JP2024062293A - 樹脂組成物、ペレット、および、成形品 - Google Patents

樹脂組成物、ペレット、および、成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリアミド樹脂を含む樹脂組成物であって、機械的強度がさらに高い成形品を提供可能な樹脂組成物、ならびに、ペレットおよび成形品の提供。【解決手段】 ポリアミド樹脂50~80質量%と、平均繊維径が4.0~9.0μmのガラス繊維20~50質量%と、官能基含有エラストマー1~14質量%とを含み、樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した引張弾性率(GPa)を、4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した破断ひずみ(%)で除した値が2.00~4.55である、樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物、ペレット、および、成形品に関する。特に、ポリアミド樹脂を主要成分とする樹脂組成物に関する。
代表的なエンジニアリングプラスチックであるポリアミド樹脂は、加工が容易であり、さらに、機械的物性、電気特性、耐熱性、その他の物理的・化学的特性に優れている。このため、車両部品、電気・電子機器部品、その他の精密機器部品等に幅広く使用されている。
このようなポリアミド樹脂の中でも、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来するポリアミド樹脂は、優れた機械的強度を有することから、各種用途に広く用いられている(例えば、特許文献1等)。
特開2019-143023号公報
ところで、近年、ポリアミド樹脂の用途もさらに拡大し、ポリアミド樹脂から形成された成形品にさらに高い機械的強度が求められることがある。
本発明はかかる課題を解決することを目的とするものであって、ポリアミド樹脂を含む樹脂組成物であって、機械的強度がさらに高い成形品を提供可能な樹脂組成物、ならびに、ペレットおよび成形品を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、ポリアミド樹脂に繊維径が細めのガラス繊維を配合し、さらに、官能基含有エラストマーを配合することにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>ポリアミド樹脂50~80質量%と、平均繊維径が4.0~9.0μmのガラス繊維20~50質量%と、官能基含有エラストマー1~14質量%とを含み、前記樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した引張弾性率(GPa)を、4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した破断ひずみ(%)で除した値が2.00~4.55である、樹脂組成物。
<2>さらに、無機結晶核剤0.1~2質量%を含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記官能基含有エラストマーが有する官能基が無水マレイン酸基である、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記官能基含有エラストマーが官能基含有オレフィン重合体である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数9~18の脂肪族ジカルボン酸に由来する、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6>前記キシリレンジアミンが0~100モル%のメタキシリレンジアミンと、100~0モル%のパラキシリレンジアミン(ただし、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの合計が100モル%を超えることはない)を含む、<5>に記載の樹脂組成物。
<7>前記ジカルボン酸が、セバシン酸および/または1,12-ドデカン二酸を含む、<5>または<6>に記載の樹脂組成物。
<8>前記樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した破断ひずみ(%)が2.4%以上を示す、<1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9>前記樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した破断ひずみ(%)が3.0%以上を示す、<1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<10>さらに、無機結晶核剤0.1~2質量%を含み、
前記官能基含有エラストマーが有する官能基が無水マレイン酸基であり、
前記官能基含有エラストマーが官能基含有オレフィン重合体であり、
前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数9~18の脂肪族ジカルボン酸に由来し、
前記キシリレンジアミンが0~100モル%のメタキシリレンジアミンと、100~0モル%のパラキシリレンジアミン(ただし、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの合計が100モル%を超えることはない)を含み、
前記ジカルボン酸が、セバシン酸および/または1,12-ドデカン二酸を含む、<1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<11><1>~<10>のいずれか1つに記載の樹脂組成物のペレット。
<12><1>~<10>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
<13><11>に記載のペレットから形成された成形品。
本発明により、ポリアミド樹脂を含む樹脂組成物であって、機械的強度がさらに高い成形品を提供可能な樹脂組成物、ならびに、ペレットおよび成形品を提供可能になった。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書において、数平均分子量は、特に述べない限り、特開2018-165298号公報の段落0047の記載に従って測定することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
本明細書において、融点(Tm)は、特に述べない限り、示差走査熱量測定(DSC)に従い、ISO11357に準拠して、測定した値とする。具体的には、国際公開第2016/084475号の段落0036の記載に従って測定することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2022年1月1日時点における規格に基づくものとする。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂50~80質量%と、平均繊維径が4.0~9.0μmのガラス繊維20~50質量%と、官能基含有エラストマー1~14質量%とを含み、前記樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した引張弾性率(GPa)を、4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した破断ひずみ(%)で除した値が2.00~4.55であることを特徴とする。
このような構成とすることにより、機械的強度に優れた樹脂組成物が得られる。
本実施形態においては、平均繊維径が細めのガラス繊維を用いることにより、ポリアミド樹脂との密着点が多くなり、密着強度を高めることができる。この結果、得られる樹脂成形品に破断点が発生してしまっても、破断を効果的に抑制できると推測される。また、官能基含有エラストマーを配合することにより、ポリアミド樹脂のアミノ基との親和性が向上し、ポリアミド樹脂と官能基含有エラストマーの馴染みがよくなる。この結果として、破断点が少なくなり、得られる樹脂成形品の伸びが良くなると推測される。
<ポリアミド樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂を樹脂組成物の50~80質量%の割合で含む。
本実施形態で用いるポリアミド樹脂は、その種類を特に定めるものではなく、脂肪族ポリアミド樹脂であっても、半芳香族ポリアミド樹脂であってもよい。
脂肪族ポリアミド樹脂としては、ポリアミド4、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド666、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12等が例示される。
本実施形態で用いるポリアミド樹脂は、半芳香族ポリアミド樹脂を含むことが好ましい。例えば、本実施形態の樹脂組成物に含まれるポリアミド樹脂の90質量%以上が半芳香族ポリアミド樹脂であることがより好ましい。ここで、半芳香族ポリアミド樹脂とは、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位およびジカルボン酸由来の構成単位の合計構成単位の20~80モル%(好ましくは30~80モル%、より好ましくは40~70モル%)が芳香環を含む構成単位であることをいう。このような半芳香族ポリアミド樹脂を用いることにより、得られる樹脂成形品の機械的強度を高くすることができる。半芳香族ポリアミド樹脂としては、テレフタル酸系ポリアミド樹脂(ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T)、後述するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂などが例示される。
本実施形態においては、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数9~18の脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂(以下、「キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂」ということがある)が好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジアミン由来の構成単位は、より好ましくは75モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上、特に一層好ましくは99モル%以上が、キシリレンジアミン(好ましくはパラキシリレンジアミンおよび/またはメタキシリレンジアミン)に由来する。
キシリレンジアミンは、パラキシリレンジアミンおよび/またはメタキシリレンジアミンが好ましい。前記キシリレンジアミンが0~100モル%のメタキシリレンジアミンと、100~0モル%のパラキシリレンジアミン(ただし、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの合計が100モル%を超えることはない)を含むことが好ましく、
0~90モル%のメタキシリレンジアミンと、100~10モル%のパラキシリレンジアミンを含むことがより好ましく、10~90モル%のメタキシリレンジアミンと、90~10モル%のパラキシリレンジアミンを含むことがさらに好ましく、20~90モル%のメタキシリレンジアミンと、80~10モル%のパラキシリレンジアミンを含むことが一層好ましく、50~90モル%のメタキシリレンジアミンと、10~50モル%のパラキシリレンジアミンを含むことがより一層好ましく、50~80モル%のメタキシリレンジアミンと、50~20モル%のパラキシリレンジアミンを含むことがさらに一層好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂は、パラキシリレンジアミン由来の構成単位とメタキシリレンジアミン由来の構成単位の合計が、ジアミン由来の構成単位の好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、一層好ましくは95モル%以上、より一層好ましくは98モル%以上、さらに一層好ましくは99モル%以上を占めることが好ましい。前記パラキシリレンジアミン由来の構成単位とメタキシリレンジアミン由来の構成単位の合計の上限は100モル%である。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の原料ジアミン成分として用いることができるメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2-メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4-アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
一方、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジカルボン酸由来の構成単位は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは75モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上、特に一層好ましくは99モル%以上が、好ましくは炭素数が4~20の脂肪族ジカルボン酸、より好ましくは炭素数が9~20の脂肪族ジカルボン酸、さらに好ましくは、炭素数9~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸、一層好ましくは炭素数9~14のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸、より一層好ましくはセバシン酸および/または1,12-ドデカン二酸、さらに一層好ましくはセバシン酸に由来する。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の原料ジカルボン酸成分として用いるのに好ましい炭素数9~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸、ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示でき、1種または2種以上を混合して使用できるが、これらの中でもポリアミド樹脂の融点が成形加工するのに適切な範囲となることから、セバシン酸および/または1,12-ドデカン二酸がより好ましく、セバシン酸がさらに好ましい。
本実施形態におけるキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の好ましい一実施形態としてジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上(好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上)がセバシン酸および/または1,12-ドデカン二酸(好ましくはセバシン酸)に由来するものが例示される。
上記以外のジカルボン酸成分としては、アジピン酸等の炭素数8以下の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸といったナフタレンジカルボン酸の異性体等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
なお、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を主成分として構成されるが、これら以外の構成単位を完全に排除するものではなく、ε-カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類由来の構成単位を含んでいてもよいことは言うまでもない。ここで主成分とは、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を構成する構成単位のうち、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位の合計数が全構成単位のうち最も多いことをいう。本実施形態では、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂における、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位の合計は、全構成単位の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましく、97質量%以上を占めることがさらに好ましく、99質量%以上を占めることが一層好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂の融点は、150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましく、また、350℃以下であることが好ましく、330℃以下であることがより好ましく、300℃であることがさらに好ましく、250℃であることが一層好ましく、240℃以下であることがより一層好ましく、230℃以下であることがさらに一層好ましく、225℃以下であることが特に一層好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂は、数平均分子量(Mn)の下限が、6,000以上であることが好ましく、8,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましく、また、35,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、25,000以下がさらに好ましく、20,000以下が一層好ましい。このような範囲であると、耐熱性、弾性率、寸法安定性、成形加工性がより良好となる。
本実施形態の樹脂組成物におけるポリアミド樹脂の含有量は、樹脂組成物100質量%中、50質量%以上であり、53質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、ガラス繊維等のフィラー配合率が高くなり、剛性や強度面で高い物性値が得られやすい傾向にある。また、本実施形態の樹脂組成物におけるポリアミド樹脂の含有量は、樹脂組成物中、80質量%以下であり、75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、65質量%以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、ガラス繊維の配合率をある程度抑えることで流動性バランスを整えやすい傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本実施形態の樹脂組成物は、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とガラス繊維と官能基含有エラストマーの合計が樹脂組成物の95質量%以上を占めることが好ましく、96質量%以上を占めることがより好ましく、97質量%以上を占めることがさらに好ましく、98質量%以上を占めることが一層好ましい。前記キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂とガラス繊維と官能基含有エラストマーの合計の上限は、樹脂組成物の100質量%を占める場合である。
<平均繊維径が4.0~9.0μmのガラス繊維>
本実施形態の樹脂組成物は、20~50質量%の割合で、平均繊維径が4.0~9.0μmのガラス繊維を含む。このように繊維径が細いガラス繊維を用いることにより、ポリアミド樹脂の密着点が多くなり、ポリアミド樹脂との密着強度が高くなる。また、密着強度が高いため、破断点が発生したとしても、密着している点が多いので、破断を抑制できる。
ガラス繊維としては、一般的に供給されるEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、Rガラスおよび耐アルカリガラス等のガラスを溶融紡糸して得られる繊維が用いられるが、ガラス繊維にできるものであれば使用可能であり、特に限定されない。本発明では、Eガラスを含むことが好ましい。
ガラス繊維は、例えば、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。表面処理剤の付着量は、ガラス繊維の0.01~1.0質量%であることが好ましい。さらに必要に応じて、脂肪酸アミド化合物、シリコーンオイル等の潤滑剤、第4級アンモニウム塩等の帯電防止剤、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の被膜形成能を有する樹脂、被膜形成能を有する樹脂と熱安定剤、難燃剤等の混合物で表面処理されたものを用いることもできる。
本実施形態の樹脂組成物に用いるガラス繊維は、市販品として入手できる。
ガラス繊維の断面は、円形および非円形(楕円形、長円形、長方形、長方形の両短辺に半円を合わせた形状、まゆ型等)のいずれであってもよく、円形であることが好ましい。本発明は、ガラス繊維として、円形断面を有するものを用いた場合に、特に、難燃性や機械的強度の向上効果が顕著である。
ここでの円形は、幾何学的な意味での真円に加え、本発明の技術分野において通常円形と称されるものを含む趣旨である。
非円形断面のガラス繊維は、特開2012-214819号公報の段落0048~0052に記載の扁平形状であるガラス繊維が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物中のガラス繊維は、数平均繊維長が100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることがさらに好ましい。上限値としては、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いるガラス繊維は、その平均繊維径が、4.0μm以上であり、4.5μm以上であることが好ましく、5.0μm以上であることがより好ましく、5.5μm以上であることがさらに好ましい。上限値としては、9.0μm以下であり、8.0μm以下であることが好ましく、7.0μm以下であることがより好ましく、6.6μm以下であることがさらに好ましい。
ガラス繊維の平均繊維径は、以下の方法によって測定される。チョップドストランドの断面を光学顕微鏡で観察・撮影し、任意のガラス繊維の断面を20点選択し、画像解析装置を用いて各繊維直径を計測し、20本の測定結果の算術平均を算出する。繊維断面の形状が長円形または長方形であるガラス繊維における繊維径は、断面積を真円に換算したときの繊維径(換算繊維径)を算出する。
本実施形態では、ガラス繊維は、チョップドストランドが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物におけるガラス繊維の割合は、下限値が、20質量%以上であり、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。前記ガラス繊維の含有量の上限値は、50質量%以下であり、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、37質量%以下であってもよく、35質量%以下であってもよい。上記下限値以上とすることにより、機械的強度を向上させることができる。一方、ガラス繊維の量を上記上限値以下とすることにより、得られる成形品の外観がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、ガラス繊維を、1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<官能基含有エラストマー>
本実施形態の樹脂組成物は、官能基含有エラストマーを1~14質量%の割合で含む。
官能基含有エラストマーが有する官能基は、酸基および/または酸無水物基であることが好ましく、マレイン酸基および/または無水マレイン酸基であることがより好ましく、無水マレイン酸基であることがさらに好ましい。
また、官能基含有エラストマーは、官能基含有オレフィン重合体、官能基含有スチレン系重合体(SEBS等)が好ましく、官能基含有オレフィン重合体であることがより好ましい。SEBSは、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体の略称である。
官能基含有エラストマーは、具体的には、無水マレイン酸変性エチレンプロピレン共重合、無水マレイン酸変性エチレンブテン共重合体、無水マレイン酸変性SEBS等が例示される。
本実施形態で用いる官能基含有エラストマーは、190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトボリュームレート(MVR)が0.1g/10分以上であることが好ましく、0.2g/10分以上であることがより好ましく、0.4g/10分以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、エラストマーがより微分散し靭性がより向上する傾向にある。また、本実施形態で用いる官能基含有エラストマーは、190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトボリュームレート(MVR)が1g/10分以下であることが好ましく、0.8g/10分以下であることがより好ましく、0.6g/10分以下であることがさらに好ましく、0.5g/10分以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、エラストマー添加による強度、剛性低下の抑制効果がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物が2種以上の官能基含有エラストマーを含む場合、MVRは混合物のMVRとする。
本実施形態の樹脂組成物における官能基含有エラストマーの含有量は、樹脂組成物100質量%に対し、1質量%以上であり、2質量%以上であることが好ましく、2.5質量%以上であることがより好ましく、3.5質量%以上であることがさらに好ましく、4質量%以上であることが一層好ましく、5質量%以上であることがより一層好ましく、7質量%以上であることがさらに一層好ましく、8質量%以上であることが特に一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、(靭性改良)という効果がより向上する傾向にある。また、前記官能基含有エラストマーの含有量の上限値は、樹脂組成物100質量%に対し、14質量%以下であり、13質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、用途等に応じて、10質量%以下、9質量%以下、7質量%以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、エラストマー添加による強度、剛性低下の抑制効果がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、官能基含有エラストマーを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<無機結晶核剤>
本実施形態の樹脂組成物は、無機結晶核剤を含んでいてもよい。無機結晶核剤を含むことによって、得られる成形品の外観を良好にすることができる。無機結晶核剤は、タルクが好ましい。タルクは、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン類およびオルガノポリシロキサン類から選択される化合物の少なくとも1種で表面処理されたものを用いてもよい。この場合、タルクにおけるシロキサン化合物の付着量は、タルクの0.1~5質量%であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物が無機結晶核剤を含む場合、その含有量は、樹脂組成物100質量%に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらに好ましく、0.4質量%以上であることが一層好ましい。また、前記無機結晶核剤の含有量の上限値は、樹脂組成物100質量%に対し、2質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1.2質量%以下であることがさらに好ましく、0.8質量%以下であることが一層好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、無機結晶核剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<離型剤>
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤を含むことが好ましい。
離型剤は、主に、樹脂組成物の成形時の生産性を向上させるために使用されるものである。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸アミド系、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイル、高級脂肪酸金属塩などが挙げられ、高級脂肪酸金属塩が好ましい。特に、本実施形態の樹脂組成物においては、ガラス繊維の量を樹脂組成物の20~50質量%であるため、一般的にアルカリ性が強い傾向にある離型剤である、高級脂肪酸金属塩も好ましく用いることができる。
高級脂肪酸金属塩を構成する高級脂肪酸は、好ましくは炭素数8以上の脂肪酸であり、より好ましくは8~40の脂肪酸である。脂肪酸は、モノカルボン酸であることが好ましい。高級脂肪酸の例には、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、セバシン酸などの飽和の脂肪酸や、エルカ酸、オレイン酸、リシノール酸などの不飽和の脂肪酸が含まれ、好ましくはモンタン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、およびベヘン酸であり、さらに好ましくはモンタン酸である。
本実施形態で用いることができる高級脂肪酸金属塩は、上記高級脂肪酸の金属塩であることが好ましい。金属塩を形成する金属元素の例には、ナトリウム、カリウムなどの第1族元素(アルカリ金属);カルシウム、マグネシウム、バリウムなどの第2族元素(アルカリ土類金属);亜鉛、アルミニウムなどの第3族元素が含まれ、好ましくはカルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩であり、より好ましくはカルシウム塩である。
高級脂肪酸金属塩の例には、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12-ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸アルミニウムが含まれ、好ましくはモンタン酸カルシウムである。
離型剤の詳細は、上記の他、特開2016-196563号公報の段落0037~0042の記載、特開2021-161125号公報の段落0067~0070の記載、および、特開2016-078318号公報の段落0048~0058の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
離型剤の含有量は、樹脂組成物100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、上限は、1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下である。このような範囲とすることによって、射出成形等の金型成形をする場合などに、離型性を良好にすることができ、また、金型汚染を効果的に抑制することができる。
離型剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<着色剤>
本実施形態の樹脂組成物は、着色剤、特に、黒色着色剤を含んでいてもよい。
黒色着色剤の種類は特に定めるものではないが、カーボンブラック、チタンブラックなどの顔料、ニグロシンおよびアニリンブラックが例示され、カーボンブラックが好ましい。
本実施形態に用いるカーボンブラックとしては、従来公知の任意のカーボンブラックを用いることができる。例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。中でも隠蔽力に優れる、DBP吸収量が30~300g/100cm3のカーボンブラック、特にファーネスブラックを用いることにより、安定した色調を発現させることができるので好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における着色剤(好ましくは、黒色着色剤)の含有量は、樹脂組成物100質量%に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、また、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、より高い機械特性が得られる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、着色剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<他の添加剤>
本実施形態の樹脂組成物は、上記以外の添加剤(他の添加剤)を含んでいてもよい。
他の添加剤としては、アルカリ、酸化チタン、耐加水分解性改良剤、艶消剤、可塑剤、分散剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤、着色剤等が例示される。これらの詳細は、特許第4894982号公報の段落0130~0155の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
他の添加剤は、合計で、樹脂組成物の20.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以下であることがさらに好ましく、1.0質量%以下であることが一層好ましい。他の添加剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<樹脂組成物の特性>
本実施形態の樹脂組成物は、前記樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した引張弾性率(GPa)を、4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した破断ひずみ(%)で除した値が2.00~4.55である。このような構成とすることにより、各種機械的強度に優れた成形品が得られる。
上記引張弾性率(GPa)を破断ひずみ(%)で除した値を2.00~4.55とするための手段としては、エラストマーを配合すること、平均繊維径が4.0~9.0μmのガラス繊維を用いること、ポリアミド樹脂として、脂肪族鎖が長めのモノマー単位を有するポリアミド樹脂を採用すること、官能基含有エラストマー(特に、酸変性エラストマー)を採用すること等によって達成される。
例えば、酸変性エラストマーを用いることにより、伸びが向上し、上記引張弾性率(GPa)を破断ひずみ(%)で除した値を4.55以下としやすくすることができる。
また、熱可塑性樹脂として、ポリアミド樹脂以外のものの含有量を減らすことにより、耐衝撃性を向上させることができる。
ガラス繊維の含有量を50質量%以下とすることにより、破断ひずみを小さくでき、上記引張弾性率(GPa)を破断ひずみ(%)で除した値を4.55以下としやすくすることができる。
前記引張弾性率(GPa)を破断ひずみ(%)で除した値は、4.50以下であることが好ましく、4.30以下であることがより好ましく、4.20以下であることがさらに好ましく、4.00以下であることが一層好ましく、3.00以下であることがより一層好ましく、2.50以下であることがさらに一層好ましく、2.30以下であることが特に一層好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、前記樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した引張強さが、140MPa以上であることが好ましく、さらには、用途等に応じて、150MPa以上、160MPa以上、170MPa以上であってもよい。前記引張強さの上限は、特に定めるものではないが、例えば、250MPa以下が実際的である。
本実施形態の樹脂組成物は、前記樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した引張弾性率が、9.0GPa以上であることが好ましく、9.2GPa以上であることがより好ましく、さらには、用途等に応じて、9.5GPa以上、10.0GPa以上であってもよい。前記引張弾性率の上限は、特に定めるものではないが、例えば、25.0GPa以下が実際的である。
本実施形態の樹脂組成物は、前記樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した破断ひずみ(%)が2.4%以上を示すことが好ましく、2.5%以上を示すことがより好ましく、3.0%以上を示すことがさらに好ましく、3.5%以上を示すことが一層好ましく、4.0%以上を示すことがより一層好ましい。前記破断ひずみの上限は、特に定めるものではないが、例えば、5.0%以下が実際的である。
本実施形態の樹脂組成物は、ISO179-1、2に準拠して、ISO多目的試験片(4mm厚)に成形したときの、温度23℃、湿度50%の環境下でのノッチ有シャルピー衝撃強さは、6kJ/m2以上であることが好ましく、7kJ/m2以上であることがより好ましく、10kJ/m2以上であることがさらに好ましく、15kJ/m2以上であることが一層好ましい。上限値は、特に定めるものではないが、40kJ/m2以下が実際的である。
本実施形態の樹脂組成物は、ISO多目的試験片(4mm厚)に成形し、ISO75-1およびISO75-2に基づいた形状に加工し、ISO75-1およびISO75-2に基づき、荷重1.80MPaにおける荷重たわみ温度(単位:℃)が187℃以上であることが好ましく、188℃以上であることがより好ましい。また、上限値は特に定めるものではないが、例えば、210℃以下が実際的である。
上記引張特性、破断ひずみ、シャルピー衝撃強さ、および、荷重たわみ温度は、後述する実施例に記載の方法で測定される。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態において、樹脂組成物の製造方法は、特に定めるものではなく、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。具体的には、各成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどで溶融混練することによって樹脂組成物を製造することができる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、樹脂組成物を製造することもできる。
さらに、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって、ペレットを製造することもできる。
<成形品>
本実施形態の成形品は、本実施形態の樹脂組成物ないしペレットから形成される。
本実施形態の成形品の製造方法は、特に定めるものではない。一例として、射出成形により成形した射出成形品が例示される。
例えば、本実施形態の成形品は、各成分を溶融混練した後、直接に各種成形法で成形してもよいし、各成分を溶融混練してペレット化した後、再度、溶融して、各種成形法で成形してもよい。
成形品を成形する方法としては、特に制限されず、従来公知の成形法を採用でき、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法等が挙げられる。
本実施形態の成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、歯車状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等が挙げられる。
本実施形態の成形品の利用分野については特に定めるものではなく、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、建材・住設関連部品、医療装置、レジャースポーツ用品、遊戯具、医療品、食品包装用フィルム等の日用品、防衛および航空宇宙製品等に広く用いられる。特に、サイドリリースバックルのスナップフィット嵌合部に好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
1.原料
ポリアミド樹脂
PAMP10:M/Pモル比=7:3、下記合成例に従って合成した。
<<PAMP10の合成例>>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下装置および窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、セバシン酸10.0kg(49.4mol)および酢酸ナトリウム/次亜リン酸ナトリウム・一水和物(モル比=1/1.5)11.66gを仕込み、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹搾しながら170℃まで加熱溶融した。
これにメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの7:3の混合ジアミン6.647kg(48.8mol、三菱ガス化学社製)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系内へ除きながら、内温を連続的に2.5時間かけて240℃まで昇温した。滴下終了後、内温を上昇させ、250℃に達した時点で反応容器内を減圧にし、さらに内温を上昇させて255℃で20分間、溶融重縮合反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、得られた重合物をストランドダイから取り出して、ペレット化することにより、ポリアミド樹脂(PAMP10)を得た。得られたポリアミド樹脂の融点は215℃であった。
PAMP12:M/Pモル比=6:4、下記合成例に従って合成した。
<<PAMP12の合成例>>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下装置および窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、ドデカン二酸13,820g(60mol)および酢酸ナトリウム/次亜リン酸ナトリウム・一水和物(モル比=1/1.5)15.43gを仕込みこれにメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの6:4の混合ジアミン8,173g(60mol、三菱ガス化学社製)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系内へ除きながら、内温を連続的に2.5時間かけて240℃まで昇温した。滴下終了後、内温を上昇させ、250℃に達した時点で反応容器内を減圧にし、さらに内温を上昇させて255℃で20分間、溶融重縮合反応を継続した。
その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出して、これをペレット化することにより、ポリアミド樹脂PAMP12を得た。得られたポリアミドの融点は216℃であった。
PAMP6:M/Pモル比=7:3以下の合成例に従って合成した。
<<PAMP6の合成例>>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下装置および窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、アジピン酸7220g(49.4mol)および酢酸ナトリウム/次亜リン酸ナトリウム・一水和物(モル比=1/1.5)11.66gを仕込み、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹搾しながら170℃まで加熱溶融した。
これにメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンのモル比が7/3である混合キシリレンジアミン6647g(48.8mol%、三菱ガス化学社製)を、撹拌しつつ滴下し、生成する縮合水を系外に除きながら、内温を連続的に2.5時間かけて260℃まで昇温した。滴下終了後、内温を上昇させ、270℃に達した時点で反応容器内を減圧にし、さらに内温を上昇させて280℃で20分間、溶融重縮合反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、得られた重合物をストランドダイから取り出して、ペレット化することにより、ポリアミド樹脂(PAMP6)を得た。
融点を測定したところ、256℃であった。
<他の熱可塑性樹脂>
PPE:PME-80、無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス社製
<官能基含有エラストマー>
官能基含有オレフィン重合体:タフマーMP0610、三井化学社、無水マレイン酸変性エチレン-プロピレン共重合体、MFR 0.3g/10min(190℃/2.16kgf)
官能基含有オレフィン重合体:タフマーMH5040、三井化学社、無水マレイン酸変性エチレン-1-ブテン共重合体、MFR 0.5g/10min(190℃/2.16kgf)
FG1901GT:クレイトン社製、無水マレイン酸変性スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体、MFR 22g/10min(230℃/5kgf)
タフマーDF605:三井化学社、エチレン-1-ブテン共重合体、MFR 0.5g/10min(190℃/2.16kgf)
<ガラス繊維>
平均繊維径6μmのガラス繊維:日東紡績社製、CS 3DE-456
平均繊維径10μmのガラス繊維:日本電気硝子社製、T-756H
<無機結晶核剤>
タルク:ミクロンホワイトMW5000S、林化成社製、平均粒径5μm
<離型剤>
CS8CP:日東化成工業社製、モンタン酸カルシウム
ライトアマイドWH-255:共栄社化学社製、高級脂肪酸アマイド
<着色剤>
カーボンブラック:#950B、三菱ケミカル製
2.実施例1~7、比較例1~7
<コンパウンド>
表1~表2に示す通り、それぞれ秤量し(各成分の単位は、質量%である)、ガラス繊維以外の成分をタンブラーにてブレンドし、二軸押出機(芝浦機械社製、TEM26SS)の根元から投入し、溶融した。その後、ガラス繊維をサイドフィードして樹脂組成物のペレットを作製した。二軸押出機の温度設定は、280℃とした。
<引張特性>
上記の製造方法で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製、「NEX140III」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度130℃、成形サイクル50秒の条件で、ISO引張試験片タイプA1(4mm厚)を射出成形した。
得られたISO引張試験片(4mm厚)について、ISO527-1、2に準拠して、温度23℃、湿度50%の環境下で、標線間距離50mmにて、引張強さ(単位:MPa)、引張弾性率(GPa)、および、破断ひずみ(%)を測定した。破断ひずみ(%)は、試験片破断時の標線間距離の増加量(mm)を、初期の標線間距離(mm)で除して百分率として算出した。
<曲げ特性>
上記の製造方法で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製、「NEX140III」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度130℃、成形サイクル50秒の条件で、ISO多目的ダンベル試験片タイプA1(4mm厚)を射出成形した。
ISO178に準拠して、温度23℃、湿度50%の環境下で曲げ強さ(単位:MPa)および曲げ弾性率(単位:GPa)を測定した。
<シャルピー衝撃強さ>
上記の製造方法で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製、「NEX140III」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度130℃、成形サイクル50秒の条件で、ISO多目的試験片タイプA1(4mm厚)を射出成形した。
ISO179-1、2に準拠して、上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用いて、温度23℃、湿度50%の環境下でノッチ無しシャルピー衝撃強さ(単位:kJ/m2)を測定した。
また、ISO多目的試験片を所定のサイズ形状に切削し、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付)の測定を行った。
<荷重たわみ温度(DTUL)>
上記で得られたISO多目的試験片(4mm厚)を用い、ISO75-1およびISO75-2に基づいた形状に加工し、荷重たわみ温度(単位:℃)を、ISO75-1およびISO75-2に基づき、荷重1.80MPaにて測定した。
Figure 2024062293000001
Figure 2024062293000002
上記引張弾性率/破断ひずみは、引張弾性率(単位:GPa)を破断ひずみ(単位:%)で除した値を示している。
上記結果から明らかなとおり、本実施形態の樹脂組成物は、機械的強度に優れていた(実施例1~7)。

Claims (13)

  1. ポリアミド樹脂50~80質量%と、平均繊維径が4.0~9.0μmのガラス繊維20~50質量%と、官能基含有エラストマー1~14質量%とを含み、
    前記樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した引張弾性率(GPa)を、4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した破断ひずみ(%)で除した値が2.00~4.55である、樹脂組成物。
  2. さらに、無機結晶核剤0.1~2質量%を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記官能基含有エラストマーが有する官能基が無水マレイン酸基である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記官能基含有エラストマーが官能基含有オレフィン重合体である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数9~18の脂肪族ジカルボン酸に由来する、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  6. 前記キシリレンジアミンが0~100モル%のメタキシリレンジアミンと、100~0モル%のパラキシリレンジアミン(ただし、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの合計が100モル%を超えることはない)を含む、請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記ジカルボン酸が、セバシン酸および/または1,12-ドデカン二酸を含む、請求項5に記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した破断ひずみ(%)が2.4%以上を示す、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  9. 前記樹脂組成物を4mm厚のISO引張試験片に成形し、ISO527-1、2に準拠して測定した破断ひずみ(%)が3.0%以上を示す、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  10. さらに、無機結晶核剤0.1~2質量%を含み、
    前記官能基含有エラストマーが有する官能基が無水マレイン酸基であり、
    前記官能基含有エラストマーが官能基含有オレフィン重合体であり、
    前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数9~18の脂肪族ジカルボン酸に由来し、
    前記キシリレンジアミンが0~100モル%のメタキシリレンジアミンと、100~0モル%のパラキシリレンジアミン(ただし、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの合計が100モル%を超えることはない)を含み、
    前記ジカルボン酸が、セバシン酸および/または1,12-ドデカン二酸を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  11. 請求項1、2または10に記載の樹脂組成物のペレット。
  12. 請求項1、2または10に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
  13. 請求項11に記載のペレットから形成された成形品。
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