図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る空調機10について以下に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(1)全体構成
本発明の一実施形態に係る空調機10は、冷房運転、暖房運転、加湿運転等の複数の運転モードを有する。空調機10は、複数の運転モードを適宜組み合わせて実行することができる。例えば、空調機10は、暖房運転と加湿運転とを組合せて(すなわち同時に)行うことができる。空調機10の運転内容は、例えば空調機10のユーザが操作するリモコン(図示せず)からの指令や、空調対象空間である室内の温度や湿度等に基づいて決定される。
空調機10は、主に、室内ユニット20及び室外ユニット30を有する(図1参照)。室内ユニット20と室外ユニット30とが液冷媒連絡配管14及びガス冷媒連絡配管16によって接続されることで、冷媒回路90が構成される(図1参照)。冷媒は、室内ユニット20と室外ユニット30との間を、液冷媒連絡配管14及びガス冷媒連絡配管16を介して移動し、冷媒回路90内を循環する。冷媒回路90は、後述する室外ユニット30の圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、電動膨張弁34及びアキュムレータ36や、室外ユニット30の室内熱交換器21を主に有する(図1参照)。冷媒回路90内を冷媒が循環すると、空調機10において蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。なお、限定するものではないが、冷媒の種類は例えばHFC冷媒のR32である。
室外ユニット30と室内ユニット20との間には、給気ホース18を介して空気の移動がある(図1参照)。給気ホース18は、加湿運転において、室外の空気を空調対象空間である室内に供給するための空気の流路である。室外ユニット30は、室外空気中の水分を吸着し、吸着した水分を脱着して室内に供給する加湿ユニット60を有している(図1参照)。加湿運転時には、水分を多く含んだ湿度の高い空気が、室外ユニット30側(加湿ユニット60)から、給気ホース18を介して室内ユニット20へと供給される。
また、室外ユニット30は、暖房運転時に、後述する室外ユニット30の室外熱交換器33を加熱しフロストを低減する、フロスト低減機構100を有している(図1参照)。
(2)詳細構成
(2−1)室内ユニット
室内ユニット20は、図1に示すように、主に、室内熱交換器21と、室内ファン22と、を有する。
室内熱交換器21は、限定するものではないが、例えば、伝熱管と伝熱フィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器21の液側は、液冷媒連絡配管14に接続される(図1参照)。室内熱交換器21のガス側は、ガス冷媒連絡配管16に接続される(図1参照)。室内熱交換器21では、室内空気と伝熱管を流れる冷媒との間で熱交換が行われる。室内熱交換器21は、冷房運転時には蒸発器(吸熱器)として機能して室内空気を冷却する。室内熱交換器21は、暖房運転時には凝縮器(放熱器)として機能して室内空気を加熱する。
室内ファン22は、図示しないファンモータにより駆動され、室内空気を取り込んで室内熱交換器21へと送風し、室内熱交換器21における冷媒と室内空気との熱交換を促進する。室内ファン22は、限定するものではないが、例えばクロスフローファンである。室内ファン22は、室内ファン22の運転時の空気の流れ方向において、室内熱交換器21より下流側に配置される。室内ファン22が駆動されると、室内ユニット20の上部の吸込口から室内空気が吸い込まれ、室内熱交換器21を通過し、室内ユニット20の下部の吹出口から吹き出される。
室内ユニット20は、給気ホース18を介して室外ユニット30と接続されている(図1参照)。給気ホース18の給気口25は、室内ファン22の運転時の空気の流れ方向における、室内熱交換器21の上流側空間に配置されている。給気ホース18の、給気口25とは反対側の他端側は、後述する経路切換機構140を介して加湿ユニット60と接続されている。加湿運転時には、加湿ユニット60から送られてくる湿度の高い空気が、給気口25から室内熱交換器21の上流側空間に供給される。給気口25から湿度の高い空気が供給されている状態で室内ファン22が駆動されると、室内ユニット20から室内に湿度の高い空気が吹き出される。
(2−2)室外ユニット
以下に、図1から図7を参照しながら室外ユニット30について説明する。
図2は、後述するケーシング40の天板48が取り外された室外ユニット30の概略平面図である。図3は、後述する防護用グリル56が取り外された室外ユニット30の概略正面図である。図4は、室外ユニット30が有する後述する加湿ユニット60の加湿ロータ63と、加湿ロータ63を通過する空気の流れを示す概略斜視図である。図5は、室外ユニット30が有する、後述する加湿ヒータ71が取り外された状態の加湿ユニット60の概略斜視図である。図6は、室外ユニット30が有する、フロスト低減機構100の概略図である。図7は、室外ユニット30のブロック図である。
なお、以下の説明では「上」、「下」、「左」、「右」、「前(正面)」、「後(背面)」等の表現を用いて配置や向きを説明する場合があるが、特記無き場合、これらの表現は図2、図3、図6中に示した矢印に従う。
室外ユニット30は、主に、ケーシング40、圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、電動膨張弁34、アキュムレータ36、室外ファン39、液側閉鎖弁37、ガス側閉鎖弁38、加湿ユニット60、フロスト低減機構100、及び電装品ユニット50を有する(図1〜図3参照)。
圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、電動膨張弁34、アキュムレータ36、液側閉鎖弁37、及びガス側閉鎖弁38は、冷媒配管により接続されている。具体的には、圧縮機31の吸入口と、四路切換弁32とは、吸入管91によって接続されている。吸入管91には、アキュムレータ36が設けられる。圧縮機31の吐出口と、四路切換弁32とは、吐出管92によって接続されている。四路切換弁32と、室外熱交換器33のガス側とは、第1ガス冷媒管93によって接続されている。室外熱交換器33と、液冷媒連絡配管14に接続される液側閉鎖弁37とは、液冷媒管94によって接続されている。液冷媒管94には、電動膨張弁34が設けられている。四路切換弁32と、ガス冷媒連絡配管16に接続されるガス側閉鎖弁38とは、第2ガス冷媒管95によって接続されている。
(2−2−1)ケーシング
ケーシング40は、圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、電動膨張弁34、アキュムレータ36、室外ファン39、及び加湿ユニット60等の室外ユニット30の各種構成を収容する筐体である。
ケーシング40は、左側板45、前板46、右側板47、天板48、底板49、背面部44、及び仕切板43を主に有する(図2及び図3参照)。
ケーシング40の内部は、仕切板43により送風機室41と機械室42とに分けられている(図1及び図2参照)。送風機室41には、主に、室外熱交換器33及び室外ファン39が配置されている。機械室42には、主に、圧縮機31、四路切換弁32、電動膨張弁34、及びアキュムレータ36が配置されている。加湿ユニット60は、送風機室41及び機械室42に跨って配置されている。つまり、加湿ユニット60は、一部は送風機室41に、一部は機械室42に配置されている。
仕切板43は、天板48側から底板49側に向って延びている。また、仕切板43は、前板46の内面側から室外熱交換器33の右端に向かって曲線状に延びている(図2参照)。仕切板43は、送風機室41から機械室42に風が流れ込まないように遮蔽する。
前板46には、左側下部に円形の吹出口46aが形成されている(図3参照)。吹出口46aには、その周縁に沿うようにリング状のベルマウス52が取り付けられている(図3参照)。室外ファン39が駆動されると、室外空気が室外熱交換器33の背面側及び左側面側から吸い込まれ、室外熱交換器33を通過し、吹出口46aから吹き出される。ケーシング40の前板46には、後述する室外ファン39のプロペラ39bに対する外部からの接触を防止するため防護用グリル56が取り付けられている(図2参照)。防護用グリル56は、吹出口46aを覆っている。防護用グリル56には、空気を吹き出すための複数の開口部が形成されている。
また、前板46には、後述する加湿ユニット60の加湿ロータ63に室外空気を供給するための吸込開口46bが形成されている(図3参照)。吸込開口46bは、前板46の吹出口46aの右斜め上側に設けられている。吸込開口46bは、扇形状に形成された開口である。吸込開口46bは、中心角が約240°の扇形状に形成された開口である。
(2−2−2)圧縮機
圧縮機31は、機械室42内に配置され、底板49に固定されている。
圧縮機31は、モータ(図示せず)により圧縮機構(図示せず)を駆動して、冷媒を圧縮する。圧縮機31は、例えばロータリ圧縮機である。ただし、圧縮機31の種類は、ロータリ圧縮機に限定されるものではなく、スクロール圧縮機等、他のタイプの圧縮機であってもよい。圧縮機31は、好ましくは周波数可変のインバータ駆動の圧縮機である。圧縮機31は、吸入管91から冷媒を吸入し、図示しない圧縮機構により圧縮された高温、高圧のガス冷媒を吐出管92に吐出する。
(2−2−3)四路切換弁
四路切換弁32は、機械室42内に配置される。
四路切換弁32は、空調機10の冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れ方向を切り換える。また、四路切換弁32は、空調機10の暖房運転とデフロスト運転との切換時に、冷媒の流れ方向を切り換える。デフロスト運転とは、室外熱交換器33に付着した霜を除去するための運転である。
冷房運転時及びデフロスト運転時には、四路切換弁32は、吐出管92と第1ガス冷媒管93とを接続すると共に、吸入管91と第2ガス冷媒管95とを接続する(図1の四路切換弁32中の実線参照)。暖房運転時には、四路切換弁32は、吐出管92と第2ガス冷媒管95とを接続すると共に、吸入管91と第1ガス冷媒管93とを接続する(図1の四路切換弁32中の破線参照)。
(2−2−4)室外熱交換器
室外熱交換器33は、送風機室41内に配置される。
室外熱交換器33は、限定するものではないが、伝熱管と伝熱フィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室外熱交換器33では、室外空気と伝熱管を流れる冷媒との間で熱交換が行われる。室外熱交換器33は、冷房運転時には凝縮器(放熱器)として機能し、暖房運転時には蒸発器(吸熱器)として機能する。
室外熱交換器33は、ケーシング40の背面部44及び左側板45に対向するように、L字状に成形されている(図2参照)。室外熱交換器33は、底板49の近傍から天板48の近傍まで延びる。
室外熱交換器33には、室外熱交換器33を流れる冷媒の温度を測定するための温度センサ33aが取り付けられている(図7参照)。
(2−2−5)電動膨張弁
電動膨張弁34は、機械室42内に配置される。
電動膨張弁34は、冷媒回路90を流れる冷媒の圧力や流量の調節を行うために設けられた開度可変の電動膨張弁である。
(2−2−6)アキュムレータ
アキュムレータ36は、機械室42内に配置される。
アキュムレータ36は、吸入管91に設けられている。アキュムレータ36は、気液二相の冷媒を気相の冷媒と液相の冷媒とに分離する。アキュムレータ36が吸入管91に設けられることで、圧縮機31には主に気相の冷媒が供給される。
(2−2−7)室外ファン
室外ファン39は、送風機室41に配置されている。室外ファン39は、室外ファン39の運転時の空気の流れ方向において、室外熱交換器33の下流側に設けられている。室外ファン39は、室外熱交換器33に対して外気を供給し、室外熱交換器33における室外空気と冷媒との熱交換を促進する。
室外ファン39は、ファンモータ39aと、プロペラ39bと、を主に有している(図2参照)。
プロペラ39bは、その一部が、ケーシング40の前板46の吹出口46aに取り付けられたベルマウス52で囲まれた空間内に入り込むように配置されている(図2参照)。ファンモータ39aは、プロペラ39bを駆動する。プロペラ39bがファンモータ39aにより駆動されると、ケーシング40の背面側及び左側面側から送風機室41内に室外空気が取り込まれる。送風機室41内に取り込まれた室外空気は、室外熱交換器33を通過した後、吹出口46aから送風機室41外へ排出される。
また、室外ファン39は、後述する加湿ユニット60の加湿ロータ63に室外空気を供給する給気ファンとしても機能する。プロペラ39bがファンモータ39aにより駆動されると、吸込開口46bから送風機室41内に室外空気が取り込まれ、加湿ロータ63を通過する。加湿ロータ63を通過した空気は、吹出口46aから送風機室41の外部へ排出される。
(2−2−8)液側閉鎖弁及びガス側閉鎖弁
液側閉鎖弁37及びガス側閉鎖弁38は、サービスポートを備えた三方弁である。
液側閉鎖弁37には、室内ユニット20と室外ユニット30との間で冷媒をやりとりする液冷媒連絡配管14と、液冷媒管94とが接続される。空調機10の運転時には、液側閉鎖弁37が開かれ、液冷媒連絡配管14と液冷媒管94とが連通する。
ガス側閉鎖弁38には、室内ユニット20と室外ユニット30との間で冷媒をやりとりするガス冷媒連絡配管16と、第2ガス冷媒管95とが接続される。空調機10の運転時には、ガス側閉鎖弁38が開かれ、ガス冷媒連絡配管16と第2ガス冷媒管95とが連通する。
(2−2−9)加湿ユニット
加湿ユニット60は、室外空気中の水分を吸着し、吸着した水分を脱着して空調対象空間である室内に供給する。加湿ユニット60は、図2に示すように、前板46と背面部44との間に、送風機室41と機械室42とに跨るように配置されている。
加湿ユニット60は、図1〜図5に示すように、加湿ロータ63、吸着用ダクト68、加湿ヒータ71、第1加湿用ダクト73、加湿ファン75、及び第2加湿用ダクト180を主に有している。
(2−2−9−1)加湿ロータ
加湿ロータ63は、吸着部材の一例である。加湿ロータ63は、空気中の水分を吸着する。また、加湿ロータ63は、加熱されることで吸着した水分を放出する。
加湿ロータ63は、図4に示すように円板状の部材である。加湿ロータ63の材質は、限定するものではないが、例えばシリカゲルやゼオライト等の吸着剤である。加湿ロータ63は、ハニカム構造を有する。シリカゲルやゼオライト等の吸着剤は、常温で空気から水分を吸着し、ヒータで加熱された空気等に曝されて温度上昇した時に水分を放出する。
加湿ロータ63は、前板46に形成された吸込開口46bと対向する。また、加湿ロータ63は、加湿ロータ63と前板46との間に配置される加湿ヒータ71と対向する。加湿ロータ63は、吸込開口46bと対向する中心角が約240°の扇形領域で水分を吸着する。加湿ロータ63が室外空気から水分を吸着する領域を吸着エリア63aと呼ぶ(図4参照)。また、加湿ロータ63は、吸着エリア63aに隣接する、吸込開口46bと対向しない中心角が約120°の扇形領域で水分を脱着する。加湿ロータ63が吸着した水分を脱着する領域を脱着エリア63bと呼ぶ(図4参照)。加湿ロータ63は、脱着エリア63bにおいて加湿ヒータ71と対向する。吸着エリア63aは、脱着エリア63bよりベルマウス52側に配置されている。
加湿ロータ63は、加湿ユニット60のロータ駆動用モータ64(図3参照)によって駆動されて回転し、吸着エリア63a及び脱着エリア63bを周回する。つまり、加湿ロータ63は、ある回転角度では吸着エリア63aに配置される部分が、別の回転角度では脱着エリア63bに配置される。また、加湿ロータ63は、ある回転角度では脱着エリア63bに配置される部分が、別の回転角度では吸着エリア63aに配置される。なお、加湿ロータ63の回転中心軸は、前板46に形成された吸込開口46bの扇形状の中心軸と同軸上に配置されている。
加湿ロータ63を回転させるための機構について、図3及び図4を参照しながら説明する。加湿ロータ63は、その周囲が円環状の枠体65により囲まれている。枠体65の外周面には、図4のようにギア65tが設けられている。ギア65tは、ロータ駆動用モータ64が駆動されることで回転するピニオンギア64aと噛み合っている(図3参照)。ロータ駆動用モータ64が駆動されることでピニオンギア64aが回転すると、枠体65と共に加湿ロータ63が回転する。
なお、空気が加湿ロータ63を通過せずに枠体65の外側を通過することを抑制するため、枠体65の周囲は壁により囲まれている。
(2−2−9−2)吸着用ダクト
加湿ユニット60は、図5のように、吸着エリア63aに外気を導くための吸着用ダクト68を有する。吸着用ダクト68は、前板46の吸込開口46bに向かって開口する空気流入口681を有する。空気流入口681の形状は、吸込開口46bと同じ中心角が約240°の扇形状である。
吸込開口46bから流入した室外空気は、空気流入口681から吸い込まれた後、吸着用ダクト68内を流れて吸着エリア63aに到達する。吸着エリア63aでは、室外空気中の水分が加湿ロータ63により吸着される。加湿ロータ63を通過した空気は、吸着用ダクト68の空気流出口683(図2参照)から排出される。空気流出口683は、室外ファン39が回転する時に負圧になる空間、具体的にはベルマウス52の上流側端部に隣接している。空気流出口683側の圧力が空気流入口681側の圧力より低くなる作用によって、空気が空気流入口681から吸い込まれる。
なお、図3に示すように、吸込開口46bは、前板46の吹出口46aの右斜め上側に、吹出口46aと隣接して設けられている。室外ファン39によって前方へ押し出された空気は、ベルマウス52に沿って進み吹出口46aから勢いよく吹き出されるので、吹出口46aから吹き出された空気は、吸込開口46bからは吸い込まれにくい。そのため、加湿ロータ63は、吸着エリア63aにおいて、より多くの水分を含んだ空気を取り込むことが可能である。より詳しく説明する。
加湿運転は、通常、暖房運転時に行われる。暖房運転時には、蒸発器(吸熱器)として機能する室外熱交換器33を通過した空気は低温低湿になっている。吸込開口46bから低湿の水分量が少ない空気が吸い込まれた場合、加湿ロータ63が吸着できる水分量が低下する。しかし、ここでは、室外熱交換器33を通過した空気は吸込開口46bから吸い込まれないため、吸込開口46bからは比較的多く水分を含んだ空気を取り込むことができる。
(2−2−9−3)加湿ヒータ
加湿ヒータ71は、加湿ロータ63を加熱するためのヒータである。加湿ロータ63は、脱着エリア63bにおいて加湿ヒータ71の熱によって加熱されることで水分を放出(脱着)する。具体的には、加湿ヒータ71は、脱着エリア63bにおいて加湿ロータ63から水分を放出させるために、脱着エリア63bへと送られる空気を加熱する。加熱された空気は、脱着エリア63bを通過する時に加湿ロータ63に水分を放出させて、高湿の空気となって加湿ファン75に吸い込まれる。
なお、加湿ヒータ71は、後述するように室外熱交換器33のフロストを低減するための熱源としても利用される。
(2−2−9−4)第1加湿用ダクト
第1加湿用ダクト73は、空気を加湿ヒータ71経由で脱着エリア63bまで導き、さらに加湿ロータ63を通過した空気を加湿ファン75まで導く(図1参照)。
より具体的には、第1加湿用ダクト73は、室外空気が加湿ロータ63の脱着エリア63bを背面側から前面側に通過するように、室外空気を加湿ヒータ71まで導く。さらに、第1加湿用ダクト73は、加湿ヒータ71で加熱されて高温となり、加湿ロータ63の脱着エリア63bを前面側から背面側に通過した空気を加湿ファン75まで導く。高温空気は、脱着エリア63bにおいて加湿ロータ63を通過する際に水分を脱着させ、高温高湿の空気となって加湿ファン75に向う。なお、第1加湿用ダクト73の空気の流れは、加湿ファン75によって発生する。
(2−2−9−5)加湿ファン
加湿ファン75は、第1加湿用ダクト73を介して取り込んだ空気を、室内ユニット20に向かって、あるいは、後述するフロスト低減機構100の空気吹出部120に向かって送る送風装置である。加湿ファン75は、機械室42に配置されている。
加湿ファン75は、空気を所定の方向へ送り出す羽根車75aと、羽根車75aを駆動するファンモータ75bとを主に有している(図1参照)。ファンモータ75bの回転軸は、羽根車75aの回転軸に直結されている。加湿ファン75は、羽根車75aの回転軸が水平方向となる姿勢で配置される。
羽根車75aはファンケーシング81に囲まれている(図2参照)。ファンケーシング81の出口は、第2加湿用ダクト180の入口と繋がっている(図5参照)。ファンモータ75bは、外側をモータカバー82で覆われている(図2参照)。
(2−2−9−6)第2加湿用ダクト
第2加湿用ダクト180は、加湿ファン75から送風される空気を後述するフロスト低減機構100の経路切換機構140まで導くダクトである(図1参照)。
後述するように経路切換機構140には、給気ホース18及び後述するフロスト低減機構100の空気流路110が接続されている。加湿ファン75が吹き出し、第2加湿用ダクト180を通過した空気は、経路切換機構140により吹き出し経路が切り換えられ、給気ホース18を介して室内ユニット20へと、又は、空気流路110を介してフロスト低減機構100の空気吹出部120へと送られる(図1参照)。
(2−2−10)フロスト低減機構
フロスト低減機構100は、暖房運転時に室外熱交換器33に対するフロスト(着霜)を低減するための機構である。フロスト低減機構100は、加湿ヒータ71により加熱された高温空気を、室外熱交換器33の近傍へと送り、室外熱交換器33に熱を供給する(室外熱交換器33を加熱する)機構である。
フロスト低減機構100は、主に空気流路110、空気吹出部120、移動機構130及び経路切換機構140を有する(図1及び図6参照)
(2−2−10−1)空気流路
空気流路110は、加湿ヒータ71により加熱された空気が流れる流路である。空気流路110は、柔軟性を有するホースで構成されることが好ましい。また、空気流路110は、伸縮性を有するホースで構成されることが好ましい。空気流路110は、その一端が経路切換機構140に接続され、他端が空気吹出部120へと接続されている(図1参照)。
なお、空気吹出部120は、後述するように空気流路110を通って送られる空気を室外熱交換器33に向けて吹き出す。吹き出される空気に含まれる水分が室外熱交換器33に霜として付着することを防止するためには、空気吹出部120が吹き出す空気は、水分量の少ない空気であることが好ましい。そのため、フロスト低減機構100が空気流路110を介して空気吹出部120へと空気を送る時には、加湿ロータ63の回転は停止されることが好ましい。
(2−2−10−2)空気吹出部
空気吹出部120は、室外熱交換器33の近傍に配置され、空気流路110を介して導かれた空気を吹き出す部材である。空気吹出部120に加湿ヒータ71で加熱された空気が導かれることで、室外熱交換器33が加熱され、暖房運転中に蒸発器(吸熱器)として機能する室外熱交換器33のフロストが低減される。
空気吹出部120は、上下方向に延び、上下端部が閉じられたパイプ状の部材である(図6参照)。空気吹出部120の長さと、室外熱交換器33の高さとは、概ね同一であることが好ましい。より好ましくは、空気吹出部120の長さは、室外熱交換器33の高さよりやや大きいことが好ましい。空気吹出部120は、室外熱交換器33の背面側に、室外熱交換器33と隣接して配置される。フロスト低減のため室外熱交換器33が効率よく加熱されるよう、後述するように空気吹出部120が移動機構130により移動させられる際の、空気吹出部120と室外熱交換器33との間の隙間は、できるだけ小さいことが好ましい。
空気吹出部120の上下方向における中央部には、空気流路110が接続される(図6参照)。
空気吹出部120の、室外熱交換器33と対向する側(前方側)には吹出孔122が形成されている(図6参照)。吹出孔122は、上下方向に沿って複数形成されることが好ましい。吹出孔122から吹き出す空気が上下方向において室外熱交換器33に満遍なく当たるよう、複数の吹出孔122は、例えば、互いに間隔を空けて、空気吹出部120の全体にわたって形成される。または、吹出孔122は、室外熱交換器33の着霜しやすい領域、例えば室外熱交換器33の下部にだけ空気が吹き付けられるよう、空気吹出部120の下部にだけ形成されてもよい。
空気吹出部120の上端及び下端のそれぞれは、後述する移動機構130の一対のワイヤ134に設けられた接続部132と接続されている。
(2−2−10−3)移動機構
移動機構130は、空気吹出部120を室外熱交換器33に沿って移動させる機構である。
移動機構130は、室外熱交換器33の上方に取り付けられた駆動ローラ136a及び従動ローラ136bと、これらの駆動ローラ136a及び従動ローラ136bに掛け回されているワイヤ134と、を有する。また、移動機構130は、室外熱交換器33の下方に取り付けられた駆動ローラ136a及び従動ローラ136bと、これらの駆動ローラ136a及び従動ローラ136bに掛け回されているワイヤ134と、を有する。
室外熱交換器33の上方に配置されるワイヤ134には、空気吹出部120の上端が接続される接続部132が設けられている。室外熱交換器33の下方に配置されるワイヤ134には、空気吹出部120の下端が接続される接続部132が設けられる。駆動ローラ136aが図示しないモータにより駆動され回転すると、駆動ローラ136aの回転方向に応じて、接続部132が、左方、又は右方に移動する。その結果、接続部132に接続された空気吹出部120が、室外熱交換器33の背面に沿って左右方向に移動する。
なお、フロスト低減機構100が使用されない時、言い換えれば室外熱交換器33に対するフロストの低減が不要と判断される時には、空気吹出部120は、移動機構130により、室外熱交換器33へ流入する空気の流れの妨げとならない位置(室外熱交換器33と隣接しない位置)に移動させられることが好ましい。
なお、ここで説明した移動機構130の構成は例示であってこれに限定されるものではない。移動機構130は、例えば、送りネジや、ラックとピニオンを利用して、空気吹出部120を室外熱交換器33にそって移動させる機構であってもよい。
(2−2−10−4)経路切換機構
経路切換機構140は、加湿ユニット60の加湿ファン75が吹き出す空気の流れる経路を切り換える機構である。経路切換機構140は、加湿ファン75が吹き出す空気の経路を、給気ホース18を介して室内ユニット20へと向かう経路(第1経路)と、空気流路110を介して空気吹出部120へと向かう経路(第2経路)との間で切り換える。
経路切換機構140には、第2加湿用ダクト180、給気ホース18、及び空気流路110が接続されている。
経路切換機構140は、例えば特開2009−229054号公報に開示されている空気流路切換部(ダンパ)のように、流路を開閉する開閉部材をモータで回転させることで、加湿ファン75から第2加湿用ダクト180を介して供給される空気が、給気ホース18に向かうように、あるいは、空気流路110に向かうように空気の流れる経路を切り換える。
また、さらに、経路切換機構140は、加湿ファン75の停止時に、第2加湿用ダクト180が、給気ホース18及び空気流路110のいずれとも連通しないように開閉部材により流路を閉塞することが可能に構成されてもよい。
(2−2−11)電装品ユニット
電装品ユニット50は、電子部品を集約した制御基板である。電装品ユニット50は、送風機室41に位置している。
電装品ユニット50は、図示しないCPU及びメモリを有し、室外ユニット30の各部の動作を制御する室外側制御部51として機能する(図7参照)。
室外側制御部51は、メモリに記憶されているプログラムをCPUが実行することで室外ユニット30の各部の動作を制御する。室外側制御部51は、室外ユニット30が有する、圧縮機31、四路切換弁32、電動膨張弁34、室外ファン39(ファンモータ39a)、加湿ユニット60(ロータ駆動用モータ84、加湿ヒータ71、ファンモータ75b)、フロスト低減機構100(移動機構130、経路切換機構140)等の機器と電気的に接続されている(図7参照)。また、室外側制御部51は、室外空気の温度を測定する室外温度センサ(図示せず)や、室外熱交換器33に取り付けられた温度センサ33a(図7参照)や、吐出管92に設けられた吐出温度センサ(図示せず)や、第2加湿用ダクト180に配置される湿度センサ(図示せず)等と電気的に接続されている。さらに、室外側制御部51は、室内ユニット20の室内側制御部(図示せず)と通信可能に接続されており、室内側制御部と協働して、空調機10の各部の動作を制御する。
室外側制御部51の機能のうち、特に室外熱交換器33のフロストを低減するための制御について説明する。
室外側制御部51は、暖房運転においてフロストを低減する必要のある所定条件時に、加湿ヒータ71で加熱された空気が空気流路110を介して空気吹出部120へと流れるよう制御する。また、室外側制御部51は、暖房運転においてフロストを低減する必要のある所定条件時に、暖房運転における所定条件時以外に比べて、加湿ファン75の回転数を低減する。フロストを低減する必要のある所定条件時とは、例えば、室外熱交換器33に取り付けられた温度センサ33aが検出した温度が所定の第1閾値より低下した時である。第1閾値は、室外熱交換器33へのフロストを抑制できるような適切な値に決定されればよい。
なお、室外側制御部51は、暖房運転においてデフロストが必要な所定条件時に、四路切換弁32を冷房運転時と同じ状態に切り換えて(室外熱交換器33を放熱器として機能させて)デフロスト運転を行う。ここで、デフロストが必要な所定条件時とは、室外熱交換器33に取り付けられた温度センサ33aが検出した温度が所定の第2閾値より低下した時である。第2閾値は、第1閾値よりも低い温度である。
(3)空調機の動作
以下に、空調機10の冷房運転時、暖房運転時、及び加湿運転時の動作と、後述するフロスト低減処理について説明する。
(3−1)冷房運転
冷房運転時には、室外側制御部51は、吐出管92と第1ガス冷媒管93とが接続され、吸入管91と第2ガス冷媒管95とが接続されるように四路切換弁32を制御する(図1の四路切換弁32中の実線参照)。
このような冷媒回路90の状態で、室外側制御部51により圧縮機31及び室外ファン39が運転され、室内側制御部(図示せず)により室内ファン22が運転されると、以下の様にして空調対象空間である室内空間が冷房される。
低圧のガス冷媒が、圧縮機31に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。圧縮機31から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁32を経由して室外熱交換器33に送られ、室外ファン39によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮し、高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、電動膨張弁34で減圧された後、液側閉鎖弁37及び液冷媒連絡配管14を経由して、室内ユニット20に送られる。なお、室外側制御部51は、電動膨張弁34の開度を、例えば、室内熱交換器21の冷媒出口における冷媒の過熱度が所定の目標値になるように調節する。室内ユニット20に送られた低圧の冷媒は、気液二相状態の冷媒となって室内熱交換器21に入り、室内熱交換器21において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管16を経由して室外ユニット30に送られ、ガス側閉鎖弁38及び四路切換弁32を経由して、アキュムレータ36に流入する。アキュムレータ36に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機31に吸入される。
このようにして、空調機10は、室外熱交換器33を凝縮器(放熱器)として機能させ、室内熱交換器21を蒸発器(吸熱器)として機能させる冷房運転を行うことができる。
(3−2)暖房運転
暖房運転時には、室外側制御部51は、吐出管92と第2ガス冷媒管95とが接続され、吸入管91と第1ガス冷媒管93とが接続されるように四路切換弁32を制御する(図1の四路切換弁32中の点線参照)。
このような冷媒回路90の状態で、室外側制御部51により圧縮機31及び室外ファン39が運転され、室内側制御部(図示せず)により室内ファン22が運転されると、以下の様にして空調対象空間である室内空間が暖房される。
低圧のガス冷媒が、圧縮機31に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。圧縮機31から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁32、ガス側閉鎖弁38及びガス冷媒連絡配管16を経由して、室内ユニット20に送られる。室内ユニット20に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器21において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となり、液冷媒連絡配管14を経由して室外ユニット30に送られる。液冷媒は、液側閉鎖弁37を通過して、電動膨張弁34に入る。液冷媒は、電動膨張弁34で減圧された後に、室外熱交換器33に流入する。なお、室外側制御部51は、電動膨張弁34の開度を、例えば、室外熱交換器33に流入する冷媒が室外熱交換器33において蒸発することが可能な圧力まで減圧するように調節する。室外熱交換器33に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン39によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、四路切換弁32を経由してアキュムレータ36に流入する。アキュムレータ36に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機31に吸入される。
このようにして、空調機10は、室外熱交換器33を蒸発器(吸熱器)として機能させ、室内熱交換器21を凝縮器(放熱器)として機能させる暖房運転を行うことができる。
(3−3)加湿運転
加湿運転は、例えば、暖房運転と同時に行われる。
図2、図3及び図5に示すように、吸着用ダクト68の空気流入口681(図5参照)は前板46の吸込開口46b(図3参照)に向かって開口し、吸着用ダクト68の空気流出口683(図2参照)は室外ファン39が回転する時に負圧となるベルマウス52の上流側端部に隣接している。暖房運転時に室外ファン39が運転されると、空気流出口683側の圧力が空気流入口681側の圧力より低くなり、その作用によって室外空気が空気流入口681から吸い込まれ、空気流出口683へと流れる。
加湿運転中には、室外側制御部51は、加湿ロータ63を、ロータ駆動用モータ64によって所定の回転速度で回転させる。吸着エリア63aにおいて、空気流入口681から流れ込む室外空気の水分を吸着した加湿ロータ63は、加湿ロータ63の回転に伴って脱着エリア63bへと運ばれ、加湿ロータ63を加熱する加湿ヒータ71と対向する位置に移動する。
また、加湿運転中には、室外側制御部51は、加湿ファン75を駆動する。加湿ファン75が駆動されると、室外空気が、第1加湿用ダクト73を通過して加湿ヒータ71の周囲へと送られ加熱される。加湿ヒータ71により加熱された空気は、加湿ロータ63の脱着エリア63bを通過して加湿ファン75に向かって流れる。この時、加湿ロータ63の加熱された空気に曝された部分から、水分が放出(脱着)される。
加湿運転中には、室外側制御部51は、第2加湿用ダクト180と給気ホース18とが連通するように(加湿ファン75から吹出した空気が、第2加湿用ダクト180を通過して給気ホース18へと流れるように)、フロスト低減機構100の経路切換機構140を制御する。そのため、加湿ファン75から送り出される水分を比較的多く含んだ空気(以下、加湿空気と呼ぶ)は、第2加湿用ダクト180を介して給気ホース18へと吹き出される。加湿空気は、給気ホース18を経て室内ユニット20へと導かれる。
なお、加湿運転は、暖房運転と同時に行われる必要はなく、暖房運転とは独立して(単独で)行われてもよい。例えば、空調機10は、圧縮機31を運転していない状態で室外ファン39を運転し、上記の加湿運転を実行してもよい。
(3−4)フロスト低減処理
前述のように、室外側制御部51は、暖房運転においてフロストを低減する必要のある所定条件時に、加湿ヒータ71で加熱された空気が空気流路110を介して空気吹出部120へと流れるよう制御する。また、室外側制御部51は、暖房運転においてフロストを低減する必要のある所定条件時に、暖房運転における所定条件時以外に比べて、室外ファン39の回転数を低減する。
空調機10が、暖房運転においてフロストを低減する必要のある所定条件に該当するか否かを判定し、判定結果に応じて行う動作を、ここではフロスト低減処理と呼ぶ。以下に、フロスト低減処理について、図8のフローチャートを参照しながら説明する。
なお、室外側制御部51は、フロスト低減処理中も(デフロスト運転が必要と判断されるまでは)、圧縮機31及び電動膨張弁34を通常の暖房運転時と同様に制御する。例えば、限定するものではないが、室外側制御部51は、デフロスト運転が必要と判断されるまで、室内熱交換器21を流れる冷媒の温度が目標温度になるよう圧縮機31の運転周波数を制御し、冷凍サイクルにおける過冷却度が所定値になるように電動膨張弁34を制御する。
室外側制御部51は、空調機10が暖房運転を開始すると、現在の状況がフロストを低減する必要のある所定条件に該当するか否かを判定する動作を開始する(ステップS1)。具体的には、室外側制御部51は、温度センサ33aが検知した温度が、上記の第1閾値を下回った場合に、現在の状況がフロストを低減する必要のある所定条件に該当すると判定する。現在の状況がフロストを低減する必要のある所定条件に該当すると判定されるとステップS2へ進む。室外側制御部51は、暖房運転中に、現在の状況がフロストを低減する必要のある所定条件に該当すると判定されるまで、ステップS1の判定処理を繰り返し行う。
ステップS2では、室外側制御部51は、空調機10が暖房運転と同時に加湿運転を行っていたかを判定する。加湿運転が行われていた場合にはステップS3へ、加湿運転が行われていなかった場合にはステップS5へと進む。
ステップS3では、室外側制御部51は、加湿ロータ63の回転を停止させる。具体的には、室外側制御部51は、ロータ駆動用モータ64を停止させる。この処理は、その後のステップで空気吹出部120の吹出孔122から室外熱交換器33に向かって吹き出される空気が含有する水分量を低減するために行われる。ステップS3の実行後、ステップS4へと進む。
ステップS4では、室外側制御部51は、経路切換機構140の開閉部材を駆動するモータ(図示せず)の動作を制御して、加湿ファン75が吹き出す空気の経路を、第2経路(空気流路110を介して空気吹出部120へと向かう経路)へと切り換える。ステップS4の実行後、ステップS8へと進む。
ステップS5では(ステップS2で、空調機10が暖房運転と同時に加湿運転を行っていたと判定された場合には)、室外側制御部51は、経路切換機構140の開閉部材を駆動するモータ(図示せず)の動作を制御して、加湿ファン75が吹き出す空気の経路を、第2経路へと切り換える。ステップS5の実行後、ステップS6へと進む。
ステップS6では、室外側制御部51は、加湿ファン75の運転を開始する。具体的には、室外側制御部51は、ファンモータ75bの運転を開始する。その後ステップS7へと進む。
ステップS7では、室外側制御部51は、加湿ヒータ71をONにする。その後ステップS8へと進む。なお、加湿ヒータ71周辺の温度が過度に上昇することを防止するため、ステップS7の処理(加湿ヒータ71をONにする処理)は、ステップS6の処理(加湿ファン75の運転を開始する処理)の後に実行されることが好ましい。
ステップS8では、室外側制御部51は、移動機構130の駆動ローラ136aを回転させるモータ(図示せず)を制御して、移動機構130に動作を開始させ、空気吹出部120を室外熱交換器33に沿って左右に移動させる。室外側制御部51は、空気吹出部120に加湿ヒータ71により加熱された空気が送られている間、空気吹出部120が室外熱交換器33に沿って、室外熱交換器33の右端近傍から左端近傍まで動かされ、その後室外熱交換器33の左端近傍から右端近傍まで動かされるという一連の動作が反復して実行されるよう、移動機構130の動作を制御する。ステップS8で移動機構130の動作が開始させられた後、ステップS9へと進む。
ステップS9では、室外側制御部51は、ファンモータ39aを制御して、室外ファン39の回転数を、通常の暖房運転時(暖房運転時であって、フロストを低減する必要の無い時)の回転数よりも小さな、所定の回転数に低減する。ステップS9の実行後、ステップS10へと進む。なお、ステップS9の動作の実行タイミングは、図8のフローチャートに示したタイミングに限定されるものではなく、例えば、ステップS2の動作前等、異なるタイミングで実行されてもよい。
ステップS10では、室外側制御部51は、現在の状況がデフロスト運転の必要な所定条件に該当するか否かを判定する動作を行う。具体的には、室外側制御部51は、温度センサ33aの検知温度が、上記の第2閾値を下回った場合に、デフロスト運転の必要な所定条件に該当すると判定する。現在の状況が、デフロスト運転が必要な所定条件に該当すると判定されるとステップS11へ進み、デフロスト運転が必要な所定条件に該当しないと判定されるとステップS20へ進む。
ステップS11及びステップS11に引き続くステップS12〜ステップS14は、加湿ヒータ71で加熱された空気を、空気流路110を介して移動機構130により室外熱交換器33に沿って左右に移動させられる空気吹出部120へと流し、フロストを低減するという動作、を終了するための処理である。
ステップS11では、室外側制御部51は、移動機構130の駆動ローラ136aを回転させるモータ(図示せず)を制御して、移動機構130の動作を終了させる。移動機構130は、終了時動作として空気吹出部120を室外熱交換器33へ流入する空気の流れの妨げとならない位置まで移動させた後、動作を終了する。
ステップS12では、室外側制御部51は、加湿ヒータ71をOFFにする。
ステップS13では、室外側制御部51は、加湿ファン75の運転を停止する。具体的には、室外側制御部51は、ファンモータ75bの運転を停止する。
ステップS14では、室外側制御部51は、経路切換機構140の開閉部材を駆動するモータ(図示せず)の動作を制御して、加湿ファン75が吹き出す空気の経路を、第1経路(給気ホース18を介して室内ユニット20へと向かう経路)へと切り換える。
なお、ステップS11〜ステップS14は、この順番に実行されなくてもよく、異なる順番で実行されてもよい。また、ステップS11〜ステップS14の一部のステップが、他のステップと同時に実行されてもよい。ただし、加湿ヒータ71周辺の温度が過度に上昇することを避けるため、ステップS12の処理(加湿ヒータ71をOFFにする処理)は、ステップS13の処理(加湿ファン75の運転を停止する処理)よりも先に実行されることが好ましい。
次に、ステップS15では、室外側制御部51は、暖房運転を中断してデフロスト運転を行うよう、空調機10を制御する。ステップS15では、室外側制御部51は、圧縮機31を一旦停止させ又は圧縮機31の運転周波数を一旦下げ、吐出管92と第1ガス冷媒管93とが接続され、吸入管91と第2ガス冷媒管95とが接続されるように四路切換弁32を制御する。そして、このような冷媒回路90の状態で、室外側制御部51は圧縮機31を所定の周波数で運転し、デフロスト運転を行う。デフロスト運転は、ステップS15においてデフロスト終了と判定されるまで行われる。ステップS15では、室外側制御部51は、例えば、温度センサ33aの検知温度が、所定の閾値を超えた場合に室外熱交換器33に付着した霜が除去されたと判断して、デフロスト終了と判定する。
デフロスト運転終了後、室外側制御部51は、空調機10が元の運転(暖房運転、又は、暖房運転及び加湿運転の同時運転)に復帰するよう、圧縮機31、四路切換弁32、室外ファン39、加湿ユニット60、及びフロスト低減機構100の動作を適宜制御する(ステップS17)。元の運転に復帰した後は、ステップS1に戻り、室外側制御部51は、現在の状況がフロストを低減する必要のある所定条件に該当するか否かを判定する。
ステップS10からステップS20へ進んだ場合には、ステップS20において、フロストを低減するための動作を継続する必要があるかが判定される。例えば、室外側制御部51は、温度センサ33aの検出温度が所定の閾値を下回っている場合に、フロストを低減するための動作を継続する必要があると判定する。例えば、ここでの所定の閾値は、上記の第1閾値である。ただし、頻繁にフロストを低減する動作の実行/非実行が切り換わることを避けるため、所定の閾値は第1閾値より高い温度であることが好ましい。フロストを低減するための動作を継続する必要があると判定された場合にはステップS10に戻り、フロストを低減するための動作を継続する必要がないと判定された場合には、ステップS21へ進む。
ステップS21では、室外側制御部51は、空調機10が通常の(フロストを低減する必要のある所定条件時では無い時の、つまりステップS1においてフロストを低減する必要のある所定条件に該当すると判断される前の)運転状態に戻るよう、室外ファン39、加湿ユニット60、及びフロスト低減機構100の動作を適宜制御する。具体的には、室外側制御部51は、室外ファン39の回転数を、通常の暖房運転時の回転数に変更する。また、室外側制御部51は、上述のステップS11と同様にフロスト低減機構100の移動機構130の動作を停止させる。また、室外側制御部51は、加湿ヒータ71により加熱された高温空気が空気流路110を流れることがないよう、上述したステップS14と同様にフロスト低減機構100の経路切換機構140を制御する。さらに、ユーザの指令や空調対象空間の湿度等から判断して加湿運転が必要な場合には、室外側制御部51は、加湿運転が行われるよう加湿ユニット60を制御する。その後、ステップS1に戻り、室外側制御部51は、現在の状況がフロストを低減する必要のある所定条件に該当するか否かを判定する。
(4)特徴
(4−1)
上記実施形態の空調機10は、加湿ユニット60と、熱交換器の一例である室外熱交換器33と、空気流路110と、空気吹出部120と、制御部の一例である室外側制御部51と、を備える。加湿ユニット60は、吸着部材の一例である加湿ロータ63と、加湿ヒータ71と、を有する。加湿ロータ63は、空気中の水分を吸着し、加熱されることで吸着した水分を放出する。加湿ヒータ71は、加湿ロータ63を加熱する。室外熱交換器33は、暖房運転時に蒸発器として機能する。空気流路110には、加湿ヒータ71により加熱された空気が流れる。空気吹出部120は、室外熱交換器33の近傍に配置され、空気流路110を介して導かれた空気を吹き出す。室外側制御部51は、暖房運転においてフロストを低減する必要のある所定条件時に、加湿ヒータ71で加熱された空気が空気流路110を介して空気吹出部120へと流れるよう制御する。
上記実施形態の空調機10では、加湿ロータ63からの水分脱着用の加湿ヒータ71の熱がフロストの低減に使用されるため、デフロストのために暖房が停止する時間を短くして、空調機10の利用者の快適性を向上することができる。
(4−2)
上記実施形態の空調機10では、空気吹出部120から室外熱交換器33に向けて空気が吹き出される。
上記実施形態の空調機10では、加湿ヒータ71により加熱された空気を室外熱交換器33に直接吹き付けて効率的にフロストを低減することができる。
(4−3)
上記実施形態の空調機10は、空気吹出部120を室外熱交換器33に沿って移動させる移動機構130を備える。
上記実施形態の空調機10では、室外熱交換器33の広い領域についてフロストを低減することができる。
(4−4)
上記実施形態の空調機10は、室外熱交換器33に対して外気を供給する室外ファン39を備える。室外側制御部51は、暖房運転においてフロストを低減する必要のある所定条件時に、暖房運転における所定条件時以外に比べて、室外ファン39の回転数を低減する。
上記実施形態の空調機10では、室外熱交換器33でフロストが生じる可能性がある条件で室外ファン39の回転数が低減されるため、室外熱交換器33へのフロストの付着に伴う騒音の発生を抑制することができる。
(5)変形例
上記実施形態の変形例を以下に示す。なお、変形例は、互いに矛盾しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
(5−1)変形例A
上記実施形態では、空気吹出部120の吹出孔122から室外熱交換器33に向けて空気が吹き出されるが、これに限定されるものではない。
例えば、図9のように、空気吹出部120aは、室外熱交換器33以外に向けて空気を吹き出すように構成されてもよい。図9のように、空気吹出部120aには、下部に空気流路110が接続され、上部に吹出孔122aが例えば1つだけ形成される。吹出孔122aは、室外熱交換器33とは対向しない側、例えば背面側に形成されている。
ここでは、空気吹出部120aから水分を比較的多く含んだ空気が吹き出される場合であっても、フロストの原因となる可能性がある水分を多く含んだ空気を室外熱交換器33に吹き付けることなくフロストを低減することができる。
なお、この場合には、空気吹出部120aには、水分量が多い空気が供給されてもよい。例えば、室外側制御部51は、暖房運転においてフロストを低減する必要のある所定条件時に、加湿ロータ63が運転された状態で、加湿ヒータ71で加熱された空気が空気流路110を介して空気吹出部120aへと流れるよう空調機10を制御してもよい。
(5−2)変形例B
上記実施形態では、空調機10が、室外熱交換器33の背面に沿って左右に移動する空気吹出部120を有するフロスト低減機構100を備えている場合について説明をしたが、これに限定されるものではない。
例えば、空調機10は、室外熱交換器33の左側面に沿って前後に移動する空気吹出部を有するフロスト低減機構を、上記実施形態で説明したフロスト低減機構100に代えて、又は、上記実施形態で説明したフロスト低減機構100に加えて備えるように構成されてもよい。
また、例えば、空調機10は、室外熱交換器33の背面及び左側面の少なくとも一方に沿って上下に移動する空気吹出部120を有するフロスト低減機構を備えるように構成されてもよい。
(5−3)変形例C
フロスト低減機構100は、移動機構130を有していなくてもよく、空気吹出部120は不動であってもよい。例えば、空気吹出部120は、室外熱交換器33の特に霜が付きやすい箇所(例えば、室外熱交換器33の下部)だけを温めるように設けられた不動のパイプ状部材であってもよい。
(5−4)変形例D
上記実施形態の加湿ユニット60では、加湿ロータ63は、空気の通過面が鉛直面であって、水平な回転軸周りを回転するよう構成されている。ただし、加湿ユニット60の構造は、上記実施形態の構造に限定されるものではない。例えば、加湿ロータは、空気の通過面が水平面であって、鉛直方向に延びる回転軸周りを回転するよう構成されてもよい。また、例えば、加湿ロータは、空気の通過面が鉛直面又は水平面に対して傾いており、鉛直方向及び水平方向に対して傾いた方向に延びる回転軸周りを回転するよう構成されてもよい。
(5−5)変形例E
上記実施形態では、室外側制御部51は、温度センサ33aが検知した温度が第1閾値を下回った場合に、現在の状況がフロストを低減する必要のある所定条件に該当すると判定するが、これに限定されるものではない。例えば、室外側制御部51は、外気温度が特に着霜を生じやすい温度範囲にある場合等に現在の状況がフロストを低減する必要のある所定条件に該当すると判定し、この条件が解消されるまで、加湿ヒータ71で加熱された空気が空気流路110を介して空気吹出部120へと流れるよう制御してもよい。
(5−6)変形例F
上記実施形態の空調機10では、デフロスト運転が必要な所定条件時に、デフロスト運転として、暖房運転時と逆向きに冷媒を流すいわゆる逆サイクルデフロスト運転が行われるが、これに限定されるものではない。例えば、空調機が行うデフロスト運転は、暖房運転時と同一の向きに冷媒を流すいわゆる正サイクルデフロスト運転であってもよい。