JP2017108017A - レーザ装置、及びこれを用いた計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 装置の大型化を低減しつつ、広帯域な光を出力可能なレーザ装置を提供する。【解決手段】 レーザ装置は、第1の光パルスを生成する第1の光生成部250と、第2の光パルスを生成する第2の光生成部260と、を有し、第2の光生成部は、第2の光パルスの波長を変更する波長変更手段212を有し、第1の光生成部と第2の生成部とは、可飽和吸収体207を共有している。【選択図】 図1
Description
本発明は、レーザ装置、及びこれを用いた計測装置に関する。
コヒーレントラマン散乱(Coherent Raman Scattering:CRSを利用すると生体内分子の3次元分布や体内組成を観察することが可能である。CRSの中でも特に誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering:SRS)を利用するとスペクトル歪みなく、定量的な観察が可能である。
このようなSRSを利用した計測装置では、互いに波長が異なる2つの光パルス(2波長光パルス)を試料に同時に照射してSRSを誘起する。2波長光パルスの光周波数の差が試料の分子振動数と一致すると、それら光パルスの集光点にて誘導ラマン散乱が生じる。また、2波長光パルスの光周波数を変化させることによって、光周波数に対するSRS信号の依存性(ラマンスペクトル)の検出が可能であり、試料の組織構造や組成の特定が可能である。そのため、様々な分子や組織を観察するためには、観察対象の分子振動数と2波長光パルスの光周波数の差が一致するように光源の光周波数(波長)を選択する必要がある。
ラマンスペクトルは物質同定に用いられる指紋領域と呼ばれる低い波数域から脂質を含む生体観察に有用な高い波数域(CH伸縮振動)に渡って計測ニーズがあり、500〜3500cm−1程度の広範囲での計測が望まれる。広帯域観察可能なSRS計測装置の例として、特許文献1、非特許文献1に開示された装置が提案されている。
特許文献1には、繰り返し周波数が2:1であるチタンサファイアレーザとYbファイバレーザを同期させて、試料へ同時に集光することでSRS観察が可能な構成が記載されている。特許文献1の構成では、広帯域なYbファイバレーザと可変波長選択フィルタを用いることによって、広範囲のラマンスペクトル取得を行うことができる。
非特許文献1には、1台のファイバレーザを分岐し、一方の光パルスの波長を、高非線形ファイバを用いて波長幅を拡大し、Ybファイバ光増幅器を用いて一部の光を増幅することが記載されている。これにより、CH伸縮振動領域の広範囲においてラマン分光観察を可能となる。非特許文献1では、1台の光源から2つの光パルスを生成するため、パルスを同期させる制御機構が不要となる。また、元の光源の光を十分に光増幅した後に高非線形ファイバによってYbファイバ光増幅器で増幅可能な帯域まで波長を拡大し、その後可変波長選択フィルタを用いている。
パルス同期が必要ではない他の光源の例として、非特許文献2には、可飽和吸収素子を共有することで2つの光生成部の共振を同期し、同期した2波長の光パルスを出力する光源が記載されている。
Nature Photonics,Vol.8,p.153−159,2014.
OPTICS LETTERS,Vol.36,Issue 20,pp.3984−3986,2011
特許文献1に記載の計測装置では、2台のレーザを用いるため、それぞれの出力光パルスを高精度に同期させる制御機構が必要となることから、装置が大型化、複雑化する。また、計測再現性や稼働安定性が低い恐れがある。
非特許文献1に記載の計測装置では広帯域光生成のためにパルス圧縮機構、高非線形ファイバ、多段の高出力光増幅器等が必要であることから、装置が大型化、複雑化する恐れがある。
また、非特許文献2に記載の光源では波長が固定されているため、ラマン散乱計測装置の光源として用いても一つの波数における計測しかできない。広帯域での観察には非特許文献1のように共振器外で広帯域化させる機構等が必要であることから、同様に装置が大型化、複雑化する恐れがある。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたもので、装置の大型化を低減しつつ、広帯域な光を出力するレーザ装置、及びこれを用いた計測装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面としてのレーザ装置は、第1の光パルスと第2の光パルスとを出力するレーザ装置であって、前記第1の光パルスを生成する第1の光生成部と、前記第2の光パルスを生成する第2の光生成部と、を有し、前記第2の光生成部は、前記第2の光パルスの波長を変更する波長変更手段を有し、前記第1の光生成部と前記第2の生成部とは、可飽和吸収体を共有していることを特徴とする。
本発明の一側面としてのレーザ装置によれば、装置の大型化を低減しつつ、広帯域な光を出力することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以降の実施形態は本発明を実施する形態の一例であり、これに限定するものではない。
(第1の実施形態)
本実施形態の計測装置100について、図2を参照して説明する。図2は、計測装置100の構成を説明するブロック図である。本実施形態の計測装置100は、誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering:SRS)を用いて試料を計測する誘導ラマン散乱計測装置である。誘導ラマン散乱計測装置は、顕微鏡として用いることができる。
本実施形態の計測装置100について、図2を参照して説明する。図2は、計測装置100の構成を説明するブロック図である。本実施形態の計測装置100は、誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering:SRS)を用いて試料を計測する誘導ラマン散乱計測装置である。誘導ラマン散乱計測装置は、顕微鏡として用いることができる。
SRSを利用した計測装置では、互いに波長が異なる2つの光パルス(2波長光パルス)を試料に同時に照射してSRSを誘起する。2波長光パルスの光周波数の差が試料の分子振動数と一致すると、それら光パルスの集光点にて誘導ラマン散乱が生じる。そして、試料を透過した2波長光パルスのうち、光周波数が高い、すなわち波長が短い光パルスの強度が減少し(誘導ラマンロス)、光周波数が低い、すなわち波長が長い光パルスの強度が増大する(誘導ラマンゲイン)。
この誘導ラマンロスまたは誘導ラマンゲイン(以下、ともにSRS信号という場合がある)を検出することによって、試料の分子の振動情報を反映した分子振動イメージングを行うことができる。また、2波長光パルスの光周波数を変化させることによって、光周波数に対するSRS信号の依存性(ラマンスペクトル)の検出が可能であり、試料の組織構造や組成の特定が可能である。なお、本明細書において、光パルスとは、幅のある周波数帯域の光を含み、「光パルスの波長」とは、光パルスに含まれている幅のある周波数帯域の光の中心波長又はピーク波長等を指す。
計測装置100は、レーザ装置(ファイバレーザ)101、ミラー102、106、光路長変更手段103、ダイクロイックミラー104、走査手段105、第1の対物光学系107、ステージ109、及び第2の対物光学系110を有する。また、計測装置100は、フィルタ111、検出手段112、ロックインアンプ113及び処理装置114、を更に有する。なお、図2において、各構成部品を結ぶ太い直線および矢印付き直線はそれぞれ、光路および電気配線を表す。
ファイバレーザ101は、同期した2つの光パルスを出力するパルス光源で、同期した2つの光パルスを発振可能なレーザ装置である。図1を参照して、ファイバレーザ101の構成について説明する。図1は、ファイバレーザ101の構成を説明する図である。ファイバレーザ101は、第1の光生成部250と、第2の光生成部260と、Erファイバ光増幅器209と、波長変換素子211と、Ybファイバ光増幅器219と、ファイバコリメータ210、220とを有する。なお、図1の×印はゲインファイバとそれ以外のファイバ部の区別を明示するために記載している。
第1の光生成部250は、第1の光パルスを生成する。第1の光生成部250は、第1の励起光源201、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplex)ファイバカプラ202、Erファイバ203、及びファイバアイソレータ204を有する。また、第1の光生成部250は、WDMファイバカプラ205、206、可飽和吸収体(可飽和吸収素子)207、及びファイバカプラ208を有する。第1の光生成部250は、光が共振する第1の共振器(第1の共振部)である。
第2の光生成部260は、第1の光パルスを生成する。第2の光生成部260は、WDMファイバカプラ205、206と、可飽和吸収素子207とを有する。さらに、第2の光生成部260は、可変波長選択素子212、第2の励起光源213、WDMファイバカプラ214、Ybファイバ215、分散補償素子216、共振器長変更手段(長さ変更手段)217、及びファイバカプラ218を有する。第2の光生成部260は、光が共振する第2の共振器(第2の共振部)である。
第1の光生成部250と第2の光生成部260とは、WDMファイバカプラ205、206を介して可飽和吸収素子207を共有している。
可飽和吸収素子207は、入射光束密度が高いほど透過率が上がる可飽和吸収体であり、一般的にレーザ共振器中では、連続光を光パルスにする(パルス化する)パルス化素子として機能する。第1の励起光源201から出力された連続光及び第2の励起光源213から出力された連続光のそれぞれは、可飽和吸収素子207によってパルス化される。その際、それぞれのパルスタイミングが一致した場合に最も光束密度が高くなり、可飽和吸収が生じやすくなるため、光パルスが同期した状態での発振に寄与する。
また、2つの光パルスが互いに位相を変調する相互位相変調という非線形効果によってお互いを引き込むような影響を与える。そのため、結果的にファイバレーザ101の発振は第1の光生成部250の共振器長と第2の光生成部260の共振器長とが略一致している場合に出力パルスが同期する。ただし、第1の光生成部250の共振器長と第2の光生成部260の共振器長とが一致していなくても、一方の共振器長が他方の共振器長の整数倍となる場合にも多数の光パルスのパルスタイミングが一致するため、出力パルスが同期しうる。
なお、第1の光生成部250の共振器長(第1の共振器の共振器長)は、第1の光生成部250においてErファイバ203から射出した光がリング型の第1の共振器を伝播し、再びErファイバ203の出射点に至るまでの1周の光路長である。第2の光生成部260の共振器長(第2の共振器の共振器長)は、第1の光生成部250の共振器長と同様に、第2の光生成部260のYbファイバ215から射出した光が1周する際の光路長である。
本実施形態では、第2の光生成部260の共振器長が、第1の光生成部250の共振器長の2倍となるように構成している。このような構成にすると、第1の光生成部250からの第1の光パルスのパルス列の繰り返し周波数が、第2の光生成部260からの第2の光パルスのパルス列の繰り返し周波数の2倍となる。その結果、ロックイン検出を高速化して誘導ラマン散乱の検出感度を向上することができる。
なお、2つの光パルスの繰り返し周波数は同じでもよい。しかし、ロックイン検出を高速化して誘導ラマン散乱の検出感度を向上するために、検出する光パルスのパルス列の繰り返し周波数が、検出しない光パルスのパルス列の繰り返し周波数の整数倍とすることがより好ましい。すなわち、検出する光パルスを生成する光生成部(本実施形態では第1の光生成部250)の共振器長を、検出しない光パルスを生成する光生成部(本実施形態では第2の光生成部260)の共振器長の1/n倍(nは1以上の整数)にすることが好ましい。より好ましくは、検出する光パルスを生成する光生成部(本実施形態では第1の光生成部250)の共振器長を、検出しない光パルスを生成する光生成部(本実施形態では第2の光生成部260)の共振器長の1/m倍(mは2以上の整数)にする。
以下、ファイバレーザの構成について、より詳細に説明する。第1の光源201は、励起用の半導体レーザであり、WDMファイバカプラ202を介して第1の光生成部250のゲインファイバであるErファイバ203を励起する。効率的な励起のためには、第1の励起光源201が出力する光の波長は980nm付近が適している。不図示であるが、第1の光源201を含む各実施形態における励起用の半導体レーザはLDドライバを備えており、半導体レーザを一定温度に保持しながら設定した印加電流値に基づいて励起光を出力する。
Erファイバ203は1560nm帯の自然放出光を発するとともに、周回した同光を増幅する。ファイバアイソレータ204は光の進行方向を一方に制限する。WDMファイバカプラ205、206は第1の光生成部250内の光路と第2の光生成部260内の光路とを一部共通化する。
可飽和吸収素子207は、Erファイバ203から放出される連続光をパルス化する。可飽和吸収素子207には、半導体可飽和吸収素子、カーボンナノチューブ、グラフェン等を用いる。本実施形態では、ファイバレーザ101は波長の異なる2つの光を発振する2つの光生成部を有するため、可飽和吸収素子には広帯域性が求められる。したがって、特に2つの光の波長差が大きい場合は、比較的帯域の広いカーボンナノチューブやさらに広帯域なグラフェンを用いる。カーボンナノチューブやグラフェンを用いる場合は、例えばそれらを分散させた溶媒をファイバコネクタ間に挿入する、ファイバコネクタ端面に成膜する、ファイバクラッド部に分散させる等、公知の技術を用いればよい。
ファイバカプラ208は、第1の光生成部250内の一部の光を第1の光生成部250外へ出力する。Erファイバ光増幅器209は、第1の光生成部250から出力された光のパワーを増幅する。ファイバコリメータ210は、ファイバ伝播光を空間へ出力する。
波長変換素子211は、第1の光生成部250から出力された光の波長を異なる波長に変換(波長変換)する変換手段である。波長変換素子211を用いることにより、生体透過性の高い生体の窓と呼ばれる約700〜1000nmの帯域に照射光の波長を変換することができる。波長変換素子211に、周期分極反転LiNbO3結晶(Periodically Poled Lithium Niobate:PPLN)を用いることで780nm帯の第2高調波を出力する。波長変換素子211としては空間型PPLNの他にファイバカップリング型のPPLNを用いれば安定性がさらに向上する。なお試料108によっては、波長変換素子211は必ずしも必要ではない。
波長変更手段212は、第2の光生成部260で発振させる波長を変更する素子で、第2の光生成部260で発振させる波長を選択する(フィルタリングする)可変波長選択フィルタで、フィルタリングする波長を変更できる。波長変更手段212としては、例えば、図3に示したようなフィルタを用いればよい。図3は、波長変更手段212の構成の一例を説明する模式図である。
波長変更手段212は、ファイバサーキュレータ301、ファイバコリメータ302、可動ミラー303、及び回折格子304を有する。なお、図3の曲線矢印はファイバサーキュレータ301の透過方向を示す。ファイバサーキュレータ301へ入射した光はファイバコリメータ302で空間に出力される。可動ミラー303は回折格子304への入射角度を自由に変更でき、回折格子304からの回折光は可動ミラー303の角度に応じて異なる波長成分がファイバコリメータ302へカップリングされる。カップリングされた光は再びファイバサーキュレータ301へ入射され、入射時とは別のポートへ出力される。
したがって、波長変更手段212として上述のような構成を用いると、可動ミラー303の角度を変更することにより、フィルタリングする波長を任意に変更することができる。可動ミラー303としてガルバノミラーを用いることで高速に波長を変更、掃引することができる。可動ミラー303はコンピュータ114から制御する。
なお、ファイバサーキュレータ301はアイソレータの機能を有しているため、以降の第2の光生成部260にアイソレータを挿入しなくてもよい。
波長変更手段212としては、他に回折格子とスリットの組み合わせ、音響光学可変波長選択フィルタ、導波路型回折格子、FBG等、一般的に可変波長フィルタとして用いられているものを用いてもよい。その際、第2の光生成部260の周回方向を限定する素子がない場合は、第2の光生成部260のどこかにアイソレータを配置する。波長変更手段212によって選択する波長幅は、ラマンスペクトルの分解能とSRS信号の検出感度を両立させるパルス幅が1〜10psであるため、そのフーリエ変換限界パルス幅に近い、およそ0.1〜1nm程度とするとよい。
第2の光源213は、連続光を出力する励起用の半導体レーザで、WDMファイバカプラ214を介して第2の光生成部のゲインファイバであるYbファイバ215を励起する。効率的な励起のためには、第2の光源213の波長は、976nm付近が適している。Ybファイバ215は、波長1030nm帯の自然放出光を発するとともに、周回した同光を増幅する。
分散補償素子216は、ファイバ伝播による分散を補償し、パルス化を促す。分散補償素子216には、回折格子対やチャープトFBGを用いる。可飽和吸収素子207のみでパルス化する場合や出力パルスのスペクトル幅の広がりが問題にならない等の場合は、分散補償素子216をなくしてもよい。
共振器長変更手段(長さ変更手段)217は、第2の光生成部260の共振器長を変更する。これにより、共振器長変更手段217は、第1の光生成部250の共振器長と第2の光生成部260の共振器長との差を容易に小さくすることができる。より具体的には、共振器長変更手段217は、第1の光生成部250を伝播する光の光路長と第2の光生成部260を伝播する光の光路長との差が0に近づくように、第2の光生成部260の共振器長を調整する。共振器長変更手段217には、手動または自動ステージとミラーの組み合わせ、ファイバディレイラインやその他、市販のディレイライン等を用いる。波長変更手段212のフィルタリングにおいて、共振器長が非線形効果による引き込み効果の範囲を超える場合は、波長可変操作と同期して共振器長変更手段217で共振器長を適宜変更する。
このように、第1の光生成部250及び第2の光生成部260の少なくとも一方の共振器長を変更可能な構成となっている。第2の光生成部260の発振波長が変更されることにより、第2の光生成部260で生成される光の波長における光路長が変化し、それにより共振器長が変化する影響を低減する。そのため、第1の光生成部250の共振器長と第2の光生成部260の共振器長との差が大きくなる恐れがある。そのため、第1の光生成部250及び第2の光生成部260の少なくとも一方の共振器長を変更することにより、その差を低減し、より広帯域において第1の光生成部250からの光と第2の光生成部260からの光とを同期させることができる。共振器長変更手段217は、コンピュータ114によって制御される。
ファイバカプラ218は、第2の光生成部260内の一部の光を第2の光生成部260外へ出力する。Ybファイバ光増幅器219は、第2の光生成部260から出力された光のパワーを増幅する。ファイバコリメータ220は、ファイバ伝播光を空間へ出力する。
以上より、図1の構成のようなファイバレーザ101を用いれば、波長の異なる2つの光パルスが同期された状態で発振することができる。また、2つの光パルスを同期発振した状態で、一方の光パルスの波長を変更することができる。
なお、ファイバレーザ101の各素子を偏波保持型で構成することでファイバレーザ101の安定性をさらに向上させることができる。また、波長変換素子211の後段(試料108側)に不図示のノイズ低減素子を配置することで、検出光の強度ノイズを低減することができる。不図示のノイズ低減素子としては、例えば、ファイバコリメータ、PBS、ディレイライン等を用い、CBD(Collinear Balanced Detection)法によるノイズ低減が可能である。CBD法については、OPTICS Express,Vol.20,Issue 13,pp.13958−13965,2012に記載されている。
図2を参照して、光路長変更手段103以降の素子を説明する。光路長変更手段103は、ファイバレーザ101から出射される2つの光のパルスタイミングが試料108で一致するように、ファイバレーザ101から出射される2つの光のそれぞれの光路長を変更する。このとき、波長変更手段212での波長選択と同期して光路長を高速に微調することで、試料108でのパルスタイミングずれを高精度に補正することができる。
光路長変更手段103には、手動または自動ステージとミラーとの組み合わせ、又は、ファイバディレイライン、その他市販のディレイライン等を用いる。微調を行う場合にはピエゾステージ等を用いてコンピュータ114から波長変更手段212でのフィルタリングと同期した制御を行う。光路長の変更量は主にファイバ長から決定されるため、予めファイバ中の分散量から計算して求めたり、別光路で試料と同距離に配置したセンサで波長ごとのパルスタイミングずれを実際に測定したりすればよい。パルスタイミング測定には二光子吸収や和周波発生を誘起するフォトダイオードや非線形結晶を利用する一般的な手法を用いればよい。
ファイバレーザ101において可変する波長幅が狭く、光増幅器等のファイバ長調整によって光路長差が無視できる場合、またはそのようにファイバ長や光学素子配置を調整した場合には光路長変更手段103は不要としてもよい。また、装置構成の観点から適宜その他の箇所へ移設、増設してもよい。
ミラー102、ダイクロイックミラー104は、その姿勢を調整することでファイバレーザ101からの光を同軸に合波する。走査手段105は、2つの光パルスで試料108上を走査するために、合波された2つの光パルスの射出角度を偏向する。走査手段105としては、ガルバノミラー等の光偏向素子を用いる。高速走査のためにレゾナントミラーやポリゴンミラーを、走査手段105に用いてもよい。顕微鏡を構成する際には、ガルバノミラーを2個用意して2次元走査を行う。後述するように両光パルスの集光点を試料108内(試料108表面を含む)で2次元に移動することで、2つの光パルスで試料108を走査できる。2つの光パルスで試料108を走査することで試料108の形状や組成を反映した、分子振動情報の2次元分布が画像(SRS画像)として取得できる。
ミラー106は、合波ダイクロイックミラー104で合波された光を照射光学系107に導く。照射光学系107は、入射した両光パルスを試料108に導く光学系である。照射光学系107は、光パルスを試料108内の同一集光点(スポット)に集光する。試料108はステージ109上に配置されている。ステージ109は、XYZ方向に駆動することで、走査領域に試料108を移動させる。なお、本実施形態では、照射光学系107として対物レンズを用いるが、これに限らず、ミラー等を含んでいてもよい。
走査手段105による走査時に、試料108内における光量分布を均一にし、画像周辺部での光量低下を防ぐために、走査手段105と第1の対物光学系107との間の光パルスの光路上に不図示のリレーレンズ対(走査光学系)を挿入するとよい。この走査光学系(不図示)は、走査手段105のガルバノミラー面と第1の対物光学系107の入射瞳面とを共役関係とするように構成する。
検出光学系110は、試料108からの光を光検出器112に導く光学系である。光検出器112への集光が不十分だとノイズが生じることがあるため、このノイズを低減するために、検出光学系110の対物レンズの開口数は、照射光学系107の対物レンズよりも大きくして、試料108からの散乱光を高効率に集光することが好ましい。なお、本実施形態では、検出光学系110として対物レンズを用いるが、これに限らず、ミラー等を含んでいてもよい。
フィルタ111は、バンドパスフィルタまたはショートパスフィルタであり、ファイバレーザ101からの光の内、繰り返し周波数の高い光パルスのみを透過させる。本実施形態ではファイバレーザ101の第1の光生成部250の出射光であるErファイバレーザ光の第2高調波に対して第2の光生成部260の出射光であるYbファイバレーザ光の繰り返し周波数で誘起された誘導ラマンロスを検出する。光検出器112は、入射した光パルスを電気信号に変換する検出手段である。
ロックインアンプ113は、光検出器112の検出結果である電気信号中から、Ybファイバレーザ光の繰り返し周波数でSRS信号(誘導ラマンロス)をロックイン検出(同期検波)する。このため、ロックイン検出の参照信号には、Ybファイバレーザ光に同期した電気信号を用いる。この参照用の電気信号は、例えば、ファイバレーザ101の第2の光生成部260の一部の光を分岐し、受光することによって得る。光の分岐にはビームサンプラやファイバカプラを用いればよい。
処理装置114は、ロックイン検出されたSRS信号を読み出す処理部である。また、処理装置114は、SRS信号に対する信号処理を行って試料108に関する分子振動情報を画像化したSRS画像データ(2次元画像データ)を生成し、これらSRS画像データをディスプレイに表示する。画像化する際、光偏向素子105からの信号をデータ収録開始のトリガー信号として用いる。また、処理装置114は試料駆動ステージ109を制御して、試料108における観察部位を3次元的に設定することができる。処理装置114としては、プロセッサ、メモリ、記憶装置、入出力装置等を有するコンピュータを使用できる。
また、処理装置114は、取得した各波長のSRS画像データに対して主成分分析、独立成分分析等といったスペクトル分析手法を適用し、特徴的な成分に注目して疑似カラー化してディスプレイ上に表示してもよい。
処理装置114は、波長変更手段212における波長選択と同期して、ファイバレーザ101の第2の光源213に付属のドライバの印加電流値を変更してもよい。これによりYbファイバ215のゲインが小さくなる選択波長においてゲインを向上させることができるため、より広帯域におけるパルス発振が可能となる。
本実施形態において、SRS計測が可能なラマンスペクトル領域(波数域)について述べる。ポンプ光の波長をλ1、ストークス光の波長をλ2とすると、それらの光の波数差k(ラマンシフト)は式(1)となる。このとき、λ1<λ2である。さらに、ポンプ光およびストークス光の波長が可変で、ポンプ光の最大波長をmax(λ1)、最小波長をmin(λ1)、ストークス光の最大波長をmax(λ2)、最小波長をmin(λ2)とする。このとき、計測可能なラマンシフトの最大波数kmax、最小波数kminは式(2)に示すようになる。
例えば、ストークス光であるYbファイバレーザ光の波長を1030nm、波長掃引幅を±15nmとし、ポンプ光であるErファイバレーザ光の第2高調波の波長を790nmとする。この場合、式(2)より、SRS計測可能な波数域は2806〜3089cm−1となる。これは、CH伸縮領域のほぼ全域においてSRS計測が可能であることを示す。本実施形態では波長変更手段212を高速に駆動することでCH伸縮領域において高速ラマンスペクトル取得が可能である。
本実施形態によれば、大型化を低減しつつ、広帯域の光を出力するレーザ装置を提供することができる。また、このようなレーザ装置を照射光の光源として用いる計測装置は、コンパクトで且つ広帯域観察が可能となる。また、本実施形態のレーザ装置は、安定性が高いため、これを用いた計測装置でも、安定性及び計測再現性の高い分光計測を行うことができる。
(第2の実施形態)
本実施形態のコヒーレントラマン散乱計測装置について、図4を参照して説明する。本実施形態のコヒーレントラマン散乱計測装置は、波長変更手段212付近の構成が第1の実施形態と異なる。本実施形態のレーザ装置は、波長変更手段212付近の構成を変更することにより、光増幅器でのASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズを低減することができる。これにより、広帯域で高感度な計測が可能な計測装置を提供できる。
本実施形態のコヒーレントラマン散乱計測装置について、図4を参照して説明する。本実施形態のコヒーレントラマン散乱計測装置は、波長変更手段212付近の構成が第1の実施形態と異なる。本実施形態のレーザ装置は、波長変更手段212付近の構成を変更することにより、光増幅器でのASE(Amplified Spontaneous Emission)ノイズを低減することができる。これにより、広帯域で高感度な計測が可能な計測装置を提供できる。
図4は、本実施形態の波長変更手段212の構成を示す。本実施形態におけるその他の構成は、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略している。なお、図4において、上述の構成と同様の構成については、同じ符番を付し、詳細な説明を省略する。
本実施形態のコヒーレントラマン散乱計測装置は、さらに、ファイバサーキュレータ401と、ファイバコリメータ402と、D型ミラー403と、Ybファイバ光増幅器404と、を有する。
Ybファイバ光増幅器219から射出された光は、ファイバサーキュレータ401へ入射する。ファイバサーキュレータ401へ入射した光は、ファイバサーキュレータ401から、ファイバコリメータ402、D型ミラー403を介して波長変更手段212の空間部へ導光される。ファイバコリメータ402から射出される光の光軸は、ファイバコリメータ302から出射される光の光軸とは同軸ではなく、紙面垂直方向にずれて配置されている。ただし、軸ずれは紙面垂直方向のみで紙面水平方向のずれはないように配置することが好ましい。
ファイバコリメータ402から射出した光は、可動ミラー303を介して回折格子304に入射する。回折格子304に入射した光は、回折格子304で反射、回折されて再びファイバコリメータ402へ入射し、回折光がカップリングされる。カップリングされる波長成分は、ファイバコリメータ302でカップリングされる波長成分と同じになるため、光増幅器219で発生したASEノイズがカットされる。2回目のフィルタリング時のスペクトル幅が変わらないように、ファイバコリメータ302、402は同一の仕様で、かつファイバコリメータ302、D型ミラー403間の距離とファイバコリメータ402、D型ミラー403間の距離は等しくしておくとよい。逆に、ファイバコリメータ302または402を後方側へ移動させることで出力光のスペクトル幅を狭小化することもできるし、両者を前方側へ移動させることで出力光のスペクトル幅を拡張することもできる。
ファイバコリメータ402でカップリングされた光は、ファイバサーキュレータ401へ戻り、別ポートに導光された後にYbファイバ光増幅器404で増幅される。Ybファイバ光増幅器404へ入射される光は波長変更手段212においてASEノイズがカットされているため、Ybファイバの分光ゲイン特性の端部においてもASEノイズが抑制され、入力光の波長成分が十分に増幅される。これにより、広帯域においてSN比の高い光パルスが得られるため、より広範囲においてラマンスペクトル取得を高感度に行うことができる。
同様の方法は、波長変更手段212を共振器の後ろにもう一台用意することによっても達成されるが、その場合は共振器内の波長変更手段212との同期制御が必要となる。このため、装置の高コスト、大型化だけでなく、信号処理が複雑になってしまう。したがって本手法を用いれば最小の構成の追加で高感度な広範囲計測が可能である。Ybファイバ光増幅器404で増幅された光はファイバコリメータ220で空間へ出力され、光路長変更手段103へ導光される。
本実施形態によれば、大型化を低減しつつ、広帯域の光を出力するレーザ装置を提供することができる。また、このようなレーザ装置を照射光の光源として用いる計測装置は、コンパクトで且つ広帯域観察が可能となる。また、本実施形態のレーザ装置は、安定性が高いため、これを用いた計測装置でも、安定性及び計測再現性の高い分光計測を行うことができる。
また、本実施形態のレーザ装置によれば、より広帯域においてSN比の高い光パルスを生成できるため、より広範囲において安定で高感度なラマンスペクトルの取得を行うことができる。
(第3の実施形態)
次に、図5、及び図6を用いて、本実施形態の計測装置500について説明する。計測装置500は、顕微鏡装置として用いることができるコヒーレントラマン散乱計測装置である。本実施形態では、レーザ装置(ファイバレーザ)101の構成に、さらに光生成部を追加することでより広範囲での分光計測が可能な計測装置、および顕微鏡を提供する。
次に、図5、及び図6を用いて、本実施形態の計測装置500について説明する。計測装置500は、顕微鏡装置として用いることができるコヒーレントラマン散乱計測装置である。本実施形態では、レーザ装置(ファイバレーザ)101の構成に、さらに光生成部を追加することでより広範囲での分光計測が可能な計測装置、および顕微鏡を提供する。
図5は、計測装置500の構成を説明する図である。なお、上述の構成と同じものについては、図5において同じ符番を付し、詳細な説明は省略する。計測装置500は、レーザ装置(ファイバレーザ)501、ミラー502及びダイクロイックミラー503を有する点が、第1の実施形態と異なる。
ファイバレーザ501は、第1の光生成部250と第2の光生成部260に加え、第3の光生成部650を有し、第1の実施形態のファイバレーザ101とは異なり、3つの光パルスを出力する。そのため、図2の装置100の構成に、合波用素子としてのミラー502とダイクロイック見らー503とが新たに追加されている。
図6に、ファイバレーザ501の構成を示す。なお、上述の構成と同じものについては、図6において同じ符番を付し、詳細な説明は省略する。ファイバレーザ501は、第1の実施形態のファイバレーザ101の各構成と、さらに、第3の光生成部650、Ndファイバ光増幅器628、及びファイバコリメータ629を有する。なお、本実施形態では、WDMファイバカプラ205、206として、WDMファイバカプラ605、606を用いる。WDMファイバカプラ605、606は、3波長を合波する4ポートタイプのファイバカプラである。
第3の光生成部650は、可飽和吸収素子207、波長変更手段621、第3の光源622、WDMファイバカプラ605、606、623、Ndファイバ624、共振器長変更手段625、ファイバアイソレータ626、及びファイバカプラ627を有する。すなわち、WDMファイバカプラ605、606及び可飽和吸収素子207は、第1の光生成部250と第2の光生成部260と第3の光生成部650とで共有している。
フィルタ621は、その透過波長によって第3の光生成部の発振波長を選択する。Ndファイバ624は、波長920nm帯、1060nm帯、1350nm帯での発振が可能であり、特に1060nm帯のゲインが最も高い。本実施形態では、波長1030nm帯の光であるYbファイバレーザ光と組み合わせて指紋領域を観察できる波長920nm帯での発振を行うために、フィルタ621は920nmの波長の光を透過するものを用いる。フィルタ621を波長変更手段212と同様に構成して選択波長を可変としてもよい。その場合は第1の実施形態と同様に、共振器長変更手段625も波長選択と同期して制御する。
第3の光源622は、励起用半導体レーザで、WDMファイバカプラ623を介して第3の光生成部650のゲインファイバであるNdファイバ624を励起する。効率的な励起のためには半導体レーザ622の波長は808nm付近が適している。Ndファイバ624は、フィルタ621で選択された920nm帯の光を増幅する。共振器長変更手段625は、第3の光生成部650の共振器長と第1の光生成部250の共振器長とを一致させる。ファイバアイソレータ626は、光の進行方向を一方に制限する。
可飽和吸収素子207は、第3の光生成部650においても第1の光生成部250及び第2の光生成部260と共有された素子であり、第3の光生成部650のパルス化素子として機能する。ファイバカプラ627は、第3の光生成部650内の一部の光を第3の光生成部650外へ出力する。Ndファイバ光増幅器628は、第3の光生成部650から出力された光のパワーを増幅する。ファイバコリメータ629は、ファイバ伝播光を空間へ出力する。
第3の光生成部650の共振器長は、第1の光生成部250の共振器長と等しく、第1の光生成部250とは異なる波長のポンプ光を生成する。このため、第3の光生成部650からのポンプ光と第2の光生成部260からの光であるストークス光との間のSRS信号を光検出器112で検出する。したがって、図5のフィルタ111は、第3の光生成部650からの光も透過するフィルタを用いる。1000nm以下を透過、それ以上を反射または吸収するようなショートパスフィルタであれば、第1の光生成部250及び第3の光生成部650のそれぞれからの光を透過し、第2の光生成部260からの光を取り除くことができる。
光検出器112は、第3の光生成部650からの光の波長にも対応した分光感度を有するものを使用する。もしくは光検出器112とは別に、第3の光生成部650からの光に対応した別の光検出器を別光路に配置してもよい。光検出器112での検出光を切り替える必要がある場合には、ファイバレーザ501において検出しない光増幅器の電源をOFFとする。ダイクロイックミラー503をモーターステージ付きのミラーに代替して光路を切り替えてもよい。
本実施形態において、第3の光生成部650の発振波長を920nmとする。その場合、第2の光生成部260の発振波長が中心波長を1030nmとして波長掃引幅が±15nmとすると、観察可能なラマンスペクトル領域は、式(2)より、1017〜1300cm−1となる。さらに、フィルタ621を可変選択波長フィルタとして、第3の光生成部650の発振波長を900〜945nmまで可変できる場合には、観察可能な領域は、式(2)より、730〜1542cm−1まで広範囲化できる。この領域は、物質に固有なラマンスペクトルピークが多数得られる指紋領域に含まれるため、物質の識別に有効である。したがって、920nm帯を発振する第3の光生成部650を追加することで、物質同定能の高い指紋領域と生体からの信号が高いCH伸縮帯での同時観察が可能となる。
本実施形態では、Ndファイバをゲインファイバとする第3の光生成部650を示したが、これに限らず、他のゲインファイバを用いた第3の光生成部を構成してもよいし、さらなる広帯域観察のために第4以降の光生成部を適宜追加してもよい。また、ストークス光を生成する第2の光生成部260と同じ構成、共振器長とした光生成部を追加してもよい。その場合、フィルタ111は、ストークス光の波長の光がカットできるものを選定する。
本実施形態によれば、大型化を低減しつつ、広帯域の光を出力するレーザ装置を提供することができる。また、このようなレーザ装置を照射光の光源として用いる計測装置は、コンパクトで且つ広帯域観察が可能となる。また、本実施形態のレーザ装置は、安定性が高いため、これを用いた計測装置でも、安定性及び計測再現性の高い分光計測を行うことができる。
また、本実施形態によれば、光生成部を多段化することで、より広波数域におけるラマン散乱計測が可能な計測装置および顕微鏡を実現することができる。
以上説明した各実施形態は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施形態に対して種々の変形や変更が可能である。
例えば、上述の各実施形態では、ガルバノミラーを用いて試料108上で集光点の2次元走査を行う場合について説明した。しかし、走査手段の構成はこれに限らず、1軸のガルバノミラーによる走査と、その走査方向の直交方向に駆動する試料を支持するステージ109の駆動とを組み合わせて2次元走査を行ってもよい。また、ステージ109のみを2次元面内で駆動してもよい。また、画像化する必要がなければ、光偏向素子105を走査せずに、試料108上の1点におけるラマンスペクトル計測を行えばよい。
上述したように、上述の各実施形態では、ファイバレーザ101において第1の光生成部の繰り返し周波数を第2の光生成部の繰り返し周波数の2倍となるように構成したが、繰り返し周波数を同じように構成してもよい。その場合、強度、波長及び偏光状態のいずれかを外部入力信号によって変調する方法を用い、任意の繰り返し周波数でErファイバレーザ光の第2高調波またはYbファイバレーザ光を変調し、変調されていない方の光を、変調周波数においてロックイン検出する。
上述の各実施形態では、Erファイバ203とYbファイバ215とを用いているが、所望の波長に応じて適宜、Ndファイバ、Prファイバ、Erファイバ、Tmファイバへ変更することもできる。また、希土類を添加するファイバはシリカファイバでなくフッ化物ファイバでもよい。
また、上述の各実施形態では、各光生成部250、260、650のそれぞれの共振器をリング型共振器としたが、共振器の構成はこれに限らず、例えば、リニア型共振器としてもよい。リニア型共振器は、可飽和吸収素子が共有されていることを前提として、例えば、図2のリング型共振器のいずれかの箇所で切断して、切断箇所の端面にミラー等の反射素子を取りつける、または一端を可飽和吸収ミラーに変更する、等を行って構成すればよい。
さらに、上述の各実施形態の計測装置は、SRS信号ではなくCARS(Coherent Anti−Stokes Raman Scattering)信号を計測する構成とすることもできる。これは、例えば第1の実施形態では、非検出光カットフィルタ111をCARS信号の波長帯のみを透過するフィルタへ変更することでCARS信号を検出できる。この場合、Erファイバレーザ光の第2高調波とYbファイバレーザ光の繰り返し周波数は同じでもよく、ロックインアンプ113はなくしてもよい。また、光検出器112には光電子増倍管を用いるとよい。
CRS計測に限定せず、多光子吸収、多光子蛍光を計測する光学装置、顕微鏡を構成してもよい。
上述の各実施形態では、試料を透過した光に対する計測を行う構成を説明したが、厚みのある試料を計測するために試料で後方散乱した散乱光に対する計測を行う構成にしてもよい。また、試料に光を導く各構成の一部又は全部をプローブ化して、ラマン散乱観察装置の1形態である内視鏡を構成してもよい。
上述の各実施形態に記載の計測装置は、波長帯域で物質の形状観察、組成特定が可能な光学装置やこれを用いた顕微鏡等の観察装置を提供することができる。
101 レーザ装置
207 可飽和吸収体
212 波長変更手段
250 第1の光生成部
260 第2の光生成部
207 可飽和吸収体
212 波長変更手段
250 第1の光生成部
260 第2の光生成部
Claims (15)
- 第1の光パルスと第2の光パルスとを出力するレーザ装置であって、
前記第1の光パルスを生成する第1の光生成部と、
前記第2の光パルスを生成する第2の光生成部と、を有し、
前記第2の光生成部は、前記第2の光パルスの波長を変更する波長変更手段を有し、
前記第1の光生成部と前記第2の生成部とは、可飽和吸収体を共有している
ことを特徴とするレーザ装置。 - 前記第1の光生成部及び前記第2の光生成部の一方の共振器長は、他方の共振器長の1/n倍(nは1以上の整数)である
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。 - 前記第1の光生成部及び前記第2の光生成部の一方の共振器長は、他方の共振器長の1/m倍(mは2以上の整数)である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ装置。 - 前記波長変更手段による前記第2の光パルスの波長の変更に同期して、前記第1の光生成部の共振器長又は前記第2の光生成部の共振器長を変更する長さ変更手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のレーザ装置。 - 前記長さ変更手段は、前記第1の光生成部を伝播する前記第1の光パルスの光路長と前記第2の光生成部を伝播する前記第2の光パルスの光路長との差を低減するように、前記第1の光生成部の共振器長又は前記第2の光生成部の共振器長を変更する
ことを特徴とする請求項4に記載のレーザ装置。 - 前記第1の光生成部及び前記第2の光生成部のそれぞれは、励起光を出力する励起光源を有し、
前記波長変更手段による前記第2の光パルスの波長の変更に同期して、前記第1の光生成部の励起光源への印加電流値又は前記第2の光生成部の励起光源への印加電流値を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレーザ装置。 - 前記第1の光生成部からの前記第1の光パルスの強度を増幅する光増幅器を有する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレーザ装置。 - 前記第2の光生成部からの前記第2の光パルスの強度を増幅する光増幅器を有する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレーザ装置。 - 前記光増幅器を第1の光増幅器とすると、前記第1の光増幅器と異なる第2の光増幅器を有し、
前記第1の光増幅器からの前記第2の光パルスは、前記波長変更手段を介して前記第2の光増幅器に入射するように構成されている
ことを特徴とする請求項8に記載のレーザ装置。 - 第3の光生成部を有し、
前記第3の光生成部は、前記第1の光生成部及び前記第2の光生成部と1つの可飽和吸収体を共有している
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のレーザ装置。 - 第1の光パルスと第2の光パルスとを出力するパルス光源と、
前記パルス光源からの前記第1の光パルスと前記第2の光パルスとを試料に照射する照射光学系と、
前記試料からの散乱光を検出する検出手段と、を有し、
前記パルス光源は、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のレーザ装置を含む
ことを特徴とする計測装置。 - 前記第1の光生成部の共振器長は、前記第2の光生成部の共振器長の1/n倍(nは2以上の整数)であり、
前記検出手段は、前記第1の光パルスを検出する
ことを特徴とする請求項11に記載の計測装置。 - 前記第2の光生成部の共振器長は、前記第1の光生成部の共振器長の1/n倍(nは2以上の整数)であり、
前記検出手段は、前記第2の光パルスを検出する
ことを特徴とする請求項12に記載の計測装置。 - 前記波長変更手段による前記第2の光パルスの波長の変更に同期して、前記パルス光源と前記試料との間の前記第1のパルス光の光路長又は前記パルス光源と前記試料との間の前記第2のパルス光の光路長を変更する光路長変更手段を有する
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の計測装置。 - 前記検出手段の検出結果を用いて前記試料の画像を取得する処理部と、を有する
ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか一項に記載の計測装置。
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-
2015
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