JP2018104840A - セルロース繊維不織布/pp樹脂繊維不織布の複層不織布 - Google Patents

セルロース繊維不織布/pp樹脂繊維不織布の複層不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】PPスパンメルト不織布に特徴的な溶断現象の発生を防ぎ、しかも広い温度範囲で安定な熱融着性を持ち更に強度特性に優れた複層不織布を提供する。【解決手段】 セルロース繊維からなるセルロース繊維層と、セルロース繊維がPP樹脂繊維不織布に交絡又は/及び貫通する状態で存在するPP樹脂繊維成分とセルロース繊維成分の共存層と、を有し、共存層に存在するPP樹脂繊維(P)とセルロース繊維(R)との重量の割合であるP/R比が0.5〜50.0の範囲にあり、共存層は、PP樹脂繊維不織布を貫通して複層不織布の最下表面に露出するセルロース繊維からなるセルロース繊維領域を有する、セルロース繊維不織布とPP樹脂繊維不織布との複層不織布。【選択図】図3

Description

本発明はセルロース繊維不織布/PP樹脂繊維不織布の複層不織布に関し、特にその複層体の熱融着特性に関するものである。
近年自然環境への適応性、皮膚組織への安全性などへの重要性の高まりからコットン、レーヨン、リヨセル、麻、などのセルロースを構成成分とする植物繊維由来の不織布が脚光を浴びている。セルロース製不織布は本来的に吸水・吸湿性などにすぐれた特性があるが、一方で湿潤時の物性低下、寸法安定性の悪さ、及びそれらの接合、積層、製袋、等の加工に於いて熱可塑化に基づくヒートシール性のないことが大きな欠点となっている。更に原料制約と製造方法の複雑性によるコストの高さも大きな問題である。これらを改良するためセルロース不織布と熱可塑性のあるフィルムやネットや不織布との複合化が一般的に行われている。
不織布との複合化による溶結加工例としては、例えば特許文献1、2にはセルロース不織布とPE(ポリエチレン)/PET(ポリエチレンテレフタレート)複合繊維不織布の複層体を全面あるいは部分的に溶結加工により溶融流動したPE成分がセルロース面に溶出し、セルロース繊維を巻き込む形でフィルム化し、表面は疎水性化するが部分的にセルロース繊維が露出しているため、フィルム化した表面からスポット的な吸水性を発揮する特殊な例が開示されている。
PE,PP(ポリプロピレン)等のポリオレフィン系樹脂は短繊維化して乾式不織布としても多用されているが、中でもスパンメルト法によるPP樹脂不織布は生産性の高さと原料コストの安さから世界市場に大量供給され、消費者製品の不織布材料としては最大量が世界中で消費されている典型的な汎用不織布である。一方PPスパンメルト不織布は次のような問題点も抱えている。
・溶融温度が低く、流動しやすいため、熱安定性がなく、熱接合(ヒートシール)などの加工が難しい。
・典型的な疎水性の材料であり、親水性を賦与するには親水性繊維との混合、複合化や界面活性剤による表面処理が必要である。
セルロース繊維不織布に熱融着性を賦与するには短く切断した短繊維状セルロース繊維に同じく短繊維状のPE/PP複合繊維、PE/PET複合繊維等の易熱融着性を所定の割合でブレンドした混合ウェブを形成しそのウェブを熱風で処理したり、熱エンボス加工等により易熱融着性繊維相互間や易熱融着性繊維とセルロース繊維間を接合することにより、不織布化を行うのが一般的であるが、設備投資が高い割に生産性が低く、コストが高い。
すでにシート化されているセルロース不織布に複合により融着性を賦与する方法の1つは上記短繊維状のPE/PP複合繊維、PE/PET複合繊維等の易熱融着性繊維可成るウェブをセルロース不織布上に重ねて熱処理接合するか、WJ(ウォータージェット)でウェブとセルロース不織布とを交絡させて複合化することもおこなわれるが、やはり設備投資が高い割に生産性が低く、コストが高い。
特開平−08−216310号公報 特開平−09−076388号公報 特開平−07−155594号公報 特開平−07−155595号公報
本発明は、PPスパンメルト不織布に特徴的な溶断現象の発生を防ぎ、しかも広い温度範囲で安定な熱融着性を持ち更に強度特性に優れたセルロース系複層不織布を提供することを目的とする。
本発明者らは、セルロース繊維不織布にPPスパンメルト不織布を複層化してセルロース繊維不織布に熱融着性を賦与するとともに、溶断を起こしやすいPPスパンメルト不織布の耐熱性改良と同時に親水特性を賦与することを目的として鋭意検討を行った。その結果、両構成成分の層的分布状態を最適化することによってPPスパンメルト不織布に特徴的な溶断現象の発生を防ぎ、しかも広い温度範囲で安定な熱融着性を持ち更に強度特性に優れた複層体の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
(1)セルロース繊維からなるセルロース繊維層と、セルロース繊維がPP樹脂繊維不織布に交絡又は/及び貫通する状態で存在するPP樹脂繊維成分とセルロース繊維成分の共存層と、を有し、
前記共存層に存在するPP樹脂繊維(P)とセルロース繊維(R)との重量の割合であるP/R比が0.5〜50.0の範囲にあり、
前記共存層は、前記PP樹脂繊維不織布を貫通して複層不織布の最下表面に露出するセルロース繊維を有する、セルロース繊維不織布とPP樹脂繊維不織布との複層不織布である。
(2)上記(1)の複層不織布において、前記P/R比が40.0以下で共存セルロース繊維量が0.5g/m以上であることが望ましい。
(3)上記(1)又は(2)の複層不織布において、前記共存層は、前記PP樹脂不織布を貫通して複層不織布の最表面から突出するセルロース繊維を有するセルロース繊維領域を備えていることが望ましい。
(4)上記(1)又は(2)の複層不織布において、前記共存層は、セルロース繊維が主体でPP樹脂繊維不織布の一部が共存する第1共存領域と、PP樹脂繊維不織布が主体でセルロース繊維の一部が共存する第2共存領域と、前記PP樹脂不織布を貫通して複層不織布の最表面から突出するセルロース繊維を有するセルロース繊維領域と、を備えていることが望ましい。
(5)上記(1)から(4)のいずれかの複層不織布において、前記セルロース繊維層が両端に繊維端末を持つ繊維長1mm〜100mmの短繊維セルロース繊維から構成されていることが望ましい。
(6)上記(5)に記載の複層不織布において、前記短繊維セルロース繊維が木材パルプ、コットン、レーヨン、リヨセルのいずれかを含むものであることが望ましい。
(7)上記(1)から(6)のいずれかの複層不織布において、前記セルロース繊維層がレーヨンスパンボンド(TCF)であることが望ましい。
(8)上記(1)から(7)のいずれかの複層不織布において、前記共存層のPP樹脂繊維不織布がPP樹脂のスパンボンド不織布であることが望ましい。
(9)上記(1)から(7)のいずれかの複層不織布において、前記共存層のPP樹脂繊維不織布がPP樹脂のメルトブローン不織布であることが望ましい。
(10)上記(1)から(7)のいずれかの複層不織布において、前記共存層のPP樹脂繊維不織布がPP樹脂のスパンボンドとメルトブローンの複合体不織布であることが望ましい。
(11)上記(1)から(10)のいずれかの複層不織布において、前記複層不織布をPP樹脂の溶融温度を超える温度で加熱し、前記共存層のPP樹脂繊維不織布に熱溶融処理を施してなることが望ましい。
(12)上記(11)の複層不織布において、前記複層不織布に熱溶融処理を施すことにより、部分的にフィルム化した表面部位を有することが望ましい。
(13)上記(11)の複層不織布において、前記複層不織布に熱溶融処理を施すことにより、ほぼ全面にわたってフィルム化した表面部位を有することが望ましい。
(14)本発明に係る積層不織布は、上記(1)から(10)のいずれかの複層不織布を複数有し、複数の前記複層不織布を重ねて加熱溶融により接合して成る積層不織布である。
(15)また本発明に係る積層不織布は、上記(1)から(10)のいずれかの複層不織布を複数有し、複数の前記複層不織布のうちの第1の複層不織布の前記セルロース繊維層の上表面を第1の面とし、複数の前記複層不織布のうちの第2の複層不織布の前記共存層の下表面を第2の面としたとき、前記第1の複層不織布の第1の面と、前記第2の複層不織布の第2の面とを重ねて加熱溶融により接合して成る積層不織布である。
(16)また本発明に係る積層不織布は、上記(1)から(10)のいずれかの複層不織布を複数有し、複数の前記複層不織布のうちの第1の複層不織布の前記共存層の下表面を第1の面とし、複数の前記複層不織布のうちの第2の複層不織布の前記共存層の下表面を第2の面としたとき、前記第1の複層不織布の第1の面と、前記第2の複層不織布の第2の面とを重ねて加熱溶融により接合して成る積層不織布である。
(17)上記(16)の積層不織布において、前記第1の面と前記第2の面との間にPP樹脂−SMS不織布を挟み、加熱溶融により接合して成ることが望ましい。
(18)上記(16)の積層不織布において、前記第1の面と前記第2の面との間にPP樹脂フィルムを挟み、加熱溶融により接合して成ることが望ましい。
本発明によれば、PPスパンメルト不織布に特徴的な溶断現象の発生を防ぎ、しかも広い温度範囲で安定な熱融着性を持ち更に強度特性に優れた複層不織布を得ることができる。
本実施形態の複層不織布の上層部と共存層を説明するための模式図である。 本実施形態の複層不織布のセルロース繊維層、セルロース露出繊維領域を有する共存層を説明するための模式図である。 本実施形態の複層不織布のセルロース繊維層、第1共存領域と第2共存領域と露出繊維領域とを有する共存層を説明するための模式図である。 2重積層不織布の一例の構成を説明するための模式図である。 2重積層不織布の他の例の構成を説明するための模式図である。 3重積層不織布の一例の構成を説明するための模式図である。 3重積層不織布の他の例の構成を説明するための模式図である。 複層不織布の製造プロセスフローシート例を示す図である。 受けプレートと吸引ユニットの配置状態例を示す斜視図及び横断面模式図である。 複層不織布の他の製造プロセスフローシート例を示す図である。 吸引ユニットと受けプレートの他の配置を示す斜視図及び横断面模式図である。 WJ(ウォータージェット)ユニットを示す構成図である。 WJノズルを示す構成図である。 複層不織布製品の裏面(下面)顕微鏡写真に、露出繊維部位を黒く強調して示した表面参考図である。 インパルスヒートシーラー及びヒートシールテストの概要を示す説明図である。 通電時間と破断強度を示す図である。
以下、本発明の複層不織布の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
本発明の複層不織布の実施形態に於いてはセルロース繊維成分とPP樹脂繊維成分の層的分布状態が重要である。層的分布状態とは第一には上層から下層に至るセルロース繊維成分とPP樹脂繊維成分の層構成状態であり、第二には各層におけるセルロース繊維成分とPP樹脂繊維成分の共存状態である。
セルロース繊維成分は一般的に一本の繊維が前後(あるいは左右にと表現もできる)に繊維端末を持ついわゆる短繊維状を呈している。PP樹脂繊維成分も紡糸後に一定の長さに切断して短繊維状にしたものもあるが、一般的にはスパンメルト不織布と言われ、紡糸した連続状態で不織布化されるため、構成繊維は一本の繊維が長く端末が殆どないフィラメント状(長繊維状)を呈していている、したがつて上記表現は第一には上層から下層に至る短繊維状セルロース繊維成分とフィラメント状PP樹脂繊維成分の層構成状態であり、第二には各層における短繊維状セルロース繊維成分とフィラメント状PP樹脂繊維成分の共存状態であるともいえよう。
1.上表面と下表面
平坦な面上に複層不織布を置いたとき、上からの目線で、上になる面を上表面あるいは単に表面と称し、その反対側にあり平坦な面上に接している面を下表面あるいは裏面と称する。しかし上下を逆にすることで定義は変わるので、本実施形態の複層不織布では図1(B)、図2(B)及び図3(B)に図示するようにセルロース繊維からなる上層1A、上層2Aの上面を上表面(X面)、PP樹脂繊維とセルロース繊維からなる共存層1B、共存層2Bの下面を下表面(Y面)と定義する。ただし、上面、下面、表面、裏面の用語は、本願での説明の便宜上により用いる用語であり、用途によっては、上面と下面、表面と裏面は逆に呼称される場合があり、また複層不織布が水平面に対して垂直に配置されるときなどは上面、下面と呼称されない場合がある。
2.繊維端末
短繊維状とは長さに相対的な長短はあるが、紡糸製造後の切断操作により切断された人工的に作られる短繊維と、自然状態で収穫されるか、あるいは抽出される、短い状態で存在する短繊維の二種類に分類される。本願ではこの二種類の短繊維が使用される。一本の短繊維は前端部(頭部)と後端部(尾部)の二か所の端末部を有し、これを繊維端末と称する。
一方、フィラメント繊維は連続した繊維で理論的には頭部と尾部の端部は存在するが極めて少なく、特に切断操作に起因するような端部は存在しない。したがってフィラメント状PP樹脂繊維成分から構成されるスパンメルト不織布には繊維端末は実質的に存在しないといえよう。
使用される短繊維の長さ(繊維長)は1mm〜100mmのもので好ましくは3mm〜75mmである、1mmより小さいと繊維の脱落が大きくなり、100mmを超えると不織布化が難しくなる。
使用される短繊維の太ささは繊維の直径(繊度)デニールdで示され、0.1d〜10.0dのものが使用され、好ましくは1.0d〜7.0dである。0.1dより小さくなると、あるいは10dを超えると不織布化が難しくなる。
繊維末端の個数は短繊維層の構成繊維の繊維長が短くなるにつれ単位重量及び単位面積当たりの繊維本数が増え繊維端末の個数も増える。また構成繊維の直径即ち繊度(dtex)を細くすることによっても増加する。短繊維層の目付を増加することによっても、同様に単位重量及び単位面積当たりの繊維本数が増え繊維端末の個数が増える。表1は繊維径、繊維長から単位重量1g当たりの繊維本数(本/g)を計算し、それに目付を掛けて単位面積1cm当たりの繊維端末の個数(個/cm)を算出し一覧表にしたものである。表1において、Dtexは単位長あたりの重量(g)で、繊維径dを表し、ここでは繊維10,000m当たりのグラム数である。端末個数は繊維1本当たり端末2個として算出した。この表から本実施形態に使用される構成繊維の位置付を、レベル1〜レベル4に分類して表2に示した。湿式不織布やTCFの場合はレベル1に相当し、レーヨンやリヨセルなどのステーブル状短繊維の場合はレベル2に相当し、スパンメルト不織布の場合はレベル4に相当する。
PP樹脂繊維不織布として使用されるフィラメント不織布とは、連続フィラメントからなる繊維を主体としているという意味であり、フィラメントからなる繊維100%から構成している不織布と、構成フィラメントを接合する成分等を含有している不織布とがある。具体例で説明するとPPスパンボンド不織布(SB)はPPフィラメント繊維100%の不織布であり、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド複合不織布(SMS)やスパンボンド・メルトブローン・メルトブローン・スパンボンド複合不織布(SMMS)はPPフィラメント繊維SB層とその接合材としてPPメルトブローン繊維層(M)を併せて含有しているフィラメント不織布の例である。
SB不織布は繊維端末を実質的に持たないが、SMS不織布,SMMS不織布もM成分が融解し、SB成分に融着した状態で存在しているため繊維端末を実質的に持たないPP樹脂繊維層であると解釈される。
PP樹脂繊維不織布の第一の特性は構成繊維が縦、横方向に平面的に配置し、厚さが絵や字が透けて見えるほどに薄く、特に繊維が縦方向に整列している部分が多く、しかも上下方向の絡み合いが少ないため繊維間隙が存在し、そのため上層の短繊維層の繊維端末(自由端末)が上層から下層への途中でからまずに繊維間を移動出来、繊維間を透過でき易い構造になっていることである。フィラメント繊維主成分層の厚さは少なくとも0.5mm以下、好ましくは0.3mm〜0.1mmの薄いもので、短繊維層の半分以下、場合によっては1/5以下の薄さのものが好ましい。第二の特性は強度、特に構成繊維が相対的に縦方向に配向しているため縦方向の引っ張り強度が強く、上層の短繊維層の支持体あるいは補強材となる機能を持つことである。第三の特性はPPの特性に基づくもので、実施例に述べるような製造の際に影害するものであるが、疎水性で表面の凹凸が少なく平滑のため、摩擦抵抗が少なく滑り易いことである。
3.複層不織布の層的分布状態
図1、図2、図3を参照して本実施形態の複層不織布の上面から下面への繊維層の層的分布状態を説明する。
本実施形態の複層不織布の第1の構成の複層不織布1は、図1(A)、図1(B)に模式的に図示するようにセルロース繊維(R)とPP樹脂繊維(P)の2成分から構成され、セルロース繊維からなる上層1Aと、その下方に位置してPP樹脂繊維とセルロース繊維が併存する共存層1Bを備える。このようなPP樹脂繊維不織布とセルロース繊維不織布の複層不織布1に於いて、セルロース繊維からなる上層1Aの表面を上表面と(X面)呼称し、PP樹脂繊維とセルロース繊維からなる共存層1Bの表面を下表面(Y面)と呼称する。なお、ここでは、セルロース繊維からなる層を上層としているが、複層不織布1の配置によっては共存層1Bを上層とする場合もある。
本実施形態の複層不織布の更なる望ましい第2の形態の複層不織布2は図2(A)、図2(B)に模式的に図示するように、セルロース繊維からなる上層となるセルロース繊維層2A、セルロース繊維層2Aのセルロース繊維の少なくとも一部がPP樹脂繊維に交絡するか貫通してPP樹脂繊維とセルロース繊維が併存する共存層2Bを備え、共存層2BがPP樹脂繊維とセルロース繊維の領域2B1と、セルロース繊維の少なくとも一部が領域2B1を貫通し、PP樹脂繊維の表面に繊維端末が突出するセルロース繊維領域2B2を備える。すなわち複層不織布2が、セルロース繊維層2A、PP樹脂繊維とセルロース繊維の共存層2Bを備え、共存層2BがPP樹脂繊維とセルロース繊維の領域2B1とセルロース繊維領域2B2からなる構成を持つ構造である。図1(A)、図1(B)の複層不織布1は、セルロース繊維の繊維端末がY面から覗いて見えるが、PP樹脂繊維の表面から突出しておらず、セルロース繊維領域2B2を備えていない。尚図2及び図3に於いても上表面をX面、下表面をY面と呼称する。
本実施形態の複層不織布の更に望ましい第3の形態の複層不織布3は図3(A)、図3(B)に模式的に図示するように、セルロース繊維層2Aと、PP樹脂繊維とセルロース繊維の共存層2Bは明確に区画されずに段階的に移行し、共存層はセルロース繊維が主体か、PP樹脂繊維が主体かによって、セルロース繊維が主体で、PP樹脂繊維の一部が共存する領域2B1−1と、PP樹脂繊維が主体で、セルロース繊維の一部が共存する領域2B1−2と、セルロース繊維領域2B2とに分けることができる。説明を分かり易くするため以下の説明では、共存層が領域2B1−1と領域2B1−2と領域2B2とに分かれる場合を含めて共存層2Bとして扱うことにする。
4.複層不織布における共存層の存在状態
共存層の存在は本実施形態の複層不織布を特徴づけるものの一つである。
共存層の無い複層不織布構造とは接着剤あるいは熱圧着によってセルロース繊維層の表面とPP樹脂繊維層の表面が接合されている構造といえる。現実には熱圧着ではPP樹脂繊維層が熱で溶断してしまうために、易溶性のホットメルトやエマルジョンバインダー等の接着剤による接合を意味することになる。このような共存層の無い複層不織布では、
・セルロース繊維層の持つ、肌や自然環境への優しさが生かされない
・共存層によってもたらされる良好なヒートシール性も発現しない
・起毛状の露出セルロース繊維がもたらす風合いや、感触も得られない
しかしこの共存層がその効果を発揮するためには単にその有無ではなく、ある以上の量的な存在量が必要になる。
(露出セルロース繊維の存在量と共存層のセルロース繊維存在量)
共存層の存在量は本実施形態の複層不織布の強伸度、表面強度(リント性)、厚み、等の物性、及びドレープ性、表面感触等の風合いに密接に関係する。共存層はPP樹脂繊維(Pと略称)とPに交絡するか貫通する状態で共存するセルロース繊維(Rと略称)とから構成されている。交絡状態も貫通状態も貫通レベルの違いと解釈される。 複層不織布を直接染料で染色すると、PP樹脂繊維は染色せずにセルロース繊維のみが染色されるので、顕微鏡によりPP樹脂繊維不織布に共存するセルロース繊維を判別することができる。
共存層中のセルロースは、PP樹脂繊維層が疎で薄いので、セルロース繊維領域側からの顕微鏡写真で観察、評価できるため、共存層中のセルロース繊維はいわばセルロース繊維領域の露出状態の違いとして解釈できる。即ち、露出セルロース繊維の露出状態はセルロース繊維層を構成するセルロース繊維の繊維長と複層化処理条件によって、セルロース繊維が突出せずただ表面から覗いて見える状態、0.5mm〜3mm前後の長さに密集して突出している状態、そして5mm〜10mmに植毛状に突出する等の様々な形状を呈する。この様々な形状を呈する露出セルロース繊維の端末本数と、その端末繊維の繊維長相当重量が、共存層中のセルロース繊維存在量と考えることにする。たとえば実施例2で説明されている、20g/mのセルロース不織布TCFと15g/mのPP樹脂不織布PP−SB(スパンボンド)から構成されている複層不織布を例にして、1)露出繊維の端末本数(1500個/cm)と全端末数(2700個/cm)の割合、2)露出繊維端末の加重平均繊維長(1.2mm)と使用繊維の繊維長(10mm)の割合、の各数値からから計算される共存層におけるセルロース繊維存在量の計算例を示すと表3のように1.3g/mなる。
共存層に存在するセルロース繊維存在量が決まると複層不織布重量(目付)とPP樹脂繊維重量から、その共存層に存在するPP樹脂繊維(P)とセルロース繊維(R)の割合P/R比が計算される。表3と同様に、例えば実施例2で説明されている20g/mのセルロース不織布TCFと15g/mのPP樹脂不織布PP−SBから構成されている複層不織布を例にして、共存層に存在するPP樹脂繊維(P)とセルロース繊維(R)の割合P/R比を計算すると表4のように11.5になる。
この共存率P/R比は本実施形態の複層不織布がその特性を発揮するかどうかの指標となる重要な数値である。共存セルロース繊維量とP/R比の関係を説明する。PP−SMSおよびPP−SB不織布の目付をそれぞれ変化させ共存セルロース繊維量とP/R比の関係を表示したのが表5である。なお表5には本実施形態の複層不織布の特性の一つであるヒートシール性との関係も併せて示した。
表中数字はP/R比
○〜×はヒートシール適性: ○;ヒートシール性良好
△;ヒートシール性やや難
×;ヒートシール性不良(溶断を含む)
(尚、ヒートシール適性は複層不織布のY面−Y面接合でのテスト結果である)
上記表5のデータは、Y面−Y面接合でのテスト結果であるが、X面とY面接合においても同様な結果が得られた。
このようなヒートシール適性は相対的な評価であり、使用するヒートシール装置、条件によって変わってくる。本データは図15で示すインパルスヒートシーラー200を用いて得られたものである。
(ヒートシール性発揮とP/R比および共存セルロース繊維存在量)
熱溶融処理を行うための、図15(A)で図示した構造のインパルスヒートシーラー200は、図15(B)の様な特性を持っている。この装置を使用してヒートシールテストを行った。その結果を図16に示した。テストは試料2枚を重ね、所定の条件でヒートシールを行い、冷却後に図15(C)のような方法でシール部の破断強度を測定した。
(1)熱癒着のブランクテスト
ヒートシール特性を発揮するのはPP樹脂成分であり、本実施形態の複層不織布に於いては図1、図2、図3で説明したY面が存在することが望ましい。X面同士を重ねて(X−X)、上記テストを行っても当然のことながら全く熱融着は起らず、破断強度は殆ど0になる。一方PP樹脂成分であるPP−SBを2枚重ねて同様なテストをすると、図16のサンプル(e);SB−SBで示すように、接合する条件は存在するが極めて条件範囲が狭くすぐ溶断してしまうので工業生産的条件としては採用が難しい。
(2)複層不織布のY面を利用した2重熱融着例
・X面−Y面接合
図4は複層不織布2−1のY面(下表面)と別の複層不織布2−2のX面(上表面)とを重ね合せ熱融着により2枚の不織布を一体化して積層不織布20を作製するステップを示した模式図である。共存層のPP成分が熱溶融してX面にまで滲出し融着が行われる。図16のサンプル(a);X面−Y面の例で示すように通電時間を経過するに従い加温され融着が進む。温度を装置の限界まで上昇させても溶断は起こらず安定に推移する。理論的には300°C以上になってもセルロースが熱分解しない限り安定なヒートシール操作が可能である。
・Y面−Y面接合
図5は複層不織布2−1のY面(下表面)と別の複層不織布2−3のY面(下表面)とを重ね合せ熱融着により2枚の不織布を一体化して積層不織布21を作製するステップを示した模式図である。共存層のPP成分が熱溶融して相互にY面にまで滲出し融着が行われる。なお複層不織布2−3は複層不織布2−2の上下を反転させた複層不織布である。図16のサンプル(b);Y面−Y面の例で示すように、サンプル(a)に比較し充分なPP成分の存在により通電・加温するとただちに融着が進む。破断強度もサンプル(a)に比較し大きくなる。温度を装置の限界まで上昇させても溶断は起こらず安定に推移する。理論的には300°C以上になってもセルロースが熱分解しない限り高速で、安定なヒートシール操作が可能になる。
(3)複層不織布のY面を利用し、第三成分を加えた3重熱融着例
・Y面−SMS−Y面接合
図6は複層不織布2−1のY面(下表面)にPP樹脂製のSMS不織布4を重ねさらに別の複層不織布2−3のY面(下表面)と3枚の不織布を重ね合せた状態で、熱融着により一体化して積層不織布22を作製するステップを示した模式図である。それぞれの複層不織布の共存層のPP成分が熱溶融してY面でSMSのPP樹脂成分と融着が行われる。図16のサンプル(c);Y面−SMS−Y面の例で示すように、サンプル(a)に比較し充分なPP成分の存在により通電・加温するとただちに融着が進む。破断強度もサンプル(b)に比較し大きくなる。通電時間を経過するに従い加温され融着が進む。温度を装置の限界まで上昇させても溶断は起こらず安定に推移する。理論的には300°C以上になってもセルロースが熱分解しない限り安定なヒートシール操作が可能である。
・Y面−PP樹脂フィルム−Y面接合
図7は複層不織布2−1のY面(下表面)にPP樹脂フィルム5を重ねさらに別の複層不織布2−3のY面(下表面)と3枚のシートを重ね合せた状態で、熱融着により一体化して積層不織布23を作製するステップを示した模式図である。それぞれの複層不織布の共存層のPP成分が熱溶融してY面でPP樹脂フィルムと融着が行われる。図16のサンプル(d);Y面−PPフィルム−Y面の例で示すように、サンプル(c)に比較し充分なPP成分の存在により通電・加温するとただちに融着が進む。破断強度もサンプル(c)に比較し大きくなる。通電時間を経過するに従い加温され融着が進む。温度を装置の限界まで上昇させても溶断は起こらず安定に推移する。理論的には300°C以上になってもセルロースが熱分解しない限り安定なヒートシール操作が可能である。
(4)ヒートシール性発揮とP/R比および共存セルロース繊維の存在形態と存在量
今まで説明してきたようにセルロース繊維とPP樹脂繊維が共存する系で、PP−SB不織布のPP樹脂繊維とセルロース繊維が混在状態で加熱されると、セルロース繊維が芯、PP樹脂繊維がホットメルトの役割を演じ、FRP(Fiber Reinforced Plastic)のように強固で安定な熱融着による接合層が形成されることが分かった。このようなFRP効果はセルロース繊維とPP樹脂繊維が共存することによって発揮されるものであって、下表面(Y面)にセルロース繊維が露出、安定なヒートシール性を発揮する。露出セルロース繊維が存在することにより、熱安定性が更に高まるため、ヒートシール加工性や操業性が向上する。下表面(Y面)にセルロース繊維が露出した状態において、さらに好ましいのが、図2、図3に示すような下表面(Y面)にセルロース繊維が突出した状態にあることである。このFRP効果は共存率P/R比で表現されるが、共存層に存在するセルロース繊維量とPP不織布の目付を変化させP/R比とヒートシール性の関係を表示したのが表5である。表中に説明があるようにヒートシール性の程度を〇〜×で示した。
本実施形態として採用可能なP/R比は0.5〜50.0の範囲であり好ましくは1.0〜20.0の範囲である。0.5未満の領域ではセルロース含有量が高すぎてヒートシールするのに高温と時間がかかり効率的でない。50.0を超える領域ではPP樹脂含有量が高すぎて溶断を起こし易くなる。
なお一般的にヒートシールは点状や線状で行われるものを意味するが、複数枚の複層不織布シートを熱ロールで連続処理して、グリッド状、エンボス状、全面で接合加工することも行われる。また複層体自体を全面熱処理加工して全面フィルム状に加工することも可能であり(溶結加工と称する特許文献1(特開平08−216310号公報)等参照)、あるいは立体状に成形加工することも可能である。すなわち、複層不織布に熱溶融処理を施すことにより、部分的にフィルム化した表面部位を有するようにしたり、ほぼ全面にわたってフィルム化した表面部位を有するようにしてもよい。また得られた一枚の複層不織布に後加工で更に凹凸状の加工や開孔加工を施してもよい。
熱処理後のPP樹脂繊維は加熱溶融によって形状が変わるが、P/R比は維持される。
(層間剥離強度とP/R比、共存セルロース繊維存在量)
共存層の存在を特徴づける第二のパラメータといえるのは、一体化の目安として評価される層間剥離強度である。複層不織布に於いて一体化されているかどうかの判断は、官能的評価としてセルロース繊維層と共存層とが手で引き剥がせるか、引き剥がせないかで簡単にわかる。定量的にはJIS L-1913で剥離強度を測定して界面破壊に至るかどうかで判断する。一体化の程度は共存層が多く存在するということと同義であり、P/R比にも相関する。表6は共存セルロース繊維量及びP/R比と剥離性能の関係を説明したものである。剥離性能は隔離強度と官能評価で表現した。複層不織布として十分な一体化性能を発揮するには少なくとも300mN/15mm以上、好ましくは500mN/15mm前後以上の剥離強度が求められ、それを維持するには共存セルロース繊維量として約0.5g/m以上、P/R比で約40以下にすることが望ましい。
(露出セルロース繊維のもたらす親水性の賦与効果)
セルロース繊維は典型的な親水性素材であり、一方、PP樹脂繊維は典型的な疎水性素材である。その複層体である本実施形態の複層不織布は複層化よりPP樹脂不織布面(下面)が親水性を示すように変化する。親水性化は露出セルロース繊維端末の存在、即ちPP樹脂とセルロース繊維の共存効果に基づくものである。この効果は極めて顕著であり共存セルロース繊維量がごく少量であっても親水性を発揮する。
(露出セルロース繊維がもたらす風合いや、感触改善効果)
露出セルロース繊維の存在状態は前述したように、PP樹脂不織布面(下面)から殆ど顔を出しただけの状態から3mm前後の長さを持つものまで、そしてぱらぱらと存在するもの、筋状を呈して存在するもの、全面に起毛状に存在するものと、さまざまの形状を呈するが、この露出セルロース繊維の存在によってPP樹脂不織布面(下面)の持つざらつき感やワックス感がなくなり、フィラメント繊維に爪が引っ掛かるような現象も除去される。
(複層化による皺、特に湿潤、乾燥操作による収縮皺の発生状態の改善効果)
例えば本実施形態のセルロース層として好んで採用されるTCF不織布の場合には、湿潤・乾燥により縦横に収縮し使用用途に制限を生じるとともに、大きく目立つ横じわが発生し見栄えも悪くなり商品価値を損ねるケースがあった。一方、PP樹脂不織布であるPP−SBやPP−SMSは湿潤・乾燥によっても寸法変化を起さず収縮皺も発生しない。
TCF/PP樹脂不織布の複層不織布になるとTCFに発生した寸法変化を起さず収縮皺も発生しなくなり見栄えの優れたセルロース不織布に変容する。
* 共存セルロース繊維量として約0.5g/m以上、P/R比で約40以下であれば、複層不織布として充分な剥離強度が得られる。
以下、本発明の複層不織布について実施例により更に説明する。
(実施例1)
図8は本実施例になる複層不織布の製造プロセスフローシート例を示す図である。
図8において、プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から、下層不織布巻出し機1001、2台の直列に配置されたカード機1002及び1003、繊維層搬送コンベアー1004、第1のWJユニット1005、第2のWJユニット1006、第3のWJユニット1007、吸引ユニットと受けプレートの第1の組み合わせ(第1の吸引ユニット/受けプレート)1008、吸引ユニットと受けプレートの第2の組み合わせ(第2の吸引ユニット/受けプレート)1009、吸引ユニットと受けプレートの第3の組み合わせ(第3の吸引ユニット/受けプレート)1010、ニップロール1011、乾燥機1012、製品巻取機1013、となっている。なお第1のWJユニット1005と、第1の吸引ユニット/受けプレート1008とは第1の交絡セット(WJユニットと吸引ユニットと受けプレートの第1の組み合わせ)を構成し、第2のWJユニット1006と、第2の吸引ユニット/受けプレート1009とは第2の交絡セット(WJユニットと吸引ユニットと受けプレートの第2の組み合わせ)を構成し、第3のWJユニット1007と、第3の吸引ユニット/受けプレート1010とは第3の交絡セット(WJユニットと吸引ユニットと受けプレートの第3の組み合わせ)を構成する。第1から第3の交絡セットを水流交絡装置と呼ぶ。また図8においては、WJユニット、吸引ユニット、受けプレートの配置部位(点線で囲んだ部位)については、詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。図9には図8に組み込まれている吸引ユニット/受けプレート部の詳細説明図を示した。
図9(A)、(B)は受けプレート11−1と吸引ユニット12−1の配置状態例を示す斜視図及び横断面模式図であり、吸引ユニット12−1の天板部に受けプレート11−1が埋め込まれている形態を示している。埋め込まれている状態は吸引ユニットと面一となっているが、受けプレート部が上方に一部あるいは全体が凸状に突出していてもよい。受けプレート部が凹状にくぼんだ状態になることは、水流が滞留する恐れがあるので避けることが望ましい。図9(A)、(B)において、吸引ユニット12−1の表面と受けプレート11−1の表面とはウェブ状繊維層の走行方向に隣接して配置される。吸引ユニット12−1の表面は前部表面と後部表面とを有し、後述する積層体の走行方向において受けプレート11−1の表面の前後に前部表面と後部表面とが隣接して配置される。
図9(A)、(B)の配置では、前後幅50mm未満の狭幅の無孔の受けプレート11−1が、その上面を吸引ユニット12−1の天板部の上面に合わせて面一になるように、吸引ユニット12−1に埋め込まれている。吸引ユニット12−1の天板部は超高圧PE樹脂製の、厚さ10mmの樹脂板で作られ、幅2mm、長さ150mmの長方形状のスリット13−1が貫通孔として、ほぼ全面に均一に配置されている。受けプレート11−1は幅(W)が30mm、厚さは4mmの長方形断面を持つSUS316製の薄いプレートであるが、下面から天板部によって支えられているので、加圧や衝撃を受けても撓むこともなく、変形もしない。ここでは、受けプレート11−1の前後幅が50mm未満の狭幅の場合を示しているが、WJ流が外れない範囲であれば前後幅が5mm前後の極狭幅になってもよい。
下層になるPP樹脂不織布としては1600mm幅のPP樹脂SB不織布13g/m(AVGOL社製)を巻出し機(大昌鉄工製)1001に装着した。上層となる短繊維層としては第1及び第2のカード機1002,1003として鳥越製作所製カード機を用い、第1のカード機1002には1.5dtex×45mmのレーヨン繊維(ダイワボウ製)10g/m、第2のカード機1003にも同じく1.5dtex×45mmのレーヨン繊維(ダイワボウ製)10g/mを供給し、1500mm幅20g/mの短繊維層となる未結合カードウェブを調整し前記PP樹脂SB不織布上に重ねて、搬送コンベアー出口に設けられた、一定の隙間を持つスムースロール(詳細説明割愛)によりカードウェブの表面を平滑にする。このようにして得られたPP樹脂SB不織布と、それに重ねられた20g/mの未結合カードウェブの2層を重ねた積層体を、走行スピードを10m/min.〜60m/min.の範囲で変更して、第1から第3の交絡セットからなる水流交絡装置へとガイドする。
本プロセスの水流交絡装置には搬送するコンベアーは存在せず、後述するように前記2層複層体の下面が吸引ユニット/受けプレートに直接接触しながら走行する。そのため装置との接触摩擦抵抗の少ない、滑り易くしかも寸法安定性のあるPP−SBがコンベアーの代替として機能させるため、必ずPP−SBを下層にし、その上にカードウェブが上層として重ねられる。
この2層を重ねた積層体中に存在する全繊維端末数は短繊維層である未交絡カードウェブを構成するセルロース繊維に起因するもので、計算すると約600個/cmであつた。
水流交絡装置は、WJユニット1005、1006、1007の3ユニットとその下方に設けられた第1から第3の吸引ユニット/受けプレート1008、1009、1010の3ユニットとからなる。交絡セットで表現すれば第1、第2及び第3の交絡セットの3セットの水流交絡装置から構成されている。このプロセスで使用されるWJユニットに関しては通常の水流交絡法で使用されるものでよく、図12に例示するように、ノズルホルダー101とWJノズル102とから構成されている。ノズルホルダー101は高圧化で変形せず、寸法安定性を保つため砲身状にして、頑丈に作られることが望ましく、図12のホルダーはSUS304製で全体が中空の砲身のような形状で、10MPaレベルの水圧に対してひずみを生じさせないような構造を持っている。
図12(A)はノズル面からみた左右方向の平面図である。WJノズル102はプレート状で図12(B)の縦側面図、図12(C)の横断面図に示すように、最下部に挿入するように取り付けられ、支持板によって固定ボルト103によって把持される。例えば、第1のWJユニット1005は図12で図示したような構造を持ち、図13(B)で図示する構成の口径0.18mm、ノズル間隔9mmのノズルプレート102−2が組込まれ、第2のWJユニット1006には図13(A)で図示する構成の口径0.12mm、ノズル間隔2mmのノズルプレート102−1が組込まれ、第3のWJユニット1007にも口径0.12mm、ノズル間隔2mmのノズルプレート102−1が組込まれている。いずれのWJユニットにも1台の高圧ポンプから2.0Mpa〜7.0Mpaの水圧の高圧イオン交換水が供給される。
吸引ユニットと受けプレートは第1から第3の吸引ユニット/受けプレート1008、1009、1010の3ユニットとも同じ仕様で、吸引ユニットの天板部の中央に受けプレートが埋め込まれている構造を持っている。吸引ユニットは、厚さ1.0mmのSUS304製の前後幅200mm×長さ1800mmの直方体の箱状空間と、箱底に直径100mmのパイプ状の排出口を持った本体(サクションボックス)と、厚さ12mmの天板が密閉状態になるように接合されている。天板材料には超高圧ポリエチレンを採用し、天板には、ほぼ全面に幅5mm×長さ100mmの長方形状のスリットが上面から箱状空間に貫通するように設けられている。天板の中央には前後幅30mm、厚さ4mmの無孔の帯状のSUS316製の狭幅受けプレートが天板の上表面と面一になるように埋め込まれている。天板の上表面と受けプレートの上表面はバフ仕上げによる研磨処理が施されている。
なおWJノズルの下面と受けプレートの上面との距離は、この間隙を2層を重ねた積層体が通過するため、この例では40mmに設定している。パイプ状の排出口はフレキシブルホースを経由してターボブロワーに接続され30mmHO前後の減圧状態に保たれている。
前記2層を重ねた積層体は受けプレート上を10m/min.〜60m/min.の速度で滑走させつつ、第1のWJユニット1005、第2のWJユニット1006、第3のWJユニット1007による2Mpa〜7Mpaの高圧水流噴射を受けつつ、上記40mmの間隙を走行し、交絡・脱水処理を終了する。こうして得られた複層不織布は、ニップロールで更に脱水し熱風乾燥器を経て巻き取られて複層不織布製品とする。なお高圧水流が2Mpaに設定したときには3ユニットとも同じ2Mpaに調節した。4Mpa、7Mpa,のときも3ユニットとも同じ水圧に調節した。
得られた複層不織布製品の外観を観察すると条件により密集度のちがいはあるが上表面は多数の細い線が長さ方向に走りきめ細かい織物のような外観を呈し、下表面には産毛のようにカールした短い繊維が突出していた。
得られた複層不織布製品の代表的な物性値を、処理スピードと処理水圧の比較として示すと表7のような結果になる。表7の結果について考察する。
(一般物性の比較;処理水圧の影響が大きい)
・厚み
処理水圧が高くなりニードリング効果及び交絡一体化が進むと複層不織布の厚みは0.56〜0.31mmとだんだん薄くなる。
・乾燥強度(縦)
2.0Mpa、4.0Mpaでもそこそこの強度を持ち、7.0Mpaとニードリング効果及び交絡一体化がより進むと複層不織布の縦方向の乾燥強度は44.5〜65.2N/50mmと段々上昇する。
・乾燥強度(横)及び縦横強度比
7.0Mpaとニードリング効果及び交絡一体化が進むと複層不織布の横方向の乾燥強度は2倍以上に急上昇し、それに伴い縦横強度比も2倍前後に急上昇する。
・縦・横湿潤強度及び縦横強度比
7.0Mpaとニードリング効果及び交絡一体化が進むと複層不織布の縦・横湿潤強度及び縦横強度比とも大幅に上昇する。
(剥離強度の変化)
2.0Mpa、4.0Mpa、7.0Mpaとニードリング効果及び交絡一体化が進むと複層不織布を構成する上層と下層の界面での剥離性が大幅に変化する。この現象は後述する露出繊維の存在状態とも関連して本実施例の大きな特徴である。
・剥離強度の変化
水圧が4.0Mpa以下では剥離強度は100mN/15mmにも達しないが、7.0Mpaになると走行スピードが60m/min.でも剥離強度は500mN/15mm、40m/min.に下げると剥離強度は1029mN/15mm、さらに20m/min.では剥離強度は1225mN/15mmに達する。
・剥離強度とハンドピーリングテストでの観察状態
表7に記述するように剥離強度が100mN/15mm以下では簡単に上下層は手で層間剥離できるが、500mN/15mm前後を超える領域に入ると界面破壊を起し、手による層間剥離は出来なくなる。
(露出セルロース繊維端末数)
上層のレーヨン短繊維の自由端末(Free Tail)が、上層では短繊維相互が交絡し、内部ではPP樹脂繊維に交絡し、そして残りはPP樹脂繊維層を貫通して、顕微鏡写真図14で示すように、下層のPPスパンボンド不織布の下面に突出して、短いもので約3mm、長いもので約15mmの端末が混在して存在し、稙毛状を呈するようになる。
・露出セルロース繊維端末数
突出した繊維端末数を顕微鏡で拡大して計数すると表7に示すように2.0Mpa、4.0Mpa、7.0MpaとWJ圧に対応して、ぱらぱらと散在するような約20個/cmの状態から、密集して存在する約300個/cmの状態まで条件により変化する。
・露出セルロース繊維端末の割合
露出セルロース繊維端末の割合を、露出セルロース繊維端末数/端末全数(600)×100=%の式で計算すると表7( )内に示すように2.0Mpa、4.0Mpa、7.0MpaとWJ圧に対応して3%、8%、53%と大幅に変化する。
(露出繊維端末の繊維長)
・露出繊維端末の繊維長
露出繊維端末の繊維長は3mm前後から17mm前後まで広い範囲で存在するがWJ圧に対応して繊維端末の繊維長は特有の頻度分布を持つ。即ち2.0Mpa、4.0Mpaでは短めの繊維端末が多く、7.0Mpaになると長めの繊維端末が多くなる
・露出繊維端末の繊維長の加重平均繊維長
各WJ圧に対応した頻度分布から加重平均繊維長をそれぞれ計算すると5.0mm、5.5mm、8.2mmと変化する。この露出繊維端末の繊維長の加重平均繊維長を共存層に存在するセルロース繊維の長さと定義する
・使用繊維の繊維長(45mm)と露出繊維端末の繊維長(加重平均繊維長)の割合(L比)
L比を、L=端末の加重平均繊維長/使用繊維の繊維長×100=%の式で計算すると、表7に示すように2.0Mpa、4.0Mpa、7.0MpaとWJ圧に対応して11.1%、12.2%、18.2%と大幅に変化する
(共存セルロース繊維量)
共存層に存在するセルロース繊維はPP繊維層を貫通・露出するセルロース繊維の端末部分のみである。即ち全繊維長の内で端末の繊維長部分である。従ってその存在量は全露出繊維存在数量(個数)のうち露出繊維端末の繊維長占有比(L)に相当するはずである。そのように仮定すると共存セルロース繊維量は次式で計算される。
共存セルロース繊維量(g/m)=全セルロース繊維量(20g/m)×露出繊維端末存在比×L
例えば表7の7.0Mpa、20m/min.の例では、露出繊維端末存在比(対全数、露出繊維端末数)は53%、Lは18.2%,であるので、20g/m×53%×18.2%=1.93g/mを四捨五入により丸めて1.9g/mとなる。共存セルロース繊維量は2.0Mpa、4.0Mpa、7.0MpaとWJ圧に対応して、0.1、0.2、1.9g/mと大幅に変化する。
(P/R比の算出)
共存層に存在するセルロース繊維存在量が決まるとPP樹脂繊維重量(13g/m)から、その共存層に存在するPP樹脂繊維(P)とセルロース繊維(R)の割合P/R比が計算される。表7の7.0Mpa、20m/min.の例では13/1.9=6.8となる2.0Mpa、4.0Mpa、7.0MpaとWJ圧に対応してP/R比は130、65、6.8と急激に変化する。
(ヒートシール性)
本実施例の不織布の示す広い温度範囲における良好なヒートシール性はPP樹脂とセルロース繊維の共存効果に基づくものであり、共存セルロース繊維量とP/R比によってヒートシール性の適正領域が規定される。共存セルロース繊維量が0.3g/m以下では共存効果が不十分で溶断を起しやすい。また20g/m以上になると溶融成分の割合が少なくなりヒートシール性がなくなる。P/R比は50を超えると溶断を起しやすい。好ましい共存セルロース繊維量は0.5g/m〜10g/mであり、P/R比は20〜1.0であると広い温度範囲において良好なヒートシール性を示す。
(水滴に対する親和性)
セルロース繊維は典型的な親水性素材であり、一方PP樹脂繊維は典型的な疎水性素材である。その複層体である本実施例の複層不織布は複層化条件によりPP樹脂不織布面(下面)がそのまま疎水性であったり、親水性を示すように変化したりする。親水性化は露出セルロース繊維端末の存在、即ちPP樹脂とセルロース繊維の共存効果に基づくものである。表7は複層不織布の上面と下面の水に対する親和性の違いを「水の拡散性」と「メチレンブルーの染色性」で調べ表7に示したものである。従って下面の親水性化にはある程度以上の露出セルロース繊維端末量及び共存セルロース繊維量の存在が必要であることがわかる。
(感触・風合いの改善効果)
更に本実施形態の複層不織布の特徴は、感触・風合いの改善効果である。上層の短繊維層即ちレーヨン短繊維の自由端末(Free Tail)が、上層では短繊維相互が交絡し、内部ではPP−SBを構成するフィラメント繊維に交絡し、そして残りはフィラメント繊維主成分層を貫通して下層のPPスパンボンド不織布の下面に突出して起毛状あるいは植毛状を呈するようになる。これによって下層を指や掌でなでると、下層不織布のPPスパンボンド不織布特有の、硬い、引っかかるような感触が消え、赤ちゃんの産毛のようなソフトな感蝕が賦与される。
*上層と下層の界面で界面破壊が生じるかを観察
(厚さ及び強度測定は、JIS−L−1096及びL−1913に準じて行った)
(実施例2)TCFの目付と目付変更
図10は本実施例になる複層不織布の製造プロセスフローシートの別の例を図示した。プロセスの流れは左から右の方向に進行する。プロセスの構成は左から上層不織布巻出し機4001、下層不織布巻出し機4002、プレスロール4003、WJユニット4004、無孔の狭幅で台形の受けプレート4005、受けプレート4005の一部で受けプレート4005の下部を支える支持体(支え板)4006、前部吸引ユニット4007、後部吸引ユニット4008、同様にWJユニット4009、無孔の狭幅で台形の受けプレート4010、受けプレート4010の一部で受けプレート4010の下部を支える支持体(支え板)4011、前部吸引ユニット4012、後部吸引ユニット4013を備え、ニップロール4014、乾燥機4015、製品巻取機4016、となっている。なお図10においては、WJユニット、吸引ユニット、受けプレートの配置部(点線で囲んだ部位)については詳細がわかるように相対的に拡大して図示した。
上層のセルロース繊維層を形成する不織布はTCF(構成繊維径1.5d、繊維長10mm、品番500,フタムラ化学株式会社製)として目付20g/m、目付40g/m、目付60g/mの3種類を用意した。
1500mm幅のTCF製品を第1の巻出し機(大昌鉄工製)4001に装着し、PP樹脂繊維層となる下層不織布としては1600mm幅のPP製SB不織布15g/m(AVGOL社製)を第2の巻出し機(大昌鉄工製)4002に装着しプレスロール4003で圧着して2層積層とする。なお本プロセスの水流交絡装置には搬送するコンベアーは存在せず、2層複層体の下面が吸引ユニット/受けプレートに直接接触しながら走行する。そのため装置との接触摩擦抵抗の少ない、滑り易くしかも寸法安定性のあるPP−SBがコンベアーの代替として機能させるため、必ずPP−SBを下層にし、その上にTCFが上層として重ねられる。TCFに起因する全セルロース繊維端末数は計算すると目付20g/m、で約2700個/cm、目付40g/m、で約5400個/cm、目付60g/mで約8100個/cmである。各目付のTCFを40m/min.の速度で2セットの水流交絡装置即ち吸引ユニット4007、4008と受けプレート4005が隣接する装置と、その上方にWJ(水流噴出)ユニット4004を備えた水流交絡装置及び、吸引ユニット4012、4013と受けプレート4010が隣接する装置と、その上方にWJ(水流噴出)ユニット4009を備えた水流交絡装置へとガイドする。受けプレート4005及び4010の上部は受けプレート4005、4010の一部となる支持体4006、4011により支持されている。
水流交絡装置は図10に図示するように、WJユニット4004と、その下方に設けられた受けプレート4005と吸引ユニット4007、4008の組み合わせと、WJユニット4009と、その下方に設けられた受けプレート4010と吸引ユニット4012、4013の組み合わせと、の2ユニットとからなっている。WJユニット4004、WJユニット4009はそれぞれに口径0.12mm、ノズル間隔2mmのノズルプレートが組込まれ、高圧ポンプから7Mpaの高圧イオン交換水が供給される。
図10で使用している吸引ユニット4007、4008と受けプレート4005は天板にスリット状の吸引用の貫通孔を持つ前部吸引ユニット4007と後部吸引ユニット4008が、前後に約15mmの間隔を置いて、別体として配置されている。この15mmの間隙と前部吸引ユニット4007の天板の後端10mmと後部吸引ユニット4008の前端部10mmをカバーする様に、下面前後幅35mm、厚さ5mm、上面前後幅20mmの台形状横断面を有するSUS316製の無孔受けプレートが、下面幅25mm、厚さ5mmのT字型の支え板に溶接されて配置されている。更に受けプレートの表面はバフ仕上げして平滑にしている。吸引ユニット4012,4013と受けプレート4010との関係も全く同様に配置されている
図11(A)は吸引ユニット4007、4008と受けプレート4005の配置を示す斜視図、図11(B)は図11(A)のXIB−XIB横断面模式図である。図11(A)、(B)は天板部と空間部と排出部を備えた吸引ユニットが、前後に前部吸引ユニット4007、後部吸引ユニット4008として別体に設けられ、その前部及び後部吸引ユニット4007、4008の間隙と前部吸引ユニット4007の天板部後部及び後部吸引ユニット4008の天板部前部の上面を傘で覆う様に、無孔で狭幅の台形状の受けプレート4005が配置され、受けプレート4005の中央部位は底板から柱状に立ち上がる複数本の支持体4006によって支えられている構造になっている。支持体4006は断面が逆T字状をなし、受けプレート4005の一部となる。複数本の支持体4006は受けプレート4005の長手方向に並び受けプレートの台形状の上部(受けプレート4005の、断面が台形状の平板部分)を支える。受けプレートの前後に上向きに吸引用の貫通孔が配置される。受けプレート4005の支持体4006は前後の吸引ユニット4007、4008の側部と接合されている。
なおWJユニット4004の下面と受けプレート4005の上面との距離は、この間隙を2層積層体が通過するためこの例では15mmに設定している。またパイプ状の排出口はフレキシブルホースを経由してターボブロワーに接続され20mmHOの減圧状態に保たれている。
前記2層積層体は受けプレート4005上を40m/min.の速度で滑走させつつ、WJユニット4004と4009による水流噴射を受けつつ、上記15mmの間隙を走行し、交絡・脱水処理を終了する。得られた交絡済み複層不織布は、ニップロール4014で更に脱水し乾燥機4015を経て、製品巻取機4016で巻き取られて複層不織布製品とする。
得られた複層不織布の外観表面は、多数の細い線が長さ方向に走り織物のような外観を呈する。得られた複層不織布製品の代表的な物性値をTCFの目付20、40、60g/mによる比較で示すと表8のような結果が得られた。
得られた複層不織布の物性は通常のTCF単体やSB単体に比較し乾燥強度も湿潤強度も高く、縦と横の強度バランスもよい。これらの物性はTCFの目付の増大により増加するが2倍、3倍という目付の増大効果には相応しない。物性値の増大効果は後述するが主に共存セルロース繊維量の増加量に起因するものである。以下主要な特性値について説明する。
(剥離強度の変化)
剥離強度は実施例1でも説明したように水圧に起因するものでいずれのサンプルも1200mN/15mm以上の充分な強度を持ちTCFの目付には影響されない。この強度では手による層間剥離は出来なくなり、界面破壊を起す。
(露出セルロース繊維端末数)
上層のTCFの自由端末(Free Tail)が、上層では短繊維相互が一部交絡し、内部ではPP樹脂繊維にも一部が交絡し、そして残りの多くはPP樹脂繊維層を貫通して、顕微鏡写真図14で示すように、下層のPPスパンボンド不織布の下面全体に短い産毛のように突出する。
突出した繊維端末数を顕微鏡で拡大して計数すると表8に示すように20g/m、40g/m、60g/mとTCFの目付に対応して1500個、2200個、2600個と増加するがそれは全数が多いためで、露出セルロース繊維端末数/端末全数(%)を効率と考えると56%、40%、32%と低下する。
(露出繊維端末の繊維長)
露出繊維端末の繊維長は構成繊維の成長が10mmと短いため最短0.1mm前後から、最長で3mm前後まで広い範囲で存在するが、表9で示すような頻度分布をもっている。頻度分布から加重平均繊維長をそれぞれ計算すると1.2mm、1.0mm、0.8.mmとなる。実施例1と比較して短い端末が密集して存在していることがわかる。この露出繊維端末は製品の機能とともに風合・感触にも大きく影響する。
・使用繊維の繊維長(10mm)と露出繊維端末の繊維長(加重平均繊維長)の割合(L比)
L比を、L=端末の加重平均繊維長/使用繊維の繊維長×100=%の式で計算すると、表8に示すように8%から12%の範囲にある。
(共存セルロース繊維量)
共存セルロース繊維量(g/m)=全セルロース繊維量(20g/m)×露出繊維端末存在比×L
で計算すると、表8に示すように0.9g/m,1.6g/m,2.3g/mと十分な量存在する。
(P/R比の算出)
共存層に存在するセルロース繊維存在量が決まるとPP樹脂繊維重量(15g/m)から、その共存層に存在するPP樹脂繊維(P)とセルロース繊維(R)の割合P/R比が計算される。TCFの目付に対応してP/R比は17、9.4、6.5と変化する。
(ヒートシール性)
本実施例の不織布の示す広い温度範囲における良好なヒートシール性はPP樹脂とセルロース繊維の共存効果に基づくものであり、共存セルロース繊維量とP/R比によってヒートシール性の適正領域が規定される。共存セルロース繊維量が0.9〜2.3g/mと十分な量が存在し、P/R比は17〜6.5といずれも適性の範囲にありヒートシール性は良好でヒートシール部は界面破壊を起すまで強固である。
(水滴に対する親和性)
下面の親水性化に充分な露出セルロース繊維端末量及び共存セルロース繊維量が存在し極めて良好な親水性を示す。
(感触・風合いの改善効果)
短い密集した露出繊維端末の存在により、下層を指や掌でなでると、下層不織布のPPスパンボンド不織布特有の、硬い、引っかかるような感触が消え、赤ちゃんの産毛のようなソフトな風合が得られる。
(実施例3)
実施例2で得られたTCF20g/mとPP−SB15g/mとの複層不織布サンプルを用いて、インパルスヒートシーラーを使用したヒートシールテストを行った。
図15(A)はテストに使用したインパルスヒートシーラー200の外観である。本体中央部台上には、テフロン(登録商標)テープでカバーされたヒートリード線203が設置され、押さえレバー201の下側にセットされたシリコンラバープレート202で圧着されるようになっている。テストピースをヒートリード線203の上に置き、押さえレバー201を押し付けると、ヒートリード線203に通電されてヒートリード線203が加熱され、受けラバープレートとの間に挟まれたテストピースを片側から加熱する形でヒートシールが施される。通電はパイロットランプ204の点灯で知ることができ、通電時間は通電時間調整ダイアル205で設定することができる。
加熱温度は通電時間調節ダイアル(無段階)で調整する方式であるが、図15(B)に通電時間調節ダイアルの目盛(0〜8)とヒートリード線への通電時間(実測値)との関係をグラフで示した。シール部の温度の実測は困難なため、素材の溶融状況等から推定した概略温度を右軸に併記した。押さえレバーを押さえると同時に通電が開始され、通電中はダイアル上のパイロットランプが点灯するので、少なくともランプ点灯中は力を緩めることなくレバーを押さえ続ける必要がある。
図15(C)に示すように、テストピースは縦長の帯状に裁断し、所定の構成に2枚のサンプルを重ね合わせた後、その一方の端部近傍を横方向にヒートシールする。他方の端部は上下に開いて、引張試験機でシール部の破断強度を測定する。引張試験機としては、テンシロン万能試験機RTA−100型を用い、試料幅25mm、引張速度50mm/分の条件で測定した。
図16は各種組み合わせでヒートシールしたサンプルの通電時間(目盛)と破断強度の関係をグラフにしたものである。図中の破線は、ヒートシール接着(融着)が不充分で、2枚のシール部が剥がれる領域を示す。ここでテストに用いた複層不織布は全て実施例2で得られたTCF20g/mとPP−SB15g/mとの複層不織布である。
サンプル(a)は図4で図示した複層不織布同士のX面とY面の接合、サンプル(b)は図5に相当するY面とY面の接合サンプルである。サンプル(c),(d)は間に別素材を挟んだ3重積層融着で、サンプル(c)が図6に相当する13g/mのSMS不織布を挟んだもの、サンプル(d)が図7に相当する厚さ25μのPPフィルムを挟んだサンプルである。更に比較のためのサンプル(e)として、15g/mのPP−SB不織布同士の接合も加えた。
まず比較としてのサンプル(e);SB−SBの接合であるが、接合可能な条件は、ダイアル目盛で僅か0.5目盛、シール部概略温度として150〜160°C程度と、極めて狭い範囲での限られた条件が必要である。温度がそれ以下だと接合できず、それ以上だとすぐ溶断してしまう状況になり、工業生産条件として採用するのには難しい素材である。
それに対して実施例2で得られた複層不織布の場合、サンプル(a);X面‐Y面の接合では、シール部概略温度は170°C前後以上と若干高目の温度まで加熱する必要があるが、その後は装置の限界(210°C前後)まで上昇させても溶断を起こすことなく安定に推移する。またサンプル(b);Y面‐Y面の接合ではサンプル(a)に比較して充分な量のPP成分の存在により、より早くから溶着が進む。破断強度もサンプル(a)に比較して大きくなっている。このテスト方式では、シール(加熱)時間は4秒弱、温度も200°C前後までとの制約があるが、シール時間に関しては熱アイロンのテスト等によっても10分以上保持しても溶断は起こらないし、シール温度についても理論的に300°C以上になってもセルロースが熱分解しない限り、安定なヒートシール操作が可能であると推定される。
更に3重積層不織布であるサンプル(c)とサンプル(d)の接合では、サンプル(b)よりも更に多いPP成分の存在により、破断強度もサンプル(b)よりも更に大きくなって、安定したヒートシール操作が可能となる。3重積層の場合も2重積層と同様に、シール時間をより延長しても安定であるし、シール温度についても理論的には300°C以上になってもセルロースが熱分解しない限り、安定なヒートシール操作が可能であると推定される。
11−1 受けプレート
12−1 吸引ユニット
13−1 スリット
1001、4002 基材(不織布)巻出し機
1002、1003 カード機
1004 ウェブ搬送コンベアー
1005〜1007、4004、4009 WJユニット
1008〜1010 吸引ユニット/受けプレート
1011、4014 ニップロール
1012、4015 乾燥機
1013、4016 製品巻取機
4001 上層不織布巻出し機
4003 プレスロール
4005、4010 受けプレート
4006、4011 支持体
4007、4008、40012、4013 吸引ユニット

Claims (18)

  1. セルロース繊維からなるセルロース繊維層と、セルロース繊維がPP樹脂繊維不織布に交絡又は/及び貫通する状態で存在するPP樹脂繊維成分とセルロース繊維成分の共存層と、を有し、
    前記共存層に存在するPP樹脂繊維(P)とセルロース繊維(R)との重量の割合であるP/R比が0.5〜50.0の範囲にあり、
    前記共存層は、前記PP樹脂繊維不織布を貫通して複層不織布の最下表面に露出するセルロース繊維を有する、セルロース繊維不織布とPP樹脂繊維不織布との複層不織布。
  2. 前記P/R比が40.0以下で共存セルロース繊維量が0.5g/m以上である請求項1に記載の複層不織布。
  3. 前記共存層は、前記PP樹脂不織布を貫通して複層不織布の最表面から突出するセルロース繊維を有するセルロース繊維領域を備えている請求項1又は2に記載の複層不織布。
  4. 前記共存層は、セルロース繊維が主体でPP樹脂繊維不織布の一部が共存する第1共存領域と、PP樹脂繊維不織布が主体でセルロース繊維の一部が共存する第2共存領域と、前記PP樹脂不織布を貫通して複層不織布の最表面から突出するセルロース繊維を有するセルロース繊維領域と、を備えている請求項1又は2に記載の複層不織布。
  5. 前記セルロース繊維層が両端に繊維端末を持つ繊維長1mm〜100mmの短繊維セルロース繊維から構成されている請求項1から4のいずれか1項に記載の複層不織布。
  6. 前記短繊維セルロース繊維が木材パルプ、コットン、レーヨン、リヨセルのいずれかを含むものである請求項5に記載の複層不織布。
  7. 前記セルロース繊維層がレーヨンスパンボンド(TCF)である請求項1から6のいずれか1項に記載の複層不織布。
  8. 前記共存層のPP樹脂繊維不織布がPP樹脂のスパンボンド不織布である請求項1から7のいずれか1項に記載の複層不織布。
  9. 前記共存層のPP樹脂繊維不織布がPP樹脂のメルトブローン不織布である請求項1から7のいずれか1項に記載の複層不織布。
  10. 前記共存層のPP樹脂繊維不織布がPP樹脂のスパンボンドとメルトブローンの複合体不織布である請求項1から7のいずれか1項に記載の複層不織布。
  11. 前記複層不織布をPP樹脂の溶融温度を超える温度で加熱し、前記共存層のPP樹脂繊維不織布に熱溶融処理を施してなる請求項1から10のいずれか1項に記載の複層不織布。
  12. 前記複層不織布に熱溶融処理を施すことにより、部分的にフィルム化した表面部位を有する請求項11に記載の複層不織布。
  13. 前記複層不織布に熱溶融処理を施すことにより、ほぼ全面にわたってフィルム化した表面部位を有する請求項11記載の複層不織布。
  14. 請求項1から10のいずれか1項に記載の複層不織布を複数有し、複数の前記複層不織布を重ねて加熱溶融により接合して成る積層不織布。
  15. 請求項1から10のいずれか1項に記載の複層不織布を複数有し、
    複数の前記複層不織布のうちの第1の複層不織布の前記セルロース繊維層の上表面を第1の面とし、複数の前記複層不織布のうちの第2の複層不織布の前記共存層の下表面を第2の面としたとき、前記第1の複層不織布の第1の面と、前記第2の複層不織布の第2の面とを重ねて加熱溶融により接合して成る積層不織布。
  16. 請求項1から10のいずれか1項に記載の複層不織布を複数有し、
    複数の前記複層不織布のうちの第1の複層不織布の前記共存層の下表面を第1の面とし、複数の前記複層不織布のうちの第2の複層不織布の前記共存層の下表面を第2の面としたとき、前記第1の複層不織布の第1の面と、前記第2の複層不織布の第2の面とを重ねて加熱溶融により接合して成る積層不織布。
  17. 前記第1の面と前記第2の面との間にPP樹脂−SMS不織布を挟み、加熱溶融により接合して成る請求項16に記載の積層不織布。
  18. 前記第1の面と前記第2の面との間にPP樹脂フィルムを挟み、加熱溶融により接合して成る請求項16に記載の積層不織布。
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