JP2018091833A - ノイズ低減装置およびそれを有する検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 少ない光量損失で広い周波数帯域のノイズを低減するノイズ低減装置を提供すること。【解決手段】 ノイズ低減装置は、第1のパルス光21と第2のパルス光22とを出力する第1の遅延合波手段と、第1のパルス光21を2つに分波して第3のパルス光23と第4のパルス光24とを出力し第2のパルス光22を2つに分波して第5のパルス光25と第6のパルス光26とを出力する第2の遅延合波手段と、を有し、第1のパルス光21と第2のパルス光22の光強度の比が1:1であり、第3のパルス光23と第4のパルス光24の間の光強度の比が1:3であり、第5のパルス光25と第6のパルス光26の間の光強度の比が3:1である。【選択図】 図1

Description

本発明は、ノイズ低減装置に関し、特に、誘導ラマン散乱顕微鏡等の検出装置などに用いられるノイズ低減装置に関する。
近年、自発ラマン散乱検出装置よりも検出時間を短縮可能な装置として、非線形光学過程を利用したラマン散乱検出装置が提案されている。特許文献1には、非線形ラマン散乱検出装置として、誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering:SRS)顕微鏡が記載されている。このSRS顕微鏡によれば、互いに光周波数(波長)が異なる2色のパルス光を試料に照射し、生じたパルス光の強度変化をロックイン検出してSRS信号を取得することで、試料に含まれる分子の同定や区別を行うことができる。
また、特許文献1に記載のSRS顕微鏡においては、2色のパルス光のうち一方の光路を2つに分割させて、一方に時間遅延を与えてから合波することにより、パルス光の強度ノイズを低減している。
特許文献2のノイズ低減装置は、2分割でなく複数に分割したパルス光に特定の遅延と強度比を与えることで、遅延時間に応じた特定の周波数を中心により広い周波数帯域でノイズ低減している。
特許第5623652 WO/2016/079845
SRS信号を高速に計測する場合、ロックイン検出により取得する信号の周波数帯域は広くなる。しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ノイズを低減できる周波数帯域が限られており、広帯域に渡って十分にノイズを低減することが困難である。特許文献2は、その課題を解決すべく複数に遅延させたパルス光を合波させるが、複数に分割させたパルス光を顕微鏡で利用できるように同軸に合波する(又はシングルモードファイバに導光する)際には一般に光量の損失が生じるという課題がある。光量の損失は信号の低下となり、検出する信号のSN比を低下させる(特許文献2では信号の低下以上のノイズ低減によりSN比を向上させている)。例えば、誘導ラマン散乱(及びその信号)は試料に入射する2つのパルス光の強度の積に比例して発生する。
本発明の例示的な目的は、少ない光量損失で広い周波数帯域のノイズを低減するノイズ低減装置を提供することである。
上記目的を達成するための、本発明の一側面としてのノイズ低減装置は、第1の周期のパルス光のノイズを低減するノイズ低減装置であって、前記第1の周期のパルス光を2つに分波してその分波した2つのパルス光の間に第1の遅延時間を付与して合波することで、第1の方向に偏光した第1のパルス光と、前記第1の方向に直交する方向に偏光し且つ前記第1のパルス光に対して前記第1の遅延時間だけ遅延した第2のパルス光と、を出力する第1の遅延合波手段と、前記第1のパルス光を2つに分波してその分波した2つのパルス光の間に第2の遅延時間を付与して合波することで、第2の方向に偏光した第3のパルス光と、前記第2の方向に直交する方向に偏光し且つ前記第3のパルス光に対して前記第2の遅延時間だけ遅延した第4のパルス光と、を出力し、前記第2のパルス光を2つに分波してその分波した2つのパルス光の間に前記第2の遅延時間を付与して合波することで、前記第2の方向に偏光した第5のパルス光と、前記第2の方向に直交する方向に偏光し且つ前記第5のパルス光に対して前記第2の遅延時間だけ遅延した第6のパルス光と、を出力する、第2の遅延合波手段と、を有し、前記第1のパルス光と前記第2のパルス光の光強度の比が1:1であり、前記第3のパルス光と前記第4のパルス光の光強度の比が1:3であり、前記第5のパルス光と前記第6のパルス光の光強度の比が3:1であり、前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間の比が1:2又は2:1であることを特徴とする。本発明のその他の側面については、以下で説明する実施の形態で明らかにする。
本発明によれば、少ない光量損失で広い周波数帯域のノイズを低減するノイズ低減装置を提供することが可能である。
ノイズ低減装置の構成例(第1の実施形態)を説明する模式図である。 パルス光の偏光方向を示す図である。 (a)入射パルス光の時間プロファイルである。(b)パルス光21及び22の時間プロファイルである。(c)パルス光23、24、25及び26の時間プロファイルである。 ノイズ低減率を示す図である(特許文献2の図3)。 ノイズ低減装置の構成例(第2の実施形態)を説明する模式図である。 実施例1のSRS顕微鏡の概念図である。 実施例1のSRS顕微鏡の光パルス列の時間プロファイルを示す図である。 実施例2のSRS顕微鏡の概念図である。 実施例2のSRS顕微鏡の光パルス列の時間プロファイルを示す図である。 実施例3のSRS顕微鏡の概念図である。 実施例3のSRS顕微鏡の光パルス列の時間プロファイルを示す図である。
(第1の実施形態)
本実施形態のノイズ低減装置100を添付の図面に基づいて説明する。図1は、ノイズ低減装置100の構成を示す模式図である。ノイズ低減装置100は、偏光ビームスプリッタを利用した2つの遅延合波光路により、パルスレーザなどの光源が発するパルス光に含まれる特定の周波数近傍のノイズを低減する。本実施形態では、入射パルス光を少ない光量損失(光学素子による反射率や透過率による損失以外には無損失)で、等時間間隔で光強度の比が1:3:3:1のパルス列を生成する。
入射パルス光20は、偏光ビームスプリッタ1により光強度(パルスエネルギー)の等しいパルス光21(第1のパルス光)とパルス光22(第2のパルス光)に分割(分波)される。偏光ビームスプリッタは直交する2方向の直線偏光(P偏光、S偏光)に入射光を分割するため、入射パルス光20が偏光している場合は、偏光方向が45度となるように不図示の偏光調整部により偏光方向を回転させる。例えば、半波長板を用いて図1の紙面方向と紙面に垂直の方向で電場の振幅(又は光強度)が等しくなるよう調整する。また、入射パルス光20を発生させる光源(例えばパルスレーザ)を調整してもよいし、偏光ビームスプリッタを含む遅延合波光路を光軸周りに回転させてもよい。
パルス光21とパルス光22は異なる光路を経由し、偏光ビームスプリッタ2により同軸に合波される。偏光ビームスプリッタ1及び2の間の光路長は、ミラー3及び4を利用して、パルス光21に比べパルス光22の方がΔL大きくしてある。結果、合波後にパルス光22はパルス光21に対してτ(=ΔL/c、cは光速)だけ遅れる。
合波したパルス光は、偏光方向を60度回すために偏光調整部5を透過させる。パルス光の偏光方向を60度回転させるのは、図2に示すよう偏光ビームスプリッタ6により分割する光強度の比を1:3(電場の絶対値の比で1:√3)にするためである。図2において、縦軸は、偏光ビームスプリッタの偏光分離面に平行かつ光軸に直交する方向(S偏光方向)であり、横軸は、S偏光方向及び光軸に直交する方向(P偏光方向)である。偏光ビームスプリッタ2をP偏光として透過したパルス光21は、光強度の比が1:3であるパルス光23(第3のパルス光)とパルス光24(第4のパルス光)に分割される。
パルス光23とパルス光24は異なる光路を経由し、偏光ビームスプリッタ7により同軸に合波される。偏光ビームスプリッタ6及び7の間の光路長は、ミラー8及び9を利用して、パルス光23に比べパルス光24の方が2ΔL大きくしてある。結果、合波後にパルス光24はパルス光23に対して2τ(=2ΔL/c、cは光速)だけ遅れる。つまり、偏光ビームスプリッタ1及び2を含む第1の遅延合波光路により付与する遅延時間(第1の遅延時間)と、偏光ビームスプリッタ6及び7を含む第2の遅延合波光路により付与する遅延時間(第2の遅延時間)の比は1:2となるよう配置する。
次に、パルス光21に対してτだけ遅れて到達するパルス光22について考察する。パルス光22は、パルス光21と同様に偏光調整部5により偏光方向が60度回転する。図2からも分かるよう、偏光方向を回転させた後もパルス光21に対してパルス光22は直交している。よって、偏光ビームスプリッタ2をS偏光として反射したパルス光22は、偏光ビームスプリッタ6により、光強度比が3:1であるパルス光25(第5のパルス光)とパルス光26(第6のパルス光)に分割される。
パルス光25とパルス光26は異なる光路を経由し、偏光ビームスプリッタ7により同軸に合波される。パルス光25はパルス光23と同じ光路を通過し、パルス光26はパルス光24と同じ光路を通過する。パルス光21を分割した際は、光強度の小さいパルス光23は短い光路を通過したが、パルス光22の分割では、光強度の小さいパルス光26は長い光路を通過する。さらに、第1及び第2の遅延合波光路の遅延時間の比を1:2としたことから、等時間間隔で光強度の比が1:3:3:1のパルス光が偏光ビームスプリッタ7から射出される。
この様子を図3のパルス光の時間プロファイルで説明する。(a)が示す入射パルス光が第1の遅延合波光路によって(b)で示すよう時間間隔τの2つのパルス光に分割される。さらに、第2の遅延合波光路によって、時間間隔τで光強度の比が1:3:3:1のパルス光に分割される。
図3(a)のパルス光は、実際はパルスレーザの共振器長などで決定される周波数で繰返し入射するため、入射するパルス1つ1つが図3(c)のように4つに分割される。
ここで、光強度の比1:3:3:1によるノイズ低減について、説明する。ノイズ低減装置から出力されるパルス光に含まれるノイズは、周波数fの関数として式(1)のように表現できる(入射光の周波数fにおける単位周波数あたりのノイズパワーを1、各パルス光はそれぞれ時間的に重ならない、つまり干渉しないとする)。
|1/8+3e(i2πfτ)/8+3e(i4πfτ)/8+e(i6πfτ)/8|
={(1+cos2πfτ)/2}3/2 式(1)
強度が1/8、3/8、3/8、1/8の4つのパルス光それぞれに対して周波数fと遅延時間τに応じた位相成分を導入し、各項の足し合わせの絶対値を取ることで、ノイズ低減装置のノイズ低減率を表現している。mを整数として、f=(2m−1)/(2τ)の周波数においてノイズが完全にキャンセルされ、その近傍の周波数では式(1)に従ってノイズが低減される。周波数fr近傍の広範囲のノイズ低減を実現したい場合はm=1として、τ=1/(2・fr)となるよう、ノイズ低減装置を設定すればよい。
図4は、特許文献2の図3を引用したもので、パワー比を考慮した2,3,4,5分岐の場合のノイズ透過率スペクトルの比較であり、図中の4分岐のプロットがτ=12.5ナノ秒のときの式(1)の結果を示している。ノイズが完全にキャンセルされる40MHzを中心に、40MHzの周波数範囲で6割以上のノイズが低減できることを示している。光強度の比は厳密に、1:3:3:1である必要はない。たとえば、ひとつのパルス光が分割前の光強度の10%増加し1:3.8:3:1となった場合、増加分のノイズはキャンセルされず図3で示したノイズ透過率における最小値はゼロでなく0.1となる。したがって、光強度の比が1:3:3:1からずれてもノイズ低減の効果はある。
偏光ビームスプリッタやハーフミラーを利用して、別光路を通過した3つ以上の光を同軸に合波する際、一般に光量の損失を伴う(つまり、偏光ビームスプリッタやハーフミラーによって出力したい方向以外の方向に出力する光が生じる)。
特許文献2では、偏光により2分割した光路において、さらに偏光で光路を分割することで、遅延時間と光強度を調整したパルス光を生成している。3分割の例では、まず、入射パルス光をパルス光Aとパルス光Bに分割する。パルス光Bは、パルス光Cとパルス光Dに分割し、異なる光路長を介して偏光ビームスプリッタにより合波する。合波したパルス光Cとパルス光Dの偏光方向は直交している。このパルス光C及びパルス光Dを、パルス光Aと合波することでノイズ低減を実現するが、その際にパルス光C及びパルス光Dは、偏光ビームスプリッタにより1方向の偏光として出力される。つまり、直交する2方向の2つのパルス光から1方向の2つのパルス光を生成することとなる。結果として、パルス光C及びパルス光Dは、入射する光量の半分のみをパルス光Aと合波して出力することとなる。この光量の損失は、パルスレーザなどの光源の出力パワーに制約がある場合や、光量をできるだけ上げて信号のSN比を向上させたい場合などに望ましくない。
本実施形態は、広い周波数帯域におけるノイズ低減を実現するだけでなく、2分割の遅延合波手段を直列に配置することで合波時の光量損失がない(ただし、偏光ビームスプリッタの透過率・反射率による損失は除く)。
本実施形態における偏光調整部5には、例えば半波長板が利用できる。半波長板の角度は、進相軸又は遅相軸に対するパルス光21の偏光方向の角度が30度となるよう設定する。また、半波長板の角度は、パルス光22とパルス光24を遮光することで評価したパルス光23の光強度とパルス光22とパルス光23を遮光することで評価したパルス光24の光強度の比が1:3となるよう調整してもよい。また、ノイズ低減装置100の出力光をスペクトルアナライザなどで評価し、ノイズが最も低減されるよう半波長板の角度を調整してもよい。偏光調整部5は、偏光方向を回転させることができればよく、半波長板以外にもフレネルロム波長板などを利用することもできる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、偏光ビームスプリッタ1及び6は、光強度の比が1:1で2方向に光を分割するハーフミラーに置き換えることが可能である。この場合、分割した光は同じ偏光方向を有するため、偏光ビームスプリッタで光量損失なく合波するには分割した一方の光路に偏光方向を90°回すための素子(例えば半波長板)をさらに導入すればよい。
また、第1の遅延時間をτ、第2の遅延時間を2τとして説明したが、第1の遅延時間を2τ、第2の遅延時間をτとしても同様のノイズ低減装置を構成することができる。この場合も、等時間間隔で光強度の比が1:3:3:1のパルス光が生成される(偏光方向の並び順が変わるのみ)ため、ノイズ低減の性能は変わらない。
(第2の実施形態)
本実施形態のノイズ低減装置200を添付の図面に基づいて説明する。図5は、ノイズ低減装置200の構成を説明する模式図である。第1の実施形態同様、2つの遅延合波光路を用いて、少ない光量損失(光学素子による反射率や透過率による損失以外には無損失)で、等時間間隔で光強度比が1:3:3:1のパルス列を生成する。
遅延合波光路を構成するため、ファイバタイプの偏光ビームスプリッタ11、12、16、17を利用し、2つの遅延合波光路により、パルスレーザなどの光源が発するパルス光に含まれる特定の周波数近傍のノイズを低減する。
入射パルス光20は、ファイバタイプの偏光ビームスプリッタ11により光強度(パルスエネルギー)の等しいパルス光21(第1のパルス光)とパルス光22(第2のパルス光)に分割し、それぞれ偏波保持ファイバ13及び14に導光する。等しい光強度に分割するためには、入射パルス光20の偏光方向は、偏波保持ファイバのFast軸とSlow軸それぞれで等しい光強度を持つように設定する。偏光方向は偏光コントローラを用いて調整してもよいし、コリメータで偏波保持ファイバに導光する前の偏光を半波長板などで調整してもよい。
パルス光21とパルス光22は異なる偏波保持ファイバを経由し、ファイバタイプの偏光ビームスプリッタ12により1つの偏波保持ファイバ中に導光される。偏波保持ファイバ13に比べて、偏波保持ファイバ14は長さがΔL大きくしてある。結果、合波後にパルス光22はパルス光21に対してτ(=n・ΔL/c、cは光速、nは光ファイバの群屈折率)だけ遅れる。
合波したパルス光は、偏光方向を60度回すために偏光調整部15を透過させる。パルス光の偏光方向を60度回転させるのは、ファイバタイプの偏光ビームスプリッタ16により分割する光強度の比を1:3(電場の絶対値の比で1:√3)にするためである。
光強度の比1:3で分割されたパルス光23(第3のパルス光)及び24(第4のパルス光)は、それぞれ偏波保持ファイバ18及び19を経由し、ファイバタイプの偏光ビームスプリッタ17により1つの偏波保持ファイバに導光し、出力される。
偏波保持ファイバ18に比べて、偏波保持ファイバ19は長さが2ΔL大きくしてある。結果、合波後にパルス光24はパルス光23に対して2τ(=2nΔL/c、cは光速、nは光ファイバの群屈折率)だけ遅れる。つまり、第1の遅延合波光路による遅延時間(第1の遅延時間)と、第2の遅延合波光路による遅延時間(第2の遅延時間)の比は1:2となるよう配置する。第1の遅延合波光路は、ファイバタイプの偏光ビームスプリッタ11及び12で構成され、第2の遅延合波光路は、ファイバタイプの偏光ビームスプリッタ16及び17で構成される。
次に、パルス光21に対してτ遅れて到達するパルス光22についても、第1の実施形態同様に、光強度比が3:1であるパルス光25(第5のパルス光)とパルス光26(第6のパルス光)に分割される。最終的に、等時間間隔で光強度の比が1:3:3:1のパルス光がファイバタイプの偏光ビームスプリッタ17から出力される。
パルス光の時間プロファイルやノイズ低減の効果に関しては、図3及び図4を用いて第1の実施形態において説明した内容と同様である。
本実施形態における偏光調整部5には、例えばバルク型やパドル型の偏波コントローラが利用できる。また、ファイバタイプの偏光ビームスプリッタ12の出力光ファイバと、ファイバタイプの偏光ビームスプリッタ16の入力光ファイバを融着する際に、お互いのFast軸(又はSlow軸)を60度ずらして融着して融着箇所を偏光調整部5としてもよい。その融着箇所で、ファイバ中を伝搬する光の偏光方向を変化させることができる。ファイバの融着角度は、融着前にファイバを近接させた状態で通過したパルス光23及び24の光強度の比が1:3(又はパルス光25及び26の光強度の比が3:1)となるよう微調整することもできる。また、ノイズ低減装置200の出力光をスペクトルアナライザなどで評価し、ノイズが最も低減されるよう融着角度を微調整してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、ファイバタイプの偏光ビームスプリッタ11及び16は、入力光を光強度の比1:1で分割しそれぞれを2つの偏波保持ファイバに導光する分岐カプラに置き換えることが可能である。この場合、分割した光は同じ偏光方向を有するので、光量損失なく合波するには分割した一方のファイバ中に偏光方向を90°回すための素子をさらに導入すればよい。例えば、偏波コントローラをさらに導入するか、ファイバ中にFast軸とSlow軸を合わせて融着させた融着部を持たせればよい。
また、第1の遅延時間をτ、第2の遅延時間を2τとして説明したが、第1の遅延時間を2τ、第2の遅延時間をτとしても同様のノイズ低減装置を構成することができる。この場合も、等時間間隔で光強度の比が1:3:3:1のパルス光が生成される(偏光方向の並び順が変わるのみ)ため、ノイズ低減の性能は変わらない。
本発明を適用した検出装置に関して、図6を用いて説明をする。例として、SRS(stimulated Raman scattering:誘導ラマン散乱)顕微鏡を示す。SRS顕微鏡は、異なる波長の2つの光を同時に試料に照射することで発生するSRSを検出するものである。SRSは、非線形光学現象の1つであり、それぞれの波長の光の強度の積に比例して発生する。そのため、効率よくSRSを発生させるために、2つの波長のレーザの光ビームを試料上の同一地点に同時に照射させる。SRSが発生すると、2つの波長のパルス光のうち、波長が短い方のパルス光の強度が弱まり、波長が長い方のパルス光の強度が強まる。また、SRSを効率よく発生させ、かつ十分なラマンスペクトルの分解能を持たせるには、パルス時間幅が1〜10ピコ秒の短パルスレーザを利用するのが望ましい。SRSを感度良く検出するには、2つのパルス光の周期を1:2で同期させ、一方のパルス光においてパルスごとにSRS信号が含まれるような状態を作る。2つのパルス光のパルス周期の大きい方に対応した周波数(レーザの繰返し周波数)をロックイン周波数とするロックインアンプにより、このSRS信号を取得することができる。本実施例のノイズ低減装置は、このロックイン周波数近傍の広い周波数領域でノイズを低減することで、SRS信号の取得を高感度化する。
パルスレーザ501(第1の生成手段)およびパルスレーザ502(第2の生成手段)として、パルス周期が1:2の光パルス列を利用する。パルスレーザ501として中心波長800ナノメートル、パルス周期(第1の周期)12.5ナノ秒の固体レーザ(チタンサファイアレーザ)を利用する。例えば、Spectra−Physics社のMai Taiを利用する。パルスレーザ502としては、中心波長1030ナノメートル、パルス周期25ナノ秒のイッテルビウムドープファイバレーザを利用する。
SRS信号は25ナノ秒周期で生じるため、ロックイン周波数40MHzの近傍で最も広い周波数範囲でノイズを低減するには、ノイズ低減装置で分割するパルス光の時間間隔は12.5ナノ秒とすればよい。この時間間隔を作るには、ノイズ低減装置200の第1の遅延合波手段におけるファイバの長さの差は、2.5メートルとすればよい(光速を3×10メートル毎秒、光ファイバの群屈折率を1.5とした)。また、第2の遅延合波手段におけるファイバの長さの差は5メートルとすればよい。
ロックイン周波数におけるノイズをキャンセルするには、パルス光の時間間隔は、(12.5+25・m)ナノ秒としてもよい(mは0以上の整数)。しかし、mが大きいほどノイズ低減できる周波数範囲が狭くなる上に、ノイズ低減装置の光ファイバの長さを長くせねばならないため、メリットはない。
図7(a)はパルスレーザ501が生成する光パルス列31を表す。個々のパルスには数ピコ秒の広がりを持つが、図では光強度に比例した長さの線として表現している。光パルス列31は、ノイズ低減装置200に入射することで、図7(b)で示すような時間プロファイルを持つ光パルス列33が生成される。連接するパルス光と時間的に重なって干渉を起こすことのないよう、ノイズ低減装置200における遅延時間は、12.5ナノ秒からわずかにずらしている。12.5ナノ秒からのずれ量は、パルス幅以上であればよく、10〜数10ピコ秒ずらせばよい(図7では誇張している)。この程度のずれであれば、ノイズ低減率への影響はわずかである。
図7(c)はパルスレーザ502が生成する光パルス列32を表す。光パルス列33の波長(λ1)は、光パルス列32の波長(λ2)より小さいとする。光パルス列33と光パルス列32のパルスが、図7(b)および図7(c)で示されるようにタイミングが一致し、かつ試料上の同一地点に集光されると、SRSによって試料を透過したパルス光の強度が変化する。波長の小さい光パルス列33はSRSが発生したときに光強度が小さくなる。図7(d)は、SRSによって変化した光パルス列33の光強度を示している。SRSにより光強度が減少したためマイナス値を示している。変化量は誇張して図示したものであり、実際はもとのパルスの光強度の10−4程度と微小な量であるためロックイン検出を行う。
ロックイン検出した光強度の変化量はSRS信号に対応し、光ビームを集光させた地点に含まれる分子の情報が反映される。例えば、前記地点に含まれる分子振動の共振周波数と2つのレーザの光周波数の差(c/λ1−c/λ2)が一致したとき、SRS信号が大きくなる。cは光速である。波長選択フィルタ503によりλ2を変更することで(c/λ1−c/λ2)を変化させながら、SRS信号を取得することができる。つまり、ラマンスペクトルを取得できる。ラマンスペクトルから試料にどのような分子が含まれるか推定できる。SRS顕微鏡は自発ラマンを利用した顕微鏡と同等のスペクトルを取得することができる。SRSの散乱効率は自発ラマン散乱の散乱効率より非常に大きいため、SRS顕微鏡は自発ラマン散乱を利用した顕微鏡より短い時間でラマンスペクトルを取得することができる。
波長選択フィルタは、回折格子などの分光素子を利用して、パルスレーザ502が生成した光の波長の範囲(1030ナノメートルを中心に40ナノメートル程度)から、0.3ナノメートル程度の幅で任意の波長領域を選択して切り出す。波長選択フィルタが出力するパルス光は、時間幅が0.3ナノメートル幅に相当した時間幅に変化するが、時間プロファイル(繰返し周波数)は波長選択フィルタを通過した後も維持される。
波長選択フィルタ503を通過した光パルス列33は、ミラー504で進行方向を変化させた後、ダイクロイックミラー505で、光パルス列32と同軸に合波される。光パルス列32は合波するために、コリメータレンズ506により平行光として射出される。
SRS顕微鏡はレーザ走査顕微鏡の構成をしている。光パルス列32及び33は同軸でビームスキャナ507に入射し、ビームスキャナ507により偏向して出射する。ビームスキャナ507はガルバノスキャナとレゾナントスキャナで構成され、直交する2方向に光軸の向きを変える。図の簡略化のため、ビームスキャナ507内の2つのミラーは図6において1つのミラーで代表して表示している。レゾナントスキャナ(スキャン周波数8kHz)とガルバノスキャナ(スキャン周波数15Hz)を利用すれば、500ラインの画像を毎秒30フレーム取得することができる。
ビームスキャナ507で偏向された光ビームは、不図示のリレーレンズを通して対物レンズ508に入射する。対物レンズ508により、試料509上の同一地点に光パルス列32及び33を照射させる。対物レンズ508は、SRS信号を検出する空間分解能と信号対雑音比の観点から、開口数(NA)の大きい対物レンズが望ましい。
試料509は、図示していない数10〜200マイクロメートルの厚みのカバーガラスにより挟まれている。ビームスキャナ507による光ビームの偏向により、試料509に集光した光スポットは2次元走査され、SRS信号が2次元画像化される。SRS信号は、集光した光スポットでのみ生じるため、図示していないステージにより試料105を光軸方向に移動させることで3次元画像を得ることもできる。
コンデンサレンズ510は、試料509を透過しSRSによって強度変調をうけた光をもれなく受け取るべく、対物レンズ508のNAと同等以上のNAの対物レンズまたはコンデンサレンズとする。コンデンサレンズ510を出射した光ビームはフィルタ511と不図示のリレーレンズを透過した後、フォトダイオード(検出器)512の受光面に照射される。フィルタ511は、誘電体多層膜で構成され、波長λ2の光を遮断させ、波長λ1の光を透過させる。フォトダイオード512には、SRSによる強度変調された光パルス列32が照射される。フォトダイオード512は、800ナノメータの光に感度をもつシリコンフォトダイオードで遮断周波数が40MHz以上であるものを利用する。
光パルス列32の繰り返し周波数80MHz(パルス周期12.5ナノ秒)に対して、SRSによる強度変調は40MHz(周期25ナノ秒)である。電流電圧変換回路513は、フォトダイオード512で発生した電流信号に含まれる大きな80MHz成分を減衰させつつ微弱な40MHz成分を増幅して、電圧として出力するためのフィルタ回路および増幅回路である。
同期検波回路(例えば、ロックインアンプ)514は、ミキサを利用した電子回路である。同期検波回路514は、電流電圧変換回路513が出力する電圧信号に含まれるパルスレーザ502の繰返し周波数40MHzに同期した成分を抽出し、電圧として出力する。同期検波回路514の出力電圧は、試料509における集光点でSRSがどの程度起きたかを示す。
計算機515は、ビームスキャナ507の制御信号を利用し、同期検波回路514の出力信号(SRS信号)を2次元画像化し、表示する。計算機515は、図示しないステージで試料509を光軸方向に移動させて取得したSRS信号を、3次元画像表示することもできる。また、計算機515は、2つのパルスレーザの少なくとも一方の波長を変化させて取得したSRS信号からラマンスペクトルを表示することもできる。
ノイズ低減装置200により、光パルス列32に含まれる40MHz近傍のノイズは広い周波数帯域で低減されているため、毎秒10メガサンプリング以上の信号取得を行っても高感度を維持できる。つまり、原理的に発生するショットノイズでリミットされる性能を有することができる。また、ノイズ低減装置200は光量の損失が少ないため、従来よりも大きな光強度で試料509を照射することできる。結果、SRS信号が向上し検出装置を高感度化することができる。
本発明を適用した検出装置に関して、図8を用いて説明をする。実施例1と同様に、SRS顕微鏡を例とする。実施例1と重複する部分の説明は省く。
実施例1では2つのパルスレーザが生成するパルス光は、不図示のパルス同期装置によりパルス周期が1:2と同期されている。本実施例では、1台のパルスレーザでSRS顕微鏡を構成する。つまり、パルス同期装置を利用しない構成例を示す。
パルスレーザ501が生成する光パルス列をハーフミラー521で2分割し、一方は実施例1と同様に光パルス列31としてノイズ低減装置200に入力させる。もう一方は、波長変換手段522(第2の生成手段)で波長を変化させる。波長変更手段として、例えばoptical parametric oscillator(OPO)が利用できる。OPOにより波長を変化させることで、実施例1と同様にラマンスペクトルが取得可能である。
図9(a)は、光パルス列31の時間プロファイルであり、図9(c)はOPOにより波長を変化させた光パルス列34である。光パルス列31及び34は、ともに繰返し周波数は80MHzであるため、SRSも80MHzで発生する。実施例1と同様に、ロックイン検出によりSRS信号を検出しようにも、光パルス列の強度そのものを評価してしまい、感度良くSRSを検出することができない。
そこで、この光パルス列の強度の80MHz成分を、本実施例のノイズ低減装置により減少させることで、SRS信号をロックイン検出することができる。
80MHzのノイズを低減させるには、ノイズ低減装置200で分割するパルス光の時間間隔を6.25ナノ秒とすればよい。この時間間隔を作るには、ノイズ低減装置200の第1の遅延合波手段におけるファイバの長さの差は、1.25メートルとすればよい(光速を3×10メートル毎秒、光ファイバの群屈折率を1.5とした)。また、第2の遅延合波手段におけるファイバの長さの差は2.5メートルとすればよい。
この操作は、光パルス列の繰返し周波数80MHzを倍化(160MHz化)することに対応するが、単純に2分割して倍化させるよりも、強度のばらつきを抑えることができる。この効果は、図4で示すノイズ低減率と同様であり、2分岐よりも4分岐の方がより強度のばらつきを抑えることができる。
ノイズ低減装置200で分割するパルス光の時間間隔は、(6.25+12.5・m)ナノ秒としてもよい(mは0以上の整数)。しかし、mが大きいほどノイズ低減できる周波数範囲が狭くなる上に、ノイズ低減装置の光ファイバの長さを長くせねばならないため、メリットはない。
図9(b)は、ノイズ低減装置200で生成した光パルス列35を示す。図9(d)は、SRSにより変化した光パルス列35の光強度である。SRSによる光強度の変化は、パルスレーザ501が生成するパルス光の繰返し周波数80MHzをロックイン周波数とするロックインアンプで検出することができる。検出方法は、ロックイン周波数を除いて実施例1と同様である。
本発明を適用した検出装置に関して、図10を用いて説明をする。実施例1及び2と同様に、SRS顕微鏡を例とする。実施例1と重複する部分の説明は省く。
実施例1では、パルスレーザ502が生成する繰返し周波数をロックイン周波数として、SRS信号をロックイン検出している。実施例1では、パルスレーザ501が生成する繰返し周波数をロックイン周波数として、SRS信号をロックイン検出している。
本実施例では、外部変調器を用いて任意の周波数でパルス光を変調させることで、SRSの発生を変調させ、SRS信号をロックイン検出する例を示す。
実施例2と同様にパルスレーザは1台であり、ハーフミラー521で2分割した一方は波長変換手段522(第3の生成手段)を通して波長を変化させる。波長変換手段522が出力する光パルス列34は、変調手段523により光パルス列34に含まれるパルス光の光路長か光強度か偏光方向のいずれかを変調させる。試料における2つのパルス光のタイミングがずれるとSRS信号は低下するため、パルス光の光路長を変調させるとSRS信号は同調して変化する。SRSは2つのパルス光の強度の積に比例して発生するため、一方のパルス光の光強度を変調させるとSRS信号は同調して変化する。SRS信号は2つのパルス光の偏光を一致させた際に最も大きくなるため、偏光方向を変調させるとSRS信号は同調して変化する。
つまり、パルス光を変調させる周波数をロックイン周波数としたロックイン検出で、SRS信号を検出することができる。変調周波数は任意であるが、高周波数であるほどf分の1ノイズなどの光源ノイズの影響を受けにくく、またロックインアンプで取得できる信号帯域を広げることができる。変調手段523としては、ポッケルスセルなどの電気光学素子を利用して構成することができる。このロックイン検出によるSRS信号取得を高感度に行うために、本実施例のノイズ低減装置を適用することができる。
例として、変調手段523は、パルスレーザ501が生成するパルス光の繰返し周波数の4分の1の周波数で光強度を変調させる。変調手段523が出力するパルス光の時間プロファイルを図11(c)に示す。
図11(d)で示すようSRS信号は20MHzで変調して発生するため、検出するパルス光に含まれる20MHz近傍のノイズを、本実施例のノイズ低減装置により減少させることで、信号検出を高感度化できる。
20MHzのノイズを低減させるには、ノイズ低減装置200で分割するパルス光の時間間隔を25ナノ秒とすればよい。この時間間隔を作るには、ノイズ低減装置200の第1の遅延合波手段におけるファイバの長さの差は、5メートルとすればよい(光速を3×10メートル毎秒、光ファイバの群屈折率を1.5とした)。また、第2の遅延合波手段におけるファイバの長さの差は10メートルとすればよい。
図11(a)はノイズ低減装置200へ入力する光パルス列31の時間プロファイルであり、図11(b)はノイズ低減装置200が出力する光パルス列37の時間プロファイルである。SRSによる光強度の変化は、変調手段523によるパルス光の変調周波数20MHzをロックイン周波数とするロックインアンプで検出することができる。検出方法は、ロックイン周波数を除いて実施例1と同様である。
パルスレーザが生成するパルス光のパルス周期のN倍(Nは1以上の整数)でパルス光を変調させる場合、ノイズ低減装置で生成する分割パルスの時間間隔はパルス周期のN/2とすればロックイン周波数近傍のノイズを低減させることができる。つまり、2つの遅延時間をパルス周期のN/2倍及びパルス周期のN倍とすればよい。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、CARS(coherent anti−Stokes Raman scattering)、多光子励起(特に、2光子励起)蛍光などの非線形光学現象により発生した光の検出する光学顕微鏡にも使用できる。また、多光子吸収(特に、2光子吸収)などの非線形光学現象により変調した光の検出にも使用できる。
また、以上の実施形態では、偏光調整部(5、15)によって偏光方向を60度回していた。しかし、2つの遅延合波光路を光軸周りに相対的に回転させることにより、その偏光調整部を省略しても良い。
なお、「第1のパルス光と第2のパルス光の強度の比が1:1」「第3のパルス光と第4のパルス光の強度の比が1:3」及び「第5のパルス光と第6のパルス光の強度の比が3:1」の表現は、厳密にその強度比を満たさない場合も含んでいる。具体的には、第3〜第6のうち少なくとも一つのパルス光が分割前の光強度の10%増加又は10%減少している場合にも本発明の効果を得ることができるため、それらの表現は、この場合も含んでいる。
また、「第1の遅延時間と第2の遅延時間の比が1:2又は2:1」の表現も、厳密にその時間比を満たさない場合も含んでいる。具体的には、第1の遅延時間τと第2の遅延時間τの比が1:2のときに|τ−τ/2|<τ/6を満たす場合にも本発明の効果を得ることができる。また、第1の遅延時間τと第2の遅延時間τの比が2:1のときに|τ/2−τ|<τ/6を満たす場合にも本発明の効果を得ることができる。そのため、その表現は、これらの場合も含んでいる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
1、2、6、7 偏光ビームスプリッタ
3、4、8、9 ミラー
5 偏光調整部
20 入射パルス光
21 第1のパルス光
22 第2のパルス光
23 第3のパルス光
24 第4のパルス光
25 第5のパルス光
26 第6のパルス光

Claims (16)

  1. 第1の周期のパルス光のノイズを低減するノイズ低減装置であって、
    前記第1の周期のパルス光を2つに分波してその分波した2つのパルス光の間に第1の遅延時間を付与して合波することで、第1の方向に偏光した第1のパルス光と、前記第1の方向に直交する方向に偏光し且つ前記第1のパルス光に対して前記第1の遅延時間だけ遅延した第2のパルス光と、を出力する第1の遅延合波手段と、
    前記第1のパルス光を2つに分波してその分波した2つのパルス光の間に第2の遅延時間を付与して合波することで、第2の方向に偏光した第3のパルス光と、前記第2の方向に直交する方向に偏光し且つ前記第3のパルス光に対して前記第2の遅延時間だけ遅延した第4のパルス光と、を出力し、前記第2のパルス光を2つに分波してその分波した2つのパルス光の間に前記第2の遅延時間を付与して合波することで、前記第2の方向に偏光した第5のパルス光と、前記第2の方向に直交する方向に偏光し且つ前記第5のパルス光に対して前記第2の遅延時間だけ遅延した第6のパルス光と、を出力する、第2の遅延合波手段と、を有し、
    前記第1のパルス光と前記第2のパルス光の光強度の比が1:1であり、
    前記第3のパルス光と前記第4のパルス光の光強度の比が1:3であり、
    前記第5のパルス光と前記第6のパルス光の光強度の比が3:1であり、
    前記第1の遅延時間と前記第2の遅延時間の比が1:2又は2:1であることを特徴とするノイズ低減装置。
  2. 前記第1のパルス光の偏光方向と前記第2のパルス光の偏光方向を調整する偏光調整部を有することを特徴とする請求項1に記載のノイズ低減装置。
  3. 前記第1の遅延合波手段は、偏光ビームスプリッタを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のノイズ低減装置。
  4. 前記第2の遅延合波手段は、偏光ビームスプリッタを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のノイズ低減装置。
  5. 前記第1の遅延合波手段は、偏波保持ファイバの長さの差により前記第1の遅延時間を付与することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のノイズ低減装置。
  6. 前記第2の遅延合波手段は、偏波保持ファイバの長さの差により前記第2の遅延時間を付与することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のノイズ低減装置。
  7. 前記第1の遅延合波手段と前記第2の遅延合波手段との間に偏波保持ファイバを有し、
    前記偏波保持ファイバは、パルス光の偏光方向を変化させる融着箇所を有し、
    前記偏光調整部は、前記融着箇所であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のノイズ低減装置。
  8. 前記第1の遅延時間及び前記第2の遅延時間のうち小さい方の遅延時間が前記第1の周期のN/2倍(Nは1以上の整数)であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のノイズ低減装置。
  9. 前記第1の周期のパルス光の偏光方向を調整する偏光調整部を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のノイズ低減装置。
  10. 前記第1の周期でパルス光を生成する第1の生成手段と、
    請求項1乃至9のいずれか1項に記載のノイズ低減装置と、
    前記ノイズ低減装置を介した前記パルス光を試料に照射する照射手段と、
    前記試料からの光を検出する検出手段と、を有することを特徴とする検出装置。
  11. 第2の周期でパルス光を生成する第2の生成手段を有し、
    前記照射手段は、前記ノイズ低減装置を介した前記第1の生成手段が生成したパルス光及び前記第2の生成手段が生成したパルス光を前記試料に照射し、
    前記検出手段は、前記第2の周期で変調している光を検出することを特徴とする請求項10に記載の検出装置。
  12. 前記第2の周期は前記第1の周期のN倍(Nは1以上の整数)であることを特徴とする請求項11に記載の検出装置。
  13. 前記検出手段は、前記第2の周期に対応した周波数をロックイン周波数とするロックインアンプを有することを特徴とする請求項11又は12に記載の検出装置。
  14. 前記第1の周期でパルス光を生成する第3の生成手段と、
    前記第3の生成手段が生成したパルス光の光路長、光強度、及び偏光方向の少なくともいずれかを前記第1の周期のN倍で変調する変調手段と、を有し、
    前記照射手段は、前記ノイズ低減装置を介した前記第1の生成手段が生成したパルス光及び前記変調手段を介した前記第3の生成手段が生成したパルス光を前記試料に照射し、
    前記検出手段は、前記第1の周期のN倍で変調している光を検出することを特徴とする請求項10に記載の検出装置。
  15. 前記検出手段は、前記第1の周期のN倍に対応した周波数をロックイン周波数とするロックインアンプを有することを特徴とする請求項14に記載の検出装置。
  16. 前記変調している光は、前記試料における2光子励起により発生した光、前記試料における多光子励起により発生した光、前記試料における非線形ラマン散乱により発生した光、前記試料における2光子吸収により強度変調した前記第1の生成手段が生成したパルス光、前記試料における多光子吸収により強度変調した前記第1の生成手段が生成したパルス光、又は前記試料における誘導ラマン散乱により強度変調した前記第1の生成手段が生成したパルス光であることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載の検出装置。
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