JP2018095210A - 舵角比可変装置 - Google Patents

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晃一 柴田
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Abstract

【課題】内接式遊星歯車機構および等速度内歯車機構からなる減速(増速)機と、電動モータのロータを外嵌する本体部と内接式遊星歯車機構を構成する外歯歯車に転がり軸受を介して回転自在に設置される偏芯部とを有する中空の補助軸と、を備えた舵角比可変装置の、等速度内歯車機構を構成するピンとピン穴とによる荷重伝達状態を良好にして、音や振動の発生および舵角比の伝達誤差を低減する。【解決手段】等速度内歯車機構は、内接式遊星歯車機構を構成する外歯歯車と第一軸の軸方向一端との間に形成された、複数のピン穴33と複数のピン穴にそれぞれ入る複数のピン21とからなる。ピン21のピン穴33に入る部分212は、円柱がスリット213により径方向で二分割された形状を有し、スリット213は、複数のピン21のピッチ円中心O1とピン21をなす円の中心O21とを結ぶ直線に沿って形成されている。【選択図】図5

Description

この発明は、舵角比可変装置に関する。
車両のステアリング装置としては、一般的には、ステアリングホイールの回転角と車輪(操舵輪)の回転角との関係を1:1に対応させた(いわゆるステアリングギア比を固定した)ステアリング装置が使用されている。この固定されたステアリングギア比は、車両の高速安定性を確保するために、大きく設定されることが多い。しかし、その場合、例えば、車庫入れなどの低速走行時に、ステアリングホイールを多く回転させる必要があり、操作が煩雑になる。
このような問題に対し、差動減速(増速)機構による舵角比可変機構を設け、車速等に応じて舵角比(ここでは、「舵角比可変機構の出力軸の回転角÷入力軸の回転角」を意味する)を調整することが提案されている。
舵角比可変機構に用いられる差動減速(増速)機構としては、様々な種類のものが提案されているが、車両搭載レイアウトの観点から、電動モータと減速機を操舵系に同軸に配置することが好ましい。このような舵角比可変機構としては、平歯車、はすば歯車、かさ歯車が用いられている遊星歯車機構や、波動歯車機構を採用したものがある。しかし、いずれを採用した場合でも、トルク伝達効率が低いため、電動モータの大型化や大電力化、これに伴う重量増、コスト増の問題がある。
これに対して、特許文献1には、入力軸を挿入する中空の補助軸(中間回転筒)に電動モータのロータが外嵌され、内接式遊星歯車機構および等速度内歯車機構からなる減速(増速)機を備えた舵角比可変装置が記載されている。
特許文献1に記載された舵角比可変装置を構成する内接式遊星歯車機構は、入力軸と出力軸との間に介装されて、入力軸から出力軸への回転伝達比を変化させる。補助軸は、入力軸に対して同軸に回転自在に外挿された本体部と、本体部の軸方向一端に形成されて、 本体部の回転中心から偏芯した偏芯部と、を有する。
この舵角比可変装置において、等速度内歯車機構は、外歯歯車の径方向中央部に形成された複数のピン穴と、入力軸の軸方向一端から突出して複数のピン穴にそれぞれ入るピンとからなる。また、偏芯部と内接式遊星歯車機構を構成する外歯歯車とが、転がり軸受により相対回転自在に支持され、内接式遊星歯車機構を構成する内歯歯車が出力軸に固定されている。
そして、内接式遊星歯車機構と等速度内歯車機構は補助軸の径方向で重なる位置に配置されているが、転がり軸受は、内接式遊星歯車機構および等速度内歯車機構と補助軸の径方向で重ならない位置に配置されている。
また、この舵角比可変装置は、偏芯部の外周に形成された凹凸係合部と、ハウジングから進退するストッパとからなる補助軸のロック機構を有する。これにより、故障時およびイグニッションオフ時には、補助軸の回転をロックすることで、操舵輪に対して必要な舵角を付与できる。
特開2008−174213号公報
しかし、特許文献1には、等速度内歯車機構を構成するピンとピン穴とによる荷重伝達状態に関しては、何も記載されていない。ピンとピン穴とによる荷重伝達状態が不良になると、音や振動が発生したり、舵角比の伝達誤差が大きくなったりする恐れがある。
この発明の課題は、内接式遊星歯車機構および等速度内歯車機構からなる減速(増速)機と、電動モータのロータを外嵌する本体部と内接式遊星歯車機構を構成する外歯歯車に転がり軸受を介して回転自在に設置される偏芯部とを有する中空の補助軸と、を備えた舵角比可変装置において、等速度内歯車機構を構成するピンとピン穴とによる荷重伝達状態を良好にして、音や振動の発生および舵角比の伝達誤差を低減することである。
上記課題を解決するために、この発明の一態様の舵角比可変装置は、下記の構成要件(1) 〜(6) を有する。
(1) 運転者の操舵操作で回転する入力軸と、操舵輪に舵角を付与する出力軸であって、前記入力軸と同軸に配置された出力軸と、前記入力軸と前記出力軸との間に介装されて、前記入力軸から前記出力軸への回転伝達比を変化させる内接式遊星歯車機構とを有する。
(2) 中空の補助軸であって、前記入力軸および前記出力軸の一方である第一軸に対して同軸に回転自在に外挿された本体部と、前記本体部の軸方向一端に形成され、前記本体部の回転中心から偏芯した偏芯部と、を有する補助軸を有する。
(3) 前記補助軸を回転させる電動モータであって、ロータが前記本体部に同軸に外嵌された電動モータと、複数のピン穴と前記複数のピン穴にそれぞれ入る複数のピンとによる等速度内歯車機構であって、前記内接式遊星歯車機構を構成する外歯歯車と前記第一軸の軸方向一端との間に形成された等速度内歯車機構と、を有する。
(4) 前記内接式遊星歯車機構を構成する内歯歯車が、前記入力軸および前記出力軸の他方である第二軸と一体に回転可能に配置されている。
(5) 前記外歯歯車が、前記偏芯部に転がり軸受を介して回転自在に設置されている。
(6) 前記ピンの前記ピン穴に入る部分は、円柱がスリットにより径方向で二分割された形状を有し、前記スリットは、前記複数のピンのピッチ円中心と前記ピンをなす円の中心とを結ぶ直線に沿って形成されている。
この発明の一態様の舵角比可変装置は、内接式遊星歯車機構および等速度内歯車機構からなる減速(増速)機を備え、内接式遊星歯車機構による回転伝達比を変化させる電動モータのロータが補助軸に同軸に外嵌された舵角比可変装置である。この舵角比可変装置によれば、等速度内歯車機構を構成するピンの形状が特定されていることで、部品の出来栄えを考慮した公差設定に伴うバックラッシを0としても、ピンとピン穴とによる荷重伝達状態が良好になるため、音や振動の発生および舵角比の伝達誤差が低減できる。
実施形態の舵角比可変装置を示す断面図である。 実施形態の舵角比可変装置を構成する主要な構成部品を別々に示す斜視図である。 図1のA−A断面図である。 実施形態の舵角比可変装置を構成する等速度内歯車機構のピンの形状を示す斜視図である。 実施形態の舵角比可変装置を構成する等速度内歯車機構のピンとピン穴との関係を説明する図である。 舵角比可変装置を構成する等速度内歯車機構のピンとピン穴との間にバックラッシがある状態を説明する図である。 図6の部分拡大図である。 舵角比可変装置を構成する等速度内歯車機構のピンとピン穴とによる荷重伝達を説明する図である。 図8の部分拡大図である。 舵角比可変装置を構成する等速度内歯車機構による、入力軸角度とピン伝達荷重との関係(ピン、ピン穴間のバックラッシが0の場合)を示すグラフである。 図4のピンに充填部品を設けたものを示す斜視図である。 充填部品を設けたピンを用いた等速度内歯車機構を示す図である。
以下、この発明の実施形態について説明するが、この発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、この発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定はこの発明の必須要件ではない。
[全体構成(ピンの形状を除く)について]
図1〜図3に示すように、この実施形態の舵角比可変装置は、入力軸(第二軸)1と、出力軸(第一軸)2と、内接式遊星歯車機構3と、電動モータ4と、補助軸5と、等速度内歯車機構6と、ハウジング7と、センサ8と、レゾルバ9を有する。
入力軸1は、運転者の操舵操作で回転する回転軸であり、ステアリングホイールに連結されている。入力軸1は中空軸であって、ハウジング7に転がり軸受を介して回転自在に支持されている。
出力軸2は、操舵輪に舵角を付与する出力軸であって、入力軸1と同軸に配置されている。出力軸2の軸方向一端面から六本のピン21が突出している。具体的には、ピン21は、基部211と突出部212とに分けられる。出力軸2の軸方向一端面には、六個の凹部20が形成されている。各凹部20に各ピン21の基部211が挿入されて固定され、突出部212が出力軸2の軸方向一端面から突出している。六本のピン21は、出力軸2の周方向に等間隔で配置されている。六本のピン21のピッチ円中心は、入力軸1および出力軸2の回転の中心O1と同じである。
出力軸2の軸方向他端側の部分に、ラック軸25と噛み合うピニオン22が形成されている。ラック軸25の両端には、リンク機構を介して操舵輪が接続されている。つまり、出力軸2の回転がラック&ピニオン機構を介して操舵輪に伝達され、出力軸2の回転速度に応じて操舵輪の舵角が変化する。
内接式遊星歯車機構3は内歯歯車31と外歯歯車32とからなる。内歯歯車31の軸方向一端部に円板部31aが形成され、円板部31aの軸方向一端から円筒部31bが突出している。円筒部31bが、ハウジング7に転がり軸受を介して回転自在に支持されている。内歯歯車31と入力軸1が、円筒部31bおよび入力軸1に内挿されたトーションバー11で結合されている。
外歯歯車32は、外周面に歯が形成された外筒部(歯車部)32aと、外筒部32aの径方向中央部に配置された円柱部32bと、これらを軸方向一端で連結する円板部32cと、が一体に形成されたものである。つまり、外歯歯車32は、外筒部32aと円柱部32bとの間にリング状の空間32dを有し、この空間32dの軸方向一端が円板部32cで塞がれている。
外歯歯車32の円柱部32bに六個のピン穴33が形成されている。六個のピン穴33本のピッチ円中心は、外歯歯車32の自転の中心O2と同じである。
補助軸5は中空軸であって、本体部51と偏芯部52を有する。本体部51は、出力軸2に対して同軸に外挿され、出力軸2に対して回転自在に支持されている。偏芯部52は、本体部51の軸方向一端に形成されている。また、本体部51の偏芯部52との境界部512の外周面に、周方向に沿って複数個の凹部53が形成されている。
図1および図2に示すように、本体部51の回転中心は、入力軸1および出力軸2の回転の中心O1と同じである。図1〜図3に示すように、偏芯部52の回転中心は、外歯歯車32の自転の中心O2と同じである。
偏芯部52の内周面をなす円の中心は、入力軸1および出力軸2の回転の中心O1と同じであり、偏芯部52の外周面をなす円の中心は、外歯歯車32の自転の中心O2と同じである。つまり、偏芯部52の厚さは周方向で一定ではなく変化している。
電動モータ4はブラシレスモータであり、補助軸5の本体部51に、電動モータ4のロータ41が同軸に外嵌され、電動モータ4のステータ42がハウジング7に固定されている。つまり、補助軸5の偏芯部52の中心は、ロータ41の回転中心(入力軸および出力軸の回転の中心O1)から偏芯している。この偏芯量をδで示す。
補助軸5の偏芯部52は、外歯歯車32の空間32d内の外筒部32a側に配置されている。偏芯部52の外周に転がり軸受55の内輪55aが固定され、外筒部32aの内周面に転がり軸受55の外輪55bが固定されている。内輪55aおよび外輪55bの間に転動体55cが転動自在に設置されている。つまり、偏芯部52は、外歯歯車32の外筒部32aに対して、転がり軸受55により回転自在に支持されている。なお、図2では転がり軸受55の表示が省略され、図1および3では、転がり軸受55の転動体55cを回転自在に保持する保持器は省略されている。
等速度内歯車機構6は、出力軸2の軸方向一端面から突出した六本のピン21が、それぞれ、外歯歯車32の円柱部32bに形成された六個の各ピン穴33に入ることで形成されている。
そして、図1に示すように、内接式遊星歯車機構3と転がり軸受55と等速度内歯車機構6とが、補助軸5の径方向で重なる位置に配置されている。。
センサ8は、操舵トルクおよび操舵角を検出できるセンサであり、入力軸1に設置されている。センサ8で運転者の操舵操作で入力されたトルクおよび操舵角が検出され、その検出値が制御装置に入力される。運転者がステアリングホイールを操作するとトーションバー11が捩れ、この捩れをセンサ8が検知する。
レゾルバ9は、制御用回転角センサであり、補助軸5の本体部51の軸方向他端部側に設置されている。レゾルバ9で検出された回転角度が制御装置に入力されることで、電動モータ4の回転速度が適切に制御された状態で、回転角を駆動自在としている。
なお、センサ8、電動モータ4、レゾルバ9のケーブル、モータの駆動回路、および制御装置は図示されていない。
また、この実施形態の舵角比可変装置は、補助軸5のロック機構を有する。このロック機構は、ハウジング7に固定された本体71と、本体71から進退するストッパ72と、補助軸5に設けた複数個の凹部53と、からなる。このロック機構により、電動モータ4の故障時およびイグニッションオフ時に、本体71から進出させたストッパ72が凹部53に係合することで、補助軸5の回転を停止できる。
[差動減速(増速)機構の動作について]
この実施形態の舵角比可変装置において、内接式遊星歯車機構3により舵角比可変を行わない場合は、制御装置からのオフ信号により、またはロック信号によりロック機構を作動させることで、補助軸5を回転させない。そのため、入力軸1の回転に伴って、内歯歯車31と噛み合う外歯歯車32が、公転しながら自転する(公転の中心はO1、自転の中心はO2)。この自転の回転数が、等速度内歯車機構6でピン21とピン穴33とによる荷重伝達が行われることで、出力軸2に取り出される。内歯歯車31の歯数をZ1、外歯歯車32の歯数をZ2とすると、この場合には、入力軸1が一回転する毎に出力軸2はZ1/Z2回転する。
内接式遊星歯車機構3による舵角比可変を行う場合には、制御装置からの制御信号に応じた速度で電動モータ4を回転させて補助軸5を回転させる。増速方向に舵角比を変える際には、補助軸5を入力軸1とは逆向きに回転させる。減速方向に舵角比を変える際には、補助軸5を入力軸1と同じ向きに回転させる。補助軸5を回転させることで得られる可変比はZ1/(Z2−Z1)である。
[作用、効果について(ピンの形状によるものを除く)]
この実施形態の舵角比可変装置において、外歯歯車32が受ける歯車の噛み合い反力とピン穴33からピン21への伝達荷重の向きは、図1で軸方向に垂直な下向きである。また、噛み合い位相である偏芯位相の向きは図1で軸方向に垂直な上向きである。そして、歯車の噛み合い位置とピン−ピン穴の位置とが軸の径方向で重なっている。つまり、内接式遊星歯車機構3と等速度内歯車機構6とが、補助軸5の径方向で重なる位置に配置されている。よって、ピン21とピン穴33との間に過剰な押付力が発生しないため、トルク伝達効率の低下が抑制される。
これに加えて、この実施形態の舵角比可変装置では、内接式遊星歯車機構3および等速度内歯車機構6と軸の径方向で重なる位置で、転がり軸受55により偏芯部52および外歯歯車32が相対回転自在に支持されている。
そのため、外歯歯車32が受ける歯車の噛み合い反力に起因するモーメントが発生しない。よって、補助軸5と出力軸2との相対的な倒れが防止されるため、ピン21とピン穴33の接触不良が防止される。その結果、この実施形態の舵角比可変装置は、特許文献1の舵角比可変装置よりも等速度内歯車機構によるトルク伝達効率が高いものとなる。
また、内接式遊星歯車機構3と等速度内歯車機構6が軸方向にコンパクトに配置されることで、舵角比可変装置の軸方向寸法を小さくできるため、舵角比可変装置の小型化が図れる。
[ピンの形状およびピンとピン穴の関係について]
ピン21は、図4に示すように、出力軸2に挿入、固定される基部211と、出力軸2から突出する突出部212とからなる。基部211の形状は単純な円柱である。突出部212は、基部211と同じ単純な円柱が、スリット213により径方向で二分割された二つの分割体212aからなる。図5に示すように、スリット213は、六本のピン21のピッチ円中心O1とピン21をなす円の中心O21とを結ぶ直線Lと平行な直線に沿って形成されている。
また、スリット213による分割面213aに対して垂直なスリット直交面214で、突出部212をなす円柱の外周部が切り落とされている。つまり、各分割体212aは、スリット213による分割面213aと、一対のスリット直交面214と、両スリット直交面214をつなぐ外周面215を有する。
図1に示すように、ピン21の突出部212の大部分がピン穴33に挿入される。つまり、ピン21の突出部212がピン穴33に入る部分である。突出部212は、スリット213を有することで、外周面215がピン穴33に押し当たる際に、両分割体212aの外周面215間の距離が基部211の直径(つまり、ピン21の直径)D21よりも小さくなる。つまり、突出部212は、円柱の分割面213aと直交する径方向にバネ弾性を有する。
上述した内接式遊星歯車機構の動作に伴い、外歯歯車32に形成された六個のピン穴33は、自転しながら公転する。図5に示すように、この公転の中心はO1、自転の中心はO2である。図5の中央の一点鎖線で描かれた円は、中心O2の軌跡を示す。外歯歯車32の回転に伴い、等速度内歯車機構6により、ピン穴33からピン21に荷重が伝達されてピン21が公転し(公転の中心はO1)、ピン21が固定されている出力軸1が回転する。
ピン21の直径D21は、ピン穴33に対するバックラッシが0となる寸法に設定されている。ピン21の直径D21は、ピン穴33に対するバックラッシが少しマイナスになる寸法に設定されていてもよい。
[ピン、ピン穴間のバックラッシについて]
図6および図7を用いて、ピンとピン穴との間に生じるバックラッシを説明する。
ピンとピン穴だけでなく、舵角比可変装置を構成する部品のうちピンとピン穴の相対関係に影響する部品の公差設定によって、図6に示すように、ピン210とピン穴33との間にバックラッシBが生じる。公差設定によって生じるバックラッシとは、部品の出来栄え等を考慮して、ピンとピン穴とに過干渉が発生しないように設定しなければいけない「隙間」のことである。バックラッシは、径方向および回転方向に必要である。
部品の出来栄えにバラツキが無い理想的な状態の場合は、ピン穴33の直径をD1、ピン210の直径をD2、偏芯量をδとした時、D1=D2+2δを満たすことで、バックラッシが生じず、ピンはピン穴内で滑らかに回転できる。しかし、実際には、部品の出来栄えにバラツキが生じるため、バックラッシを設定しなければならない。この場合、D1>D2+2δの設計となる。
図7において、径方向のバックラッシBを設定した「D1>D2+2δ」で設計されたピン穴33Aを実線で示す。バックラッシBのない「D1=D2+2δ」で設計されたピン穴33Bを二点鎖線で示す。
そして、バックラッシが設定されていると、噛合い運動によって発生する音や振動が大きくなるとともに、ピン穴33からピン210への荷重伝達誤差が大きくなり、入力軸1から出力軸2への舵角比の伝達誤差が大きくなる恐れがある。また、車両からの振動により、ラトル音(歯打ち音)が発生する恐れもある。
[ピンとピン穴とによる荷重伝達について]
図8〜図10を用いて、ピンとピン穴とによる荷重伝達について説明する。
図8および図9は、ピンとピン穴の間にバックラッシが設定されていない状態(D1=D2+2δ)に描かれている。図8に示すように、反時計周り(実線の矢印の向き)にピン穴33(外歯歯車)が公転する(公転の中心はO1)と、ピン穴33からピン210に荷重が伝達されて、時計周り(二点鎖線の矢印の向き)にピン210が公転する。これに伴い、ピン210が固定されている出力軸が回転する。
ピンが、ピン穴のピンに向かう側の半円部(この向きの回転では、網かけ部分)に入っている間に、ピン穴からピンへ荷重が伝達される。つまり、この半円部がピン穴の荷重伝達領域Kであり、図9では、ピン210が、荷重伝達領域Kでピン穴33と接触し始めた状態(接触角0)を示している。なお、ピン210が荷重伝達領域Kでピン穴33との接触を終える位置において、ピン210の接触角は180°である。荷重伝達領域Kにおいて、ピン210のピン穴33との接触点に接線力が生じて、ピン穴33からピン210へ荷重が伝達され、ピン210が公転する。
六本のピンがそれぞれ分担する荷重は、ピン穴(外歯歯車)の回転角度(入力軸角度)に応じて変化する。六本のピンを、出力軸の周方向に沿ってピンA、ピンB、ピンC、ピンD、ピンE、ピンFとした時、入力軸角度と各ピンによる伝達荷重との関係は、バックラッシが0の場合、図10に示す関係となる。そして、図10にGで示す接線力(六本のピンの合成力)が得られ、この接線力で出力軸を回転させる。
しかし、バックラッシが設定されている場合は、ピン210のピン穴33に対する接触角が0の時と180°の時には、ピン穴33からピン210に荷重が伝達されず、ピン210が空転する。そのため、バックラッシが設定されている場合は、図10に示す関係が得られない。
一方、バックラッシが0の場合、単純な円柱からなるピン210では、ピン210とピン穴33との当たりが滑らかでないことに起因して、噛合い運動によって発生する音や振動が大きくなるとともに、ピン穴33からピン210への荷重伝達誤差が大きくなり、入力軸1から出力軸2への舵角比の伝達誤差が大きくなる恐れがある。また、車両からの振動により、ラトル音(歯打ち音)が発生する恐れもある。
[ピンの形状による作用、効果について]
実施形態の舵角比可変装置では、図4に示す形状のピン21を用いている。そして、ピン21のピン穴33に挿入されている突出部212は、スリット213により、円柱の分割面213aと直交する径方向にバネ弾性を有する。また、突出部212は、円柱の外周部が切り落とされて生じたスリット直交面214を有する。
これにより、ピン穴33に対するバックラッシを0にしても、ピン21のピン穴33に対する当たりが滑らかになるため、上述の恐れ(音や振動、舵角比の伝達誤差の増大)が解消される。また、バックラッシを0(またはマイナス)にすることでトルク伝達効率が維持できる。
また、スリット213を有することで、ピン21をピン穴33に入れる際にピン21が径方向に縮むため、バックラッシを0(またはマイナス)にした場合でも、ピン21がピン穴33に入り易くなり、組立性が向上する。
なお、ピン21の突出部212の外周面全体を径方向にバネ弾性を有する構造とすることによっても、ピン21のピン穴33に対する当たりを滑らかにすることはできる。
[ピンの好ましい形態について]
図11および図12に示すように、図4のピン21は、スリット213に充填部品216を固定して使用することができる。ピン21は金属製であり、充填部品216は合成樹脂製である。つまり、充填部品216は、ピン21を構成する材料よりも弾性変形し易い材料からなる。
充填部品216は、スリット213による分割面213a間に嵌まるスリット嵌合部217と、スリット直交面214との嵌合面218aを有する外縁形成部218と、からなる。外縁形成部218は、両スリット直交面214をつなぐ外周面215に連続する外周面218bと、外周面218bから突出する突起218cを有する。突起218cは、外周面215から円弧状に突出し、この円弧の幅は、スリット213の幅(分割面213a間の距離)と同じである。
ピン21のスリット213に充填部品216を固定して使用することにより、突起218cがピン穴33に当たる際には、突起218cがピン穴33に押し付けられて弾性変形する。そのため、ピン21のピン穴33に対するバックラッシを0にした場合、充填部品216を固定しないピン21よりもさらにピン穴33に対する当たりが滑らかになる。よって、充填部品216を固定しないピン21を用いた場合よりも、上述の恐れ(音や振動、舵角比の伝達誤差の増大)の解消効果が高い。
[その他の効果]
この実施形態の舵角比可変装置は、さらに以下の効果を有する。
操舵系に対して電動モータと差動減速(増速)機構が同軸配置されているため、左右対称形状となり、車両搭載レイアウト性が良好になる。
差動減速(増速)機構が、比較的簡単な構造(内歯歯車、外歯歯車、ピンおよびピン穴)であるため、組立性も良好となり、製造コストの低減が図れる。
トルク伝達機構の効率が高いので、電動モータの小型化や省電力化が可能となる。
舵角比可変を行わない場合でも、操舵輪に対して必要な舵角を付与できるとともに、ロック時のステアリングギア比は限りなく1に近いため、操舵フィーリングに殆ど影響を与えない。
[備考]
この実施形態の舵角比可変装置では、出力軸2を、補助軸5の本体部51に外挿される第一軸とし、入力軸1を、内歯歯車31が固定される第二軸としているが、入力軸を第一軸とし出力軸を第二軸としてもよい。
この実施形態の舵角比可変装置では、ピン21を第一軸である出力軸2に設け、ピン穴33を外歯歯車32に設けているが、ピン21を外歯歯車32に設け、ピン穴33を第一軸に設けてもよい。
この実施形態の舵角比可変装置は、ステアリング装置のピニオン軸で舵角比を変更するものであるが、ステアリングコラム部で舵角比を変更するものであってもよい。
内歯歯車と外歯歯車の歯数は、伝達トルクや装置全体のサイズを考慮したうえで、なるべく歯数を多くすることが好ましい。これにより、噛合いによるトルク変動を低減することができる。
内歯歯車と外歯歯車の歯数差を大きくすると、設定偏芯量を大きくする必要が生じる。そのため、この実施形態の舵角比可変装置のように、歯車噛合い直下にピンおよびピン穴を設ける場合は、歯数差を小さくすることが好ましい。また、歯数差を小さくすることにより、結果的に舵角可変比をより大きくすることができる。
この実施形態の舵角比可変装置では、インボリュート歯車を用いているが、トロコイド歯車や、円弧歯車を用いてもよい。また、平歯車を使用しているが、はすば歯車を使用してもよい。
各歯車は鉄鋼製でもよいし、樹脂製でもよい。いずれかの歯車を樹脂製歯車とすることで、歯車の歯打ち音を低減することができる。
ピン穴の内周面およびピンの外周面のいずれかは、必要に応じて熱処理されていることが好ましい。これにより、ピンとピン穴との接触が転がり接触およびすべり接触のいずれであっても、耐久性が良好になる。
この実施形態の舵角比可変装置では、六対のピンとピン穴で等速度内歯車機構を構成しているが、ピンとピン穴の対数は、機構上は三対以上あればよく、伝達トルクやバックラッシに応じて設定すればよい。
1 入力軸(第二軸)
2 出力軸(第一軸)
21 ピン
210 ピン
211 ピンの基部
212 ピンの突出部(ピン穴に入る部分)
212a 突出部の分割体
213 スリット
213a スリットによる分割面
214 スリット直交面
215 両スリット直交面をつなぐ外周面
216 充填部品
217 スリット嵌合部
218 外縁形成部
218b 外周面215に連続する外周面
218c 外周面218bから突出する突起
22 ピニオン
25 ラック軸
3 内接式遊星歯車機構
31 内歯歯車
32 外歯歯車
32a 外歯歯車の外筒部(歯車部)
32b 円柱部
32c 円板部
32d 空間
33 ピン穴
4 電動モータ
41 ロータ
42 ステータ
5 補助軸
51 本体部
52 偏芯部
53 ロック機構を構成する凹部
55 転がり軸受
55a 内輪
55b 外輪
55c 転動体
6 等速度内歯車機構
71 ロック機構を構成する本体
72 ロック機構を構成するストッパ
7 ハウジング
8 センサ
9 レゾルバ
B バックラッシ
K 荷重伝達領域
L 複数のピンのピッチ円中心とピンをなす円の中心とを結ぶ直線
O1 入力軸および出力軸の回転の中心(複数のピンのピッチ円中心)
O2 外歯歯車の自転の中心
O21 ピンをなす円の中心

Claims (4)

  1. 運転者の操舵操作で回転する入力軸と、
    操舵輪に舵角を付与する出力軸であって、前記入力軸と同軸に配置された出力軸と、
    前記入力軸と前記出力軸との間に介装されて、前記入力軸から前記出力軸への回転伝達比を変化させる内接式遊星歯車機構と、
    中空の補助軸であって、前記入力軸および前記出力軸の一方である第一軸に対して同軸に、且つ、回転自在に外挿された本体部と、前記本体部の軸方向一端に形成され、前記本体部の回転中心から偏芯した偏芯部と、を有する補助軸と、
    前記補助軸を回転させる電動モータであって、ロータが前記本体部に同軸に外嵌された電動モータと、
    複数のピン穴と前記複数のピン穴にそれぞれ入る複数のピンとによる等速度内歯車機構であって、前記内接式遊星歯車機構を構成する外歯歯車と前記第一軸の軸方向一端との間に形成された等速度内歯車機構と、
    を有し、
    前記内接式遊星歯車機構を構成する内歯歯車が、前記入力軸および前記出力軸の他方である第二軸と一体に回転可能に配置され、
    前記外歯歯車が、前記偏芯部に転がり軸受を介して回転自在に設置され、
    前記ピンの前記ピン穴に入る部分は、円柱がスリットにより径方向で二分割された形状を有し、前記スリットは、前記複数のピンのピッチ円中心と前記ピンをなす円の中心とを結ぶ直線に沿って形成されている舵角比可変装置。
  2. 前記ピンの前記ピン穴に入る部分は、前記円柱の外周部が、前記スリットによる分割面に対して垂直なスリット直交面で切り落とされた形状を有する請求項1記載の舵角比可変装置。
  3. 前記ピンの前記ピン穴に入る部分は、前記スリットに嵌まるスリット嵌合部と、前記スリット直交面との嵌合面を有する外縁形成部と、からなる充填部品を有し、
    前記外縁形成部は前記ピンを構成する材料よりも弾性変形し易い材料からなり、
    前記外縁形成部は、前記円柱の外周面に連続する外周面とこの外周面から突出する突起とを有する請求項1または2記載の舵角比可変装置。
  4. 前記内接式遊星歯車機構と前記等速度内歯車機構と前記転がり軸受とが、軸の径方向で重なる位置に配置されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の舵角比可変装置。
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