JP2018104335A - ペンタフルオロフェニルボレート塩の有機溶媒溶液の製造方法 - Google Patents

ペンタフルオロフェニルボレート塩の有機溶媒溶液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、芳香族炭化水素と、ハロゲン化炭化水素を溶媒として併用することを特徴とするペンタフルオロフェニルボレート塩の溶液調製方法を提供することを目的とするものです。これにより、均一溶液による溶液重合が可能となり、反応系内での濃度ムラや、局所的な異常反応を抑制し、異物が少なく機械特性に優れるオレフィン、共役ジエン重合体を提供することを目的とするものです。【解決手段】 本発明は、芳香族炭化水素と、ハロゲン化炭化水素を溶媒として併用することを特徴とするペンタフルオロフェニルボレート塩の溶解方法に関するものであります。【選択図】なし

Description

本発明は、ペンタフルオロフェニルボレート塩の溶解方法及びその高濃度溶液に関するものである。
従来、オレフィンやジエンの配位重合用触媒や有機合成反応用触媒として、遷移金属化合物(例えば塩、あるいはメタロセン錯体など)が用いられており、数多くの報告がなされている。これらの触媒は、通常、有機金属化合物、例えばアルキルリチウム、アルキルアルミニウム、アルキルアルミノキサン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどの活性化剤、あるいは助触媒とともに用いられるが、イオン性化合物であるペンタフルオロフェニルボレート塩も有用であることが知られている。
アルキルアルミニウム、アルキルアルミノキサン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランは、オレフィン重合用助触媒として有用であり、これらはヘキサン、トルエンなどの一般的な炭化水素系溶媒に容易に溶解する。そのため、均一溶液反応に容易に適用できるほか、担持触媒製造時の溶液調製も容易に行うことが出来る。
一方で、イオン性化合物であるペンタフルオロフェニルボレート塩は、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素溶媒にある程度は溶解性を示すものの、均一な溶液を調製しようとしても、常温で数ミリモル/リットル程度、1重量%以下程度の濃度が限界である。また、石油エーテル、ガソリン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族飽和炭化水素には実質的に不溶である。
また、ペンタフルオロフェニルボレート塩の中には、ある濃度を超えると、一定濃度の希薄溶液相と濃厚溶液相に分離してしまい、希薄溶液相以上、濃厚溶液相以下の濃度の均一溶液を調製することができないものがある。この場合、希薄溶液相以上、濃厚溶液相以下の希望する濃度の溶液を調製しようとしても、均一な状態を保つことができない。このような不均一な混合液を使用すると、反応系内で濃度ムラが発生し、局所的な異常反応を引き起こしたり、さらには製品中の異物の原因となったりする問題があった。
例えば、特表平9−503542号公報には、触媒として1,2−エチレン架橋ジルコノセンジクロリドをガソリン中に懸濁させたスラリーを用い、助触媒としてジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートをガソリン中に懸濁させたスラリーを用いて、オレフィン重合体を製造する方法が開示されている。
また、特開平9−316122号公報、特開平11−322850号公報、特許第3562182号公報等には、触媒としてシクロペンタジエニルバナジウムトリクロリド(CpVCl3 )のトルエン溶液を用い、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3 CB(C6 F5 )4 )の希薄なトルエン溶液(濃度2.5乃至5ミリモル/リットル)を用いた共役ジエン重合体の製造方法が開示されている。
また、特開2007−161798号公報、特許第5223311号公報には、触媒として嵩高い配位子を有するイットリウム化合物を用い、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの濃厚なトルエン溶液(濃度430ミリモル/リットル)を用いた共役ジエン重合体の製造方法が開示されている。
このように従来は、反応槽にペンタフルオロフェニルボレート塩を添加する場合、懸濁液として添加、あるいは低濃度の溶液を多量に添加したり、相分離した濃厚相として得られる、特定の高濃度溶液を添加したりする必要があった。懸濁液や、特定の高濃度溶液を使用すると、未反応で残ったペンタフルオロフェニルボレート塩が異物として製品中に残留することがあり好ましくない。また、低濃度の溶液を多量に添加すると、貯蔵設備の大型化や、多量の溶媒を回収するプロセスが必要となり、経済的に好ましくない。
特表平9−503542号公報 特開平9−316122号公報 特開平11−322850号公報 特許第3562182号公報 特開2007−161798号公報 特許第5223311号公報
本発明の課題は、ペンタフルオロフェニルボレート塩の高濃度溶液を任意の濃度で調製できる溶解方法を提供すること、及びその高濃度溶液を提供することである。
本発明は、芳香族炭化水素と、ハロゲン化炭化水素を溶媒として併用することを特徴とするペンタフルオロフェニルボレート塩の溶液調製方法に関する。
また、本発明は、芳香族炭化水素が炭素数1〜12のアルキル基で置換されたアルキルベンゼンであることを特徴とする上記のペンタフルオロフェニルボレート塩の溶液調製方法に関する。
さらに、本発明は、芳香族炭化水素がトルエン、エチルベンゼン、キシレンから選ばれる化合物であることを特徴とする上記のペンタフルオロフェニルボレート塩の溶液調製方法に関する。
さらに、本発明は、ハロゲン化炭化水素が1,2−ジクロベンゼンであることを特徴とする上記のペンタフルオロフェニルボレート塩の溶液調製方法に関する。
特に、本発明は、ペンタフルオロフェニルボレート塩が、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートであることを特徴とする上記のペンタフルオロフェニルボレート塩の溶液調製方法に関する。
本発明により、常温で、濃度が5ミリモル/リットル以上であることを特徴とするペンタフルオロフェニルボレートの有機溶媒溶液を調製することができる。
上記の発明により、これまでは得られなかった、濃度が5ミリモル/リットル以上、430ミリモル/リットル以下であることを特徴とするトリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートの有機溶媒溶液を得ることができる。
また、上記の発明により得られる溶液を触媒成分として用いることにより、オレフィン、共役ジエンの重合が可能である。
本発明は、芳香族炭化水素と、ハロゲン化炭化水素を溶媒として併用することを特徴とするペンタフルオロフェニルボレート塩の溶液調製方法を提供する。これにより、均一溶液による溶液重合が可能となり、反応系内での濃度ムラや、局所的な異常反応を抑制し、異物が少なく機械特性に優れるオレフィン、共役ジエン重合体を提供できる。
本発明は、芳香族炭化水素と、ハロゲン化炭化水素を溶媒として併用することを特徴とするペンタフルオロフェニルボレート塩の溶液調製方法に関する。
本発明のペンタフルオロボレート塩としては、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレ−ト、ジフェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニル(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、などの塩が挙げられる。
一方、本発明のペンタフルオロボレート塩を構成するカチオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンなどの典型金属イオンや、遷移金属イオン、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、フェロセニウムカチオンなどを挙げることができる。
金属イオンの具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオン、チタンイオン、ジルコニウムイオン、バナジウムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、コバルトイオン、亜鉛イオン、銅イオン、銀イオン、金イオン、ランタンイオン、ネオジムイオン、サマリウムイオン、ガドリニウムイオン、プラセオジムイオン、テルビウムイオン及びそれらの錯イオン等が挙げられる。
カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンを挙げることができる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンを挙げることができる。
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(i−プロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンを挙げることができる。
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのアリ−ルホスホニウムカチオンを挙げることができる。
該ペンタフルオロボレート塩は、上記で例示したカチオンの中から任意に選択して組み合せたものを好ましく用いることができる
中でも、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、トリフェニルカルボニウムテトラキス(フルオロフェニル)ボレ−ト、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、1,1'−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−トなどが好ましく、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−トがより好ましい。イオン性化合物を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒として用いる芳香族炭化水素と、併用するハロゲン化炭化水素の組み合わせに特に制限は無いが、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ドデシルベンゼン、クメン、p−シメンなどのアルキルベンゼン類が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基で置換されたアルキルベンゼンであることがより好ましい。中でも、汎用性の点から、トルエン、エチルベンゼン、キシレン(o-キシレン、p−キシレン)が特に好ましい。
ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化ブチル、塩化ヘキシル、ジクロロヘキサンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、o-クロロトルエン、m-クロロトルエン、p-クロロトルエン、ジクロロトルエン、トリクロロベンゼン、エチルクロロベンゼンなどの芳香族ハロゲン化炭化水素が好ましい。中でも、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン(1,2−ジクロベンゼン)が特に好ましい。
溶媒として用いる芳香族炭化水素と、併用するハロゲン化炭化水素の量比に特に制限は無く、任意の量比で混合して用いることができるが、容量比で芳香族炭化水素100容に対し、ハロゲン化炭化水素0.01容〜100容、好ましくは0.1容〜50容、特に好ましくは1容〜30容の範囲で混合して用いることができる。
本発明のペンタフルオロボレート塩の溶解方法に特に制限はないが、一般的にハロゲン化炭化水素に対する溶解性が高いため、あらかじめペンタフルオロボレート塩をハロゲン化炭化水素に溶解したのち、芳香族炭化水素で希釈することが好ましい。
ペンタフルオロフェニルボレート塩(トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)の均一な有機溶媒溶液の濃度としては、5ミリモル/リットルより高く、430ミリモル/リットル未満である。この範囲であると、ペンタフルオロフェニルボレート塩の均一(懸濁ではない)の溶液を得ることができるという点で有効である。
本発明のペンタフルオロボレート塩の溶液調整温度は、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜80℃、特に好ましくは15℃〜60℃が望ましい。低温では、溶解度の低下によりペンタフルオロボレート塩が析出する恐れがあり、高温では、溶媒の揮発による濃縮や、ペンタフルオロボレート塩の熱分解の恐れがあり、好ましくない。
本発明により得られる溶液は、触媒成分として用いることにより、オレフィン、共役ジエンの重合用助触媒としての利用が可能である。
オレフィン、共役ジエンの重合触媒としては特に制限はなく、任意の遷移金属塩、遷移金属錯体、希土類金属塩、希土類金属錯体、典型元素化合物を単独、あるいは組み合わせて使用することができる。
オレフィン、共役ジエンの重合触媒として用いられる遷移金属塩としては、例えば塩化物、臭化物、硝酸塩、酢酸塩、マロン酸塩、オクチル酸塩、ナフテン酸塩、バーサチック酸塩等が挙げられる。
オレフィン、共役ジエンの重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては、例えばアセチルアセトナ−ト、ジメチルヘプタンジオナート、テトラメチルヘプタンジオナート、エチルアセトアセタート、ハロゲン化物トリアリ−ルホスフィン錯体、トリアルキルホスフィン錯体、ピリジン錯体、ピコリン錯体等の有機塩基錯体、アルキル錯体、エチレン錯体、ブタジエン錯体、イソプレン錯体、シクロペンタジエニル錯体、置換シクロペンタジエニル錯体、シクロオクタジエン錯体等の炭化水素基含有錯体、アミド錯体、アルコキシ錯体、アルキルチオ錯体が挙げられる。
オレフィン、共役ジエンの重合触媒として用いられる典型元素化合物としては、例えば
アルキル金属、アリル金属、アリール金属、およびそれらの水素化物やハロゲン化物が挙げられる。
オレフィン、共役ジエンの重合触媒としては、中でも、コバルト化合物、有機アルミニウム化合物及び水からなる触媒系、RVX、RV(O)X、RVX・L、RVX・Lで表される有機バナジウムから選択される化合物と有機アルミニウム化合物及び水からなる触媒系、イットリウム化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、希土類金属化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系、が好ましい。
以下に本発明に基づく実施例について具体的に記載する。
(実施例1)
室温、窒素雰囲気下、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート2.3gを、予め脱水した混合溶媒(トルエン100容に対し、オルトジクロロベンゼン2.5容)で500mlまで希釈することにより、オレンジ色の均一な溶液を得た。濃度は4.6g/L(5mmol/L)である。
(実施例2)
室温、窒素雰囲気下、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート4.61gに、予め脱水したオルトジクロロベンゼン23mlを加え、濃赤褐色の溶液を得た。この溶液を予め脱水したトルエンで500mlまで希釈することにより、オレンジ色の均一な溶液を得た。濃度は9.2g/L(10mmol/L)である。
(実施例3)
室温、窒素雰囲気下、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート9.22gに、予め脱水したオルトジクロロベンゼン46mlを加え、濃赤褐色の溶液を得た。この溶液を予め脱水したトルエンで500mlまで希釈することにより、オレンジ色の均一な溶液を得た。濃度は18.4g/L(20mmol/L)である。
(実施例4)
室温、窒素雰囲気下、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート23.1gに、予め脱水したオルトジクロロベンゼン70mlを加え、濃赤褐色の溶液を得た。この溶液を予め脱水したトルエンで500mlまで希釈することにより、濃オレンジ色の均一な溶液を得た。濃度は46.2g/L(50mmol/L)である。
(実施例5)
室温、窒素雰囲気下、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート46.1gに、予め脱水したオルトジクロロベンゼン70mlを加え、濃赤褐色の溶液を得た。この溶液を予め脱水したトルエンで500mlまで希釈することにより、濃オレンジ色の均一な溶液を得た。濃度は92.2g/L(100mmol/L)である。
(実施例6)
室温、窒素雰囲気下、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート45.0gに、予め脱水したオルトジクロロベンゼン30mlを加え、濃赤褐色の溶液を得た。この溶液を予め脱水したトルエンで250mlまで希釈することにより、濃赤褐色の均一な溶液を得た。濃度は180g/L(195mmol/L)である。
(比較例1)
室温、窒素雰囲気下、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート4.5gに、予め脱水した流動パラフィン20mlとジルコニアビーズを加え、回転ボールミルで粉砕することにより、黄色の懸濁液を得た。流動パラフィンで希釈し、濃度が180g/L(195mmol/L)となるように調製した。
(比較例2)
比較例1で得られた懸濁液を流動パラフィンで希釈し、濃度が46.2g/L(50mmol/L)となるように調製した。
(比較例3)
室温、窒素雰囲気下、トリフェニルカルベニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート9.9gに、予め脱水したトルエンを加えて25mlまで希釈することにより、濃赤褐色の均一な溶液を得た。濃度は397g/L(430mmol/L)である。
ミクロ構造は赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm-1、トランス967cm-1、ビニル910cm-1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
固有粘度([η])は、トルエン溶液を使用して、30℃で測定した。
ポリマー性状は、最終的に得られたポリブタジエンを目視により確認した。
(合成例1)
内容量1.7Lのオートクレーブの内部を窒素置換し、シクロヘキサン380ml、ブタジエン220mlを仕込んで攪拌する。次いで、水6μlを添加して30℃で30分間攪拌を続けた。20℃、1気圧換算で100mlの水素を積算マスフロメーターで計量して注入し、次いで、トリエチルアルミニウム(TEA)1mol/Lのシクロヘキサン溶液0.6mlを添加して3分間攪拌後、シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド(CpVCl3 )5mmol/Lのトルエン溶液0.9ml、実施例1で得られたトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3 CB(C6 F5 )4 )5mmol/Lの溶液1.35mlの順に加え、重合温度40℃で30分間重合を行った。反応後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを含有するエタノールを注入して反応を停止させた後、溶媒を蒸発させ乾燥させてポリブタジエン70.7gを得た。表1(合成例1)に得られたポリブタジエンの物性を示した。
(合成例2)
実施例2で得られたトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3 CB(C6 F5 )4 )10mmol/Lの溶液0.68mlを用いた他は合成例1と同様の重合を行い、ポリブタジエン71.4gを得た。表1(合成例2)に得られたポリブタジエンの物性を示した。
(合成例3)
実施例3で得られたトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3 CB(C6 F5 )4 )20mmol/Lの溶液0.34mlを用いた他は合成例1と同様の重合を行い、ポリブタジエン71.1gを得た。表1(合成例3)に得られたポリブタジエンの物性を示した。
(合成例4)
実施例4で得られたトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3 CB(C6 F5 )4 )50mmol/Lの溶液0.14mlを用いた他は合成例1と同様の重合を行い、ポリブタジエン72.0gを得た。表1(合成例4)に得られたポリブタジエンの物性を示した。
(合成例5)
実施例5で得られたトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3 CB(C6 F5 )4 )100mmol/Lの溶液68μlを用いた他は合成例1と同様の重合を行い、ポリブタジエン72.6gを得た。表1(合成例5)に得られたポリブタジエンの物性を示した。
(合成例6)
実施例6で得られたトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3 CB(C6 F5 )4 )195mmol/Lの溶液35μlを用いた他は合成例1と同様の重合を行い、ポリブタジエン77.8gを得た。表1(合成例6)に得られたポリブタジエンの物性を示した。
(合成例7)
比較例1で得られたトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3 CB(C6 F5 )4 )195mmol/Lの懸濁液35μlを用いた他は合成例1と同様の重合を行い、ポリブタジエン38.2gを得た。表1(合成例7)に得られたポリブタジエンの物性を示した。ポリブタジエン中に茶褐色の異物を認めた。
(合成例8)
比較例2で得られたトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3 CB(C6 F5 )4 )50mmol/Lの懸濁液0.14mlを用いた他は合成例1と同様の重合を行い、ポリブタジエン49.2gを得た。表1(合成例8)に得られたポリブタジエンの物性を示した。ポリブタジエン中にわずかに茶褐色の異物を認めた。
(合成例9)
比較例3で得られたトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3 CB(C6 F5 )4 )430mmol/Lの溶液16μlを用いた他は合成例1と同様の重合を行い、ポリブタジエン40.4gを得た。表1(合成例9)に得られたポリブタジエンの物性を示した。ポリブタジエン中に茶褐色の異物を認めた。
本発明により、幅広い濃度範囲でペンタフルオロフェニルボレート塩の均一溶液を提供できる。また、本発明によれば、懸濁液や高濃度溶液と比較して異物の少ない優れた重合体を与えるペンタフルオロフェニルボレート塩の均一溶液を提供することもできる。本発明のペンタフルオロフェニルボレート塩の均一溶液は、溶液タンクや溶媒回収プロセスの小型化や、重合体品質の向上に貢献するものである。
本発明は、ペンタフルオロフェニルボレート塩をハロゲン化炭化水素に溶解させ、芳香族炭化水素で希釈することを特徴とするペンタフルオロフェニルボレート塩の有機溶媒溶液の製造方法に関する。
また、本発明は、前記芳香族炭化水素が炭素数1〜12のアルキル基で置換されたアルキルベンゼンであることを特徴とする上記のペンタフルオロフェニルボレート塩の有機溶媒溶液の製造方法に関する。
さらに、本発明は、前記芳香族炭化水素がトルエン、エチルベンゼン、キシレンから選ばれる化合物であることを特徴とする上記のペンタフルオロフェニルボレート塩の有機溶媒溶液の製造方法に関する。
さらに、本発明は、前記ハロゲン化炭化水素が1,2−ジクロベンゼンであることを特徴とする上記のペンタフルオロフェニルボレート塩の有機溶媒溶液の製造方法に関する。
特に、本発明は、前記ペンタフルオロフェニルボレート塩が、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであることを特徴とする上記のペンタフルオロフェニルボレート塩の有機溶媒溶液の製造方法に関する。

Claims (8)

  1. 芳香族炭化水素と、ハロゲン化炭化水素を溶媒として併用することを特徴とするペンタフルオロフェニルボレート塩の溶解方法。
  2. 芳香族炭化水素が炭素数1〜12のアルキル基で置換されたアルキルベンゼンであることを特徴とする請求項1に記載のペンタフルオロフェニルボレート塩の溶解方法。
  3. 芳香族炭化水素がトルエン、エチルベンゼン、キシレンから選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1に記載のペンタフルオロフェニルボレート塩の溶解方法。
  4. ハロゲン化炭化水素が1,2−ジクロベンゼンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のペンタフルオロフェニルボレート塩の溶解方法。
  5. ペンタフルオロフェニルボレート塩が、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のペンタフルオロフェニルボレート塩の溶解方法。
  6. 濃度が5ミリモル/リットルより高いことを特徴とするペンタフルオロフェニルボレート塩の有機溶媒溶液。
  7. 濃度が5ミリモル/リットルより高いことを特徴とするトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの有機溶媒溶液。
  8. 濃度が5ミリモル/リットルより高く、430ミリモル/リットル未満であることを特徴とするトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの有機溶媒溶液。
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