。上限値については、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、(B)ガラス繊維を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲となる。なお、本実施形態における(B)ガラス繊維の含有量には、集束剤および表面処理剤の量を含める趣旨である。
<(C)カーボンブラック>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(C)カーボンブラックを10~30質量部の割合で含む。
(C)カーボンブラックは、その種類、原料種、製造方法に制限はなく、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のいずれをも使用することができる。中でも、ファーネスブラックが好ましい。
(C)カーボンブラックのDBP吸油量(単位:cm3/100g)は40~300cm3/100gであることが好ましい。上限値は、300cm3/100g以下であることが好ましく、200cm3/100g以下であることがより好ましい。また、下限値は40cm3/100g以上が好ましく、80cm3/100g以上がより好ましく、100cm3/100g以上がさらに好ましく、120cm3/100g以上であってもよい。前記上下限値以内とすることにより、得られる成形品の外観が向上する傾向にある。なお、DBP吸油量(単位:cm3/100g)はJIS K6217-4に準拠して測定することができる。
(C)カーボンブラックの窒素吸着比表面積(単位:m2/g)は、100~200m2/gであることが好ましい。窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2に従って測定される。
(C)カーボンブラックの数平均粒子径(単位:nm)は、5~60nmであることが好ましい。上限値は、60nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、25nm以下であることがより一層好ましい。下限値は10nm以上であることが好ましく、13nm以上であることがより好ましく、16nm以上であることがさらに好ましく、19nm以上であることがより一層好ましい。前記上下限値以内とすることにより、得られる成形品の外観が向上する傾向にある。数平均粒子径は、ASTM D3849規格((C)カーボンブラックの標準試験法-電子顕微鏡法による形態的特徴付け)に記載の手順によりアグリゲート拡大画像を取得し、このアグリゲート画像から単位構成粒子として3,000個の粒子径を測定し、算術平均して求めることができる。
(C)カーボンブラックは、熱可塑性樹脂と予め混合したマスターバッチとして配合されることにより、(C)カーボンブラックの分散度が高まり、得られる成形品の機械的物性が向上する傾向にあるため好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における(C)カーボンブラックの含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、10質量部以上であり、12質量部以上であることが好ましく、13質量部以上であることがより好ましく、14質量部以上であることがさらに好ましく、15質量部以上であることが一層好ましく、16質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の導電性がより向上する傾向にある。また、前記(C)カーボンブラックの含有量の上限値は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、30質量部以下であり、27質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、23質量部以下であることがさらに好ましく、21質量部以下であることが一層好ましく、19質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の摺動性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、(C)カーボンブラックを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<(D)黒鉛>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(D)黒鉛を10~30質量部の割合で含む。
(D)黒鉛は、石墨やグラファイトなどと称されることもあり、炭素から構成される材料であり、六方晶形の結晶構造をしている。(D)黒鉛は、天然黒鉛であっても、人造黒鉛であってもよく、グラフェンも含まれる。(D)黒鉛は、日本黒鉛社、伊藤黒鉛工業社などから販売されている。(D)黒鉛は、フレーク状であることが好ましい。フレーク状には、鱗片状、鱗状と呼ばれるものも含まれる趣旨である。フレーク状の黒鉛を用いることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。
(D)黒鉛の数平均粒子径は、1~100μmであることが好ましく、3~50μmであることがより好ましく、5~30μmであることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における(D)黒鉛の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、10質量部以上であり、12質量部以上であることが好ましく、13質量部以上であることがより好ましく、14質量部以上であることがさらに好ましく、15質量部以上であることが一層好ましく、16質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の導電性がより向上する傾向にある。また、前記(D)黒鉛の含有量の上限値は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、30質量部以下であり、27質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、23質量部以下であることがさらに好ましく、21質量部以下であることが一層好ましく、19質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の摺動性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、(D)黒鉛を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、(C)カーボンブラックと(D)黒鉛の質量比率である、(C)/(D)は0.5~1.5であることが好ましく、0.8~1.2であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、樹脂組成物ないし成形品中で導電パスを形成しやすくなる傾向にある。
<(E)酸未・微変性ワックス>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(E)重量平均分子量が1500~10000、かつ、酸価が5mgKOH/g未満であるポリオレフィンワックス((E)酸未・微変性ワックス)を5~15質量部の割合で含む。(E)酸未・微変性ワックスを配合することにより、摺動性に優れた成形品が得られる。
本実施形態において、(E)酸未・微変性ワックスの重量平均分子量は、1500以上であり、2000以上であることが好ましく、2500以上であることがより好ましく、3000以上であることがさらに好ましく、3500以上であることが一層好ましく、5000以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、機械的物性を高いレベルで維持することができる傾向にある。また、(E)酸未変性ワックスの重量平均分子量は、10000以下であり、9500以下であることが好ましく、9000以下であることがより好ましく、8500以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、成形品表面に摺動性を付与する効果がより向上する傾向にある。
本実施形態で用いる(E)酸未・微変性ワックスの重量平均分子量の測定は、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算値より求める。カラムとしては、充填剤として、スチレン系ポリマーを充填したものを4本用い、溶媒にはo-ジクロロベンゼンを用い、樹脂濃度1.5mg/mL、カラム温度は140℃、流速1mL/分、屈折率検出器(RI)にて測定する。また、検量線は16水準の単分散ポリスチレンをo-ジクロロベンゼンに溶解させて測定する。
本実施形態で用いる(E)酸未・微変性ワックスは、酸価が5mgKOH/g未満であり、3mgKOH/g未満であることが好ましく、2mgKOH/g以下であることがより好ましい。(E)酸未・微変性ワックスの酸価の下限値は、0mgKOH/g以上であってもよい。
なお、本明細書において、酸価は、JIS K0070に従って測定された値である。
本実施形態で用いる(E)酸未・微変性ワックスは、ポリオレフィンワックスである。
ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン等のα-オレフィンの単独重合体および/または共重合体が好ましい。本実施形態においては、(E)酸未・微変性ワックスは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン・プロピレン共重合体が好ましく、ポリエチレンがより好ましい。
ポリオレフィンの市販品としては、例えば、三井化学社、ハイワックスの800P、400P、200P、110P、100P、720P、420P、320P、405MP、320MP、および、1140H(いずれも商品名)などを用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物における(E)酸未・微変性ワックスの含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、5質量部以上であり、6質量部以上であることが好ましく、7質量部以上であることがさらに好ましく、8質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の摺動性がより向上する傾向にある。また、前記(E)酸未・微変性ワックスの含有量の上限値は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、15質量部以下であり、14質量部以下であることが好ましく、13質量部以下であることがさらに好ましく、12質量部以下であることが一層好ましく、11質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の導電性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、(E)酸未・微変性ワックスを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<(F)酸変性ポリオレフィン>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(F)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.1~2.5g/10分、かつ、酸価が5~50mgKOH/gである酸変性ポリオレフィン((F)酸変性ポリオレフィン)を0.5~5質量部の割合で含む。(F)酸変性ポリオレフィンを配合することにより、(A)ポリアミド樹脂と(E)酸未・微変性ワックスとの相溶性を向上させることができ、結果的に摺動性に優れた成形品が得られる。
本実施形態で用いる(F)酸変性ポリオレフィンは、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上であり、0.3g/10分以上であることが好ましく、0.5g/10分以上であることがより好ましく、0.8g/10分以上であることがさらに好ましく、1.2g/10分以上であることが一層好ましく、1.5g/10分以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、機械的物性をより高いレベルで維持できる傾向にある。また、前記(F)酸変性ポリオレフィンのMFRは、2.5g/10分以下であり、2.3g/10分以下であることが好ましく、2.2g/10分以下であることがより好ましく、2.1g/10分以下であることがさらに好ましく、2.0g/10分以下であることが一層好ましく、1.9g/10分以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物中に微細に分散し相溶化剤としての機能がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物が、(F)酸変性ポリオレフィンを2種以上含む場合、(F)酸変性ポリオレフィンのMFRは、混合物のMFRとする。
尚、MFRは、JIS K7210-1に従った値である。
本実施形態で用いる(F)酸変性ポリオレフィンの酸価は5mgKOH/g以上であり、7mgKOH/g以上であることが好ましく、10mgKOH/g以上であることがより好ましく、13mgKOH/g以上であることがさらに好ましく、15mgKOH/g以上であることが一層好ましく、17mgKOH/g以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、相溶化剤としての機能がより向上する傾向にある。また、(F)酸変性ポリオレフィンの酸価は、50mgKOH/g以下であり、40mgKOH/g以下であることが好ましく、35mgKOH/g以下であることがより好ましく、30mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、25mgKOH/g以下であることが一層好ましく、21mgKOH/g以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、機械的物性をより高いレベルで維持できる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物が、(F)酸変性ポリオレフィンを2種以上含む場合、(F)酸変性ポリオレフィンの酸価は、混合物の酸価とする。
前記(F)酸変性ポリオレフィンを構成するポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン等のα-オレフィンの単独重合体および/または共重合体が好ましく、ポリエチレンの単独重合体および/または共重合体がより好ましく、ポリエチレンの単独重合体がさらに好ましい。
ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等を用いることができる。
また、共重合体としては、エチレン、プロピレンおよびブテンの少なくとも2種の共重合体や、エチレン、プロピレンおよびブテンの少なくとも1種とこれらと共重合することができる単量体との共重合体を用いることができる。エチレン、プロピレンおよびブテンの少なくとも1種と共重合することができる単量体としては、例えば、α-オレフィン、スチレン類、ジエン類、環状化合物、酸素原子含有化合物等が挙げられる。特に好ましい共重合体としては、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/プロピレン共重合体などが挙げられ、エチレン/ブテン共重合体が好ましい。
α-オレフィン、スチレン類、ジエン類、環状化合物、酸素原子含有化合物の詳細は、国際公開第2017/094564号の段落0044の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
共重合体は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれであってもよい。
前記(F)酸変性ポリオレフィンとしては、カルボン酸および/またはその誘導体で酸変性されたポリオレフィン、ならびに、カルボン酸および/またはその誘導体で酸変性され、さらに酸変性によって分子内に導入された官能基を介してポリアミドがグラフト結合してなるポリオレフィン(「ポリアミドでグラフト変性されたポリオレフィン」ともいう。)が好ましい。このような(F)酸変性ポリオレフィンを用いると(A)ポリアミド樹脂に対する親和性をより高めることができる。
ポリオレフィンを酸変性させ得る化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンドビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸およびこれらカルボン酸の金属塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、マレイミド、N-エチルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどが好ましく挙げられる。これらは1種でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、他の樹脂との溶融混合性の観点から無水マレイン酸が好ましい。
本実施形態において、特に好適に用いられる(F)酸変性ポリオレフィンとしては、弾性率、柔軟性および耐衝撃性の観点から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性エチレン/ブテン共重合体等の無水マレイン酸変性α-オレフィンコポリマーおよび脂肪族ポリアミドでグラフト変性されたポリオレフィンが挙げられ、無水マレイン酸変性ポリエチレンが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における(F)酸変性ポリオレフィンの含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.5質量部以上であり、0.7質量部以上であることが好ましく、0.9質量部以上であることがより好ましく、1.1質量部以上であることがさらに好ましく、用途等に応じて、1.5質量部以上であることが一層好ましく、2.0質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、相溶化剤としての機能がより向上する傾向にある。また、前記(F)酸変性ポリオレフィンの含有量の上限値は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、5質量部以下であり、4質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、用途等に応じて、2質量部以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、機械的物性をより高いレベルで維持できる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、(F)酸変性ポリオレフィンを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態においては、前記(E)/(F)の質量比率が1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましく、3.5以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、(F)酸変性ポリオレフィンの過剰添加を抑制し摺動性がより向上する傾向にある。また、前記(E)/(F)の質量比率10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、7以下であることがさらに好ましく、6以下であることが一層好ましく、5以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、(A)ポリアミド樹脂に対する(E)酸未・微変性ワックスの相溶性がより向上する傾向にある。
<(G)無機結晶核剤>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(G)無機結晶核剤0.1~2質量部を含むことが好ましい。
(G)無機結晶核剤を含むことによって、得られる成形品の外観を良好にすることができる。(G)無機結晶核剤は、タルクが好ましい。タルクは、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン類およびオルガノポリシロキサン類から選択される化合物の少なくとも1種で表面処理されたものを用いてもよい。この場合、タルクにおけるシロキサン化合物の付着量は、タルクの0.1~5質量部であることが好ましい。
(G)無機結晶核剤の数平均粒子径は、0.1~20μmであることが好ましく、1~15μmであることがより好ましく、5~10μmであることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物が(G)無機結晶核剤を含む場合、その含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることがさらに好ましく、0.8質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、結晶化促進効果がより向上する傾向にある。また、前記(G)無機結晶核剤の含有量の上限値は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、2質量部以下であることが好ましく、1.8質量部以下であることがより好ましく、1.6質量部以下であることがさらに好ましく、1.4質量部以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、機械的物性をより高いレベルで維持できる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、(G)無機結晶核剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<(H)脂肪酸金属塩>
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(H)脂肪酸金属塩0.1~2質量部を含むことが好ましい。
(H)脂肪酸金属塩は、離型剤として機能するものであり、金型からの離型性を向上させる。また、離型剤としては、脂肪酸アマイドワックス等も知られているが、本実施形態では、滑剤としての性能をより効果的に発揮させる観点から、脂肪酸金属塩を用いる。
(H)脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、炭素鎖数20以上の脂肪酸が好ましく、炭素鎖数20~35の脂肪酸がより好ましく、炭素鎖数25~30の脂肪酸がさらに好ましい。脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸の具体例としては、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、リシノール酸が例示され、モンタン酸が好ましい。
また、(H)脂肪酸金属塩を構成する金属としては、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、バリウム、リチウムが例示され、カルシウムが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における(H)脂肪酸金属塩の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上であり、0.2質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、金型離型時の離型抵抗を下げ、成形品の突き出し変形を効果的に抑えることができる。また、本実施形態の樹脂組成物における(H)脂肪酸金属塩の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、2質量部以下であり、1.7質量部以下であることが好ましく、1.4質量部以下であることがさらに好ましく、0.9質量部以下であることが一層好ましく、0.6質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、脂肪酸金属塩のブリードアウトや成形時のガスを効果的に抑えることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、(H)脂肪酸金属塩を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<他の添加剤>
本実施形態の樹脂組成物は、上記以外の添加剤(他の添加剤)を含んでいてもよい。
他の添加剤としては、アルカリ、酸化チタン、耐加水分解性改良剤、艶消剤、可塑剤、分散剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤等が例示される。これらの詳細は、特許第4894982号公報の段落0130~0155の記載、国際公開第2021/241471号の段落0047~0103の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
他の添加剤は、合計で、樹脂組成物の20.0質量部以下であることが好ましく、10.0質量部以下であることがより好ましく、5.0質量部以下であることがさらに好ましく、1.0質量部以下であることが一層好ましい。他の添加剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、(A)~(F)成分の合計が樹脂組成物100質量%のうち、95質量%を占めることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、(A)~(H)成分の合計が樹脂組成物100質量%のうち、99質量%を占めることが好ましい。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態において、樹脂組成物の製造方法は、特に定めるものではなく、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。具体的には、各成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどで溶融混練することによって樹脂組成物を製造することができる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、樹脂組成物を製造することもできる。
例えば、ガラス繊維はサイドフィードすることが好ましい。
さらに、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって、ペレットを製造することもできる。
<成形品>
本実施形態の成形品は、本実施形態の樹脂組成物ないしペレットから形成される。
本実施形態の成形品の製造方法は、特に定めるものではない。一例として、射出成形により成形した射出成形品が例示される。
例えば、本実施形態の成形品は、各成分を溶融混練した後、直接に各種成形法で成形してもよいし、各成分を溶融混練してペレット化した後、再度、溶融して、各種成形法で成形してもよい。
成形品を成形する方法としては、特に制限されず、従来公知の成形法を採用でき、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法等が挙げられる。
本実施形態の成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、歯車状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等が挙げられる。
本実施形態の成形品の利用分野については特に定めるものではなく、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、建材・住設関連部品、医療装置、レジャースポーツ用品、遊戯具、医療品、食品包装用フィルム等の日用品、防衛および航空宇宙製品等に広く用いられる。
特に、本実施形態の成形品は、電気電子分野や、自動車分野などにおける導電性摺動部品として好適に用いられる。
より具体的には複写機やプリンターの各種ローラの軸受けにおける除電機能や、電気接点機能を併せ持った軸受け部品や、スイッチング部品、半導体デバイス製造プロセスにおいて使用されるカセットやトレイ、さらにハードディスクドライブにおけるランプなどとして好適である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
尚、本実施例において、MAHは無水マレイン酸を、PEはポリエチレンを、HDPEは高密度ポリエチレンを、LDPEは低密度ポリエチレンを、それぞれ意味している。
1.原料
(A1)成分
PAMXD6:三菱ガス化学社製、#6000、メタキシリレンジアミンとアジピン酸から合成されたポリアミド樹脂、融点243℃
(A2)成分
PA66:U4800、Invista社、ポリアミド66、融点264℃
(B)成分
T-275H:日本電気硝子社、カット長3mmチョプドストランド、平均繊維径10.5μm
T-296GH:日本電気硝子社、カット長3mmチョプドストランド、平均繊維径10μm
(C)成分
CB:カーボンブラック、三菱ケミカル社、3400B、平均粒子径21μm、窒素吸着比表面積165m2/g、DBP吸油量175cm3/100g
(D)成分
黒鉛:日本黒鉛社製、特CP、鱗片状、平均粒子径15μm
(E)成分
ハイワックス800P:三井化学社製、酸未変性ポリエチレンワックス、重量平均分子量8000、酸価0mgKOH/g
ハイワックス405MP:三井化学社製、ポリエチレンワックス、重量平均分子量4000、酸価1mgKOH/g
(F)成分
アドマーHE810:三井化学社製、MAH変性HDPE、MFR1.7g/10分(190℃、2.16kg荷重)、酸価19.0mgKOH/g
(G)成分
タルク:林化成社製タルク、ミクロンホワイト5000A、平均粒子径7μm
(H)成分
モンタン酸カルシウム:CS-8CP、日東化成工業社製
2.実施例1~4、比較例1~5
<コンパウンド>
後述する表1~3に記載の樹脂組成物(ペレット)を製造した。
具体的には、後述する下記表1~3に示す各成分であって、ガラス繊維以外の成分を表1~3に示す割合(単位は、質量部である)をそれぞれ秤量し、ドライブレンドした後、二軸押出機(芝浦機械社製、TEM26SS)のスクリュー根元から2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-W-1-MP)を用いて投入した。また、ガラス繊維については振動式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE-V-1B-MP)を用いて押出機のサイドから上述の二軸押出機に投入し、樹脂成分等と溶融混練し、樹脂組成物を得た。二軸押出機の温度設定は、280℃とした。
<曲げ特性>
上記の製造方法で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製、「NEX140III」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度130℃、成形サイクル50秒の条件で、ISO多目的ダンベル試験片タイプA1(4mm厚)を射出成形した。
ISO178に準拠して、温度23℃、湿度50%の環境下で曲げ強さ(単位:MPa)および曲げ弾性率(単位:GPa)を測定した。
<シャルピー衝撃強さ>
上記の製造方法で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製、「NEX140III」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度130℃、成形サイクル50秒の条件で、ISO多目的試験片タイプA1(4mm厚)を射出成形した。
ISO179-1、2に準拠して、上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用いて、温度23℃、湿度50%の環境下でノッチ無しシャルピー衝撃強さ(単位:kJ/m2)を測定した。
また、ISO多目的試験片を所定のサイズ形状に切削し、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付)(単位:kJ/m2)の測定を行った。
<表面抵抗>
上記で得られたペレットを用い、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー設定温度280℃、金型温度130℃で射出成形し、100mm×100mm×2mm厚の試験片を得た。
得られた試験片を用いて、IEC60093に準拠して表面抵抗(単位:Ω)を測定した。
測定にあたっては、ADVANTEST社製「R8340 ULTRA HIGH RESISTANCE METER」を用いた。
<体積抵抗>
上記で得られたペレットを用い、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80」)にて、シリンダー設定温度280℃、金型温度130℃で射出成形し、100mm×100mm×2mm厚の試験片を得た。
得られた試験片を用いて、IEC60093に準拠して体積抵抗(単位:Ω・cm)を測定した。
測定にあたっては、ADVANTEST社製「R8340 ULTRA HIGH RESISTANCE METER」を用いた。
<限界PV値>
上記で得られたペレットを用い、射出成形機(住友重機械工業社製「SE30DUZ」)にて、シリンダー設定温度280℃、金型温度130℃で射出成形し、図1に示す形状の摺動試験用リングを成形した。
なお、図1のリングは、外径(L1)が26mm、内径(L2)が20mm、厚み(t1)が3mm、高さ(h1)が15.3mmであり、ゲート位置(11)およびウエルド部分(12)から円周に沿って90度ずれた位置のリング下端部に夫々高さ(h2)が5mm、幅(w1)が6.3mmの開口(13)が刻設されている。
上記で得られた摺動試験用リングを用い、鈴木式スラスト摺動試験機を使用してリング対リングで摺動試験を行った。相手材はS45C(鋼材、同リング形状、エメリー#1200番研磨)とし装置下側にセットした。リングの接触面積はほぼ2cm2である。線速度は30cm/秒、印加荷重5kg(面圧2.5kg/cm2)においてスタートし、回転速度を維持したまま3分間毎に印加荷重を5kg(面圧2.5kg/cm2)加えていき、摺動面の摩擦熱により樹脂が溶融、焼きつき、もしくは異常摩耗が発生じはじめた条件の速度と面圧を掛け算して限界PV値とした。
限界PV値の単位は、kgf/cm2・m/secで示した。
<摩耗量>
限界PV値と同じ手法で作製した摺動試験用リングを用い、鈴木式スラスト摺動試験機を使用してリング対リングで摩擦摩耗試験を行った。相手材はS45C(鋼材、同リング形状、エメリー#1200番研磨)とし、装置下側にセットした。線速度30cm/秒印加荷重30kg(面圧15kg/cm2)条件下にて3時間実施し、試験後の摩耗量を、樹脂製リング(自材)とS45Cリング(相手材)それぞれについて測定した。
摩耗量の単位は、mgで示した。
上記表1~表3において、E+07は、「×107」であることを意味している。例えば、実施例2の体積抵抗は、1.6×108Ω・cmとなる。
本発明の樹脂組成物は、導電性を保ちつつ、摺動性に優れていた。
これに対し、(E)酸未・微変性ワックスおよび(F)酸変性ポリオレフィンの一方または両方を含まない場合(比較例1、比較例2)、摺動性が劣っていた。
また、(E)酸未・微変性ワックスの含有量が少ない場合(比較例3、比較例4)、摺動性が劣っていた。
一方、(F)酸変性ポリオレフィンの含有量が多い場合(比較例5)、導電性が劣っていた。
11 ゲート位置
12 ウエルド部分
13 開口

Claims (11)

  1. (A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、
    (B)ガラス繊維50~150質量部、
    (C)カーボンブラック10~30質量部、
    (D)黒鉛10~30質量部、
    (E)重量平均分子量が1500~10000、かつ、酸価が5mgKOH/g未満であるポリオレフィンワックス5~15質量部、
    (F)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.1~2.5g/10分、かつ、酸価が5~50mgKOH/gである酸変性ポリオレフィン0.5~5質量部を含む、
    樹脂組成物。
  2. 前記(E)/(F)の質量比率が1~10である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. さらに、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(G)無機結晶核剤0.1~2質量部を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. さらに、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(H)脂肪酸金属塩0.1~2質量部を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  6. 前記(E)/(F)の質量比率が1~10であり、
    さらに、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(F)無機結晶核剤0.1~2質量部を含み、
    さらに、前記(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、(G)脂肪酸金属塩0.1~2質量部を含み、
    前記(A)ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 導電性摺動部品用である、請求項1、2または6に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1、2または6に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
  9. 請求項1、2または6に記載の樹脂組成物のペレット。
  10. 請求項1、2または6に記載の樹脂組成物のペレットから成形された成形品。
  11. 請求項1、2または6に記載の樹脂組成物から形成された導電性摺動部品。
JP2022211289A 2022-12-28 樹脂組成物、成形品、ペレット、導電性摺動部品 JP2024094626A (ja)

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