以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の古紙処理装置1を備えた遠隔通知システムSの概略図を示す。遠隔通知システムSは、インターネット、イントラネット、携帯電話回線、固定電話回線、無線通信等の通信回線14を通じて無線または有線により接続された古紙処理装置1、サーバー16及び複数の機器17を備える。古紙処理装置1は、工場の一区画やビルの一室などに設置される。古紙処理装置1は、ユーザが直接管理、操作等を行わなくても古紙10の再生処理及び洗浄処理に関する全ての動作を制御部8の制御により自動で行うことができる。
図2は、古紙処理装置1の構成概略図である。古紙処理装置1は、古紙供給部2と、古紙10を再生処理する再生処理部20と、各部の動作を制御する制御部8とを備える。本実施形態では、再生処理部20が、古紙10を離解してパルプ液を製造し、得られたパルプ液を抄紙して再生紙13を製造する製紙装置である場合について説明する。再生処理部20は、パルプ製造部3、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7を備える。
(古紙供給部)
図3は、古紙供給部2及びパルプ製造部3の斜視図、図4は、古紙供給部2及びパルプ製造部3の正面図、図5は、古紙供給部2及びパルプ製造部3の内部構造を示す縦断面図である。古紙供給部21は、古紙収容部24及び計測部25を備えている。古紙収容部24は、古紙10を収容する。古紙収容部24は、パルプ製造部3を構成する撹拌槽29の上方に設置される。古紙収容部24は、上部が開放された箱状に形成される。古紙収容部24は、図5に示すように、底板27が水平方向へスライド可能となっている。計測部25は、古紙収容部24に収容された古紙10の分量を計測する。計測部25は、ロードセル等の重量計測機器により構成することができる。この場合、計測部25は、古紙収容部24に収容された古紙の重量を計測する。
(パルプ製造部)
パルプ製造部3は、古紙10を水とともに攪拌し、離解処理する離解処理部22により構成される。離解処理部22は、撹拌槽29、給水部28、撹拌手段31、残量読取部68を備える。撹拌槽29は、古紙10に加水し攪拌処理する。撹拌槽29の形状及び大きさは、特に限定されないが、攪拌効率が良好な点から有底で略円筒状または多角形筒状に形成されたものを用いることが好ましい。図3-5では、一例として、撹拌槽29が正八角形筒状に形成された場合を示す。また、撹拌槽29は、離解処理効率及び装置の小型化の観点から、内径が30mm〜2000mm、より好ましくは300mm〜1500mm程度、容量が0.4L〜5000L、より好ましくは7L〜100L程度の大きさのものを用いることができる。
図3-5に示すように、攪拌槽29の内壁面には、複数の邪魔板33を設けている。邪魔板33は、攪拌槽29内に貯留する液体を適正に攪拌し、撹拌翼41の空気を巻き込みながらの回転を抑制するものであれば、その形状及び設置位置、個数につき特に限定されない。図3-5においては、一例として、三角柱状に形成された邪魔板33を撹拌槽29の高さ方向略中央部となる内壁面の複数箇所に突設してなるものを示している。
撹拌槽29の底部には、パルプ液取出部34と、異物取出部37が設けられる。パルプ液取出部34は、撹拌槽39の底部に設けられた開口部32に接続される。パルプ液取出部34は、撹拌槽29の内部で古紙10を水とともに撹拌し、離解処理することにより製造された古紙パルプ、水等を含有するパルプ液を、撹拌槽29の下方より取り出すためのものである。
パルプ液取出部34には、配管35の一端部が接続されている。配管35の他端部は、ポンプ36に接続されている。ポンプ36の種類は、特に限定されないが、チューブポンプを用いることが好ましい。チューブポンプを用いることによってバルブを設置することなく、パルプ液を所定のタイミングで下流側へ移送可能である。チューブポンプに替えて他のポンプを用いる場合には、配管35の途中にバルブを設ける構成とする。
パルプ液取出部34には、撹拌槽29に混入した異物が下流側へ送られるのを抑制する異物流出抑制部38が設けられる。異物流出抑制部38は、円形に開口されたパルプ液取出部34の周縁上の一点より他点に架け渡される架設部材39を備える。架設部材39の形状は、特に限定されず、棒状、円柱状、角柱状、球状、塊状等に形成可能である。このうち、パルプ液が異物流出抑制部38の設置されたパルプ液取出部34を容易に通過し、下流側へ移送できる点で、棒状、円柱状または角柱状に形成することが好ましい。
また、架設部材39の軸径が所定値より小さく形成されることが好ましい。架設部材39は、1本であってもよく複数設置されてもよい。架設部材39が複数設置される場合、これらを十字状に設置してもよく、所定角度で交差させ設置してもよく、更に平行としてもよい。これらのうち特に、架設部材39は、パルプ液取出部34の開口部32の直径方向に配設されることが、異物を効率よく係止し、下流側への流出を抑制可能である点で好ましい。
異物取出部37は、撹拌槽29内に貯留する混合液中に、離解困難な異物が混入していた場合、そのような異物を取りだす。異物取出部37は、撹拌槽29の底部のパルプ液取出部34設置箇所とは異なる位置に設けられた開口部30に接続される。異物取出部37の開口部30には、蓋体40が設けられる。蓋体40は、古紙10の離解処理中には、異物取出部37を閉塞するとともに、離解処理によって製造されたパルプ液がパルプ液取出部34から取り出された後に、開口部30を開放し、異物と水との混合液を異物取出部37へと流入させることができる。
給水部28は、撹拌槽29の上部側壁に設けられている。該給水部28は、配管(図示省略)により、水道水等の上水の供給部(図示省略)、及び後述する抄紙部6の白水タンク(図示省略)の双方に接続され、これら上水または白水タンク内の白水のうち、いずれかの水を攪拌槽29内に供給するようになっている。
また、攪拌槽29の上部側壁の給水部28の隣には、後段の脱墨部5での脱墨処理の際に必要となる脱墨剤を供給する脱墨剤供給部26が設置される。
撹拌手段31は、撹拌軸42、駆動部43及び撹拌翼41を備える。撹拌軸42は、撹拌槽29の平面視略中心位置に設置される。そして、撹拌軸42の上部には、動力を伝達するためのプーリ46が設置され、ベルト47、プーリ48により駆動部43に連結されている。
駆動部43は、モータを備える。駆動部43は、ベルト47、プーリ46,48からなる動力伝達機構45を介して撹拌軸42を回転駆動し、これより撹拌翼41を正逆両方向に回転駆動する。
撹拌翼41は、撹拌槽29の下部に設置される。撹拌翼41は、古紙10を給水部28から供給された水とともに攪拌し離解する。撹拌翼41は、撹拌軸42の下部に固定されている。
攪拌翼41の撹拌槽29内における設置高さは、撹拌槽29の大きさにもよるが、撹拌槽29の底面から10mm〜100mm程度の位置に設けることが好ましい。撹拌翼41の位置を撹拌槽29の底面から10mmより高くすることで、離解処理の際、古紙10を、撹拌翼41の下方に容易に潜り込ませることができ、古紙10を撹拌翼41により切断できるので古紙パルプを容易に製造することができる。また、撹拌翼41の位置を撹拌槽29の底面から100mmより低くすることで、少量の古紙10を離解処理する際、撹拌翼41を古紙10及び給水部28からの水を含む混合液中に浸漬可能な高さとし、撹拌翼41の空気を巻き込みながらの回転を防止することができる。
撹拌翼41の厚さT(図5参照)は、0.3mm〜10mm程度が好ましく、0.5mm〜7mm程度とすることがより好ましい。攪拌翼41の厚さが0.3mm以上であることにより、攪拌槽29内に貯留する古紙10、水等の液体を十分に攪拌することができ、10mm以下であることより、古紙10を撹拌翼41によって効率よく切断し、パルプ液を製造できる。
残量読取部は、再生完了前の古紙10としてのパルプ液の残量を読み取る。残量読取部は、本実施形態では、撹拌槽29内の液位を検出する液位検出部68により構成される。液位検出部68は、攪拌槽29の側壁の所定高さに複数設置されている。図3、4では、第1-第3の3個の液位検出部681-683が設けられる場合を示す。
液位検出部68は、撹拌槽29内の液位を検出する。第1液位検出部681は、パルプ液の最大量を検出する。第1液位検出部681は、撹拌槽29へ貯留可能な最大量のパルプ液が貯留されたときの液位を検出する。第2液位検出部682は、撹拌槽29の側壁の高さの半分よりやや下となる中位の高さに設置される。第2液位検出部682は繊維濃度が非常に高い状態において撹拌翼41によってパルプ液を良好に撹拌することが困難となる液位を検出する。第3液位検出部683は、撹拌翼41の設置位置と略高さに設けられる。第3液位検出部683より液位が低くなるとパルプ液を撹拌できなくなるためパルプ液中の繊維が沈殿する。
残量読取部は、液位検出部68に替えて、またはこれに加え古紙収容部24に収容された古紙10の残量を読み取ることとしてもよく、脱墨部5や抄紙部6におけるパルプ液の液位や残量を読み取ってもよく、後述する抄き網621や吸水ベルト631、乾燥ベルト641上の湿紙の有無により読み取ってもよい。また、古紙10の投入量と製造した再生紙13の排出量の差から残量を把握してもよい。
(脱墨部)
図7は、脱墨部5の平面図を示す。脱墨部5は、パルプ製造部3で製造されたパルプ液を脱墨処理する脱墨装置Bにより構成される。脱墨部5は、脱墨槽51、ブレード53及び受泡槽55を備えている。脱墨槽51は、内部に複数の仕切り壁52が並設され、パルプ液の流通路が蛇行して形成される。脱墨槽51の底面には、脱墨槽51内に空気を供給する空気供給部58が設けられる。また、図7における脱墨槽51の底面の左上隅及び右上隅に、パルプ液を脱墨槽51内へ流入させる流入部56と、脱墨処理後のパルプ液を流出させる流出部57とがそれぞれ設けられている。
ブレード53は、脱墨槽51の上方に設置され、図7おいて上下方向に移動可能である。ブレード53は、脱墨槽51の上部を浮遊する泡沫を、脱墨槽51の周壁から溢流させ掃き出す。受泡槽55は、脱墨槽51の外周を取り囲んで設けられる。受泡槽55は、ブレード53により掃き出された泡沫を受け止める。
(抄紙部)
図7は抄紙部6の構成概略図である。抄紙部6は、ヘッドボックス61、ワイヤー部62、脱水部63、乾燥部64を備えている。ヘッドボックス61は、箱状の貯留部611と、貯留部611の下部に配管613が接続されてなるパルプ液の流入部614と、パルプ液を貯留部611から溢流させ、ワイヤー部62へ流出させる流出部615とを備えている。
ワイヤー部62は、抄き網621を備えている。抄き網621は、無端状のメッシュベルトにより構成され、複数のローラ622に掛け渡される。図8において、右側のローラ622aは、ワイヤー駆動部623に連結され、ワイヤー駆動部623の駆動により抄き網621が周回走行する。
抄き網621の上面に、ヘッドボックス61の流出部615からパルプ液を流出させ、抄き網621で水切りして繊維の層をなす湿紙12を形成する。抄き網621の内方には、上側を走行する抄き網621の網目から流下する水を受ける受水部624を設けている。受水部624は図示しない白水タンクに接続され、受水した水を白水タンクへ導くようになっている。
脱水部63は、吸水ベルト631を有する。吸水ベルト631は、フェルト等により構成され、複数のローラ632及びプレスローラ634bに掛け渡されている。この吸水ベルト631は、抄き網621から転移させた湿紙12を搬送するとともに、湿紙12を脱水する。
乾燥部64は、乾燥ベルト641、カンバス642、乾燥ローラ643を有する。乾燥ベルト641は、吸水ベルト631から転移された湿紙12を搬送する。この乾燥ベルト641は、ローラ645、プレスローラ634a及び乾燥ローラ643に掛け渡されている。
吸水ベルト631と乾燥ベルト641との接触部分に、脱水手段633を設けている。脱水手段633は一対のプレスローラ634a,634bからなり、該一対のプレスローラ634a,634bで、吸水ベルト631と乾燥ベルト641との間に挟んだ湿紙12を押圧して脱水する。脱水手段633を通過した湿紙12は、吸水ベルト631から乾燥ベルト641に転移される。
図8において、上側のプレスローラ634aは、プレス駆動部637に連結され、プレス駆動部637の駆動により回転し、下側のプレスローラ634bは上側のプレスローラ634aの回転に伴って従動回転する。そして、両プレスローラ634a,634bの回転に伴って、吸水ベルト631及び乾燥ベルト641を走行させる。
カンバス642は、網状をなす樹脂製であり、複数のローラ646に掛け渡され、展張されている。カンバス642は、乾燥ベルト641との間で湿紙12を挟持して搬送し、乾燥ベルト641を介して乾燥ローラ643に湿紙12を圧接させて乾燥させる。図8において、右側の上のローラ646aは、カンバス駆動部647に連結され、カンバス駆動部647の駆動によりカンバス642が周回走行する。
乾燥ローラ643は複数の支持軸650により回転自在に支持される。乾燥ローラ643の内部には加熱手段648を備えている。加熱手段648としては電熱ヒータ等を用いることができる。また、乾燥ローラ643には、接触式の温度センサ649を設けており、この温度センサ649により乾燥ローラ643の表面温度を検出する。
(仕上げ部)
図1に示す仕上げ部7は、図示しないカレンダー部及びカット部を有しており、カレンダー部は紙の平坦度を上げるための複数のプレスローラ(図示省略)を備え、カット部は紙を所定のシートサイズにカットする裁断刃(図示省略)を備えている。
(制御部8)
制御部8は、CPU81やメモリ等を備え、古紙供給部2、パルプ製造部3、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7の動作を制御する。図8に示すように、制御部8は、CPU81に設定する機能回路として、古紙供給制御機能部810、パルプ製造部制御機能部811、脱墨部制御機能部812、抄紙部制御機能部813、仕上げ部制御機能部814を備える。
古紙供給制御機能部811は、古紙供給部2の動作を制御する。パルプ製造部制御機能部811は、パルプ製造部3の動作を制御する。脱墨部制御機能部812は、脱墨部5の動作を制御する。抄紙部制御機能部813は、抄紙部6の動作を制御する。仕上げ部制御機能部814は、仕上げ部7の動作を制御する。
更に、制御部8は、CPU81に設定する他の機能回路として、自動制御機能部816、再生処理制御機能部821、洗浄処理制御機能部822、稼動準備制御機能部823、停止準備制御機能部824、再生処理終了時刻算定機能部830、稼働時間算定機能部831、停止時刻算定機能部832、開始時刻設定機能部833、停止時刻算定予約機能部834、再算定機能部835、次回稼働時間算定機能部836、再生処理終了時刻通知機能部839、停止時刻通知機能部837、稼働時間通知機能部838を有している。
自動制御機能部816は、稼働開始から稼働停止までの工程を逐次実行する。再生処理制御機能部821は古紙を再生処理する動作を制御する。洗浄処理制御機能部822は、再生処理の前または後に、主としてパルプ製造部3、脱墨部5、抄紙部6、仕上げ部7及びこれらを接続する配管、バルブ等に、白水タンク内の白水または浄水により構成される洗浄液を供給し、洗浄処理する動作を制御する。稼動準備制御機能部823は、古紙処理装置1の稼働準備を行う。停止準備制御機能部824は、古紙処理装置1の稼働停止のための準備を行う。
再生処理終了時刻算定機能部830は、再生処理制御機能部821による古紙10の再生処理が終了する時刻を、計測部25の計測値に基づいて算定する。
稼働時間算定機能部831は、自動制御機能部816により実行される古紙処理装置1の稼働時間を算定する。稼働時間は、古紙供給部2による古紙10の再生処理部20への供給時間、再生処理部20における古紙10の再生処理時間、再生処理前または再生処理後の洗浄処理時間、処理準備時間、停止準備時間等をそれぞれ算定し、これらを合計することで得ることができる。
ユーザの選択により、また、前回古紙処理装置1を稼働させた日時からの経過時間や、古紙処理装置1の設置場所の温度や湿度といった環境条件等に応じて、古紙処理装置1を稼働する際に制御部8に実行させるべき動作や処理の内容を省略または追加することができる。この場合、再生処理される古紙10の分量が同じで、計測部25の計測値が等しい場合であっても、算定される稼働時間が異なったものとなることがある。
また、古紙供給部2による古紙10の再生処理部20への供給、再生処理部20における古紙10の再生処理、再生処理前または再生処理後の洗浄処理、稼働開始時の準備、停止準備等の各動作は、1つの動作または処理が完了した後に、後続の動作や処理を開始することで、相互に重複することなく順次実施してもよいが、2つ以上の処理や動作を同時に行ったり、1つの処理や動作の完了前に、他の処理や動作を開始することで、一部重複して実施してもよい。
2つ以上の処理や動作を同時に実施する場合、算定される稼働時間は、古紙10の供給時間、再生処理時間、洗浄処理時間、処理準備時間、停止準備時間等を単に合算するのではなく、重複時間を排除し、合計される。
停止時刻算定機能部832は、自動制御機能部816による稼働停止時刻を、計測部25の計測値に基づいて算定する。稼働停止時刻は、現在時刻に稼働時間算定機能部831により算定される稼働時間を加算して得られる時刻である。即ち、基本的な動作として、現時点で古紙処理装置1の稼働を開始することとし、再生処理制御機能部821により古紙収容部24に収容された古紙10を全て再生処理し、続いて洗浄処理制御機能部822により各部の洗浄処理を行い、稼働を停止する場合の当該稼働を停止するであろうと予測される時刻である。
停止時刻算定機能部832は、稼働停止時刻の算定の際、古紙供給部2による古紙10の再生処理部20への供給時間、再生処理部20における古紙10の再生処理時間、再生処理前または再生処理後の洗浄処理時間を算入することができる。
再生処理部20における古紙10の再生処理時間は、古紙収容部24に収容された古紙の分量に影響される。古紙10の量が多く、計測部25の計測値が大きい場合は再生処理時間は長くなる。古紙の量が少なく計測値が小さい場合は、再生処理時間は短くなる。
これに対し洗浄処理時間は、古紙10の分量に影響されにくい。供給部による古紙の供給時間は、図5に示す機構においては、底板27を水平方向へスライドさせるのに要する時間が短いので、古紙10の分量にほとんど影響されない。図5に示す供給方法に替えて、古紙10を1枚または数枚ずつ裁断し、送風機の風圧により撹拌槽29へ移送する場合など、少量ずつ古紙を供給する場合には、古紙10の供給時間が古紙10の分量に影響される。そして計測部の計測値が大きい場合、供給時間が長くかかることとなる。
再生処理の後に洗浄処理を行う場合、古紙収容部24に収容された全ての古紙10が再生完了し、仕上げ部7から排出される前の途中段階で、洗浄処理が開始され、古紙処理と同時進行で実行開始されてもよい。例えば、撹拌槽29からパルプ液が取り出され、脱墨槽51へ移送された直後に、撹拌槽29内に洗浄液を供給し、撹拌槽内を洗浄することが可能である。
開始時刻設定機能部833は、ユーザが操作パネル等の表示部59を兼ねた操作部60を用いて入力操作した稼働開始時刻を設定する。
停止時刻算定予約機能部834は、開始時刻設定機能部833で設定された時刻に稼働開始し、古紙収容部24に収容された古紙10を再生処理し、その後稼働停止する場合における稼働停止時刻を算定する。
再算定機能部834は、稼働開始した後、稼働停止するまでの所定のタイミングで稼働停止時刻を再算定する。この再算定機能部834は、残量読取部の読み取った残量に基づいて稼働停止時刻を再算定することができる。残量読取部が、液位検出部68により構成される場合、再算定機能部834は、この液位検出部68の検出値に基づいて稼働停止時刻を再算定することができる。
例えば、離解処理終了し、希釈を行い、希釈完了となり、撹拌槽29内のパルプ液の液位を第1液位検出部681が検出した時点を用いることができる。また、第2液位検出部682がパルプ液の液位を検出した時点を用いることもできる。そして、パルプ液の液位が撹拌翼41の高さまで下がり、第3液位検出部683がパルプ液の液位を検出する時点を用いることもできる。
また、古紙収容部24に収容された古紙10が稼働開始から所定時間経過後や古紙10を一部撹拌槽29へ投入した後、古紙収容部24に残存する古紙10がある場合、この古紙収容部24の古紙10の残量を読み取り、読み取った残量に基づいて稼働停止時刻を再算定することもできる。
次回稼働時間算定機能部836は、稼働開始後、古紙収容部24に新たに古紙10が収容されたとき、計測部275の計測値に基づいて、新たに収容された古紙を再生処理する際の稼働時間を算定する。古紙処理装置1の稼働中は、新たに収容された古紙10の処理開始時刻が現在時刻であるとは限らない。制御部8は、現在再生処理中の古紙10を一旦処理完了するまで、新たな古紙10を処理開始しない場合には、現在処理中の古紙10の再生処理の終了後に新たな古紙10の再生処理を開始する。しかし、現在処理中の古紙10の再生処理終了時刻は変動するもあり得る。また、ユーザの選択により、現在処理中の古紙10の再生処理終了後、引き続き新たな古紙10の再生処理を実行開始することができるが、現在処理中の古紙10の再生処理と次回の再生処理の間に洗浄処理を実行することもできる。更に、ユーザは、開始時刻設定機能部833により次回の古紙再生処理開始のために古紙処理装置1を稼働開始する時刻を設定することもできる。
このように、稼働開始後、古紙収容部24に新たに収容された古紙10の再生処理開始時刻は不確定な要素が多いので、制御部8は、比較的算定の容易な計測部25の計測値に基づいた稼働時間の算定を実行する。ユーザは、表示部59に表示された次回稼働時間算定機能部836の算定結果を視認することで、古紙収容部24に収容した古紙10の再生処理に要する時間を容易に把握することができる。
次回稼働時間算定機能部836の算定する稼働時間には、古紙10の供給時間、計測部25の計測値に応じた古紙10の再生処理時間及び再生処理前後の洗浄処理時間のうち実行予定の必要な時間を算入することができる。
再生処理終了時刻通知機能部839は、古紙10の再生処理が終了する時刻を通知する。停止時刻通知機能部837は、稼働停止時刻を通知する。稼働時間通知機能部838は、次回稼働時間算定機能部836で算定された稼働時間を通知する。再生処理終了時刻通知機能部839、停止時刻通知機能部837及び稼働時間通知機能部838が、通知を行う宛先は、古紙処理装置1の表示部59、無線または有線により接続された他の装置18や機器、図1に示す通信回線14を通じて接続されたサーバー16及び複数の機器17が挙げられる。通知方法にはメール通知が含まれる。
表示部59や通信回線14を通じて接続されたサーバー16及び複数の機器17は、通知を受信すると、通知内容をユーザが視認可能に表示する。表示方法は、稼働停止時間や稼働時間をそのまま表示すればよいが、二酸化炭素排出量の削減や木材の伐採量低減等他の値に換算した上で表示するようにしてもよい。
即ち、表示部59が100kgの古紙10の再生処理が完了したという通知を受信した時点で、「二酸化炭素排出量を76kg削減できた」とか、「木の伐採を1.7本守ることができた」等と表示することができる。これより、ユーザの環境意識を向上させることができる。
他の装置18や機器は、通知を受信することで、後続の処理を実行開始することができる。例えば、他の装置18が、製造された再生紙を受け取り、所定の配送先まで配送する再生紙配送装置である場合には、再生処理終了の通知をこの再生紙配送装置が受け取り、所定の配送先まで自走し、再生紙を届けることができる。
また、他の機器が、古紙処理装置1への給排水機器である場合、再生処理終了時刻通知機能部839、停止時刻通知機能部837または稼働時間通知機能部838からの通知を受信することで、古紙処理装置1への給排水を適時に実行できる。
(稼働制御)
以上のような制御部8による稼働開始から停止までの制御は、図9に示すフローシートに沿って行う。つまり、停止状態900から処理準備910、古紙供給処理920、古紙再生処理930、洗浄処理940、稼働停止準備950の各工程を経て古紙処理装置1の稼働停止960となる。
稼働準備910は、ユーザが古紙処理装置1の電源を投入したときに実行される。ユーザが、古紙処理装置1の稼働開始時刻を、操作パネル等の表示部59を兼ねた操作部60を用いて入力操作していた場合、古紙処理装置1の内部時計または古紙処理装置1に接続された外部の時計機能が設定された時刻に達した時点で古紙処理装置1を自動で稼働開始する。そして、稼働準備910を実行する。
稼働準備910では、図10に示すように、白水タンクへの浄水を注水する911。尚、白水タンクを介さず浄水を給水部28から直接攪拌槽29へ供給できる構成とした場合には、白水タンクへの注水911の動作を省略することができる。また、白水タンクへの注水911を、ユーザが古紙処理開始の操作を行った後に実行することとしてもよい。これにより、古紙処理装置1の電源投入後、水道源からのバルブが閉まったままで注水するのを防止する。また、電源投入後すぐに古紙処理または洗浄処理を開始しない場合に、白水タンクに注水したままの状態が継続されるのを防止できる。
次に、原料としての古紙10が図3に示す古紙収容部24に収容されると、制御部8は、計測部25により古紙10の分量を計測する912。計測部25は、重量計測機器により、古紙10と古紙収容部24との合計の重量を計測する。古紙10のみの重量は、重量計測機器の計測値から、予め設定された古紙収容部24の重量を差し引くことで算出可能である。
停止時刻算定機能部832は、自動制御機能部816による稼働停止時刻を、計測部25の計測値に基づいて算定する。停止時刻通知機能部837は、稼働停止時刻を表示部59に通知する。また必要により停止時刻通知機能部837は、無線または有線により接続された他の装置18や機器、通信回線14を通じて接続されたサーバー16及び複数の機器17に通知する913。通知を受けた表示部59、機器、サーバー16、機器17などは、稼働停止時刻をユーザが視認できるよう表示する。
ユーザは、表示された稼働停止時刻が、希望する時刻である場合には、操作部60より古紙再生処理開始の操作を行う。これより、ユーザは直ちに再生処理制御機能部821に古紙10の再生処理を開始させることができ、希望する時刻に古紙処理装置1の稼働を停止させることができる。
表示された稼働停止時刻が、希望する時刻と異なる場合には、ユーザは古紙収容部24に収容する古紙10の分量を変更する。計測部25は、変更後の古紙10の分量を再度計測する。停止時刻算定機能部832は、計測部25の計測値を基に稼働停止時刻を再度算定する。算定された稼働停止時刻は、表示部59に通知され、ユーザに視認できるよう表示される。
稼働停止時刻が希望する時刻より遅い場合、例えば、ユーザの勤務時間が午後5時であり、表示部59に表示された稼働停止時刻が午後6時である場合、ユーザは古紙収容部24に収容させた古紙10を一部取り出す。これより、再生処理すべき古紙10の分量が減り再生処理時間が短くなる。計測部25の計測値を基に再度算定され、表示部に改めて表示される稼働停止時刻は、古紙10を一部取り出す前の午後6時より早い時刻である午後5時半や午後5時などとなる。
逆に、計測部25の計測値を基に算定され、表示部59に表示された稼働停止時刻がユーザの希望時刻より早い場合、ユーザは古紙収容部24へ古紙10を追加する。これより、表示される稼働停止時刻が追加前より遅い時刻となる。
このように、制御部8は、自動制御機能部816による稼働停止時刻を、計測部25の計測値に基づいて算定する停止時刻算定機能部832と、稼働停止時刻を通知する停止時刻通知機能部837とを備えたので、ユーザは古紙収容部24に古紙10を収容させるという単純な動作を実行するだけで、古紙処理装置1の稼働停止時刻を把握することができる。
そして、表示された稼働停止時刻がユーザの希望する時刻と異なる場合には、古紙収容部24に収容する古紙10の分量を変更することで、古紙処理装置1の稼働停止時刻を希望時刻へ容易に調整することができる。
停止時刻算定機能部832は、稼働停止時刻の算定の際、再生処理部821における古紙10の再生処理時間と、再生処理後の洗浄処理時間とを算入するので、稼働停止時刻をより正確に算定することができる。
ユーザが操作部60を操作し、古紙処理装置1の稼働開始時刻を設定する場合、制御部8は、開始時刻設定機能部833によって稼働開始時刻を受け付ける。そして、停止時刻算定予約機能部834が、設定された時刻に古紙処理装置1の稼働を開始し、古紙収容部24に収容された古紙10を再生処理し、必要により洗浄処理を行い、その後稼働停止する場合における稼働停止時刻を算定する。算定された稼働停止時刻は停止時刻通知機能部837により通知され、ユーザが視認可能な状態とされる。これより、ユーザは古紙処理装置1の稼働開始時刻に古紙処理装置1の設置場所にいなくても自動で古紙処理装置1の稼働開始することができ、利便性が向上する。また、自動で稼働開始する場合の稼働停止時刻を容易に把握することができる。
図9では省略したが、古紙10の再生処理前に、洗浄処理を実行する場合には、稼働準備910の前後、またはこれと同時に、ポンプや配管などの残水を浄水で洗浄し、排出する。これより、得られる再生紙13の品質の低下を抑えることができる。
図9の古紙供給処理920では、ユーザが古紙再生処理を開始させる操作を行ったとき、図11に示すように、古紙供給部制御機能部810によって底板27をスライドし、古紙投入口をとしての古紙収容部24の底部分を開放する921。制御部8は、底板27の開放後、所定時間経過するまでそのまま放置する922。そして、古紙収容部24内の古紙10が下方の撹拌槽29の内部へ自重により落下するのを待つ。古紙10の撹拌槽29への供給動作はこれで完了となる。底板27を一度に全開まで開放する場合、古紙10の供給時間は比較的短い時間となる。底板27をスライドする長さを調整することで、古紙収容部24に収容された古紙10を複数回に分けて撹拌槽29へ供給してもよい。
古紙10の撹拌槽29への供給後、空となった古紙収容部24の重量を、計測部25によって再度計測する。古紙供給前後の計測値の差分を取ることで、実際に撹拌槽29へ供給された古紙10の分量を取得することができる。そして、古紙10の供給エラーの有無を確認する923。
制御部8が、底古紙10の収容されない空の状態の古紙収容部24の重量を計測して得られた値が、予め設定した所定値以上がある場合、制御部8は古紙10の供給が適正に行われなかったと判断する。即ち、底板27を開放しても、自重により落下されずに古紙収容部24に残存したままの古紙10がある場合、古紙収容部24の重量が空の状態より重くなる。
また、古紙収容部24における底板27の位置を検出可能に構成した場合、制御部8は、底板27が完全には閉止できないときに古紙10が底板27と側壁の間に挟持されるなどして、古紙10の撹拌槽29への供給が適正に行われなかったと判断することもできる924。
このような場合、制御部8は、再度底板27を開放する方向へスライドさせる。これより、古紙10の自重による落下を再度試みる925。1回目の底板27のスライド動作によって立てた状態で収容された古紙10が底板27等に挟持されたときは、古紙10が二つ折りに折目が形成されるなどしている。このため再度の底板27の開放により古紙10を確実に落下させることができる。
更に、底板27の開放途中や、底板27を閉止した状態で、古紙処理装置1の電源が切られたときには、底板27の開放前に計測した古紙10の計測値を記憶部に記憶しておく。その後電源が投入され、復旧動作または稼働準備動作が実行されるとき、底板27を開放し、そして閉止させてから用紙重量を再計測する。記憶しておいた計測値と再計測した値との差分から投入量を算出することができる。
図9に示す古紙再生処理930では、パルプ製造部制御機能部811、脱墨部制御機能部812、抄紙部制御機能部813、仕上げ部制御機能部814で、それぞれパルプ製造部3と脱墨部5と抄紙部6と仕上げ部7を制御して古紙10の再生処理を行う。
制御部8は、再生処理制御機能部821により古紙10の再生処理を開始する。制御部8は、パルプ製造部制御機能部811によって計測部25の計測値に基づき、給水部28から攪拌槽29へ離解処理に必要な量の離解用の水を供給する。給水部28から供給される離解用の水は白水タンク内の浄水または白水、あるいは水道管からの浄水のいずれかである。
そして、制御部8がパルプ製造部制御機能部811により駆動部43を駆動することで、動力伝達機構45を介して、撹拌軸42が回転される。撹拌軸42の回転に伴って、撹拌翼41は、所定方向に所定時間にわたり回転される。これより、撹拌槽29内に貯留する古紙10は水とともに撹拌され、図12に示す離解処理が行われる931。
離解処理の完了後、制御部8は給水部28より撹拌槽29への希釈液の供給を開始する。第1液位検出部681が液位を検出すると、制御部8は、ポンプ36を駆動する。ポンプ36の駆動により撹拌槽29のパルプ液取出部34から希釈後のパルプ液が取り出される。取出されたバルブ液は下流側の脱墨部5へ移送される。
その後、パルプ液取出部34から所定量のパルプ液が取り出され、第2液位検出部682が液位を検出すると、制御部8は、給水部28から所定量の希釈液を撹拌槽29内に供給する。この結果、撹拌槽29で第2液位検出部682の設置高さの液位となったパルプ液は更に希釈され、液位が上昇する。パルプ液は、撹拌翼41により適正に撹拌できる状態となる。また、パルプ液は繊維濃度が低下し、粘度が低下し、ポンプ36の駆動による下流側へ更なる移送が可能となる。
第3液位検出部683がパルプ液の液位を検出すると、制御部8は、撹拌槽29から略全てのパルプ液を取り出したと判断する。そして、制御部8は、ポンプ36を停止する。ここで、制御部8は、離解及び希釈の終了した撹拌槽29の内壁や撹拌翼41を洗浄処理してもよい。このため洗浄処理制御機能部822が、白水タンク内の白水または浄水を洗浄液として給水部28から撹拌槽29へ供給する制御を行ってもよい。洗浄に必要となる所定量の洗浄液を撹拌槽に29供給した後、撹拌翼41を正逆回転することで洗浄処理することができる。使用後の洗浄液は、パルプ液取出し部34から取出し、必要により廃液処理を行って廃棄する。
このように、古紙10の離解完了時点という再生処理途中でパルプ製造部2の洗浄処理を実施する場合、古紙10の再生処理と洗浄処理が同時進行で実施されることになる。
また、制御部8は、希釈後のパルプ液をパルプ液取出し部34から取り出した後、または、その後パルプ製造部2の洗浄処理を実施する場合はその後に、次回の再生処理のために、白水タンク内の白水または浄水を離解用の水として給水部28から撹拌槽29へ供給する制御を行ってもよい。白水タンク内の白水を次回の離解用の水に用いることで、白水の有効利用が可能となり、節水となる。また、次回の離解処理開始時における離解用水の供給時間を短縮することができる。給水部28からの離解用水の供給量を、次回の離解処理開始時の必要量とすることによって、次回の離解処理における繊維濃度を適正値に調整することができる。
更に、制御部8は、次回の再生処理のために、白水タンク内の白水または浄水を離解用の水として給水部28から撹拌槽29へ供給する制御を行う前に、
第1-3液位検出部681-683がパルプ液の液位を検出したとき、制御部8の再算定機能部835は、各液位検出部68の検出値に基づいて稼働停止時刻を再算定する。各液位検出部68によって再生完了前の古紙の残量を容易に把握することができる。また、稼働停止時刻を適正に補正することができる。
このように、制御部8は、再算定機能部835により、古紙処理装置1の稼働開始した後、稼働停止するまでの所定のタイミングで稼働停止時刻を再算定するので、稼働開始した後、停電や緊急停止、ユーザによる稼働停止指示等何らかの理由で稼働が中断されたり、処理の遅延が発生した場合であっても、稼働停止時刻を補正し、現状に応じたより正確な稼働停止時刻をユーザに把握させることができる。また、再生紙配送装置や給排水機器などの他の周辺機器の誤作動を防止できる。
また、このように再生完了前の古紙の残量を読み取る残量読取部を備え、再算定機能部835が、残量読取部の読み取った残量に基づいて稼働停止時刻を再算定するので、稼働停止時刻をより適正に補正することができる。
図6に示す脱墨部5では、パルプ液が流入部56より脱墨槽51内に流入される。そして、脱墨槽51内に収容されたパルプ液中に、空気供給部58から空気が供給され、脱墨処理が行われる932。脱墨処理により得られた脱墨後のパルプ液は、流出部57より流出され、下流側の抄紙部6へ送られる。
図7に示す抄紙部6では、脱墨後のパルプ液がヘッドボックス61へ流入され、流出部615から抄き網621上面へ供給され、均一な繊維の層である湿紙12が形成される933。抄き網621から流下した水は、受水部624に受け止められ、白水タンクに収容される。
白水タンク内の白水は、必要により、フィルターによる微細な繊維の除去、インク、トナー等の分離、薬剤の添加、中和処理等が施される。その後、上記したように、パルプ製造部3へ循環され、給水部28から攪拌槽29に給水されることで再度利用される。
図7に示す抄き網621上に形成された湿紙12は、抄き網621と吸水ベルト631との当接部分で吸水ベルト631へ転移され、吸水ベルト631により湿紙12に含まれる水分が吸収されて脱水される。湿紙12が脱水手段633の設置箇所に至ると、吸水ベルト631と乾燥ベルト641との間に該湿紙12が挟まれた状態で、一対のプレスローラ634a,634bにより両側より押圧され脱水されるとともに、吸水ベルト631から乾燥ベルト641へ転移される。
乾燥ベルト641に転移された湿紙12は、カンバス642との間に挟まれ、この状態で乾燥ローラ643に乾燥ベルト641を介して圧接され、乾燥される。乾燥ローラ643の表面温度は、温度センサ649によって検出され、検出結果を基に予め設定した所定温度に維持される。
ここで、脱墨処理が終了し、脱墨槽51からパルプ液が全て下流側のヘッドボックス61へ移送されると、その後は、ヘッドボックス61へパルプ液が供給されなくなる。この結果、ヘッドボックス61から抄き網621上へパルプ液が溢流しなくなる。このタイミングで洗浄処理制御機能部822は、脱墨部5及びヘッドボックス61の洗浄処理を開始する。洗浄処理制御機能部822は、脱墨部5からヘッドボックス61への移送に使用したポンプを逆回転させる。そして、再生処理終了間際のパルプ液をヘッドボックス61から脱墨槽51へ返戻させる。
これは、再生処理終了間際のパルプ液をヘッドボックス61から抜き取ってヘッドボックス61の内部を空にするためである。ヘッドボックス61の底部にパルプ液抜き取り用の開口部を設けている場合には、この開口部によってヘッドボックス61内の最終のパルプ液を抜き取ってもよい。
ヘッドボックス61内のパルプ液が脱墨槽51へ移送された後、ワイヤー部62及び脱水部63から湿紙12の後端部分が乾燥部64へ全て移送された状態で、洗浄処理制御機能部822は、ヘッドボックス61の貯留部611の内壁、流入部613や流出部615、抄き網621、吸水ベルト631、プレスローラ634a、634b等へ白水タンク内の白水または浄水による洗浄液を噴射する。これより、ヘッドボックス61、ワイヤー部62、脱水部63の洗浄を行う。
また、洗浄処理制御機能部822は、脱墨槽51へ白水タンク内の白水または浄水を洗浄液として供給する。脱墨槽51を洗浄液によって満杯とする。これにより、脱墨槽51の内壁に付着した繊維を洗浄することができる。そして、脱墨槽51内で一旦満杯とした洗浄液を脱墨槽51の下部から全て取り出す。取出した洗浄液は図示しない廃液処理部へ移送し、凝集剤を添加し、繊維などの固形分を凝集させる。凝集された固形分は、濾過され、圧搾された後、図示しないゴミ箱に貯められる。ゴミ箱に溜まった圧搾物はユーザーによって廃棄される。
更に、必要により、洗浄処理制御機能部822は、脱墨槽51から洗浄液が取り出された後、空気供給部58の目詰まりを防止するため、洗浄液を供給する。また、空気供給部58に向けて上方より洗浄液を噴射する。これより、空気供給部58の空気供給穴に繊維等が詰まった状態で脱墨処理を終了し、繊維が乾燥して目詰まりを起こすのを回避することができる。
再生紙13として製造できる湿紙12の後端部が未だ乾燥部64で乾燥途中である間は、古紙10の再生処理と、脱墨部5及び抄紙部6の一部の洗浄処理は同時に実施されることとなる。
乾燥部64を出た仕上げ前の再生紙13は図示しない複数のプレスローラの間に通され、これにより、仕上げ前の再生紙13の平坦度を向上させ、更に、裁断刃で所定のシートサイズに裁断して再生紙13が完成される。
再生処理終了時刻通知機能部839は、再生処理が終了前の所定の時点で、古紙10の再生処理が終了する時刻を、古紙処理装置1の表示部59、無線または有線により接続された他の装置18や機器、通信回線14を通じて接続されたサーバー16及び複数の機器17に通知する。
古紙収容部24に収容された古紙10の再生処理が全て終了し、更に、古紙10の再生処理中と同時進行で順次実行開始した各部の洗浄処理が全て完了すると、制御部8は、停止準備950へ移る。停止準備950では、加熱手段648への通電を停止する操作を行う。そして、温度センサ649で測定する乾燥ローラ643の表面温度が設定温度以下になったか否かの判断を行う。また、抄紙部6において最終段階で抄紙され、乾燥された湿紙12を、仕上げ部7において再生紙13として取得せずに、再生紙13のサイズより小さく裁断する。
このように、制御部8は、洗浄処理制御機能部822によってパルプ製造部3と脱墨部5と抄紙部6を制御し、所定のメンテナンス動作を行なうことで、装置の各部を常に清浄な状態に保つことができ、その結果として再生紙の品質を維持することができる。
尚、上記実施形態では、古紙処理装置1は、水を用いて古紙を再生処理したが、水を全くまたはほとんど用いることなく再生処理し、再生紙に調製してもよい。この場合、古紙を解繊し、必要な添加剤を添加することによって再生紙に調製することができる。また、古紙処理装置1は脱墨部5を備えたが、脱墨部5を省略しても構わない。また、抄紙部6は吸水ベルト631を備えたが、吸水ベルト631を備えず、抄き網から乾燥ベルトまたは乾燥ドラムに湿紙を移送し、乾燥する構成としてもよい。