JP7016688B2 - フェノール樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
フェノール樹脂発泡体は通常、フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒(硬化剤)等を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させることによって製造される。このようにして製造されたフェノール樹脂発泡体は独立気泡を有し、独立気泡中には発泡剤から発生したガスが含まれる。
フェノール樹脂発泡体として、塩素化ハイドロフルオロオレフィン又は非塩素化ハイドロフルオロオレフィンを含む発泡剤を用いたフェノール樹脂発泡体が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1のフェノール樹脂発泡体は、気泡壁が脆い。そのため、これを断熱材として用いた場合、断熱材施工時の断熱材同士又は他部材との擦れや衝突により欠けや割れ、凹み等の欠陥が生じやすい。かかる欠陥は、気密度が低下する等、断熱性の低下を引き起こす懸念がある。塩素化ハイドロフルオロオレフィン及び非塩素化ハイドロフルオロオレフィン以外の含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素を用いた場合にも同様の傾向がみられる。
〔1〕含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素を含むフェノール樹脂発泡体であって、
密度が20kg/m3以上50kg/m3以下であり、
独立気泡率が80%以上99%以下であり、
熱伝導率が0.0190W/m・K未満であり、
気泡壁中のフッ素の量が5000mg/kg以下であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体。
〔2〕下記測定方法により求められる摩耗質量が0.7g以下である、〔1〕に記載のフェノール樹脂発泡体。
(摩耗質量の測定方法)
フェノール樹脂発泡体の厚さ方向の中央部から、幅、長さ方向直径約150mm、厚さ約10mmの円盤状の試験片を切出す。試験前の試験片の質量を測定する。テーバー式アブレーションテスターを用いて、回転する試験片上に一対の摩耗輪を一定荷重で押し付けて、試験片を摩耗させる。試験片に付着した削れ粉を掃除機で取り除き、試験後の試験片の質量を測定する。試験前後の試験片の質量差を算出し、摩耗質量とする。試験に使用するヤスリはCS17、ヤスリの重さは250g、試験片の回転数は50回転、回転速度は60rpmとする。
〔3〕混合部とノズルとを備えた吐出装置の前記混合部にて、少なくともフェノール樹脂と発泡剤と酸触媒とを混合して発泡性フェノール樹脂組成物を調製し、前記発泡性フェノール樹脂組成物を前記ノズルから吐出し、発泡及び硬化させる工程を含むフェノール樹脂発泡体の製造方法であって、
前記発泡剤が、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素を含み、
前記含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の含有量が、前記フェノール樹脂100質量部に対して2質量部以上14質量部以下であり、
前記混合部において前記発泡性フェノール樹脂組成物が、加圧下で調製されることを特徴とするフェノール樹脂発泡体の製造方法。
フェノール樹脂発泡体中には、複数の気泡が形成されており、気泡壁には実質的に孔が存在せず、複数の気泡の少なくとも一部は相互に連通していない独立気泡になっている。気泡壁は、フェノール樹脂の硬化物から構成される。
含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素は、発泡剤として用いられたものであり、ガスの状態で独立気泡中に保持されている。独立気泡中には、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の他、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素以外の発泡剤に由来するガスが保持されていてもよい。独立気泡中に保持されるガスの組成比は、発泡剤の組成比とおおむね同様の比率となる。
前記発泡性フェノール樹脂組成物は、発泡核剤をさらに含むことが好ましい。
前記発泡性フェノール樹脂組成物は、界面活性剤をさらに含むことが好ましい。
前記発泡性フェノール樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒、発泡核剤及び界面活性剤以外の他の成分をさらに含んでもよい。
フェノール樹脂としては、レゾール型のものが好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシノール及びこれらの変性物等が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。ただしフェノール化合物、アルデヒド、アルカリ触媒はそれぞれ上記のものに限定されない。
フェノール化合物とアルデヒドとの使用割合は特に限定されない。好ましくは、フェノール化合物:アルデヒドのモル比で、1:1~1:3であり、より好ましくは1:1.3~1:2.5である。
発泡剤は、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素を含む。
含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素は、分子内に炭素-炭素二重結合とハロゲン原子とを有し、ハロゲン原子として少なくともフッ素原子を有する。
含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素としては、発泡剤として公知のものを用いることができ、典型的には、-28~80℃のものが挙げられる。
含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の熱伝導率は、0.013W/m・K以下が好ましく、0.011W/m・K以下がより好ましい。
含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の炭素数は、2~6が好ましく、2~5がより好ましい。
含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素は、水素原子の全てがハロゲン原子で置換された不飽和炭化水素でもよいし、水素原子の一部がハロゲン原子で置換された不飽和炭化水素でもよい。
炭化水素としては、炭素数が4以上6以下の環状分子構造又は炭素数4以上6以下の鎖状分子構造を有するものが好ましく、例えば、イソブタン、ノルマルブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン等が挙げられる。これらの炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらの炭化水素は、低温域(例えば、-80℃程度の冷凍庫用断熱材)から高温域(例えば200℃程度の加熱体用断熱材)までの広い温度範囲で優れた断熱性を確保でき、比較的安価であり経済的にも有利である。
上記の中でも、熱伝導率が低いシクロペンタンが好ましい。
塩素化飽和炭化水素としては、炭素数が2以上5以下であるものが好ましく、例えばジクロロエタン、プロピルクロライド、イソプロピルクロライド、ブチルクロライド、イソブチルクロライド、ペンチルクロライド、イソペンチルクロライド等が挙げられる。
フッ素化飽和炭化水素としては、例えば、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオブタン(HFC365mfc)及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC4310mee)等のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。
上記の中でも、オゾン層破壊係数が低く、環境適合性に優れる点で、イソプロピルクロライドが好ましい。
発泡剤中の含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
発泡剤が他の発泡剤をさらに含む場合、発泡剤中の含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素と他の発泡剤との質量比は、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素:他の発泡剤=50:50~95:5であることが好ましく、60:40~85:15であることがより好ましい。
含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素は非フッ素発泡剤(1)よりも熱伝導率が低い傾向がある。含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡体の断熱性がより優れる。
一方、非フッ素発泡剤(1)は、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素よりも分子量が小さい傾向がある。質量が同じであれば、分子量が小さい方が、発泡したときの体積が大きい。そのため、非フッ素発泡剤(1)の割合が多い方が、少量の発泡剤で充分に発泡させやすい。また、非フッ素発泡剤(1)は含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素よりも安価な傾向がある。含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、優れた断熱性を保ちつつコストを低くできる。
本態様において、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素、非フッ素発泡剤(1)はそれぞれ1種でも2種以上でもよい。
また、それらの沸点の差は2℃以上30℃以下であることが好ましく、5℃以上20℃以下がより好ましい。沸点の差が上記上限値より大きいと、先にガス化して気泡核を形成した含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素が、より沸点の高い非フッ素発泡剤(1)がガス化するまでに気泡から抜けてしまい、発泡が不十分となるおそれがある。沸点の差が上記下限値より小さいと、十分に気泡核を形成しないまま非フッ素発泡剤(1)が発泡してしまい、気泡径が粗大になるおそれがある。
そのため、例えば、非フッ素発泡剤(1)として沸点36℃であるイソプロピルクロライドを選択した場合には、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素としては、沸点が6℃以上34℃以下の沸点を有するものを選択するのが好ましく、常温付近での取り扱いのしやすい点で、14℃以上34℃以下の沸点を有するものを選択するのがより好ましい。
なお、本発明において沸点は、大気圧(1気圧)での値である。
フェノール樹脂発泡体における2種以上の発泡剤の組成は、例えば、以下の溶媒抽出法により確認できる。
予め発泡剤の標準ガスを用いて、ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC/MS)での以下の測定条件における保持時間を求める。次に、上下の面材を剥がしたフェノール樹脂発泡体のサンプル1.6gを粉砕用ガラス容器に分取し、テトラヒドロフラン(THF)80mLを添加する。サンプルが溶媒に浸る程度に押しつぶした後、ホモジナイザーで1分30秒間粉砕抽出し、この抽出液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、ろ液をGC/MSに供する。発泡剤の種類は、事前に求めた保持時間とマススペクトルから同定を行う。また、他の発泡剤の種類は、保持時間とマススペクトルによって同定を行う。発泡剤成分の検出感度を各々標準ガスによって測定し、上記GC/MSで得られた各ガス成分の検出エリア面積と検出感度より、組成(質量比)を算出する。
・GC/MS測定条件
使用カラム:DB-5ms(アジレントテクノロジー社)60m、内径0.25mm、膜厚1μm
カラム温度:40℃(10分)-10℃/分-200℃
注入口温度:200℃
インターフェイス温度:230℃
キャリアガス:He 1.0mL/分
スプリット比:20:1
測定方法:走査法 m/Z=11~550
酸触媒は、フェノール樹脂の重合(硬化)を開始させるために使用される。
酸触媒としては、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、硫酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡核剤を用いることで、気泡壁中のフッ素の量を低減できる。また、フェノール樹脂発泡体中の気泡をより均一かつ微細にできる。
発泡核剤としては、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、空気等の低沸点物質が挙げられる。
発泡性フェノール樹脂組成物中の発泡核剤の含有量は、発泡剤の総部数に対して、0.05~5モル%が好ましく、0.05モル%以上3.0モル%以下がより好ましく、0.1モル%以上2.5モル%以下がさらに好ましく、0.1モル%以上1.5モル%以下が特に好ましく、0.3モル%以上1.0モル%以下が最も好ましい。発泡核剤の含有量が0.05モル%未満であると、気泡核剤としての効果が十分に発揮できなくなるおそれがあり、5.0モル%超であると、フェノール樹脂発泡体の発泡硬化過程において発泡圧が高くなりすぎてしまうことから発泡体の気泡が破れてしまい、独立気泡率や圧縮強度が低い粗悪な発泡体となってしまうおそれがある。
界面活性剤は、気泡径(セル径)の微細化に寄与する。
界面活性剤としては、特に限定されず、整泡剤等として公知のものを使用できる。例えば、ひまし油アルキレンオキシド付加物、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
界面活性剤は、気泡径の小さい気泡を形成しやすい点で、ひまし油アルキレンオキシド付加物及びシリコーン系界面活性剤のいずれか一方又は両方を含むことが好ましく、熱伝導率をより低く、難燃性をより高くできる点で、シリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物としては、ひまし油EO付加物、ひまし油PO付加物が好ましい。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体は、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとのブロック共重合体である。ブロック共重合体の構造は、特に限定されず、例えば、シロキサン鎖の両方の末端にポリエーテル鎖が結合したABA型、複数のシロキサン鎖と複数のポリエーテル鎖が交互に結合した(AB)n型、分岐状のシロキサン鎖の末端のそれぞれにポリエーテル鎖が結合した枝分かれ型、シロキサン鎖に側基(末端以外の部分に結合する基)としてポリエーテル鎖が結合したペンダント型等が挙げられる。
他の成分としては、発泡性フェノール樹脂組成物の添加剤として公知のものを用いることができ、例えば、増粘剤、尿素、可塑剤、充填剤(充填材)、難燃剤(例えばリン系難燃剤等)、架橋剤、有機溶媒、アミノ基含有有機化合物、着色剤等が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、グリコール系化合物が挙げられる。グリコール系化合物を用いることで、充填剤を発泡性フェノール樹脂組成物に均一に分散できる。グリコール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、アルキレングリコールエーテル等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、例えばフタル酸とジエチレングリコールの反応生成物が挙げられる。アルキレングリコールエーテルとしては、例えばエチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル等のアルキレングリコールアルキルエーテルが挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン等の金属の水酸化物や酸化物、亜鉛等の金属粉末;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等の金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸水素塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、マイカ、タルク、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。これらの無機フィラーは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明のフェノール樹脂発泡体の気泡壁中のフッ素の量(気泡壁1kg当たりのフッ素の質量(mg))は、5000mg/kg以下であり、4000mg/kg以下が好ましく、3000mg/kg以下がより好ましい。
発泡剤として用いられた含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素は、フェノール樹脂発泡体の製造時に気化し、ガスの状態で独立気泡中に保持される。しかし、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素はフェノール樹脂との相溶性が高いため、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の一部が気泡壁中に取り込まれることがある。気泡壁に含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素が取りこまれると、気泡壁が脆くなる。
気泡壁中のフッ素の量は、気泡壁中に取りこまれた含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の量の指標である。このフッ素の量が前記上限値以下であると、フェノール樹脂発泡体の脆性が充分に低く、断熱材施工時の擦れや衝突による角欠けや割れ、凹み等の欠陥が発生しにくい。
気泡壁中のフッ素の量の下限に特に制限はなく0mg/kgであってよい。実用的には500mg/kg以上とされる。
なお、フェノール樹脂発泡体の中央部とは、フェノール樹脂発泡体の中央(平板状であれば厚さ方向、長さ方向及び幅方向それぞれの中央)を含み、かつフェノール樹脂発泡体の表面から5mm以内の領域を含まない部分である。
(1)フェノール樹脂発泡体の中央部からサンプルを、5g以上となる大きさで切り出し、このサンプルを、気泡壁中の発泡剤が気化しないように、テドラーバックで包んで密封し、23℃条件下で1時間養生する。
(2)前記(1)で得たサンプルを、前記と同様の23℃条件下でテドラーバックから取り出し、適当な大きさに切断してメノウ乳鉢ですりつぶして気泡壁を破壊し、気泡中の発泡剤を除去した後、その質量を測定する。このとき、サンプル質量は少なくとも200mg以上となるように切断し、サンプルの厚さ、幅および長さの各方向の中央部から取るようにする。また、細かくすりつぶすと加熱により気泡壁中の含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素が気化する恐れがあるため、独立気泡が破壊される程度にすりつぶせばよい。
(3)前記(2)の粉砕後、大気圧下で1時間23℃の条件下で養生し、前記(2)ですりつぶした(気泡内の発泡剤を除去した)後のサンプルを、石英管燃焼法で燃焼して燃焼ガスを溶媒吸収(溶媒:水酸化ナトリウム溶液(0.1mol/L))させる。
(4)燃焼ガスを吸収した溶媒を、イオンクロマトグラフにより分析し、フッ化物イオンを定量する。
(5)前記(2)で測定した、すりつぶした後のサンプルの質量と、前記(4)で定量したフッ化物イオンの質量から、下記式により気泡壁中のフッ素の量を算出する。
気泡壁中のフッ素の量=(定量したフッ化物イオンの質量(mg))/(すりつぶした後のサンプルの質量(kg))
例えば含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の含有量が少ないほど、気泡壁中のフッ素の量が少なくなる。発泡性フェノール樹脂組成物に発泡核剤を含有させることで、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素が充分に気化し、気泡壁に取りこまれにくくなり、気泡壁中のフッ素の量が少なくなる。
気泡壁中のフッ素の量は、通常、フェノール樹脂発泡体を製造してから1週間以後8週間以内に測定される。
(Y)は、発泡剤中の含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の含有量と同様の理由で、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましく、70質量%以上が最も好ましい。(Y)の上限に特に制限はなく、100質量%でもよい。
(Y)は、前記溶媒抽出法により独立気泡内の発泡剤の組成を測定し、発泡剤の総質量に対する含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の含有量を算出して求められる。
(X)/(Y)が前記上限値以下であると、フェノール樹脂発泡体の摩耗性が充分に低く、断熱材施工時の擦れや衝突による角欠けや割れ、凹み等の欠陥が発生しにくい。
(X)/(Y)の下限に特に制限はなく0でもよい。実用的には5以上である。
摩耗質量の下限に特に制限はなく0gであってよい。
フェノール樹脂発泡体の摩耗質量は下記測定方法により求められる。
摩耗質量は、例えば、気泡壁中のフッ素の量によって調整できる。気泡壁中のフッ素の量が少ないほど、摩耗質量が少なくなる傾向がある。
フェノール樹脂発泡体の厚さ方向の中央部から、幅、長さ方向直径約150mm、厚さ約10mmの円盤状の試験片を切出す。試験前の試験片の質量を測定する。テーバー式アブレーションテスターを用いて、回転する試験片上に一対の摩耗輪を一定荷重で押し付けて、試験片を摩耗させる。試験片に付着した削れ粉を掃除機で取り除き、試験後の試験片の質量を測定する。試験前後の試験片の質量差を算出し、摩耗質量とする。試験に使用するヤスリはCS17、ヤスリの重さは250g、試験片の回転数は50回転、回転速度は60rpmとする。
また、フェノール樹脂発泡体は一般的に、厚さが薄いと、密度が高くなりやすいために摩耗質量は低下しやすく、逆に、厚さが厚いと、密度が低くなりやすいため摩耗質量は増大しやすい。切断に伴い発生する切り粉の絶対量も、厚さが厚い方が多くなる。よって、厚さが45mm以上のフェノール樹脂発泡体において摩耗質量を低下することが重要である。
密度は、JIS A 9511:2009に従い測定できる。
フェノール樹脂発泡体の密度は、発泡剤の種類及び組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等により調整できる。
独立気泡率は、JIS K 7138:2006に従い測定できる。
平均気泡径は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
フェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、発泡剤の種類及び組成、フェノール樹脂を合成する際のフェノールとホルムアルデヒドとの比、酸触媒の量(硬化速度、架橋度、架橋後の伸長粘度)、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等により調整できる。
熱伝導率は、23℃における値であり、JIS A 1412-2に従い測定できる。 フェノール樹脂発泡体の熱伝導率は、発泡剤の種類及び組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等により調整できる。
フェノール樹脂発泡体の大きさも特に限定されず、用途等を勘案して適宜決定される。
面材としては、特に制限されず、ガラスペーパー、ガラス繊維織布、ガラス繊維不織布、ガラス繊維混抄紙、クラフト紙、合成繊維不織布、スパンボンド不織布、アルミニウム箔張不織布、金属板、金属箔、合板、珪酸カルシウム板、石膏ボード及び木質系セメント板の中から選ばれる少なくとも1種が好適である。これらの中でも、工業的に流通量が多いため入手しやすい点で、ガラス繊維混抄紙、ガラス繊維不織布、合成繊維不織布が好ましい。特に合成繊維不織布は、製造上のエンボス加熱ロールにより繊維間の熱融着点パターンを変えることで不織布表層の風合いや毛羽立ちをコントロールすることも可能であり、取り回しがし易い点で好ましい。また、面材が合成繊維不織布であると、発泡性フェノール樹脂組成物中の水分や、フェノール樹脂の縮合の際に生じる水によって、面材が収縮等してシワが発生するのを抑制できる。
面材がフェノール樹脂発泡体の両面に設けられる場合、各面材は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
ガラス繊維混抄紙を用いる場合には、目付は30g/m2以上300g/m2以下であることが好ましく、50g/m2以上250g/m2以下であることがより好ましく、60g/m2以上200g/m2以下であることがさらに好ましく、70g/m2以上150g/m2以下であることが特に好ましい。
ガラス繊維不織布を用いる場合には、目付は15g/m2以上300g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以上200g/m2以下であることがより好ましく、30g/m2以上150g/m2以下であることがさらに好ましい。
目付が上記下限値以上であれば、発泡性フェノール樹脂組成物が面材の表面にしみ出しにくい。目付が上記上限値以下であれば、発泡体と面材との接着性を高められる。これにより、面材が発泡体から剥がれにくくなり表面をより美麗にできる。加えて、コンベア等の搬送機器に追従させやすくなり、フェノール樹脂発泡体の生産性を高めやすい。
特に、発泡剤が含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素を含む場合、発泡剤を含有することで発泡性フェノール樹脂組成物の粘度が低くなる。前記組成物の粘度が低くなると、面材に対して前記組成物が滲み込みやすくなり、面材の表面に前記組成物が滲み出しやすくなる。よって、前記組成物が滲み出すのを防ぐために、面材の目付を上記下限値以上とすることが好ましい。
合成繊維不織布の合成繊維の繊維径は、0.5~4.0デニールが好ましく、1.5~3.0デニールがより好ましい。合成繊維の繊維径が前記上限値以下であると、面材の表面への滲み出しを抑制しやすい。合成繊維の繊維径が前記下限値以上であると、合成繊維の取り扱い性が高められ不織布を製造しやすい。
エンボスのパターン(柄)としては、特に限定されないが、例えば、マイナス柄、ポイント柄、織り目柄等が挙げられる。エンボスによる凹凸形状が大きく、発泡層との接着性をより高められる点から、織り目柄またはマイナス柄が好ましい。
合成繊維不織布にエンボス加工を施す方法としては、例えば、公知のスパンボンド法で、紡口直下の冷却条件により発現させた捲縮長繊維ウェブを熱エンボスロールで部分熱圧着させる方法、または潜在捲縮長繊維ウェブを熱処理により捲縮させて熱エンボスロールで部分熱圧着させる方法が挙げられる。
熱圧着固定部分は通常、複数箇所に形成される。複数の熱圧着固定部分は、合成繊維不織布表面の全面に均等に分布させることが好ましい。
熱圧着固定部分密度は、単位面積あたりの熱圧着固定部分の個数を意味しており、次式(s)で表される。
熱圧着固定部分密度(個/cm2)=[熱圧着固定部分の数(個)]/[面材の表面積(cm2)]・・・(s)
熱圧着固定部分密度が上記下限値以上であれば、発泡性フェノール樹脂組成物の滲み出しを良好に抑制できる。熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であれば、発泡体と面材との接着性をより向上させることができ、吸水量を低くすることができる。また、熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であれば、通気度を高くでき、養生時間を短縮できる。また、より長期にわたって低い熱伝導率を維持できる。
フェノール樹脂発泡体を製造する際に面材を設ける方法としては、例えば、連続走行するコンベアベルト上に面材を配置し、該面材上に発泡性フェノール樹脂組成物を吐出し、その上に他の面材を積層した後、加熱炉を通過させて発泡成形する方法が挙げられる。これにより、平板状のフェノール樹脂発泡体の両面に面材が積層した面材付きフェノール樹脂発泡体が得られる。こうして得られた面材付きフェノール樹脂発泡体においては、通常、フェノール樹脂発泡体と面材とが接着剤を介すことなく直接接している。
発泡成形の後に面材を設ける方法としては、例えば、接着剤を用いて面材をフェノール樹脂発泡体に貼り合わせる方法が挙げられる。
本発明のフェノール樹脂発泡体の製造方法は、混合部とノズルとを備えた吐出装置の前記混合部にて、少なくともフェノール樹脂と発泡剤と酸触媒とを混合して発泡性フェノール樹脂組成物を調製し、前記発泡性フェノール樹脂組成物を前記ノズルから吐出し、発泡及び硬化させる工程を含む。
本発明の製造方法にあっては、前記発泡剤が、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素を含み、前記含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の含有量が、前記フェノール樹脂100質量部に対して2質量部以上14質量部以下であり、前記混合部において前記発泡性フェノール樹脂組成物が、加圧下で調製される。
本発明の製造方法は、公知の発泡成形法を利用して行うことができる。以下に一例を挙げて本発明の製造方法を説明する。
この例では、吐出装置と、吐出装置の下流側に配置された発泡成形装置と、発泡成形装置の下流側に配置された切断装置とを備える製造システムを用いる。
混合部は、フェノール樹脂と発泡剤とを混合して第一混合物とする第一混合部、及び第一混合物と酸触媒とを混合して発泡性フェノール樹脂組成物とする第二混合部を備える。第一混合部及び第二混合部はそれぞれ、加圧手段及び撹拌手段を備えており、供給された原料を加圧下で撹拌できるようになっている。かかる混合部の例としては、ピンミキサー、ホバート型バッチミキサー、オークス型連続ミキサー等が挙げられる。
分配部の構造は特に限定されず、製造するフェノール樹脂発泡体の形態によって適宜設定される。所定の方向に移動する面材上に発泡性フェノール樹脂組成物を分配する場合、複数のノズルは、典型的には、面材の移動方向と直交する方向に沿って配置される。
かかる吐出装置としては、例えば、特許第3948777号公報に記載のものが挙げられる。
第一混合部での混合の前に、フェノール樹脂に予め、酸触媒及び発泡剤以外の他の成分が配合されていてもよい。第一混合部での混合の際、発泡剤とともに、酸触媒及び発泡剤以外の他の成分が混合されてもよい。第二混合部での混合の際、発泡剤とともに、酸触媒及び発泡剤以外の他の成分が混合されてもよい。
第一混合部での混合、第二混合部での混合はそれぞれ加圧下で行われる。
加圧する方法としては、特に限定されない。例えば、前記混合部と分配部の間の混合物の流路に絞り部を設けることで、所望の圧力に加圧することができる。また混合部に設けられた撹拌翼の形状を、混合物の進行する方向と逆らうように部分的に設けることでも、所望の圧力に加圧することができる。
ここでの発泡剤の蒸気圧は、第一混合部での混合時の温度T1における蒸気圧である。発泡剤が2種以上の発泡剤を含む場合、最も蒸気圧が高い発泡剤の蒸気圧をP1とする。温度T1は、発泡剤成分のうち、最も沸点が低い発泡剤の沸点以上とすることが好ましい。
ここでの発泡剤の蒸気圧は、第二混合部での混合時の温度T2における蒸気圧である。温度T2は、温度T1以上が好ましい。
前述のとおり、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の沸点は、非フッ素発泡剤(1)の沸点よりも低いことが好ましい。この場合、同じ温度での蒸気圧は、非フッ素発泡剤(1)の方が低い。発泡剤が非フッ素発泡剤(1)と、それよりも高沸点の含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素とを含む場合、第二混合部での混合時の圧力は、前記含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の蒸気圧(=P1)の50~100%の圧力、かつ前記非フッ素発泡剤(1)の蒸気圧よりも高い圧力で行われることが好ましい。これにより、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素が先に気化して発泡剤中における含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の比率が低下するため、気泡壁中に取り込まれる含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の量、即ち、気泡壁中におけるフッ素の量を低減することができる。
後述の実施例及び比較例で用いた測定・評価方法を以下に示す。
フェノール樹脂発泡体の密度は、JIS A 9511:2009に従い測定した。
フェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、以下の方法で求めた。
フェノール樹脂発泡体の厚さ方向のほぼ中央から試験片を切出した。試験片の厚さ方向の切断面を50倍拡大で撮影した。撮影された画像に、長さ9cmの直線を4本引いた。この際、ボイド(2mm2以上の空隙)を避けるように直線を引いた。各直線が横切った気泡の数(JIS K6400-1:2004に準じて測定したセル数)を直線毎に計数し、直線1本当たりの平均値を求めた。気泡の数の平均値で1800μmを除し、求められた値を平均気泡径とした。
フェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、JIS K 7138:2006に従い測定した。
フェノール樹脂発泡体の熱伝導率は、JIS A 1412-2に従い測定した。測定は、同じ試料について2回実施した。
フェノール樹脂発泡体の厚さ方向の中央部から、幅、長さ方向直径約150mm、厚さ約10mmの試験片を切出し、その質量を測定した。テーバー式アブレーションテスター((株)安田精機製作所製:No.101 TABER TYPE ABRATION TESTER)を用いて、回転する試験片上に一対の摩耗輪を一定荷重で押し付けて、試験片を摩耗させた。試験片に付着した削れ粉を掃除機で取り除き、試験後の試験片の質量を測定した。試験前後の試験片の質量差を算出し、摩耗質量とした。試験に使用したヤスリはCS17、ヤスリの重さは250gであり、試験片の回転数は50回転、回転速度は60rpmとした。
フェノール樹脂発泡体の気泡壁中のフッ素の量は、前記(1)~(5)の手順で測定した。
内壁に突起を有する円筒容器と突起を有する回転子から構成されたピン型ミキサー(混合機)を用意した。このピン型ミキサーは、上部側面に第一の導入口があり、回転子が攪拌する攪拌部の中央付近の側面に第二の導入口を備えている。下部には16本のノズルが接続されている。これらのノズルは、TD方向に等間隔に配置されている。第一の導入口の位置から第二の導入口の位置までが第一混合部、第二導入口の位置から攪拌部の終了している位置までが第二混合部、攪拌部の終了している位置からノズルまでが分配部である。第一混合部と第二導入口との接続部分、および第二混合部と分配部の接続部分には管内の流路幅を外部から調整可能な絞り部がそれぞれ設けられ、それぞれの流路幅を絞って内部の圧力が調整可能になっている。円筒容器の外側には温度調整のためのジャケットが設けられている。第一混合部の中央側面と第二混合部の最下部には系内の温度と圧力を測定するためのセンサーが設けられている。
発泡剤としては、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン((E)-HCFO-1233zd):シクロペンタン=80:20(質量比)の混合物である発泡剤Aを用いた。
この発泡性フェノール樹脂組成物を、ピン型ミキサーの下部に接続された18本のノズルから、スラット型ダブルコンベアを用いて連続的に走行させている第一の面材(材質:ポリエステル不織布、目付30g/m2)上に吐出させた。その上に第二の面材(材質:第一の面材と同一)を重ね、スラット型ダブルコンベアの上下のコンベア間の距離を45mmにして搬送しつつ、70℃で300秒間加熱して発泡成形した。
発泡成形の後、80℃で5時間乾燥し、面材付きのフェノール樹脂発泡体を得た。
得られた面材付きのフェノール樹脂発泡体を幅910mm、長さ1820mmに切断し、厚さ45mmのフェノール樹脂発泡板を作製した。
スラット型ダブルコンベアの上下のコンベア間の距離を60mmにし、得られた面材付きのフェノール樹脂発泡体の厚さが60mmとし、第一混合部、第二混合部それぞれにおける圧力及び温度を表1に示すようにした以外は実施例1と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作成した。
発泡性フェノール樹脂組成物に増粘剤として炭酸カルシウムを添加し、スラット型ダブルコンベアの上下のコンベア間の距離を90mmにし、得られた面材付きのフェノール樹脂発泡体の厚さが90mmとし、第一混合部、第二混合部それぞれにおける圧力及び温度を表1に示すようにした以外は実施例1と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作成した。
発泡剤として、表1に示すものを用い、発泡剤の配合量を、フェノール樹脂100質量部に対する含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の部数が表1又は表2に示す量となるようにし、第一混合部、第二混合部それぞれにおける圧力及び温度を表1又は表2に示すようにした以外は実施例1と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製した。表3に、各発泡剤の組成を示す。表3中、発泡剤の比率は質量比である(以下同様)。表3に、30℃、40℃、50℃それぞれにおける発泡剤(発泡剤1及び発泡剤2)の蒸気圧を併記した。
第一混合部と第二導入口との接続部分、および第二混合部と分配部の接続部分を絞らずに圧力をかけない状態で発泡性フェノール樹脂組成物を調製した以外は実施例1と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製した。
IPC:イソプロピルクロリド。
CP:シクロペンタン。
(E)-HCFO-1233zd:トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン。
(Z)-HFO-1336mzz:シス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン。
Claims (3)
- 含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素と、炭化水素及び塩素化飽和炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種の非フッ素発泡剤とを含むフェノール樹脂発泡体であって、
密度が20kg/m3以上50kg/m3以下であり、
独立気泡率が80%以上99%以下であり、
熱伝導率が0.0186W/m・K以下であり、
気泡壁中のフッ素の量が5000mg/kg以下であり、
前記含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の沸点が、前記非フッ素発泡剤の沸点よりも低いことを特徴とするフェノール樹脂発泡体。 - 下記測定方法により求められる摩耗質量が0.7g以下である、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体。
(摩耗質量の測定方法)
フェノール樹脂発泡体の厚さ方向の中央部から、幅、長さ方向直径約150mm、厚さ約10mmの円盤状の試験片を切出す。試験前の試験片の質量を測定する。テーバー式アブレーションテスターを用いて、回転する試験片上に一対の摩耗輪を一定荷重で押し付けて、試験片を摩耗させる。試験片に付着した削れ粉を掃除機で取り除き、試験後の試験片の質量を測定する。試験前後の試験片の質量差を算出し、摩耗質量とする。試験に使用するヤスリはCS17、ヤスリの重さは250g、試験片の回転数は50回転、回転速度は60rpmとする。 - 混合部とノズルとを備えた吐出装置の前記混合部にて、少なくともフェノール樹脂と発泡剤と酸触媒とを混合して発泡性フェノール樹脂組成物を調製し、前記発泡性フェノール樹脂組成物を前記ノズルから吐出し、発泡及び硬化させる工程を含むフェノール樹脂発泡体の製造方法であって、
前記発泡剤が、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素と、炭化水素及び塩素化飽和炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種の非フッ素発泡剤とを含み、
前記含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の含有量が、前記フェノール樹脂100質量部に対して2質量部以上14質量部以下であり、
前記含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の沸点が、前記非フッ素発泡剤の沸点よりも低く、
前記混合部は、前記フェノール樹脂と前記発泡剤とを混合して第一混合物とする第一混合部、及び前記第一混合物と前記酸触媒とを混合して前記発泡性フェノール樹脂組成物とする第二混合部を備え、
前記第一混合部での混合、及び前記第二混合部での混合がそれぞれ加圧下で行われ、
前記第二混合部での混合時の圧力が、前記含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素の蒸気圧の50~100%の圧力、かつ前記非フッ素発泡剤の蒸気圧よりも高い圧力であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体の製造方法。
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