JP2018095868A - フェノール樹脂発泡板 - Google Patents

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Abstract

【課題】フェノール樹脂発泡板における圧縮強度のさらなる向上を図る。
【解決手段】平板状であるフェノール樹脂の発泡層10が備えられ、前記発泡層10には、MD方向に延びかつ厚さT方向にわたる2以上のウェルドライン22が形成され、全ての前記ウェルドライン22は、MD方向の断面視で、前記発泡層10のTD方向における中心線Oから最も近い地点P1までの距離L1と前記中心線Oから最も離れた地点P2までの距離L2との差の絶対値Dが15mm以下の支持ウェルドラインであることよりなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、フェノール樹脂発泡板に関する。
家屋等の断熱材として、断熱パネルが汎用される。断熱パネルとしては、フェノール樹脂発泡層と、このフェノール樹脂発泡層の片面又は両面に設けられた面材とを備えるフェノール樹脂発泡板が知られている。
例えば、フェノール樹脂発泡板は、次のように製造される。任意の速度で走行する面材上に、複数のノズルから発泡性フェノール樹脂組成物を吐出する。この発泡性フェノール樹脂組成物は、フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒(硬化剤)、界面活性剤等を含む。次いで、面材上に吐出された発泡性フェノール樹脂組成物の上に他の面材を載せる。上下の面材の間隔を任意の距離とし、面材間の発泡性フェノール樹脂組成物を加熱して、発泡し硬化してフェノール樹脂発泡板を得る。
フェノール樹脂の硬化反応は、発熱反応である。このため、発泡性フェノール樹脂組成物を加熱し硬化すると、中心部の温度が上昇し、中心部の気泡径が大きくなりやすい。中心部の気泡径が大きくなると、得られるフェノール樹脂発泡板の圧縮強度が低下しやすいという問題がある。
こうした問題に対して、例えば、厚さ方向における密度分布が特定の関係であるフェノール樹脂発泡板が提案されている(例えば特許文献1)。
特許第4358000号公報
しかしながら、フェノール樹脂発泡板には、圧縮強度のさらなる向上が求められている。
そこで、本発明は、圧縮強度のさらなる向上が図られたフェノール樹脂発泡板を目的とする。
フェノール樹脂発泡板には、複数の独立気泡が形成されている。通常、この独立気泡は、フェノール樹脂発泡板の厚さ方向に長い形状である。また、上述の製造方法で製造されたフェノール樹脂発泡板には、MD方向に延び、かつ厚さ方向にわたるウェルドラインが形成されている。ウェルドラインは、複数のノズルから吐出された発泡性フェノール樹脂組成物同士のつなぎ目である。
本発明者は、MD方向の断面視におけるウェルドラインの歪みを特定の範囲とすることで、気泡の長径の傾きを抑制でき、フェノール樹脂発泡板の圧縮強度のさらなる向上が図れることを見出し、本発明に至った。
本発明は以下の態様を有する。
[1]平板状であるフェノール樹脂の発泡層が備えられ、前記発泡層には、MD方向に延びかつ厚さ方向にわたる2以上のウェルドラインが形成され、全ての前記ウェルドラインは、MD方向の断面視で、前記発泡層のTD方向における中心線から最も近い地点P1までの距離と前記中心線から最も離れた地点P2までの距離との差の絶対値Dが15mm以下の支持ウェルドラインである、フェノール樹脂発泡板。
[2]前記発泡層の厚さTが5mm以上200mm以下である、[1]に記載のフェノール樹脂発泡板。
[3]前記厚さTが40mm未満の場合、絶対値D(mm)/厚さT(mm)で表される比(D/T比)は、1.5以下である、[2]に記載のフェノール樹脂発泡板。
[4]前記厚さTが40mm以上の場合、絶対値D(mm)/0.5厚さT(mm)で表される比(D/0.5T比)は、0.75以下である、[2]に記載のフェノール樹脂発泡板。
[5]前記支持ウェルドラインは、MD方向の断面視で、前記地点P1を通りかつ前記地点P2側で前記支持ウェルドラインに接する接線と、前記地点P1を通り前記中心線と並行な線分とのなす角度で表される傾斜角が0°以上20°以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡板。
本発明のフェノール樹脂発泡板によれば、圧縮強度のさらなる向上が図れる。
本発明の一実施形態に係るフェノール樹脂発泡板の断面模式図である。 フェノール樹脂発泡板の製造システムの一例を示す側面模式図である。 吐出装置の一例を示す平面図である。
本発明のフェノール樹脂発泡板は、フェノール樹脂の発泡層(以下、単に発泡層ということがある)を備える。本発明のフェノール樹脂発泡板は、発泡層の片面又は両面に面材を備えていてもよい。
以下、図面を参照して、フェノール樹脂発泡板について説明する。
図1は、フェノール樹脂発泡板をMD方向から見た断面図である。図1中、X方向がTD方向である。
図1のフェノール樹脂発泡板1は、平板状の発泡層10と第一の面材12と第二の面材14とを備える。第一の面材12は、発泡層10の一方の面に設けられている。第二の面材14は、発泡層10の他方の面に設けられている。
フェノール樹脂発泡板1は、例えば、MD方向を長手、TD方向を短手とする平面視矩形の板状物である。
フェノール樹脂発泡板1の大きさは、特に限定されないが、長さ500mm以上4000mm以下×幅500mm以上1000mm以下×厚さ5mm以上200mm以下のものが挙げられる。
発泡層10には、2以上の気泡20が形成されている。気泡20の内、少なくとも一部は独立気泡である。
発泡層10には2以上のウェルドライン22が形成されている。
ウェルドライン22は、MD方向の断面視にて、発泡層10における一方の面から他方の面にわたって延びている。
ウェルドライン22は、後述する製造方法において、2以上のノズルから吐出された発泡性樹脂組成物同士が合流した境界部分であり、発泡層10の他の部分に比べて密度が高く、強靭である。また、ウェルドライン22は、密度が高いため、発泡層10の他の部分に比べて透明度が低い(色調が濃い)。このため、MD方向の断面視において、厚さT方向にわたる「線」として視認できる。
発泡層10は、発泡性樹脂組成物を発泡し硬化してなる発泡体である。発泡性樹脂組成物は、フェノール樹脂と発泡剤とを含む。
フェノール樹脂としては、レゾール型のものが好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシノール及びこれらの変性物等が挙げられる。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。
アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。
ただしフェノール化合物、アルデヒド、アルカリ触媒はそれぞれ上記のものに限定されるものではない。フェノール樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合されて用いられてもよい。
フェノール化合物とアルデヒドとの使用割合は特に限定されない。好ましくは、フェノール化合物:アルデヒドのモル比で、1:1〜1:3であり、より好ましくは1:1.3〜1:2.5である。
フェノール樹脂の重量平均分子量Mwは、400〜3000が好ましく、700〜2000がより好ましい。重量平均分子量が上記下限値以上であれば、独立気泡率が高まり、圧縮強度のさらなる向上及び熱伝導率のさらなる向上を図りやすい。また、ボイドの形成を防止しやすい。重量平均分子量Mwが上記上限値以下であれば発泡性樹脂組成物の粘度が高まりすぎず、所望する発泡倍率を得やすい。
25℃におけるフェノール樹脂の粘度は、例えば、6000cps(mPa・s)以上50000cps以下が好ましく、7000cps以上30000cps以下がより好ましい。粘度が上記下限値以上であれば、発泡性樹脂組成物の粘度を高めやすくなり、支持ウェルドラインをより形成しやすい。上記上限値以下であれば、発泡性樹脂組成物が適度な流動性を有し、ノズル64から発泡性樹脂組成物を吐出しやすい。発泡性樹脂組成物の粘度は、JIS K 7117−1(1999)に従い、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて、試験温度25℃で測定された値である。
フェノール樹脂の水分量を低減することで、フェノール樹脂の粘度を調整できる。
発泡剤は、特に限定されず、例えば、炭化水素;ハロゲン化飽和炭化水素、ハロゲン化不飽和炭化水素等のハロゲン化炭化水素;窒素、アルゴン、炭酸ガス、空気等の低沸点ガス;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アゾジカルボン酸アミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン等の化学発泡剤;多孔質固体材料等が挙げられる。中でも、発泡層10の難燃性をより高め、断熱性を高める観点から、発泡剤としては、ハロゲン化炭化水素が好ましく、ハロゲン化不飽和炭化水素がより好ましい。
これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
炭化水素としては、発泡剤として公知のものを用いることができ、沸点が−20℃以上100℃以下のものが好適に用いられる。
炭化水素としては、炭素数が3以上7以下の環状又は鎖状のアルカン、アルケン、アルキンが好ましく、例えば、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、シクロヘキサン、等を挙げることができる。その中でも、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタンのペンタン類及びノルマルブタン、イソブタン、シクロブタンのブタン類が好適に用いられる。これら炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ハロゲン化炭化水素としては、発泡剤として公知のものを用いることができる。ハロゲン化炭化水素としては、例えば、塩素化飽和炭化水素、フッ素化飽和炭化水素等のハロゲン化飽和炭化水素;塩素化不飽和炭化水素、塩素化フッ素化不飽和炭化水素、フッ素化不飽和炭化水素、臭素化フッ素化不飽和炭化水素、ヨウ素化フッ素化不飽和炭化水素等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素は、水素の全てがハロゲンで置換されたものでもよいし、水素の一部がハロゲンで置換されたものでもよい。
これらのハロゲン化炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
塩素化飽和炭化水素としては、炭素数が2以上5以下であるものが好ましく、例えばジクロロエタン、プロピルクロライド、イソプロピルクロライド(2−クロロプロパン)、ブチルクロライド、イソブチルクロライド、ペンチルクロライド、イソペンチルクロライド等が挙げられる。中でも、オゾン層破壊係数が低く、環境適合性に優れる点で、イソプロピルクロライドが好ましい。
塩素化フッ素化不飽和炭化水素としては、分子内に塩素原子とフッ素原子と二重結合を含むものが挙げられ、例えば、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエテン(E及びZ異性体)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)(E及びZ異性体)(例えば、HoneyWell社製、商品名:SOLSTICE LBA)、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yd)(E及びZ異性体)、1−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zb)(E及びZ異性体)、2−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xe)(E及びZ異性体)、2−クロロ−2,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xc)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)(例えば、SynQuest Laboratories社製、製品番号:1300−7−09)、3−クロロ−1,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233ye)(E及びZ異性体)、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yc)、3,3−ジクロロ−3−フルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1223xd)(E及びZ異性体)、2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(E及びZ異性体)、及び2−クロロ−1,1,1,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン(E及びZ異体)等が挙げられる。
フッ素化飽和炭化水素としては、例えば、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3−ペンタフルオプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee)等のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。
フッ素化不飽和炭化水素としては、分子内にフッ素原子と二重結合を含むものが挙げられ、例えば、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)(E及びZ異性体)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO1336mzz)(E及びZ異性体)(SynQuest Laboratories社製、製品番号:1300−3−Z6)等の特表2009−513812号公報等に開示されるものが挙げられる。
2種以上の発泡剤の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば1種以上の塩素化炭化水素又は炭化水素と1種以上のフッ素化不飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上の塩素化炭化水素又は炭化水素と1種以上のフッ素化飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上の塩素化炭化水素又は炭化水素と1種以上の塩素化フッ素化不飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上の塩素化炭化水素又は炭化水素と1種以上の塩素化フッ素化飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上の塩素化フッ素化炭化水素と1種以上のフッ素化飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上のフッ素化不飽和炭化水素と1種以上のフッ素化飽和炭化水素との組み合わせ、2種以上の塩素化フッ素化炭化水素同士の組み合わせ、2種以上のフッ素化飽和炭化水素同士の組み合わせ、2種以上のフッ素化不飽和炭化水素同士の組み合わせ等が挙げられる。
2種以上のハロゲン化炭化水素の組み合わせとしては、塩素化炭化水素と、分子内にハロゲン原子と炭素間2重結合を有するハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせが好ましい。
塩素化炭化水素は、フェノール樹脂の発泡層の発泡剤として従来用いられているが、1種単独では、発泡層10の平均気泡径が大きく、熱伝導率が高くなりやすい。フッ素化不飽和炭化水素を併用することで、平均気泡径が小さく、熱伝導率が低くなり、フェノール樹脂発泡板1の断熱性が向上する。また、ハロゲン化不飽和炭化水素は不燃性であるため、フェノール樹脂発泡板1の難燃性が向上する。
塩素化炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせにおいて、塩素化炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との質量比は、塩素化炭化水素:ハロゲン化不飽和炭化水素=9:1〜1:9が好ましく、9:1〜7:3がより好ましい。
ハロゲン化不飽和炭化水素を前記の質量比を満たす範囲内で含むことで、平均気泡径がより小さく、熱伝導率がより低くなり、フェノール樹脂発泡板1の断熱性がより優れたものとなる。
炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との質量比は、炭化水素:ハロゲン化不飽和炭化水素=9:1〜1:9が好ましく、8:2〜2:8がより好ましく、5:5〜3:7がさらに好ましい。ハロゲン化不飽和炭化水素の割合が上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡板1の断熱性をより高められる。ハロゲン化不飽和炭化水素の割合が上記上限値以下であれば、発泡性フェノール樹脂組成物を十分に発泡できる。ハロゲン化不飽和炭化水素は、フェノール樹脂との相溶性が高い。このため、ハロゲン化不飽和炭化水素の割合が上記上限値超では、フェノール樹脂組成物の粘度が低下し、フェノール樹脂の発泡が不十分になりやすい。
塩素化炭化水素又は炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせにおいて、ハロゲン化不飽和炭化水素の沸点は、塩素化炭化水素の沸点よりも低いことが好ましい。ハロゲン化不飽和炭化水素の沸点が塩素化炭化水素又は炭化水素の沸点よりも低い方が、発泡層10中の気泡20の気泡径が小さく、かつ単位体積あたりの気泡20の数が多くなり、断熱性をより高められる傾向がある。
また、それらの沸点の差は2℃以上30℃以下であることが好ましく、5℃以上20℃以下がより好ましい。沸点の差が上記上限値より大きいと、先にガス化して気泡核を形成したハロゲン化不飽和炭化水素が、より沸点の高い塩素化炭化水素がガス化するまでに気泡から抜けてしまい、発泡が不十分となるおそれがある。沸点の差が上記下限値より小さいと、十分に気泡核を形成しないまま塩素化炭化水素が発泡してしまい、気泡径が粗大になるおそれがある。
そのため、例えば、塩素化炭化水素として沸点37℃であるイソプロピルクロライドを選択した場合には、ハロゲン化不飽和炭化水素としては、沸点が−7℃以上35℃以下の沸点を有するものを選択するのが好ましく、常温付近での取り扱いのしやすい点で、17℃以上32℃以下の沸点を有するものを選択するのがより好ましい。
また、沸点49℃であるシクロペンタンを炭化水素として選択した場合には、沸点が19℃以上47℃以下の沸点を有するものを選択することが好ましい。また、あるいは、常温付近での取り扱いのしやすさの観点からは、29℃以上44℃以下の沸点を有するものが好ましい。
塩素化炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせとしては、イソプロピルクロライドとフッ素化不飽和炭化水素との組み合わせ、又はイソプロピルクロライドと塩素化フッ素化不飽和炭化水素との組み合わせが好ましい。
炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせとしては、シクロペンタンとフッ素化不飽和炭化水素との組み合わせ、又はシクロペンタンと塩素化フッ素化不飽和炭化水素との組み合わせが好ましい。
ハロゲン化炭化水素としては、オゾン破壊係数(ODP)及び地球温暖化係数(GWP)が小さく、環境に与える影響が小さい点で、ハロゲン化不飽和炭化水素が好ましく、塩素化フッ素化不飽和炭化水素又はフッ素化不飽和炭化水素がより好ましい。
発泡性樹脂組成物中の発泡剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部に対し、1質量部以上25質量部以下が好ましく、3質量部以上15質量部以下がより好ましく、5質量部以上11質量部以下がさらに好ましい。
発泡性樹脂組成物は、酸触媒を含有してもよい。酸触媒は、フェノール樹脂を硬化させるために使用される。
酸触媒としては、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、硫酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡性樹脂組成物中の酸触媒の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、5質量部以上30質量部以下が好ましく、8質量部以上25質量部以下がより好ましく、10質量部以上20質量部以下がさらに好ましい。
発泡性樹脂組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、フェノール樹脂の可塑化を抑制し、気泡同士を仕切る気泡壁の伸長強度を適切にできる。
界面活性剤としては、特に限定されず、整泡剤等として公知のものを使用できる。例えば、ひまし油アルキレンオキシド付加物、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、気泡径の小さい気泡を形成しやすい点で、ひまし油アルキレンオキシド付加物及びシリコーン系界面活性剤のいずれか一方又は両方を含むことが好ましい。また、熱伝導率をより低く、難燃性をより高くできる点で、シリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドとしては、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド(以下、「EO」と略記する。)、プロピレンオキシド(以下、「PO」と略記する。)がより好ましく、EOがさらに好ましい。ひまし油に付加するアルキレンオキシドは1種でもよく2種以上でもよい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物としては、ひまし油EO付加物、ひまし油PO付加物が好ましい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドの付加モル数は、ひまし油1モルに対し、20モル超60モル未満が好ましく、21モル以上40モル以下がより好ましい。かかるひまし油アルキレンオキシド付加物においては、ひまし油の長鎖炭化水素基を主体とする疎水性基と、所定付加モルのアルキレンオキシド(EO等)によって形成されたポリオキシアルキレン基(ポリオキシエチレン基等)を主体とする親水性基とが、分子内でバランス良く配置されて、良好な界面活性能が発揮される。このため、発泡層10の気泡径が小さくなる。また、発泡層10の気泡壁に柔軟性が付与されて、亀裂を生じにくい。
シリコーン系界面活性剤としては、例えばジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のオルガノポリシロキサン系化合物が挙げられる。中でも、より均一でより微細な気泡を得られる点で、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体が好ましい。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体の構造は、特に限定されず、例えば、シロキサン鎖の両方の末端にポリエーテル鎖が結合したABA型、複数のシロキサン鎖と複数のポリエーテル鎖が交互に結合した(AB)n型、分岐状のシロキサン鎖の末端のそれぞれにポリエーテル鎖が結合した枝分かれ型、シロキサン鎖に側基(末端以外の部分に結合する基)としてポリエーテル鎖が結合したペンダント型等が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体としては、例えば、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体が挙げられる。
ポリオキシアルキレンにおけるオキシアルキレン基の炭素数は、2又は3が好ましい。ポリオキシアルキレンを構成するオキシアルキレン基は、1種でもよく2種以上でもよい。
ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体の具体例としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシプロピレン共重合体、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体としては、末端が−OR(Rは、水素原子又はアルキル基である。)であるポリエーテル鎖を有するものが好ましく、熱伝導率をより低くできる点で、Rが水素原子であるものが特に好ましい。
発泡性樹脂組成物中の界面活性剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.3質量部以上7質量部以下がより好ましい。界面活性剤の含有量が上記下限値以上であれば、界面活性剤を添加した効果を得られやすく、上記上限値以下であれば、より良好に硬化する。
発泡性樹脂組成物は、従来公知の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、増粘剤、架橋促進剤、尿素、可塑剤、充填剤(充填材)、難燃剤(例えばリン系難燃剤等)、有機溶媒、アミノ基含有有機化合物、着色剤等が挙げられる。
増粘剤としては、飽和炭化水素、炭化水素系合成オイル、石油系ベースオイル等が挙げられる。飽和炭化水素類としては、シクロオクタン、ノナン、デカン、デカリン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン等の炭素数8以上20以下の直鎖、イソ又は環状の飽和炭化水素が挙げられる。炭化水素系合成オイルとしては、灯油、軽油、α−オレフィンを重合後水素添加処理して得られる炭化水素系合成オイル等が挙げられる。石油系ベースオイルとしては、原油からの減圧蒸留分離成分に対し溶剤洗浄、脱硫、水素添加処理を行って得られるパラフィニックベースオイル、ナフテニックベースオイル、石油系重質油類又はピッチ類等が挙げられる。
架橋促進剤としては、尿素、メチロール尿素、メラミン、ヘキサミン、アンモニウム化合物等が挙げられる。アンモニウム化合物としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム等のアンモニウム塩や、アルキル第4級アンモニウム塩等の有機アンモニウム化合物が用いられる。これらの架橋促進剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡性樹脂組成物の架橋促進剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.5質量部以上5質量部以下がより好ましい。上記下限値以上であれば、架橋促進剤を添加した効果を得られやすい。上記上限値以下であれば、架橋速度を制御しやすい。
充填剤としては、無機フィラーが好ましい。無機フィラーを用いることで、発泡樹脂積層体の熱伝導率を低減し、かつ難燃性のさらなる向上を図れる。
発泡性樹脂組成物中の充填剤の含有量は、抽出pHが5以上となる量が好ましい。例えば、充填剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましく、3質量部以上15質量部以下がさらに好ましく、5質量部以上10質量部以下が特に好ましい。充填剤の含有量が上記下限値未満では、発泡層10の抽出pHが低くなる。抽出pHが低くなると、酸性度が増すため、フェノール樹脂発泡板1と接触する資材に腐食を生じるおそれがある。充填剤の含有量が上記上限値超では、酸触媒による硬化反応が著しく阻害され、生産性が悪化するおそれがある。
抽出pHは、以下の方法で測定される。発泡層10を乳鉢で250μm(60メッシュ)以下に粉砕して試料とする。試料0.5gを200mLの共栓付き三角フラスコに量り取る。共栓付き三角フラスコに純水100mLを加え、密栓する。マグネチックスターラーを用いて、共栓付き三角フラスコ内を23℃±5℃で7日間撹拌して、試料液とする。得られた試料液のpHをpHメータで測定し、その値を抽出pHとする。
MD方向の断面視において、ウェルドライン22の形状は特に限定されない。
例えば、ウェルドライン22dのように、TD方向における中心線Oと平行な直線が挙げられる。
また、例えば、ウェルドライン22aのように、第二の面材14側の端部から第一の面材12側の端部に向かうに従い、中心線Oから離れる直線でもよい。
あるいは、ウェルドライン22bのように、第二の面材14側の端部から第一の面材12側の端部に向かうに従い、中心線Oから離れ、かつ外側に膨らむ曲線でもよい。
あるいは、例えば、ウェルドライン22cのように、第二の面材14側の端部から第一の面材12側の端部に向かうに従い、中心線Oから離れ、次いで中心線Oに近づく曲線でもよい。
また、あるいは、ウェルドライン22は、中心線O方向に膨らむ曲線でもよい。
全てのウェルドライン22は、支持ウェルドラインである。
ウェルドライン22に支持ウェルドライン以外のウェルドラインが含まれると、フェノール樹脂発泡板1の圧縮強度を高めにくい。
支持ウェルドラインは、MD方向の断面視で、前記発泡層のTD方向における中心線Oから最も近い地点P1までの距離と前記中心線から最も離れた地点P2までの距離との差の絶対値Dが15mm以下のウェルドライン22である。
絶対値Dは、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡板1の圧縮強度をより高められる。
例えば、中心線Oと平行であるウェルドライン22dは支持ウェルドラインである。
ウェルドライン22aにおいて、中心線Oから最も近い地点P1は、第二の面材14側の端部である。ウェルドライン22aにおいて、中心線Oから最も離れた地点P2は、第一の面材12側の端部である。
ウェルドライン22aにおいて、中心線Oから地点P1までの距離L1と、中心線Oから地点P2までの距離L2との差の絶対値D(|L2−L1|)が15mm以下であれば、ウェルドライン22aは、支持ウェルドラインである。
また、ウェルドライン22bにおいて中心線Oから最も近い地点P1は、第二の面材14側の端部である。ウェルドライン22bにおいて、中心線Oから最も離れた地点P2は、第一の面材12側の端部である。
ウェルドライン22bにおいて、絶対値Dが15mm以下であれば、ウェルドライン22bは、支持ウェルドラインである。
あるいは、ウェルドライン22cにおいて、中心線Oから最も近い地点P1は、第二の面材14側の端部である。ウェルドライン22cにおいて、中心線Oから最も離れた地点P2は、第一の面材12と第二の面材14との間に位置し、最も外側(TD方向において中心線Oから離れる方向)に膨出した位置である。
ウェルドライン22Cにおいて、絶対値Dが15mm以下であれば、ウェルドライン22aは、支持ウェルドラインである。
なお、ウェルドライン22における絶対値Dは、後述する製造方法における発泡性樹脂組成物の粘度、ノズル同士の間隔、発泡性樹脂組成物を吐出する吐出装置の種類等の組み合わせにより、調節される。
中心線Oに対する支持ウェルドラインの歪みの程度は、傾斜角θで表される。傾斜角θは、MD方向の断面視で、地点P1を通りかつ地点P2側で支持ウェルドラインに接する接線Q1と、地点P1を通り中心線Oと並行な線分O1とのなす角度で表される。
図1に示すように、ウェルドライン22aにおける接線Q1は、ウェルドライン22aに重なる。ウェルドライン22b、22cにおける接線Q1は、各ウェルドラインが膨らむ方向に傾斜している。
支持ウェルドラインの傾斜角θは、0°以上20°以下が好ましく、15°以下がより好ましく、10°以下がさらに好ましい。傾斜角θが上記上限値以下であれば、支持ウェルドラインは、発泡層10の表面に対して垂直に近づく。発泡層10の表面に対して垂直なウェルドラインは、発泡層10の厚さT方向に働く力に対し、座屈しにくい。このため、フェノール樹脂発泡板1は、支持ウェルドラインを有することで圧縮強度のさらなる向上が図れる。
ここで、気泡20は、発泡層10の厚さT方向に長い形状である。ウェルドライン22の近傍に形成された気泡20は、例えば、気泡20aのようにウェルドライン22に追随して傾斜する。中心線Oに対して傾斜した気泡20aは、発泡層10の厚さT方向に働く力に対して潰れやすい。このため、フェノール樹脂発泡板1は、支持ウェルドラインを有することで、厚さT方向に長い気泡20を形成して圧縮強度のさらなる向上を図れる。
なお、ウェルドライン22の傾斜角θは、後述する製造方法における発泡性樹脂組成物の粘度、ノズル同士の間隔、発泡性樹脂組成物を吐出する吐出装置の種類等の組み合わせにより、調節される。
TD方向の断面視において、任意のウェルドライン22と、これとTD方向で隣り合う他のウェルドライン22との距離L3は、例えば、3cm以上25cm以下が好ましく、3cm以上15cm以下がより好ましく、3cm以上10cm以下がさらに好ましい。距離L3が上記下限値以上であれば、容易に製造できる。距離L3が上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡板1の圧縮強度をより高められる。
距離L3は以下の様に求められる。ウェルドライン22における第一の面材12側の端部p1と、第二の面材14側の端部p2とを結ぶ直線Q2を描く。任意のウェルドライン22の直線Q2の中点(厚さT方向を二等分する点)と、これとX方向(TD方向)で隣り合う他のウェルドライン22の直線Q2の中点とのX方向の距離を測定し、これを隣り合う2つのウェルドライン22間の距離L3とする。
発泡層10の厚さTは、フェノール樹脂発泡板1に求める断熱性等を勘案して決定され、例えば、5mm以上200mm以下が好ましく、20mm以上100mm以下がより好ましい。上記下限値以上であれば、断熱性をより高められる。厚さTが上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡板1の厚さが厚くなりすぎず、取り扱いが容易である。
厚さTが40mm未満の場合、絶対値D(mm)/厚さT(mm)で表される比(D/T比)は、1.5以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.1以下が特に好ましい。D/T比が上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡板1の圧縮強度をより高められる。
厚さTが40mm以上の場合、絶対値D(mm)/0.5厚さT(mm)で表される比(D/0.5T比)は、0.75以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましく、0.1以下が特に好ましい。D/0.5T比が上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡板1の圧縮強度をより高められる。
発泡層10の密度は、10kg/m以上100kg/m以下が好ましく、15kg/m以上60kg/m以下がより好ましく、25kg/m以上40kg/m以下がさらに好ましい。密度が上記下限値以上であれば強度をより高められ、上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡板1の断熱性をより高められる。
発泡層10の密度は、JIS A 9511:2009に準じて測定される値である。
発泡層10における平均気泡径は、10μm以上200μm以下が好ましく、40μm以上150μm以下がより好ましく、50μm以上100μm以下がさらに好ましい。平均気泡径が上記範囲内であれば、フェノール樹脂発泡板1の断熱性をより高められる。
平均気泡径は、例えば、以下の測定方法により測定される。
まず、発泡層10の厚さ方向のほぼ中央から試験片を切出す。試験片の厚さ方向の切断面を50倍拡大で撮影する。撮影された画像に、長さ9cmの直線を4本引く。この際、ボイド(2mm以上の空隙)を避けるように直線を引く。各直線が横切った気泡の数(JIS K6400−1:2004に準じて測定したセル数)を直線毎に計数し、直線1本当たりの平均値を求める。気泡の数の平均値で1800μmを除し、求められた値を平均気泡径とする。
発泡層10の平均気泡径は、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。例えば、炭化水素とハロゲン化炭化水素とを発泡剤として併用することで平均気泡径を小さくすることができる。
発泡層10における独立気泡率は、例えば、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、100%でもよい。独立気泡率が上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡板1の断熱性をより高められる。
独立気泡率は、JIS K 7138:2006に準拠して測定される。
発泡層10の独立気泡率は、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。
気泡20は、MD方向の断面視において、厚さ方向の長さ(μm)/TD方向の長さ(μm)で表される気泡アスペクト比の下限値は、1超が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましく、2以上が特に好ましい。気泡アスペクト比が上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡板1の圧縮強度をより高められる。気泡アスペクト比の上限値は、特に限定されないが、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。気泡アスペクト比が上記上限値以下であれば、発泡層10をより容易に製造できる。
気泡アスペクト比の測定方法について、説明する。
フェノール樹脂発泡板1について、MD方向に分割するように切断する。この断面をMD方向から電子顕微鏡で撮影する(×50倍)。撮影された画像に、発泡層10のTD方向に2本の直線(長さ1800μm相当)を描き、発泡層10の厚さT方向に2本の直線(長さ1800μm相当)を描く。TD方向の直線が横切った気泡の直線上の径を測定し、その結果から平均値を算出してTD方向における気泡径(R1)とする。また、厚さT方向の直線が横切った気泡の直線上の径を測定し、その結果から平均値を算出して厚さT方向における気泡径(R2)とする。
求めたR1及びR2から、気泡アスペクト比(R2/R1)を算出する。
発泡層10の酸素指数(Limited Oxygen Index;以下「LOI」ともいう。)は、28容量%以上が好ましく、29容量%以上がより好ましく、32容量%以上がさらに好ましく、34容量%以上が特に好ましく、35容量%以上が最も好ましい。LOIが上記下限値以上であれば、発泡層10の難燃性のさらなる向上を図れる。
LOIは、JIS K 7201−2:2007に準じて測定される値である。
発泡層10のLOIは、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、難燃剤の種類又は組成とその量等の組み合わせにより調節される。例えば、発泡剤中の可燃性の発泡剤の含有量が少ない(ハロゲン化炭化水素の含有量が多い)ほど、LOIが高い。また、界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、特に末端が−OHであるポリエーテル鎖を有するものであれば、他の界面活性剤を用いる場合に比べて、LOIが高い傾向がある。さらに、リン系難燃剤等を添加することでLOIを高くすることができる。
第一の面材12は、発泡層10の一方の面を覆っている。発泡層10の一方の面の面積(100%)に対して、第一の面材12の覆う面積の割合は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましく、100%が特に好ましい。
第一の面材12の種類としては、ガラス繊維混抄紙、水酸化アルミニウム紙、ケイ酸カルシウム紙、ケイ酸マグネシウム紙等の無機材料を含有する紙やクラフト紙等の紙類;織布;ガラス繊維不織布、ポリエステル繊維不織布、ポリプロピレン繊維不織布、ナイロン繊維不織布、アルミニウム箔張不織布等の不織布;合板;珪酸カルシウム板;石膏ボード;木質系セメント板;アルミニウム箔、銅箔、ステンレス鋼箔等の金属箔;等が挙げられる。
不織布としては、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布等が挙げられる。中でも、入手しやすく、不織布表層の風合いや毛羽立ちをコントロールしやすく、取り回しがしやすいスパンボンド不織布が好ましい。不織布の種類は、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維等の合成樹脂繊維;ガラス繊維等の鉱物繊維;綿、麻等の天然繊維が挙げられる。中でも、加湿時、吸水時の寸法安定性や経済性、ハンドリング性の観点からは、合成樹脂繊維が好ましい。合成繊維不織布が用いられることで、発泡性樹脂組成物中の水分や、フェノール樹脂の縮合の際に生じる水によって、面材が収縮等して面材にシワが発生するのを抑制できる。
第一の面材12としては、上述の中でも、紙類、不織布が好ましく、ガラス繊維混抄紙、ガラス繊維不織布がより好ましい。
第一の面材12の厚さは、特に限定されないが、例えば、ポリエステル繊維不織布等の合成繊維不織布の場合には0.1mm以上0.25mm以下が好ましい。ガラス繊維混抄紙等の紙類の場合には0.02mm以上1.0mm以下が好ましい。ガラス繊維不織布の場合には0.2mm以上1.0mm以下が好ましい。
第一の面材12の目付は、特に限定されないが、合成繊維不織布を用いる場合には、目付け量は15g/m以上200g/m以下であることが好ましく、15g/m以上150g/m以下であることがより好ましく、15g/m以上100g/m以下であることがさらに好ましく、15g/m以上80g/m以下であることが特に好ましく、15g/m以上60g/m以下であることが最も好ましい。
ガラス繊維混抄紙を用いる場合には、目付け量は50g/m以上300g/m以下であることが好ましく、70g/m以上250g/m以下であることがより好ましく、80g/m以上230g/m以下であることがさらに好ましく、90g/m以上210g/m以下であることが特に好ましく、100g/m以上200g/m以下であることが最も好ましい。
ガラス繊維不織布を用いる場合には、目付け量は30g/m以上600g/m以下であることが好ましく、30g/m以上500g/m以下であることがより好ましく、30g/m以上400g/m以下であることがさらに好ましく、30g/m以上350g/m以下であることが特に好ましく、30g/m以上300g/m以下であることが最も好ましい。
目付が上記下限値以上であれば、面材から吐出したフェノール樹脂が染み出すのを抑制しやすい。加えて、目付が上記下限値以上であれば、発泡性樹脂組成物が第一の面材12の表面に染み出しにくい。目付が上記上限値以下であれば、発泡層10と第一の面材12との接着性を高められる。これにより、第一の面材12が発泡層10から剥がれにくくなり表面をより美麗にできる。加えて、後述する製造方法において、コンベア等の搬送機器の表面の凹凸に追従させやすくなり、フェノール樹脂発泡板1の生産性を高めやすい。
面材がガラス繊維混抄紙である場合には、面材の目付に対するガラス繊維の含有量は10質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましい。ガラス繊維の含有量が上記下限値以上であると、フェノール樹脂発泡板1の難燃性のさらなる向上を図れる。ガラス繊維の含有量が上記上限値以下であると、発泡層10と面材との剥離強度を十分に高められる。
なお、ガラス繊維混抄紙の残りの主成分はセルロース繊維であり、その他に結合剤、無機充填剤、着色剤等を含んでいてもよい。
面材が合成繊維不織布である場合には、凹凸形状のいわゆるエンボス(熱圧着固定部分)が形成されていることが好ましい。エンボスが形成された面材を用いることで、面材と発泡層10との接着性をより高められる。
エンボスのパターン(柄)としては、特に限定されないが、例えば、マイナス柄、ポイント柄、織り目柄等が挙げられる。エンボスによる凹凸形状が大きく、発泡層10との接着性をより高められる点から織り目柄又はマイナス柄が好ましい。
合成繊維不織布にエンボス加工を施すには、例えば、公知のスパンボンド法で、紡口直下の冷却条件により発現させた捲縮長繊維ウェブを熱エンボスロールで部分熱圧着させる方法が挙げられる。また、例えば、潜在捲縮長繊維ウェブを熱処理により捲縮させて熱エンボスロールで部分熱圧着させる方法が挙げられる。
エンボス加工の際に形成された熱圧着固定部分において、熱圧着固定部分1箇所当たりの面積は0.05mm以上5.0mm以下が好ましく、0.07mm以上3.0mm以下がより好ましい。この範囲内の面材を用いることで、熱圧着固定部分により発泡性樹脂組成物の滲み出しを抑えつつ、発泡層10と面材との接着性を向上させることができる。上記面積が0.05mm未満である場合、繊維同士の結合が少なく、摩擦強度等の物理強度が低く発泡性樹脂組成物が滲み出しやすい傾向がある。上記面積が5.0mmを超える場合、熱圧着固定部分の面積が多く、風合いが硬く、発泡層10と面材の繊維との接着性が低下するおそれがある。さらに、通気度が低くなり、養生時間が長くなったり、独立気泡率が低下するおそれがある。
なお、熱圧着固定部分は一般的に目視又は光学顕微鏡等により簡単に見つけることができる。個々の熱圧着固定部分の面積は、以下の方法により測定することができる。
<繊維固定部分の面積の総和の割合>
不織布の表面を光学顕微鏡で10倍に拡大した画像を得る。画像処理ソフトウェア(商品名「Photoshop(登録商標)」、アドビシステムズインコーポレーテッド社製)を用いて、不織布表面の縦100mm、横100mmの正方形(単位面積)に含まれる、熱圧着固定部分の合計面積を測定する。
熱圧着固定部分同士の最小間隔は0.05mm以上5mm以下が好ましく、0.08mm以上2mm以下がより好ましい。この範囲内の面材を用いることで、フェノール樹脂の滲み出しを抑えつつ、発泡層10と面材との接着性を向上させることができる。上記最小間隔が0.05mm未満である場合、熱圧着固定部分が多く、風合いが硬く、発泡層10と面材の繊維との接着性が悪い傾向がある。5mmを超える場合、繊維同士の結合が少なく、摩擦強度等の物理強度が低く、発泡性樹脂組成物が滲み出しやすい。また熱圧着固定部分は、不織布表面の全面に均等に分布させることが好ましい。
熱圧着固定部分密度は5個/cm以上150個/cm以下であり、5個/cm以上100個/cm以下がより好ましく、5個/cm以上80個/cm以下がさらに好ましい。熱圧着固定部分密度は単位面積当たりの熱圧着固定部分の個数を意味しており、次式(s)で表される。
熱圧着固定部分密度(個/cm)=[熱圧着固定部分の数(個)]/」[面材の表面積(cm)]・・・(s)
熱圧着固定部分密度が上記下限値以上であれば、発泡性樹脂組成物の滲み出しを良好に抑制できる。熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であれば、発泡層10と面材との接着性をより向上させることができ、吸水量を低くすることができる。また、熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であれば、通気度を高くでき、養生時間を短縮できる。また、より長期にわたって低い熱伝導率を維持できる。
第一の面材12を設ける方法としては、後述する製造システムの下部コンベア上に第一の面材12を配置し、該面材上に発泡性樹脂組成物を吐出し、その上に第二の面材14を載置した後、加熱炉を通過させて発泡成形する方法が挙げられる。これにより、板状の発泡層10の両面に面材が設けられる。
また、第一の面材12は、発泡成形された発泡層10に接着剤で貼着されてもよい。
第二の面材14の種類は、第一の面材12の種類と同様である。第二の面材14の種類と、第一の面材12の種類とは、同じでもよいし、異なってもよい。
第二の面材14の厚さは、第一の面材12の厚さと同様である。第二の面材14の厚さと第一の面材12の厚さとは、同じでもよいし、異なってもよい。
フェノール樹脂発泡板1の熱伝導率は、0.0190W/m・K以下が好ましく、0.0180W/m・K以下がより好ましく、0.0175W/m・K以下がさらに好ましい。熱伝導率が上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡板1の断熱性のさらなる向上を図れる。
フェノール樹脂発泡板1の熱伝導率は、発泡層10における平均気泡径、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類等の組み合わせにより調節される。例えば、平均気泡径が小さいほど、フェノール樹脂発泡板1の熱伝導率が低い傾向となる。界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、特に末端が−OHであるポリエーテル鎖を有するものである場合、他の界面活性剤を用いる場合に比べて、熱伝導率が低い傾向がある。
熱伝導率は、JIS A 9511:2009に準拠して測定される値である。
フェノール樹脂発泡板1の吸水量は、5.0g/100cm以下が好ましく、4.0g/100cm以下がより好ましく、3.0g/100cm以下がさらに好ましい。吸水量が上記上限値以下であれば、経時的な断熱性の低下を防止できる。
吸水量は、JIS A 9511に準拠して測定される。
本実施形態のフェノール樹脂発泡板1は、従来公知のフェノール樹脂発泡板の製造方法に準じて製造される。
例えば、フェノール樹脂発泡板1の製造方法は、発泡性樹脂組成物を発泡し、硬化する工程を有する。
以下、吐出装置と、吐出装置の下流に位置する発泡成形装置とを備える製造システムを用いた、フェノール樹脂発泡の製造方法を例に挙げて説明する。
図2に示す製造システム40は、吐出装置60と、発泡成形装置70とを備える。
吐出装置60は、フェノール樹脂等の原料を混合する混合部62と、混合された原料(発泡性樹脂組成物)を吐出するための2以上のノズル64とを備える。2以上のノズルは、発泡性樹脂組成物の流れ方向と直交する方向に並んでいる。
発泡成形装置70は、フレーム部71及び加熱手段(不図示)を備える。フレーム部71は、フェノール樹脂発泡板1の断面形状に対応した空間が形成されるように、上下左右に配置されたコンベア(下部コンベア72、上部コンベア74、左側コンベア(不図示)、右側コンベア(不図示))を備える。
下部コンベア72は、W1方向に走行する無端ベルトを有するコンベアである。上部コンベア74は、W2方向に走行する無端ベルトを有するコンベアである。
加熱手段としては、例えば、フレーム部71を囲む加熱炉や、下部コンベア72又は上部コンベア74の無端ベルトに接して設けられたヒータ等が挙げられる。
なお、発泡成形装置70としては、無端ベルトを有するコンベアに代えて、特開2000−218635号公報に記載のスラットコンベアを有する装置でもよい。
図3は、吐出装置60を模式的に表した平面図である。
この吐出装置60は、混合部62と、先端に16個のノズル64を有する分配管69とを備える。混合部62と分配管69とは、導入配管部61で接続されている。分配管69は、導入配管部61との接続位置63で2つに分岐し、分岐した配管65は、分岐部66で2つに分岐して配管65となる。分配管69は、分岐部66での分岐を繰り返し、14か所の分岐部66を有することで、末端で16個の配管65となり、その先端にノズル64を有する。
分配管69においては、1つの分岐部66から次に分岐する分岐部66の手前までの区間は、上流(即ち、導入配管部61側)から順に分配路I〜IVを形成している。
分配管69において、分岐部66で分岐した配管65の軸線O2同士のなす内角(分岐角度)θ1は180°未満が好ましく、150°未満がより好ましく、120°未満がさらに好ましい。分岐角度θ1の下限値は、90℃以上が好ましい。このような分岐部66を備えることで、分岐後の各配管65に流れる発泡性樹脂組成物を等量にしやすい。
なお、分配管は、分岐部で2つに分岐するものに限られず、分岐部で3つに分岐してもよい。この場合、3つに分岐した配管の内、両端部の配管(即ち、最も離れて位置する配管)の軸線同士のなす内角が分岐角度とされる。3つに分岐した配管の分岐角度は、上述の分岐角度θ1と同様である。
ノズル64同士の間隔L4は、特に限定されないが、できるだけ狭い方が好ましい。ノズル64同士の間隔L4が狭ければ、各ノズル64から吐出された発泡性樹脂組成物は、ただちに互いに接触する。このため、発泡性樹脂組成物におけるTD方向への流動が規制され、支持ウェルドラインを形成しやすい。なお、間隔L4は、ノズル64の中心軸同士の距離である。
なお、分配管69は、温度調節機構を備えてもよい。温度調節機構を備えることで、分配管69内の温度ムラを少なくし、各ノズル64から吐出される発泡性樹脂組成物の粘度のバラツキを少なくできる。これにより、各ノズル64から吐出される発泡性樹脂組成物を等量にしやすい。
また、ノズル64は、流量調整機構を備えてもよい。流量調整機構を備えることで、各ノズル64から吐出される発泡性樹脂組成物を等量にしやすい。
次に、この製造システム40を用いたフェノール樹脂発泡板1の製造方法の一例について説明する。
まず、フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒及び必要に応じて任意成分を混合部62に投入し、混合して発泡性樹脂組成物を調製する。
発泡性樹脂組成物に架橋促進剤を配合する場合、酸触媒を添加する前に架橋促進剤を添加することが好ましい。架橋促進剤の添加方法は特に限定されず、水等の分散媒に分散して分散液とし、この分散液を添加してもよい。あるいは、固体の架橋促進剤をそのまま添加してもよい。ただし、固体の架橋促進剤は、フェノール樹脂への溶解に時間を要する場合がある。
下部コンベア72上に第一の面材12を繰り出す。発泡性樹脂組成物を混合部62から、導入配管部61と、分配管69との順に通流し、ノズル64から第一の面材12上に吐出する。この際、分配管69の各分配路I〜IVにおいては、分岐部66から終端(次の分岐部66又はノズル64)までの道のりが等しい。よって、混合部62から各ノズル64までの道のりが等しくなる。このため、ノズル64毎の発泡性樹脂組成物の吐出量の多少がなく、ウェルドライン22同士の距離L3がいずれも等しくなる。加えて、各ノズル64から吐出された発泡性樹脂組成物におけるTD方向に広がる速度が等しいため、ウェルドライン22が歪みにくい(即ち、絶対値Dが小さくなる)。
ここで、ハロゲン化炭化水素を含む発泡性樹脂組成物は、低い粘度となりやすい。これは、ハロンゲン化炭化水素とフェノール樹脂との相溶性が高いためである。粘度の低い発泡性樹脂組成物は、ノズル64から吐出された後、第一の面材12上でTD方向に広がる速度が速い。また、粘度が低いと各ノズル64から吐出される発泡性樹脂組成物の量が不均一になりやすく歪みやすい。このため、各ノズル64から吐出された各々の発泡性樹脂組成物は、TD方向へ広がる速度の差異が大きくなり、形成されるウェルドライン22が歪みやすい。
そこで、ハロゲン化炭化水素を発泡剤として用いる場合、炭化水素とハロゲン化炭化水素とを併用することで、発泡性樹脂組成物の粘度低下を抑制して、ウェルドライン22の歪みを低減できる。これは、フェノール樹脂との相溶性の低い炭化水素を用いることで、発泡性樹脂組成物の粘度が高まるためである。
次に、第一の面材12上に吐出された発泡性樹脂組成物に第二の面材14を載せ、これらをフレーム部71に導入し、任意の温度で加熱する。この加熱温度は、例えば30℃以上95℃以下とされる。加熱時間は、例えば、1分間以上10分間以下とされる。これにより、第一の面材12と第二の面材14との間で発泡性樹脂組成物が発泡し、硬化して、発泡層10と第一の面材12と第二の面材14とを備えるフェノール樹脂発泡板1を得る。
次いで、フェノール樹脂発泡板1を切断装置80で任意の長さに切断する。
本発明は上述の実施形態に限定されない。
上述の実施形態では、第一の面材と第二の面材とを備えるが、本発明はこれに限定されず、第一の面材ならびに第二の面材の双方もしくはいずれか一方を備えなくてもよい。
上述の実施形態では、発泡層と第一の面材と第二の面材との3層構造とされているが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第一の面材上に、さらに他の層を備えてもよい。他の層としては、化粧層、防水フィルム層等が挙げられる。
また、例えば、第二の面材上に、さらに他の層を備えてもよい。第二の面材上の他の層は、第一の面材上の他の層と同様である。
本発明のフェノール樹脂発泡板は、家屋の壁、床、屋根の断熱材として好適である。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
[使用原料の説明]
表中の主な使用原料は、以下の通り。
(フェノール樹脂)
・SW1:フェノール樹脂。下記製造例1で得られたもの。
<製造例1>
40℃に設定した反応釜に38質量%ホルムアルデヒド水溶液3100kgを入れ、水溶液が40℃になるように調整した。次いで、99質量%フェノール2000kgを反応釜に入れ、攪拌した。その後、50質量%水酸化カリウム水溶液36kgを反応釜に入れ、反応釜の温度を40℃から65℃に上昇させた。65℃で600分間保持した後、30℃まで冷却し、50質量%トルエンスルホン酸水溶液79kgを反応釜に入れ、反応液とした。この反応液に脱水処理を行い、フェノール樹脂SW1を得た。得られたSW1の25℃時の粘度は10000cpsであった。
・SW2:フェノール樹脂。下記製造例2で得られたもの。
<製造例2>
SW1をさらに脱水し、25℃時の粘度を28000cpsに調整し、フェノール樹脂SW2を得た。
・SW3:フェノール樹脂。下記製造例3で得られたもの。
<製造例3>
SW1の製造例において、65℃での保持時間を600分間から900分間にした以外は、製造例1と同様にして反応液を得た。得られた反応液を脱水してフェノール樹脂SW3を得た。得られたSW3は、25℃時の粘度が26000cpsであった。
(酸触媒)
・パラトルエンスルホン酸:キシレンスルホン酸=1:1の混合物。
(界面活性剤)
・SURFRIC CO−40:ヒマシ油EO40モル付加物(SURFRIC CO−40(商品名)、伊藤製油社製)。
・SF−2963F:シリコーン系界面活性剤(SF−2936(商品名)、東レ・ダウコーニング社製)。
・KF354L:シリコーン系界面活性剤(KF354L(商品名)、信越化学工業製)。
(発泡剤)
・HCFO−1233zd:1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン。
・IPC:イソプロピルクロライド。
・IP:イソペンタン。
(実施例1〜8、比較例1〜3)
表1〜2に記載の組成に従い、発泡性樹脂組成物を調製した。
フェノール樹脂に、界面活性剤と架橋促進剤とを加え、混合し、20℃で8時間放置した。得られた混合物に発泡剤と、酸触媒とを加え、攪拌し、混合して発泡性樹脂組成物を調製した。
図2に示す製造システム40と同様の製造システムを用い、発泡層の両面に面材(実施例1〜5:ガラス繊維混抄紙(目付:70g/m)、実施例6〜8:ポリエステル繊維不織布(目付:20g/m))を備えるフェノール樹脂発泡板を得た。このフェノール樹脂発泡板の製造に用いた製造システムは、表中に示した本数のノズルがTD方向に等間隔で配置された吐出装置を備える。なお、実施例6〜8に用いた吐出装置は、分配路IIを形成する4つの配管の内、中央の2つの配管は、分配路IIIで3つに分岐している。即ち、実施例6〜8において、分配路IIIは、一端から順に2本、3本、3本、2本の配管を備え、これらの配管は、それぞれ2つに分岐して分配路IVを形成する。
ノズルから発泡性樹脂組成物を面材上に吐出し、吐出された発泡性樹脂組成物の上に新たに面材を載せた。上下の面材の距離を45mmとなるように、スラット型ダブルコンベアで抑え、70℃で300秒間加熱して、厚さ45mmのフェノール樹脂発砲板を得た。
得られたフェノール樹脂発泡板を幅910mm、長さ1820mmとなるように切断した。次いで、切断されたフェノール樹脂発泡板を85℃で5時間放置して、各例のフェノール発泡板とした。
各例のフェノール樹脂発泡板について、発泡層の密度、平均気泡径、独立気泡率、ウェルドライン同士の距離L3(平均値)、絶対値D、圧縮強度、熱伝導率、吸水量を測定し、その結果を表中に示す。
なお、表中の「ウェルドNo.」は、TD方向に並ぶウェルドラインについて、一方の側端から他方の側端に向かって順に、No.1、No.2・・・と付した番号である。
(測定方法)
<距離L3、絶対値D>
各例のフェノール発泡樹脂板について、MD方向(即ち、長手方向)で二等分し、その断面を観察して、距離L3、絶対値Dを求めた。
<圧縮強度>
JIS A 9511(2006)、5.9に準じて、変形率10%時の圧縮応力を測定し、これを圧縮強度とした。
Figure 2018095868
Figure 2018095868
表1に示すように、本願発明を適用した実施例1〜8は、圧縮強度が13N/cm以上であった。
絶対値Dが本願発明の範囲外である比較例1〜3は、圧縮強度が12N/cm以下であった。
1 フェノール樹脂発泡板;10 発泡層;12 第一の面材;14 第二の面材

Claims (5)

  1. 平板状であるフェノール樹脂の発泡層が備えられ、
    前記発泡層には、MD方向に延びかつ厚さ方向にわたる2以上のウェルドラインが形成され、
    全ての前記ウェルドラインは、MD方向の断面視で、前記発泡層のTD方向における中心線から最も近い地点P1までの距離と前記中心線から最も離れた地点P2までの距離との差の絶対値Dが15mm以下の支持ウェルドラインである、フェノール樹脂発泡板。
  2. 前記発泡層の厚さTが5mm以上200mm以下である、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡板。
  3. 前記厚さTが40mm未満の場合、絶対値D(mm)/厚さT(mm)で表される比(D/T比)は、1.5以下である、請求項2に記載のフェノール樹脂発泡板。
  4. 前記厚さTが40mm以上の場合、絶対値D(mm)/0.5厚さT(mm)で表される比(D/0.5T比)は、0.75以下である、請求項2に記載のフェノール樹脂発泡板。
  5. 前記支持ウェルドラインは、MD方向の断面視で、前記地点P1を通りかつ前記地点P2側で前記支持ウェルドラインに接する接線と、前記地点P1を通り前記中心線と並行な線分とのなす角度で表される傾斜角が0°以上20°以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフェノール樹脂発泡板。
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