JP2006016270A - 塩基性金属化合物担持炭素、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高価な原料を必要とせず、製造工程が複雑にならず、且つその製造工程において廃液や廃棄物の発生を極力抑えることができる酸性ガスを吸収可能な塩基性金属化合物担持多孔質炭素を提供すること、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 芳香族酸にアルカリ金属水酸化物を加えて、又はアルカリ金属水酸化物を加えて溶解させた後にアルカリ土類金属塩を加えて芳香族酸金属塩を生成し、該芳香族酸金属塩を不活性ガスの雰囲気中にて加熱処理し、炭素に塩基性金属化合物が担持された塩基性金属化合物担持多孔質炭素を生成する塩基性化合物担持多孔質炭素の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 芳香族酸にアルカリ金属水酸化物を加えて、又はアルカリ金属水酸化物を加えて溶解させた後にアルカリ土類金属塩を加えて芳香族酸金属塩を生成し、該芳香族酸金属塩を不活性ガスの雰囲気中にて加熱処理し、炭素に塩基性金属化合物が担持された塩基性金属化合物担持多孔質炭素を生成する塩基性化合物担持多孔質炭素の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、酸性蒸気、炭酸ガス、NOx、及びSOx等の酸性ガスに対する高性能吸収材料である塩基性金属化合物担持多孔質炭素、及びその製造方法に関する。
従来、有害ガスを吸着処理するものとして種々な活性炭が利用されているが単なる活性炭では酸性ガスに対する吸着性能は依然として低い。
そのため、活性炭の性能をより改善するために酸性ガスを中和する薬品を活性炭に担持させた活性炭が一般に用いられている。
このような薬品担持活性炭は、その薬品の種類や担持量等により性能が決定されるものである。
そのため、活性炭の性能をより改善するために酸性ガスを中和する薬品を活性炭に担持させた活性炭が一般に用いられている。
このような薬品担持活性炭は、その薬品の種類や担持量等により性能が決定されるものである。
一般的に活性炭は多孔質ではあるが、薬品の担持量を増大させるために有効なメソ孔やマクロ孔が少ないことが知られている。
このメソ孔やマクロ孔の存在によって薬品の担持量を増大させることができることから、従来からある活性炭は酸性ガス等の有害ガスを吸収するのには必ずしも十分ではなかった。
このメソ孔やマクロ孔の存在によって薬品の担持量を増大させることができることから、従来からある活性炭は酸性ガス等の有害ガスを吸収するのには必ずしも十分ではなかった。
ところで、メソ孔やマクロ孔を積極的に与えた多孔質炭素の製造方法としては、メソ孔生成の触媒となる希土類金属化合物を予め原料に担持して賦活する方法(例えば、特許文献1参照)、ゾル−ゲル法により調製した多孔質フェノ−ル樹脂を熱分解する方法(例えば、非特許文献1参照)、炭素を生成する高分子とそうでない高分子の複合体を熱分解する方法(例えば、非特許文献2参照)、多孔質無機材料の細孔中で炭素を生成させ、その後無機材料を溶解除去する方法(例えば、非特許文献3参照)等が知られている。
しかし、これらの方法には、高価な原料を使用している点、複雑な処理工程を必要とする点、大量の廃液や廃棄物が発生する点等の欠点を有する。
特開平5−294607号公報
Carbon, Vol. 35, pp. 791-6 (1997).
Carbon, Vol. 35, pp. 1031-3 (1997).
J. Am. Chem. Soc., Vol. 122, pp. 10712-3 (2000)
しかし、これらの方法には、高価な原料を使用している点、複雑な処理工程を必要とする点、大量の廃液や廃棄物が発生する点等の欠点を有する。
本発明は、かかる背景技術をもとになされたもので、上記の背景技術の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明の目的は、高価な原料を必要とせず、製造工程が複雑にならず、且つその製造工程において廃液や廃棄物の発生を極力抑えることができる酸性ガスを吸収可能な塩基性金属化合物担持多孔質炭素を提供することである。
更には、その製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の目的は、高価な原料を必要とせず、製造工程が複雑にならず、且つその製造工程において廃液や廃棄物の発生を極力抑えることができる酸性ガスを吸収可能な塩基性金属化合物担持多孔質炭素を提供することである。
更には、その製造方法を提供することを目的とする。
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、単に芳香族酸のアルカリ塩又はアルカリ土類塩を熱分解することのみにより、炭素中に極めて微細な塩基性金属化合物が大量に析出した多孔質炭素が極めて簡便に製造できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、(1)、芳香族酸金属塩を不活性ガス雰囲気中において、加熱処理することにより得られた塩基性化合物担持多孔質炭素に存する。
また、本発明は、(2)、前記芳香族酸金属塩は、安息香酸、フタル酸、又はベンゼントリカルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、又はカルシウム塩であること上記(1)に記載の塩基性化合物担持多孔質炭素に存する。
また、本発明は、(3)、芳香族酸にアルカリ金属水酸化物を加えて、又はアルカリ金属水酸化物を加えて溶解させた後にアルカリ土類金属塩を加えて芳香族酸金属塩を生成し、該芳香族酸金属塩を不活性ガスの雰囲気中にて加熱処理し、炭素に塩基性金属化合物が担持された塩基性金属化合物担持多孔質炭素を生成する塩基性化合物担持多孔質炭素の製造方法に存する。
また、本発明は、(4)、加熱処理は、500℃〜1000℃で行う上記(3)に記載の塩基性化合物担持多孔質炭素の製造方法に存する。
また、本発明は、(5)、前記芳香族酸は、安息香酸、フタル酸、又はベンゼントリカルボン酸であること上記(3)に記載の塩基性金属化合物担持多孔質炭素の製造方法に存する。
また、本発明は、(6)、前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムである上記(3)に記載の塩基性金属化合物担持多孔質炭素の製造方法に存する。
また、本発明は、(7)、 前記アルカリ土類塩は、マグネシウム塩又はカルシウム塩である上記(3)に記載の塩基性金属化合物担持多孔質炭素の製造方法に存する。
また、本発明は、(8)、前記芳香族酸金属塩は、安息香酸、フタル酸、又はベンゼントリカルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、又はカルシウム塩である上記(3)に記載の塩基性金属化合物担持多孔質炭素の製造方法に存する。
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)から(8)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
本発明によれば、従来法のように高価な原料を使用する必要が無く、製造工程が極めて簡便であり、更にはその製造工程において廃液や廃棄物を全く発生させることがなく、各種の酸性蒸気、炭酸ガス、NOx、及びSOx等の酸性ガスを大量に除去可能な吸収材料、すなわち塩基性金属化合物担持多孔質炭素が製造できる。
また、本発明に使用する原料が水溶性であることから、粉末の他、粒子状、ペレットやハニカム状の種々の形態を付与することも容易となる。
本発明の塩基性化合物担持多孔質炭素は炭素に塩基性金属化合物が担持されたものであり、芳香族酸金属塩を不活性ガス雰囲気中において、加熱処理することにより得られる。 詳しくはまた、塩基性化合物担持多孔質炭素は、芳香族酸にアルカリ金属水酸化物を加えて、又はアルカリ金属水酸化物を加えて溶解させた後にアルカリ土類金属塩を加えて、芳香族酸金属塩を生成し、該芳香族酸金属塩を不活性ガスの雰囲気中にて加熱処理して得られる。
塩基性化合物担持多孔質炭素は、その空隙中(すなわち微細孔)に塩基性金属化合物が大量に析出したものである。
塩基性化合物担持多孔質炭素は、その空隙中(すなわち微細孔)に塩基性金属化合物が大量に析出したものである。
ここで、不活性ガスとしては、例えばアルゴンガス、窒素ガス等が採用される。
また、加熱処理する際の温度としては、500℃〜1000℃で行うが、500℃より低いと芳香族酸金属塩の熱分解反応が不十分であり、1000℃を越えると塩基性金属化合物担持炭素の収率が低下する。
好ましくは、600℃〜900℃が採用される。
また、加熱処理する際の温度としては、500℃〜1000℃で行うが、500℃より低いと芳香族酸金属塩の熱分解反応が不十分であり、1000℃を越えると塩基性金属化合物担持炭素の収率が低下する。
好ましくは、600℃〜900℃が採用される。
本発明の塩基性化合物担持多孔質炭素の原料となる芳香族酸としては、安息香酸、フタル酸、ベンゼントリカルボン酸等が使用される。
尚、芳香族酸である例えばフタル酸等は、PET樹脂原料として工業的に用いられている安価な原料である。
またアルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、等が使用される。
またアルカリ土類金属塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩等が使用される。
また芳香族酸金属塩は、安息香酸、フタル酸、ベンゼントリカルボン酸等のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
以下、実施例について述べるが、本発明は必ずしもこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、芳香族酸である例えばフタル酸等は、PET樹脂原料として工業的に用いられている安価な原料である。
またアルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、等が使用される。
またアルカリ土類金属塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩等が使用される。
また芳香族酸金属塩は、安息香酸、フタル酸、ベンゼントリカルボン酸等のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
以下、実施例について述べるが、本発明は必ずしもこれらの実施例に限定されるものではない。
先ず、図1に実施例1〜7までの実験条件の表を示す。
実験条件としては、芳香族酸金属塩を乾燥固化させてなる粉末をアルゴン雰囲気において、600℃〜900℃の範囲で1時間加熱処理し、放冷した。
実験結果としては、実施例1,2では、製造した多孔質炭素の比表面積(m2g−1)を測定し、実施例2、3,6では細孔径分布を測定した。
また、実施例4,5では、塩酸蒸気の流出が始まる通気時間を測定し、実施例6では炭酸ガスの吸収量を測定した。
実験条件としては、芳香族酸金属塩を乾燥固化させてなる粉末をアルゴン雰囲気において、600℃〜900℃の範囲で1時間加熱処理し、放冷した。
実験結果としては、実施例1,2では、製造した多孔質炭素の比表面積(m2g−1)を測定し、実施例2、3,6では細孔径分布を測定した。
また、実施例4,5では、塩酸蒸気の流出が始まる通気時間を測定し、実施例6では炭酸ガスの吸収量を測定した。
1モルのテレフタル酸に対して2モルの水酸化カリウム水溶液を加えてテレフタル酸カリウム水溶液を調製した。
そして、この溶液を乾燥固化させてテレフタル酸カリウム粉末を得た。
この粉末をアルミナボートに入れた状態で横型炉中でアルゴンガスの雰囲気下において、600℃で1時間熱処理し、その後放冷し、生成した試料を取り出した。
このようにして得られた試料は、炭酸カリウム等の塩基性金属化合物が担持された多孔質炭素(塩基性化合物担持多孔質炭素)である。
多孔質炭素は、1gの炭素に炭酸カリウムの結晶2.2gが高度に分散したものであることをX線解析、水銀ポロシメトリィー、及び中和滴定により確認した。
またその多孔質炭素の比表面積は11m2g−1であった。
そして、この溶液を乾燥固化させてテレフタル酸カリウム粉末を得た。
この粉末をアルミナボートに入れた状態で横型炉中でアルゴンガスの雰囲気下において、600℃で1時間熱処理し、その後放冷し、生成した試料を取り出した。
このようにして得られた試料は、炭酸カリウム等の塩基性金属化合物が担持された多孔質炭素(塩基性化合物担持多孔質炭素)である。
多孔質炭素は、1gの炭素に炭酸カリウムの結晶2.2gが高度に分散したものであることをX線解析、水銀ポロシメトリィー、及び中和滴定により確認した。
またその多孔質炭素の比表面積は11m2g−1であった。
ここで熱処理温度を900℃とすることにより、1gの炭素当たり1.4gの酸化カリウム等の塩基性金属化合物が分散し、比表面積が192m2g−1の多孔質炭素が得られる。
600℃熱処理物の粉末X線回折パターンを図2、またその材料中の炭酸カリウムを洗浄(水洗等)により除去して多孔質炭素のみとした試料の細孔径分布を水銀ポロシメトリーで計測した結果を図3に示す。
600℃熱処理物の粉末X線回折パターンを図2、またその材料中の炭酸カリウムを洗浄(水洗等)により除去して多孔質炭素のみとした試料の細孔径分布を水銀ポロシメトリーで計測した結果を図3に示す。
図3に示した結果から、芳香族酸金属塩であるテレフタル酸カリウム粉末の熱分解により得られた多孔質炭素は、非常に多くの微細孔(メソ孔やマクロ孔)を有しており、その中に炭酸カリウムが充填した構造を有していることが分かった。
一方、本発明との比較のために、市販の2種類の活性炭(原料:石炭及び椰子殻)に炭酸カリウム飽和水溶液を含浸させて乾燥させることにより炭酸カリウム担持活性炭を作製した。
そして、それぞれの炭酸カリウム担持量を洗浄、乾燥処理による重量減少量から測定した結果、石炭系活性炭で17重量%、椰子殻活性炭で26重量%であり、本法による炭酸カリウム担持量69重量%はそれらに比べて極めて高い値であることが分かった。
そして、それぞれの炭酸カリウム担持量を洗浄、乾燥処理による重量減少量から測定した結果、石炭系活性炭で17重量%、椰子殻活性炭で26重量%であり、本法による炭酸カリウム担持量69重量%はそれらに比べて極めて高い値であることが分かった。
水酸化カリウム水溶液の代わりに水酸化ナトリウム水溶液を用いて実施例1と同様の操作によりテレフタル酸ナトリウム粉末を得た。
この粉末をアルミナボートに入れてアルゴンガスの雰囲気下において、600℃で1時間熱処理し、その後放冷し、生成した試料を取り出した。
このようにして得られた試料は、炭酸ナトリウム等の塩基性金属化合物が担持された多孔質炭素(塩基性化合物担持多孔質炭素)である。
この多孔質炭素は、1gの炭素に20〜100nmの非常に微細な炭酸ナトリウムの結晶1.5gが高度に分散したものであることをX線解析、水銀ポロシメトリィー、及び中和滴定により確認した。
そしてその多孔質炭素の比表面積は23m2g−1であった。
この粉末をアルミナボートに入れてアルゴンガスの雰囲気下において、600℃で1時間熱処理し、その後放冷し、生成した試料を取り出した。
このようにして得られた試料は、炭酸ナトリウム等の塩基性金属化合物が担持された多孔質炭素(塩基性化合物担持多孔質炭素)である。
この多孔質炭素は、1gの炭素に20〜100nmの非常に微細な炭酸ナトリウムの結晶1.5gが高度に分散したものであることをX線解析、水銀ポロシメトリィー、及び中和滴定により確認した。
そしてその多孔質炭素の比表面積は23m2g−1であった。
また熱処理温度を900℃とすると、1gの炭素当たり1gの酸化ナトリウム等の塩基性金属化合物が分散した比表面積が340m2g−1の多孔質炭素が得られる。
600℃熱処理物の粉末X線回折パターンを図2、またその材料中の炭酸ナトリウムを洗浄により除去して多孔質炭素のみとした試料の細孔径分布を水銀ポロシメトリーで計測した結果を図3に示す。
600℃熱処理物の粉末X線回折パターンを図2、またその材料中の炭酸ナトリウムを洗浄により除去して多孔質炭素のみとした試料の細孔径分布を水銀ポロシメトリーで計測した結果を図3に示す。
図3に示した結果から、芳香族酸金属塩であるテレフタル酸ナトリウム粉末の熱分解により得られた多孔質炭素は、実施例1と同様に、メソ孔やマクロ孔を炭酸ナトリウムが充填した構造であることが分かる。
また、図3に示すように、細孔径分布のピークを示す細孔直径は、実施例1(炭酸カリウム)よりも実施例2(炭酸ナトリウム)の場合の方が小さいことが分かった。
また、図3に示すように、細孔径分布のピークを示す細孔直径は、実施例1(炭酸カリウム)よりも実施例2(炭酸ナトリウム)の場合の方が小さいことが分かった。
1モルのテレフタル酸に対して2モルの水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶解させ、これに1モルの塩化カルシウム水溶液を加えてテレフタル酸カルシウムを沈殿させた。
これを分離、乾燥させてテレフタル酸カルシウム粉末を得た。
これをアルゴンガスの雰囲気下において600℃で1時間熱処理し、その後放冷した。 このようにして得られた試料は、炭酸カルシウム等の塩基性金属化合物が担持された多孔質炭素(塩基性化合物担持多孔質炭素)である。
この多孔質炭素は、1gの炭素に10〜100nmの非常に微細な炭酸カルシウムの結晶1.9gが高度に分散したものとなっていることをX線解析や窒素ガス吸着により確認した。
これを分離、乾燥させてテレフタル酸カルシウム粉末を得た。
これをアルゴンガスの雰囲気下において600℃で1時間熱処理し、その後放冷した。 このようにして得られた試料は、炭酸カルシウム等の塩基性金属化合物が担持された多孔質炭素(塩基性化合物担持多孔質炭素)である。
この多孔質炭素は、1gの炭素に10〜100nmの非常に微細な炭酸カルシウムの結晶1.9gが高度に分散したものとなっていることをX線解析や窒素ガス吸着により確認した。
実施例1と同様にして、テレフタル酸カリウム粉末を調製し、この粉末1gに対してテレフタル酸カリウムの飽和水溶液を0.5gの重量割合で添加してペーストとし、これを乾燥後、粉砕して10〜30メッシュの粒度のものを得た。
これを実施例1と同様に600℃で1時間熱処理することにより炭酸カリウムである塩基性金属化合物が担持された多孔質炭素(塩基性化合物担持多孔質炭素)を調製した。
この試料を用いて室温で塩酸蒸気を吸収除去した結果を図4に示す。
これを実施例1と同様に600℃で1時間熱処理することにより炭酸カリウムである塩基性金属化合物が担持された多孔質炭素(塩基性化合物担持多孔質炭素)を調製した。
この試料を用いて室温で塩酸蒸気を吸収除去した結果を図4に示す。
図4は、1gの吸着剤を充填したカラムに塩酸蒸気(1.5mg/min)を窒素ガス(50ml/min)と共に通気させて、流出したガスを洗浄した水のpHを連続的にモニターした結果である。
そして、同図には比較のために塩酸蒸気を吸着剤に通気させなかった場合(吸着剤無し)、実施例1で示した市販の椰子殻活性炭をそのまま吸着剤とした場合、及びそれに炭酸カリウムを担持した椰子殻活性炭(担持量:26重量%)を吸着剤とした場合の塩酸蒸気吸着の結果を併せて示した。
なお、参考までに後述する実施例5の結果も併せて示した。
そして、同図には比較のために塩酸蒸気を吸着剤に通気させなかった場合(吸着剤無し)、実施例1で示した市販の椰子殻活性炭をそのまま吸着剤とした場合、及びそれに炭酸カリウムを担持した椰子殻活性炭(担持量:26重量%)を吸着剤とした場合の塩酸蒸気吸着の結果を併せて示した。
なお、参考までに後述する実施例5の結果も併せて示した。
図4の結果から、それぞれの吸着剤について大きなpH低下が始まる、すなわち塩酸蒸気の流出が始まる通気時間は椰子殻活性炭:40分、炭酸カリウム担持椰子殻活性炭:120分、本法により製造された複合炭素材料(実施例4):310分であり(図5参照)、この実施例4の試料は炭酸カリウム担持椰子殻活性炭に比べて2.6倍の酸性ガス吸収性能を有することを示している。
水酸化カリウム水溶液の代わりに水酸化ナトリウム水溶液を用いて、実施例4と同様にして炭酸ナトリウムである塩基性金属化合物が担持された多孔質炭素(塩基性化合物担持多孔質炭素)を調製した。
この試料を用いて室温で塩酸蒸気を吸収除去した結果を実施例4と同じ図4に併せて示した。
その結果、この試料の場合、pHが大きく低下するまでの通気時間は360分であり(図5参照)、炭酸カリウム担持椰子殻炭に比べて3倍の性能を示した。
この試料を用いて室温で塩酸蒸気を吸収除去した結果を実施例4と同じ図4に併せて示した。
その結果、この試料の場合、pHが大きく低下するまでの通気時間は360分であり(図5参照)、炭酸カリウム担持椰子殻炭に比べて3倍の性能を示した。
実施例4と同様に椰子殻活性炭、炭酸カリウム担持椰子殻活性炭(担持量:26重量%)、及び本発明により調製した炭酸カリウムである塩基性金属化合物が担持された多孔質炭素〔塩基性化合物担持多孔質炭素(担持量:69重量%)〕を用い、それぞれ2gを充填したカラムに65℃で5%の二酸化炭素及び7%の水蒸気を含む窒素ガスを100ml/minの速度で流してそれぞれの試料の炭酸ガス吸収挙動をモニターした。
その結果は図6のグラフ及び図7の表に示すように、未担持の椰子殻活性炭は殆ど炭酸ガスを吸収せず、また炭酸カリウムを担持した椰子殻活性炭も炭酸ガス吸収量は吸収剤1g当たり22mgにとどまった。
理論的には1モルの炭酸カリウムは1モルの二酸化炭素を吸収するとされており、22mgは理論量の27%にとどまった。
理論的には1モルの炭酸カリウムは1モルの二酸化炭素を吸収するとされており、22mgは理論量の27%にとどまった。
それに対して本発明の方法で調製した多孔質炭素は1g当たり190mgの炭酸ガスを吸収し、炭酸カリウム担持椰子殻活性炭に比べておよそ9倍、そして理論量の86%にも達することが確認された。
このように本発明の方法で調製した炭酸カリウム担持炭素が市販の活性炭に比べて担持量が数倍高いことに加え、担持された炭酸カリウムの反応性も高いことの原因としては、炭酸カリウムが20〜250nmの非常に微細な粒子として炭素中に高分散していることが考えられる。
そして、この炭酸ガスを吸収した複合炭素材料は200℃で加熱することにより吸収していた炭酸ガスを放出して再生され、その材料は1回目とほんとどまったく同じ炭酸ガス吸収性能を示した。
このように本発明の方法で調製した炭酸カリウム担持炭素が市販の活性炭に比べて担持量が数倍高いことに加え、担持された炭酸カリウムの反応性も高いことの原因としては、炭酸カリウムが20〜250nmの非常に微細な粒子として炭素中に高分散していることが考えられる。
そして、この炭酸ガスを吸収した複合炭素材料は200℃で加熱することにより吸収していた炭酸ガスを放出して再生され、その材料は1回目とほんとどまったく同じ炭酸ガス吸収性能を示した。
片段ボール紙を巻いて作成したハニカム構造体にテレフタル酸カリウム飽和水溶液を含浸、乾燥させ、これをアルゴン雰囲気下において850℃で3時間熱処理し、その後放冷した。
その結果、1gの多孔質炭素当たり1.2gの炭酸カリウムである塩基性金属化合物が担持された比較的強度のあるハニカム炭素複合材料を製造することができた。
この実験から本発明において水溶性原料を用いることにより、通気抵抗の極めて少ない構造体などへの塩基性金属化合物が担持された塩基性金属化合物担持多孔質炭素を含ませることができ、種々の形態付与が容易に可能となる。
その結果、1gの多孔質炭素当たり1.2gの炭酸カリウムである塩基性金属化合物が担持された比較的強度のあるハニカム炭素複合材料を製造することができた。
この実験から本発明において水溶性原料を用いることにより、通気抵抗の極めて少ない構造体などへの塩基性金属化合物が担持された塩基性金属化合物担持多孔質炭素を含ませることができ、種々の形態付与が容易に可能となる。
本発明は、酸性蒸気、炭酸ガス、NOx、及びSOx等の酸性ガスに対する高性能吸収材料である塩基性金属化合物担持多孔質炭素、及びその製造方法に関するものであるが、このような原理を利用するものである限り、工業化学プラント、廃棄物処理分野、公害防止分野、空調分野、更には医療分野等に適用可能であり、その応用分野は広い。
Claims (8)
- 芳香族酸金属塩を不活性ガス雰囲気中において、加熱処理することにより得られたことを特徴とする塩基性化合物担持多孔質炭素。
- 前記芳香族酸金属塩は、安息香酸、フタル酸、又はベンゼントリカルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、又はカルシウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の塩基性化合物担持多孔質炭素。
- 芳香族酸にアルカリ金属水酸化物を加えて、又はアルカリ金属水酸化物を加えて溶解させた後にアルカリ土類金属塩を加えて芳香族酸金属塩を生成し、該芳香族酸金属塩を不活性ガスの雰囲気中にて加熱処理し、炭素に塩基性金属化合物が担持された塩基性金属化合物担持多孔質炭素を生成することを特徴とする塩基性化合物担持多孔質炭素の製造方法。
- 加熱処理は、500℃〜1000℃で行うことを特徴とする請求項3に記載の塩基性化合物担持多孔質炭素の製造方法。
- 前記芳香族酸は、安息香酸、フタル酸、又はベンゼントリカルボン酸であることを特徴とする請求項3に記載の塩基性金属化合物担持多孔質炭素の製造方法。
- 前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムであることを特徴とする請求項3に記載の塩基性金属化合物担持多孔質炭素の製造方法。
- 前記アルカリ土類塩は、マグネシウム塩又はカルシウム塩であることを特徴とする請求項3に記載の塩基性金属化合物担持多孔質炭素の製造方法。
- 前記芳香族酸金属塩は、安息香酸、フタル酸、又はベンゼントリカルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、又はカルシウム塩であることを特徴とする請求項3に記載の塩基性化合物担持多孔質炭素の製造方法。
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