JP6007372B2 - チューブポンプの液体移送方法及び液体を移送する装置 - Google Patents

チューブポンプの液体移送方法及び液体を移送する装置 Download PDF

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本発明は、チューブポンプの液体移送方法及び液体を移送する装置に関するものである。
従来、わが国においては、一度使用した古紙、例えば古新聞紙やオフィス等で生じる古紙を回収して紙を再生する技術ならびに社会システムが確立している。 下記特許文献1には、このような再生処理に関し、古紙の裁断紙片を離解して古紙パルプを調製する古紙パルプ部と、古紙パルプを漂白して脱墨パルプを調製する脱墨パルプ部と、脱墨パルプを抄紙して再生紙を調製する抄紙部を一体的に備える古紙処理装置が記載されている。
特開2007−23450号公報
上記特許文献1に記載の製紙装置において、パルプ懸濁液を移送するポンプの種類がチューブポンプの場合、古紙再生処理装置の設置場所の温度が季節によって変化すると、可撓性チューブの硬度が変化するために、移送するパルプ懸濁液の液量に影響を及ぼす。
本発明は上記した課題を解決するものであり、設置位置の温度変化にかかわらず、必要となる量の液体を移送することが可能なチューブポンプの液体移送方法及び液体を移送する装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のチューブポンプの液体移送方法は、可撓性チューブと、前記可撓性チューブを押し潰しながら液体を移送する押圧ローラを備えたチューブポンプにより、液体を上流側から下流側へ移送するチューブポンプの液体移送方法であって、チューブポンプの設置位置近傍の温度を温度センサにより検出し、前記温度センサの検出値が所定の基準値より低いときには基準値以上のときより押圧ローラにより押し潰された状態から開放される際の復元力が大きい可撓性チューブが用いられるとともに、押圧ローラの移動速度を遅くする。
また、本発明の液体を移送する装置は、可撓性チューブと、前記可撓性チューブを押し潰しながら液体を移送する押圧ローラを備えたチューブポンプと、チューブポンプの設置位置近傍の温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出値が所定の基準値より低いときには基準値以上のときより押圧ローラにより押し潰された状態から開放される際の復元力が大きい可撓性チューブが用いられるとともに、押圧ローラの移動速度を遅くするよう制御する制御部とを備えた。
本発明のチューブポンプの液体移送方法によれば、可撓性チューブと、前記可撓性チューブを押し潰しながら液体を移送する押圧ローラを備えたチューブポンプにより、液体を上流側から下流側へ移送するチューブポンプの液体移送方法であって、チューブポンプの設置位置近傍の温度を温度センサにより検出し、前記温度センサの検出値が所定の基準値より低いときには基準値以上のときより押圧ローラにより押し潰された状態から開放される際の復元力が大きい可撓性チューブが用いられるとともに、押圧ローラの移動速度を遅くするので、チューブポンプ設置位置近傍の温度変化にかかわらず、必要となる量の液体を移送することが可能である。
また本発明の液体を移送する装置によれば、可撓性チューブと、前記可撓性チューブを押し潰しながら液体を移送する押圧ローラを備えたチューブポンプと、チューブポンプの設置位置近傍の温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出値が所定の基準値より低いときには基準値以上のときより押圧ローラにより押し潰された状態から開放される際の復元力が大きい可撓性チューブが用いられるとともに、押圧ローラの移動速度を遅くするよう制御する制御部とを備えたので、チューブポンプ設置位置近傍の温度変化にかかわらず、必要となる量の液体を移送することが可能である。
本発明の一実施形態に係るチューブポンプの液体移送方法に用いる製紙装置の概略構成図である。 前記製紙装置の古紙パルプ製造部の概略構成図である。 前記製紙装置の脱墨処理部の平面図及び断面図である。 前記製紙装置の抄紙部のヘッドボックス及びワイヤー部の斜視図である。 前記製紙装置の抄紙部のプレス部及び乾燥部、仕上げ部のカレンダー部の概略図である。 前記ヘッドボックスの背面図である。 図6のB−B線矢視断面図である。 図6のC−C線矢視断面図である。 図6のD−D線矢視断面図である。 図6のE−E線矢視断面図である。 前記製紙装置の配管の接続状態を示す概略図である。 前記製紙装置の配管の接続状態を示す概略図である。 前記チューブポンプにより移送する液体の温度と流量との関係を示す図である。 前記チューブポンプにより移送する液体の温度と流量との関係を示す図である。
(古紙再生処理装置の概略)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明にかかるチューブポンプの液体移送方法に用いる製紙装置の概略構成図である。本実施形態においては、製紙装置は、原料に古紙を用いる古紙再生処理装置Mについて記載するが、古紙以外の他の原料を用いた製紙装置においても、本発明にかかるチューブポンプの移送方法を実施可能である。図1において、製紙装置の一例としての古紙再生処理装置Mは、パルプ懸濁液製造部1、脱墨部2、抄紙部3、仕上げ部4、排液処理部5、制御部8を一体的に備えるものである。パルプ懸濁液製造部1は、古紙6を離解した古紙パルプを含むパルプ懸濁液を製造するものであり、脱墨部2は、パルプ懸濁液製造部1において製造されたパルプ懸濁液を脱墨するものであり、抄紙部3は、脱墨後のパルプ懸濁液を抄紙し、抄紙により得られた湿紙の乾燥を行うものであり、仕上げ部4は、抄紙部3において湿紙の乾燥を行ったものをカレンダー処理及び裁断等することにより仕上げを行って再生紙7を得るものであり、制御部8は、各部の動作を制御するものである。
(古紙パルプ製造部)
図2は、パルプ懸濁液製造部1の概略構成図である。パルプ懸濁液製造部1は、図2に示すように、古紙供給部9、計測部17、パルパー18を備えている。
古紙供給部9は、シュレッダー等の切断機器によって所定サイズより小さいサイズに切断された古紙6を貯留するシュレッダータンク121と、シュレッダータンク121の底部に設けられ、二点鎖線で示すように揺動することで開閉自在に構成された開閉部材124を備えている。
計測部17は、古紙供給部9より供給された古紙6の重量を計測するものである。計測部17は、古紙6を受け止める受皿171を備えている。受皿171は、図2において二点鎖線で示すように、水平姿勢からパルパー18へ向けて傾倒する傾倒姿勢にまで傾倒可能に構成され、受皿171を傾動させるモータ等の駆動手段(図示省略)を有する。
パルパー18は、計測部17より投入された古紙6を水中において、繊維、つまり古紙パルプにまで離解するものであり、攪拌槽181、給水部182、脱墨剤供給部183、攪拌手段189、取出口186を備えている。
攪拌槽181は、有底略円筒状に形成されている。給水部182は、水道水などの上水を供給する上水供給部(図示省略)及び排液処理部5の白水タンク52内の白水の双方に接続され、これら上水及び白水のいずれかまたは双方の水を攪拌槽181に供給するようになっている。脱墨剤供給部183は、攪拌槽181の上方に設けられ、脱墨部2の脱墨処理に必要な界面活性剤等の脱墨剤を攪拌槽181へ供給する。
攪拌手段189は、攪拌槽181の底部に設けられ、古紙6を給水部182から供給された水とともに攪拌し離解するための攪拌羽根187と、前記攪拌羽根187を回転駆動するモータ等の駆動手段188とを備えている。
取出口186は、攪拌槽181の底部に開口して形成され、該取出口186に配管91が接続された構成を有し、パルパー18にて古紙6を離解することにより製造された古紙パルプ、水等を含有するパルプ懸濁液を取り出すようになっている。
(脱墨部)
図1に示すように、 脱墨部2は、貯蔵部21及び脱墨処理部22を備えている。貯蔵部21は、配管91に設けたポンプ110によりパルプ懸濁液製造部1から移送されたパルプ懸濁液を一旦貯留するものである。貯蔵部21は、円筒状の貯蔵用タンク211を備え、貯蔵用タンク211の内部には攪拌手段212を備えている(図11参照)。また、貯蔵用タンク211の下部には、供給口213及び排出口214がともに開口して形成され、それぞれ配管91、92が接続されている。
図3(a)に脱墨処理部22の平面図を、同図(b)に図3(a)のA−A線矢視断面図を示す。脱墨処理部22は、インク成分、トナー成分等の印刷成分をパルプ懸濁液から分離して脱墨後のパルプ懸濁液を製造するためのものであり、脱墨槽221、ブレード222及び気泡排出槽223を備えている。
脱墨槽221は、貯蔵部21より送られたパルプ懸濁液を流通させるものである。脱墨槽221内は、複数の仕切壁224により複数の脱墨室225に区画されており、図3(a)に示すように、仕切り壁224の左方または右方が交互に開口することで全ての脱墨室225は連通している。
各脱墨室225の底部には、脱墨槽221内を流通するパルプ懸濁液中に、微細な気泡を供給するための気泡供給部226を設けている。また、脱墨槽221の底部の所定位置には、所定パルプ懸濁液を脱墨槽221内に流入させる流入口228と、脱墨後のパルプ懸濁液を外部に流出させる流出口229がそれぞれ開口して形成され、配管92、93が接続されている。
ブレード222は、脱墨槽221の上部を浮遊する気泡を、脱墨槽221の周壁を溢流させ気泡排出槽223側へ掃き出すためのものであり、脱墨槽221の上方に設けられ、モータ222aの駆動によりガイドレール222bに案内されつつ往復移動するよう構成されている。
図3(a)に示すように、気泡排出槽223は、脱墨槽221の外周を取り囲むよう平面視ロ字状に設けられ、脱墨の際脱墨槽221内で生じ、ブレード222により掃き出された気泡を一旦貯留するようになっている。
気泡排出槽223の底部には、該気泡排出槽223内に溜まった脱墨排液を取り出す脱墨排液取出口227が開口して形成され、配管97が接続されている。
(抄紙部)
抄紙部3は、図4に示すヘッドボックス11及びワイヤー部12と、図5に示すプレス部13及び乾燥部14とを備えた抄紙装置Sにより構成される。ヘッドボックス11は、脱墨後のパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー71上に均一に供給するためのものである。
図6は、ヘッドボックス11の背面図、図7は図6のB−B線矢視断面図、図8は図6のC−C線矢視断面図、図9は図6のD−D線矢視断面図、図10は図6のE−E線矢視断面図である。図6に示すように、ヘッドボックス11は、パルプ懸濁液を流入させ貯留するヘッドボックス本体29を備えている。ヘッドボックス本体29は、上部枠体23、下部枠体24、左枠体25及び右枠体26を備えたフレーム27の内部に収容され、左枠体25と右枠体26との間の中段前部に架設された支持台28上に固定されている。
図6〜10に示すように、ヘッドボックス本体29は、底板31及び該底板31の外周縁に立設された前側板32、後側板33、左側板34及び右側板35により一体に形成され、ヘッドボックス本体29の上部は開放している。ヘッドボックス本体29の内部にはパルプ懸濁液を貯留する貯留部36が形成される。
図4、7に示すように、左側板34及び右側板35には、それぞれ前側の上部がワイヤー部12の抄紙ワイヤー71の上面に沿って所定長さ延在してなる幅ガイド38,39が設けられている。該幅ガイド38,39は、抄紙ワイヤー71上に供給されたパルプ懸濁液が左右外方へ流出するのを防止し、抄紙により得られる湿紙の幅方向W長さを規定する。幅ガイド38,39の前端部は湿紙に接触しない高さ位置で連結部材40により連結されている。
また、左右の両幅ガイド38,39の間には、抄紙ワイヤー71の上面に沿って案内板42が設置されており、該案内板42の左右両端縁が幅ガイド38,39の下部に固着されている。また、案内板42の後端縁は前側板32の上端縁に固着されている。
前側板32は、前記のように貯留部36の一部を形成する側板であり、図7に示すように、走行する抄紙ワイヤー71上へ貯留部36に貯留するパルプ懸濁液を供給する際の供給方向Fに、略直交する幅方向Wに沿って設置されている。図9に示すように、前側板32は底板31からの高さが、後側板33より所定量だけ低く形成され、貯留部36に貯留するパルプ懸濁液を前側板32の上端縁の上方より前方へと溢流させる流出部49を形成している。この前側板32から溢流したパルプ懸濁液は、幅ガイド38,39により幅方向Wを規制されつつ案内板42上を漏れることなく流通し抄紙ワイヤー71上へと供給されるようになっている。
図8に示すように、貯留部36は、仕切壁44によって後側の第一室46と前側の第二室47とに前後方向に区画されている。仕切壁44は貯留部36の中空高さ位置に設置されており、仕切壁44の左右端縁は左側板34及び右側板35にそれぞれ支持され、第一室46と第二室47とは下部が連通している。
底板31には、図9に示す第一室46を構成する後側位置であって、且つ図6に示す幅方向W中央部に、パルプ懸濁液を貯留部36へと流入させる流入部50が開口して形成されている。該流入部50には合成樹脂製の配管93が接続され、前工程である脱墨部2から送られるパルプ懸濁液を貯留部36へ移送するようになっている。
第一室46及び第二室47には、それぞれ流入部50から流入され、貯留部36に貯留するパルプ懸濁液を攪拌する攪拌手段55を備えている。攪拌手段55は、幅方向Wに沿って設置された平板状部材53と、平板状部材53を上下に往復移動させる移動手段54とを備えている。
図10に示すように、平板状部材53は、平板面が略水平姿勢となるよう横設され、図8に示すように、幅方向Wの略全範囲に亘って設けられている。そして、この平板状部材53は、平面視貯留部36の幅方向W両端部近傍の部分が、他の部分より若干細く形成されてなり、更に、第一室46に設置された平板状部材53aは平面視幅方向W両端部近傍に加え、流入部50の上方位置となる幅方向W略中央部が若干細く形成されている。
移動手段54は、平板状部材53を略水平姿勢を維持したままで移動する構成とされる。移動手段54により平板状部材53を往復移動させることで、第一室46及び第二室47に貯留するパルプ懸濁液の液面を上下動させ、これにより、抄紙ワイヤー71上に供給されるパルプ懸濁液の液面に波を生じさせる。移動手段54は、アーム58、リンク部材59、回転体60、クランク軸61、駆動ギア62、従動ギア63及び駆動部(図示省略)を備えている。
アーム58は左右一対設けられ、図6に示すように、該アーム58の下端部に平板状部材53の左右両端部が連結されている。図9に示すように、アーム58の上部はリンク部材59の下端部にピン接合されており、リンク部材59の上端部は回転体60の偏心位置にピン接合されている。回転体60は、図7に示すクランク軸61の左右端部に接合されており、クランク軸61の回転に伴って、回転体60が回転することで、リンク部材59の作用によりアーム58を介して平板状部材53を上下に往復移動させるようになっている。
クランク軸61は、図7に示す従動ギア63の回転により駆動される。従動ギア63は、一対の該従動ギア63の間に設置された駆動ギア62にそれぞれ歯合しており、駆動ギア62は駆動軸64の一端部に接合されている。図6に示すように、駆動軸64は、上枠体23が屈曲し、右枠体26の上部に螺合された右側面に、回動自在に軸支されるとともに、駆動軸64の他端部は右枠体26より外方へ延在し、図示しないモータなどの駆動部に接続される。これより、駆動部が駆動すると、駆動軸64が回転し、駆動ギア62を回転させることで一対の従動ギア63をそれぞれ相互に逆方向に回転させ、クランク軸61を回転する。
図9に示すように、第一室46の上方に設置された回転体60aと、第二室47の上方に設置された回転体60bとはリンク部材59をピン接合する偏心位置r1,r2の位相が180°ずらせてある。よって、第一室46と第二室47とのそれぞれの平板状部材53a,53bは相互に180°ずれた位相で上下に移動するよう調整され、例えば第一室46の平板状部材53aが最下位にあるとき、第二室47の平板状部材53bは最上位にあるようになっている。また、第一室46より第二室47の方がアーム58の長さが若干短く形成され、第二室47に流入したパルプ懸濁液を抄紙ワイヤー71へと容易に導けるようになっている。
図4に示すように、ワイヤー部12は、複数のローラ70に掛け渡され、展張された無端状の抄紙ワイヤー71を備えた抄紙ワイヤー装置Hにより構成される。抄紙ワイヤー71の内方には、走行する抄紙ワイヤー71の下面に摺接する縦板74が幅方向Wに沿って設置され、抄紙ワイヤー71の走行方向に沿って複数並設されており、抄紙ワイヤー71の網目から流下する白水を下方へと導くようになっている。また、縦板74の下方には、該縦板74を伝って、または抄紙ワイヤー71の網目から直接流下する白水を受ける受水部72を設けている。受水部72は配管98により(図1参照)排液処理部5の白水タンク52に接続されている。
案内板42の前端縁の上方に、洗浄液供給部75が設けられている。洗浄液供給部75は、水道水等の上水の供給部(図示省略)に接続された洗浄液用配管76が幅方向Wに沿って設置されてなり、該洗浄液用配管75の案内板42の前端縁に対向する部分には、幅方向Wに沿って多数の孔部73が形成されている。
図5に示すように、 プレス部13は、複数の回転ローラ77の間にそれぞれ掛け渡したフェルトからなる無端状の吸水ベルト78を上下一対有し、上側の吸水ベルト78aと下側の吸水ベルト78bとが一部当接している。この上側の吸水ベルト78aと下側の吸水ベルト78bとが一部当接した部分において、双方の吸水ベルト78を挟圧して圧搾する一対の圧搾ローラ79を複数備えている。
乾燥部14は、フード(図示省略)内に複数の回転ローラ82及び乾燥用ローラ83を配置し、この複数の回転ローラ82及び乾燥用ローラ83の間に掛け渡した乾燥用ベルト84を上下一対備えている。乾燥用ベルト84の材質は特に限定されず、例えば、布、耐熱樹脂または金属等とし、上下の乾燥用ベルト84は一部が当接した状態で走行し、上下の乾燥用ベルト84の当接箇所に複数の乾燥用ローラ83が配置されている。乾燥用ローラ83は、内部にヒータ85を備えるとともに、外周面に乾燥用ベルト84を巻回しており、また、乾燥用ローラ83の表面の温度を測定する温度センサ(図示省略)を有している。
(仕上部)
図5に示すように、仕上部4は、紙の平坦度を上げるための複数のプレスローラ87を備え、また帯状の再生紙7を所定のシートサイズにカットする裁断刃(図示省略)とを備えている。
(排液処理部)
図1に示すように排液処理部5は、脱墨排液タンク51、白水タンク52の各槽体を有する。脱墨排液タンク51は脱墨処理部22の気泡排出槽223の脱墨排液取出口227に接続された配管97より脱墨排液が流入するようになっており、脱墨排液タンク51へ流入した脱墨排液は、汚染の程度が高く再利用が困難であるので、必要により所定の排液処理を行って無毒化した後古紙再生処理装置Mの外部に排出するよう構成されている。
白水タンク52は抄紙部3の受水部72から配管98により送られた白水が流入するようになっている。白水は、汚染の程度が低く再利用が可能であるので、必要により、フィルターを通しインク、トナー等を除去し薬剤を添加し中和するなどの処理を施した後、配管94によりパルプ懸濁液製造部1へ循環利用可能に構成される。配管94の途中位置にはバルブ114及びポンプ112を設けている。
また、配管94は、途中位置に配管95の一端側が接続されている。配管95の他端側は貯蔵用タンク211と脱墨槽221とを接続する配管92のポンプ110より下流側位置に接続されている。配管95には、バルブ114、ポンプ112が設けられ、配管94から配管95に流入した白水を、配管92内を流通するパルプ懸濁液に連続的に流入させる。更に、配管95には流量調整弁113を設けており、配管92に流入する白水の流量を調整可能となっている。そして、図示しないが、配管95は途中で更に分岐して上水供給部に接続され、白水タンク52内に白水が貯留されていない場合に上水を配管92に供給し、希釈処理を行うことができるようになっている。
(パルプ懸濁液の流通経路)
図1に示すように、配管91,92,93の途中位置には、パルプ懸濁液を移送するポンプ110が設けられている。また、配管94,95の途中位置には、白水を移送するポンプ112が設けられている。ポンプ112の種類は、特に限定されず、チューブポンプ、モーノポンプ、遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、混流ポンプ、ギアポンプ、ピストンポンプ 、プランジャーポンプ、ベーンポンプ、ねじポンプ等を用いることができる。
また、配管91,92,93に設けるポンプ110は、白水に比較して固形分である古紙パルプを多く含むパルプ懸濁液を移送するので、ポンプの詰まりがなく安定した移送を行える点で、チューブポンプ111を用いる。
図11,12は、配管91,92,93の接続状態を示す概略図である。チューブポンプ111は、図11に示す攪拌槽181の取出口186と貯蔵用タンク211の流入口213とを接続する配管91、貯蔵用タンク211の流出口214と脱墨槽221の流入口228とを接続する配管92、及び図12に示す脱墨槽221の流出口229とヘッドボックス11の流入部50とを接続する配管93の途中位置に設けられ、各部の間でパルプ懸濁液を移送するようになっている。
各チューブポンプ111は、いずれも同様の構成を有し、可撓性チューブ101と、前記可撓性チューブ101を支持する円弧状のガイド面103aが内部に形成されたケーシング103と、ケーシング103のガイド面103aに沿って正逆方向のいずれにも旋回可能に設けられ、ガイド面103aとの間で可撓性チューブ101を押し潰しながらパルプ懸濁液を移送する押圧ローラ104と、押圧ローラ104を正三角形の頂部に保持しつつ該押圧ローラ104を旋回させるロータ105と、ロータ105を回転駆動するロータ駆動部(図示省略)とを備えている。
ロータ駆動部を正回転させることで、ロータ105が図11,12において矢印Fで示す正方向に回転し、パルプ懸濁液を下流側へと移送する。逆に、ロータ駆動部を逆回転すると、ロータ105が図11、12において矢印Gで示す逆方向に回転し、パルプ懸濁液を下流側から上流側へと逆送する。
可撓性チューブ101の上流側位置の外周面には、温度センサ107を設けており、該位置における可撓性チューブ101の温度を検出し、検出したデータを制御部8へ送信するようになっている。
尚、チューブポンプ111は、押圧ローラ104とケーシング103のガイド面103aとの間で可撓性チューブ101を押し潰すので、ロータ駆動部が停止している場合には潰れた可撓性チューブ101の上流側と下流側との間で液体の流通が阻止され、漏れることがない。よって、チューブポンプ111以外の他のポンプを設置した場合のように、別途バルブを設置し、バルブの開閉を制御する必要がなく、構造を簡略化でき、製造コストを低減可能である。ポンプ110をチューブポンプ111等のポンプ110の上流側と下流側の間で液体の流通を阻止できないものを用いる場合には、必要によりバルブを設置する。
図12に示す脱墨槽221とヘッドボックス11とを接続する配管93のポンプ110より上流側位置には、配管99の一端部が分岐して接続され、配管99の途中位置にバルブ115を設けている。配管99の他端部は脱墨排液タンク51に接続されている(図1参照)。バルブ115は、製紙作業時には閉止されており、製紙作業の終了後、ヘッドボックス11の内部を洗浄する際に開放され、洗浄液供給部75より供給された洗浄液を脱墨排液タンク51へ送るようになっている。
(制御部)
制御部8は、古紙再生処理装置Mの各部の動作を制御することで、装置全体の動作を制御する。また、制御部8は、各ポンプ110がそれぞれの位置に応じた所定流量のパルプ懸濁液を移送するようロータ駆動部の回転数を制御する。その際、古紙再生処理装置Mの設置場所の温度が季節によって変化すると、可撓性チューブ101の硬度が変化するために、移送するパルプ懸濁液の液量に影響を及ぼす。
仮に、設置場所の温度が変化しても、チューブポンプ111のロータ駆動部の回転数を一定として、パルプ懸濁液を移送した場合には、古紙再生処理装置Mの設置場所の温度が低下することで、可撓性チューブ101が硬くなり、押圧ローラ104により押し潰された状態から開放された際の復元力が大きくなる。この結果、開放時の可撓性チューブ101の断面積が、設置場所の温度が高いときより大きくなって、パルプ懸濁液の移送量が増大する。
表1,2は、本発実施形態にかかるチューブポンプ111を用い、ロータ駆動部の回転数を一定として、チューブポンプ111により移送する液体の温度を変化させることで、可撓性チューブ101の温度を複数変化させ、各温度に対するチューブポンプ111の移送量を測定した結果を示す。尚、表1,2では、チューブポンプ111により移送する液体を水として測定を行った場合を示したが、水とパルプ懸濁液とは同様の測定結果が得られている。
この測定では、チューブポンプ111によって移送する水の量を全体で5Lとし、水の温度を10℃〜29℃の間で種々変更した。また、ロータ駆動部の回転数を900rpm、及び1700rpmの2種類とした。また、ロータ駆動部の回転方向を変更することで水の移送方向を正逆方向のいずれかとした。5Lの水を移送するのに要した時間を測定し、移送した水の全容量を測定の結果得られた時間で割算し、単位時間における水の流量を算出した。
Figure 0006007372
Figure 0006007372
表1、2における液体温度を横軸、流量を縦軸としてグラフにしたものを図13、14に示す。同図より水の温度が低下するに従い、流量が増大する傾向があることがわかる。
このため、制御部8は、温度センサ107により検出された可撓性チューブ101の温度に基づいてロータ駆動部の回転数を調整し、押圧ローラ104の移動速度を制御することで、古紙再生処理装置Mの設置場所の温度変化にかかわらず一定量のパルプ懸濁液を移送できるようにする。
制御部8は、温度センサ107が検出した可撓性チューブ101の温度に基づいて、予め制御部8の記憶手段(図示省略)に記憶した温度とロータ駆動部の回転数との関係を示すテーブルに従ってロータ駆動部の回転数を決定し、決定した回転数でロータ駆動部を駆動する。
記憶手段に予め記憶しておく可撓性チューブ101の温度とロータ駆動部の回転数との関係を示すテーブルは、例えば、可撓性チューブ101の温度を複数変更し、各温度において、ロータ駆動部の回転数を変更して、各回転数でチューブポンプ111が移送する液体の流量を流量計により測定する。そして、各温度において、所望する流量を得るために必要となる回転数を複数取得し、得られた回転数の平均値を記憶手段に記憶するといった方法がある。
また、可撓性チューブ101の温度とロータ駆動部の回転数との関係を示すテーブルを得る他の方法として、上記表2に記載の測定値からロータ駆動部の回転数を算出することで取得することも可能である。即ち、例えば、測定番号23〜26は、いずれも液体温度が29℃についてロータ駆動部の回転数を1700rpmとして測定を行っており、この4回の測定で得られた流量の平均値を算出すると、4.13L/分となる。一方、測定番号15〜18では、液体温度の平均値が13.0℃であり、ロータ駆動部の回転数が測定番号23〜26と同じ1700rpmで、4回の測定で得られた流量の平均値を算出すると、4.23L/分となる。
所望するチューブポンプ111の流量を29℃の平均流量に等しい4.13L/分に決定した場合を考える。チューブポンプ111によりパルプ懸濁液を移送した際に、温度センサ107の検出値が29℃であった場合、制御部8は、ロータ駆動部の回転数を、1700rpmとする制御を行う。また、温度センサ107の検出値が13℃であった場合は、制御部8は、パルプ懸濁液を4.13L/分の流量で移送するため、液体温度が29℃の平均液量4.13L/分と13℃の平均液量4.23L/分との比に、29℃におけるロータ駆動部の回転数を掛けることで、13℃でのロータ駆動部の回転数Nは、
N=(4.13/4.23)*1700
として算出することができ、算出結果は、N=1660rpmとなる。同様に、他の複数の温度についても、必要なロータ駆動部の回転数を算出することができる。
(作用)
本実施形態にかかる古紙再生処理装置Mの作用につき以下に説明する。まず、図1に示すように、古紙6をパルプ懸濁液製造部1に投入すると、図2に示すように、シュレッダータンク121に一旦貯留した後、二点鎖線で示すように、開閉部材124を開放し、シュレッダータンク121内の古紙6を受皿171に投下し、計測部17で受皿171上に積載された古紙6の重量を測定する。計測部17の測定値が所定値に達した時点で開閉部材124を閉止し、受皿171を傾倒する駆動手段を駆動して受皿171を傾倒し、古紙6を攪拌槽181へ投入する。
攪拌槽181では、離解処理に必要となる所定量の水を給水部182から給水し、駆動手段188を駆動して、計測部17より投入された古紙6とともに攪拌し、離解処理を行う。離解処理の途中で、脱墨剤供給部183より攪拌槽181内に、脱墨処理に用いる脱墨剤を添加する。
離解処理の終了後、図11に示すチューブポンプ111のロータ駆動部を駆動し、ロータ105を正方向Fに回転し、押圧ローラ104とケーシング103のガイド面103aとの間で可撓性チューブ101を押し潰しつつ押圧ローラ104を旋回させ、パルプ懸濁液を攪拌槽181の取出口186から取出し、下流側の貯蔵部21へと移送する。
貯蔵部21では、パルプ懸濁液製造部1で製造されたパルプ懸濁液を供給口213から貯蔵用タンク211内へ供給し、一旦貯留する。このとき、攪拌手段212を駆動し、パルプ懸濁液中の古紙パルプの沈殿を防ぐ。
その後、配管92に設けたチューブポンプ111のロータ駆動部を駆動し、上流側の配管91に設けたチューブポンプ111と同様に押圧ローラ104とガイド面103aとの間で可撓性チューブ101を押し潰しパルプ懸濁液を下流側へ移送する。貯蔵用タンク211内のパルプ懸濁液は排出口214から取出され、配管92内を正方向Fに流通される。配管92と配管95との合流部分では、白水タンク52からポンプ112の駆動により移送され、流量調整弁113により流量が調整された白水が、配管92内のパルプ懸濁液に合流する。これにより、パルプ懸濁液を連続的に希釈し、脱墨及び抄紙に適する所定の古紙パルプの濃度に調整する。
このように、配管92と配管95との合流部では、パルプ懸濁液を白水により連続的に希釈するため、チューブポンプ111により配管92内を移送されるパルプ懸濁液の流量は、パルプ懸濁液中の古紙パルプ濃度に影響することとなり、重要である。しかし、本実施形態におけるポンプ110に、チューブポンプ111を用いた場合には、使用温度によって該チューブポンプ111に用いる合成樹脂製の可撓性チューブ101の硬度が変化し、移送するパルプ懸濁液の液量が変化してしまう。
そこで、温度センサ107によりチューブポンプ111の可撓性チューブ101の温度を検出し、制御部8へ送信する。制御部8では、予め記憶手段に記憶しておいた可撓性チューブ101の温度とロータ駆動部の回転数との関係を示すテーブルに従って、ロータ駆動部の回転数を決定し、決定した回転数でロータ駆動部を駆動し、押圧ローラ104の移動速度を制御する。これにより、古紙再生処理装置Mの設置場所の環境温度が変化した場合であっても、貯蔵用タンク211から脱墨槽221へ移送されるパルプ懸濁液の流量を一定とすることができる。
所定の古紙パルプの濃度に希釈されたパルプ懸濁液は、脱墨処理部22へ移送される。脱墨処理部22では、図3に示す脱墨槽221に流入口228から流入したパルプ懸濁液を、仕切壁224の左方または右方の開口から隣接する脱墨室225へ順次流通させる。各脱墨室225ではパルプ懸濁液中に気泡供給部226から微細な気泡を吹き込み、脱墨剤の存在によって消失することなく多量に発生した気泡の表面にトナー粒子等の疎水性の異物を付着させて各脱墨室225の上部に浮上させる。
親水性の古紙パルプは、水とともに脱墨室225を順次流通していく。このようにしてパルプ懸濁液からトナー成分等を除去する脱墨を行う。脱墨処理部22にパルプ懸濁液を導入した後、所定時間経過し、脱墨処理が進行して各脱墨室225の上部に気泡が浮遊した際に、モータ222aを駆動し、ガイドレール222bに案内させつつブレード222を図3(a)において上下方向に往復移動し、脱墨槽221の上部に浮遊する気泡を気泡排出槽223に掃き出す。気泡排出槽223に掃き出された気泡は、脱墨排液取出口227から取り出され、配管97により脱墨排液タンク51に送られる。
脱墨槽221内の全ての脱墨室225にパルプ懸濁液を流通させ、パルプ懸濁液を脱墨し、得られた脱墨後のパルプ懸濁液を流出口229から流出させ、配管93に設けたポンプ110を、上流側の配管91,92に設けたポンプ110と同様に駆動し、パルプ懸濁液を抄紙部3へ移送する。
ここで、脱墨槽221からヘッドボックス11へチューブポンプ111cにより移送する際のパルプ懸濁液の流量は、得られる再生紙7の品質に直接影響を与える点で、重要である。仮に、ヘッドボックス11へ流入するパルプ懸濁液の流量が、処理時間毎に異なっていた場合には、ヘッドボックス11より抄紙ワイヤー71上に供給されるパルプ懸濁液の液量が増減してしまう。すると、得られる再生紙7の厚さにばらつきが生じ、品質低下を招く。よって、ヘッドボックス11へ供給されるパルプ懸濁液の流量を、常に一定とすることが望ましい。
そこで、上流側のチューブポンプ111bと同様に、チューブポンプ111cについても、温度センサ107によりチューブポンプ111cの可撓性チューブ101の温度を検出し、制御部8へ送信する。制御部8では、予め記憶手段に記憶しておいたテーブルを用いて、温度センサ107により検出された温度に応じてロータ駆動部の回転数を決定し、決定した回転数でロータ駆動部を駆動する。これにより、古紙再生処理装置Mの設置場所の温度が変化した場合であっても、ヘッドボックス11へ移送されるパルプ懸濁液の流量を一定とすることができるので、得られる再生紙7を一定の厚さのものにすることが可能であり、再生紙7の品質向上できる。
ヘッドボックス11では配管93より送られたパルプ懸濁液が流入部50より貯留部36に流入する。図9に示すように、流入部50から流入したパルプ懸濁液中に気泡が混入していた場合には、気泡は流入部50より第一室46内を真っ直ぐに上昇し、貯留するパルプ懸濁液の液面で浮遊するかまたは消滅する。
流入部50からのパルプ懸濁液の流入開始時より、平板状部材53を上下動させるため駆動部を駆動する。この駆動部の駆動により、図7に示す駆動軸64を介して駆動ギア62が回転し、前後一対の従動ギア63をそれぞれ回転させ、これによってクランク軸61がそれぞれ回転し、回転体60を回転させる。すると、図9に示すリンク部材59の作用によりアーム58を介して平板状部材53を上下に往復移動させることができる。
第一室46から第二室47に至り、前側板32の上方を溢流し、案内板42に案内され、図4に示す抄紙ワイヤー71上に供給されたパルプ懸濁液は、液体分が抄紙ワイヤー71の網目を通水し、縦板74により下方の受水部72へと導かれ、受水部72に受水された後、図1に示す配管98を経て白水タンク52に収容される。抄紙ワイヤー71上に残存した古紙パルプは水分を比較的多く含んだ繊維の層である湿紙となる。
抄紙ワイヤー71上の湿紙が往路軌道の終端部に至ると、図5に示すプレス部13の上側の吸水ベルト78aに転移される。その後下側の吸水ベルト78bとの間に挟まれ、湿紙に含まれる水分を吸水ベルト78側に吸収させることで脱水し、更に、圧搾ローラ79で圧搾して脱水する。
プレス部13で脱水された湿紙は、乾燥部14に送られ、走行する上下一対の乾燥用ベルト84の間に挟持される。そして、ヒータ85により加熱され所定温度に維持された複数の乾燥用ローラ83に湿紙を乾燥用ベルト84を介して当接させつつ搬送することで湿紙の乾燥を行い仕上げ前の再生紙7を得る。
乾燥部14を出た仕上げ前の再生紙7は複数のプレスローラ87の間に通される。これにより、仕上げ前の再生紙7の平坦度を向上させ、更に、裁断刃で所定のシートサイズに裁断して再生紙7が完成する。
裁断刃により裁断された再生紙7の端材は、図1に示すようにパルプ懸濁液製造部1に戻され、再度再生紙7の製造に利用される。
各工程において排液処理部5へ送られた水のうち汚染の程度が高く再利用が困難な脱墨排液タンク51内の排液は、必要により所定の排液処理を施した後古紙再生処理装置Mの外部に排出する。汚染の程度が低く再利用が可能な白水タンク52内の白水は、必要により、フィルターを通しインク成分、トナー成分等を除去し、薬剤を添加し中和するなどの処理を施した後、配管94,95に設けたバルブ114をそれぞれ必要とする所定のタイミングで開放し、ポンプ112を駆動することで、配管94によりパルプ懸濁液製造部1へ、また配管95により配管92の合流部分へ移送され、再度利用される。
停電や水漏れ等の緊急事態発生時に、一時的に古紙再生処理装置Mの運転を停止することがある。このような一時的な運転停止の場合には、ヘッドボックス11の貯留部36に貯留しているパルプ懸濁液は、固形分である古紙パルプが貯留部36の底部付近に沈殿してしまう。そして、緊急事態から脱し運転再開した際に、沈殿している古紙パルプを貯留部36全体に素早く分散させることは困難であり、仮に、攪拌手段55による攪拌を行ったとしても、古紙パルプを均一に分散させるには所定時間を要する。
この結果、古紙再生処理装置Mの運転再開より暫くの間は、ヘッドボックス11の前側板32の上方から溢流するのが固形分を余り含まない古紙パルプ濃度の低い液体となり、この古紙パルプ濃度の低い液体が抄紙ワイヤー71上に供給されると、得られた再生紙7はこの箇所の厚さが薄くなる。更に、これに引き続き沈殿していた古紙パルプが一気に抄紙ワイヤー71上に供給され、厚さが他の部分より厚い部分が形成される。このようにして得られる再生紙7の厚さが、古紙パルプが十分分散しない間中ずっと安定せず、ばらばらとなり、品質を損なうこととなる。
そこで、一時的に古紙再生処理装置Mの運転を停止した場合には、図12に示す配管93に設けたポンプ110を逆方向Gに回転し、貯留部36に貯留するパルプ懸濁液を流入部50から配管93内に逆流させ、脱墨槽221の流出口229から脱墨槽221内へ逆方向に流入させる。その後、ポンプ110を正方向Fに回転し、脱墨槽221内のパルプ懸濁液を改めて流出口229から取出し、ポンプ110を経て配管93より流入部50へと送り、貯留部36内へと流入させることとする。
これにより、貯留部36において沈殿した古紙パルプを含むパルプ懸濁液全体を、ポンプ110の逆回転によって、一旦配管93内に逆流させ、脱墨パルプ部22に送ることで、攪拌を行って古紙パルプを液体中で均一に分散させた後、再度貯留部36へ送りこむことができ、抄紙ワイヤー71上に供給されるパルプ懸濁液中の古紙パルプ濃度を早急に均一とすることが可能である。よって、運転再開直後に抄紙され、得られる再生紙7の厚さを、運転停止前の厚さと短時間のうちに同程度とすることができ、且つ、運転再開直後から安定して同じ厚さの再生紙7を製造可能である。
その際、流入部50は、貯留部36の底部に開口して形成されてなるので、ポンプ110を逆方向Gに回転することで、貯留部36内に貯留する全てのパルプ懸濁液を流入部50から逆流させ、取り出すことができ、古紙パルプの沈殿したパルプ懸濁液を十分に攪拌することが出来る。
そして、本実施形態のように、パルプ懸濁液を抄紙ワイヤー71へ流出させる流出部49が、貯留部36の一部を形成する側板としての前側板32の上方より溢流させる溢流式となっている場合は、一時的な運転停止の際に貯留部36に必ずパルプ懸濁液が残存してしまい、古紙パルプが貯留部36の底部に沈殿することとなる。よって、かかる溢流式のヘッドボックス11で、運転停止があった際、ポンプを逆回転することで沈殿した古紙パルプを短時間で均一に分散させることによる効果は大きい。
また、一日の古紙再生処理装置Mの運転終了時等、古紙再生処理装置Mを一時的に停止する場合より長い時間である所定時間に亘り運転を停止する場合には、古紙再生処理装置Mの各部を洗浄し、古紙パルプの繊維を除去しておく必要が生じる。古紙パルプが各部に残存したままで所定時間放置すると、古紙パルプが乾燥して固くなり、各部にこびり付き、配管やバルブ等を詰まらせたり、バルブや栓を閉止できないようにしてしまうことで液体が漏れたり、製紙の際の古紙パルプ濃度の調整を困難にしたりする。
そこで、古紙再生処理装置Mを所定時間に亘り運転停止する場合には、白水や上水等により各部を洗浄し、古紙パルプを除去しておくことが望ましい。ヘッドボックス11を洗浄する際は、貯留部36に留まった状態となっているパルプ懸濁液を配管93により排水するため、ポンプ110を逆方向Gに回転することでこの残存するパルプ懸濁液を配管93内に逆流させ、配管99に設けたバルブ115を開放し、配管93より配管99内へ流入させ、脱墨排液タンク51へと流す。
そして、図4に示す洗浄液供給管76の孔部73から、案内板42の前端縁の抄紙ワイヤー71と案内板42との間に目掛けて上水または白水のいずれかの洗浄液を噴射し、案内板42上を抄紙ワイヤー71の走行方向とは逆方向に洗浄液を流し、前側板32の上方から第二室47内に流入させ、第一室46を経て流入部50へと流下させることで、案内板42上や貯留部36の内壁面などに残存する古紙パルプを除去してヘッドボックス11の貯留部36内部を洗浄する。
ヘッドボックス11を洗浄した洗浄液は、流入部50から配管93内へと流入し、逆方向へ回転するポンプ110を経て配管93から配管99へ流入し、バルブ115を経て脱墨排液タンク51へと移送される。
尚、上記実施形態では、脱墨処理部22により脱墨処理を行ったが、図1に太破線で示すように、脱墨処理部22における脱墨処理は省略することも可能である。この場合、貯蔵部21から配管92に流入したパルプ懸濁液は、配管95の合流部で、抄紙に適する所定の古紙パルプの濃度に連続的に希釈され、ヘッドボックス11へ移送され、抄紙が行われる。
また、ヘッドボックス11の流入部50は、貯留部36の底部に開口して形成されたが、前側板32、後側板33、左側板34または右側板35等貯留部36を構成する側面のいずれかに開口して設けてもよく(図示省略)、貯留部36の上方より貯留部36内に配管93の下流側端部が挿入され、該配管93の開口端部が貯留部36の底部近傍位置になるよう設置してもよい(図示省略)。
また、流出部49は、貯留部36の一部を形成する側板である前側板32の上方より、パルプ懸濁液を溢流させるよう構成された溢流式である場合を示したが、ヘッドボックスが抄紙ワイヤーの上方に設置され、貯留部の下部に設けた開口部より貯留部内のパルプ懸濁液を自然落下等により下方の抄紙ワイヤーへ流出させるといったものでもよい(図示省略)。このような流出部が貯留部の下部に設けられているヘッドボックスにおいても、貯留部へパルプ懸濁液を流入させるポンプが停止することによって、貯留部内のパルプ懸濁液が攪拌されなくなり古紙パルプが沈殿するという問題が生じる場合がある。その場合、運転再開時パルプ懸濁液の移送方向を逆方向とし、貯留部に貯留するパルプ懸濁液を流入部から配管内に逆流させ、攪拌することで、地合を向上可能である。
また、チューブポンプ111の温度センサ107は、チューブポンプ111の上流側流入出部の近傍位置の可撓性チューブ101の外周面に設けたが、少なくとも可撓性チューブ、可撓性チューブ内を流通する液体、またはそれらの近傍のいずれかの温度を検出できれば他の位置に設けてもよく、例えば、可撓性チューブの内部、チューブポンプに接続された配管の表面や内部、攪拌槽、貯蔵用タンク、脱墨槽及びヘッドボックスの内部等に設けてもよい。
8 制御部、101 可撓性チューブ、104 押圧ローラ、107 温度センサ、111 チューブポンプ

Claims (2)

  1. 可撓性チューブと、前記可撓性チューブを押し潰しながら液体を移送する押圧ローラを備えたチューブポンプにより、液体を上流側から下流側へ移送するチューブポンプの液体移送方法であって、
    チューブポンプの設置位置近傍の温度を温度センサにより検出し、
    前記温度センサの検出値が所定の基準値より低いときには基準値以上のときより押圧ローラにより押し潰された状態から開放される際の復元力が大きい可撓性チューブが用いられるとともに、押圧ローラの移動速度を遅くするチューブポンプの液体移送方法。
  2. 可撓性チューブと、前記可撓性チューブを押し潰しながら液体を移送する押圧ローラを備えたチューブポンプと、チューブポンプの設置位置近傍の温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出値が所定の基準値より低いときには基準値以上のときより押圧ローラにより押し潰された状態から開放される際の復元力が大きい可撓性チューブが用いられるとともに、押圧ローラの移動速度を遅くするよう制御する制御部とを備えた液体を移送する装置。
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