JP6501451B2 - 光源装置およびそれを用いた情報取得装置 - Google Patents

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Description

本発明は、中心波長差が可変な2つのパルス光を射出する光源およびそれを用いた情報取得装置に関する。
パルス光を被検体に照射し、被検体で反射や散乱される光、被検体を透過する光、あるいは被検体から発せられる蛍光を検出することで、被検体の構成物質に関する様々な情報を得ることができる。
近年、分子振動数に対応した周波数差を有する2つのパルス光を被検体に照射し、被検体で生じる誘導ラマン散乱(SRS)やコヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)に基づく光を検出し、被検体の物質同定を行う研究が盛んに行われている。
中心波長が互いに異なる2つのパルス光を発生するレーザ光源としては、光ファイバで生じる四光波混合(光パラメトリック効果の一種)を利用した光パラメトリック増幅器(以下FOPAと略す)が知られている。FOPAは、光ファイバに入射した励起パルス光のエネルギーを受けて励起パルス光とは波長の異なる信号パルスを発生させる。
非特許文献1には、FOPAに入射させる励起パルス光とFOPAにて発生する信号パルス光を被検体に照射し、CARSに基づく光を検出してイメージングを行う方法が開示されている。
Optics Express Vol.20, No.19, pp.21010−21018, 10 September 2012
非特許文献1で用いられる励起パルス光と信号パルス光とは、互いに波長が異なっているもののそれぞれの波長が固定されているため、これらパルス光の波長の差も固定されている。SRSやCARSを用いた情報取得装置を用いて多種類の物質の同定を行うためには、様々な分子振動数に対応したラマンスペクトルを取得する必要がある。従って、励起パルス光と信号パルス光との中心波長差(周波数差)が、様々な物質の分子振動数に対応できるよう走査可能であることが求められる。
そこで、励起パルス光の中心波長のわずかな変化によって信号パルス光の中心波長は大きく変化するというFOPAの四光波混合の特性を利用して、励起パルス光と信号パルス光との周波数差を走査する方法が考えられる。
励起パルス光の中心波長を変化させると、四光波混合により発生する信号パルス光のスペクトル幅が変化するが、信号パルス光のパルス幅は励起パルス光の中心波長によらずほぼ一定である。つまり、信号パルス光のチャープレート(スペクトル幅とパルス幅との比)が励起パルス光の中心波長に応じて変化することになる。励起パルス光は、波長によらずスペクトル幅もパルス幅もほぼ一定であり、チャープレートも一定であるから、励起パルス光の中心波長の変化により励起パルス光と信号パルス光のチャープレートとが一致しなくなってしまう。
被検体に照射する2つのパルス光のチャープレートが互いに異なっていると、ある分子振動数を有する分子の計測において、パルス幅内で2つのパルス光の周波数差の中に分子振動数に一致しない周波数差成分が生じてしまう。そのため、被検体から得られるラマンスペクトルに、分子振動数に一致しない周波数差成分によるノイズが含まれ、分解能が低下するという課題が生じる。
本発明は上記課題を解決するため、本発明に係る光源装置は、中心波長差が可変な2つのパルス光を射出する光源装置であって、中心波長が可変な第1のパルス光を射出する光源と、前記第1のパルス光の入射により、前記第1のパルス光とは異なる中心波長を有する第2のパルス光を発生させる非線形光学媒質と、前記第2のパルス光に波長分散を与える波長分散調整器と、を備えており、前記波長分散調整器にて与えられる波長分散量が可変であることを特徴とする。
また、本発明にかかる情報取得装置は、中心波長差が可変な2つのパルス光を被検体に照射し、前記被検体にて反射される光、前記被検体を透過する光、前記被検体において発せられる光、のうち少なくとも1つを検出して前記被検体の情報を取得する情報取得装置であって、中心波長差が可変な2つのパルス光を射出する光源装置と、前記被検体にて反射される光、前記被検体を透過する光、前記被検体において発せられる光、のうち少なくとも1つを受光する受光素子と、を備える情報取得装置であって、前記光源装置を備えることを特徴とする。
本発明に係る光源装置を用いれば、被検体に照射する直前の励起パルス光と信号パルス光とのチャープレートの差を所定値以下とすることが可能となる。そして、本発明に係る情報取得装置は、被検体から得られるラマンスペクトルの分解能を、励起パルス光の中心波長によらず高くすることができる。
本発明の実施形態1にかかる光源装置を説明する模式図 本発明の実施形態2にかかる光源装置を説明する模式図 本発明の実施形態3にかかる光源装置を説明する模式図 本発明実施形態1にかかる情報取得装置を説明する模式図 実施形態1の光源装置における、励起パルス光および信号パルス光に含まれる時間成分と周波数成分の分布を示すスペクトログラム 実施形態3の光源装置における、励起パルス光および信号パルス光に含まれる時間成分と周波数成分の分布を示すスペクトログラム β>0かつβ>0の非線形光学媒質中における光の伝搬定数の位相不整合Δβとパラメトリック利得Gを表すグラフ β>0かつβ<0の非線形光学媒質中における光の伝搬定数の位相不整合Δβとパラメトリック利得Gを表すグラフ β<0かつβ>0の非線形光学媒質中における光の伝搬定数の位相不整合Δβとパラメトリック利得Gを表すグラフ β<0かつβ<0の非線形光学媒質中における光の伝搬定数の位相不整合Δβとパラメトリック利得Gを表すグラフ
本発明に係る光源装置は、中心波長が可変な励起パルス光を発する光源と、励起パルス光と信号パルス光とに分岐する分岐器と、信号パルス光を発生させる非線形光学媒質とを有している。さらに、少なくとも信号パルス光の波長分散を調整する波長分散調整器を備えている。非線形光学媒質には光ファイバ、特にフォトニック結晶ファイバやテーパーファイバを好適に用いることができる。
光源で発せられた励起パルス光を非線形光学媒質に入射させると、非線形光学媒質の光パラメトリック利得によって、励起パルス光とは異なる波長を有する信号パルス光が発生する。この時、励起パルス光の中心波長をわずかに変化させると、光パラメトリック利得によって生じる信号パルス光の中心波長は大きく変化する。従って、本発明に係る光源装置は、射出する2つのパルス光の中心波長差、即ち周波数差を広帯域で変化させることが可能となる。
非線形光学媒質に入射する励起パルス光の中心波長が変化すると、光パラメトリック利得のスペクトル幅が変化し、発生する信号パルス光のスペクトル幅も変化するが、パルス幅は変化しない。即ち、信号パルス光のチャープレート(スペクトル幅とパルス幅との比)は励起パルス光の中心波長に応じて変化することになる。ところが、励起パルス光は、波長によらずスペクトル幅もパルス幅もほぼ一定であり、チャープレートも一定である。従って、励起パルス光の中心波長の変化によって信号パルス光のチャープレートと励起パルス光のチャープレートとが一致しなくなり、被検体から得られるラマンスペクトルの分解能が低下してしまう。
そこで、本発明では、励起パルス光の中心波長の変化に応じて、少なくとも信号パルス光のチャープレートを波長分散調整器で調整する。具体的には、励起パルス光の中心波長の変化に合わせて波長分散調整器で信号パルス光に波長分散を与えることにより、信号パルス光のパルス幅を変化させ、信号パルス光のチャープレートを逐次調整する。
本発明について詳細な説明をする前に、励起パルス光から信号パルス光を発生させる光パラメトリック利得の根源である、四光波混合の発生原理について説明する。
四光波混合とは、互いに周波数(波長)の異なる2つの光(励起光)を非線形光学媒質である光ファイバ内に入射した際に、励起光のどの波長とも一致しない波長に新たな光が発生する現象である。この時、ファイバに入射した光のエネルギーの一部が、四光波混合により新たに発生した光のエネルギーへと変換される。例えば、周波数がそれぞれωとωである2つの光を非線形光学媒質103に入射させ、周波数がそれぞれωとωである2つの光が新たに発生したとすると、それぞれの周波数はω+ω=ω+ωの関係を満たす。
入射させる光(励起光)の周波数が1つの場合、即ちω=ω=ωである場合は、縮退四光波混合と呼ばれ、周波数がそれぞれω+Δω、ω−Δωである2つの光が、周波数ωに対して対称に発生する。一般的に高周波数側をシグナル光、低周波数側をアイドラー光と呼び、両者をまとめて信号光と呼ぶ。以下、シグナル光の周波数をωS1(=ω+Δω)、アイドラー光の周波数をωS2(=ω−Δω)と表す。
縮退四光波混合は、互いに周波数の異なる2つの光を入射させる場合に比べて波長の制御や構成が簡単であるため、SRSやCARSを用いた情報取得装置の光源に広く利用されている。以下は縮退四光波混合について説明する。
縮退四光波混合を効率良く発生させるためには、非線形光学媒質中へ入射させる励起光の伝搬定数をβ、シグナル光の伝搬定数をβS1、アイドラー光の伝搬定数をβS2として、以下の式で表される位相整合条件を満たす必要がある。
Figure 0006501451
Δβは非線形光学媒質中における各々の光の伝搬定数の位相不整合、γは非線形光学媒質の非線形係数、Pは励起光のピーク強度である。また、nは非線形光学媒質の非線形屈折率、Aeffは非線形光学媒質である光ファイバのコアの有効断面積、cは真空中での光の速さである。
非線形光学媒質中における各々の光の伝搬定数の位相不整合Δβは、周波数差Δωを用いて以下の式で表すことができる。
Figure 0006501451
ただし、βは非線形光学媒質の励起光の周波数における群速度分散、βは群速度分散βの2次導関数である。なお、群速度分散βは、励起光の伝搬定数βの2次導関数である。
このときの光パラメトリック利得Gは、以下の式で表される。
Figure 0006501451
Lは非線形光学媒質の長さである。
ここで、βとβのそれぞれを正あるいは負とする4通りについて、数式(2)、数式(3)それぞれをグラフにしたものを図7〜10に示す。
図7はβ>0かつβ>0の場合を示す。図7(a)が数式(2)をグラフ化したもので、縦軸をΔβ、横軸をΔωとしている。図7(b)が数式(3)をグラフ化したもので、縦軸をG、横軸をΔωとしている。図7〜10の(a)(b)のグラフも同様である。
数式(1)で表されるΔβの位相整合条件において、非線形光学媒質の非線形係数γ、励起光のピーク強度Pは共に正の値であり、Δβは負の値をとることになる。ところが、図7(a)から分かるように、β>0かつβ>0の場合は、数式(1)を満たす領域がない。つまり、数式(3)で表される光パラメトリック利得Gを得ることができず、このような非線形光学媒質では、励起光を入射してもシグナル光もアイドラー光も生成されない。
図8はβ>0かつβ<0の場合を示している。図8(a)グラフには、数式(1)で表されるΔβの位相整合条件が成立する範囲をハッチングで示している。グラフから、数式(1)で表される位相整合条件を満たすΔωの範囲が、励起光の周波数から離れた箇所に比較的狭い領域で存在することがわかる。従って、図8(b)に示されるように、ある特定周波数の励起光を非線形光学媒質に入射すると、比較的狭い周波数帯域に光パラメトリック利得Gが存在することになり、周波数帯域の狭いシグナル光とアイドラー光が生成される。
図9はβ<0かつβ>0の場合、図10はβ<0かつβ<0の場合をそれぞれ示している。図9(a)、図10(a)に示すように、励起光をβ<0の領域(異常分散領域)で動作させたときには、数式(1)で表される位相整合条件を満たすΔωの範囲が比較的広くなることがわかる。すなわち、図9(b)、図10(b)に示すように、ある特定周波数のパルス光を非線形光学媒質に入射させると、比較的広い周波数帯域に光パラメトリック利得Gが存在することになり、広い周波数帯域にわたってシグナル光とアイドラー光が生成される。
以上の事から、縮退四光波混合を利用してスペクトル幅の狭いパルス光を生成するためには、β>0かつβ<0を満たす非線形光学媒質を用いる。この様な非線形光学媒質は、光ファイバのコアとクラッドとの屈折率差が適切な値になるように、コア材料およびクラッド材料を選択したり、光ファイバの形状を設計したりすることにより実現することができる。
縮退四光波混合により発生するシグナル光およびアイドラー光の励起パルス光に対する周波数シフト量Δω(波長シフト量Δλ)、シグナル光およびアイドラー光の周波数幅δω(スペクトル半値幅δλ)は、それぞれ以下の式で表せられる。
Figure 0006501451
Figure 0006501451


Figure 0006501451
Figure 0006501451

ωは非線形光学媒質の零分散周波数、λは励起パルス光の中心波長、λは非線形光学媒質の零分散波長、βは零分散波長における群速度分散βの1次導関数、cは光速である。式(5)より、励起パルス光の中心波長λをわずかに変化させることで、シグナル光(またはアイドラー光)の波長を数式(5)の係数分だけ大きく変化させることができる。また、数式(7)より、非線形係数γが小さく、βの大きな非線形光学媒質を用いれば、スペクトル幅δλの狭いシグナル光(またはアイドラー光)を生成することが可能であることが分かる。シグナル光およびアイドラー光のいずれか一方またはその両方の光を、信号パルス光として利用することができる。
上述した四光波混合の発生原理に基づいて、信号パルス光のチャープレートを調整する方法について説明する。図5は、式(6)と(7)に基づき、横軸を時間、縦軸を周波数として、励起パルス光および信号パルス光に含まれる時間成分と周波数成分の分布を示すスペクトログラムである。励起パルス光のスペクトログラムを濃い色の楕円、信号パルス光(図5ではシグナル光)のスペクトログラムを薄い色の楕円で表している。図では、簡略化のため、互いに異なる中心波長を有する3つの励起パルス光と、それにより生じる信号パルス光を示している。
図5において、周波数がω(1)、ω(2)、ω(3)の励起パルス光のチャープレートC(n)=δω(n)/δt(n)は、それぞれ楕円の傾きC(1)、C(2)、C(3)で表される。ここで、nは、単に励起パルス光の中心波長(周波数)が異なることを表すための符号である。
励起パルス光のスペクトル幅δω(n)およびパルス幅δt(n)は中心波長によらず(nによらず)一定であるため、チャープレートC(n)も一定となる。周波数がω(1)、ω(2)、ω(3)の励起パルス光によって生じる周波数がω(1)、ω(2)、ω(3)の信号パルス光のスペクトル幅は、それぞれδω(1)、δω(2)、δω(3)で表される。チャープレートC(n)(C(n)=δω(n)/δt(n))は、楕円の傾きC(1)、C(2)、C(3)で表される。
図5(a)は、信号パルス光のチャープレート調整を行わない場合、図5(b)はチャープレート調整を行う場合を表している。
式(5)および図5から分かる通り、信号パルス光の中心波長のシフト量Δωは励起パルス光の中心波長の変化に応じて変化し、式(6)で表される信号パルス光のスペクトル幅δωも変化する。しかし、信号パルス光のパルス幅δtは、励起パルス光の中心波長によらずほぼ一定である。
図5(a)のように信号パルス光のチャープレート調整を行わない場合は、励起パルス光の中心波長の変化に応じて信号パルス光のチャープレートCが変化し、励起パルス光のチャープレートと信号パルス光のチャープレートCが一致しなくなる。つまり、励起パルス光と信号パルス光の周波数差は、パルス幅内で一定に保たれない。
このような状態において、例えば周波数ω(3)の励起パルス光とそれによって生じた周波数ω(3)の信号パルス光とを被検体に照射した場合を考える。図5(a)において、t1における励起パルス光と信号パルス光との周波数差はt1におけるC3線とC3線との差に相当し、t2における励起パルス光と信号パルス光との周波数差はt1におけるC(3)を表す線とC(3)を表す線との差に相当する。ある分子振動数を有する分子の計測において、t1における励起パルス光と信号パルス光との周波数差がちょうど分子振動数に一致していたとすると、t2における励起パルス光と信号パルス光との周波数差は分子振動数からずれてしまう。
この様に、パルス幅内で被検体に照射する2つのパルス光の周波数差が変化すると、被検体の分子の分子振動数に相当する周波数差が維持される時間が短くなる。その結果、励起パルス光と信号パルス光のエネルギーを、被検体を構成する分子の分子振動数に対応した誘導ラマン散乱光の発生に、効率よく利用することができない。従って、結果的に被検体から得られる信号強度が低くなり、ラマンスペクトルの分解能が低下してしまう。
本発明にかかる光源装置は、図5(b)に示すように、被検体に照射する直前の励起パルス光と信号パルス光のチャープレートが互いに等しくなるように、信号パルス光に波長分散を与えることが可能となっている。具体的には、励起パルス光の中心波長の変化に応じて波長分散調整器にて与える波長分散量を変化させ、信号パルス光のパルス幅を逐次調整し、被検体に照射する直前の信号パルス光のチャープレートを励起パルス光のチャープレートに合わせている。その結果、被検体上における励起パルス光と信号パルス光との周波数差を、励起パルス光の中心波長によらずパルス幅内でほぼ一定に保つことができ、被検体に照射するパルス光のエネルギーを誘導ラマン散乱光の発生に効率よく利用することができる。
なお、ここでいう「信号パルス光と励起パルス光とのチャープレートが互いに等しい」とは、信号パルス光と励起パルス光との間のチャープレートの差が所定値以下である状態を言う。「信号パルス光のチャープレートを励起パルス光のチャープレートに合わせる」も、同様の意味で用いる。
また、所定値とは、光源装置を組み込む情報取得装置において、被検体から必要なラマンスペクトルの分解能が得られる値であればよく、具体的には数cm−1以下であればよい。この条件は下記の式で表すことができる。
Figure 0006501451

δωは励起パルス光の周波数幅、δtは励起パルス光のパルス幅である。
以下、本発明にかかる光源装置および情報取得装置の実施形態を、図面を用いて説明するが、本発明は実施形態の構成等に何ら限定されるものではない。各図面において、同じ符号を付した部材は、同じ部材もしくは対応する部材を意味している。
(実施形態1)
図1に、本発明にかかる光源装置100の概略図を示す。光源1は、中心波長λが可変な第1のパルス光(励起パルス光)を射出することができる。光源1としては、例えばレーザ共振器の中に波長フィルタを内蔵しレーザ媒体の利得帯域内で波長を可変することができる、パルスレーザが好適である。
光源1から射出された第1のパルス光Lは、光路2を通り、分岐器3にて光路4−1へ進む光LC1と光路4−2へ進む光LC2とに分岐される。光路4−1へと分岐された第1パルス光LC1は、非線形光学媒質5へと導かれる。第1のパルス光が入射すると、非線形光学媒質5では、非線形光学媒質5の光パラメトリック利得により第1のパルス光とは異なる中心波長λsを有する第2のパルス光(信号パルス光)Lが発生する。非線形光学媒質5で発生した第2パルス光Lは、合波器7にて第1パルス光LC2と合波されて射出される。光源1から射出されるパルス光のスペクトル幅は1nm以下が好ましい。これは、パルス光のスペクトル幅が狭いほど非線形光学媒質5で四光波混合が効率良く起こり、光パラメトリック利得が十分に確保されるからである。
本発明では、光源装置100から射出される際に、被検体に照射する直前の第1のパルス光と第2パルス光とのチャープレートを互いに合った状態とするため、非線形光学媒質5と合波器7との間に波長分散調整器6を備えている。本実施形態では、第2のパルスλ以外のパルス光を遮断するバンドパスフィルタ14を挿入しているが、構成によってはバンドパスフィルタ14を省略することも可能である。
波長分散調整器6は、例えば、不図示のアクチュエータ等によって相互の間隔を調整可能な回折格子対9(9A、9B)とミラー10とを備えている。非線形光学媒質5で発生した第2のパルス光Lは光路4−1を経て波長分散調整器4へと進み、ミラー8で進行方向を変えられて回折格子対9を通過し、ミラー10によって反射され、再び回折格子対9を通過して元の光路4−1へ戻る。第2のパルス光が回折格子対9を通過する際、第2のパルス光には回折格子対9を構成する回折格子9Aと9Bとの間隔に応じた量の波長分散が与えられる。
例えば、第1のパルス光の中心波長を長く(周波数を低く)した場合、回折格子9Aと9Bとの間隔を広くして与える波長分散量を大きくすると、パルス幅を大きくしてチャープレートを小さくすることができる。このように、与える波長分散量を調整して第2のパルス光のパルス幅を変化させれば、第2のパルス光チャープレートを調整することができる。
回折格子対9を構成する回折格子9Aと9Bとの間隔、即ち、第2パルス光に与える波長分散量は、制御部11により、光源1から射出される第1のパルス光λの中心波長に応じて制御可能となっている。制御部11は、第1のパルス光の中心波長から第2のパルス光に与える波長分散量を算出し、回折格子9Aと9Bとの間隔を制御する。
具体的には、励起パルス光の中心波長が最も短い時の回折格子9Aと9Bとの間隔を基準とし、励起パルス光の中心波長が長くなるにつれて回折格子9Aと9Bとの間隔を広げてゆけばよい。光源1から送られる第1のパルス光の中心波長のデータを受けて、制御部11は、保持しているテーブルあるいは換算式から回折格子9Aと9Bとの間隔を決定する。そして、算出した値に基づき、アクチュエータ等の駆動手段によって回折格子9Aと9Bの少なくとも一方を移動させる。回折格子9Aと9Bとの間隔を決定するためのテーブルあるいは換算式は、光源装置を組み込む情報取得装置の構成が有する分散特性を考慮して決まるものである。光源装置100を組み合わせる情報取得装置の構成に適したテーブルあるいは換算式を、制御部11に備え付けたメモリに保存しておけばよい。
回折格子対9に代えてプリズム対を用いてもよい。プリズム対を用いた場合も、同様にプリズム対を構成するプリズム間の距離を調整して、第2のパルス光のチャープレートを調整することができる。
図1では波長分散量調整器6を光路4−1だけに設けた構成を示しているが、光路4−1と4−2の両方に設け、被検体照射される直前の第1のパルス光と第2のパルス光とのチャープレートの差が合うように、両方のパルス光に波長分散を与えてもよい。
本実施形態では光路4−2にディレイ13を挿入して、第1のパルス光と第2のパルス光の射出タイミングを調整しているが、光源装置に必ずしもディレイ13を設ける必要はない。例えば、光源装置100を組み込む情報取得装置側にディレイを設ける場合などは、ディレイ13を省略しても構わない。
(実施形態2)
図2に、本発明にかかる光源装置の別の実施形態を示す。本実施形態は、光パラメトリック発振器(FOPOと略すことがある)を備えている点で、実施形態1の光源装置とは異なっている。分岐器3や非線形光学媒質5、波長分散調整器6−1、6−2などの各要素には、実施形態1に例示したものを採用することができる。
光源1から射出された中心波長λの第1のパルス光は、光路2を通り、分岐器3にて光路4−1へ進む光LC1と光路4−2へ進む光LC2とに分岐される。光路4−1へと分岐された第1のパルス光LC1は、合波器15を介して非線形光学媒質5を含む共振器(光パラメトリック発振器)17へ導かれ、第1のパルス光Lを発生させる。
本実施例では非線形光学媒質5が共振器内に配置されているため、第1のパルス光LC1および第2のパルス光Lを、繰り返し非線形光学媒質5を通過させることが可能である。第1のパルス光LC1が共振器内の非線形光学媒質5を通過する度に中心波長λの第2のパルス光Lが発生する。このように、第1のパルス光LC1および第2のパルス光Lを、共振器内を周回させてパラメトリック発振させることにより、第2のパルス光Lの強度を高めることができる。共振器17で発振させた第2のパルス光Lは、分岐器16を介して共振器17の外へと取り出される。
共振器17を設ける場合、第1のパルス光Lのパルスレートを、第2のパルス光Lの波長λにおける共振器の自由スペクトル間隔(Free Spectral Range、以下FSRと略す)の整数倍にしておくのが好ましい。このような関係を満たすことで、第2のパルス光を共振器内で効率良く発振させ、ピーク強度の高いパルス光として取り出すことができる。
共振器17から取り出され、バンドパスフィルタ14を通過した第2のパルス光Lは、実施形態1と同様にして、波長分散調整器6にて波長分散が与えられ、チャープレートが調整される。そして、被検体に照射する直前の第1のパルス光と第2のパルス光とのチャープレートが合う状態にしておく。チャープレートが調整された第2パルス光Lは、合波器7で光路4−2を通過した第1のパルス光LC1と合波され、射出される。
共振器内に非線形光学媒質5を配置した本実施形態にかかる光源装置は、実施形態1よりも第1のパルス光と第2のパルス光のピーク強度のバランスをとり易くなる。また、第2のパルス光のピーク強度を高くすることができるため、ピーク強度の高いパルス光を必要とする情報取得装置に好適である。
(実施形態3)
図3に、本発明にかかる光源装置の別の実施形態を示す。本実施形態は、励起パルス光の入射により非線形光学媒質で発生するシグナル光とアイドラー光を射出する点で、他の実施形態とは異なっている。
光源1から射出された中心波長λの第1のパルス光(励起パルス光)Lを非線形光学媒質5に入射させて、中心波長λS1の第2のパルス光(シグナル光)LS1と中心波長λS2の第3のパルス光(アイドラー光)LS2の2つの信号パルス光を発生させる。非線形光学媒質5から取り出される3つのパルス光のうち、第1のパルス光をバンドパスフィルタ14で遮断した後、分岐器3にて第2のパルス光LS1と第3のパルス光LS2に分岐する。第2のパルス光LS1は光路4−1へ進み、波長分散調整器6−1にて波長分散が与えられパルス幅が調整される。第3のパルス光LS2は光路4−2へと進み、波長分散調整器6−2にて波長分散が与えられパルス幅が調整され、さらに光変調器21にて強度変調される。そして、第2のパルス光LS1と第3のパルス光LS2は、合波器7にて合波され、光源装置100から射出される。分岐器3や非線形光学媒質5、波長分散調整器6−1、6−2などの各要素には、実施形態1に例示したものを採用することができる。
図6(a)に信号パルス光のチャープレート調整を行わない場合の励起パルス光および信号パルス光に含まれる時間成分と周波数成分の分布を示すスペクトログラムを示す。周波数がω(1)、ω(2)、ω(3)の励起パルス光のチャープレートC(n)は、それぞれ楕円の傾きC(1)、C(2)、C(3)である。周波数がω(1)、ω(2)、ω(3)の励起パルス光Lによって生じるシグナル光LS1の周波数はそれぞれωS1(1)、ωS1(2)、ωS1(3)、スペクトル幅はδωS1(1)、δωS1(2)、δωS1(3)である。チャープレートはCS1(1)、CS1(2)、CS1(3)である。周波数がω(1)、ω(2)、ω(3)の励起パルス光Lによって生じるアイドラー光LS2の周波数がωS2(1)、ωS2(2)、ωS2(3)、スペクトル幅は、それぞれδωS2(1)、δωS2(1)、δωS2(2)、δωS2(3)である。チャープレートはCS2(1)、CS2(2)、CS2(3)である。
図6(a)を図5(a)と比較してわかるとおり、光源100から射出する2つのパルスとしてシグナル光とアイドラー光とを用いる本実施形態は、他の実施形態よりも2つのパルスの周波数差の可変幅を大きくすることが可能である。しかし、パルス幅内におけるシグナル光LS1とアイドラー光LS2とのチャープレートの差が大きいため、このままではSRSやCARSを用いた情報取得装置に用いることができない。
それに対して、図6(b)は、本実施形態にかかる光源装置にて信号パルス光のチャープレート調整を行なった場合の励起パルス光Lおよび信号パルス光LS1、LS2に含まれる時間成分と周波数成分の分布を示すスペクトログラムである。
図6(a)では2つの信号パルス光、即ち第2のパルス光LS1および第3のパルス光LS2のそれぞれに、第1のパルス光Lの中心波長に応じた波長分散量を与えることにより、非常に大きいパルス幅内の周波数差を低減することができる。このとき、同じ励起パルス光Lの中心波長に対して、第2のパルス光LS1に与える波長分散量と第3のパルス光LS2に与える波長分散量は互いに異なる。
第2のパルス光LS1には、他の実施形態と同様に、励起パルス光Lの中心波長が最も短い時の回折格子9Aと9Bとの間隔を基準とし、励起パルス光Lの中心波長が長くなるにつれて間隔を広げてゆけばよい。第3のパルス光LS2も同様に、励起パルス光の中心波長が最も短い時の回折格子9Aと9Bとの間隔を基準とし、励起パルス光の中心波長が長くなるにつれて間隔を広げてゆけばよい。ただし、図6から分かるように、第3のパルス光LS2に与える波長分散量と第2のパルス光LS1に与える波長分散量よりも大きな値になる。
本実施形態にかかる光源装置は、2波長の波長差を大きくでき、高いラマン周波数を観測したい情報取得装置に好適である。また、信号パルス光はノイズ成分が少ないため、信号パルス光のみを情報取得に用いることで良好なSN比を実現することができる。
(実施形態4)
図4は本実施形態に係る情報取得装置を示す模式図である。本実施形態では、実施形態1で説明した光源装置100を用いてSRSイメージングを行う顕微鏡(SRS顕微鏡)を装置例に挙げて説明する。
SRSイメージングとは、物質に入射するポンプ光とストークス光の干渉によってストークス光が増幅される誘導ラマン散乱という現象を利用し、分子振動イメージングを取得する手法である。具体的には、互いに波長が異なる2つのパルス光のうち一方のパルス光即ちストークス光を強度変調した状態で、2つのパルス光を同期させて被検体に照射する。2波長間の差周波が被検体を構成する分子の分子振動数と一致した時に誘導ラマン散乱が生じ、強度変調されているストークス光が増幅される。このとき、ストークス光の強度変調に応じて、強度変調されていない方のパルス光即ちポンプ光も強度変調され、被検体から射出されるポンプ光の誘導ラマン散乱による強度変調分を検出することにより、被検体の分子振動イメージングが可能となる。また、パルス光の中心波長を変化させ、2つのパルス光の間の差周波を変化させることで、様々な分子の分子振動数に一致させることができ、被検体を構成する分子群に特有の信号を得ることができる。
光源1で発せられる励起パルス光(第1のパルス光)λを分岐器3で2つに分岐させ、うち一方の光を光変調器21にて変調させてSRS顕微鏡用のストークス光として用いる。そして、他方の光を非線形光学媒質5へ入射してシグナル光とアイドラー光とを生成させる。シグナル光とアイドラー光のいずれか一方の光(本実施形態ではシグナル光)を信号パルス光(第2のパルス光)λとしてバンドパスフィルタ14を介して取り出す。非線形光学媒質5には、β>0かつβ<0の条件を満たし、非線形係数の高い光ファイバを好適に用いることができる。バンドパスフィルタ14から取り出された信号パルス光を波長分散調整器6へ入射させ、励起パルス光の中心波長に応じた波長分散量を与える。波長分散量調整器6によりチャープレートが調整された信号パルス光は、SRS顕微鏡用のポンプ光として用いる。
ストークス光とポンプ光とを合波器7にて合波して被検体に照射する。互いに異なる中心波長を有する複数のパルス光を合波する合波器7としては、光カップラ、回折格子、プリズムなどを用いることができる。
合波されたストークス光とポンプ光は、ビームエキスパンダ22、Xスキャンミラー23、Yスキャンミラー24、対物レンズ25を経由して、ステージ27の上に設置した被検体26に集光される。
被検体26において、対物レンズ25の集光点中央の微小領域では、分子の分子振動に基づく誘導ラマン散乱が生じ、それによりポンプ光、ストークス光の強度変化が生じる。集光点中央の微小領域から外れると誘導ラマン散乱が生じないので、ポンプ光、ストークス光の強度変化は生じない。なお、被検体25に照射される光のスポットのサイズは、対物レンズ25のNAが大きいほど小さくなり、それに伴い、誘導ラマン散乱が生じる微小領域のサイズも小さくなる。
この時、波長分散量調整器6によって第2のパルス光のチャープレートを調整しておくことにより、集光点においてストークス光とポンプ光との周波数差がパルス幅内でほぼ一定となり、誘導ラマン散乱を効率良く発生させることが可能となる。波長分散量調整器6にてチャープレートを調整する際には、各パルス光が波長分散調整器6から被検体に照射されるまでに与えられる波長分散も考慮し、被検体に照射される直前に第1のパルス光と第2のパルス光のチャープレートが合った状態とする。具体的には、合波器7、ビームエキスパンダ22、Xスキャンミラー23、Yスキャンミラー24、対物レンズ25などの光路上に設けられた光学部材が有する波長分散特性を考慮して、チャープレートを調整する。
集光点中央の微小領域で発生した誘導ラマン散乱により強度変調されたポンプ光は、集光レンズ28、バンドパスフィルタ29を通過後、受光素子30へ入射してSRS信号として検出され、情報取得部31により画像信号として取得される。
一般的に分子のラマン散乱断面積σは小さいため、誘導ラマン散乱によるポンプ光の強度変化も微弱になる。このため、ポンプ光の強度変化からSRS信号を検出する際、SRS信号がノイズ成分などに埋もれる場合がある。本実施形態では、同期検出器32と制御手段33とを備える情報取得部31を用い、受光素子30にて受光され電気信号に変換されたポンプ光の強度変調を光変調器の変調周波数に同期させて検出し、被検体26の分子振動イメージングを得ている。同期検出した信号を増幅すれば、SRS信号を高感度に検出することが可能となる。
同期検出器32としては、ロックインアンプやFFTアナライザなどを用いることができるが、FFTアナライザはロックインアンプに比べ高速にSRS信号を検出することが可能である。図4では、同期検出器32と制御手段33を別体で構成を示しているが、これらが一体となった情報取得部31を用いても良い。同期検出器32と制御手段33とが一体となった例としては、制御手段33として用いられるCPUを備えるコンピュータが、同期検出機能を有するアプリケーションを内蔵する例が挙げられる。
Xスキャンミラー23を駆動すると、集光点が被検体26内部をX方向へスキャンし、Yスキャンミラー24を駆動すると、集光点が被検体26内部をX方向と垂直なY方向へスキャンすることができる。従って、Xスキャンミラー23、Yスキャンミラー24によって集光点を被検体26上で走査すれば、二次元画像を取得することができる。
さらに、一回の二次元スキャン終了後、ステージ27を動かして集光点を光軸方向に所定距離だけ移動させ、同様の2次元スキャンを繰り返すことで、被検体26の三次元画像を得ることが可能となる。
また、一回の二次元スキャンまたは三次元スキャン終了後、パルスレーザ1の中心波長を変化させることで、ポンプ光とストークス光の2波長間の差周波を変化させ、被検体26中に含まれる様々な分子の分子振動数に一致させることができる。これにより、二次元または三次元の分子振動画像を得ることが可能となる。
本実施形態にかかるSRS顕微鏡に用いる光源1から射出されるパルス光のパルス幅は1ns以下であることが好ましく、100ps以下であることがさらに好ましい。これは、パルス光のパルス幅が狭いほどパルス光のピーク強度が大きく、被検体26で生じる非線形効果の有無を精度よく検出することができるからである。また、光源1から射出されるパルス光のパルスレートは1MHz以上1GHz以下が好ましい。これは、SRS顕微鏡として現実的に求められる測定速度の制約から1MHz以上が好ましく、被検体26に生じる熱的破壊の制約から1GHz以下が好ましい。
また、SRS顕微鏡は、生体組織の観察に好適に用いられることから、光源1から出射される各パルス光は、生体による反射や吸収、散乱が小さく、透過し易い波長が好ましい。従って、光源1から出射される各パルス光の中心波長は、300nm以上1500nm以下であることが好ましく、700nm以上1300nm以下であることが特に好ましい。例えば、光源1にはモード同期Yb(イッテルビウム)ドープファイバレーザが好適である。
以上のように、本実施形態に係るSRS顕微鏡は、パルス光の中心波長の変化に応じて誘導ラマン散乱のポンプ光とストークス光のチャープレートを逐次合わせることができる。従って、被検体26から得られるラマンスペクトルの分解能を向上させることができ、SN比の大きい鮮明な画像を取得することができる。
また、従来のSRS顕微鏡装置に比べ、光源装置を小型化、低コスト化することができたため、SRS顕微鏡装置全体の小型化、低コスト化を実現することができる。
本実施形態では、2つのパルス光を被検体に照射し、前記被検体にて反射される光、前記被検体を透過する光、前記被検体において発せられる光の少なくとも1つを検出し、前記被検体の情報を取得する情報取得装置として、SRS顕微鏡を例にとって説明した。しかし、これに限定されるものではなく、CARS顕微鏡、蛍光顕微鏡、内視鏡などの情報取得装置にも、本実施形態と同様に実施形態1乃至3のいずれかの光源装置を用いることができる。

Claims (20)

  1. 中心波長が可変な第1のパルス光を射出する光源と、
    前記第1のパルス光の入射により、前記第1のパルス光とは異なる中心波長を有する第2のパルス光を発生させる非線形光学媒質と、
    前記第2のパルス光に波長分散を与える第1の波長分散調整器と、を備え、
    中心波長差が可変な前記第1のパルス光と前記第2のパルス光を射出する光源装置であって、
    前記非線形光学媒質の前記第1のパルス光の周波数における群速度分散β 、及び前記β の2次導関数であるβ が、β >0、β <0を満たし、
    β を前記β の1次導関数、ω を前記第1のパルス光の周波数、ω を前記非線形光学媒質の零分散周波数、λ を前記非線形光学媒質の零分散波長、λcを前記第1のパルス光の中心波長、cを光速、γを非線形係数、P を前記第1のパルス光のピーク強度とし、前記第2のパルス光の前記第1のパルス光に対する周波数シフト量Δωが以下の数式(4)で、前記第2のパルス光の前記第1のパルス光に対する波長シフト量Δλが以下の数式(5)で表されるときに、
    Figure 0006501451

    Figure 0006501451

    前記非線形光学媒質が、前記第2のパルス光の周波数幅δωが以下の数式(6)を、前記第2のパルス光のスペクトル半値幅δλが以下の数式(7)を満たすような媒質であり、
    Figure 0006501451

    Figure 0006501451

    前記第1の波長分散調整器は、前記第1のパルス光の中心波長が長いほど、前記第2のパルス光に与える波長分散量を大きくすることを特徴とする光源装置。
  2. 前記第1の波長分散調整器は、前記第1のパルス光のチャープレートと、前記第2のパルス光のチャープレートとの差が所定値以下となるように、前記第2のパルス光に波長分散を与えることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
  3. 前記第1の波長分散調整器が与える波長分散量を制御する制御部を備えており、
    前記制御部が前記第1のパルス光の中心波長の情報を受けて前記波長分散量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
  4. 前記第1の波長分散調整器が回折格子対を備えており、
    前記制御部が、前記回折格子対の間隔を変化させて、与える波長分散量を変化させることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光源装置。
  5. 前記第1のパルス光の中心波長が長いほど、前記制御部は、前記回折格子対の間隔を広くして、前記第2のパルス光に与える波長分散量を大きくすることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
  6. 前記波長分散調整器がプリズム対を備えており、
    前記制御部が、前記プリズム対に含まれるプリズムの間の距離を変化させて、前記第2のパルス光に与える波長分散量を変化させることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光源装置。
  7. 前記第2のパルス光を発振させる共振器を備えており、前記非線形光学媒質が前記共振器内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光源装置。
  8. 前記第1のパルス光のパルスレートが、前記第2のパルス光の中心波長における前記共振器の自由スペクトル間隔の整数倍であることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
  9. 前記光源装置が、前記非線形光学媒質と前記第1の波長分散調整器との間に、前記非線形光学媒質を通過した前記第1のパルス光を遮断するフィルタを備えていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の光源装置。
  10. 前記第1のパルス光の入射により前記非線形光学媒質にて発生する、前記第1のパルス光および前記第2のパルス光とは異なる中心波長を有する第3のパルス光に波長分散を与える第2の波長分散調整器を備えており、
    前記第2の波長分散調整器にて与えられる波長分散量が可変であることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
  11. 前記第2の波長分散調整器は、前記第1のパルス光の中心波長が長いほど、前記第3のパルス光に与える波長分散量を大きくすることを特徴とする請求項10に記載の光源装置。
  12. 前記光源装置から射出される中心波長差が可変な2つのパルス光が、前記第2のパルス光と前記第3のパルス光であることを特徴とする請求項10または11に記載の光源装置。
  13. 前記非線形光学媒質が、フォトニック結晶ファイバを含んでいることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光源装置。
  14. 前記非線形光学媒質が、テーパーファイバを含んでいることを特徴とする1乃至13のいずれか1項に記載の光源装置。
  15. 前記第1のパルス光のスペクトル幅が1nm以下であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光源装置。
  16. 中心波長差が可変な2つのパルス光を被検体に照射し、前記被検体にて反射される光、前記被検体を透過する光、前記被検体において発せられる光、のうち少なくとも1つを検出して前記被検体の情報を取得する情報取得装置であって、
    中心波長差が可変な2つのパルス光を射出する光源装置と、
    前記被検体にて反射される光、前記被検体を透過する光、前記被検体において発せられる光、のうち少なくとも1つを受光する受光素子と、
    を備える情報取得装置であって、
    前記光源装置が、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の光源装置であることを特徴とする情報取得装置。
  17. 前記被検体に照射される前の第1のパルス光のチャープレートと第2のパルス光のチャープレートとの差が、中心波長によらず以下の式を満たすことを特徴とする請求項16に記載の情報取得装置。
    Figure 0006501451

    (δωは第1のパルス光の周波数幅、δtは第1パルス光のパルス幅、γは非線形光学媒質の非線形係数、Pは第1パルス光のピーク強度、βは非線形光学媒質の励起光の周波数における群速度分散βの導関数、βは群速度分散βの2次導関数、ωは第1のパルス光の周波数、ωは非線形光学媒質の零分散周波数、cは光速)
  18. 前記中心波長が互いに異なる2つのパルス光のパルスレートが、いずれも1MHz以上1GHz以下であることを特徴とする請求項16または17に記載の情報取得装置。
  19. 前記中心波長が互いに異なる2つのパルス光のスペクトル幅が、いずれも1nm以下であることを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項に記載の情報取得装置。
  20. さらに前記受光素子で受光した光を電気信号として取得する情報取得部を備えており、前記情報取得部が、前記受光素子で受光した光の変調に同期して信号を取得する同期検出器を含むことを特徴とする請求項16乃至19のいずれか1項に記載の情報取得装置。
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