JP2018090197A - 車両用パネル構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い剛性と優れた減衰性能を有する軽量且つ廉価なパネル構造を提供することを目的とする。【解決手段】本出願は、拘束された第1周縁部と、前記第1周縁部によって囲まれた第1領域と、を有する樹脂製の第1パネル部材と、前記第1周縁部とともに拘束される第2周縁部と、前記第2周縁部によって囲まれ、且つ、前記第1領域に対向する第2領域と、を有する樹脂製の第2パネル部材と、前記第1領域と前記第2領域との間に形成された空間に配置された複数の粘弾性部材と、を備える車両用パネル構造を開示する。前記複数の粘弾性部材は、第1粘弾性部材と、前記第1粘弾性部材から離間して配置された第2粘弾性部材と、を含む。【選択図】図1A

Description

本発明は、車両に組み込まれるパネル構造に関する。
パネル構造は、一般的に、車両の広い面を形成するために用いられる。たとえば、パネル構造は、車両のルーフやフロアパネルとして利用される。車両内の乗員を保護するために、高い剛性が、パネル構造に要求される。その一方で、振動(たとえば、路面から伝達される振動)を減衰させるために、高い減衰性能が、パネル構造に要求されることもある。乗員へ伝達される振動が、十分に減衰されるならば、乗員は、車両内で快適に過ごすことができる。
剛性は、一般的に、減衰性能に相反する性能である。すなわち、パネル構造が、高い剛性を有するならば、パネル構造は、振動をあまり減衰しない。パネル構造が、高い減衰性能を有するならば、パネル構造の剛性は、あまり高くない。
特許文献1は、制振弾性層と、炭素繊維強化プラスチックから形成された一対のパネル部材と、からなるパネル構造を開示する。制振弾性層は、2つのパネル部材によって挟まれる。これらのパネル部材に用いられる炭素繊維強化プラスチックは、高い剛性を有するので、パネル構造は、乗員を保護するのに十分な剛性を有することができる。制振弾性層は、伝達された振動を減衰させるので、振動は、乗員に到達する前に十分に減衰される。
特開2011−183562号公報
特許文献1の制振弾性層は、2つのパネル部材の間の空間全体に充填される。制振弾性層として用いられる粘弾性材料は、一般的に、大きな比重を有するので、特許文献1のパネル構造は、重い。このことは、車両の他の性能(たとえば、燃費)に悪い影響を与える。加えて、粘弾性材料は、一般的に高価である。したがって、特許文献1のパネル構造が組み込まれた車両も高価になる。
本発明は、高い剛性と優れた減衰性能を有する軽量且つ廉価なパネル構造を提供することを目的とする。
本発明の一局面に係る車両用パネル構造は、拘束された第1周縁部と、前記第1周縁部によって囲まれた第1領域と、を有する樹脂製の第1パネル部材と、前記第1周縁部とともに拘束される第2周縁部と、前記第2周縁部によって囲まれ、且つ、前記第1領域に対向する第2領域と、を有する樹脂製の第2パネル部材と、前記第1領域と前記第2領域との間に形成された空間に配置された複数の粘弾性部材と、を備える。前記複数の粘弾性部材は、第1粘弾性部材と、前記第1粘弾性部材から離間して配置された第2粘弾性部材と、を含む。
上述の構成によれば、第1パネル部材及び第2パネル部材は、樹脂製であるので、車両用パネル構造は、軽量であり、且つ、高い剛性を有することができる。複数の粘弾性部材は、第1パネル部材の第1領域と第2パネル部材の第2領域との間に形成された空間に配置されるので、車両用パネル構造に伝達された振動は、十分に減衰される。第2粘弾性部材は、第1粘弾性部材から離間しているので、複数の粘弾性部材は、第1領域と第2領域との間の空間を完全には占めない。したがって、車両用パネル構造は、過度に重くならない。
上述の構成に関して、前記第1領域は、前記第1領域の中心と前記第2領域の中心とを通過するように仮想的に設定されたz軸に対して前記空間内で直交するように仮想的に設定されたx軸と、前記z軸及び前記x軸の交点において、前記z軸及び前記x軸に直交するように仮想的に設定されたy軸と、によって、第1分割領域、第2分割領域、第3分割領域及び第4分割領域に概念的に分割されてもよい。前記第1粘弾性部材は、前記第1分割領域と前記第2領域との間に配置されてもよい。前記第2粘弾性部材は、前記第2分割領域と前記第2領域との間に配置されてもよい。前記複数の粘弾性部材は、前記第3分割領域と前記第2領域との間に配置された第3粘弾性部材と、前記第4分割領域と前記第2領域との間に配置された第4粘弾性部材と、を含んでもよい。前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材は、互いに離間していてもよい。
上述の構成によれば、第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、第1領域から概念的に分割された第1分割領域、第2分割領域、第3分割領域、第4分割領域にそれぞれ対応して配置されるので、車両用パネル構造は、x軸及びy軸によって定められる平面に亘って、振動を減衰させることができる。第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、互いに離間しているので、複数の粘弾性部材は、第1領域と第2領域との間の空間を完全には占めない。したがって、車両用パネル構造は、過度に重くならない。
上述の構成に関して、前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、曲面であってもよい。前記複数の粘弾性部材は、前記第1領域の12.5%以上且つ50%以下の面積を覆ってもよい。
上述の構成によれば、第1領域及び第2領域それぞれは、曲面であるので、車両用パネル構造は、湾曲した形状が要求される車両の部位に好適に利用可能である。複数の粘弾性部材は、第1領域の12.5%以上の面積を覆うので、車両用パネル構造に伝達された振動は、十分に減衰される。複数の粘弾性部材は、第1領域の50%以下の面積を覆うので、車両用パネル構造は、過度に重くならない。
上述の構成に関して、前記第1領域は、前記第1周縁部によって形成された第1角隅部、第2角隅部、第3角隅部及び第4角隅部を有する矩形状の輪郭を有する曲面であってもよい。前記複数の粘弾性部材は、前記第1領域の12.5%以上且つ50%以下の面積を覆ってもよい。前記第1角隅部は、前記第1分割領域の角隅部であってもよい。前記第2角隅部は、前記第2分割領域の角隅部であってもよい。前記第3角隅部は、前記第3分割領域の角隅部であってもよい。前記第4角隅部は、前記第4分割領域の角隅部であってもよい。前記第1粘弾性部材は、前記交点よりも前記第1角隅部の近くに配置されてもよい。前記第2粘弾性部材は、前記交点よりも前記第2角隅部の近くに配置されてもよい。前記第3粘弾性部材は、前記交点よりも前記第3角隅部の近くに配置されてもよい。前記第4粘弾性部材は、前記交点よりも前記第4角隅部の近くに配置されてもよい。
上述の構成によれば、第1領域は、第1周縁部によって形成された第1角隅部、第2角隅部、第3角隅部及び第4角隅部において屈曲する矩形状の輪郭を有する曲面であるので、車両用パネル構造は、湾曲した表面の形成が要求される車両の部位に好適に利用可能である。第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、x軸、y軸及びz軸によって形成される交点よりも、第1角隅部、第2角隅部、第3角隅部及び第4角隅部の近くにそれぞれ配置されるので、これらの粘弾性部材は、車両用パネル構造に伝達された振動を効果的に減衰することができる。
上述の構成に関して、前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、平面であってもよい。前記複数の粘弾性部材は、前記第1領域の10%以上且つ50%以下の面積を覆ってもよい。
上述の構成によれば、第1領域及び第2領域それぞれは、平面であるので、車両用パネル構造は、平坦な表面が必要とされる車両の部位に好適に利用可能である。複数の粘弾性部材は、第1領域の10%以上の面積を覆うので、車両用パネル構造に伝達された振動は、複数の粘弾性部材によって十分に減衰される。複数の粘弾性部材は、第1領域の50%以下の面積を覆うので、車両用パネル構造は、過度に重くならない。
上記の構成に関して、前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、平面であってもよい。前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材は、正方形状であってもよい。前記第2粘弾性部材は、前記x軸について、前記第1粘弾性部材と線対称の位置に配置されてもよい。前記第3粘弾性部材は、前記y軸について、前記第2粘弾性部材と線対称の位置に配置されてもよい。前記第4粘弾性部材は、前記z軸周りに、前記第2粘弾性部材と点対称の位置に配置されてもよい。前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材の間には、所定の幅で前記x軸及び前記y軸に沿って延びる十字状の空隙帯が形成されてもよい。前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材の前記正方形状は、所定の長さの辺を有してもよい。前記所定の幅は、前記所定の長さの0.13倍以上且つ0.20倍以下であってもよい。
上記の構成によれば、第1領域及び第2領域それぞれは、平面であるので、車両用パネル構造は、平坦な表面が必要とされる車両の部位に好適に利用可能である。第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材の間には、所定の幅でx軸及びy軸に沿って延びる十字状の空隙帯が形成されるので、第1パネル部材及び第2パネル部材は、十字状の空隙帯に沿って湾曲しやすい。空隙帯の幅は、第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材の正方形状の辺の長さの0.20倍以下であるので、第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、第1パネル部材及び第2パネル部材の変形に由来する歪エネルギを効果的に分担することができる。この結果、車両用パネル構造は、振動に対して優れた減衰性能を有することができる。空隙帯の幅は、第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材の正方形状の辺の長さの0.13倍以上であるので、第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、過度に密集しない。したがって、車両用パネル構造は、過度に重くならない。
上記の構成に関して、前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、矩形状であってもよい。前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材は、前記第1領域及び前記第2領域それぞれの4つの角隅部から離れていてもよい。
上記の構成によれば、第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、第1領域及び第2領域それぞれの4つの角隅部から離れているので、これらの粘弾性部材は、第1パネル部材及び第2パネル部材が変形しやすい場所に配置されることになる。したがって、第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、第1パネル部材及び第2パネル部材の変形に由来する歪エネルギを効果的に分担することができる。この結果、車両用パネル構造は、振動に対して優れた減衰性能を有することができる。
上記の構成に関して、車両用パネル構造は、前記第1領域と前記複数の粘弾性部材との間に配置された第1発泡部材と、前記第2領域と前記複数の粘弾性部材との間に配置された第2発泡部材と、を更に備えてもよい。
上記の構成によれば、第1発泡部材は、第1領域と複数の粘弾性部材との間に配置され、且つ、第2発泡部材は、第2領域と複数の粘弾性部材との間に配置されるので、車両用パネル構造を設計する設計者は、第1パネル部材、第2パネル部材及び複数の粘弾性部材を過度に厚くすることなく、車両用パネル構造の厚さに大きな値を与えることができる。したがって、車両用パネル構造は、軽量でありながら、高い剛性を有することができ、且つ、廉価である。
上記の構成に関して、前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、曲面であってもよい。前記第1粘弾性部材は、前記第1領域の中心と前記第2領域の中心とを通過するように仮想的に設定されたz軸に対して前記空間内で直交するように仮想的に設定されたx軸について、前記第2粘弾性部材と線対称に配置され、前記x軸に沿って延びる空隙帯を前記第1粘弾性部材と前記第2粘弾性部材との間に形成してもよい。前記第1粘弾性部材は、前記第1粘弾性部材の中心を通過し、且つ、前記x軸に平行な直線によって分割される第1粘弾性領域及び第2粘弾性領域を含んでもよい。前記x軸周りの捻り力が前記車両用パネル構造に生じたときに、前記第1粘弾性領域に生じた歪エネルギは、前記第1粘弾性領域よりも前記x軸に近い前記第2粘弾性領域に生じた歪エネルギよりも大きくてもよい。
上述の構成によれば、第1領域及び第2領域それぞれは、曲面であるので、車両用パネル構造は、湾曲した形状が要求される車両の部位に好適に利用可能である。x軸周りの捻り力が車両用パネル構造に生ずると、湾曲した第1領域及び第2領域をそれぞれ有する第1パネル部材及び第2パネル部材は、x軸に沿って延びる空隙帯が形成された領域よりもむしろ空隙帯から離れた領域において歪みやすくなる。第1粘弾性領域に生じた歪エネルギが、第1粘弾性領域よりもx軸に近い第2粘弾性領域に生じた歪エネルギよりも大きくなるように、第1粘弾性部材は、x軸について、第2粘弾性部材と線対称に配置されるので、第1粘弾性部材は、車両用パネル構造に伝達された振動を効果的に減衰することができる。
上述の構成に関して、前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、平面であってもよい。前記第1粘弾性部材は、前記第1領域の中心と前記第2領域の中心とを通過するように仮想的に設定されたz軸に対して前記空間内で直交するように仮想的に設定されたx軸について、前記第2粘弾性部材と線対称に配置され、前記x軸に沿って延びる空隙帯を前記第1粘弾性部材と前記第2粘弾性部材との間に形成してもよい。前記第1粘弾性部材は、前記第1粘弾性部材の中心を通過し、且つ、前記x軸に平行な直線によって分割される第1粘弾性領域及び第2粘弾性領域を含んでもよい。前記x軸周りの捻り力が前記車両用パネル構造に生じたときに、前記第1粘弾性領域に生じた歪エネルギは、前記第1粘弾性領域よりも前記x軸に近い前記第2粘弾性領域に生じた歪エネルギよりも小さくてもよい。
上記の構成によれば、第1領域及び第2領域それぞれは、平面であるので、車両用パネル構造は、平坦な表面が必要とされる車両の部位に好適に利用可能である。x軸に沿って延びる空隙帯は、第1粘弾性部材と第2弾性部材との間に形成されるので、x軸周りの捻り力が車両用パネル構造に生ずると、第1パネル部材及び第2パネル部材は、x軸の周囲において歪みやすくなる。第1粘弾性領域に生じた歪エネルギが、第1粘弾性領域よりもx軸に近い第2粘弾性領域に生じた歪エネルギよりも小さくなるように、第1粘弾性部材は、x軸について、第2粘弾性部材と線対称に配置されるので、第1粘弾性部材は、車両用パネル構造に伝達された振動を効果的に減衰することができる。
上述の車両用パネル構造は、高い剛性と優れた減衰性能を有することができる。加えて、上述の車両用パネル構造は、軽量であり、且つ、廉価である。
第1実施形態の車両用パネル構造の概略的な右側面図である。 図1に示される車両用パネル構造の概略的な平面図である。 第2実施形態の車両用パネル構造の概略的な平面図である。 本発明者等によって作成された4つの解析モデルの概略図である(第3実施形態)。 面積比と歪エネルギ分担率との間の関係を表すグラフである。 図3に示される4つの解析モデルのうち1つの概略図である(第4実施形態)。 本発明者等によって作成された他のもう1つの解析モデルの概略図である。 本発明者等によって作成された他のもう1つの解析モデルの概略図である。 図5A乃至図5Cに示される解析モデルの粘弾性部間の距離と歪エネルギ分担率との間の関係を表すグラフである。 第5実施形態の車両用パネル構造の概略的な平面図(セクション(a))、正面図(セクション(b))及び右側面図(セクション(c))である。 本発明者等によって作成された4つの解析モデルの概略図である(第6実施形態)。 面積比と歪エネルギ分担率との間の関係を表すグラフである。 図8に示される4つの解析モデルのうち1つの概略図である(第7実施形態)。 本発明者等によって作成された他のもう1つの解析モデルの概略図である。 本発明者等によって作成された他のもう1つの解析モデルの概略図である。 図10A乃至図10Cに示される粘弾性部間の距離と歪エネルギ分担率との間の関係を表すグラフである。 図7に示される車両用パネル構造が組み込まれた車両の概略的な斜視図である(第8実施形態)。 図12に示される車両用パネル構造の概略的な拡大図である。 第9実施形態の車両用パネル構造の概略的な右側面図である。
車両用パネル構造に関する様々な特徴が以下に説明される。「左」、「右」、「前」、「後」、「上」や「下」といった方向を表す用語、説明の明瞭化のみを目的とする。したがって、これらの用語は、以下の実施形態の原理を限定的に解釈するために用いられるべきではない。
<第1実施形態>
本発明者等は、従来技術とは異なり、粘弾性部材が、2つのパネル部材の間の薄い空隙に完全に充填されていなくても、車両用パネル構造に伝達された振動は、効果的に減衰されることを見出した。第1実施形態において、例示的な車両用パネル構造が説明される。
図1Aは、第1実施形態の車両用パネル構造(以下、「パネル構造100」と称される)の概略的な右側面図である。図1Bは、パネル構造100の概略的な平面図である。図1A及び図1Bを参照して、パネル構造100が説明される。
パネル構造100は、2つのパネル部材110,120と、2つの粘弾性部材210,220と、を備える。パネル部材110は、パネル部材120と形状及び大きさにおいて略等しい。パネル部材110,120それぞれは、高い剛性を有する樹脂板である。たとえば、パネル部材110,120それぞれは、繊維強化プラスチックから形成された板材であってもよい。好ましくは、パネル部材110,120それぞれは、炭素繊維強化プラスチックから形成された板材である。しかしながら、車両に要求される剛性を満たす他の樹脂材料が、パネル部材110,120に用いられてもよい。したがって、本実施形態の原理は、パネル部材110,120に用いられる特定の樹脂材料に限定されない。
粘弾性部材210,220それぞれは、パネル部材110,120それぞれよりも低い剛性を有する一方で、パネル構造100へ伝達された振動を減衰させる減衰特性において、パネル部材110,120よりも優れている。粘弾性部材210,220それぞれは、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴムやエチレンプロピレンゴムといったゴム材料から形成されてもよい。しかしながら、車両に要求される振動減衰性能を満たす他のゴム材料が、粘弾性部材210,220に用いられてもよい。したがって、本実施形態の原理は、粘弾性部材210,220に用いられる特定のゴム材料に限定されない。
代替的に、粘弾性部材210,220それぞれは、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂や他のエラストマ樹脂であってもよい。車両に要求される振動減衰性能を満たす様々な樹脂材料は、粘弾性部材210,220として利用可能である。したがって、本実施形態の原理は、粘弾性部材210,220に用いられる特定の樹脂材料に限定されない。
パネル部材110は、周縁面111と、上面112と、下面113と、を含む。周縁面111は、上面112及び下面113の矩形状の輪郭を形成する。上面112は、パネル部材120に対向する。下面113は、上面112とは反対側の面を形成する。同様に、パネル部材120は、周縁面121と、上面122と、下面123と、を含む。パネル部材120の周縁面121は、パネル部材120の上面122及び下面123の矩形状の輪郭を形成する。パネル部材120の下面123は、パネル部材110の上面112に対向する。パネル部材120の上面122は、パネル部材120の下面123とは反対側の面を形成する。本実施形態に関して、第1パネル部材は、パネル部材110,120のうち一方によって例示される。第2パネル部材は、パネル部材110,120のうち他方によって例示される。
パネル構造100が、車両(図示せず)に組み込まれたとき、周縁面111,121は、車両のフレーム(図示せず)や車両の他の部位(図示せず)によって拘束される。「拘束される」との用語は、周縁面111,121の位置的変動が制限された状態を意味してもよい。すなわち、周縁面111,121は、パネル構造100に隣接する車両の部位にしっかりと連結され、これらの間の相対的な位置変動はほとんど生じない。本実施形態に関して、第1周縁部は、周縁面111,121のうち一方によって例示される。第2周縁部は、周縁面111,121のうち他方によって例示される。
薄い空間130は、周縁面111によって囲まれた上面112と周縁面121によって囲まれた下面123との間に形成される。粘弾性部材210,220は、空間130内に配置される。本実施形態に関して、第1領域は、上面112及び下面123のうち一方によって例示される。第2領域は、上面112及び下面123のうち他方によって配置される。
本実施形態に関して、粘弾性部材210,220は、上面112及び下面123に直接的に密着されている。しかしながら、他の部材(たとえば、発泡材料から形成された板材)が、粘弾性部材210,220と上面112との間及び/又は粘弾性部材210,220と下面123との間に介挿されてもよい。
図1A及び図1Bは、仮想的に設定された直交座標系を示す。z軸は、上面112,122及び下面113,123の中心を通過するように設定されている。x軸は、空間130内で、z軸に直交する。y軸は、x軸及びz軸の交点において、x軸及びz軸に直交している。パネル部材110の上面112及びパネル部材120の下面123それぞれは、x軸とy軸とによって定められる仮想平面に対して略平行な平坦な面である。x軸は、車両の前後方向に延びる仮想軸であってもよい。この場合、y軸は、車両の幅方向に延びる仮想軸であり、z軸は、車両の鉛直方向に延びる仮想軸となる。しかしながら、直交座標系に関して、様々な定義が与えられてもよい。したがって、本実施形態の原理は、直交座標系に関する特定の定義に限定されない。
図1Bに示されるように、粘弾性部材210,220は、x軸の延設方向に延びる長辺を有する矩形状(長方形)である。「矩形状」及び/又は「長方形」との用語は、数学的な意味での矩形(長方形)を必ずしも意味しない。たとえば、粘弾性部材210,220の角隅部は、若干湾曲していてもよい。
粘弾性部材210は、y軸の延設方向において、粘弾性部材220から離間している。したがって、粘弾性部材210,220の間には、x軸に沿って真っ直ぐに延びる空隙帯131が形成される。粘弾性部材210は、x軸について、粘弾性部材220と線対称に配置されている。本実施形態に関して、第1粘弾性部材は、粘弾性部材210,220のうち一方によって例示される。第2粘弾性部材は、粘弾性部材210,220のうち他方によって例示される。
図1A及び図1Bに示されるように、粘弾性部材210,220は、空間130を完全に占めない。したがって、パネル構造100は、従来のパネル構造よりも軽量である。
図1A及び図1Bは、粘弾性部材210,220間の距離を記号「DTC」で示す。設計者は、距離DTCを、パネル部材110,120の特性やパネル構造100が使用される環境に適合するように決定してもよい。パネル部材110,120が、周縁面111,121の近くで大きく歪むことが予想されるならば、設計者は、距離DTCに対して大きな値を設定してもよい。パネル部材110,120が、パネル部材110,120の中央領域の近くで大きく歪むことが予想されるならば、設計者は、距離DTCに対して小さな値を設定してもよい。粘弾性部材210,220が、パネル部材110,120が大きく歪む領域を覆うならば、粘弾性部材210,220も大きく歪むことができる。このことは、粘弾性部材210,220が、パネル構造100に伝達された振動を、効果的に減衰することができることを意味する。
本実施形態に関して、粘弾性部材210,220は、長方形である。しかしながら、粘弾性部材は、他の形状を有してもよい。粘弾性部材は、円形、楕円形、正方形、三角形や他の多角形であってもよい。本実施形態の原理は、粘弾性部材の特定の形状に限定されない。
<第2実施形態>
車両用パネル構造は、2よりも多くの粘弾性部材を有してもよい。この場合、設計者は、粘弾性部材を、パネル部材が大きく歪む領域に選択的に配置する一方で、パネル部材があまり歪まない領域に空間を形成することができる。この結果、粘弾性部材は、車両用パネル構造に伝達された振動を、効果的に減衰させることができ、且つ、車両用パネル構造は、非常に軽量になる。第2実施形態において、4つの粘弾性部材を有する例示的な車両用パネル構造が説明される。
図2は、第2実施形態の車両用パネル構造(以下、「パネル構造100A」と称される)の概略的な平面図である。図1A及び図2を参照して、パネル構造100Aが説明される。上述の実施形態の説明は、上述の実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
第1実施形態と同様に、パネル構造100Aは、パネル部材110と、パネル部材110上に配置された他のもう1つのパネル部材(図2には示されていない)と、を備える。第1実施形態の説明は、パネル部材110に援用される。図1Aを参照して説明されたパネル部材120に関する説明は、他のもう1つのパネル部材に援用される。
パネル構造100Aは、4つの粘弾性部材210A,220A,230A,240Aを更に備える。粘弾性部材210A,220A,230A,240Aそれぞれは、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴムやエチレンプロピレンゴムといったゴム材料から形成されてもよい。しかしながら、車両に要求される振動減衰性能を満たす他のゴム材料が、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aに用いられてもよい。したがって、本実施形態の原理は、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aに用いられる特定のゴム材料に限定されない。
代替的に、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aそれぞれは、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂や他のエラストマ樹脂であってもよい。車両に要求される振動減衰性能を満たす様々な樹脂材料は、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aとして利用可能である。したがって、本実施形態の原理は、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aに用いられる特定の樹脂材料に限定されない。
第1実施形態とは異なり、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aそれぞれは、平面視において正方形である。「正方形」との用語は、数学的な意味での正方形を必ずしも意味しない。すなわち、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aの角隅部は、若干湾曲していてもよいし、辺の長さにおいて若干相違があってもよい。
第1実施形態に関連して説明された直交座標系は、図2にも示されている。パネル部材110の上面112は、x軸とy軸とによって、4つの分割領域141,142,143,144に概念的に等分されている。分割領域141は、x−y座標の第4象限に相当する。分割領域142は、x−y座標の第1象限に相当する。分割領域143は、x−y座標の第2象限に相当する。分割領域144は、x−y座標の第3象限に相当する。本実施形態に関して、第1分割領域は、分割領域141によって例示される。第2分割領域は、分割領域142によって例示される。第3分割領域は、分割領域143によって例示される。第4分割領域は、分割領域144によって例示される。
粘弾性部材210Aは、分割領域141と他のもう1つのパネル部材の下面との間に配置される。粘弾性部材220Aは、分割領域142と他のもう1つのパネル部材の下面との間に配置される。粘弾性部材230Aは、分割領域143と他のもう1つのパネル部材の下面との間に配置される。粘弾性部材240Aは、分割領域144と他のもう1つのパネル部材の下面との間に配置される。本実施形態に関して、第1粘弾性部材は、粘弾性部材210Aによって例示される。第2粘弾性部材は、粘弾性部材220Aによって例示される。第3粘弾性部材は、粘弾性部材230Aによって例示される。第4粘弾性部材は、粘弾性部材240Aによって例示される。
粘弾性部材210A,220A,230A,240Aは、互いに離間している。粘弾性部材220Aは、x軸について、粘弾性部材210Aと線対称に配置される。粘弾性部材230Aは、y軸について、粘弾性部材220Aと線対称に配置される。粘弾性部材240Aは、z軸周りに、粘弾性部材220Aと点対称に配置される。したがって、x軸及びy軸に沿って延びる十字状の空隙帯132が、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aの間に形成される。
図1Aに示される空隙帯131とは異なり、空隙帯132は、x軸の延設方向だけでなく、y軸の延設方向にも延びるため、パネル構造100Aは、非常に軽量である。
図2は、粘弾性部材210A,220A間の距離及び粘弾性部材230A,240A間の距離を記号「DTY」で示す。図2は、粘弾性部材210A,240A間の距離及び粘弾性部材220A,230A間の距離を記号「DTX」で示す。設計者は、距離DTX,DTYそれぞれを、パネル部材110及び他のもう1つのパネル部材の特性やパネル構造100Aが使用される環境に適合するように決定してもよい。パネル部材110及び他のもう1つのパネル部材が、周縁の近くで大きく歪むことが予想されるならば、設計者は、距離DTX,DTYそれぞれに対して大きな値を設定してもよい。パネル部材110及び他のもう1つのパネル部材が、中央領域の近くで大きく歪むことが予想されるならば、設計者は、距離DTX,DTYに対して小さな値を設定してもよい。粘弾性部材210A,220A,230A,240Aが、パネル部材110及び他のもう1つのパネル部材が大きく歪む領域を覆うならば、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aも大きく歪むことができる。このことは、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aが、パネル構造100Aに伝達された振動を、効果的に減衰することができることを意味する。
<第3実施形態>
本発明者等は、第2実施形態に関連して説明された車両用パネル構造を模擬する様々な解析モデルを作成し、パネル部材の面積に対する複数の粘弾性部材の面積和の適切な割合を検証した。第3実施形態において、パネル部材の面積に対する複数の粘弾性部材の面積和の適切な割合が説明される。
図3は、本発明者等によって作成された4つの解析モデル301,302,303,304を示す。図1A、図2及び図3を参照して、解析モデル301,302,303,304が説明される。
解析モデル301は、4つの粘弾性部311,312,313,314を含む。粘弾性部311,312,313,314は、面積において互いに等しい。粘弾性部311,312,313,314は、図2を参照して説明された粘弾性部材210A,220A,230A,240Aにそれぞれ対応する。粘弾性部311,312,313,314は、面積において互いに等しい。図3は、粘弾性部311,312,313,314の面積の総和を、記号「TS1」で示す。面積TS1は、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aによって被覆されるパネル部材110の上面112の面積に相当する。
解析モデル302は、4つの粘弾性部321,322,323,324を含む。粘弾性部321,322,323,324は、面積において互いに等しい。粘弾性部321,322,323,324は、図2を参照して説明された粘弾性部材210A,220A,230A,240Aにそれぞれ対応する。粘弾性部321,322,323,324は、面積において互いに等しい。図3は、粘弾性部321,322,323,324の面積の総和を、記号「TS2」で示す。面積TS2は、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aによって被覆されるパネル部材110の上面112の面積に相当する。
解析モデル303は、4つの粘弾性部331,332,333,334を含む。粘弾性部331,332,333,334は、面積において互いに等しい。粘弾性部331,332,333,334は、図2を参照して説明された粘弾性部材210A,220A,230A,240Aにそれぞれ対応する。粘弾性部331,332,333,334は、面積において互いに等しい。図3は、粘弾性部331,332,333,334の面積の総和を、記号「TS3」で示す。面積TS3は、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aによって被覆されるパネル部材110の上面112の面積に相当する。
解析モデル304は、1つの粘弾性部340を含む。図3は、粘弾性部340の面積を、記号「TS4」で示す。面積TS4は、面積TS1,TS2,TS3,TS4の中で最も大きい。面積TS1は、面積TS1,TS2,TS3,TS4の中で最も小さい。面積TS3は、面積TS2よりも大きい。
粘弾性部311〜314,321〜324,331〜334,340は、面積においてのみ互いに相違する一方で、他の特性(たとえば、粘弾性特性や剛性)において、互いに等しい。
解析モデル301,302,303,304それぞれは、パネル対350を含む。パネル対350は、図1Aを参照して説明されたパネル部材110,120の組に相当する。粘弾性部311〜314,321〜324,331〜334,340それぞれは、パネル対350の間に介挿されている。パネル対350の面積は、粘弾性部340に一致する(すなわち、面積TS4)。解析モデル304に関して、粘弾性部340は、パネル対350に完全に重なるので、パネル対350は、図3に示されていない。
本発明者等は、パネル対350の矩形状の輪郭を描く周縁が拘束された条件の下で、x軸周りの捻り力が解析モデル301,302,303,304に与えられたときの歪エネルギを解析した。解析時に与えられた捻り力は、解析モデル301,302,303,304間で等しい。本発明者等は、解析結果から、歪エネルギ分担率を算出した。歪エネルギ分担率は、以下の数式によって定義されてもよい。
Figure 2018090197
図4は、面積比と歪エネルギ分担率との間の関係を表すグラフである。図3及び図4を参照して、面積比と歪エネルギ分担率との間の関係が説明される。
図4に示されるグラフの横軸は、パネル対350の面積に対する粘弾性部311〜314,321〜324,331〜334,340の面積TS1,TS2,TS3,TS4の比率(面積比)を表す。図4に示されるグラフの縦軸は、上述の数式から得られた歪エネルギ分担率である。
図4に示されるように、歪エネルギ分担率は、10%以上50%以下の面積比の範囲においてピーク値を有する。特に、歪エネルギ分担率は、12.5%以上30%以下の範囲において、大きな値を取る。
パネル構造の減衰性能は、以下の増加関数Fとして定義されてもよい。増加関数Fの値が大きいならば、パネル構造は、振動を効果的に減衰することができる。
Figure 2018090197
上述の実施形態に関連して説明された如く、パネル部材は、非常に高い剛性を有するので、パネル部材の減衰係数は、粘弾性部材の減衰係数よりも遙かに小さい。したがって、減衰性能は、粘弾性部材の歪エネルギ分担率によって主に決定されることになる。
減衰係数は、解析モデル301,302,303,304の間で一定であるので、高い歪エネルギ分担率は、振動に対する優れた減衰性能を意味する。したがって、解析モデル302は、図3に示された解析モデル301,302,303,304の中で、減衰性能において、最も優れている。
<第4実施形態>
本発明者等は、第3実施形態に関連して説明された解析に加えて、複数の粘弾性部材間の適切な距離を検証した。第4実施形態において、複数の粘弾性部材間の適切な距離が説明される。
図5Aは、第3実施形態に関連して説明された解析モデル302を示す。第3実施形態の説明は、解析モデル302に援用される。
図5B及び図5Cは、本発明者等によって作成された他の解析モデル305,306を示す。図2、図5A乃至図5Cを参照して、解析モデル302,305,306が説明される。
図5Bに示される解析モデル305は、解析モデル302と同様に、パネル対350を含む。解析モデル305は、パネル対350の間に介挿された4つの粘弾性部351,352,353,354を更に含む。粘弾性部351,352,353,354は、図2を参照して説明された粘弾性部材210A,220A,230A,240Aにそれぞれ対応する。粘弾性部351,352,353,354は、位置においてのみ、解析モデル302の粘弾性部321,322,323,324から相違する。すなわち、粘弾性部351,352,353,354は、面積、粘弾性特性及び剛性において、粘弾性部321,322,323,324に一致する。
図5Cに示される解析モデル306は、解析モデル302と同様に、パネル対350を含む。解析モデル306は、パネル対350の間に介挿された4つの粘弾性部361,362,363,364を更に含む。粘弾性部361,362,363,364は、図2を参照して説明された粘弾性部材210A,220A,230A,240Aにそれぞれ対応する。粘弾性部361,362,363,364は、位置においてのみ、解析モデル302の粘弾性部321,322,323,324から相違する。すなわち、粘弾性部361,362,363,364は、面積、粘弾性特性及び剛性において、粘弾性部321,322,323,324に一致する。
上述の実施形態に関連して説明された直交座標系は、図5A乃至図5Cに示される。図5Aに示される記号「DXA」は、粘弾性部321,324間の距離及び粘弾性部322,323間の距離それぞれを示す。図5Aに示される記号「DYA」は、粘弾性部321,322間の距離及び粘弾性部323,324間の距離それぞれを示す。図5Bに示される記号「DXB」は、粘弾性部351,354間の距離及び粘弾性部352,353間の距離それぞれを示す。図5Bに示される記号「DYB」は、粘弾性部351,352間の距離及び粘弾性部353,354間の距離それぞれを示す。図5Cに示される記号「DXC」は、粘弾性部361,364間の距離及び粘弾性部362,363間の距離それぞれを示す。図5Bに示される記号「DYC」は、粘弾性部361,362間の距離及び粘弾性部363,364間の距離それぞれを示す。以下の不等式は、これらの距離の関係を示す。
Figure 2018090197
本発明者等は、第3実施形態に関連して説明された解析条件下で、x軸周りの捻り力を解析モデル302,305,306に加え、これらの解析モデル302,305,306の歪エネルギ分担率を算出した。
図6は、粘弾性部間の距離と歪エネルギ分担率との間の関係を表すグラフである。図5A乃至図6を参照して、粘弾性部間の距離と歪エネルギ分担率との間の関係が説明される。
図6に示されるデータ点Aは、解析モデル302に対応する。図6に示されるデータ点Bは、解析モデル305に対応する。図6に示されるデータ点Cは、解析モデル306に対応する。
粘弾性部321〜324,351〜354,361〜364それぞれは、長さLTHの辺を有する正方形である。図6に示されるグラフの横軸は、長さLTHに対する十字状の空隙の幅の比(以下、「空隙幅比」と称される)を表す。図6は、データ点A,B,Cに対応する空隙幅比の算出式を示している。図6のグラフの縦軸は、解析モデル302,305,306から得られた歪エネルギ分担率を示す。
図6に示されるように、歪エネルギ分担率のピークは、0.13以上0.20以下の空隙幅比の範囲で現れる。すなわち、十字状の空隙の幅が、粘弾性部材の0.13倍以上0.20倍に設定されるならば、歪エネルギ分担率は、大きな値を有することができる。第3実施形態に関連して説明されたように、大きな歪エネルギ分担率は、優れた減衰性能を意味する。
図5A乃至図5Cは、粘弾性部321〜324,351〜354,361〜364それぞれの中に歪エネルギ分担率を表す等高線を表す。図5Aの粘弾性部321は、等高線によって、7つの領域LV1,LV2,LV3,LV4,LV5,LV6,LV7に分けられている。歪エネルギ分担率は、領域LV1において、最も小さい。歪エネルギ分担率は、領域LV7において、最も大きい。歪エネルギ分担率は、領域LV2において、2番目に小さい。歪エネルギ分担率は、領域LV6において、2番目に大きい。歪エネルギ分担率は、領域LV3において、3番目に小さい。歪エネルギ分担率は、領域LV5において、3番目に大きい。領域LV7は、粘弾性部322に対向する辺に沿ってx軸の延設方向に広がっている。
図5Bの粘弾性部351内に示される領域LV7は、粘弾性部321内に示される領域LV7よりも非常に狭い。このことは、解析モデル302のパネル対350は、粘弾性部321〜324の間に形成された空隙帯に沿って大きく歪む一方で、解析モデル305のパネル対350の歪み変形は、密集して配置された粘弾性部351,352,353,354によって阻害されていることを意味する。したがって、狭すぎる空隙幅は、減衰性能に悪影響を与えることを意味する。
図5Cの粘弾性部361内に示される領域LV7は、図5Bの粘弾性部351内に示される領域LV7よりも広いけれども、粘弾性部321内に示される領域LV7よりも狭い。この結果は、粘弾性部361が、パネル対350が大きく歪むx軸の近傍領域から離れすぎていることに起因する。
図5Aは、粘弾性部321の中心を通過するx軸に平行な一点鎖線CDLを示す。粘弾性部321は、一点鎖線CDLによって、2つの領域325,326に概念的に分けられる。領域326は、領域325よりもx軸に近い。x軸周りの捻り力の存在下で領域326において生じた歪エネルギ分担率と領域325に生じた歪エネルギ分担率との間の差が、大きくなるように、設計者は、粘弾性部321の位置を設定してもよい。領域326において生ずる歪エネルギ分担率が大きく、且つ、領域325において生ずる歪エネルギ分担率が小さいならば、粘弾性部321は、振動を効果的に減衰させることができる。本実施形態に関して、第1粘弾性部は、領域325によって例示される。第2粘弾性部は、領域326によって例示される。直線は、一点鎖線CDLによって例示される。
図5Aに示されるように、歪エネルギ分担率が最も低い領域LV1は、パネル対350の4つの角隅部の近くに現れる。したがって、設計者は、パネル対350の4つの角隅部から離間した位置であって、且つ、パネル対350の歪み変形が過度に阻害されない位置に粘弾性部321,322,323,324を配置してもよい。この結果、高い歪エネルギ分担率が現れる領域が、粘弾性部321,322,323,324それぞれの大きな部分を占めることができる。
<第5実施形態>
上述の実施形態に関して、複数の粘弾性部材を挟む2つのパネル部材は、平坦な面を形成する。したがって、上述の実施形態に関連して説明された車両用パネル構造は、車両のフロアパネルといった略平坦な広い領域を形成するのに好適に利用可能である。しかしながら、車両は、平坦な領域だけでなく、湾曲した領域をも有する(たとえば、ルーフ)。第5実施形態において、湾曲した表面を形成する2つのパネル部材を有する例示的な車両用パネル構造が説明される。
図7は、第5実施形態の車両用パネル構造(以下、「パネル構造100B」と称される)の概略的な平面図(セクション(a))、正面図(セクション(b))及び右側面図(セクション(c))である。図7を参照して、パネル構造100Bが説明される。上述の実施形態の説明は、上述の実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
第2実施形態と同様に、パネル構造100Bは、4つの粘弾性部材210A,220A,230A,240Aを含む。第2実施形態の説明は、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aに援用される。
パネル構造100Bは、2つのパネル部材110B,120Bを更に含む。粘弾性部材210A,220A,230A,240Aは、パネル部材110B,120Bの間に配置される。パネル部材110Bは、パネル部材120Bと形状及び大きさにおいて略等しい。パネル部材110B,120Bそれぞれは、高い剛性を有する樹脂板である。たとえば、パネル部材110B,120Bそれぞれは、繊維強化プラスチックから形成された板材であってもよい。好ましくは、パネル部材110B,120Bそれぞれは、炭素繊維強化プラスチックから形成された板材である。しかしながら、車両に要求される剛性を満たす他の樹脂材料が、パネル部材110B,120Bに用いられてもよい。したがって、本実施形態の原理は、パネル部材110B,120Bに用いられる特定の樹脂材料に限定されない。
第1実施形態と同様に、パネル部材110B,120Bは、周縁面111,121をそれぞれ含む。第1実施形態の説明は、周縁面111,121に援用される。
パネル部材110Bは、上面112Bと、下面113Bと、を更に含む。周縁面111は、上面112B及び下面113Bの矩形状の輪郭を形成する。上面112Bは、パネル部材120Bに対向する。下面113Bは、上面112Bとは反対側の面を形成する。
パネル部材120Bは、上面122Bと、下面123Bと、を更に含む。周縁面121は、上面122B及び下面123Bの矩形状の輪郭を形成する。パネル部材120Bの下面123Bは、パネル部材110Bの上面112Bに対向する。パネル部材120Bの上面122Bは、パネル部材120Bの下面123Bとは反対側の面を形成する。
第1実施形態に関連して説明された直交座標系は、図7に示される。上面112B,122B及び下面113B,123Bは、z軸の正の方向に隆起するように湾曲している。本実施形態に関して、第1パネル部材は、パネル部材110Bによって例示される。第2パネル部材は、パネル部材120Bによって例示される。
薄い空間130Bは、周縁面111によって囲まれた上面112Bと周縁面121によって囲まれた下面123Bとの間に形成される。粘弾性部材210,220は、空間130B内に配置される。本実施形態に関して、第1領域は、上面112Bによって例示される。第2領域は、下面123Bによって配置される。
上面112B,122B及び下面113B,123Bは、互いに略平行である。第1実施形態とは異なり、上面112Bと下面123Bとの間の空間130Bは、z軸の正の方向に隆起するように湾曲している。上面112Bと下面123Bとの中間位置で仮想的に設定された曲面(図示せず:以下、「仮想曲面」と称される)の曲率は、パネル構造100Bの曲率として定義されてもよい。
x軸の延設方向における仮想曲面の曲率は、y軸の延設方向における仮想曲面の曲率と一致してもよい。この場合、パネル構造100Bは、球の表面の一部を形成する。x軸の延設方向における仮想曲面の曲率(>0)は、y軸の延設方向における仮想曲面の曲率(>0)と一致しなくてもよい。この場合、パネル構造100Bは、楕円球の表面の一部を形成する。
本実施形態に関して、x軸及びy軸の延設方向における仮想曲面の曲率はともに、「0」より大きな値に設定されている。しかしながら、x軸及びy軸の延設方向における仮想曲面の曲率のうち一方は、「0」に設定されてもよい。この場合、車両用パネル構造は、x軸又はy軸に沿って湾曲した板部材として利用可能である。x軸及びy軸の延設方向における仮想曲面の曲率がともに、「0」に設定されるならば、設計者は、第1実施形態乃至第4実施形態に関連して説明された設計原理に基づいて、車両用パネル構造を設計することができる。
本実施形態に関して、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aそれぞれは、上面112B及び下面123Bに直接的に密着されている。しかしながら、他の部材(たとえば、発泡材料から形成された板材)が、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aと上面112Bとの間及び/又は粘弾性部材210A,220A,230A,240Aと下面123Bとの間に介挿されてもよい。
第2実施形態と同様に、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aは、空間130B内で互いに離間している。したがって、パネル構造100Bは、粘弾性部材によって完全に充填された従来の車両用パネル構造よりも非常に軽量である。
第2実施形態の説明は、直交座標系上での粘弾性部材210A,220A,230A,240Aの配置パターンに援用される。したがって、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aの間には、十字状の空隙帯132Bが形成される。第2実施形態とは異なり、十字状の空隙帯132Bは、x軸及びy軸の延設方向において湾曲している。
パネル部材110B,120Bは、湾曲しているので、パネル構造100Bは、第2実施形態に関連して説明された車両用パネル構造よりも、x軸及び/又はy軸周りの捻り力の存在下で歪み変形しにくい。したがって、パネル構造100Bは、比較的高い剛性を有することができる。
<第6実施形態>
本発明者等は、第5実施形態に関連して説明された車両用パネル構造を模擬する様々な解析モデルを作成し、パネル部材の面積に対する複数の粘弾性部材の面積和の適切な割合を検証した。第6実施形態において、パネル部材の面積に対する複数の粘弾性部材の面積和の適切な割合が説明される。
図8は、本発明者等によって作成された4つの解析モデル401,402,403,404を示す。図7及び図8を参照して、解析モデル401,402,403,404が説明される。
解析モデル401は、4つの粘弾性部411,412,413,414を含む。粘弾性部411,412,413,414は、面積において互いに等しい。粘弾性部411,412,413,414は、図7を参照して説明された粘弾性部材210A,220A,230A,240Aにそれぞれ対応する。粘弾性部411,412,413,414は、面積において互いに等しい。図8は、粘弾性部411,412,413,414の面積の総和を、記号「TS1」で示す。面積TS1は、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aによって被覆されるパネル部材110Bの上面112Bの面積に相当する。
解析モデル402は、4つの粘弾性部421,422,423,424を含む。粘弾性部421,422,423,424は、面積において互いに等しい。粘弾性部421,422,423,424は、図7を参照して説明された粘弾性部材210A,220A,230A,240Aにそれぞれ対応する。粘弾性部421,422,423,424は、面積において互いに等しい。図8は、粘弾性部421,422,423,424の面積の総和を、記号「TS2」で示す。面積TS2は、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aによって被覆されるパネル部材110Bの上面112Bの面積に相当する。
解析モデル403は、4つの粘弾性部431,432,433,434を含む。粘弾性部431,432,433,434は、面積において互いに等しい。粘弾性部431,432,433,434は、図7を参照して説明された粘弾性部材210A,220A,230A,240Aにそれぞれ対応する。粘弾性部431,432,433,434は、面積において互いに等しい。図8は、粘弾性部431,432,433,434の面積の総和を、記号「TS3」で示す。面積TS3は、粘弾性部材210A,220A,230A,240Aによって被覆されるパネル部材110Bの上面112Bの面積に相当する。
解析モデル404は、1つの粘弾性部440を含む。図8は、粘弾性部440の面積を、記号「TS4」で示す。面積TS4は、面積TS1,TS2,TS3,TS4の中で最も大きい。面積TS1は、面積TS1,TS2,TS3,TS4の中で最も小さい。面積TS3は、面積TS2よりも大きい。
粘弾性部411〜414,421〜424,431〜434,440は、面積においてのみ互いに相違する一方で、他の特性(たとえば、粘弾性特性や剛性)において、互いに等しい。
解析モデル401,402,403,404それぞれは、パネル対450を含む。パネル対450は、図7を参照して説明されたパネル部材110B,120Bの組に相当する。粘弾性部411〜414,421〜424,431〜434,440それぞれは、パネル対450の間に介挿されている。パネル対450の面積は、粘弾性部440に一致する(すなわち、面積TS4)。解析モデル404に関して、粘弾性部440は、パネル対450に完全に重なるので、パネル対450は、図8には示されていない。
本発明者等は、パネル対450の矩形状の輪郭を描く周縁が拘束された条件の下で、x軸周りの捻り力が解析モデル401,402,403,404に与えられたときの歪エネルギを解析した。解析時に与えられた捻り力は、解析モデル401,402,403,404間で等しい。x軸の延設方向におけるパネル対450の曲率は、「0.17」であった。y軸の延設方向におけるパネル対450の曲率は、「0.46」であった。
図9は、面積比と歪エネルギ分担率との間の関係を表すグラフである。図8及び図9を参照して、面積比と歪エネルギ分担率との間の関係が説明される。
図9に示されるグラフの横軸は、パネル対450の面積に対する粘弾性部411〜414,421〜424,431〜434,440の面積TS1,TS2,TS3,TS4の比率(面積比)を表す。図9に示されるグラフの縦軸は、第3実施形態に関連して説明された数式から得られた歪エネルギ分担率である。
第3実施形態とは異なり、図9に示されるデータは、ピークを示していない。図9のグラフの曲線は、増加関数であり、対数関数に似ている。歪エネルギ分担率は、12.5%以上の面積において高い水準で推移する。歪エネルギ分担率は、0%以上12.5%以下の面積比の範囲で急激に増加する。加えて、歪エネルギ分担率は、12.5%以上25%未満の面積比の範囲でも顕著な増加を示す。歪エネルギ分担率は、12.5%以上50%以下の面積比の範囲で僅かに増加する。一方、歪エネルギ分担率は、50%を超える面積比の範囲では、略一定である。図9のグラフから、50%を超える面積比は、車両用パネル構造の重量を増加させる一方で、減衰性能の向上にほとんど貢献しないことが分かる。したがって、粘弾性部材が、湾曲したパネル部材間に配置されるならば、面積比は、12.5%以上50%以下の範囲に設定されることが好ましい。更に好ましくは、面積比は、25%以上50%以下の範囲に設定されてもよい。
<第7実施形態>
本発明者等は、第6実施形態に関連して説明された解析に加えて、複数の粘弾性部材間の適切な距離を検証した。第7実施形態において、複数の粘弾性部材間の適切な距離が説明される。
図10Aは、第6実施形態に関連して説明された解析モデル402を示す。第6実施形態の説明は、解析モデル402に援用される。
図10B及び図10Cは、本発明者等によって作成された4つの解析モデル405,406を示す。図7、図10A乃至図10Cを参照して、解析モデル402,405,406が説明される。
図10Bに示される解析モデル405は、解析モデル402と同様に、パネル対450を含む。解析モデル405は、パネル対450の間に介挿された4つの粘弾性部451,452,453,454を更に含む。粘弾性部451,452,453,454は、図7を参照して説明された粘弾性部材210A,220A,230A,240Aにそれぞれ対応する。粘弾性部451,452,453,454は、位置においてのみ、解析モデル402の粘弾性部421,422,423,424から相違する。すなわち、粘弾性部451,452,453,454は、面積、粘弾性特性及び剛性において、粘弾性部421,422,423,424に一致する。
図10Cに示される解析モデル406は、解析モデル402と同様に、パネル対450を含む。解析モデル406は、パネル対450の間に介挿された4つの粘弾性部461,462,463,464を更に含む。粘弾性部461,462,463,464は、図7を参照して説明された粘弾性部材210A,220A,230A,240Aにそれぞれ対応する。粘弾性部461,462,463,464は、位置においてのみ、解析モデル402の粘弾性部421,422,423,424から相違する。すなわち、粘弾性部461,462,463,464は、面積、粘弾性特性及び剛性において、粘弾性部421,422,423,424に一致する。
上述の実施形態に関連して説明された直交座標系は、図10A乃至図10Cに示される。図10Aに示される記号「DXA」は、粘弾性部421,424間の距離及び粘弾性部422,423間の距離それぞれを示す。図10Aに示される記号「DYA」は、粘弾性部421,422間の距離及び粘弾性部423,424間の距離それぞれを示す。図10Bに示される記号「DXB」は、粘弾性部451,454間の距離及び粘弾性部452,453間の距離それぞれを示す。図10Bに示される記号「DYB」は、粘弾性部451,452間の距離及び粘弾性部453,454間の距離それぞれを示す。図10Cに示される記号「DXC」は、粘弾性部461,464間の距離及び粘弾性部462,463間の距離それぞれを示す。図10Bに示される記号「DYC」は、粘弾性部461,462間の距離及び粘弾性部463,464間の距離それぞれを示す。以下の不等式は、これらの距離の関係を示す。
Figure 2018090197
本発明者等は、第6実施形態に関連して説明された解析条件下で、x軸周りの捻り力を解析モデル402,405,406に加え、これらの解析モデル402,405,406の歪エネルギ分担率を算出した。
図11は、粘弾性部間の距離と歪エネルギ分担率との間の関係を表すグラフである。図10A乃至図11を参照して、粘弾性部間の距離と歪エネルギ分担率との間の関係が説明される。
図11に示されるデータ点Aは、解析モデル402に対応する。図11に示されるデータ点Bは、解析モデル405に対応する。図11に示されるデータ点Cは、解析モデル406に対応する。
粘弾性部421〜424,451〜454,461〜464それぞれは、長さLTHの辺を有する正方形である。図11に示されるグラフの横軸は、長さLTHに対する十字状の空隙の幅の比(以下、「空隙幅比」と称される)を表す。図11は、データ点A,B,Cに対応する空隙幅比の算出式を示している。図11のグラフの縦軸は、解析モデル402,405,406から得られた歪エネルギ分担率を示す。
図10A乃至図10Cに示されるように、パネル対450は、x軸及びy軸によって、第1分割領域471、第2分割領域472、第3分割領域473及び第4分割領域474に等分される。粘弾性部421,451,461は、第1分割領域471において、パネル対450によって挟まれる。粘弾性部422,452,462は、第2分割領域472において、パネル対450によって挟まれる。粘弾性部423,453,463は、第3分割領域473において、パネル対450によって挟まれる。粘弾性部424,454,464は、第4分割領域474において、パネル対450によって挟まれる。
パネル対450は、第1角隅部481と、第2角隅部482と、第3角隅部483と、第4角隅部484と、を含み、第1角隅部481、第2角隅部482、第3角隅部483及び第4角隅部484において屈曲する矩形状の輪郭を有する。第1角隅部481は、第1分割領域471の4つの角隅部のうち1つである。第2角隅部482は、第2分割領域472の4つの角隅部のうち1つである。第3角隅部483は、第3分割領域473の4つの角隅部のうち1つである。第3角隅部483は、第1角隅部481の対角である。第4角隅部484は、第4分割領域474の4つの角隅部のうち1つである。第4角隅部484は、第2角隅部482の対角である。
上述の不等式に示される関係の下では、粘弾性部421,422,423,424の中心は、解析モデル402,405,406の中で、第1角隅部481、第2角隅部482、第3角隅部483及び第4角隅部484にそれぞれ最も近くなる。粘弾性部461,462,463,464の中心は、解析モデル402,405,406の中で、x軸及びy軸の交点に最も近くなる。
図11に示されるように、空隙幅比が、増加すると、歪エネルギ分担率も増加する。このことは、4つの粘弾性部が、パネル対450の中心(すなわち、x軸、y軸及びz軸の交点)よりも、第1角隅部481、第2角隅部482、第3角隅部483及び第4角隅部484の近くにそれぞれ配置されるならば、4つの粘弾性部は、大きな歪エネルギ分担率を有することができることを意味する。上述の実施形態に関連して説明された如く、大きな歪エネルギ分担率は、優れた減衰性能を意味する。
図10A乃至図10Cは、粘弾性部421〜424,451〜454,461〜464それぞれの中に歪エネルギ分担率を表す等高線を表す。図10Aの粘弾性部421は、等高線によって、7つの領域LV1,LV2,LV3,LV4,LV5,LV6,LV7に分けられている。歪エネルギ分担率は、領域LV1において、最も小さい。歪エネルギ分担率は、領域LV7において、最も大きい。歪エネルギ分担率は、領域LV2において、2番目に小さい。歪エネルギ分担率は、領域LV6において、2番目に大きい。歪エネルギ分担率は、領域LV3において、3番目に小さい。歪エネルギ分担率は、領域LV5において、3番目に大きい。領域LV7は、粘弾性部422に対向する辺に沿ってx軸の延設方向に広がっている。
パネル対450は、パネル対450の中心からx軸及びy軸に沿って下方に湾曲する。したがって、パネル対450の中心の近くの領域は、パネル対450の中で最も変形しにくい。このことは、図10A乃至図10Cに示される如く、歪エネルギ分担率において最も小さな領域LV1が、パネル対450の中心の近くに現れることによって実証されている。
図10A乃至図10Cの等高線は、パネル対450の中心から第1角隅部481、第2角隅部482、第3角隅部483及び第4角隅部484に向けて、増加する歪エネルギ分担率のパターンを表している。このことは、湾曲したパネル対450は、パネル対450の中心領域よりも、第1角隅部481、第2角隅部482、第3角隅部483及び第4角隅部484の近くにおいて湾曲しやすいことを表している。したがって、4つの粘弾性部が、パネル対450の中心よりも、第1角隅部481、第2角隅部482、第3角隅部483及び第4角隅部484の近くにそれぞれ配置されるならば、4つの粘弾性部は、大きな歪エネルギ分担率を有することができる。
図10Aは、粘弾性部421の中心を通過するx軸に平行な一点鎖線CDLを示す。粘弾性部421は、一点鎖線CDLによって、2つの領域425,426に概念的に分けられる。領域426は、領域425よりもx軸に近い。x軸周りの捻り力の存在下で領域425において生じた歪エネルギ分担率と領域426に生じた歪エネルギ分担率との間の差が、大きくなるように、設計者は、粘弾性部421の位置を設定してもよい。領域425において生ずる歪エネルギ分担率が大きく、且つ、領域426において生ずる歪エネルギ分担率が小さいならば、粘弾性部421は、振動を効果的に減衰させることができる。本実施形態に関して、第1粘弾性部は、領域425によって例示される。第2粘弾性部は、領域426によって例示される。直線は、一点鎖線CDLによって例示される。
<第8実施形態>
第5実施形態乃至第7実施形態に関連して説明された車両用パネル構造は、車両のルーフに好適に利用可能である。第8実施形態において、車両用パネル構造が組み込まれた車両が説明される。
図12は、パネル構造100Bが組み込まれた車両VCLの概略的な斜視図である。図12を参照して、車両VCLが説明される。上述の実施形態の説明は、上述の実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
パネル構造100Bは、車両VCLのルーフとして用いられる。粘弾性部材210A,220Aは、粘弾性部材230A,240Aの後方に位置する。粘弾性部材210A,240Aは、粘弾性部材220A,230Aの左方に位置する。
パネル構造100Bの周縁部は、一対のルーフレールRFRに連結されている。加えて、パネル構造100Bは、フロントヘッダ(図示せず)及びリアヘッダ(図示せず)を介して、ウィンドシールドWSDとリアウィンドウRWDとに連結される。
図13は、図12に示されるパネル構造100Bの概略的な拡大図である。図10A、図12及び図13を参照して、パネル構造100Bの周縁部の構造が説明される。
パネル部材110B,120Bは、周縁部において、リベットRVTによって貫通されている。加えて、接着剤層AHLは、パネル部材110Bの上面112Bとパネル部材120Bの下面123Bとを接着する。したがって、パネル部材110B,120Bは、パネル構造100Bの周縁部において拘束されている。したがって、第6実施形態及び第7実施形態に関連して説明された解析モデルと同様の条件が、車両VCLに作り出されることになる。この結果、図10Aを参照して説明された歪負担率の分布パターンと同様の分布パターンは、粘弾性部材210A,220A,230A,240Bに現れることになる。
<第9実施形態>
車両用パネル構造に、大きな肉厚が要求されることもある。しかしながら、車両用パネル構造の大きな肉厚は、車両用パネル構造の大きな重量に帰結しやすい。第9実施形態において、大きな肉厚を有する軽量の車両用パネル構造が説明される。
図14は、第9実施形態の車両用パネル構造(以下、「パネル構造100C」と称される)の概略的な右側面図である。図14を参照して、パネル構造100Cが説明される。上述の実施形態の説明は、上述の実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
第1実施形態と同様に、パネル構造100Cは、2つのパネル部材110,120と、2つの粘弾性部材210,220と、を備える。第1実施形態の説明は、パネル部材110,120と粘弾性部材210,220とに援用される。
パネル構造100Cは、発泡部材310,320を更に備える。発泡部材310は、粘弾性部材210,220とパネル部材110の上面112との間に配置される。発泡部材320は、粘弾性部材210,220とパネル部材120の下面123との間に配置される。本実施形態に関して、第1発泡部材は、発泡部材310,320のうち一方によって例示される。第2発泡部材は、発泡部材310,320のうち他方によって例示される。
発泡部材310,320は、一般的な発泡プラスチックから形成されてもよい。たとえば、発泡部材310,320は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂といった樹脂材料から形成された発泡プラスチックであってもよい。
パネル構造100Cは、発泡部材310,320を有するので、大きな肉厚を有することができる。発泡部材310,320は、気泡を内包するので、非常に軽量である。したがって、パネル構造100Cは、過度に重くならない。
上述の様々な特徴は、様々な車両の全体的な設計に適合するように、組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
上述の実施形態に関して、粘弾性部材の縁部は、パネル部材の縁部と略平行である。しかしながら、粘弾性部材の縁部が、パネル部材の縁部とは異なる方向に延設されるように、粘弾性部材は、配置されてもよい。
上述の実施形態に関して、複数の粘弾性部材は、形状及び大きさにおいて、互いに等しい。しかしながら、設計者は、パネル部材の物理的特性や形状的特性や車両用パネル構造が使用される環境といった様々な条件に適合するように、複数の粘弾性部材それぞれの形状及び大きさを決定してもよい。したがって、複数の粘弾性部材のうち1つは、複数の粘弾性部材のうち他のもう1つとは、形状及び/又は大きさにおいて、相違していてもよい。
上述の実施形態の原理は、様々な車両に搭載されるパネル部材に好適に利用される。
100,100A,100B,100C・・・・パネル構造(車両用パネル構造)
110・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パネル部材(第1又は第2パネル部材)
110B・・・・・・・・・・・・・・・・・・パネル部材(第1パネル部材)
111,121・・・・・・・・・・・・・・・周縁面(第1又は第2周縁部)
112・・・・・・・・・・・・・・・・・・・上面(第1又は第2領域)
112B・・・・・・・・・・・・・・・・・・上面(第1領域)
120・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パネル部材(第2又は第1パネル部材)
120B・・・・・・・・・・・・・・・・・・パネル部材(第2パネル部材)
123・・・・・・・・・・・・・・・・・・・下面(第2又は第1領域)
123B・・・・・・・・・・・・・・・・・・下面(第2領域)
131・・・・・・・・・・・・・・・・・・・空隙帯
132,132B・・・・・・・・・・・・・・空隙帯
141・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分割領域(第1分割領域)
142・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分割領域(第2分割領域)
143・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分割領域(第3分割領域)
144・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分割領域(第4分割領域)
210・・・・・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部材(第1又は第2粘弾性部材)
210A・・・・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部材(第1粘弾性部材)
220・・・・・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部材(第2又は第1粘弾性部材)
220A・・・・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部材(第2粘弾性部材)
230A・・・・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部材(第3粘弾性部材)
240A・・・・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部材(第4粘弾性部材)
310・・・・・・・・・・・・・・・・・・・発泡部材(第1又は第2発泡部材)
311〜314・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部(第1〜第4粘弾性部材)
320・・・・・・・・・・・・・・・・・・・発泡部材(第2又は第1発泡部材)
321〜324・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部(第1〜第4粘弾性部材)
331〜334・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部(第1〜第4粘弾性部材)
350・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パネル対(第1及び第2パネル部材)
351〜354・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部(第1〜第4粘弾性部材)
361〜364・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部(第1〜第4粘弾性部材)
411〜414・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部(第1〜第4粘弾性部材)
421〜424・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部(第1〜第4粘弾性部材)
431〜434・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部(第1〜第4粘弾性部材)
450・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パネル対(第1及び第2パネル部材)
451〜454・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部(第1〜第4粘弾性部材)
461〜464・・・・・・・・・・・・・・・粘弾性部(第1〜第4粘弾性部材)
471・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1分割領域
472・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2分割領域
473・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第3分割領域
474・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第4分割領域
481・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1角隅部
482・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2角隅部
483・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第3角隅部
484・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第4角隅部
本発明の一局面に係る車両用パネル構造は、拘束された第1周縁部と、前記第1周縁部によって形成された第1角隅部、第2角隅部、第3角隅部及び第4角隅部を有する矩形状の輪郭を有する曲面を形成する第1領域と、を有する樹脂製の第1パネル部材と、前記第1周縁部とともに拘束される第2周縁部と、前記第2周縁部によって囲まれ、且つ、前記第1領域に対向する曲面を形成する第2領域と、を有する樹脂製の第2パネル部材と、前記第1領域と前記第2領域との間に形成された空間に互いに離間して配置され、前記第1領域の12.5%以上且つ50%以下の面積を覆う複数の粘弾性部材と、を備える。前記第1領域は、前記第1領域の中心と前記第2領域の中心とを通過するように仮想的に設定されたz軸に対して前記空間内で直交するように仮想的に設定されたx軸と、前記z軸及び前記x軸の交点において、前記z軸及び前記x軸に直交するように仮想的に設定されたy軸と、によって、第1分割領域、第2分割領域、第3分割領域及び第4分割領域に概念的に分割される。前記複数の粘弾性部材は、前記第1分割領域と前記第2領域との間に配置された第1粘弾性部材、前記第2分割領域と前記第2領域との間に配置された第2粘弾性部材、前記第3分割領域と前記第2領域との間に配置された第3粘弾性部材及び前記第4分割領域と前記第2領域との間に配置された第4粘弾性部材のみからなる前記第1角隅部は、前記第1分割領域の角隅部である前記第2角隅部は、前記第2分割領域の角隅部である前記第3角隅部は、前記第3分割領域の角隅部である前記第4角隅部は、前記第4分割領域の角隅部である前記第1粘弾性部材は、前記交点よりも前記第1角隅部の近くに配置されている前記第2粘弾性部材は、前記交点よりも前記第2角隅部の近くに配置されている前記第3粘弾性部材は、前記交点よりも前記第3角隅部の近くに配置されている前記第4粘弾性部材は、前記交点よりも前記第4角隅部の近くに配置されている。
第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、第1領域から概念的に分割された第1分割領域、第2分割領域、第3分割領域、第4分割領域にそれぞれ対応して配置されるので、車両用パネル構造は、x軸及びy軸によって定められる平面に亘って、振動を減衰させることができる。第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、互いに離間しているので、複数の粘弾性部材は、第1領域と第2領域との間の空間を完全には占めない。したがって、車両用パネル構造は、過度に重くならない。
第1領域及び第2領域それぞれは、曲面であるので、車両用パネル構造は、湾曲した形状が要求される車両の部位に好適に利用可能である。複数の粘弾性部材は、第1領域の12.5%以上の面積を覆うので、車両用パネル構造に伝達された振動は、十分に減衰される。複数の粘弾性部材は、第1領域の50%以下の面積を覆うので、車両用パネル構造は、過度に重くならない。
第1領域は、第1周縁部によって形成された第1角隅部、第2角隅部、第3角隅部及び第4角隅部において屈曲する矩形状の輪郭を有する曲面であるので、車両用パネル構造は、湾曲した表面の形成が要求される車両の部位に好適に利用可能である。第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、x軸、y軸及びz軸によって形成される交点よりも、第1角隅部、第2角隅部、第3角隅部及び第4角隅部の近くにそれぞれ配置されるので、これらの粘弾性部材は、車両用パネル構造に伝達された振動を効果的に減衰することができる。
本発明の他の局面に係る車両用パネル構造は、拘束された第1周縁部と、前記第1周縁部によって囲まれた平面を形成する第1領域と、を有する樹脂製の第1パネル部材と、前記第1周縁部とともに拘束される第2周縁部と、前記第2周縁部によって囲まれ、且つ、前記第1領域に対向する平面を形成する第2領域と、を有する樹脂製の第2パネル部材と、前記第1領域と前記第2領域との間に形成された空間に互いに離間して配置され、前記第1領域の10%以上且つ50%以下の面積を覆う複数の粘弾性部材と、を備える。前記第1領域は、前記第1領域の中心と前記第2領域の中心とを通過するように仮想的に設定されたz軸に対して前記空間内で直交するように仮想的に設定されたx軸と、前記z軸及び前記x軸の交点において、前記z軸及び前記x軸に直交するように仮想的に設定されたy軸と、によって、第1分割領域、第2分割領域、第3分割領域及び第4分割領域に概念的に分割される。前記複数の粘弾性部材は、前記第1分割領域と前記第2領域との間に配置された第1粘弾性部材、前記第2分割領域と前記第2領域との間に配置された第2粘弾性部材、前記第3分割領域と前記第2領域との間に配置された第3粘弾性部材及び前記第4分割領域と前記第2領域との間に配置された第4粘弾性部材のみからなる。前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材は、正方形状である。前記第2粘弾性部材は、前記x軸について、前記第1粘弾性部材と線対称の位置に配置されている。前記第3粘弾性部材は、前記y軸について、前記第2粘弾性部材と線対称の位置に配置されている。前記第4粘弾性部材は、前記z軸周りに、前記第2粘弾性部材と点対称の位置に配置されている。前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材の間には、所定の幅で前記x軸及び前記y軸に沿って延びる十字状の空隙帯が形成されている。前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材の前記正方形状は、所定の長さの辺を有する。前記所定の幅は、前記所定の長さの0.13倍以上且つ0.20倍以下である。
第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材の間には、所定の幅でx軸及びy軸に沿って延びる十字状の空隙帯が形成されるので、第1パネル部材及び第2パネル部材は、十字状の空隙帯に沿って湾曲しやすい。空隙帯の幅は、第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材の正方形状の辺の長さの0.20倍以下であるので、第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、第1パネル部材及び第2パネル部材の変形に由来する歪エネルギを効果的に分担することができる。この結果、車両用パネル構造は、振動に対して優れた減衰性能を有することができる。空隙帯の幅は、第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材の正方形状の辺の長さの0.13倍以上であるので、第1粘弾性部材、第2粘弾性部材、第3粘弾性部材及び第4粘弾性部材は、過度に密集しない。したがって、車両用パネル構造は、過度に重くならない。

Claims (10)

  1. 拘束された第1周縁部と、前記第1周縁部によって囲まれた第1領域と、を有する樹脂製の第1パネル部材と、
    前記第1周縁部とともに拘束される第2周縁部と、前記第2周縁部によって囲まれ、且つ、前記第1領域に対向する第2領域と、を有する樹脂製の第2パネル部材と、
    前記第1領域と前記第2領域との間に形成された空間に配置された複数の粘弾性部材と、を備え、
    前記複数の粘弾性部材は、第1粘弾性部材と、前記第1粘弾性部材から離間して配置された第2粘弾性部材と、を含む
    車両用パネル構造。
  2. 前記第1領域は、前記第1領域の中心と前記第2領域の中心とを通過するように仮想的に設定されたz軸に対して前記空間内で直交するように仮想的に設定されたx軸と、前記z軸及び前記x軸の交点において、前記z軸及び前記x軸に直交するように仮想的に設定されたy軸と、によって、第1分割領域、第2分割領域、第3分割領域及び第4分割領域に概念的に分割され、
    前記第1粘弾性部材は、前記第1分割領域と前記第2領域との間に配置され、
    前記第2粘弾性部材は、前記第2分割領域と前記第2領域との間に配置され、
    前記複数の粘弾性部材は、前記第3分割領域と前記第2領域との間に配置された第3粘弾性部材と、前記第4分割領域と前記第2領域との間に配置された第4粘弾性部材と、を含み、
    前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材は、互いに離間している
    請求項1に記載の車両用パネル構造。
  3. 前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、曲面であり、
    前記複数の粘弾性部材は、前記第1領域の12.5%以上且つ50%以下の面積を覆う
    請求項1又は2に記載の車両用パネル構造。
  4. 前記第1領域は、前記第1周縁部によって形成された第1角隅部、第2角隅部、第3角隅部及び第4角隅部を有する矩形状の輪郭を有する曲面であり、
    前記複数の粘弾性部材は、前記第1領域の12.5%以上且つ50%以下の面積を覆い、
    前記第1角隅部は、前記第1分割領域の角隅部であり、
    前記第2角隅部は、前記第2分割領域の角隅部であり、
    前記第3角隅部は、前記第3分割領域の角隅部であり、
    前記第4角隅部は、前記第4分割領域の角隅部であり、
    前記第1粘弾性部材は、前記交点よりも前記第1角隅部の近くに配置され、
    前記第2粘弾性部材は、前記交点よりも前記第2角隅部の近くに配置され、
    前記第3粘弾性部材は、前記交点よりも前記第3角隅部の近くに配置され、
    前記第4粘弾性部材は、前記交点よりも前記第4角隅部の近くに配置される
    請求項2又は請求項2を引用する請求項3に記載の車両用パネル構造。
  5. 前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、平面であり、
    前記複数の粘弾性部材は、前記第1領域の10%以上且つ50%以下の面積を覆う
    請求項1又は2に記載の車両用パネル構造。
  6. 前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、平面であり、
    前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材は、正方形状であり、
    前記第2粘弾性部材は、前記x軸について、前記第1粘弾性部材と線対称の位置に配置され、
    前記第3粘弾性部材は、前記y軸について、前記第2粘弾性部材と線対称の位置に配置され、
    前記第4粘弾性部材は、前記z軸周りに、前記第2粘弾性部材と点対称の位置に配置され、
    前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材の間には、所定の幅で前記x軸及び前記y軸に沿って延びる十字状の空隙帯が形成され、
    前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材の前記正方形状は、所定の長さの辺を有し、
    前記所定の幅は、前記所定の長さの0.13倍以上且つ0.20倍以下である
    請求項2又は請求項2を引用する請求項5に記載の車両用パネル構造。
  7. 前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、矩形状であり、
    前記第1粘弾性部材、前記第2粘弾性部材、前記第3粘弾性部材及び前記第4粘弾性部材は、前記第1領域及び前記第2領域それぞれの4つの角隅部から離れている
    請求項6に記載の車両用パネル構造。
  8. 前記第1領域と前記複数の粘弾性部材との間に配置された第1発泡部材と、
    前記第2領域と前記複数の粘弾性部材との間に配置された第2発泡部材と、を更に備える
    請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両用パネル構造。
  9. 前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、曲面であり、
    前記第1粘弾性部材は、前記第1領域の中心と前記第2領域の中心とを通過するように仮想的に設定されたz軸に対して前記空間内で直交するように仮想的に設定されたx軸について、前記第2粘弾性部材と線対称に配置され、前記x軸に沿って延びる空隙帯を前記第1粘弾性部材と前記第2粘弾性部材との間に形成し、
    前記第1粘弾性部材は、前記第1粘弾性部材の中心を通過し、且つ、前記x軸に平行な直線によって分割される第1粘弾性領域及び第2粘弾性領域を含み、
    前記x軸周りの捻り力が前記車両用パネル構造に生じたときに、前記第1粘弾性領域に生じた歪エネルギは、前記第1粘弾性領域よりも前記x軸に近い前記第2粘弾性領域に生じた歪エネルギよりも大きい
    請求項1に記載の車両用パネル構造。
  10. 前記第1領域及び前記第2領域それぞれは、平面であり、
    前記第1粘弾性部材は、前記第1領域の中心と前記第2領域の中心とを通過するように仮想的に設定されたz軸に対して前記空間内で直交するように仮想的に設定されたx軸について、前記第2粘弾性部材と線対称に配置され、前記x軸に沿って延びる空隙帯を前記第1粘弾性部材と前記第2粘弾性部材との間に形成し、
    前記第1粘弾性部材は、前記第1粘弾性部材の中心を通過し、且つ、前記x軸に平行な直線によって分割される第1粘弾性領域及び第2粘弾性領域を含み、
    前記x軸周りの捻り力が前記車両用パネル構造に生じたときに、前記第1粘弾性領域に生じた歪エネルギは、前記第1粘弾性領域よりも前記x軸に近い前記第2粘弾性領域に生じた歪エネルギよりも小さい
    請求項1に記載の車両用パネル構造。
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