JP2017083307A - 検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、信号対雑音比を大きくすることが可能な検出装置を提供することである。
【解決手段】 光源21と、光源21から射出された光を分岐する分岐部26と、分岐部26で分岐され、試料23に照射されない第1の光と、分岐部26で分岐され、第1の光と異なる第2の光を試料23に照射されて、試料23を介して伝搬する光を含む光のうち第2の光と同じ波長を有する第3の光と、を干渉させる干渉部28と、干渉部28で第1の光と第3の光とが弱め合う干渉が生じるように、第1の光及び第3の光のうち少なくとも一方の位相を調整する調整部27と、干渉部28で第1の光と第3の光とが弱め合う干渉によって生じた干渉光を検出して電気信号を出力する検出部24と、を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、検出装置に関する。
光を用いた検出技術が多くの分野で実用化されている。特に、パルス光を試料に照射し試料内で生じる非線形効果を用いるイメージング技術が、近年活発に研究されている。非線形効果を用いたイメージングによって、非染色で試料内部の物質を識別することや、光学的な回折限界を超えた高い分解能を有するイメージングを行うことなどが可能となっている。非線形効果は照射する光の強度や波長に大きく依存している。
非特許文献1には、非線形効果の一つである誘導ラマン散乱(Stimulated Raman scattering:以下SRSという)を用いた顕微分光装置について記載されている。この装置では、波長の異なる二つのパルス光を同期させて試料に照射し、試料で生じるラマン効果によってパルス間でエネルギーが遷移することを利用している。具体的には、試料が有するラマン振動と二つのパルス光の光周波数差が一致したときにエネルギーが遷移するため、二つのパルス光の光周波数差を制御し、エネルギー遷移量を観測することで、非染色で試料の成分を分析することができる。
従来、この光のエネルギー遷移量を観測するためには、試料でエネルギー遷移が起こった場合の光強度と、試料でエネルギー遷移が起こらない場合に観測される光強度との差異を観測している。そして、非線形効果は、光の強度が大きいほどより顕著に表れるため、より大きなエネルギーの光を試料に照射すれば、より顕著にエネルギー遷移量を観測することができる。
Keisuke Nose et.al.,「Sensitivity enhancement of fiber−laser−based stimulated Raman scattering microscopy by collinear balanced detection technique」 Optics Express,Vol.20,Issue 13,pp.13958−13965(2012)
しかし、従来の方法では、照射できる光強度が光検出器の飽和強度によって限定されるため、試料で生じる非線形効果によるエネルギー遷移が小さく、信号対雑音比(以下、SN比という)を大きくすることができなかった。
本発明の目的は、信号対雑音比を大きくすることが可能な検出装置を提供することである。
本発明は、光源と、前記光源から射出された光を分岐する分岐部と、前記分岐部で分岐され、試料に照射されない第1の光と、前記分岐部で分岐され、前記第1の光と異なる第2の光を試料に照射されて、前記試料を介して伝搬する光を含む光のうち前記第2の光と同じ波長を有する第3の光と、を干渉させる干渉部と、前記干渉部で前記第1の光と前記第3の光とが弱め合う干渉が生じるように、前記第1の光及び前記第3の光のうち少なくとも一方の位相を調整する調整部と、前記干渉部で前記第1の光と前記第3の光とが弱め合う干渉によって生じた干渉光を検出する検出部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、SN比を高めることが可能な検出装置を得ることができる。
本発明の検出装置を説明するための模式図 本発明の実施形態1の検出装置の一例を示す模式図 検出器で検出される強度変化を示す図 本発明の実施形態2の検出装置の一例を示す模式図 本発明の実施形態3の検出装置の一例を示す模式図 本発明の実施形態4の検出装置の一例を示す模式図 本発明の実施形態5の検出装置の一例を示す模式図 従来のSRS顕微分光装置の一例を示す模式図
まず、従来のSRSを用いた顕微分光装置の構成について、図8を用いて説明する。SRSを用いた顕微分光装置は、光源1、合波部2、検出部4を備えている。さらに、取得部5は、SRSを用いた顕微分光装置に含まれる構成でもよいし、SRSを用いた顕微分光装置には含まれない外部装置であってもよい。光源1から波長の異なる二つの光11、12が射出される。光源1から射出される光11、12のパルスの繰り返し周波数は異なっている。具体的には、光11のパルスの繰り返し周波数が、光12のパルスの繰り返し周波数の半分になっている。なお、図8において、Aは、光11の時間tと強度Iの関係を表している。Bは、光12の時間tと強度Iの関係を表している。
この2つの光11、12は、同期し、合波部2で合波されて試料3に照射される(符号13)。光11、12が重なった時間で、試料3では、ラマン効果によって光11、12との間でエネルギーが遷移する。具体的には、光12から光11に、エネルギーの一部が遷移する。そして、試料3を介して伝搬する光を含む光のうち光12と同じ波長の光14を検出部4で検出する。この光14の時間tと強度Iの関係は、Cで表されている。このように、光14では、光12に対してパルス列の一部のパルスで強度Iが小さくなっている。このため、光14を検出部4で検出することでラマン効果によるエネルギー遷移が生じたことが分かり、試料3に、このエネルギー遷移量に対応するラマン振動数を有する物質が含まれていることが分かる。なお、試料3を介して伝搬する光は、試料にて反射、散乱又は透過する光である。
検出部4で、光14の強度の信号は電気信号15に変換される。そして、電気信号15は取得部5に入力される。取得部5では、試料3内の物質の同定や物質の分布等のイメージングが行われる。
ラマン効果のような非線形効果は、光強度が大きいとその効果は大きくなる。つまり、上述したSRS顕微分光装置では、試料3に照射される光13(光11、12)の強度が大きいほど、エネルギー遷移量は大きくなる。
ところで、上述した従来のSRS顕微分光装置では、検出部4で、試料3を介して伝搬する光を含む光の一部の光14を検出している。光14の強度の最大値は、光12の強度の最大値とほぼ同じである。言い換えると、光12の強度の最大値は、光14の強度の最大値を検出できる検出部4の飽和強度に制約され、検出部4の飽和強度に達しない範囲で設定されている。この制約により、光11、12の強度を大きくすることができず、SRSによるエネルギー遷移量が小さくなり、SN比を大きくすることができないという課題がある。
この課題を解決する、本発明の装置構成の一例を図1を用いて説明する。本発明のSRSを用いる顕微分光装置に適用される検出装置は、光源21と、合波部22、検出部24の他に、分岐部26、調整部27、干渉部28を備えている。なお、取得部25は、従来と同様に、検出装置内に含まれていてもよいし検出装置外の外部装置であってもよい。
光源21から波長の異なる2つの光31、32が射出される。光源21から射出される光31、32のパルスの繰り返し周波数は異なっている。具体的には、光31のパルスの繰り返し周波数が、光32のパルスの繰り返し周波数の半分になっている。なお、図1において、A’は、光31の時間tと強度Iの関係を表している。B’は、光32の時間tと強度Iの関係を表している。A’、B’は図8のA、Bと対応している。
光32は、分岐部26によって光36と光37に分岐される。光36は、光31と同期され、光31と合波部22で合波されて、試料23に照射される(符号33)。そして、試料23を介して伝搬する光を含む光のうち、光32と同じ波長の光34が干渉部28に入射される。なお、光34の時間tと強度Iの関係はC’で表されている。このC’は、図8のCと対応している。なお、試料23を介して伝搬する光は、試料にて反射、散乱又は透過する光である。
一方、光37は、試料23に照射されない光である。光37は、調整部27に入射される。調整部27は、干渉部28で光37と光34とが弱め合う干渉が生じるように、光37の位相を調整する。この調整部27によって位相が調整された光38は干渉部28に入射する。なお、光38は、光32や光36、光37と、波長帯域やパルスの繰り返し周波数は同じである、B”は、光38の時間tと強度Iの関係を表されている。
光38(位相調整された光37)と光34とが干渉部28で弱め合う干渉によって生じた干渉光39が検出部24で検出される。干渉光39の時間tと強度Iの関係はDで表されている。Dで示すように、光38(位相調整された光37)と光34とが弱め合うことで、干渉光39の強度を小さくすることができる。
検出部24で干渉光39の強度は、電気信号35に変換される。この電気信号35に基づいて、取得部25は、試料23の中の物質イメージング等を行う。
本発明では、調整部27を用いて、干渉部28で干渉する2つの光の少なくとも一方の光の位相を調整することで、弱め合いの干渉を利用して、干渉光39の強度を小さくしている。例えば、光34と光38の位相が逆になるように、光38の位相が調整されている。このため干渉光39の強度の最大値は、光32の強度の最大値に対して十分小さくすることができる。また、干渉光39の強度を検出部24の飽和強度まで大きくすることが可能である。この干渉光39の強度は、エネルギー遷移量に対応しているため、干渉光39の強度を大きくすると、SN比を大きくすることが可能となる。なお、エネルギー遷移量を大きくするためには、上述したように試料23に入射する光の強度、つまり、光源21から射出される光の強度を大きくすればよい。例えば、試料23が破壊されず、また検出部24が飽和しなければ、試料23に照射される際の光のパルス強度は、200mW以上とすることが可能であり、さらには500mW以上とすることも可能である。
波長の異なる2つの光31、32を得る光源の構成としては、以下の構成が挙げられる。すなわち、光源は、第1の波長を有する光を出力する光出力部と、第1の波長を有する光から、第1の波長とは異なる第2の波長を有する光に変換する変換部と、を有する。さらに、光源は、光出力部から出力された第1の波長を有する光を分岐して、一部の光を分岐部26に入射させ、残りの一部の光を変換部に入射させる入射部を有する。そして、変換部から出力される第2の波長を有する光が合波部22に入射される。変換部は、非線形媒質によって、非線形効果を利用して、波長変換されてもよいし、他の方法を用いて波長変換されてもよい。
また、光源は、異なる波長を射出する複数の光源で構成されていてもよい。
また、検出装置は、試料23にて反射、散乱又は透過する光を含む光のうち、光32と同じ波長の光34を選択する選択部を有していてもよい。また、検出装置は、光31、32を増幅する増幅部を有していてもよい。また、干渉部28で光34と光38とが干渉するように、光31、37のうち少なくとも一方の偏光を調整する偏光調整部を有していてもよい。
なお、従来の装置と比較するため、光源から異なる2波長の光が射出される例を用いて、本発明の説明をしたが、後述する実施形態の一例にあるように、1波長の光を試料に照射する構成であってもよい。この実施形態では、図1で示す合波部22は不要である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、本発明は、記載した実施形態に限定されるものではない。また、以下では、SRSの原理に基づく検出装置を用いて説明するが、多光子過程や吸収・散乱などによる強度変化に基づいた検出装置でも本発明は適用可能である。
(実施形態1)
図2は、本実施形態の検出装置の一例を示す模式図である。図2において、各部材をつなぐ細い実線は光ファイバを表しており、点線、破線は空間中の光路を表している。また、太い実線は、電気的な連携を表している。シードレーザ101から発せられた光は、カプラ102によって分岐される。カプラ102で分岐された光の一部は増幅器103に向かい、別の一部は、ファイバ光パラメトリックオシレータ(以下、FOPOという)111に向かう。
FOPO111に向かう光は、まず、パルスピッカー109に向かう。パルスピッカー109では、入射された光の繰返し周波数が、シードレーザ101の繰返し周波数の1/2となるように変調される。変調された光を増幅器110によって増幅し、次にFOPO111によってシードレーザが発する光とは異なる波長へ波長変換されて信号パルス光となる。
一方で、カプラ102で分岐されて増幅器103に向かった光は、増幅器103で増幅され、カプラ104によって分岐される。カプラ104が図1の分岐部26に相当する。カプラ104で分岐された光の一部は光ディレイライン105に向かい、他の一部は光ディレイライン108に向かう。光ディレイライン105に向かう光(以下、励起パルス光という)は、光ディレイライン105を通ることで、試料に照射する際に、信号パルス光と時間的に重ね合わせられるように、試料に照射するタイミングが調整される。
また、励起パルス光は、偏波コントローラ133によって、誘導ラマン過程が効率良く起こるように偏光が調整される。そして、偏波コントローラ133を通過した光は、レンズ106、ミラー107を順に介してダイクロイックミラー113に入射する。
一方、FOPO111で発生した信号パルス光も、偏波コントローラ134によって、誘導ラマン過程が効率良く起こるように偏光が調整される。そして、偏波コントローラ134を通過した光は、レンズ112を介してダイクロイックミラー113に入射する。
このダイクロイックミラー113は、図1の合波部22として機能し、信号パルス光と励起パルス光とを重ね合わせる。重ね合わされた光は、走査ミラー対114によって試料ステージ116上の試料に照射される光の位置を走査する。重ね合わされた光は、対物レンズ115によって集光し、試料に照射される。走査ミラー対114は、走査ミラーコントローラ130によって、動作を制御される。また、走査ミラーコントローラ130はPC131に対して、走査ミラー対114の走査情報を出力する。
試料に照射された、信号パルス光と励起パルス光の光周波数差が試料が有するラマン振動周波数に一致している場合には、励起パルス光から信号パルス光(あるいは信号パルス光から励起パルス光)にエネルギーが遷移し、励起パルス光強度が変化する。そして、試料を透過又は散乱する光、あるいはその両方の光は、対物レンズ117を通り、ダイクロイックミラー118において、励起パルス光と同じ波長帯域の光を透過させる。この試料を透過又は散乱する光、あるいはその両方の光は、エネルギーが遷移したか否かの情報を有する光である。ダイクロイックミラー118を透過した光は、レンズ120を介してカプラ121へ伝搬する。
また、カプラ104で分岐され光ディレイライン108に向かった光(以下、参照パルス光という)は、光ディレイライン108、偏波コントローラ132を伝搬して、試料を透過してきた励起パルス光とカプラ121で干渉するように重ね合わされる。カプラ121は図1の干渉部28に相当する。参照パルス光は、カプラ121で重ね合わされるときに試料を透過してきた励起パルス光と弱め合いの干渉が生じるように、光ディレイライン108において位相が調整される。また干渉が起こるように、偏波コントローラ132によって参照パルス光の偏光が制御されている。
カプラ121からの干渉光は、検出器122、123とで検出して、電気信号として出力する。検出器122、123から出力された電気信号は、差動検出器124によって差動検出しても良い。また、検出器は1つでもよく、その検出器は、カプラ121によって参照パルス光と励起パルス光とが弱め合う干渉によって生じる干渉光を検出する構成であればよい。
検出器122によって検出された干渉光の強度信号のDC成分を電気的なローパスフィルタ135を通すことで抽出する。抽出されたDC成分が最小値になるように光ディレイライン108及び偏波コントローラ132を電気的に制御して、カプラ121での弱め合いの干渉を起こすようにしている。なお、ローパスフィルタ135に電気信号を出力する検出器は、弱め合う干渉によって生じる干渉光を検出する検出器であれば、検出器122でも検出器123でもどちらでもよい。また、ローパスフィルタ135で抽出する周波数成分は、信号パルス光又は励起パルス光(あるいは参照パルス光)の繰り返し周波数よりも小さい周波数帯域の周波数成分であればDC成分でなくてもよい。
また、検出器122から出力された電気信号は、電気的なバンドパスフィルタ126によって、特定の周波数成分の電気信号が抽出され、ロックインアンプ127を介して、その周波数成分の振幅値を振幅情報として取得する。ロックインアンプ127の参照信号は、シードレーザ101の出力の一部を用いて、参照信号生成器128によって、電気的に生成されたものである。ロックインアンプ127によって取得された振幅信号は、A/Dボード129を介してPC131に取り込まれる。PC131では、走査ミラーコントローラ130から出力される走査ミラー対114の制御情報と、A/Dボード129を介して得られた振幅情報からSRS画像を生成する。
以下に、本発明の効果について説明する。上述のカプラ104の直前の励起パルス光Aは式(1)で表わされる。
Figure 2017083307

ここで、ωは光周波数、E(ω)はシードレーザ101から出力される光の振幅、ωτは位相、αは増幅器103での増幅率とカプラ102の分岐比を考慮された係数である。
カプラ104における分岐比をtとすると、試料を透過した励起パルス光Asrs、参照パルス光Arefは、それぞれ式(2)、(3)で表わされる。
Figure 2017083307

ここで、αsrsは試料での誘導ラマン散乱による強度変化率である。αsrsの値は、誘導ラマン散乱が生じない場合は1である。そして、αsrsの値は、誘導ラマン散乱が生じて励起パルス光から信号パルス光にエネルギーが遷移する場合は1未満の値、誘導ラマン散乱が生じて信号パルス光から励起パルス光にエネルギーが遷移する場合は1より大きい値となる。cは真空中での光速、βfiberは光ファイバの波長分散、βlensは全てのレンズによる波長分散、βsampleは試料を透過することによる波長分散である。また、lfsrsはカプラ104からカプラ121までの間の、励起パルス光が通る光路中の光ファイバの長さ、lsairはカプラ104からカプラ121までの間の、励起パルス光が通る光路中の空間の長さである。lfrefはカプラ104からカプラ121までの間の、参照パルス光が通る光路中の光ファイバの長さ、lrairはカプラ104からカプラ121までの間の、参照パルス光が通る光路中の空間の長さである。
さらに、カプラ121における分岐比をtとすると、カプラ121において干渉されて検出器122で検出される干渉光A、検出器123で検出される干渉光Aは、式(4)、(5)のように表される。
Figure 2017083307

検出器122で検出される電気信号Iと、検出器123で検出される電気信号Iは、以下の式(6)、(7)で表される。
Figure 2017083307

ただし、式(6)、(7)では、φは以下の式(8)と定義する。
Figure 2017083307

したがって、φ=0であれば、式(6)の第2項は負となるので、Iは小さくなり、検出器122を用いて干渉信号を検出すればよい。また、φ=πであれば、式(7)の第2項は負となるので、Iは小さくなり、検出器123を用いて干渉信号を検出すればよい。このことによって、検出器122又は検出器123は強度が飽和することなく光を検出できるようになる。
φは、光ディレイライン108によって、参照パルス光の位相を調整することで変えることができる。具体的には、上記のlfrefを調整することによって、φの値を変えることができる。
以下に、φ=0の条件の場合について、より詳細に説明する。説明を簡単にするために、カプラ104、121での分岐比がともに5:5の場合を考える。そうすると、式(6)は以下の式(9)のように表される。
Figure 2017083307

試料で誘導ラマン散乱が生じなかった場合、つまり、αsrs=1の場合は、I=0となる。試料で誘導ラマン散乱が生じた場合と、試料で誘導ラマン散乱が生じなかった場合との差分は、式(9)そのものになり、検出器122で取得する信号の最大値は式(9)の値となる。
一方、従来は、カプラ104、121がなく、参照パルス光がないため、式(6)又は式(7)において、t=t=0の場合が従来の検出装置の検出器で検出していた強度になる。つまり、以下の式(10)で表される。
Figure 2017083307

一般的に、αsrsの値は、0.8乃至1.2である。そのため、シードレーザ101からの出力E(ω)、増幅器103の増幅率やカプラ102での分岐比を考慮した係数αが従来と同じであると、式(9)の右辺の値は式(10)の右辺の値に比べて、非常に小さくなる。例えば、αsrs=0.9の場合、従来の検出装置の検出器で検出する最大強度は、以下の式(11)で表される。一方、本発明の検出装置の検出器122で検出する最大強度は、以下の式(12)で表される。
Figure 2017083307

式(11)、(12)から分かるように、本発明の検出装置の検出器122で検出する最大強度は、従来の検出装置の検出器で検出する最大強度よりも10−4倍小さくなっている。同じ検出器を用いると、本発明の方が、飽和強度まで、十分に余裕があることが分かる。
このため、本発明おいては、従来に比べて、シードレーザの出力振幅E(ω)を上げたり、増幅器103での増幅率を上げたりする(αを大きくすることに相当する)ことにより、試料に照射する光の強度を大きくする。この結果、試料内でのSRSによるエネルギー遷移量も大きくなる。そして、検出器で取得される、試料でSRSが生じた場合と、試料でSRSが生じなかった場合との差分を表す式(9)の右辺の値、すなわち信号値を大きくすることができる。一方、光におけるノイズは、シードレーザの出力振幅E(ω)を上げたり、増幅器103での増幅率を上げたりしても大きくは変わらず、その変化は信号値の変化に対して小さい。そのため、本発明の検出装置によればSN比を大きくすることが可能となる。
また、IとIが飽和強度に達していない場合、差動検出器124によって、以下の式(13)ような、誘導ラマン散乱による強度変化の効果がかかっている成分のみを抽出することができる。
Figure 2017083307

なお、説明を簡単にするために、各カプラでの分岐比を5:5にしたが、カプラの分岐比によらず、上述したように、励起パルス光と参照パルス光とがカプラ121で弱め合う干渉を起こすようにすれば、SN比向上の効果は得られる。そのことについて、以下で説明する。
図3にカプラ104の分岐比を5:5とし、カプラ121の分岐比を変化させ、試料に照射される光である励起パルス光と試料に照射されない参照パルス光との位相差を変化させた場合の、検出器で検出される光強度のシミュレーション結果を示す。励起パルス光と参照パルス光との位相差を調整することは式(8)で表されるφを調整することに相当する。図3で、位相差とはφのことであり、0〜πまで変化させる。
カプラ121の分岐比は、図3(a)〜(e)の順で、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5とする。また、検出器で検出される強度の最大値が1となるように規格化している。具体的には以下の通りである。ただし、以下では、励起パルス光から信号パルス光にエネルギーが移動する場合を考える。従来の検出装置の検出器では、エネルギー遷移した励起パルス光とエネルギー遷移していない励起パルス光とを連続して検出するが、上記の場合ではエネルギー遷移していない励起パルス光の強度が大きいので、それを1とする。一方、本発明の検出装置の検出器では、検出器で取得する干渉光の強度の最大値を1とする。
また、図3では、エネルギー遷移した結果、光強度が0.001だけ変化した場合を考える。検出器で検出される強度の最大値(最大強度)は、従来の検出器、本発明の検出器でも、上記の規格化の結果1である。一方、検出器で検出する光強度の最小値(最小強度)は、図3で示すように、従来と本発明の検出器で、位相の変化やカプラの分岐比によって異なっている。検出器で検出される強度の最大値と検出器で検出する光強度の最小値(最小強度)が大きい方が、信号値が大きくなり、SN比が大きくなることに対応する。
例えば、図3(a)では、位相差φが約5π/8乃至πの範囲で、検出器122で検出する場合、強度の最大値と最小値の差は、従来よりも本発明の方が大きくなる。つまり、位相差φを約5π/8乃至πとなるように、光ディレイライン108で参照パルス光の位相を調整すればよい。このようにすることで、SN比を従来よりも大きくすることが可能となる。位相差φを約5π/8乃至πとすることは、カプラ121で弱め合いの干渉を起こさせることと同義である。
図3(b)〜(e)においても同様で、励起パルス光と参照パルス光の位相差を適宜調整することによって、従来に比べて、検出器で検出する、強度の最大値と最小値の差を、従来よりも本発明の方が大きくなるようすることが可能である。なお、光ディレイライン108は、参照パルス光の位相を調整するように構成されているが、試料を透過した励起パルス光の位相を調整するような構成であっても、同様の効果を得られることは明らかである。
上述した、位相差φ=0、カプラ104、121での分岐比がともに5:5の場合は、図3(e)に示されている。位相差φ=0において、検出器122で検出される強度I+は、上記の式(9)で表される。上述したように、検出器122で検出される最大強度は、式(9)であり、図3(e)では1で示されている。一方、検出器122で検出される最小強度は0である。このように、上記の説明と図3(e)とは対応していることが分かる。
本実施形態では、シードレーザ101から出力される光は固定波長である場合を示したが、シードレーザ101としては波長可変光源を用いることが可能である。また、本実施形態では、2波長のうち、一方はシードレーザ101から出力された波長であり、他方はシードレーザ101から出力された光をFOPO111を用いて変換した波長であったが、これに限定されない。2波長を得る構成としては、例えば、FOPO以外の方法で波長変換する方法を用いてもよいし、出力波長の異なる2つの光源を用いる構成であってもよい。
また、光ディレイライン108と偏波コントローラ132の順番は同一光路内であれば逆でもよい。同様に光ディレイライン105と偏波コントローラ133の順番も同一光路内であれば逆でもよい。
本実施形では、参照パルス光の位相を光ディレイライン108で調整したが、励起パルス光や信号パルス光の位相を調整するようにしてもよい。
また、試料の厚みやレンズ、試料ステージの影響によって、各パルス光の位相差が走査位置で変化する。そのため、走査ミラー対114は固定した状態で、信号パルス光と励起パルス光とを照射しながら、光ディレイライン108と偏波コントローラ132を交互に調整して、参照パルス光の位相と偏光状態を調整してもよい。この調整の際には、検出器で取得した干渉光の強度を基に、干渉光の強度が検出器122(123)を飽和させないように、シードレーザ101の出力強度を上げたり、増幅器103、110の増幅率を上げたりしてもよい。そして、干渉光の強度を大きくした状態で、干渉信号がロックインアンプ127、A/Dボード129を介してPC131に取り込まれる。その後、走査ミラー対114を制御して次の走査位置の干渉信号を同様に取得する。また、上記の位相や偏光状態の調整や、光強度の増強などを、自動制御にすることも可能である。
コヒーレンス度が大きいパルス光を出力する光源を用いた場合には、光ディレイライン108による参照パルス光の位相の調整は、数パルス分遅延させる方法でも構わない。この構成では、遅延させたパルス数に応じた周波数ノイズを低減できる。
検出器122、123とカプラ121の間に増幅器を配置してもよい。また、カプラ102、104、121については、空間的にビームスプリッタやエッジミラーを用いてもよい。また、ダイクロイックミラー113、118については、波長分割多重(Wavelength Division Multiplex)カプラや、グレーティング又はプリズムなどの分光素子を用いてもよい。偏波コントローラ132、133、134は、ファイバ型偏波コントローラではなく、ファイバから空間に光を射出した後、空間で偏波を制御するものでもよい。
光ディレイライン105、108は、光路長を調整できるものであれば何でもよい。例えば、光ディレイライン105、108は、圧電素子に光ファイバを巻きつけ、圧電素子に加える電圧によって伸縮させて光路長を変化させるものでもよい。また、光ディレイライン105、108は、ファイバから空間に光を出してミラーで反射させることで光路長を調整する構成でもよいし、電気光学素子を用いて、電気的に屈折率を制御して光路長を調整する構成でもよい。
(実施形態2)
図4は、本実施形態の検出装置の一例を示す模式図である。実施形態1では、試料を透過した光を検出する方式の検出装置であるに対して、本実施形態では、試料にて反射又は散乱された光を検出する方式の装置である点が異なる。
シードレーザ101から射出されて試料に光を照射するまでの光路と、試料にて反射または散乱されて検出器に入射されるまでの光路は、一部兼用されている。そのため、試料にて反射又は散乱された光がシードレーザ101に入射すると、シードレーザ101の動作を不安定にする恐れがあるため、試料にて反射又は散乱された光がシードレーザ101に入射しない機構が設けられている。すなわち、サーキュレータ201とアイソレータ202がそれぞれ、励起パルス光の光路、信号パルス光の光路中に配置されている。
励起パルス光と信号パルス光が試料に照射されるまでは、それぞれ光路上にあるサーキュレータ201とアイソレータ202を通る以外は、実施形態1と同様であるため省略する。
励起パルス光と信号パルス光が試料に照射された後、反射又は散乱によって戻ってきた励起パルス光は、ダイクロイックミラー113を透過し、ミラー107、偏波コントローラ133を通り、再びサーキュレータ201に結合し、カプラ121へ伝搬される。カプラ121において、実施形態1と同様に、励起パルス光と参照パルス光とが弱め合いの干渉を起こし、干渉光が発生される。その後の信号の処理は、実施形態1と同様であるため省略する。
本実施形態によれば、試料の厚みが大きく透過光が得られない場合でも、実施形態1と同様にSN比を向上させることが可能となる。
(実施形態3)
図5は、本実施形態の検出装置の一例を示す模式図である。実施形態1、2を組み合わせた構成である。実施形態1では、試料を透過した後の光ファイバとのカップリングが困難であるのに対し、本実施形態では、試料に光が照射されるまでの光路と反射又は散乱された光の光路とが一部重複しているため、そのカップリングが容易となる。また、本実施形態であれば、試料の厚みが薄い場合に対応することができる。
励起パルス光と信号パルス光が試料に照射されるまでは、実施形態2と同様であるため省略する。
励起パルス光と信号パルス光が試料に照射された後、実施形態1と同様に、試料に照射された光は対物レンズ117を伝搬する。その後、ダイクロイックミラー118によって励起パルス光と信号パルス光が分けられる。信号パルス光は消光器119によって吸収される。励起パルス光は、レンズ120によって平行ビームにされ、ミラー301によって反射される。そして、ミラー301によって反射された励起パルス光は、元の光路を戻り、サーキュレータ201へと伝搬する。それ以降は、実施形態2と同様であるため省略する。
(実施形態4)
図6は、本実施形態の検出装置の一例を示す模式図である。本実施形態では、実施形態2に対して、カプラ104とカプラ121とを兼用する点が異なる。そのために、カプラ104のシードレーザ101側にアイソレータ403を有して、シードレーザに試料からの反射光又は散乱光やミラー401での参照光が戻らない構成としている。
信号パルス光が試料に照射されるまでは、実施形態2と同様なので省略する。一方、シードレーザ101を射出されカプラ102で分岐されて増幅器103に入射した光は、アイソレータ403を通り、カプラ104で励起パルス光と参照パルス光に分岐される。そして、励起パルス光が試料に照射されるまでは、実施形態2と同様である。
励起パルス光と信号パルス光が試料に照射された後、試料にて反射又は散乱された光のうち励起パルス光がダイクロイックミラー113を透過し、ミラー107、レンズ106、偏波コントローラ133、光ディレイライン105を通り、カプラ104に入射する。
一方、カプラ104で分岐された参照パルス光は、光ディレイライン108、偏波コントローラ132を通り、ミラー401で反射されて、逆の光路を通り、再びカプラ104に入射される。そして、カプラ104によって、試料にて反射又は散乱された励起パルス光と、ミラー401にて反射された参照パルス光とが弱め合いの干渉を起こす。なお、この弱め合いの干渉を起こすように、実施形態1と同様に、光ディレイライン108で参照パルス光の位相が調整される。
そして、弱め合いの干渉で生じた干渉光を検出器402で検出する。その後の処理等は上述した実施形態と同様であるため、省略する。
なお、実施形態4は実施形態3と適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態5)
図7は、本実施形態の検出装置の一例を示す模式図である。上述した実施形態では、異なる2波長の光を試料に照射していたが、本実施形態では1波長の光を試料に照射する例である。
シードレーザ901としては波長可変パルス光源を用いる。シードレーザ901から発せられたパルス光はカプラ104によって励起パルス光と参照パルス光に分けられる。
まず、試料がない状態で、励起パルス光を試料ステージに照射する。偏波コントローラ133を透過した励起パルス光を、レンズ106によって平行ビームにし、走査ミラー対114によって試料ステージ116上を走査する。また、励起パルス光を対物レンズ115によって集光し照射する。試料ステージ116を透過した励起パルス光を対物レンズ117によって集光し、レンズ120を通ってカプラ121へ結合する。
一方、参照パルス光は、光ディレイライン108によって位相を制御され、その後、偏波コントローラ132で偏光を調整される。そして、参照パルス光は、試料ステージ116を透過する励起パルス光と、カプラ121で弱め合わされる。そして、その干渉光が検出器122、123で検出される。
次に、試料を試料ステージ116上に配置して、励起パルス光を照射する。偏波コントローラ133を透過した励起パルス光をレンズ106によって平行ビームにし、走査ミラー対114によって試料ステージ116上の試料の照射位置を走査する。また、励起パルス光を対物レンズ115によって集光し試料に照射する。試料を透過した信号パルス光は対物レンズ117によって集光され、レンズ120を通ってカプラ121へ結合する。励起パルス光は試料で生じる吸収や散乱の影響を受けて、強度が減衰する。
一方、参照パルス光は、試料がない状態と同様である。カプラ121において、励起パルス光と参照パルス光が重ね合わされる。そして、その干渉光が検出器122、123で検出される。
試料がない状態と試料がある状態との、検出器122、123で検出された信号差に基づき、PC131でイメージングが行われる。
本実施形態でも、検出器の飽和強度を超えずにSN比を上げることが可能となる。
以下に、実施形態1に対応する実施例について説明する。本実施例の構成の模式図は図2で示されている。
シードレーザ101によって生成されたパルス光は、平均出力パワー10mW、中心波長1040nm、繰り返し周波数20MHzであり、カプラ102に結合される。この出力値は試料に応じて調整される。パルス光は、カプラ102によって増幅器103に向かうパルス光とFOPO111に向かうパルス光に分岐される。
増幅器103に向かった光は、増幅器103において強度を増幅し、パワーが2Wとなる。増幅されたパルス光は、分岐比5:5のカプラ104において、励起パルス光と参照パルス光に分岐される。励起パルス光は、光ディレイライン105を伝搬し、偏波コントローラ132により偏光を制御されて、レンズ106によって平行ビームにされ、ミラー107によってダイクロイックミラー113に向かう。
一方、FOPO111に向かうパルス光は、パルスピッカー109によって繰り返し周波数を10MHzにされる。パルスピッカー109は電気光学素子を用いて、駆動する電気信号に応じて透過光量を制御するものを用いてもよいし、シャッターや音響光学素子を用いてもよい。その後、増幅器110によってパワーを1Wまで増幅し、FOPO111によって波長変換され、信号パルス光を生成する。
本実施例では、FOPOを用いたが、空間的なパラメトリック共振器でもよい。FOPO111内に組込まれた波長フィルタによって、信号パルス光は中心波長を780乃至900nmの間で制御される。試料に照射する信号パルス光は、ソリトン自己周波数シフトを用いた波長変換技術によって波長変換して生成されてもよいし、シードレーザ101と同期したTi:Sapphire光源を別途用いて生成されてもよい。
生成された信号パルス光は、偏波コントローラ132により偏光が制御される。その後、レンズ112によって平行ビームにされ、ダイクロイックミラー113によって、励起パルス光と重ね合わされる。ここで、励起パルス光は、光ディレイライン105によって信号パルス光と試料に照射されるタイミングが調整される。また、信号パルス光の偏光と励起パルス光の偏光が同じとなるように、偏波コントローラ134、132でそれぞれの偏光が調整される。
ダイクロイックミラー113で重ね合わされた励起パルス光と信号パルス光は、走査ミラー対114を通って対物レンズ115に向かい、試料ステージ116上の試料に集光して照射される。走査ミラー対114によって、試料上での集光された光の位置が走査される。また、走査はPC131によって制御された走査ミラーコントローラ130から出力された信号によって制御される。走査ミラー対114としては、ガルバノミラーを用いることができる。
試料中では、試料のラマン応答特性によって励起パルス光と信号パルス光の光周波数に応じてエネルギーが一方から他方に遷移される。一般的に短波長成分から長波長成分へエネルギー遷移が大きく起こる。本実施例においては、励起パルス光の中心波長は1040nm、信号パルス光の中心波長は780乃至900nmであることから、誘導ラマン散乱が生じた場合には励起パルス光の強度が増強される。
試料を透過した励起パルス光と信号パルス光は、対物レンズ117を通ってダイクロイックミラー118によって励起パルス光が抽出される。信号パルス光は、消光器119において吸収される。励起パルス光は、レンズ120によって光ファイバに結合され、カプラ121へ伝搬する。
カプラ121において、励起パルス光と参照パルス光は重ね合わされる。ここで、参照パルス光は、光ディレイライン108によって励起パルス光と弱め合いの干渉が生じるように、カプラ121に入射するタイミングが調整されている。また参照パルス光の偏光状態は、偏波コントローラ132によって、干渉が良く起こるように励起パルス光の偏光状態と合わされる。カプラ121の分岐比は5:5である。カプラ121において重ね合わされた励起パルス光と参照パルス光は干渉し、検出器122と検出器123へと向かい検出される。
検出された信号のうち、励起パルス光と参照パルス光の光位相の差が0の場合に強度を打ち消し合う信号が検出器122、光位相の差がπの場合に強度を打ち消し合う信号が検出器123で検出されるとする。本実施例では、励起パルス光と参照パルス光の光位相の差が0となるように、光ディレイライン108を調整する。そして、検出器122で検出された信号を10MHzを透過するバンドパスフィルタ126を通し、ロックインアンプ127を用いてその振幅を取得する。ロックインアンプ127の参照信号はシードレーザ101の出力の一部を用いて参照信号生成器128によって電気的に生成したものを利用する。ロックインアンプ127によって取得された振幅信号はA/Dボード129を介してPC131に取り込まれる。
PC131では、走査ミラー対114の走査情報と、A/Dボード129を介して得られた振幅情報と、からSRS画像を生成する。
本実施例により、検出器の飽和を回避して高強度な光を試料に照射することが可能となり、高いSN比を有したSRS画像を取得することが可能となる。
21 光源
24 検出部
26 分岐部
27 調整部
28 干渉部

Claims (16)

  1. 光源と、
    前記光源から射出された光を分岐する分岐部と、
    前記分岐部で分岐され、試料に照射されない第1の光と、前記分岐部で分岐され、前記第1の光と異なる第2の光を試料に照射されて、前記試料を介して伝搬する光を含む光のうち前記第2の光と同じ波長を有する第3の光と、を干渉させる干渉部と、
    前記干渉部で前記第1の光と前記第3の光とが弱め合う干渉が生じるように、前記第1の光及び前記第3の光のうち少なくとも一方の位相を調整する調整部と、
    前記干渉部で前記第1の光と前記第3の光とが弱め合う干渉によって生じた干渉光を検出して電気信号を出力する検出部と、を有することを特徴とする検出装置。
  2. 前記調整部は、前記検出部から出力される電気信号に基づいて、前記第1の光及び前記第3の光のうち少なくとも一方の位相を調整することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
  3. 前記調整部は、前記検出部から出力される電気信号のうち一部の周波数帯域の信号に基づいて、前記第1の光及び前記第3の光のうち少なくとも一方の位相を調整することを特徴とする請求項2に記載の検出装置。
  4. 前記周波数帯域は、前記第1の光の繰り返し周波数よりも小さい周波数帯域であることを特徴とする請求項3に記載の検出装置。
  5. 光を重ね合わせる合波部をさらに有し、
    前記光源は、第1の波長を有する光と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する光と、を射出し、
    前記分岐部は、前記第1の波長を有する光を、前記第1の光と前記第2の光に分岐し、
    前記合波部は、前記第2の波長を有する光と、前記第2の光と、を合波して前記試料に照射することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検出装置。
  6. 前記光源は、
    前記第1の波長を有する光を出力する光出力部と、
    前記第1の波長を有する光から前記第2の波長を有する光に変換する変換部と、
    前記出力部から出力された前記第1の波長を有する光を分岐して、一部の光を前記分岐部に入射させ、残りの一部の光を前記変換部に入射させる入射部と、を有することを特徴とする請求項5に記載の検出装置。
  7. 前記変換部は、非線形媒質を有することを特徴とする請求項6に記載の検出装置。
  8. 前記第1の波長を有する光と前記第2の波長を有する光とは、繰り返し周波数が異なることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の検出装置。
  9. 前記試料を介して伝搬する光を含む光から、前記第3の光を選択する選択部を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検出装置。
  10. 前記試料を介して伝搬する光を含む光は、前記試料にて反射又は散乱する光であり、
    前記分岐部は、前記干渉部を兼ねることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の検出装置。
  11. 前記試料に照射される際の前記第2の光のパルス強度が200mW以上であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の検出装置。
  12. 前記第1の光と前記第2の光を増幅する増幅部を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の検出装置。
  13. 前記干渉部で前記第1の光と前記第3の光とが干渉するように、前記第1の光及び前記第3の光のうち少なくとも一方の偏光を調整する偏光調整部を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の検出装置。
  14. 前記検出部の出力する電気信号に基づいて、前記試料を構成する物質の情報を取得する取得部を有する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の検出装置。
  15. 前記試料を介して伝搬する光は、前記試料にて反射、散乱又は透過する光であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の検出装置。
  16. 前記第1の光と前記第2の光は、繰り返し周波数が同じであることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の検出装置。
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