JP2018092882A - 信号伝送ケーブルの製造方法及び信号伝送ケーブル - Google Patents
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Abstract
Description
前記導体の周囲に絶縁体層を形成する絶縁体層形成工程と、
前記絶縁体層の表面粗さRzJISが0.1μm以上となるように粗化する表面粗化工程と、
前記表面粗化工程後に、粗化された前記絶縁体層の表面を改質する表面改質工程と、
表面が粗化及び改質された絶縁体層の周囲にめっき膜からなるシールド層を形成するシールド層形成工程と、
を有する信号伝送ケーブルの製造方法。
前記表面粗化工程は、ウエットブラスト法で行われる、
上記[1]に記載の信号伝送ケーブルの製造方法。
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示されるように、本実施形態に係る高速信号伝送用ケーブル1は、一対の信号線導体11a,11bを備えている。
各信号線導体11a,11bは、例えば、純銅線、銅合金線、これらにめっきを形成しためっき線、あるいは、純アルミ、アルミ合金線を用いることができ、また、複数本の導線を撚ってなる撚線を用いてもよい。
コロナ放電法により絶縁体層12の表面処理を行い、接触角、処理液の濡れ性を評価した結果を表1に示す。コロナ放電の電圧は12.5kVとし、ケーブルと処理プローブの相対速度を10mm/secとして処理した。ここでは、絶縁体層12の材料として高密度ポリエチレンとFEPを用いた。
接触角は、絶縁体層12の表面にめっき処理液を1滴垂らした際の、絶縁体層12の表面と液体表面とのなす角度で表され、接触角が小さい方が液はじきが小さい(濡れ易い)ことを意味する。
濡れ性は、絶縁体層12をめっき処理液中に浸漬してから取出し、めっき処理液で濡れずに絶縁体層12の表面が一部でも露出した場合を×とし、表面全体がめっき処理液で覆われる場合を○とした。
なお、絶縁体の表面処理方法や処理条件は上記例に限定されるものではなく、ガスを併用したプラズマ法、紫外線照射法、電線照射法、イオン照射法、あるいはオゾン含有水浸漬法などがある。
絶縁体層12の表面をウエットブラスト法で粗化したときの結果を表2に示す。ここでは、絶縁体層12の材料として高密度ポリエチレンとFEPを用いた。ウエットブラスト法はショットを含むスラリーを高圧エアによって吹き付けて粗化する方法である。ショットの平均粒径は5μmのものを用いた。
なお、絶縁体の粗化方法、粗化条件は上記例に限定されるものではなく、クロム酸溶液エッチング法、サンドブラスト法、ドライアイスブラスト法などがある。
表3に本発明における高速信号伝送ケーブルのめっき法を用いたシールド層形成の一連の工程例を示す。ケーブル被覆樹脂の絶縁体上に対してめっき法等の薄膜形成技術を用いてシールド層を形成する場合、確実な密着性を達成するためにめっき下地である表面について改質処理を行うことが必要である。通常はめっき対象の表面は汚染されていることが多いため、散在異物を除去することが重要になる。本工程例では脱脂工程を設けており、表3に示すようにホウ酸ソーダやリン酸ソーダを用いて油脂を取り除いている。次に、表面導電化処理として、緻密な高品質のめっき層を実現させるため、めっき面に対して触媒活性層を形成させる。具体的には、表3に示すような塩化パラジウム等を用いて高触媒活性を示すパラジウム(Pd)核を表面に析出させる。
尚、表3に具体的な記載はないが、本工程例における各工程の間においては、純水で洗浄(超音波洗浄、揺動洗浄、流水洗浄等)を行っており、前工程の薬剤残留が原因の不良が発生しないように配慮した製造プロセスとなっている。
まずは、高密度ポリエチレンまたはFEPで形成された絶縁体層12で2芯を一纏めにしてなる2芯一括押出ケーブルを用意した。平均粒子径5μmのショットを含むスラリーを高圧エアによって吹き付けて粗化するウエットブラスト法により、2芯一括押出しケーブルの絶縁体層12の表面の粗化を行った。粗化工程後の絶縁体層12の表面に対して、放電電圧12.5kV及びケーブルとプローブの相対速度10mm/secの条件下で表面改質を行った。粗化工程及び表面改質工程実施後の絶縁体層12の表面のめっき処理液の濡れ性について評価を行った。濡れ性の評価結果は、めっき成膜時の処理液が表面全体に濡れて保持されたものを◎、欠落部分の面積が10%以下のものを○、10%超欠落したものを×とした。これらの実験結果のまとめを表4に示す。この結果から、表面粗さRzJISが0.1μm以上の時にめっき処理液を保持することができ、より好ましくは0.2μm以上であることが分かった。
ここで、RzJISで1.3μm(実験例9)、1.5μm(実験例10)の表面粗さを有する絶縁体層12上にCuめっき膜を形成した高速信号伝送用ケーブルと、図5に示す銅箔テープを巻き付けてなるシールド層15を備えた、従来の高速信号伝送用ケーブル(実験例11)とを用いて伝送特性を比較した。この比較結果を図4に示す。
また、絶縁体層12の表面粗さの下限値は、粗化によるめっき膜の密着性向上効果が得られるように、0.1μmとすればよい。
11 芯線
12 絶縁体層
13 めっきシールド層
14 小穴
15 シールド層
Claims (3)
- 導体と、該導体の周囲に形成された絶縁体層と、該絶縁体層の周囲に形成されたシールド層とを有する信号伝送ケーブルの製造方法において、
前記導体の周囲に絶縁体層を形成する絶縁体層形成工程と、
前記絶縁体層の表面粗さRzJISが0.1μm以上となるように粗化する表面粗化工程と、
前記表面粗化工程後に、粗化された前記絶縁体層の表面を改質する表面改質工程と、
表面が粗化及び改質された絶縁体層の周囲にめっき膜からなるシールド層を形成するシールド層形成工程と、
を有する信号伝送ケーブルの製造方法。 - 前記表面改質工程は、コロナ放電法によって行われ、
前記表面粗化工程は、ウエットブラスト法で行われる、
請求項1に記載の信号伝送ケーブルの製造方法。 - 導体と、該導体の周囲に形成された絶縁体層と、該絶縁体層の周囲に形成されたシールド層とを有する信号伝送ケーブルにおいて、
前記絶縁体層は、粗化された表面を有すると共に、当該粗化面すべてが改質されている
ことを特徴とする信号伝送ケーブル。
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