JP2018091732A - 放射性ヨウ素化合物の除去方法及びその吸着剤 - Google Patents

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博基 大野
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Abstract

【課題】海水を含む汚染水から放射性ヨウ素化合物、特にヨウ素酸イオン(IO )を効率的、且つ経済的に除去する方法及びその方法に使用する吸着剤を提供することを課題としている。
【解決手段】放射性ヨウ素化合物、特にヨウ素酸イオン(IO )を含有する海水を含む汚染水を液相で、ヒドラジンなどの還元性物質水溶液を用いて処理した吸着剤と接触させることによりヨウ素酸イオン(IO )などの放射性ヨウ素化合物を効率的すなわち高い吸着率で除去できる。
【選択図】なし

Description

本発明は放射性ヨウ素化合物を含む有害物質に汚染された水、海水および土壌等から有害物質を効率的に吸着除去できる方法及びその吸着剤に関する。
東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故では、炉心冷却のために数百トン/日の注水が続けられ、放射性物質を高濃度で含む汚染水が大量に発生し、保管場所の困難な状況となっている。海水含有、大量な高濃度汚染水対策は過去に例がない。事故収束に向け一刻も早い処理対応が求められているが、その一つとしてヨウ素酸(HIO)の除去方法が課題として挙げられている。
ヨウ素化合物の除去方法としては、従来から種々の方法が提案されている。次亜ヨウ素酸イオン(IO)、ヨウ素酸イオン(IO )、過ヨウ素酸イオン(IO )等のヨウ素の酸素酸イオンを含有する溶液に還元剤を添加混合し、前記酸素酸イオンをヨウ素イオン(I)とした後、これを銀メタルフィルターにより捕集する方法(特公昭63−63271号公報)、放射性ヨウ素ガスを細孔内に吸着し、固定化させるケイ酸塩系鉱物からなる放射性ヨウ素ガスの固定化剤であって、該ケイ酸塩系鉱物がハイドロソ−ダライトおよびハイドロガ−ネットから選ばれる方法(特許第3987920号公報)、ゼオライトを主材としたヨウ素吸蔵体であって、結晶内部に銀イオンを、辺縁部にカルシウムイオンを偏在させたヨウ素吸蔵体(特開2009−98083号公報)、溶液中に存在するヨウ化物イオンを吸着体で除去するに際して、1)溶液中でヨウ化物イオンに酸化剤を作用させる工程、2)ヨウ素分子、及び/または、ポリヨウ素イオンを吸着体により除去・吸着する工程を含むヨウ化物イオンの除去・吸着法(特開2012−251912号公報)、放射性廃液及び/または放射性固形物中の放射性ヨウ素を吸着する親水性樹脂を用いる放射性ヨウ素の除去方法であって、該親水性樹脂が、親水性セグメントを有し、且つ、構造中の主鎖及び/または側鎖に第三級アミノ基を有する放射性ヨウ素の除去法及び放射性ヨウ素除去用の親水性樹脂(特開2013−92444号公報)等が知られている。
しかし、これらの方法は放射性ヨウ素化合物を含有する水及び/または海水中のヨウ素化合物、特にヨウ素酸の吸着除去に対しては吸着効率(以下、吸着率という。)が低く、性能向上の面で課題を有している。
特公昭63−63271号公報 特許第3987920号公報 特開2009−98083号公報 特開2012−251912号公報 特開2013−92444号公報
上記のようにヨウ素化合物、特に放射性ヨウ素化合物の除去方法については古くから様々な提案がなされている。一般的にはヨウ素化合物の除去に対して銀は有効な金属成分の一つであり、原子力発電所の排ガス等で例えばゼオライトに銀を添着した吸着剤がヨウ素補集剤として利用されている。一方、原子力発電所の汚染排水、特に放射性ヨウ素化合物を含有する海水を含む汚染水中のヨウ素化合物、特にヨウ素酸イオン(IO )の吸着除去は福島の原子力発電所の事故収束に避けられない課題の一つである。
本発明は、前記の背景から海水を含む汚染水から放射性ヨウ素化合物、特にヨウ素酸イオン(IO )を効率的、且つ経済的に除去する方法及びその方法に使用する吸着剤を提供することを課題としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、放射性ヨウ素化合物、特にヨウ素酸イオン(IO )を含有する海水を含む汚染水を液相で、還元性物質水溶液を用いて処理した吸着剤と接触させることによりヨウ素酸イオン(IO )などの放射性ヨウ素化合物を効率的すなわち高い吸着率で除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のことを特徴としている。
〔1〕放射性ヨウ素化合物を含有する海水を含む汚染水を液相で吸着剤と接触させ、放射性ヨウ素化合物を除去する方法において、
(A)吸着剤として、多孔質担体に銀化合物を担持し空気雰囲気下で焼成する工程と、
(B)(A)の工程で得られた吸着剤を還元性物質水溶液で処理する工程と、
(C)(B)の工程で得られた吸着剤を乾燥する工程と、
(D)(C)の工程で得られた吸着剤を汚染水と接触させる工程とを、含むことを特徴とする放射性ヨウ素化合物の除去方法である。
〔2〕前記の還元性物質がヒドラジンである。
〔3〕前記の多孔質担体がゼオライト又はアルミナである。
〔4〕前記の放射性ヨウ素化合物が主としてヨウ素酸イオンである。
〔5〕前記の多孔質担体がゼオライトであり、当該ゼオライト中のシリカ(SiO)のアルミナ(Al)に対する重量比が0.5乃至3.0である。
〔6〕前記の銀化合物が硝酸銀、酢酸銀、炭酸銀から選ばれる少なくとも1種である。
〔7〕前記の多孔質担体に担持する銀化合物の量が2wt%乃至31wt%である。
〔8〕前記の多孔質担体に銀化合物を担持した後、空気雰囲気下で焼成する温度が200℃乃至600℃である。
〔9〕前記の多孔質担体に銀化合物を担持し、焼成後、ヒドラジン水溶液で還元処理する工程の水溶液中のヒドラジンが10wt%以下で、且つ0wt%を超える濃度である。
〔10〕前記の還元性物質水溶液で還元処理、乾燥後の吸着剤の比表面積が80m/g以上である。
〔11〕海水と、放射性ヨウ素化合物を含有する汚染水の割合が1:1以下で、且つ1:10以上である。
〔12〕吸着剤と、放射性ヨウ素化合物を含有する海水を含む汚染水を接触させ除去する工程が固定床流通式である。
〔13〕多孔質担体に銀化合物を担持し焼成した後、還元性物質水溶液で還元し、乾燥して得られたことを特徴とする放射性ヨウ素化合物の除去用の吸着剤である。
〔14〕前記の多孔質担体がゼオライト又はアルミナである。
〔15〕前記の還元性物質水溶液がヒドラジン水溶液である。
本発明は、放射性ヨウ素化合物、特にヨウ素酸イオン(IO )を含有する海水を含む汚染水を液相で、ヒドラジンなどの還元性物質水溶液で処理された吸着剤と接触させることで高い吸着率即ち効率的で、経済的に放射性ヨウ素化合物を吸着除去でき、原子力発電所の汚染水の処理等、環境改善に貢献できると期待される。
本発明は放射性ヨウ素化合物を含む有害物質に汚染された水、海水および土壌等から放射性ヨウ素化合物、特にヨウ素酸イオン(IO )を高い吸着率で効率的に吸着除去できる吸着剤とその除去方法である。
従来から液相除去法としては、ヨウ素酸イオン(IO )を含有する溶液に還元剤を添加混合して、銀フィルタ−で除去する方法、陰イオン型放射性ヨウ素および塩類を含有する水溶液に酸性物質を添加することによって該水溶液の水素イオン濃度を3以内とし銀添着活性炭と接触させる方法等、放射性ヨウ素化合物を含有する溶液に還元剤や酸性物質を添加する方法が開示されている。しかしながら、汚染水をそのまま吸着剤と接触させて除去する方法は例示されていない。
以下、具体的に本発明を実施するための形態について述べる。
放射性ヨウ素化合物を含有する海水を含む汚染水の水素イオン濃度は通常は約7である。吸着剤は担体としては、好ましくは多孔質担体を用い、より好ましくは親水性多孔質担体を用いる。その中でも、ゼオライト(以下、MSと略すことがある)、アルミナが好ましく、比表面積が100m2/g以上のものが好適である。特に、ゼオライトは比表面積が400m2/g以上の物性値を有するものが多くある。更にゼオライトとしては、シリカ/アルミナ比が3.0以下のもの好適であり、3.0を超えると疎水性が増して水の吸着量が低下してあまり好ましくない。ゼオライトとしてはMS−13X、MS−10X、MS−5A等が例示できる。また、ゼオライトの形状としては、ペレット型、ビ−ズ型(球形を含む。)、破砕型(メッシュ)等が使用できる。
これらの親水性ゼオライトに銀を担持する方法としては、含浸法、乾固法、イオン交換法等が用いられるが、特に含浸法、イオン交換法が好ましい。含浸法は、使用するゼオライトの吸水量よりやや多めの純水に銀担持用の銀化合物を溶解し、これに前記の親水性ゼオライトを添加する方法で調整することができ、乾固法より均一に銀を分散できる。またイオン交換法も均一に金属を交換できる。銀化合物としては、硝酸銀、酢酸銀、炭酸銀等を挙げることができ、金属化合物としては、銀以外に銅、鉄、セリウムを挙げることができる。
このようにして調整された銀化合物を担持した親水性ゼオライトはろ過後、乾燥、焼成される。焼成工程では、硝酸銀、酢酸銀及び炭酸銀とも200℃乃至600℃の温度範囲で空気雰囲気下、焼成され、酸化銀を担持した親水性ゼオライトが得られる。前記温度範囲はより好ましくは、350℃乃至450℃の温度範囲がよく、600℃を超えるとゼオライトの比表面積低下が起こり好ましくない。200℃未満では十分に酸化が進行しないので好ましくない。
親水性ゼオライトに担持する銀化合物の量は31wt%以下が好ましく、より好ましくは2wt%乃至12wt%である。31wt%超えると、吸着剤中に占める銀の量が多く経済的でない。また、2wt%未満では放射性ヨウ素化合物の吸着率(量)が低下する。
このようにして得られた酸化銀を担持した親水性ゼオライトはヨウ素イオン(I)を吸着するものの、ヨウ素酸イオン(IO )の吸着率は極めて低く、吸着量、効率の増加の課題がある。
本発明者らは、放射性ヨウ素イオンの吸着量、効率アップの課題に対して、鋭意検討した結果、酸化銀を担持した親水性ゼオライトまたは酸化銀を担持したアルミナを還元性物質水溶液で処理することにより放射性ヨウ素酸イオンの吸着量、効率が増加することを見出した。
前記還元性物質としては、ヒドラジン、シュウ酸、ギ酸、水素等が挙げられるが、その中でもヒドラジン水溶液で処理することにより放射性ヨウ素酸イオンの吸着量が大幅に増加することを見出した。
酸化銀を担持した親水性ゼオライト等の吸着剤をヒドラジンなどの還元性物質水溶液で処理する方法としては、前記吸着剤を蒸留水中に入れ(蒸留水の吸着剤に対する重量比は1.5/1乃至10/1である。)、これにヒドラジン・1水和物などの還元性物質を5wt%以下で添加、撹拌する方法が挙げられる。
還元性物質がヒドラジンの場合、酸化銀(AgO)がヒドラジン水溶液で銀(Ag)に還元されることにより、瞬時に吸着剤が黒色に変化するので、吸着剤がヒドラジン水溶液で処理されたことが目視で確認できる。
ヒドラジン水溶液は高濃度では引火性かつ毒性があり、空気中では150℃以上で加熱すると爆発の危険性があるため、ヒドラジンの濃度は安全性を考慮して10wt%以下で処理することが好ましく、5wt%以下で処理することがより好ましい。
前記のようにヒドラジン水溶液で処理された吸着剤は水洗後、乾燥される。乾燥温度は前記の爆発の危険を回避するため、空気雰囲気下、130℃以下で行うことが好ましい。乾燥後の吸着剤は金属の担持率により比表面積が減少するが、好ましくは30m/g乃至520m/g、より好ましくは80m/g乃至490m/gがよい。
また、海水の放射性ヨウ素化合物を含有する汚染水に対する割合は1/1乃至1/10の範囲が好ましく、海水濃度が高くなるとナトリウム、塩素、カルシウム等の影響を受け、吸着率が低下傾向を示して好ましくない。
吸着剤と、放射性ヨウ素化合物を含有する海水を含む汚染水を接触させて除去する工程は、固定床流通式が好ましく、少なくとも2本の吸着塔で切り替え方式を採用することが好ましい。
以下に実施例を示し、さらに詳しく本発明を説明する。もちろん以下の例によって本発明が限定されることはない。
実施例1
吸着剤として、以下の通りの多孔質担体(ゼオライト)を用いた。
ゼオライト:MS−13X(ユニオン昭和(株)製)、
比表面積 :450〜520m/g、
シリカ/アルミナ比:2.5、
形状:ペレット(ペレット直径1.6mmΦ)、
吸水率:水約15ml/MS−13X20ml(12.7001g)
蒸留水17mlに硝酸銀(AgNO)0.7321gを溶解させた。これにMS−13Xを20ml(12.7001g)入れて撹拌しながら浸漬した。MS−13Xを入れた直後から吸着熱による発熱が認められた。3時間後撹拌を停止してろ過し、蒸留水を用いて洗浄し、空気雰囲気下100℃で2時間乾燥後、400℃で2時間焼成した。焼成後の重量は13.2198gであった。この結果、酸化銀として約3.9wt%担持された。
その後、室温で蒸留水27.8306gに前記の吸着剤3.9002gを入れ、これにヒドラジン・1水和物を50μl添加し撹拌して、前記吸着剤をヒドラジン水溶液で処理したところ、瞬時に吸着剤が黒色へ変化した。これにより吸着剤がヒドラジン水溶液で処理された効果が確認できた。この吸着剤をろ過し、蒸留水70mlで洗浄後、空気雰囲気下、100℃で3時間乾燥し、吸着剤が完成した。本吸着剤の比表面積は376m/gであった。
次に、本吸着剤を使用して、ヨウ素酸イオン(IO )の除去試験を行った。蒸留水にヨウ素酸カリウム(KIO)を溶かしてイオンクロマトグラフィー(装置:島津製作所製;島津高速液体クロマトグラフHIC−20A、分離カラム:昭和電工(株)Shodex、SI―52・4E)を用いて分析したところ、ヨウ素酸イオン(IO )の濃度は600wtppmであった。この溶液50mlに前記の吸着剤0.5gを入れ、250rpmで撹拌しながら継時変化を調べた。5時間後にはヨウ素酸イオン(IO )の濃度は41wtppmとなり、前記吸着剤の吸着量は559wtppm、吸着率は93.16%となった。24時間後にはヨウ素酸イオン(IO )の濃度は32wtppmとなり、前記吸着剤の吸着量は568wtppm、吸着率は94.67%となった。
比較例1
吸着剤として、実施例1で調整した焼成後の酸化銀を担持したゼオライト(MS−13X)であって、前記ヒドラジン水溶液による処理をしない吸着剤を用いた。
実施例1で調整したヨウ素酸イオン(IO )600wtppmの水溶液50mlに吸着剤として酸化銀を担持したMS−13Xを0.5g入れ、250rpmで撹拌しながら継時変化を調べた。5時間後にヨウ素酸イオンの濃度は508wtppmとなり、前記吸着剤の吸着量は92wtppm、吸着率は15.33%となった。24時間後のヨウ素酸イオン(IO )の濃度は498wtppmであり、前記吸着剤への吸着量は102wtppm、吸着率は17%であった。
実施例1と比較例1の結果から酸化銀を担持した前記ゼオライトをヒドラジン水溶液で処理した吸着剤はヨウ素酸イオン(IO )を短時間で多量に吸着除去でき、明らかに効果があることを見出した。
実施例2
吸着剤として、以下の通りのゼオライトを用いた。
ゼオライト:MS−5A(ユニオン昭和(株)製)、
比表面積 :520〜580m/g、
シリカ・アルミナ比:2.0、
形状:ペレット(ペレット直径1.6mmΦ)、
吸水率:水約16ml/MS−5A20ml(12.8220g)
蒸留水18mlに硝酸銀1.5623gを溶解させた。これにMS−5Aを20ml(12.8220g)入れて撹拌しながら浸漬した。MS−5Aを入れた直後から吸着熱による発熱が認められた。3時間後、撹拌を停止し、ろ過、蒸留水を用いて洗浄し、空気雰囲気下100℃で2時間乾燥後、400℃で2時間焼成した焼成後の重量は13.9161gであった。この結果、酸化銀としては、約7.9wt%担持された。その後、室温で蒸留水27.5633gに前記の吸着剤3.7882gを入れ、これにヒドラジン・1水和物を100μl添加して撹拌したところ瞬時に吸着剤が黒色へ変化した。この吸着剤をろ過し、蒸留水70mlで洗浄後、空気雰囲気下、120℃で2時間乾燥し、吸着剤が完成した。本吸着剤の比表面積は392m/gであった。
実施例1と同様にヨウ素酸イオン(IO )の濃度600wtppmを使用し、この溶液50mlに前記の吸着剤0.5gを入れ、250rpmで撹拌しながら、継時変化を調べた。5時間後にはヨウ素酸イオン(IO )の濃度は28wtppmとなり、前記吸着剤の吸着量は572wtppm、吸着率は95.3%となった。24時間後のヨウ素酸イオン(IO )の濃度は20wtppmであり、前記吸着剤の吸着量は580wtppm、吸着率は96.7%であった。
実施例3
吸着剤として、以下の通りのゼオライトを用いた。
ゼオライト:実施例1で使用したMS−13X(ペレット)を砕き、メッシュ状にした粒径0.5〜1.0mmのゼオライト(以下、「ゼオライトメッシュ」という。)を得た。
蒸留水17mlに硝酸銀1.5226gを溶解させた。これに前記のゼオライトメッシュ20ml(13.2251g)を入れて撹拌しながら浸漬した。前記のように入れた直後から吸着熱による発熱が認められた。3時間後、撹拌を停止し、ろ過、蒸留水を用いて洗浄し、空気雰囲気下100℃で2時間乾燥後、400℃で4時間焼成した。焼成後の重量は14.2803gであった。この結果、酸化銀として7.39wt%担持された。その後、室温で蒸留水27.0602gに前記の吸着剤3.7880gを入れ、これにヒドラジン・1水和物を100μl添加し撹拌した。瞬時に吸着剤が黒色へ変化した。この吸着剤をろ過し、蒸留水75mlで洗浄後、空気雰囲気下100℃3時間乾燥し、吸着剤が完成した。本吸着剤の比表面積は398m/gであった。
実施例1と同様にヨウ素酸イオン(IO )の濃度600wtppmを使用し、この溶液50mlに前記の吸着剤0.5gを入れ、250rpmで撹拌しながら、継時変化を調べた。5時間後にはヨウ素酸イオン(IO )の濃度は24wtppmとなり、前記吸着剤の吸着量は576wtppm、吸着率は96%となった。24時間後にヨウ素酸イオン(IO )の濃度は19wtppmとなり、前記吸着剤の吸着量は581wtppm、吸着率は96.8%となった。
実施例4
吸着剤として、以下の通りのアルミナを用いた。
アルミナ:NST−3(日揮ユニバ−サル(株)製)、
比表面積:165m/g、
形状:球形(3.2mmΦ)、嵩密度:0.4g/cc
磁性蒸発皿に蒸留水25mlに硝酸銀0.7512gを溶解させた。これにNST−3を20ml(8.2130g)入れ撹拌しながら、温度95℃で蒸発乾固させた。蒸発乾固後の吸着剤を空気雰囲気下110℃で2時間乾燥させた後、400℃で4時間焼成した。焼成後の重量は8.7112gであった。この結果、酸化銀としては約5.7wt%が担持された。その後、室温で蒸留水26.7010gに前記吸着剤4.1380gを入れ、これにヒドラジン・1水和物を100μl添加して撹拌した。瞬時に吸着剤が黒色に変化した。この吸着剤をろ過し、蒸留水50mlで洗浄後、空気雰囲気下120℃で2時間乾燥し、吸着剤が完成した。本吸着剤の比表面積は118m/gであった。
実施例1と同様にヨウ素酸イオン(IO )の濃度600wtppmを使用し、この溶液50mlに前記の吸着剤0.5gを入れ、250rpmで撹拌しながら継時変化を調べた。5時間後にはヨウ素酸イオン(IO )の濃度は62wtppmとなり、前記吸着剤の吸着量は538wtppm、吸着率は89.7%となった。24時間後にヨウ素酸イオン(IO )の濃度は51wtppmとなり、前記吸着剤の吸着量は549wtppm、吸着率は91.5%となった。
実施例5
実施例1で用いた蒸留水にヨウ素酸カリウム(KIO)を溶かした水溶液をイオンクロマトグラフィーで分析し、ヨウ素酸イオン(IO )の濃度を600wtppmに調整した前記ヨウ素酸カリウム水溶液100mlに海水(茨城県鹿島より採取)を100ml添加して撹拌後、イオンクロマトグラフィーでIO の濃度を測定したところ、ヨウ素酸イオン(IO )の濃度は292wtppmであった。前記のヨウ素酸イオン(IO )の濃度が292wtppmの海水含有ヨウ素酸カリウム水溶液50mlに実施例1で調整したヒドラジン水溶液での処理後の吸着剤0.5gを入れ、250rpmで撹拌しながら継時変化を調べた。5時間後にはヨウ素酸イオン(IO )の濃度は29wtppmとなり、前記吸着剤の吸着量は263wtppm、吸着率は90.0%となった。24時間後にヨウ素酸イオン(IO )の濃度は28wtppmとなり、前記吸着剤の吸着量は264wtppm、吸着率は90.4%となった。
実施例6
実施例1と同様にMS−13Xを用いて同様な操作、条件で酸化銀を担持したゼオライトを20ml得た。室温で蒸留水108.1207gに前記の吸着剤20mlを入れ、これにヒドラジン・1水和物を300μl添加して撹拌した。吸着剤は黒色へ変化した。この吸着剤をろ過し、蒸留水250mlで洗浄後、空気雰囲気下、100℃で2時間乾燥し、吸着剤が完成した。実施例1と同様な操作で、ヨウ素酸イオン(IO )濃度600wtppmの水溶液200mlに実施例6で用いた海水100mlを混合し分析したところ、IO の濃度は398wtppmであった。次にガラス製カラム(内径10mmΦ×長さ300mm)に前記吸着剤15mlを充填し、送液ポンプで前記海水を含むヨウ素酸イオン(IO )溶液10ml/分で循環させ継時変化を調べた。3時間後、循環液の一部を採取し分析したところ、ヨウ素酸イオン(IO )濃度は13wtppmであり、前記吸着剤の吸着量は385wtppmであり、吸着率は96.7%であった。
実施例1〜4の結果から、吸着剤として銀化合物(酸化銀)を担持したゼオライト又はアルミナであって、形状がペレット型(実施例1,2)、破砕型(ゼオライトメッシュ)(実施例3)、球形(実施例4)のいずれにおいても、還元性物質水溶液で処理した前記吸着剤は放射性ヨウ素化合物(ヨウ素酸イオン)を含有する水溶液(汚染水)からヨウ素酸イオン(IO )を短時間で多量に吸着除去でき、効率的に除去できることがわかった。
また、酸化銀を担持した前記ゼオライトを還元性物質(ヒドラジン)水溶液で処理した吸着剤(実施例1〜6)が、還元性物質(ヒドラジン)水溶液での処理のない吸着剤(比較例1)に比べ、前記汚染水からヨウ素酸イオン(IO )を短時間で高い効率で除去できることがわかり、経済的であることを見出した。
実施例5の結果から、本発明に係る吸着剤及び除去方法によれば海水を特定の比率で含有する汚染水からも、効率的にヨウ素酸イオン(IO )を除去できることがわかった。
実施例6の結果から、本発明に係る吸着剤を充填したガラスカラムに海水を含む前記汚染水を循環させることによりヨウ素酸イオン(IO )を効率的に除去できることがわかった。これにより吸着剤と放射性ヨウ素化合物を含有する海水を含む汚染水を接触させ除去する工程に固定床流通式を採用できることがわかる。

Claims (15)

  1. 放射性ヨウ素化合物を含有する海水を含む汚染水を液相で吸着剤と接触させ、放射性ヨウ素化合物を除去する方法において、
    (A)吸着剤として、多孔質担体に銀化合物を担持し空気雰囲気下で焼成する工程と、
    (B)(A)の工程で得られた吸着剤を還元性物質水溶液で処理する工程と、
    (C)(B)の工程で得られた吸着剤を乾燥する工程と、
    (D)(C)の工程で得られた吸着剤を汚染水と接触させる工程とを、含むことを特徴とする放射性ヨウ素化合物の除去方法。
  2. 前記の還元性物質がヒドラジンであることを特徴とする請求項1に記載の放射性ヨウ素化合物の除去方法。
  3. 前記の多孔質担体がゼオライト又はアルミナであることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性ヨウ素化合物の除去方法。
  4. 前記の放射性ヨウ素化合物が主としてヨウ素酸イオンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の放射性ヨウ素化合物の除去方法。
  5. 前記の多孔質担体がゼオライトであり、当該ゼオライト中におけるシリカ(SiO)のアルミナ(Al)に対する重量比が0.5乃至3.0であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の放射性ヨウ素化合物の除去方法。
  6. 前記の銀化合物が硝酸銀、酢酸銀、炭酸銀から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の放射性ヨウ素化合物の除去方法。
  7. 前記の多孔質担体に担持する銀化合物の量が2wt%乃至31wt%であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の放射性ヨウ素化合物の除去方法。
  8. 前記の多孔質担体に銀化合物を担持した後、空気雰囲気下で焼成する温度が200℃乃至600℃であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の放射性ヨウ素化合物の除去方法。
  9. 前記の多孔質担体に銀化合物を担持し、焼成後、ヒドラジン水溶液で還元処理する工程の水溶液中のヒドラジンが10wt%以下で、且つ0wt%を超える濃度であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の放射性ヨウ素化合物の除去方法。
  10. 前記の還元性物質水溶液で還元処理、乾燥後の吸着剤の比表面積が80m/g以上であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の放射性ヨウ素化合物の除去方法。
  11. 海水と、放射性ヨウ素化合物を含有する汚染水の割合が1:1以下で、且つ1:10以上であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の放射性ヨウ素化合物の除去方法。
  12. 吸着剤と、放射性ヨウ素化合物を含有する海水を含む汚染水を接触させ除去する工程が固定床流通式であることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の放射性ヨウ素化合の除去方法。
  13. 多孔質担体に銀化合物を担持し焼成した後、還元性物質水溶液で還元し、乾燥して得られたことを特徴とする放射性ヨウ素化合物の除去用の吸着剤。
  14. 前記の多孔質担体がゼオライト又はアルミナであることを特徴とする請求項13に記載の吸着剤。
  15. 前記の還元性物質がヒドラジンであることを特徴とする請求項13又は14に記載の吸着剤。
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WO2022220226A1 (ja) * 2021-04-16 2022-10-20 ユニオン昭和株式会社 放射性ヨウ素吸着剤、放射性ヨウ素吸着剤の製造方法及び放射性ヨウ素の処理方法
CN116020398A (zh) * 2023-02-22 2023-04-28 西华师范大学 亚铜基阳离子水凝胶复合吸附剂及其制备方法、应用

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