以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.温度補償精度について
図1を用いて、環境の違いに起因する温度補償精度の低下について説明する。図1は、本実施形態の手法を用いない回路装置を適用した発振器の発振周波数偏差ΔF/Fの温度特性(周波数温度特性)である。発振周波数偏差ΔF/Fは、基準発振周波数F(例えば公称発振周波数)と発振周波数の差分ΔFと、基準発振周波数Fとの商である。
TSA1は検査環境で測定した温度特性であり、TSA2は実装環境で測定した温度特性である。ここでは、回路基板に実装されたソケットに発振器を装着した状態が検査環境である。なお、本発明を適用可能な検査環境はこれに限定されず、例えばプローブピンを発振器の端子に接触させた状態等を検査環境としてもよい。実装環境は、回路基板の配線パターン(或いは端子)に発振器の端子を接続(例えば、はんだ(solder)による接続)した状態である。
ソケットを用いた場合、発振器の端子(例えば電源端子、接地端子)から回路基板の配線パターンまでは、ソケット内の配線で接続される。電源間のパスコンデンサーは回路基板に設けられるので、発振器の端子からパスコンデンサーまでの配線が長くなる。これらの配線が寄生インダクタンスや寄生抵抗を有すると共に、発振器の端子とソケットの端子との間に接触抵抗があるので、発振器の端子からパスコンデンサーまでのインピーダンスが高くなってしまう。回路装置の内部で発生した電源ノイズはパスコンデンサーにより低減されるが、上記のような配線のインピーダンスによって、ノイズ低減効果が低下してしまう。
なお、このようなノイズ低減効果の低下は、プローブピンを用いて測定を行った場合にも生じる。即ち、プローブピンはテスト装置の回路基板に設けられているが、電源間のパスコンデンサーは回路基板に設けられている。そのため、プローブピンの寄生インダクタンスや寄生抵抗、発振器の端子とプローブピンの間の接触抵抗によって、発振器の端子からパスコンデンサーまでのインピーダンスが高くなってしまう。
一方、回路基板に発振器を実装した場合、発振器の端子の近くに(プローブピンの場合よりも短い配線長で)パスコンデンサーを設けることが可能である。そのため、回路装置のパッドから見たインピーダンスは、パッドから発振器のパッケージの端子までのインピーダンスと、上記の短い配線のインピーダンスとなる。即ち、ソケット等を用いた環境での回路装置のパッドから見たインピーダンスよりも小さくなる。
図1に示すように、このような環境の違いによって、検査環境での発振周波数偏差の温度特性TSA1と、実装環境での発振周波数偏差の温度特性TSA2とが異なっている。温度補償パラメーターは、検査環境で測定された発振周波数の温度特性TSA1に基づいて、温度特性がΔF/F=0を中心とする仕様の範囲内になるように決定される。即ち、その温度補償パラメーターにより温度補償を行えば、検査環境では、温度特性がΔF/F=0を中心とする仕様の範囲内になる。しかしながら、検査環境と実装環境では温度特性の差があるので、その差の分だけ、実装環境では温度補償精度が低下してしまうことになる。
2.回路装置
図2は、上記のような課題を解決することが可能な本実施形態の回路装置100のレイアウト構成例である。回路装置100は半導体チップ(集積回路装置)により実現され、図2は、その半導体チップの平面視におけるレイアウト構成例である。回路装置100は、発振回路、クロック信号出力回路、温度補償回路、低電位側電源パッド(第1のパッド)、高電位側電源パッド(第2のパッド)、第1の電源線50(第1の環状電源線)、第2の電源線60(第2の環状電源線)を含む。なお、本実施形態は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
発振回路は、発振子を発振させる回路であり、配置領域OSCに配置される。クロック信号出力回路は、発振回路の発振信号に基づくクロック信号を出力する回路であり、配置領域CKOUTに配置される。温度補償回路は、発振信号の発振周波数の温度補償を行う回路であり、配置領域TCMPに配置される。なお、これらの回路の詳細は後述する。回路の配置領域とは、その回路の構成要素が配置される領域である。即ち、回路を構成する回路素子やその素子間を接続する配線、ガードバー(回路の周囲に設けられた拡散領域を電源等に接続することでノイズ等から回路を保護する構造)等が配置される領域である。回路素子は、例えばトランジスターや抵抗、キャパシター等であり、それらを構成するポリシリコンや拡散層、メタル層が領域内に配置される。
低電位側電源パッドは、低電位側電源VSS(低電位側電源電位)が供給されるパッドであり、パッド領域PAD1に配置される。高電位側電源パッドは、高電位側電源VDD(高電位側電源電位)が供給されるパッドであり、パッド領域PAD2に配置される。パッドは、半導体チップ内の回路と半導体チップ外の回路(又は端子)とを電気的に接続するための端子である。パッド領域は、メタル層(例えば最上層のメタル層)のうちパッシベーション膜(絶縁層)から露出した部分の領域である。この露出したメタル層によってパッドが構成されている。低電位側電源VSS(第1の電源、例えばグランド)、高電位側電源VDD(第2の電源)は、回路装置100の外部から低電位側電源パッド、高電位側電源パッドを介して回路装置100に供給される電源である。高電位側電源VDDは、低電位側電源VSSよりも高い電位の電源である。
回路配置領域30は、発振回路、クロック信号出力回路及び温度補償回路が配置される領域である。具体的には、回路配置領域30は、回路装置100のコアとなる回路が配置される領域である。コアとなる回路とは、回路装置100の機能を実現するための回路である。例えば、回路装置100が入出力する信号の処理を行う回路、回路装置が出力する信号を生成する回路等である。例えば、回路装置100のコアとなる回路を含む長方形又は正方形のうち最小の長方形又は正方形が回路配置領域30である。
第1の電源線50は、回路配置領域30の内周又は外周に沿って設けられ、低電位側電源パッドからの低電位側電源VSSを供給する電源線である。第2の電源線60は、回路配置領域30の内周又は外周に沿って設けられ、高電位側電源パッドからの高電位側電源VDDを供給する電源線である。領域の内周とは、領域の内側と外側を分ける境界の内側に沿った周囲のことであり、領域の外周とは、領域の内側と外側を分ける境界の外側に沿った周囲のことである。電源線が領域の内周又は外周に沿って設けられるとは、電源線が領域の内周又は外周を一周するように(環状に)設けられることである。図2では、第1の電源線50及び第2の電源線60が回路配置領域30の内周に沿って設けられる場合を図示しているが、これに限定されず、第1の電源線50及び第2の電源線60が回路配置領域30の外周に沿って設けられてもよいし、第1の電源線50及び第2の電源線60の一方が回路配置領域30の内周に沿って設けられると共に他方が回路配置領域30の外周に沿って設けられてもよい。
第1の電源線50及び第2の電源線60の少なくとも一方の電源線は、境界領域34において不連続部分により分離されている。即ち、境界領域34において電源線の不連続部分である切れ目により電源線が分離されている。図2では、第1の電源線50に不連続部分である切れ目KMLが設けられ、第2の電源線60に不連続部分である切れ目KMHが設けられる場合を図示しているが、これに限定されず、第1の電源線50及び第2の電源線60の一方にのみ不連続部分(切れ目)が設けられてもよい。境界領域34は、発振回路及びクロック信号出力回路の配置領域32と温度補償回路の配置領域TCMPとの間の境界領域である。配置領域32は、発振回路の配置領域OSC及びクロック信号出力回路の配置領域CKOUTを含む領域であり、例えば配置領域OSC、CKOUTを包含する最小の領域である。境界領域34は、配置領域32と配置領域TCMPの間における、第1の電源線50及び第2の電源線60の配線領域(切れ目KMH、KMLを包含する)である。例えば、配置領域32のある辺HNAと配置領域TCMPのある辺HNBが向かい合う場合に、その辺HNAと辺HNBの間の領域である。切れ目KML、KMH(不連続部分)は、境界領域34内のどこに設けられていてもよい。電源線の不連続部分とは、電源線を構成する配線(金属層)が不連続(配線が延びる方向において不連続)になっている部分である。即ち、電源線が途中で切れている所(切れている部分)である。具体的には、電源線が途中で切れている所にできている、電源線のすき間のことである。
以上の実施形態によれば、回路配置領域30の内周又は外周に沿って一周するように設けられた(環状の)第1の電源線50及び第2の電源線60の少なくとも一方の電源線に不連続部分(切れ目)が設けられる。これにより、不連続部分を境にして電源線が分離され、その分離された一方の電源線と他方の電源線との間で電源ノイズが伝搬することを抑制できる。即ち、その伝搬経路を電源線の不連続部分によって遮断できる。また、発振回路及びクロック信号出力回路の配置領域32と温度補償回路の配置領域TCMPとの間の境界領域34に不連続部分を設けることで、発振回路及びクロック信号出力回路に電源を供給する電源線と、温度補償回路に電源を供給する電源線とを不連続部分により分離することが可能になる。発振回路及びクロック信号出力回路は発振信号を処理するAC(交流、高周波数)的な動作を行う回路であり、一方、温度補償回路は発振周波数を制御する制御電圧を生成するDC(直流、低周波数)的な動作を行う回路である。これらの電源を分離できることによって、AC的な動作を行う回路で発生した電源ノイズがDC的な動作を行う温度補償回路へ伝搬することを抑制できる。
上述したように検査環境と実装環境では電源環境が異なるため、AC的な動作を行う回路で発生する電源ノイズの振幅が異なってくると考えられる。この点、本実施形態では不連続部分(切れ目)により電源線が分離されるので、AC的な動作を行う回路に伝搬する電源ノイズは環境による影響を受けにくくなる。そのため、図1で説明したような環境の違いによる温度補償特性の違いが生じにくくなり、温度補償精度を向上することが可能になる。
また本実施形態では、第1の電源線50が、不連続部分により分離されている。即ち、第1の電源線50に切れ目KMLが設けられている。このとき、第1の電源線50は、低電位側電源パッドから配線されている(低電位側電源パッドに導通される)第1の低電位側電源線SL1と、低電位側電源パッドから第1の低電位側電源線SL1と分岐して配線されている(低電位側電源パッドに第1の低電位側電源線SL1と分岐して導通される)第2の低電位側電源線SL2と、を有する。そして、第1の電源線50の不連続部分(切れ目KML)は、第1の低電位側電源線SL1の端部と第2の低電位側電源線SL2の端部との間のすき間である。換言すると、切れ目KMLを挟んで第1の低電位側電源線SL1の端部と第2の低電位側電源線SL2の端部とが対向するように第1の電源線50が形成されている。
具体的には、第1の低電位側電源線SL1は、回路配置領域30の内周又は外周に沿って平面視で分岐点から反時計回りに配線され、第2の低電位側電源線SL2は、回路配置領域30の内周又は外周に沿って平面視で分岐点から時計回りに配線される。第1の低電位側電源線SL1と第2の低電位側電源線SL2は、例えば低電位側電源パッドに接続される電源線に接続され、或いは直接に低電位側電源パッドに接続されることによって、分岐して配線されている。
このように、第1の低電位側電源線SL1の端部と第2の低電位側電源線SL2の端部との間のすき間によって、第1の電源線50の切れ目KMLが構成されている。そして、そのすき間によって、低電位側電源パッドから第1の低電位側電源線SL1の端部までの経路と、低電位側電源パッドから第2の低電位側電源線SL2の端部までの経路とが分離され、上述したような電源ノイズの伝搬の抑制が実現されている。
また本実施形態では、発振回路及びクロック信号出力回路は、第1の低電位側電源線SL1により低電位側電源VSSが供給される。温度補償回路は、第2の低電位側電源線SL2により低電位側電源VSSが供給される。即ち、発振回路に低電位側電源を供給する低電位側電源ノードNLA1、NLA2、及びクロック信号出力回路に低電位側電源を供給する低電位側電源ノードNLA3、NLA4は、第1の低電位側電源線SL1を介して低電位側電源パッドに接続され、温度補償回路に低電位側電源を供給する低電位側電源ノードNLD1、NLD2は、第2の低電位側電源線SL2を介して低電位側電源パッドに接続されている。本実施形態では、AC的な動作を行う回路に接続された低電位側電源ノードNLA1〜NLA4のうち、DC的な動作を行う回路に最も近い低電位側電源ノードNLA4と、DC的な動作を行う回路に接続された低電位側電源ノードNLD1、NLD2のうち、AC的な動作を行う回路に最も近い低電位側電源ノードNLD1と、の間を結ぶ直線に沿って設けられた電源線が、当該電源線の不連続部分である切れ目KMLにより分離されている。
このようにすれば、AC的な動作を行う発振回路及びクロック信号出力回路へ低電位側電源VSSを供給する電源線(第1の低電位側電源線SL1)と、DC的な動作を行う温度補償回路へ低電位側電源VSSを供給する電源線(第2の低電位側電源線SL2)とを分離することが可能になる。
また本実施形態では、第2の電源線60が、不連続部分により分離されている。即ち、第2の電源線60に切れ目KMHが設けられている。このとき、第2の電源線60は、高電位側電源パッドから配線されている(高電位側電源パッドに導通される)第1の高電位側電源線SH1と、高電位側電源パッドから第1の高電位側電源線SH1と分岐して配線されている(高電位側電源パッドに第1の高電位側電源線SH1と分岐して導通される)第2の高電位側電源線SH2と、を有する。そして、第2の電源線60の不連続部分(切れ目KMH)は、第1の高電位側電源線SH1の端部と第2の高電位側電源線SH2の端部との間のすき間である。換言すると、切れ目KMHを挟んで第1の高電位側電源線SH1の端部と第2の高電位側電源線SH2の端部とが対向するように第2の電源線60が形成されている。
具体的には、第1の高電位側電源線SH1は、回路配置領域30の内周又は外周に沿って平面視で分岐点から反時計回りに配線され、第2の高電位側電源線SH2は、回路配置領域30の内周又は外周に沿って平面視で分岐点から時計回りに配線される。第1の高電位側電源線SH1と第2の高電位側電源線SH2は、例えば高電位側電源パッドに接続される電源線に接続され、或いは直接に高電位側電源パッドに接続されることによって、分岐して配線されている。
このように、第1の高電位側電源線SH1の端部と第2の高電位側電源線SH2の端部との間のすき間によって、第2の電源線60の切れ目KMHが構成されている。そして、そのすき間によって、高電位側電源パッドから第1の高電位側電源線SH1の端部までの経路と、高電位側電源パッドから第2の高電位側電源線SH2の端部までの経路とが分離され、上述したような電源ノイズの伝搬の抑制が実現されている。
また本実施形態では、発振回路及びクロック信号出力回路は、第1の高電位側電源線SH1により高電位側電源VDDが供給される。温度補償回路は、第2の高電位側電源線SH2により高電位側電源VDDが供給される。即ち、発振回路に高電位側電源を供給する高電位側電源ノードNHA1、NHA2及びクロック信号出力回路に高電位側電源を供給する高電位側電源ノードNHA3、NHA4は、第1の高電位側電源線SH1を介して高電位側電源パッドに接続され、温度補償回路に低電位側電源を供給する高電位側電源ノードNHD1、NHD2は、第2の高電位側電源線SH2を介して高電位側電源パッドに接続されている。本実施形態では、AC的な動作を行う回路に接続された高電位側電源ノードNHA1〜NHA4のうち、DC的な動作を行う回路に最も近い高電位側電源ノードNHA4と、DC的な動作を行う回路に接続された高電位側電源ノードNHD1、NHD2のうち、AC的な動作を行う回路に最も近い高電位側電源ノードNHD1と、の間を結ぶ直線に沿って設けられた電源線が、当該電源線の不連続部分である切れ目KMHにより分離されている。
このようにすれば、AC的な動作を行う発振回路及びクロック信号出力回路へ高電位側電源VDDを供給する電源線(第1の高電位側電源線SH1)と、DC的な動作を行う温度補償回路へ高電位側電源VDDを供給する電源線(第2の高電位側電源線SH2)とを分離することが可能になる。
3.回路装置の詳細なレイアウト構成例
図3は、本実施形態の回路装置100の平面視での詳細なレイアウト構成例である。なお、本実施形態は図3の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
ここで、回路装置100の第1の辺HN1から第2の辺HN2に向かう方向を第1の方向D1とする。また、第1の方向D1に交差(直交)する方向であって、回路装置100の第3の辺HN3から第4の辺HN4に向かう方向を第2の方向D2とする。回路装置100の第1〜第4の辺HN1〜HN4は、半導体チップ(シリコン基板)の辺である。第2の辺HN2は第1の辺HN1に対向する辺であり、例えば回路装置100が長方形又は正方形である場合、第2の辺HN2は第1の辺HN1に平行(略平行を含む)な辺である。第3の辺HN3及び第4の辺HN4は、第1の辺HN1及び第2の辺HN2に交差(例えば直交)する辺である。第4の辺HN4は、第3の辺HN3に対向する辺であり、例えば回路装置100が長方形又は正方形である場合、第4の辺HN4は第3の辺HN3に平行(略平行を含む)な辺である。
図3に示すように、回路装置100は、温度補償回路に供給される基準電圧を生成する基準電圧生成回路を含み、その基準電圧生成回路は、発振回路及びクロック信号出力回路の配置領域(配置領域OSC及び配置領域CKOUT)と温度補償回路の配置領域TCMPの間に配置される。即ち、配置領域BISに配置される。
具体的には、配置領域OSC及び配置領域CKOUTの第2の方向D2側に配置領域BISが配置され、配置領域BISの第2の方向D2側に配置領域TCMPが配置される。第1の電源線50の切れ目KML及び第2の電源線60の切れ目KMHの少なくとも一方が設けられる境界領域(図2の境界領域34)は、配置領域BISの第1の方向D1側に設けられている。
図2で説明したように、電源線の切れ目KML、KMH(境界領域)は、発振回路及びクロック信号出力回路の配置領域(配置領域OSC及び配置領域CKOUT)と温度補償回路の配置領域TCMPの間に設けられる。そのため、発振回路及びクロック信号出力回路の配置領域(配置領域OSC及び配置領域CKOUT)と温度補償回路の配置領域TCMPの間に基準電圧生成回路が設けられることで、第1の低電位側電源線SL1及び第2の低電位側電源線SL2の一方から基準電圧生成回路に低電位側電源VSSを供給できる。同様に、第1の高電位側電源線SH1及び第2の高電位側電源線SH2の一方から基準電圧生成回路に高電位側電源VDDを供給できる。基準電圧生成回路は、例えばバンドギャップリファレンス回路やレギュレーター等で構成され、DC的な動作を行う回路である。また基準電圧生成回路は、温度補償回路に基準電圧を供給するため、基準電圧生成回路に電源ノイズが伝搬すると温度補償精度に影響を与える可能性がある。このため、温度補償回路に電源を供給する第2の低電位側電源線SL2と第2の高電位側電源線SH2から基準電圧生成回路に電源が供給されることが望ましい。
また本実施形態では、回路装置100は、発振子の一端に接続される第1の発振子接続パッドと、発振子の他端に接続される第2の発振子接続パッドと、発振信号の発振周波数の制御電圧が入力される制御電圧入力パッドと、クロック信号が出力されるクロック信号出力パッドと、を含む。低電位側電源パッド、第1の発振子接続パッド、及び制御電圧入力パッドは、回路装置100の第1の辺HN1に沿った第1のパッド配置領域10に配置される。クロック信号出力パッド、第2の発振子接続パッド、及び高電位側電源パッドは、第1の辺HN1に対向する回路装置100の第2の辺HN2に沿った第2のパッド配置領域20に配置される。
具体的には、低電位側電源パッド、第1の発振子接続パッド、制御電圧入力パッドは、第2の方向D2に沿って順にパッド領域PAD1、PAD5、PAD4に配置される。クロック信号出力パッド、第2の発振子接続パッド、高電位側電源パッドは、第2の方向D2に沿って順にパッド領域PAD3、PAD6、PAD2に配置される。
パッド配置領域は、パッドが配置される領域である。これらのパッド配置領域においてパッド間が隣接している必要はなく、パッドとパッドの間にはすき間があってもよい。それらの複数のパッドを含む(囲む)領域がパッド配置領域である。第1のパッド配置領域10は、第1の辺HN1に沿った方向を長辺とし、第3の辺HN3(又は第4の辺HN4)に沿った方向を短辺とする長方形の領域である。例えば、パッド領域PAD1、PAD5、PAD4を含む長方形のうち最小の長方形の領域である。第1のパッド配置領域10と第1の辺HN1との間にはパッドと回路素子が配置されない。第2のパッド配置領域20は、第2の辺HN2に沿った方向を長辺とし、第3の辺HN3(又は第4の辺HN4)に沿った方向を短辺とする長方形の領域である。例えば、パッド領域PAD3、PAD6、PAD2を含む長方形のうち最小の長方形の領域である。第2のパッド配置領域20と第2の辺HN2との間にはパッドと回路素子が配置されない。
このような第1のパッド配置領域10及び第2のパッド配置領域20を設けることで、第1のパッド配置領域10及び第2のパッド配置領域20を削除することが可能になる。後述するように、第1のパッド配置領域10及び第2のパッド配置領域20を削除することで、レイアウト面積を削減したシュリンク版のレイアウトを作成可能である。このとき、第1の電源線50と第2の電源線60は回路配置領域30の内周又は外周に沿って設けられるので、シュリンク版のレイアウトにおいて、そのまま残すことが可能である。
また本実施形態では、発振回路、クロック信号出力回路及び温度補償回路が配置される回路配置領域30は、平面視で第1のパッド配置領域10と第2のパッド配置領域20との間に配置される領域である。なお、回路装置100は、発振周波数の温度補償用のパラメーター情報を記憶する不揮発性メモリーや、回路装置100の各部に電源や基準電圧を供給する基準電圧生成回路(バイアス回路)を含むことができる。
発振回路、クロック信号出力回路、温度補償回路、不揮発性メモリー、基準電圧生成回路は、それぞれ回路配置領域30における配置領域OSC、CKOUT、TCMP、MEM、BISに配置される。配置領域OSCは、回路配置領域30の辺KH1、KH3に接する領域であり、略長方形(又は略正方形)の領域である。配置領域CKOUTは、配置領域OSCの第1の方向D1側に配置される領域であり、配置領域OSCに隣り合う領域である。配置領域TCMPは、回路配置領域30の辺KH2、KH4に接する領域であり、略長方形(又は略正方形)の領域であり、配置領域OSC、CKOUTの第2の方向D2側に配置される領域である。配置領域MEMは、回路配置領域30の辺KH1に接する領域であり、辺KH1に沿った辺を長辺とする長方形(略長方形)の領域であり、配置領域OSCと配置領域TCMPに隣り合う領域である。配置領域BISは、配置領域OSCと配置領域TCMPの間に配置される領域であり、配置領域OSC、配置領域CKOUT、配置領域TCMP、配置領域MEMに囲まれる領域であり、略長方形(又は略正方形)の領域である。
なお、上記の各回路(各回路が配置される領域)は、その一部が第1のパッド配置領域10又は第2のパッド配置領域20に配置されてもよい。図3の例では、クロック信号出力回路(CKOUT)の一部が第2のパッド配置領域20に配置されている。このような回路配置領域30の外側に配置された部分は、シュリンク版の回路装置を作成する際、回路配置領域30内に収めるか、或いは削除すればよい。
このように、回路装置100のコアとなる回路を、第1のパッド配置領域10と第2のパッド配置領域20との間の回路配置領域30に配置することで、図3のような非シュリンク版のレイアウトと、図4で後述するシュリンク版のレイアウトとを簡素な手順で変更できる。即ち、第1のパッド配置領域10と第2のパッド配置領域20を削除することで、コアとなる回路が配置された回路配置領域30を取り出し、シュリンク版のレイアウトを作成できる。
また本実施形態では、第1の電源線50及び第2の電源線60の少なくとも一方の電源線の不連続部分(切れ目)は、第2のパッド配置領域20側に設けられる。即ち、回路配置領域30の内周又は外周に沿って設けられる第1の電源線50及び第2の電源線60には、第1のパッド配置領域10の長辺に沿って第1のパッド配置領域10に近い側に配線された部分と、第2のパッド配置領域20の長辺に沿って第2のパッド配置領域20に近い側に配線された部分とがある。このうち、第2のパッド配置領域20の長辺に沿って第2のパッド配置領域20に近い側に配線された部分に不連続部分が設けられている。
このように第1の電源線50の切れ目KMLを第2のパッド配置領域20側に設けることで、発振回路及びクロック信号出力回路に低電位側電源VSSを供給する第1の低電位側電源線SL1と、温度補償回路に低電位側電源VSSを供給する第2の低電位側電源線SL2とを適切に配置できる。同様に、発振回路及びクロック信号出力回路に高電位側電源VDDを供給する第1の高電位側電源線SH1と、温度補償回路に高電位側電源VDDを供給する第2の高電位側電源線SH2とを適切に配置できる。
具体的には、低電位側電源パッド(パッド領域PAD1に配置)の第1の方向D1側に発振回路(配置領域OSCに配置)が配置され、発振回路の第1の方向D1側にクロック信号出力回路(配置領域CKOUTに配置)が配置される。この場合、第1のパッド配置領域10側に第1の電源線50の切れ目を設けると、低電位側電源パッドから反時計回りに配線される電源線は、発振回路、クロック信号出力回路、温度補償回路(配置領域TCMPに配置)を通り、温度補償回路に低電位側電源VSSを供給する。一方、低電位側電源パッドから時計回りに配線される電源線は、発振回路を通り、発振回路、クロック信号出力回路に低電位側電源VSSを供給することになる。このため、時計回りに配線される電源線からクロック信号出力回路までの距離が遠くなり、クロック信号出力回路へ低電位側電源VSSを供給することが難しくなるおそれがある。この点、本実施形態では、第2のパッド配置領域20側に第1の電源線50の切れ目KMLを設けることで、低電位側電源パッドから反時計回りに配線される電源線からクロック信号出力回路へ低電位側電源VSSが供給され、電源線からクロック信号出力回路までの距離が近くなる。
また本実施形態では、低電位側電源パッドは、回路装置100の第1の辺HN1と第3の辺HN3が交差する第1のコーナーCN1の領域に配置される。高電位側電源パッドは、回路装置100の第2の辺HN2と第4の辺HN4が交差する第2のコーナーCN2の領域に配置される。
コーナーの領域とは、コーナー付近(近傍)の領域である。即ち、2辺が交差するコーナーを含む所定サイズの領域(例えばコーナーを基準とする所定幅の辺を有する長方形又は正方形の領域)である。例えば低電位側電源パッドを例にとると、パッド領域PAD1が第1のコーナーCN1の領域の内部に配置されている。そして、回路装置100の中心(例えば対角線の交点)からパッド領域PAD1までの距離よりも、第1のコーナーCN1からパッド領域PAD1までの距離の方が短い。例えば、パッド領域PAD1及び第1のコーナーCN1を含む最小の長方形又は正方形の領域がコーナーの領域である。より具体的には、コーナーの領域において、そのコーナーを構成する辺とパッドとの間に回路素子が配置されていない。例えば低電位側電源パッドでは、パッド領域PAD1と第1の辺HN1との間、及びパッド領域PADと第3の辺HN3との間に、回路素子が配置されていない。なお、ここでの回路素子は例えば抵抗やキャパシター、トランジスター等の受動素子、能動素子である。
このように、第1のコーナーCN1の領域に配置された低電位側電源パッドから回路配置領域30全体に低電位側電源VSSを供給するためには、第1の電源線50が回路配置領域30の内周又は外周に沿って設けられることが望ましい。このとき、第1の電源線50に切れ目KMLを設けることで、発振回路及びクロック信号出力回路に低電位側電源VSSを供給する第1の低電位側電源線SL1と、温度補償回路に低電位側電源VSSを供給する第2の低電位側電源線SL2とを分離できる。
同様に、第2のコーナーCN2の領域に配置された高電位側電源パッドから回路配置領域30全体に高電位側電源VDDを供給するためには、第2の電源線60が回路配置領域30の内周又は外周に沿って設けられることが望ましい。このとき、第2の電源線60に切れ目KMHを設けることで、発振回路及びクロック信号出力回路に高電位側電源VDDを供給する第1の高電位側電源線SH1と、温度補償回路に高電位側電源VDDを供給する第2の高電位側電源線SH2とを分離できる。
なお、回路装置100の第1の辺HN1と第4の辺HN4が交差する第3のコーナーCN3の領域には、制御電圧入力パッドが配置される。回路装置100の第2の辺HN2と第3の辺HN3が交差する第4のコーナーCN4の領域には、クロック信号出力パッドが配置される。
また本実施形態では、回路装置100は、低電位側電源パッドに接続される第1の静電保護回路と、高電位側電源パッドに接続される第2の静電保護回路と、を含む。そして、第1の静電保護回路と第2の静電保護回路は、回路配置領域30に配置される。また、回路装置100は、クロック信号出力パッドに接続される第3の静電保護回路と、制御電圧入力パッドに接続される第4の静電保護回路と、第1の発振子接続パッドに接続される第5の静電保護回路と、第2の発振子接続パッドに接続される第6の静電保護回路と、を含むことができる。第3、第4、第6の静電保護回路は、回路配置領域30に配置される。第5の静電保護回路は、第1のパッド配置領域10に配置される。
具体的には、第1〜第6の静電保護回路は、それぞれ配置領域ESD1〜ESD6に配置される。配置領域ESD1〜ESD6の各配置領域は、静電保護回路が配置される領域であると共に、パッドを配置可能なサイズが確保された領域である。例えば、デザインルールで決められたサイズのパッドを配置可能な最小の正方形(又は長方形)領域である。静電保護回路は、パッド(ICの端子)に印加される過電圧又は過電流から、回路装置100の内部の素子や回路を保護するための回路である。例えば静電保護回路は、パッドと電源の間に接続されたダイオードやトランジスター(例えばダイオード接続されたトランジスター)等で構成できる。
図4は、シュリンク版の回路装置120のレイアウト構成例である。図4では、パッド領域PAD1’〜PAD6’に、それぞれパッドが配置される。パッド領域PAD1’〜PAD4’、PAD6’は、図3の配置領域ESD1〜ESD4、ESD6に対応している。即ち、静電保護回路はパッドの下に設けられており、パッドと、そのパッドの下に設けられた静電保護回路とが接続されている。パッド領域PAD5’は、図3の配置領域SPに対応している。配置領域SPは、パッドが配置可能なサイズの領域である。即ち、シュリンク版のレイアウトにおいて、発振子の一端に接続されるパッドと、そのパッドに接続される第5の静電保護回路が配置領域SPに配置される。配置領域SPは、不揮発性メモリーが配置される配置領域MEMの第1の方向D1側に配置される。より具体的には、不揮発性メモリーが配置される配置領域MEM、電圧生成回路が配置される配置領域BIS、温度補償回路が配置される配置領域TCMPに囲まれる領域である。
また図4では、回路装置120の第1の辺HN1’と回路配置領域30の辺KH1との間に第1のパッド配置領域10が設けられていない。辺KH1は、図3において第1のパッド配置領域10に隣り合う辺である。例えば、第1の辺HN1’は、図3において回路配置領域30の辺KH1と第1のパッド配置領域10との間の直線、或いは回路配置領域30の辺KH1そのものに相当している。同様に、図4では、回路装置120の第2の辺HN2’と回路配置領域30の辺KH2との間に第2のパッド配置領域20が設けられていない。辺KH2は、図3において第2のパッド配置領域20に隣り合う辺である。例えば、第2の辺HN2’は、図3において回路配置領域30の辺KH2と第2のパッド配置領域20との間の直線、或いは回路配置領域30の辺KH2そのものに相当している。なお、回路配置領域30の辺KH3、KH4は、それぞれ回路装置100の第3の辺HN3、第4の辺HN4に隣り合う辺(又は第3の辺HN3、第4の辺HN4と一致する辺)である。
このように、シュリンク版の回路装置120では、半導体チップのサイズが回路配置領域30に相当するサイズに縮小され、静電保護回路の配置領域にパッドが設けられる。パッドのボンディングに比較的信頼性が要求されない場合には、このようなシュリンク版を採用することによってコストを低減することが可能である。一方、パッドのボンディングに高い信頼性が要求される場合には、図3のような非シュリンク版を採用することによって、パッドとは別の領域に静電保護回路を設け、静電保護の信頼性を向上できる。即ち、ボンディングによる応力等の静電保護回路への影響を低減できる。また、シュリンク版におけるパッドとは異なるパッドサイズや異なるパッド構造を採用することが可能となる。例えば、シュリンク版におけるパッドサイズよりも大きなパッドサイズを非シュリンク版において採用できる。これにより、ボンディングの接触の確実性を向上させること、或いはボンディングによる回路装置100への影響(例えばクラック等)を低減することが可能となる。
4.回路装置の詳細な構成例
図5は、本実施形態の回路装置100の詳細な構成例のブロック図である。回路装置100は、温度センサー160、温度補償回路150、制御回路130、記憶部140(不揮発性メモリー)、発振回路110、クロック信号出力回路180、基準電圧生成回路170(バイアス生成回路)を含む。なお回路装置の構成は図5の構成には限定されず、その一部の構成要素を省略したり(例えば温度センサー160等)、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
発振回路110は、発振子XTALを用いて発振信号を生成する回路である。具体的には、発振回路110は、端子XIと端子XOを介して発振子XTALに接続される。この端子XIは、図3のパッド領域PAD5に配置される第1の発振子接続パッドに対応し、端子XOは、図3のパッド領域PAD6に配置される第2の発振子接続パッドに対応する。発振回路110は、発振子XTALを発振させることで、発振信号を生成する。例えばTCXOやOCXOでは、検出温度に応じた制御電圧VCOMP(温度補償用電圧。発振周波数の温度特性を補償する電圧)が発振回路110に入力され、発振回路110は、その制御電圧VCOMPに対応する発振周波数で発振子XTALを発振させる。
発振子XTALは、例えば水晶振動子等の圧電振動子である。発振子XTALは恒温槽内に設けられるオーブン型振動子であってもよい。或いは発振子XTALは共振器(電気機械的な共振子又は電気的な共振回路)であってもよい。発振子XTALとしては、圧電振動子、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子等を採用できる。発振子XTALの基板材料としては、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶や、ジルコン酸チタン酸鉛等の圧電セラミックス等の圧電材料、又はシリコン半導体材料等を用いることができる。発振子XTALの励振手段としては、圧電効果によるものを用いてもよいし、クーロン力による静電駆動を用いてもよい。
クロック信号出力回路180は、発振回路110の出力信号OSQに基づいてクロック信号を端子CLKOに出力する。端子CLKOは、図3のパッド領域PAD3に配置されるクロック信号出力パッドに対応する。クロック信号出力回路180は、出力信号OSQ或いは出力信号OSQを分周した信号をバッファリング(外部負荷を駆動するための増幅)し、そのバッファリングした信号をクロック信号として出力する。
制御回路130は、回路装置100の各部の制御を行う。また制御回路130は、回路装置100の外部(例えばCPU等)とのインターフェース処理なども行う。制御回路130は、例えばゲートアレイ等のロジック回路により実現される。制御回路130は例えば図3の配置領域MEM又は配置領域TCMPに配置される。
記憶部140は、回路装置100の動作に必要な各種の情報を記憶する。例えば温度補償回路150が温度補償処理を行うために必要な情報(温度補償用の多項式の係数)等を記憶する。この情報は、例えば回路装置100の製造時や、回路装置100と発振子XTALをパッケージした発振器の製造時等において、外部(例えばテスト装置)から書き込まれる。記憶部140は例えば不揮発性メモリー(例えばFAMOS(Floating gate Avalanche injection MOS)型、MONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Silicon)型等)である。
温度補償回路150は、温度センサー160からの温度検出信号VT(温度検出電圧)に基づいて、発振回路110の発振周波数の温度補償を実現するための制御電圧VCOMP(温度補償用電圧)を生成して、その制御電圧VCOMPを発振回路110に出力する。例えば発振子XTALが有する発振周波数の温度特性をテスト装置で測定し、その温度特性をキャンセルする(温度特性による発振周波数の変動を抑制する)3次又は5次の多項式(近似式)を求める。そして、その多項式の係数を記憶部140に書き込んでおく。温度補償回路150が温度補償を行う際には、制御回路130が多項式の係数を記憶部140から読み出して温度補償回路150に出力し、その係数に基づいて温度補償回路150が、発振周波数の温度特性をキャンセルする(温度特性による発振周波数の変動を抑制する)制御電圧VCOMPを発生させる。また温度補償回路150は、端子VCNTを介して外部から入力される発振周波数の制御電圧に基づいて制御電圧VCOMPを出力する。例えば、温度検出信号VTに基づいて生成した温度補償用の制御電圧と、端子VCNTを介して外部から入力される制御電圧とを加算処理して、その加算処理された電圧を制御電圧VCOMPとして出力する。端子VCNTは、図3のパッド領域PAD4に配置される制御電圧入力パッドに対応する。
温度センサー160は、回路装置100(半導体チップ)の温度を検出するセンサーである。例えば、温度センサー160は、ダイオード(PN接合)等で構成できる。この場合、ダイオードの順方向電圧の温度依存性を用いて温度検出を行う。即ち、ダイオードの順方向電圧に基づいて温度検出信号VTを出力する。なお、温度センサー160はこれに限定されず、サーミスター等の種々の温度センサーを採用できる。温度センサー160は、例えば図3の配置領域BISに配置される。
基準電圧生成回路170は、回路装置100の各部に供給するための電源や基準電圧、バイアス電圧、バイアス電流等を生成する回路である。具体的には、基準電圧生成回路170には、高電位側電源VDDの端子を介して高電位側電源が入力され、低電位側電源VSSの端子を介して低電位側電源(グランド)が入力される。高電位側電源VDDの端子は、図3のパッド領域PAD2に配置される高電位側電源パッドに対応し、低電位側電源VSSの端子は、図3のパッド領域PAD1に配置される低電位側電源パッドに対応する。例えば、基準電圧生成回路170は、温度依存性が非常に小さい電圧(生成される各電圧の基準となる電圧)を生成するバンドギャップリファレンス回路、電源や基準電圧、バイアス電圧を生成するレギュレーター、バイアス電流を生成する電流生成回路等を含むことができる。例えば、基準電圧生成回路170は、温度補償回路150に基準電圧を供給したり、或いは発振回路110に電源電圧を供給する。
5.発振回路
図6は、発振回路110の詳細な構成例である。発振回路110は、発振部12(発振回路本体)、バッファー14(プリバッファー、増幅部)を含む。なお、本実施形態は図6の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
発振部12は、トランジスターTPA1、TPA2(P型トランジスター、第1導電型トランジスター)と抵抗素子RA2で構成されるカレントミラー回路(電流源)を含む。このカレントミラー回路は、抵抗素子RA2に流れる電流IRAをミラーして、バイアス電流IBAを出力する。
また発振部12は、バイポーラートランジスターTRA、抵抗素子RA1、キャパシターCA1〜CA3、可変容量キャパシターCVA1、CVA2を含む。バイポーラートランジスターTRAのコレクター端子は端子XO(パッド)を介して発振子XTALの一端に接続され、ベース端子は端子XI(パッド)を介して発振子XTALの他端に接続される。バイポーラートランジスターTRAには、発振子XTALの発振により生じたベース−エミッター間電流が流れる。ベース−エミッター間電流が増加すると、コレクター−エミッター間電流が増加し、バイアス電流IBAのうち抵抗素子RA1に分岐するバイアス電流が減少するので、コレクター電圧VCAが低下する。一方、ベース−エミッター間電流が減少すると、コレクター−エミッター間電流が減少し、バイアス電流IBAのうち抵抗素子RA1に分岐するバイアス電流が増加するので、コレクター電圧VCAが上昇する。コレクター電圧VCAは発振子XTALにフィードバックされるので、発振子XTALが発振する。
発振子XTALの発振周波数は温度特性をもっており、その温度特性は、温度補償回路150が発生した制御電圧VCOMPにより補償される。即ち、制御電圧VCOMPは可変容量キャパシターCVA1、CVA2の一端に入力され、その制御電圧VCOMPにより可変容量キャパシターCVA1、CVA2の容量値が制御される。可変容量キャパシターCVA1、CVA2の他端はバイポーラートランジスターTRAのベース端子、コレクター端子に接続されている。可変容量キャパシターCVA1、CVA2の容量値が変化すると発振ループの共振周波数が変化するので、発振子XTALの温度特性による発振周波数の変動が補償される。
バッファー14は、キャパシターCA4、抵抗素子RA3、インバーターIVA1、IVA2を含む。インバーターIVA1にはキャパシターCA4を介してコレクター電圧VCA(発振信号)が入力される。抵抗素子RA3を介してインバーターIVA1の出力が入力に帰還されており、これによってインバーターIVA1の入力のバイアス点が制御されている。インバーターIVA2は、インバーターIVA1の出力をバッファリングし、そのバッファリングした信号を出力信号OSQとして出力する。
6.クロック信号出力回路
図7は、クロック信号出力回路180の詳細な構成例である。なお、本実施形態は図7の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。例えば、以下ではクロック信号出力回路180がクリップドサイン波のクロック信号を出力する場合を例に説明するが、これに限定されない。例えば、クロック信号出力回路は矩形波(例えばCMOSレベル)のクロック信号を出力する回路であってもよい。或いは、クリップドサイン波のクロック信号を出力すると、矩形波のクロック信号を出力する回路とを含み、クリップドサイン波のクロック信号と矩形波のクロック信号とを切り替えて出力できる回路であってもよい。
図7のクロック信号出力回路180は、トランジスターTB1、TB2、バイアス電圧設定回路BAS1、BAS2、キャパシターCB1、CB2を含む。
トランジスターTB1は、電源VRAのノード(高電位側電源ノード)と出力ノードNAQとの間に設けられる。トランジスターTB2は、出力ノードNAQと電源VSのノード(低電位側電源ノード)との間に設けられる。例えばトランジスターTB1はN型トランジスター(第1導電型トランジスター)であり、トランジスターTB2はP型トランジスターである。
バイアス電圧設定回路BAS1は、トランジスターTB1のゲートノードNG1に対してバイアス電圧を設定する回路である。このバイアス電圧設定回路BAS1は、例えば電源VRAのノードと電源VSのノードの間に直列に設けられる抵抗素子RB1、RB2を含む。これによりVRA−VS間を抵抗素子RB1、RB2で抵抗分割した電圧が、バイアス電圧としてゲートノードNG1に印加されるようになる。
バイアス電圧設定回路BAS2は、トランジスターTB2のゲートノードNG2に対してバイアス電圧を設定する回路である。このバイアス電圧設定回路BAS2は、例えばゲートノードNG2と電源VSのノードの間に設けられる抵抗素子RB4を含む。
キャパシターCB1は、発振回路110のバッファー14からの出力信号OSQが入力される入力ノードNAIとゲートノードNG1との間に設けられる。キャパシターCB2は、入力ノードNAIとゲートノードNG2との間に設けられる。これらのキャパシターCB1、CB2はDCカット用(ACカップリング用)のキャパシターである。
なお端子CLKOと外部ノードNCの間にはキャパシターCC1が設けられる。ノードNCに接続される抵抗素子RC、キャパシターCC2は外部負荷を表すものである。
ノードNAIの電圧が変化すると、ノードNG1の電圧は、バイアス電圧設定回路BAS1によるバイアス電圧を基準として変化する。またノードNG2の電圧は、バイアス電圧設定回路BAS2によるバイアス電圧を基準として変化する。即ち、トランジスターTB1、TB2のゲート電圧がバイアス電圧を基準として変化することによって、トランジスターTB1、TB2の駆動能力(オン抵抗)が制御されている。これにより出力ノードNAQには、クリップドサイン波の信号が出力されるようになる。クリップドサイン波の信号は、サイン波の上下が所定電圧レベル(例えば電源電圧レベル)にクリップされた信号である。
以上のようなクロック信号出力回路がクロック信号を出力して外部負荷を駆動する際には、トランジスターTB1、TB2等が外部負荷を駆動するための電流を流すため、電源ノイズの発生源となる。図7はクリップドサイン波を出力するクロック信号出力回路であるが、例えばCMOSレベルの矩形波を出力するクロック信号出力回路の場合には、更に大きな電源ノイズを発生させる可能性がある。この点、本実施形態によれば、電源線に切れ目を設けることで、クロック信号出力回路180で発生した電源ノイズが電源線を介して温度補償回路150へ伝搬することを抑制できる。即ち、その伝搬経路を切れ目によって遮断できる。
7.温度補償回路
図8は、温度補償回路150の詳細な構成例である。温度補償回路150は、基準温度調整回路15、0次成分発生回路220、1次成分発生回路230、3次成分発生回路240、高次成分発生回路250、1次成分ゲイン調整回路260、3次成分ゲイン調整回路270、高次成分ゲイン調整回路280、加算回路200を含む。なお、本実施形態は図8の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
基準温度調整回路15は、制御電圧VCOMP(温度補償用電圧)の基準温度T0を調整する回路であり、例えば温度検出信号VT(温度検出電圧)の基準電圧を調整することで基準温度T0を調整する。制御電圧VCOMPの1次成分、3次成分、高次成分は、それぞれ基準温度T0を中心に対称であり、基準温度調整回路15は、その対称の中心を調整する。
0次成分発生回路220は、発振子XTAL(水晶振動子)の発振周波数がもつ温度特性の0次成分を近似する0次成分電圧VS0(0次成分信号)を出力する。例えば抵抗分割回路など、DC電圧を出力する回路で構成される。
1次成分発生回路230は、水晶振動子の発振周波数がもつ温度特性の1次成分を近似する1次成分電流IS1(広義には1次成分信号)を出力する。即ち、Tを温度とすると、IS1は、(T−T0)に比例又は反比例する関数を近似する電流である。1次成分発生回路230は、例えば正転増幅アンプ等により構成できる。1次成分ゲイン調整回路260は、記憶部140に記憶されたゲイン値A1に基づいて、1次成分電流IS1のゲイン調整を行い、1次成分電圧VS1=A1×IS1(広義には1次出力信号)を出力する。
3次成分発生回路240は、水晶振動子の発振周波数がもつ温度特性の3次成分を近似する3次成分電流IS3(広義には3次成分信号)を出力する。即ち、IS3は、(T−T0)3に比例又は反比例する関数を近似する電流である。3次成分ゲイン調整回路270は、記憶部140に記憶されたゲイン値A3に基づいて、3次成分電流IS3のゲイン調整を行い、3次成分電圧VS3=A3×IS3(広義には3次出力信号)を出力する。
高次成分発生回路250は、水晶振動子の発振周波数がもつ温度特性の、4次以上の成分である高次成分を近似する高次成分電流ISh(広義には高次成分信号)を出力する。即ち、IShは高次関数g(T−T0)を近似する電流である。例えば、g(T−T0)は、(T−T0)4に比例又は反比例する関数、及び(T−T0)5に比例又は反比例する関数を合成した合成関数である。高次成分ゲイン調整回路280は、記憶部140に記憶されたゲイン値Ahに基づいて、高次成分電流IShのゲイン調整を行い、高次成分電圧VSh=Ah×ISh(広義には高次出力信号)を出力する。
加算回路200は、0次成分電圧VS0、1次成分電圧VS1、3次成分電圧VS3、高次成分電圧VSh、端子VCNTを介して外部から入力される制御電圧を加算し、制御電圧VCOMPを出力する。VS0=A0とすると、制御電圧VCOMPはVCOMP=Ah×g(T−T0)+A3(T−T0)3+A1(T−T0)+A0を近似する電圧である。
基準電圧生成回路170から供給される基準電圧は、例えば1次成分発生回路230、3次成分発生回路240、高次成分発生回路250の基準電圧(例えばアンプ回路や比較回路の基準電圧)として用いられる。即ち、基準電圧生成回路170に電源ノイズが伝搬したことが要因で基準電圧にノイズが生じると、その基準電圧のノイズによって1次成分電流IS1、3次成分電流IS3、高次成分電流IShに誤差が生じる可能性がある。この点、本実施形態によれば、電源線に切れ目を設けることで、発振回路110やクロック信号出力回路180で発生した電源ノイズが電源線を介して基準電圧生成回路170へ伝搬することを抑制できる。即ち、その伝搬経路を切れ目によって遮断できる。
8.基準電圧生成回路
図9は、基準電圧生成回路170の詳細な構成例である。基準電圧生成回路170は、バンドギャップリファレンス回路172、レギュレーター174を含む。レギュレーター174は、アンプ回路AMD、トランジスターTPD、抵抗回路RVD(可変抵抗回路)を含む。なお、本実施形態は図9の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。例えば、複数のレギュレーターを含んでもよい。
バンドギャップリファレンス回路172は、半導体のバンドギャップ電圧(バンドギャップエネルギー)に基づいて、温度に依存しない一定の基準電圧VBRを生成する回路である。バンドギャップ電圧は温度依存性を有するので、逆の温度依存性を有する電圧を用いて、温度に依存しない一定の電圧を生成する。バンドギャップリファレンス回路は、例えばバイポーラートランジスターやMOSトランジスター、抵抗素子等で構成される。
レギュレーター174は、基準電圧VBRをレギュレート(昇圧)して基準電圧VOUTを出力する。この基準電圧VOUTは、例えば温度補償回路の基準電圧として用いられる。図9には、レギュレーター174がリニアレギュレーターである場合の構成の一例を示す。
抵抗回路RVDはレギュレーター174の出力ノードと低電位側電源VSSのノードとの間に直列接続されたラダー抵抗(複数の抵抗素子)と、スイッチ回路と、を含む。スイッチ回路は、ラダー抵抗の複数のタップ(抵抗素子と抵抗素子の間のノード)のうち、いずれかのタップをアンプ回路AMDの第1の入力ノード(非反転入力端子)に接続する。スイッチ回路が、どのタップを選択するかに応じて、レギュレーター174のゲイン(基準電圧VOUTの電圧値)が決まる。このゲインの設定値(スイッチ回路が、いずれのタップを選択するか)は、例えば不揮発性メモリーに予め記憶されてもよいし、或いはレジスター設定されてもよい。
トランジスターTPDは、例えばP型MOSトランジスター(第1導電型トランジスター)であり、高電位側電源VDDのノードとレギュレーター174の出力ノードとの間に設けられる。トランジスターTPDのゲートにはアンプ回路AMDの出力電圧が供給される。アンプ回路AMDの第2の入力ノード(反転入力端子)にはバンドギャップリファレンス回路172からの基準電圧VBRが入力され、正転増幅アンプであるレギュレーター174が、基準電圧VBRを基準電圧VOUTにレギュレートする。
9.発振器、電子機器、移動体
図10は、本実施形態の回路装置を含む発振器400の構成例である。発振器400は、回路装置500(図2の回路装置100、又は図3の回路装置100、又は図4の回路装置120)と、発振子XTAL(振動子、振動片)と、を含む。また発振器400は、回路装置500、発振子XTALが収容されるパッケージ410を含むことができる。なお発振器は図10の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
パッケージ410は、例えばベース部412とリッド部414により構成される。ベース部412は、セラミック等の絶縁材料からなる例えば箱型等の部材であり、リッド部414は、ベース部412に接合される例えば平板状等の部材である。ベース部412の例えば底面には外部機器と接続するための外部接続端子(外部電極)が設けられている。ベース部412とリッド部414により形成される内部空間(キャビティー)に、回路装置500、発振子XTALが収容される。そしてリッド部414により密閉することで、回路装置500、発振子XTALがパッケージ410内に気密に封止される。回路装置500と発振子XTALは、パッケージ410内に実装される。そして発振子XTALの端子と、回路装置500(IC)の端子(パッド)は、パッケージ410の内部配線により電気的に接続される。
図11は、本実施形態の回路装置を含む電子機器300の構成例である。この電子機器300は、回路装置500、水晶振動子等の発振子XTAL、アンテナANT、通信部510(通信装置)、処理部520(処理装置)を含む。また操作部530(操作装置)、表示部540(表示装置)、記憶部550(メモリー)を含むことができる。発振子XTALと回路装置500により発振器400が構成される。なお電子機器300は図11の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
図11の電子機器300としては、例えばGPS内蔵時計、生体情報測定機器(脈波計、歩数計等)又は頭部装着型表示装置等のウェアラブル機器や、スマートフォン、携帯電話機、携帯型ゲーム装置、ノートPC又はタブレットPC等の携帯情報端末(移動端末)や、コンテンツを配信するコンテンツ提供端末や、デジタルカメラ又はビデオカメラ等の映像機器や、或いは基地局又はルーター等のネットワーク関連機器などの種々の機器を想定できる。
通信部510(無線回路)は、アンテナANTを介して外部からデータを受信したり、外部にデータを送信する処理を行う。処理部520は、電子機器300の制御処理や、通信部510を介して送受信されるデータの種々のデジタル処理などを行う。この処理部520の機能は、例えばマイクロコンピューターなどのプロセッサーにより実現できる。操作部530は、ユーザーが入力操作を行うためのものであり、操作ボタンやタッチパネルディスプレイをなどにより実現できる。表示部540は、各種の情報を表示するものであり、液晶や有機ELなどのディスプレイにより実現できる。なお操作部530としてタッチパネルディスプレイを用いる場合には、このタッチパネルディスプレイが操作部530及び表示部540の機能を兼ねることになる。記憶部550は、データを記憶するものであり、その機能はRAMやROMなどの半導体メモリーやHDD(ハードディスクドライブ)などにより実現できる。
図12は、本実施形態の回路装置を含む移動体の例を示す。本実施形態の回路装置500(発振器)は、例えば、車、飛行機、バイク、自転車、或いは船舶等の種々の移動体に組み込むことができる。移動体は、例えばエンジンやモーター等の駆動機構、ハンドルや舵等の操舵機構、各種の電子機器(車載機器)を備えて、地上や空や海上を移動する機器・装置である。図12は移動体の具体例としての自動車206を概略的に示している。自動車206には、本実施形態の回路装置500と振動子を有する発振器(不図示)が組み込まれる。制御装置208は、この発振器により生成されたクロック信号により動作する。制御装置208は、例えば車体207の姿勢に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪209のブレーキを制御する。例えば制御装置208により、自動車206の自動運転を実現してもよい。なお本実施形態の回路装置や発振器が組み込まれる機器は、このような制御装置208には限定されず、自動車206等の移動体に設けられる種々の機器(車載機器)に組み込むことが可能である。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また回路装置、発振器、電子機器、移動体等の構成・動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。