JP2018098076A - 複合ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】繰り返し屈曲されてもシールド性能を維持可能な複合ケーブルを提供する。【解決手段】複合ケーブル1は、電気信号の伝送に用いられる信号線2と、電力の供給に用いられる電力線3と、信号線2および電力線3の外周を一括して覆う外部シース4と、外部シース4の内側に配置された内部シース5とを有している。内部シース5は、ベースポリマーと、ベースポリマーに混合された磁性粉とを有している。内部シース5は、外部シース4の内側において信号線2を除いた状態で電力線3の外周を覆っている。【選択図】図1
Description
本発明は、複合ケーブルに関する。
従来、自動車等の車両分野では、複数の電線の外周を一括してシースにより被覆した多芯構造の複合ケーブルが知られている。複合ケーブルを構成する電線としては、電気信号の伝送に用いられる信号線や、電力の供給に用いられる電力線などがある。これら電線の構造としては、一般的に、電線からの放射ノイズの低減、外乱電磁波からの防護などを目的として、導体の外周にシールド層を設けた構造が知られている。シールド層としては、具体的には、金属素線を編み込んだ編組、金属箔、金属を蒸着した樹脂テープなどが知られている。
なお、先行する特許文献1には、複数本の電線と、電線の外周に樹脂テープ層を介して設けられたシールド層と、シールド層の外周に樹脂テープ層を介して設けられた磁性テープ層と、磁性テープ層の外周に樹脂テープ層を介して設けられたシースとを備えるノイズ抑制用の複合ケーブルが記載されている。
しかしながら、従来の一般的な複合ケーブルは、以下の点で課題がある。シールド層は、シールド性能を発揮するために導電性を有している必要がある。ところが、従来の複合ケーブルは、繰り返し屈曲によりシールド層が容易に断線し、長期使用時にシールド性能が低下する。従来の複合ケーブルを、例えば、自動車の電動ブレーキ用のケーブルなどとして適用した場合、複合ケーブルは、自動車の走行に伴う車輪の動きに追従して繰り返し屈曲される。そのため、この場合には、上記シールド性能の低下が顕著となる。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、繰り返し屈曲されてもシールド性能を維持可能な複合ケーブルを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、電気信号の伝送に用いられる信号線と、
電力の供給に用いられる電力線と、
上記信号線および上記電力線の外周を一括して覆う外部シースと、
上記外部シースの内側において上記信号線を除いた状態で上記電力線の外周を覆う内部シースとを有しており、
上記内部シースは、ベースポリマーと、上記ベースポリマーに混合された磁性粉とを有している、複合ケーブルにある。
電力の供給に用いられる電力線と、
上記信号線および上記電力線の外周を一括して覆う外部シースと、
上記外部シースの内側において上記信号線を除いた状態で上記電力線の外周を覆う内部シースとを有しており、
上記内部シースは、ベースポリマーと、上記ベースポリマーに混合された磁性粉とを有している、複合ケーブルにある。
上記複合ケーブルでは、信号線を除いた状態で、放射ノイズを多く発生する電力線の外周が、ベースポリマーに磁性粉が混合された内部シースによって覆われている。上記複合ケーブルは、繰り返し屈曲された場合でも、磁性粉が粉状でベースポリマーに保持されているため、内部シースの導電性を維持し続けることができる。それ故、上記複合ケーブルは、繰り返し屈曲された場合でも、ノイズ源の電力線をシールドし続けることができ、シールド性能を一定に維持することができる。
また、上記複合ケーブルは、内部シースによりノイズ源の電力線をシールドし続けることができるため、電力線と信号線とを近接させて配置することが可能となる。そのため、上記複合ケーブルは、外部シース内における電力線および信号線の経路配置の自由度を向上させることができる。さらに、上記複合ケーブルは、信号線および電力線とは別個にシールド機能を有する内部シースが設けられている。そのため、上記複合ケーブルは、繰り返し屈曲された場合に、信号線および電力線と内部シースとが別々の動きをすることができ、ケーブル歪を緩和させることができる。
上記複合ケーブルにおいて、信号線、電力線は、具体的には、いずれも、導体と、導体の外周を覆う絶縁体とを有する構成とすることができる。なお、上記複合ケーブルは、磁性粉を含有する内部シースがシールド機能を有しているので、電力線が、導体の外周に絶縁性の介在物を介してシールド層を有している必要性がない。したがって、電力線が、導体と導体の外周を覆う絶縁体とを有する構成である場合には、電力線の細径化によってケーブル径の細径化を図りやすい複合ケーブルが得られる。
上記複合ケーブルは、信号線を1本または複数本有することができる。また、上記複合ケーブルは、電力線を1本または複数本有することができる。上記複合ケーブルが電力線を複数有している場合、内部シースは、具体的には、複数の電力線の外周を一括して覆っている構成とすることができる。この構成によれば、電力線同士の電線軸間距離を短くしやすくなる。また、複数の電力線が一つの内部シースによってまとめられ、形状が一定に定まりやすい。そのため、この構成によれば、ケーブル径の細径化を図りやすい複合ケーブルが得られる。
上記複合ケーブルが電力線を複数有している場合、内部シースは、具体的には、複数の電力線の外周をそれぞれ別々に覆っている構成とすることもできる。この構成によれば、電力線から放射されるノイズ量に応じて、各電力線を覆う内部シースに含有される磁性粉の量を別個に調整することが可能となる。そのため、この構成によれば、ノイズ量が異なる電力線への適応性に優れた複合ケーブルが得られる。
なお、上記複合ケーブルが信号線を複数本有している場合、複数の信号線は撚り合わされた状態とされていてもよい。同様に、上記複合ケーブルが電力線を複数本有している場合、複数の電力線は撚り合わされた状態とされていてもよい。また、信号線および電力線は、両者の間に内部シースを介して撚り合わされた状態とされていてもよい。
上記複合ケーブルにおいて、磁性粉としては、具体的には、各種の軟磁性粉を用いることができる。この構成によれば、上述した効果を確実なものとすることができる。また、軟磁性粉としては、より具体的には、フェライト粉などのFe系軟磁性粉を好適に用いることができる。この構成によれば、比較的入手容易な磁性粉を利用して、上述した効果を確実なものとすることができる。
上記複合ケーブルにおいて、内部シースにおける磁性粉の含有量は、具体的には、例えば、ベースポリマー100質量部に対して、50〜100質量部程度とすることができる。なお、ベースポリマーとしては、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。
上記複合ケーブルは、モーターの制御に関する電気信号の送受信に用いられるモーター用信号線を含み、モーターの駆動に必要な電力の供給に用いられるモーター用電力線を含む構成とすることができる。この構成によれば、例えば、振動する部位にモーターが設けられている場合に、上記複合ケーブルを通じて、モーター用電力線にてモーターの駆動に必要な電力を供給するとともに、モーター用信号線にてモーターの制御に関する電気信号を送受信する際に、上記複合ケーブルが繰り返し屈曲されても、シールド性能を維持することができる。上記複合ケーブルは、他にも、例えば、車両における車輪の回転速度に関する電気信号の送受信に用いられる車輪速度用信号線、車両の車輪および車輪周囲に配置されたセンサーにより車両の状態を検出・収集するセンサー用信号線などを含むことができる。
上記複合ケーブルは、電動ブレーキ用として好適に用いることができる。この場合、上記複合ケーブルは、例えば、車両の車体側に配置された車体側装置(ECU等)に上記複合ケーブルの一端が接続されるとともに、車両の車輪側に設けられた、モーターを有する電動ブレーキ装置に上記複合ケーブルの他端が接続されて使用されうる。そのため、この場合には、上記複合ケーブルは、上記複合ケーブルの一端が車体側に固定された状態で、車両の走行に伴う車輪の動きに追従して上記複合ケーブルの他端が揺れ動くことで、繰り返し屈曲されることになる(無負荷屈曲)。それ故、繰り返し屈曲されてもシールド性能を維持可能な上記複合ケーブルを適用することで、電動ブレーキの耐久信頼性を向上させることができる。
上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
以下、実施例の複合ケーブルについて、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。
(実施例1)
実施例1の複合ケーブルについて、図1を用いて説明する。図1に示されるように、本例の複合ケーブル1は、信号線2と、電力線3と、外部シース4と、内部シース5とを有している。以下、詳説する。
実施例1の複合ケーブルについて、図1を用いて説明する。図1に示されるように、本例の複合ケーブル1は、信号線2と、電力線3と、外部シース4と、内部シース5とを有している。以下、詳説する。
信号線2は、電気信号の伝送に用いられる。本例では、信号線2は、例えば、モーターの制御に関する電気信号の送受信に用いられるモーター用信号線とすることができる。信号線2は、具体的には、導体21と、導体21の外周を覆う絶縁体22とを有している。導体21は、例えば、銅または銅合金、あるいは、アルミニウムまたはアルミニウム合金等より形成することができる。導体断面積は、例えば、0.1〜0.75mm2とすることができる。また、絶縁体22は、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル等の塩化ビニル樹脂などより形成することができる。絶縁体22の厚みは、例えば、0.1〜0.5mmとすることができる。
図1では、複合ケーブル1が、複数本の信号線2を有する、より具体的には、2本の信号線2を有する例が示されている。2本の信号線2は、らせん状に撚り合わされている。なお、図1中、点線23は、点線で囲まれた複数の信号線2が撚り合わされてなる撚線であることを示している。
電力線3は、電力の供給に用いられる。本例では、電力線3は、例えば、モーターの制御に関する電気信号の伝送に用いられるモーター用信号線とすることができる。電力線3は、具体的には、導体31と、導体31の外周を覆う絶縁体32とを有している。導体31は、例えば、銅または銅合金、あるいは、アルミニウムまたはアルミニウム合金等より形成することができる。導体断面積は、例えば、1.25〜8mm2とすることができる。また、絶縁体32は、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル等の塩化ビニル樹脂などより形成することができる。絶縁体32の厚みは、例えば、0.3〜1mmとすることができる。
図1では、複合ケーブル1が、複数本の電力線3を有する、より具体的には、2本の電力線3を有する例が示されている。
外部シース4は、信号線2および電力線3の外周を一括して覆っている。外部シース4は、例えば、ポリウレタン樹脂より形成することができる。図1では、複合ケーブル1が、外部シース4の内周面が信号線2および内部シース5の表面に接する充実構造を有している例が示されている。他にも、複合ケーブル1は、外部シース4の内周面と信号線2および内部シース5との表面との間に空隙を備える中空構造(不図示)を有していてもよい。複合ケーブル1の外径は、例えば、5〜20mmとすることができる。
なお、上記空隙を有する場合、空隙に介在物を有することができる。この場合には、ケーブル表面の凹凸度合が介在物によって緩和される。そのため、外部シース4表面に凹凸が形成され難くなり、うねり等の少ない良好な外観を有する複合ケーブル1が得られる。介在物は、1種または2種以上より構成することができる。介在物の材質としては、例えば、紙類、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、タルクなどを例示することができる。
内部シース5は、外部シース4の内側に配置されている。内部シース5は、外部シース4の内側において信号線2を除いた状態で電力線3の外周を覆っている。本例では、内部シース5は、複数の電力線3の外周を一括して覆っている。内部シース5は、電線3の外周に押し出し成形によって形成されたものである。
内部シース5は、ベースポリマーと、ベースポリマーに混合された磁性粉とを有している。本例では、ベースポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等より形成することができる。磁性粉は、例えば、フェライト粉等のFe系軟磁性粉を用いることができる。内部シース5における磁性粉の含有量は、具体的には、ベースポリマー100質量部に対し、50〜100質量部程度とすることができる。なお、ベースポリマーには、磁性粉以外にも、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルクなどの添加剤が1種または2種以上混合されていてもよい。
次に、本例の複合ケーブルの作用効果について説明する。
複合ケーブル1では、信号線2を除いた状態で、放射ノイズを多く発生する電力線3の外周が、ベースポリマーに磁性粉が混合された内部シース5によって覆われている。複合ケーブル1は、繰り返し屈曲された場合でも、磁性粉が粉状でベースポリマーに保持されているため、内部シース5の導電性を維持し続けることができる。それ故、複合ケーブル1は、繰り返し屈曲された場合でも、ノイズ源の電力線3をシールドし続けることができ、シールド性能を一定に維持することができる。
また、複合ケーブル1は、内部シース5によりノイズ源の電力線3をシールドし続けることができるため、電力線3と信号線2とを近接させて配置することが可能となる。そのため、複合ケーブル1は、外部シース4内における電力線3および信号線2の経路配置の自由度を向上させることができる。さらに、複合ケーブル1は、信号線2および電力線3とは別個にシールド機能を有する内部シース5が設けられている。そのため、複合ケーブル1は、繰り返し屈曲された場合に、信号線2および電力線3と内部シース5とが別々の動きをすることができ、ケーブル歪を緩和させることができる。
また、本例では、内部シース5は、複数の電力線3の外周を一括して覆っているため、電力線3同士の電線軸間距離を短くしやすくなる。また、複数の電力線3が一つの内部シース5によってまとめられ、形状が一定に定まりやすい。そのため、複合ケーブル1は、ケーブル径の細径化を図りやすい。
(実施例2)
実施例2の複合ケーブル1について、図2を用いて説明する。本例の複合ケーブル1は、内部シース5が、複数の電力線3の外周をそれぞれ別々に覆っている。その他の構成は、実施例1と同様である。
実施例2の複合ケーブル1について、図2を用いて説明する。本例の複合ケーブル1は、内部シース5が、複数の電力線3の外周をそれぞれ別々に覆っている。その他の構成は、実施例1と同様である。
本例の複合ケーブル1は、電力線3から放射されるノイズ量に応じて、各電力線3を覆う内部シース5に含有される磁性粉の量を別個に調整することが可能となる。そのため、本例の複合ケーブル1は、ノイズ量が異なる電力線3への適応性に優れる。また、本例の複合ケーブル1は、ケーブル完成外径の細径化や、皮剥ぎ・分岐等の加工性に優れるなどの効果もある。その他の構成は、実施例1と同様である。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
1 複合ケーブル
2 信号線
3 電力線
4 外部シース
5 内部シース
2 信号線
3 電力線
4 外部シース
5 内部シース
Claims (7)
- 電気信号の伝送に用いられる信号線と、
電力の供給に用いられる電力線と、
上記信号線および上記電力線の外周を一括して覆う外部シースと、
上記外部シースの内側において上記信号線を除いた状態で上記電力線の外周を覆う内部シースとを有しており、
上記内部シースは、ベースポリマーと、上記ベースポリマーに混合された磁性粉とを有している、複合ケーブル。 - 上記電力線を複数有しており、上記内部シースは、複数の上記電力線の外周を一括して覆っている、請求項1に記載の複合ケーブル。
- 上記電力線を複数有しており、上記内部シースは、複数の上記電力線の外周をそれぞれ別々に覆っている、請求項1に記載の複合ケーブル。
- 上記磁性粉は、軟磁性粉である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
- 上記軟磁性粉は、Fe系軟磁性粉である、請求項4に記載の複合ケーブル。
- モーターの制御に関する電気信号の送受信に用いられるモーター用信号線を含み、
モーターの駆動に必要な電力の供給に用いられるモーター用電力線を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合ケーブル。 - 電動ブレーキ用である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016242625A JP2018098076A (ja) | 2016-12-14 | 2016-12-14 | 複合ケーブル |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016242625A JP2018098076A (ja) | 2016-12-14 | 2016-12-14 | 複合ケーブル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018098076A true JP2018098076A (ja) | 2018-06-21 |
Family
ID=62633024
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JP2016242625A Pending JP2018098076A (ja) | 2016-12-14 | 2016-12-14 | 複合ケーブル |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110962080A (zh) * | 2018-09-28 | 2020-04-07 | 株式会社牧田 | 电动作业机 |
-
2016
- 2016-12-14 JP JP2016242625A patent/JP2018098076A/ja active Pending
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CN110962080A (zh) * | 2018-09-28 | 2020-04-07 | 株式会社牧田 | 电动作业机 |
JP2020055048A (ja) * | 2018-09-28 | 2020-04-09 | 株式会社マキタ | 電動作業機 |
US11433525B2 (en) | 2018-09-28 | 2022-09-06 | Makita Corporation | Electric working machine and method of assembling electric working machine |
JP7139208B2 (ja) | 2018-09-28 | 2022-09-20 | 株式会社マキタ | 電動作業機 |
CN110962080B (zh) * | 2018-09-28 | 2023-12-15 | 株式会社牧田 | 电动作业机 |
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