JP2018105492A - スプリングシート構造 - Google Patents
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例えば特許文献1に記載された懸架装置は、金属製のコイルスプリングと、緩衝器に固定されてコイルスプリングの圧縮荷重を受ける金属製のスプリングシートとを備えている。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る懸架装置1の概略構成を示す図である。
図2は、第1の実施形態に係る懸架装置1を車輪30に取り付けた状態を示す概略図である。
懸架装置1は、ストラット式サスペンションであり、図1に示すように、油圧緩衝装置2と、油圧緩衝装置2の外側に配置されたコイルスプリング3とを備えている。また、懸架装置1は、コイルスプリング3における一方側(図1では下側)の端部を支持する下スプリングシート4と、コイルスプリング3における他方側(図1では上側)の端部を支持する上スプリングシート5とを備えている。また、懸架装置1は、コイルスプリング3の下端部と下スプリングシート4との間に介在する下シートラバー6と、コイルスプリング3の上端部と上スプリングシート5との間に介在する上シートラバー7とを備えている。
また、懸架装置1は、油圧緩衝装置2のピストンロッド20の他方側の端部に取り付けられて、この懸架装置1を車両の本体(以下、「車体」と称す。)(不図示)に取り付けるための車体側取付ブラケット8と、油圧緩衝装置2の後述するシリンダ10の一方側の端部に固定されて、懸架装置1を車輪30に取り付けるための車輪側取付ブラケット9とを備えている。
そして、懸架装置1は、車両が路面から受ける衝撃力をコイルスプリング3の弾発力により吸収するように伸縮する。そして、懸架装置1は、シリンダ10に内蔵された減衰機構を構成するピストン(不図示)の往復動時に減衰機構が発生する減衰力により、伸縮の際に生じる振動を抑制する。
図3(a)は、第1の実施形態に係る下スプリングシート4の概略構成を示す図である。図3(b)は、下スプリングシート4の断面図である。
第1の実施形態に係る下スプリングシート4は、減衰機構を内蔵するシリンダ10に取り付けられると共に、車体(不図示)と車輪30との間に配置されたコイルスプリング3の車輪30側の端部を支持する。そして、下スプリングシート4は、シリンダ10の周囲に設けられた金属シート40と、金属シート40の車体側に配置されたスプリングシート本体50とを備える。
金属シート40は、上下方向に伸びる円筒状の第1円筒状部41と、第1円筒状部41の下方に形成された円筒状の第2円筒状部42とを有している。また、金属シート40は、第1円筒状部41と第2円筒状部42とを接続するように上下方向に対して傾斜した傾斜部43を有している。また、金属シート40は、第2円筒状部42における下端部から上下方向に直交する方向(半径方向)に外側に向かい、コイルスプリング3の荷重を受止める荷重受部44を有している。
嵌合部11aは、シリンダ部11cと略同じ形状の部位である。
位置決め部11bは、嵌合部11aよりも半径方向外側へ突出した凸部11dを有している。
なお、外シリンダ11は、金属製のパイプがプレス加工されることにより成形され、その際、位置決め部11bなどは、バルジ成形にて成形されることを例示することができる。また、シリンダ部11cや嵌合部11aを1つのパイプにて形成すると共に、このパイプに別部材の位置決め部11bを、例えば、溶接などにて固定してもよい。
金属シート40の傾斜部43は、下方に行くに従って径が徐々に拡がるように傾斜している。この傾斜部43が外シリンダ11の位置決め部11bと接触することで、金属シート40の下方への移動が抑制される。付言すれば、金属シート40が外シリンダ11に圧入される際に傾斜部43が位置決め部11bに突き当たるまで圧入されることで両者の上下方向の位置が定まる。
荷重受部44は、円環状の部位であり、図3(b)に示すように、その外径Doは、コイルスプリング3の下端部における中心径Dcよりも大きい(Do>Dc)。
スプリングシート本体50について説明する。
スプリングシート本体50は、シリンダ10に取り付けられると共に、車体(不図示)と車輪30(図2参照)との間に配置されたコイルスプリング3の車輪30側の端部を支持する樹脂スプリングシート60と、樹脂スプリングシート60に設けられた補強部材70とを備える。補強部材70はコイルスプリング3の座巻き部3a以外に配置されるとともに弾性体の一例としてのゴムシート80に囲まれ、ゴムシート80は樹脂スプリングシート60に固定されている。
樹脂スプリングシート60は、コイルスプリング3の端部を支持する円環状の支持部61と、支持部61の径方向の外側に形成された外側部62と、金属シート40側の面から金属シート40側に突出するリブ63とを有する。また、樹脂スプリングシート60は、上下方向に伸びる円筒状の第1円筒状部64と、第1円筒状部64の下方において上下方向に伸びる円筒状の第2円筒状部65とを有している。また、樹脂スプリングシート60は、第1円筒状部64と第2円筒状部65とを接続するように上下方向に対して傾斜した傾斜部66を有している。
外側部62は、支持部61の最外径部から上方に行くに従って径が徐々に拡がるように全周に渡って形成されている。
下方リブ63aは、図3(b)に示すように、周方向に延びる複数の周方向リブ63aaと、径方向に延びる複数の径方向リブ63abとを有している。
傾斜リブ63bは、図3(b)に示すように、径方向に延びるリブであって、下方リブ63aの径方向リブ63abと連続するように形成されたリブである。
そして、第1円筒状部64、第2円筒状部65、傾斜部66が、それぞれ金属シート40の第1円筒状部41、第2円筒状部42、傾斜部43に嵌め込まれることで、樹脂スプリングシート60は金属シート40よりもコイルスプリング3側に配置される。
なお、樹脂スプリングシート60の材料としては、ABS、エンジニアリング・プラスチック、ポリカーボネイト、ウレタン、ナイロンであることを例示することができる。
図4(a)は、補強部材70とゴムシート80とを斜め上方から見た外観図である。図4(b)は、補強部材70とゴムシート80とを斜め下方から見た外観図である。図4(c)は、補強部材70、ゴムシート80及び樹脂スプリングシート60の、図4(a)IVc-IVc部の断面図である。
補強部材70とゴムシート80とは、加硫接着にて一体化されている。言い換えれば、ゴムシート80は、補強部材70に焼き付けられている。
また、第1の実施形態に係る下スプリングシート4によれば、樹脂にて成形された樹脂スプリングシート60に、コイルスプリング3が折損した場合に折損したコイルスプリング3の破片が当たると考えられる部位に部分的に補強部材70が配置されている構成であるので、全てが金属にて成形されているスプリングシートに比べて軽量化を図ることができる。
図5(a)は、変形例に係る補強部材710とゴムシート810とを斜め上方から見た外観図である。図5(b)は、補強部材710、ゴムシート810及び樹脂スプリングシート60の、図5(a)Vb-Vb部の断面図である。
変形例に係る補強部材710は、板状の板状部711と、ビード加工が施されることによって成形されたビード部712とを備えている。ビード部712は、板状部711から上方に突出しており、上下方向に対して傾斜した傾斜部712aと、板状部711と略平行の頂部712bとを有する。
ゴムシート810は、補強部材710における板状部711及びビード部712の傾斜部712aを囲むように補強部材710に焼き付けられている。言い換えれば、ゴムシート810は、補強部材710のビード部712の頂部712bにおける上面を露出し、それ以外の部位は囲むように補強部材710に焼き付けられている。
図6(a)は、第2の実施形態に係るゴムシート820及び樹脂スプリングシート620の概略構成を示す図である。図6(b)は、第2の実施形態に係る樹脂スプリングシート620を上方から見た図である。図6(c)は、第2の実施形態に係るスプリングシート本体520の、図6(a)VIc-VIc部の断面図である。
第2の実施形態に係る下スプリングシート4のスプリングシート本体520は、補強部材720、ゴムシート820及び樹脂スプリングシート620を備えている。第2の実施形態に係る下スプリングシート4は、第1の実施形態に係る下スプリングシート4に対して、補強部材720、ゴムシート820及び樹脂スプリングシート620を一体化する手法が異なる。以下、第1の実施形態に係る下スプリングシート4と異なる点を中心に説明する。
図7(a)は、第2の実施形態の変形例に係るゴムシート820及び樹脂スプリングシート620の概略構成を示す図である。図7(b)は、変形例に係る樹脂スプリングシート620を上方から見た図である。
ゴムシート820の凸部821は、図7(a)に示すように円弧状であっても良い。また、樹脂スプリングシート620に形成された孔621は、図7(a)に示すように円弧状であっても良い。
補強部材720及びゴムシート820を樹脂スプリングシート620と一体化した状態で、ゴムシート820と樹脂スプリングシート620との接触領域が大きいほど補強部材720及びゴムシート820が樹脂スプリングシート620から脱落することが抑制される。
図8(a)は、第3の実施形態に係る樹脂スプリングシート630を上方から見た図である。図8(b)は、第3の実施形態に係るスプリングシート本体530を斜め下方から見た図である。
第3の実施形態に係る下スプリングシート4においては、第2の実施形態に係る下スプリングシート4に対して、樹脂スプリングシート630に形成された孔の形状が異なる。第3の実施形態に係る補強部材及びゴムシートは、それぞれ第2の実施形態に係る補強部材720及びゴムシート820と同じであるので、同じ符号を付して説明する。
第3の実施形態に係る下スプリングシート4の樹脂スプリングシート630には、上方から見た場合に円状に形成された円状孔632と、円弧状に形成された円弧状孔633とが形成されている。円状孔632の径は、ゴムシート820の凸部821の逆円錐状部822の径以上であり、円弧状孔633における径方向の幅Wは、円柱状部823の径以上である。
そして、予め一体化されている補強部材720及びゴムシート820は、ゴムシート820に設けられた凸部821が樹脂スプリングシート620に形成された円状孔632に挿入された後に、円弧状孔633の円弧の中心を回転中心として回転されることで円柱状部823が円弧状孔633に嵌め込まれる。これにより、補強部材720及びゴムシート820は、樹脂スプリングシート620から脱落することが抑制される。
図9(a)は、第4の実施形態に係る補強部材740、ゴムシート840及び樹脂スプリングシート640の概略構成を示す図である。図9(b)は、第4の実施形態に係るスプリングシート本体540の断面図である。
第4の実施形態に係る下スプリングシート4のスプリングシート本体540は、補強部材740、ゴムシート840及び樹脂スプリングシート640を備えている。第4の実施形態に係る下スプリングシート4は、第1の実施形態に係る下スプリングシート4に対して、補強部材740、ゴムシート840及び樹脂スプリングシート640を一体化する手法が異なる。以下、第1の実施形態に係る下スプリングシート4と異なる点を中心に説明する。
ゴムシート840には、2つの突出部741をそれぞれ通す2つの貫通孔841が形成されている。貫通孔841の径は、突出部741の径よりもやや大きい。
樹脂スプリングシート640における下シートラバー6が載らないシートラバー非支持部61bには、2つの突出部741をそれぞれ通す2つの貫通孔642が形成されている。貫通孔642の径は、突出部741の径よりもやや大きい。
図10は、第5の実施形態に係る下スプリングシート4の補強部材750及びゴムシート850の概略構成を示す図である。
第5の実施形態に係るゴムシート850は、第2の実施形態に係るゴムシート820に対して下シートラバー6が一体化されている点が異なる。第5の実施形態に係る補強部材750は、第2の実施形態に係る補強部材720と同じである。
第5の実施形態に係るゴムシート850は、補強部材750における下面(金属シート40側の面)及び側面を囲む囲み部851と、コイルスプリング3の座巻き部3aに装着されるシートラバー部852とを有する。そして、第5の実施形態に係るゴムシート850と補強部材750とは加硫接着(焼付)にて一体化されている。
また、第5の実施形態に係るゴムシート850及び補強部材750と、第5の実施形態に係る樹脂スプリングシート(不図示)とを、第1の実施形態に係るスプリングシート本体50と同様に射出成形にて一体化しても良い。
図11は、第6の実施形態に係る下スプリングシート4の補強部材760及びゴムシート860の概略構成を示す図である。
第6の実施形態に係る下スプリングシート4は、第2の実施形態に係る下スプリングシート4に対して、補強部材760及びゴムシート860を樹脂スプリングシート(不図示)に対して動かないようにする点が異なる。以下、第2の実施形態に係る下スプリングシート4と異なる点を中心に説明する。
このように、第6の実施形態に係る下スプリングシート4においては、ゴムシート860に下面から下方に突出する凸部を設ける必要がないし、樹脂スプリングシートにゴムシート860を固定するための孔を形成する必要がないので、ゴムシート860や樹脂スプリングシートを簡易な形状とすることができる。
図12(a)は、第7の実施形態に係るスプリングシート本体570の概略構成を示す図である。図12(b)は、樹脂スプリングシート670の補強部材支持部672の概略構成を示す図である。図12(c)は、スプリングシート本体570の断面図である。
第7の実施形態に係るスプリングシート本体570は、樹脂スプリングシート670と、補強部材770と、ゴムシート870とを備えている。第7の実施形態に係るスプリングシート本体570は、第1の実施形態に係るスプリングシート本体50に対して、樹脂スプリングシート670、補強部材770及びゴムシート870を一体化する手法が異なる。以下、第1の実施形態に係るスプリングシート本体50と異なる点を中心に説明する。
樹脂スプリングシート670は、第1の実施形態に係る樹脂スプリングシート60とは異なり、単独で(補強部材770、ゴムシート870とは別に)、例えば射出成形にて成形されている。
Claims (8)
- 減衰機構を内蔵するシリンダに取り付けられると共に、車体と車輪との間に配置されたスプリングの前記車輪側の端部を支持する樹脂スプリングシートと、
前記樹脂スプリングシートに設けられた補強部材と、
を備え、
前記補強部材は前記スプリングの座巻き部以外に配置されるとともに弾性体に囲まれ、前記弾性体は前記樹脂スプリングシートに固定されている
スプリングシート構造。 - 前記補強部材と前記弾性体とが加硫接着にて一体化されている
請求項1に記載のスプリングシート構造。 - 前記樹脂スプリングシートに前記補強部材を支持させ、前記樹脂スプリングシートと前記補強部材との間の隙間に前記弾性体を注入する射出成形にて成形されている
請求項1に記載のスプリングシート構造。 - 前記弾性体の凹部に前記樹脂スプリングシートの一部が入り込むことで、前記弾性体は前記樹脂スプリングシートに固定されている
請求項2に記載のスプリングシート構造。 - 前記弾性体に設けられた凸部が前記樹脂スプリングシートに形成された孔に嵌り込むことで、前記弾性体は前記樹脂スプリングシートに固定されている
請求項2に記載のスプリングシート構造。 - 前記弾性体は、前記スプリングの前記座巻き部と前記樹脂スプリングシートとの間に配置されるシートラバーと一体である
請求項1から5のいずれか1項に記載のスプリングシート構造。 - 前記スプリングの前記座巻き部と前記樹脂スプリングシートとの間に配置されるシートラバーと、前記樹脂スプリングシートとの間に挟まれることで、前記弾性体は前記樹脂スプリングシートに固定される
請求項1に記載のスプリングシート構造。 - 前記補強部材と前記弾性体とがともに、前記樹脂スプリングシートに締付具にて締め付けられている
請求項1に記載のスプリングシート構造。
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