JP2005205368A - 吸着材及び水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ素、ホウ素、ヒ素の吸着能、沈降性、取り扱い性等に優れ、再利用も容易でかつ安価な吸着材を提供する。この吸着材を用いて被処理水中のフッ素、ホウ素、ヒ素を効率的に除去する。
【解決手段】希土類金属化合物をベントナイトに担持したフッ素、ホウ素又はヒ素の吸着材。被処理水を所定のpHにおいてこの吸着材と接触させて、フッ素、ホウ素又はヒ素を吸着除去する水処理方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、河川水、地下水、海水、排水などに含まれるフッ素、ホウ素、又はヒ素を吸着除去するための吸着材とこの吸着材を用いた水処理方法に関する。
従来、希土類金属を用いたフッ素、ホウ素、ヒ素の除去方法としては、特開平11−235584号公報、特開平11−47765号公報のように、被処理水に水溶性の希土類金属化合物を添加し、除去対象物質と不溶性の塩を生成させて除去する方法がある。しかし、この方法を用いた場合には、不溶性塩の固液分離のために凝集処理が必要であり、また、添加した希土類金属化合物の回収、再利用のためには、この不溶性塩を再溶解させて再び固液分離する必要があり、操作が煩雑で、希土類金属化合物の再利用が困難であるという欠点がある。また、被処理水の濃度によっては未反応の希土類金属が溶出するという問題があるため、添加する希土類金属化合物の濃度を厳密に管理する必要があるという不具合もある。
一方、物理吸着によって被処理水中のフッ素、ホウ素、ヒ素を除去する方法としては、特開昭61−187931号公報、特開2002−1313号公報に示されるように、希土類金属の酸化物や水酸化物などを吸着材として用いるものが知られている。これらの方法では、吸着材の大きさが小さいほど、吸着材当たりの表面積が大きく、吸着量が稼げるようになるが、反面、沈降性が悪化し、回収、再利用の操作が煩雑になり、また、回収、再生の設備費も高価なものとなるという問題がある。また、吸着塔に吸着材を充填する際においては、吸着材の強度が弱いと、塔の下部の吸着材が変形したり、微粉化したりして通水抵抗が増大するという問題が生じる。
これに対して、特開2000−24647号公報、特開2002−153864号公報には、多孔性無機担体であるγ−アルミナ担体に希土類金属を担持した吸着材が提案されている。このような吸着材であれば、アルミナのような多孔性無機担体に希土類金属を担持することで、吸着材の表面積が稼げると共に、見掛け比重の増加で固液分離が容易になるが、使用する担体が高価であるため、処理コストが高くつく問題がある。しかも、アルミナ担体を用いた吸着材では、その吸着能においても十分に満足し得る値が得られず、より一層の改善が望まれる。
特開平11−235584号公報 特開平11−47765号公報 特開昭61−187931号公報 特開2002−1313号公報 特開2000−24647号公報 特開2002−153864号公報
本発明は、フッ素、ホウ素、ヒ素の吸着能に優れる上に、沈降性、取り扱い性等に優れ、再利用も容易でかつ安価な吸着材と、この吸着材を用いて、被処理水中のフッ素、ホウ素、ヒ素を効率的に除去する水処理方法を提供することを目的とする。
本発明の吸着材は、希土類金属化合物をベントナイトに担持したことを特徴とする。
本発明では、希土類金属化合物を無機担体であるベントナイトに担持させることにより、吸着材の有効吸着面積を大きくして吸着性能を高めると共に、吸着材の見掛け比重を増加させ、沈降性を高めることができる。このため、固液分離が容易となり、吸着材の回収、再生も容易に行える。また、希土類をベントナイトに担持することにより吸着材の強度を高めることもでき、吸着塔に充填した際の吸着材の変形、微粉化を防止することができる。しかも、ベントナイトは陽イオン交換性を有し、希土類金属イオンを強く担持する性質があるため、処理水中への希土類金属イオンの流出による吸着性能の低下や処理水水質の悪化を抑制することができる。
また、天然ベントナイトは、アルミナなどの人工的な担体と比べて1/10程度の価格であるため、ベントナイトを担体とする本発明の吸着材は安価に提供される。
この吸着材は、フッ素、ホウ素、又はヒ素の吸着に好適な所定のpH条件でフッ素、ホウ素、又はヒ素を吸着した後、この所定のpH条件と異なるpHに調整することにより、吸着したフッ素、ホウ素、又はヒ素を容易に脱着させることができ、これにより繰り返し使用することが可能である。
本発明の吸着材によるフッ素、ホウ素、又はヒ素の吸着機構の詳細は明らかではないが、金属酸化物のOH基と陰イオンとがイオン交換することによりフッ素、ホウ素、ヒ素が、F,BO 3−,AsO 3−,AsO 3−として吸着するものと推定される。
本発明の水処理方法は、被処理水を所定のpHにおいてこの吸着材と接触させて、水中のフッ素、ホウ素又はヒ素を吸着除去することを特徴とするものであり、吸着性能に優れ、安価で取り扱い性も良く、再生も容易な吸着材を用いて、被処理水中のフッ素、ホウ素、ヒ素を効率的に、容易かつ低コストに除去することができる。
なお、本発明の吸着材は、後述の如くフッ素、ホウ素、ヒ素を吸着するための好適pH値がそれぞれ異なるものであるが、pH条件によっては、これらの2種又は3種を同時に吸着することも可能であり、従って、本発明の水処理方法においても、被処理水中のフッ素、ホウ素、ヒ素の1種に限らず、2種又は3種を同時に吸着除去することもできる。
本発明によれば、吸着性能に優れ、安価で取り扱い性も良く、再生も容易な吸着材を用いて、被処理水中のフッ素、ホウ素、ヒ素を容易かつ低コストに除去することができる。
以下に本発明の吸着材及び水処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明の吸着材について説明する。
本発明の吸着材は、希土類金属化合物をベントナイトに担持したものである。この希土類金属としてはランタン、セリウム、イットリウムが好ましく、特にランタンはセリウム、イットリウムと比べて価格が半分程度と、コスト的にも好ましい。
希土類金属化合物は、水酸化物及び/又は酸化物としてベントナイトに担持されていることが好ましく、その担持量は、希土類金属としてベントナイトに対して1〜60重量%、特に2〜30重量%とすることが好ましい。この担持量が少な過ぎると十分な吸着性能を得ることができず、多過ぎると担体に担持したことによる沈降性、表面積、強度等の向上効率を十分に得ることができない。
本発明の吸着材の形状としては特に制限はなく、粉状、粒状、糸状、その他の任意の形状を採用することができ、用途(吸着材の使用形態)に応じて適宜決定される。即ち、本発明の吸着材を被処理水中に懸濁させて吸着処理を行い、その後固液分離する場合には、沈降性の確保のために粒径10μm以上、例えば10〜50μmで、比重1.5〜3g/cm程度の粉状であることが好ましく、このような吸着材であれば、沈降速度(理論値)0.3〜7.5m/dayを得ることができ、固液分離性が良好である。また、本発明の吸着材を吸着塔に充填して用いる場合は、粒径1〜5mm程度の粒状であることが好ましい。なお、目的とする形状を保持するために、後述の如く、有機高分子材料を用いて成形を行っても良く、この場合、有機高分子材料としては特にセルロース系樹脂、ポリアミド、ポリスルホンなどが好ましい。
ベントナイトに希土類金属化合物を担持させて本発明の吸着材を製造する方法としては、従来公知の各種の方法を採用することができるが、一般的には、含浸法により実施される。即ち、予め希土類金属化合物を含有する溶液を調製し、この溶液中にベントナイトを浸漬してベントナイト中に希土類金属化合物を含浸させ、次いで乾燥し、焼成する。ここで希土類金属化合物を溶解させるための溶媒としては、水、有機溶媒/水との混合物、及び有機溶媒が用いられるが、好ましくは水が用いられる。溶媒に溶解させる希土類金属化合物は、その溶媒に溶解する形態であればよく、一般的には、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩等である。溶液中の希土類金属化合物の濃度は、希土類金属換算量で、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%である。希土類金属化合物を含浸させたベントナイトの乾燥温度は50〜250℃、好ましくは100〜200℃であり、その乾燥物の焼成温度は200〜700℃、好ましくは200〜500℃である。
また、ベントナイトの層間にランタンをイオン交換により導入し、電気炉中で加熱処理することによる担持方法(山中昭司著「粘土化学」21,78−82,1981)を採用することもできる。
また、このような希土類金属化合物担持ベントナイトの粉体を粒状等に成形する方法としては、本出願人により先に出願された特願2003−378637に記載の方法を採用することができる。
即ち、希土類金属化合物を担持させたベントナイト、バインダーとしての有機高分子材料及び2種以上の溶媒を混合し、得られた混合物を乾燥させ、その後粉砕する。ここで、有機高分子材料が一方の溶媒に対しては溶解性が高く、他方の溶媒に対して溶解性が低い場合、乾燥時に溶媒が蒸発するに従い、有機高分子材料は有機高分子材料の良溶媒の側に濃縮されて相分離し、良溶媒が蒸発した後は吸着材同士を結びつけるバインダーとなる。一方、有機高分子材料の貧溶媒が存在していた部分は貧溶媒が蒸発して孔となり、形成される固形物が多孔性となる。この結果、吸着有効表面積が大きく吸着性能に優れた、粒径の大きな粒状の吸着材を得ることができる。
次に、このような本発明の吸着材を用いる本発明の水処理方法について説明する。
本発明の水処理方法においては、被処理水と吸着材との接触手段として、反応槽懸濁方式、充填塔通水方式のいずれも採用することができる。
反応槽懸濁方式の場合には、反応槽内の被処理水に本発明の吸着材(この吸着材は粉状、粒状など任意であるが、接触面積を大きくするために、前述の粉状のものが良い。)を添加して撹拌することにより被処理水と吸着材とを接触させて、水中のフッ素、ホウ素又はヒ素を吸着後、処理水と吸着材とに固液分離する。この場合、本発明の吸着材は担体としてベントナイトを用い、見掛け比重が大きく、固液分離性が良いため、従来のような凝集剤による凝集処理は不要であり、そのまま容易に固液分離することができる。
この固液分離手段としては特に制限はなく、沈殿、遠心分離、膜分離などの任意の手段を用いることができる。分離した吸着材は、脱着液中で撹拌するなどして脱着液と接触させることにより再生する。
この場合、反応槽(吸着槽)、固液分離手段、脱着槽を連結し、吸着材含有スラリーを順次ポンプ移送して連続処理を行っても良く、また、1槽で吸着、固液分離、脱着の各工程を順次行う回分処理を行うこともできる。
一方、充填塔通水方式の場合には、充填塔に本発明の吸着材を充填し、この充填塔(吸着塔)に被処理水を通水して処理水を得る。この場合充填する吸着材は、水流により塔外へ流出することがないような粒度に調整することが望まれる。この吸着塔は、被処理水が通水されても固定層を形成する固定床式でも、通水により吸着材が流動する流動床式でも良い。また、通水は上向流であっても下向流であっても良い。被処理水を通水して吸着処理を行った後は、脱着液を通水して塔内の吸着材を脱着液と接触させて再生する。
この場合、1塔の充填塔で吸着と脱着とを交互に行うようにしても良く、複数の充填塔を並設して一部の塔で吸着工程を行い、他の塔で脱着工程を行うようにしても良い。後者の場合には、被処理水を通水する充填塔を切り換えることにより連続通水処理が可能となる。
本発明の吸着材により、フッ素、ホウ素、ヒ素を吸着する場合、pH条件により吸着量が大きく変化し、吸着対象に応じて吸着に適した所定の好適pHが存在するため、その所定のpHに被処理水のpHを調整することが重要である。
即ち、フッ素の吸着には、一般的にはpH2〜6、特にpH3〜4で吸着処理を行うのが好ましく、従って、吸着材と接触させる被処理水のpHが上記好適pHと外れる場合には、適宜、酸又はアルカリを添加して、上記pH範囲に調整することが好ましい。また、ホウ素の吸着には、一般的にはpH6〜10、特にpH7〜9で吸着処理を行うのが好ましく、従って、吸着材と接触させる被処理水は、必要に応じてこのようなpHに調整することが好ましい。また、ヒ素の吸着には、一般的にはpH5〜10、特にpH6〜9で吸着処理を行うのが好ましく、従って、吸着材と接触させる被処理水は、必要に応じてこのようなpHに調整することが好ましい。
また、吸着処理後の吸着材から吸着したフッ素、ホウ素、ヒ素を脱着させるには、各々の吸着に好適なpH範囲と外れるpH値の脱着液と接触させれば良く、フッ素を吸着した吸着材であれば、脱着液のpHは7〜13、特に10〜12であることが好ましく、ホウ素を吸着した吸着材であれば、脱着液のpHは5〜7、特に5〜6の範囲であることが好ましく、また、ヒ素を吸着した吸着材であれば、脱着液のpHは5〜12、特に9〜12の範囲であることができる。
脱着液と接触させて、吸着物質を脱着させた後の吸着材は、再使用のために再度吸着に適したpHにコンディショニングして再生する。例えば、フッ素吸着に用いられる吸着材であれば酸で、ホウ素吸着に用いられる吸着材であればアルカリで、また、ヒ素吸着に用いられる吸着材であれば中性の水と接触させて、コンディショニングすることが好ましい。この脱着処理後のコンディショニングに先立ち、洗浄処理を行っても良い。
この脱着、洗浄、コンディショニングに用いられる水としては、上水等の新規の水であっても良く、脱着液を処理した再利用水であっても良く、吸着処理で得られた処理水であっても良い。
この脱着、洗浄、コンディショニングの処理条件としては特に制限はなく、処理方式、即ち、脱着槽懸濁方式、充填塔通水方式に応じて適宜決定される。
また、本発明の吸着材を用いて被処理水中のフッ素、ホウ素、ヒ素を吸着除去する場合、被処理水を加温してから吸着材と接触させるのが好ましい。温度が高くなるほど吸着材の吸着容量が増大し、被処理水中のフッ素、ホウ素、ヒ素濃度をより低減できる。温度は常温以上、好ましくは30℃以上とするのがよい。脱着時には通水時より低温の脱着液を用いるのが好ましく、温度による吸着容量の差を利用して脱着することができる。温度差のみによる脱着でもよいが、前述した吸着時のpHとは異なるpHの脱着液を用いるとともに脱着液の温度も吸着時より低くして使用すると、脱着効果が向上するので好ましい。
本発明の吸着材を用いてフッ素、ホウ素、ヒ素を吸着除去する場合、被処理水中のCl,NO ,SO 2−は、水道水レベル(Cl:5mg/L,NO :1mg/L,SO 2−:15mg/L)であれば、吸着効率や脱着効率に特に影響を及ぼすものではないが、燐酸イオンが存在すると、吸着効率及び脱着効率が低下するおそれがある。このため、被処理水中の燐酸イオンは、カルシウム化合物による凝集沈殿処理等により予め除去しておくことが好ましい。特に、被処理水中の燐酸イオンは5mg/L以下であることが好ましい。
前述の如く、フッ素、ホウ素、ヒ素には各々吸着に好適なpH範囲が存在するが、被処理水中にフッ素、ホウ素、ヒ素が混在する場合にも、順次pH調整を行って吸着処理を繰り返すことにより、これらをすべて吸着除去することができる。例えば、被処理水をまずpH3〜4程度に調整して本発明の吸着材と接触させると、フッ素及びヒ素を吸着除去することができる。その後、被処理水のpHを7〜9に調整して本発明の吸着材と接触させることにより、ホウ素及びヒ素を吸着除去することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1〜3
フッ素イオンを10.0mg−F/L含む電子産業排水を、塩酸を用いてpH3に調整した後、ビーカーに1L採り、20重量%塩化ランタン水溶液を用いて、前述の含浸法にてランタン換算量としてベントナイトに対して約5重量%の酸化ランタンを担持した本発明の吸着材(平均粒径10μm,比重2.7g/cm)を表1に示す量投入し、マグネチックスターラーで16時間撹拌した。その後、固液分離を行い、得られた処理水のフッ素濃度を測定し、この結果からフッ素吸着量と吸着容量を求め、結果を表1に示した。
また、固液分離により得られた吸着材をpH7の水よりなる脱着液100mL中で16時間撹拌した後、脱着液中のフッ素濃度を測定することにより、フッ素脱着量と吸着材中のフッ素残存量を求め、結果を表1に示した。
Figure 2005205368
上記実施例1〜3で得られた結果から、フッ素吸着等温線(被処理水中のフッ素濃度又は脱着液中のフッ素濃度とフッ素吸着容量又はフッ素残存量との関係)を作成すると図1に示す如く、pH3では高いフッ素吸着容量が得られ、pH7では低下する。従って、pHを変えることでフッ素の吸脱着を良好に行うことができることが分かる。
実施例4〜6
ホウ酸(HBO)を20.0mg−B/L含む産業排水をpH7に調整した後、ビーカーに1L採り、実施例1で用いたのと同様のランタン/ベントナイト吸着材を表2に示す量投入し、マグネチックスターラーで16時間撹拌した。その後、固液分離を行い、得られた処理水のホウ素濃度を測定し、この結果からホウ素吸着量と吸着容量を求め、結果を表2に示した。
また、固液分離により得られた吸着材をpH5に調整した弱酸性水よりなる脱着液100mL中で16時間撹拌した後、脱着液中のホウ素濃度を測定することにより、ホウ素脱着量と吸着材中のホウ素残存量を求め、結果を表2に示した。
Figure 2005205368
上記実施例4〜6より、pHを変えることでホウ素の吸脱着を良好に行うことができることが分かる。
実施例7〜9
ホウ酸(HBO)を5.0mg−B/L添加した市水をpH7に調整した後、ビーカーに1L採り、実施例1で用いたと同様のランタン/ベントナイト吸着材を表3に示す量投入し、マグネチックスターラーで16時間撹拌した。その後、固液分離を行い、得られた処理水のホウ素濃度を測定し、この結果からホウ素吸着量と吸着容量を求め、結果を表3に示した。
また、固液分離により得られた吸着材をpH5に調整した弱酸性水よりなる脱着液100mL中で16時間撹拌した後、脱着液中のホウ素濃度を測定することにより、ホウ素脱着量と吸着材中のホウ素残存量を求め、結果を表3に示した。
Figure 2005205368
上記実施例7〜9より、ホウ素濃度5.0mg/Lの被処理水であっても、pHを変えることでホウ素の吸脱着を良好に行うことができることが分かる。
実施例10〜12
ヒ酸(HAsO)を5.0mg−As/L添加した市水をpH9に調整した後、ビーカーに1L採り、実施例1で用いたと同様のランタン/ベントナイト吸着材を表4に示す量投入し、マグネチックスターラーで16時間撹拌した。その後、固液分離を行い、得られた処理水のヒ素濃度を測定し、この結果からヒ素吸着量と吸着容量を求め、結果を表4に示した。
また、固液分離により得られた吸着材をpH12に調整した水よりなる脱着液100mL中で16時間撹拌した後、脱着液中のヒ素濃度を測定することにより、ヒ素脱着量と吸着材中のヒ素残存量を求め、結果を表4に示した。
Figure 2005205368
上記実施例10〜12より、本発明の吸着材により、ヒ素を低濃度にまで吸着除去し、また、吸着材の再生も行えることが分かる。
実施例13
実施例1において、吸着材の添加量を1.0gとしたこと以外は同様にして吸着処理を行い、同様に処理水フッ素濃度、及び吸着容量を調べ、結果を表5に示した。
実施例14,15
実施例13において、ランタン化合物の代りに、セリウム化合物(実施例14)、イットリウム化合物(実施例15)を各々酸化物として担持した吸着材を用いたこと以外は同様にして吸着処理を行い、同様に処理水フッ素濃度、及び吸着容量を調べ、結果を表5に示した。
Figure 2005205368
上記実施例13〜15より明らかなように、セリウム化合物やイットリウム化合物を担持した吸着材も優れた吸着性能を示し、特にセリウムを担持した吸着材は高い吸着容量が得られた。
しかし、コスト面では、ランタン化合物の価格はセリウム、イットリウム化合物の約1/2であるため、処理コストの面ではランタン化合物を用いることが好ましい。
実施例16、比較例1
実施例1〜3において、ランタン/ベントナイト吸着材の添加量を種々変えて吸着処理を行い、処理水のフッ素濃度からフッ素吸着容量を求め、これらの結果から作成したフッ素吸着等温線を図2に示した(実施例16)。
また、吸着材として、セリウムをアルミナ担体に担持した吸着材(アルミナに対するセリウム担持量約5重量%)を用いたこと以外は上記と同様にして作成したフッ素吸着等温線を図2に併記した。
図2より、担体としてアルミナを用いたものに比べて、ベントナイトを用いた本発明の吸着材は、高い吸着容量が得られることが分かる。
実施例17〜19
フッ素イオンを28mg−F/Lを含む調整市水をpH3に調整した後、ビーカーに300mL採り、実施例1で用いたランタン/ベントナイト吸着材を1g添加し、吸着時の温度を変化させて16時間攪拌した。その後、固液分離を行い、処理水のフッ素濃度を測定し、この結果から、フッ素吸着容量を求め、結果を表6に示した。
表6より、吸着温度を高くすることにより、処理水フッ素濃度は低下し、吸着容量が増大することが分かる。即ち、高い温度で吸着を行い、低い温度で脱着を行うことにより、フッ素の吸脱着を良好に行うことができることが分かる。
Figure 2005205368
実施例1〜3で得られたフッ素吸着等温線を示すグラフである。 実施例16及び比較例1で得られたフッ素吸着等温線を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 希土類金属化合物をベントナイトに担持したことを特徴とするフッ素、ホウ素又はヒ素の吸着材。
  2. 請求項1において、希土類金属がランタンであることを特徴とするフッ素、ホウ素又はヒ素の吸着材。
  3. 請求項1において、希土類金属がセリウムであることを特徴とするフッ素、ホウ素又はヒ素の吸着材。
  4. 被処理水を所定のpHにおいて請求項1ないし3のいずれか1項に記載の吸着材と接触させて、該被処理水中のフッ素、ホウ素又はヒ素を吸着除去することを特徴とする水処理方法。
  5. 請求項4において、フッ素、ホウ素又はヒ素を吸着した吸着材を、前記所定のpHと異なるpHの水と接触させて、該吸着材からフッ素、ホウ素又はヒ素を脱着させることを特徴とする水処理方法。
  6. 請求項5において、フッ素、ホウ素又はヒ素を脱着させた後の吸着材を前記所定のpHの水と接触させた後、被処理水の処理に再利用することを特徴とする水処理方法。
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