JP2007186086A - 車体のルーフ構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ルーフボウ上に接合されるルーフパネルの振動を効果的に抑制することができる車体のルーフ構造を提供する。
【解決手段】左右のサイドルーフレール1,2の間に接合される複数のルーフボウ3〜7のうち、ある1つのルーフボウとそのルーフボウと隣接する少なくとも1つのルーフボウの、車体左右方向における少なくとも中央部の幅を、他のルーフボウの幅よりも幅広に形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、車体のルーフ構造に関する。
自動車の車体左右のサイドルーフレール間には、車体幅方向に沿ってルーフ骨格部材としてのルーフボウが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
かかるルーフボウは、ルーフパネルの強度、剛性を確保するために断面形状が逆ハット形に形成されており、ルーフボウのフランジ部にルーフパネルの下面が接着剤により接合される。
特開2001−301653号公報
ところで、前記特許文献1のようなルーフ構造(車体構造)では、車体左右のサイドルーフレール間に、中央に幅広部を有する1つのルーフボウが、フロントルーフレールとリアルーフレールとの間の中間部に設けられているだけである。このため、ルーフボウがルーフパネルを支えている範囲が小さく、エンジン振動等によって車体骨格(ボディ構造体)に共振が生じた場合に、ルーフパネルの振動を効果的に抑制することができなかった。
特に、ルーフボウ上にルーフパネルが接着剤により接合される従来のルーフ構造では、車体骨格が大変形する共振周波数とルーフパネルのもつ共振周波数のそれぞれの周波数が近く、このときの共振によって振動するルーフパネルの振幅が大きくなってしまう場合がある。この共振によってルーフパネルの振幅が大きくなると、ルーフパネルからの発音が大きくなり、こもり音が発生し易くなる。
こもり音は、ルーフパネルの共振と車室内の空洞共鳴の双方の要因で決まり、空洞共鳴は車室のサイズ、形状が支配的要因である。このこもり音は、空洞共鳴の共鳴周波数に対してルーフパネルの共振周波数が同等以上でないと起こらない。すなわち、空洞共鳴は低周波(140Hz程度)の共鳴であるので、ルーフパネルの共振周波数が140Hz程度以上になると、こもり音が発生してしまう。このため、こもり音が発生しないようにするには、ルーフパネルの共振周波数を140Hz程度より下げることが必要となり、ルーフパネルの面外変形を可能な限り許容しなければならない。ただし、車体剛性としては、ルーフパネル全体に適度な剛性を確保する必要がある。
そこで、本発明は、エンジン振動等によって車体骨格に共振が生じた場合でもルーフボウ上に接合されるルーフパネルの振動を効果的に抑制することができる車体のルーフ構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明は、左右のサイドルーフレールの間に車体幅方向に沿って設けたルーフボウ上にルーフパネルが接合される車体のルーフ構造において、前記ルーフボウを車体前後方向に所定の間隔で複数設け、前記複数のルーフボウのうち、ある1つのルーフボウとそのルーフボウと隣接する少なくとも1つのルーフボウの、車体左右方向における少なくとも中央部の幅を、他のルーフボウの幅よりも幅広に形成したことを最も主要な特徴とする。
本発明に係る車体のルーフ構造によれば、ルーフボウによるルーフパネルを支える範囲が広くなり、エンジン振動等によって車体骨格に共振が生じた場合でもルーフパネルの振動を効果的に抑制することが可能となる。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1に係る車体(自動車)のルーフ構造を示す概略平面図、図2は、図1のA−A線断面図である。なお、図1において、左側が車体(自動車)の前側であり、右側が後側である。
図1、図2に示すように、車体左右のサイドルーフレール1,2の間には、車体幅方向に沿い車体前後方向に対して所定の間隔で複数(図1では、5つ)のルーフボウ3,4,5,6,7が配設されている。各ルーフボウ3〜7の両端部は、サイドルーフレール1,2にスポット溶接によりそれぞれ接合されている。また、車体左右のサイドルーフレール1,2の車体前後方向の前端側と後端側には、フロントルーフレール8とリアルーフレール9がスポット溶接によりそれぞれ接合されている。
各ルーフボウ3〜7は、断面形状が逆ハット形に形成されており、その両側に長手方向(車体幅方向)に沿ってフランジ部10a,10b(図3参照)が形成されている。図3に示すように、各ルーフボウ3〜7(図3では、ルーフボウ3)のフランジ部10a,10bには、ほぼ平坦状なルーフパネル12の下面が接着剤11により接合される。なお、ルーフパネル12の外周縁部(不図示)は、前記サイドルーフレール1,2、フロントルーフレール8、およびリアルーフレール9にスポット溶接により接合される。
図1に示すように、車体前部に設置されるエンジン側に近い前側の3つのルーフボウ3,4,5は、両端側から中央に向けて幅が漸次広がるように形成され、中央に幅広部3a,4a,5aが設けられている。なお、後側に位置する2つのルーフボウ6,7は、中央に幅広部を有しておらず、長手方向両端部まで幅狭(ルーフボウ3,4,5の両端部とほぼ同じ幅)で、直線状に形成されている。
そして、車体幅方向(車体左右方向)の中央における、ルーフボウ3,4,5の各幅広部3a,4a、5aのそれぞれの幅をW1,W2,W3(W1=W2=W3)、フロントルーフレール8とルーフボウ3の幅広部3aとの間隔をD1、ルーフボウ3の幅広部3aとルーフボウ4の幅広部4aとの間隔をD2、ルーフボウ4の幅広部4aとルーフボウ5の幅広部5aとの間隔をD3、ルーフボウ5の幅広部5aとルーフボウ6との間隔をD4としたとき、前記各間隔(D1,D2,D3,D4)を、ルーフボウ3,4,5の各幅広部3a,4a,5aの幅(W1,W2,W3)よりも小さくなるように構成されている。なお、前記各間隔(D1,D2,D3,D4)の大きさは、本実施形態では、D1>D4>D2>D3となるように構成されている。
このように、本実施形態に係る車体のルーフ構造によれば、主要な振動源である車体前部に設置されるエンジン側に近い前側に位置する3つのルーフボウ3,4,5の各中央に幅広部3a,4a,5aを設け、かつ、ルーフボウ3,4,5の各幅広部3a,4a,5aにおける間隔(D2,D3)と、フロントルーフレール8とルーフボウ3の幅広部3aとの間隔(D1)と、ルーフボウ5の幅広部5aとルーフボウ6との間隔(D4)を、ルーフボウ3,4,5の各幅広部3a,4a,5aの幅(W1,W2,W3)よりも小さくなるようにしたことにより、ルーフパネル12を接着剤で接合して覆う(支える)範囲を広くすることができ、かつ、ルーフパネル12の中央部にルーフボウ3,4,5自体による荷重を集中させることができる。
これにより、エンジン振動等によって車体骨格に共振が生じた場合でもルーフパネル12の振動を効果的に抑制することができ、更に、ルーフパネル12の車室内空気への暴露面積を減少させることでルーフパネル12による車室内空気への振動伝播が抑えられ、ルーフパネル12からの発音を低減させることができる。
また、前側に位置する3つのルーフボウ3,4,5の各中央に幅広部3a,4a,5aを設けたことにより、接合されるルーフパネル12の持つ共振周波数および振動特性を変えることが可能となる。
これにより、車体骨格(ボディ構造体)の持つ共振周波数からルーフパネル12の持つ共振周波数を離すことが可能となるので、ルーフパネル12の振幅を低減して、ルーフパネル12からの発音を低減させることができる。
このように、ルーフパネル12からの発音を低減させることが可能となり、車室内でのこもり音の発生を抑えることができる。
〈実施形態2〉
図4は、本発明の実施形態2に係る車体(自動車)のルーフ構造を示す概略平面図、図5は、図4のB−B線断面図である。なお、図4において、左側が車体(自動車)の前側であり、右側が後側である。なお、前記実施形態1と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
前記実施形態1では、前側の3つのルーフボウの各中央に幅広部を形成した構成であったが、本実施形態では、図4、図5に示すように、車体左右のサイドルーフレール1,2の間に設置された複数(図4では、5つ)のルーフボウ3,4,5,6,7のうち、車体前部に設置されるエンジン側に近い前側の3つのルーフボウ3,4,5の幅を、中央のみならず長手方向両端部まで、後側に位置する2つのルーフボウ6,7の幅よりも幅広で直線状に形成した構成である。
なお、後側に位置する2つのルーフボウ6,7は、長手方向両端部まで幅狭(幅広の前記ルーフボウ3,4,5の3分の1程度の幅)で、直線状に形成されている。図5に示すように、各ルーフボウ3〜7の両側のフランジ部には、ほぼ平坦状なルーフパネル12の下面が接着剤により接合される。他の構成は前記実施形態1と同様である。
そして、車体幅方向の中央における、幅広に形成されたルーフボウ3,4,5のそれぞれの幅をW1,W2,W3(W1=W2=W3)、フロントルーフレール8とルーフボウ3との間隔をD1、ルーフボウ3とルーフボウ4との間隔をD2、ルーフボウ4とルーフボウ5との間隔をD3、ルーフボウ5とルーフボウ6との間隔をD4としたとき、前記各間隔(D1,D2,D3,D4)を、ルーフボウ3,4,5の幅(W1,W2,W3)よりも小さくなるように構成されている。なお、前記各間隔(D1,D2,D3,D4)の大きさは、本実施形態では、D1>D4>D2>D3となるように構成されている。
このように、本実施形態に係る車体のルーフ構造によれば、前側に位置する3つのルーフボウ3,4,5の幅を、後側に位置する2つのルーフボウ6,7の幅よりも幅広に形成し、かつ、ルーフボウ3,4,5の間の間隔(D2,D3)と、フロントルーフレール8とルーフボウ3との間隔(D1)と、ルーフボウ5とルーフボウ6との間隔(D4)を、ルーフボウ3,4,5の幅(W1,W2,W3)よりも小さくなるようにしたことにより、ルーフパネル12を接着剤で接合して覆う(支える)範囲を広くすることができる。
これにより、前記実施形態1と同様に、エンジン振動等によって車体骨格に共振が生じた場合でもルーフパネル12の振動を効果的に抑制して、ルーフパネル12からの発音を低減させることができる。
また、前側に位置する3つのルーフボウ3,4,5を幅広にしたことにより、接合されるルーフパネル12の持つ共振周波数および振動特性を変えることが可能となる。
これにより、車体骨格(ボディ構造体)の持つ共振周波数からルーフパネル12の持つ共振周波数を離すことが可能となるので、ルーフパネル12の振幅を低減して、ルーフパネル12からの発音を低減させることができる。
なお、前記した各実施形態は、本発明に係る車体のルーフ構造を車両前方側に位置するルーフボウに適用したが、本発明はこれに限らず、車両後方側に位置するルーフボウに適用してもかまわない。
本発明の実施形態1に係る車体のルーフ構造を示す概略平面図。 図1のA−A線断面図。 本発明の実施形態1における幅広部を設けた前側のルーフボウの拡大断面図。 本発明の実施形態2に係る車体のルーフ構造を示す概略平面図。 図4のB−B線断面図。
符号の説明
1,2 サイドルーフレール
3〜7 ルーフボウ
3a,4a,5a 幅広部
8 フロントルーフレール
9 リアルーフレール
12 ルーフパネル

Claims (3)

  1. 左右のサイドルーフレールの間に車体幅方向に沿って設けたルーフボウ上にルーフパネルが接合される車体のルーフ構造において、
    前記ルーフボウを車体前後方向に所定の間隔で複数設け、前記複数のルーフボウのうち、ある1つのルーフボウとそのルーフボウと隣接する少なくとも1つのルーフボウの、車体左右方向における少なくとも中央部の幅を、他のルーフボウの幅よりも幅広に形成した、
    ことを特徴とする車体のルーフ構造。
  2. 前記幅広部分を有するルーフボウは、その長手方向両端部まで幅広に形成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の車体のルーフ構造。
  3. 前記幅広部分を有するルーフボウの幅広部分の幅は、そのルーフボウと隣接するルーフボウとの幅広部分での間隔より大きくなっている、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車体のルーフ構造。
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