JP2010084803A - 車両構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両構造部材において、重量増加を伴うことなく、振動や変形を効果的に抑えることが出来る新規な車両構造を提供すること。
【解決手段】構造部材10に対して着脱可能な別部材からなる剛性部材12を採用し、この剛性部材12を構造部材10に対して連結ゴム弾性体14を介して弾性連結せしめた。更に、かかる連結ゴム弾性体14を、構造部材10と剛性部材12の少なくとも一方に対して非接着で離隔可能とすると共に、剛性部材12を構造部材10に向けて押圧保持する押圧機構24を設けて、連結ゴム弾性体14を構造部材10と剛性部材12との間で圧縮変形状態で介在させた。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両構造に係り、特に構造部材の重量増加を回避しつつ振動や変形を効果的に抑えることの出来る、新規な車両構造に関するものである。
良く知られているように、電車、自動車、オートバイ、自転車などの各種車両における構造部材には、走行時に路面や駆動系等から及ぼされる加振力や駆動反力、向心力、接地反力などの各種の外的荷重に対して車両構造体を保持し得るだけの基本強度が要求される。更に多くの場合、かかる構造部材には、基本強度に加えて、外的荷重の入力に際して振動や変形を抑える性能が要求される。蓋し、たとえ基本強度が確保されていても、外的荷重によって車両構造体に対して大きな振動や変形が発生すると、乗員に不安感を与えたり、車両の操縦応答性が低下したり、走行安定性が低下する等の問題が発生し易いからである。
一方、近年では、省資源や省エネルギーの観点重視の傾向から、車両にも軽量化が求められており、構造部材の軽量化が検討されている。ここにおいて、外的荷重に対して車両構造体を保持するための基本強度である設計強度さえ満足していれば良いとも考えられる。ところが、実際には、前述の如き車両の操縦応答性や走行安定性の向上等の要求から、設計強度に対して大きな余裕をもった強度設定がなされている。
このように、従来の車両の構造部材では、走行時の加振力等に起因する振動や変形を、構造部材そのものの剛性で抑えるように設計されていたのである。それ故、構造部材には、設計強度に比して剛性確保のための強度余裕を持たさざるを得ず、それに伴って構造部材の重量増加が避けられなかった。従って、構造部材においては、設計強度上から軽量化が出来そうに考えられるものの、現実には、設計強度に見合った軽量化は極めて困難だったのである。
かかる事情に鑑み、例えば特開2002−211437号公報(特許文献1)には、ハイドロリックダンパーを利用した車体構造が提案されている。走行時の加振力等に起因する振動や変形をハイドロリックダンパーの減衰力で抑えることにより、車両の構造部材の軽量化を図ることが出来るとされている。
しかしながら、かかる特許文献1に記載の補強部材は、粘性流体を封入したハイドロリックダンパーを補強部材として採用することから、補強部材の構造が複雑で重量も大きく、目的とする省資源や省エネルギーの観点から充分なものとは言い難かった。また、ハイドロリックダンパーは、構造部材とは別途に特別に準備しなければならないことから、補強部材の追加によって構造物の重量増加が避けられない。
なお、この特許文献1には、ハイドロリックダンパーに代えて、ゴム製の粘弾性部材を構造部材と補強部材との双方に焼き付けて両部材を一体的に弾性連結せしめた構造も提案されている。
ところが、補強部材を構造部材に対して焼付固着するには、ゴム製の粘弾性部材の成形をそれら補強部材と構造部材の存在下で実施する必要があることから、製造作業が極めて困難となる。しかも、ゴム製の粘弾性部材は、使用時におけるクラックの発生を完全に回避することが困難であり、かかる粘弾性部材が破断することで補強部材が構造部材から脱落してしまう危険も予想される。また、補強部材と構造部材の双方に焼付固着して両者間に介在せしめられる粘弾性部材において、ハイドロリックダンパーと同程度に大きな減衰を得ることが難しい。粘弾性部材の減衰能を大きくすると、ばね定数が著しく大きくなってしまうことに伴って、補強部材の変形や変位が構造部材に加振力として伝達されて振動状態が悪化してしまうおそれもある。加えて、粘弾性部材に対して圧縮/引張変形が生ぜしめられる方向で、構造部材に対する補強部材の相対変位が生ぜしめられることにより、粘弾性部材がバネとなって補強部材が大きく変位してマス−バネ共振が発生し、特定周波数域で振動部材の振動状態が大幅に悪化してしまうおそれもある。しかも、補強部材は構造部材に対して粘弾性部材で固着一体化されて取り外し不可能とされることから、結局、構造部材そのものが大型化および重量化するものと大差なく、そのように構造部材に固着一体化される補強部材では、補強部材の配設位置や大きさ等の選択範囲が非常に狭く実用化が難しいという問題もあった。
特開2002−211437号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、構造部材そのものの剛性を向上させる必要なく構造部材の振動や変形を効果的に低減することが出来、それによって構造部材の軽量化が図られ得る、実用性の高い新規な車両構造を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
本発明の特徴とするところは、車両の構造減衰を向上させる車両構造であって、車両の構造部材に対して着脱可能な別部材として剛性部材を設けると共に、該剛性部材を、該構造部材に対して連結ゴム弾性体を介して弾性支持せしめ、且つ、該連結ゴム弾性体は該構造部材と該剛性部材の少なくとも一方に対して非接着で離隔可能とすると共に、該剛性部材を該構造部材に向けて押圧保持する押圧機構を設けて、該連結ゴム弾性体を該構造部材と該剛性部材との間で圧縮変形状態で介在させたことにある。
本発明の車両構造の大きな特徴の一つは、「構造部材に対して別部材とされて、且つ構造部材に対して着脱可能とされた剛性部材を採用した」ことである。剛性部材と構造部材の間に介在される連結ゴム弾性体は、それら剛性部材と構造部材の少なくとも一方に対して非接着で離隔可能とされることによって、構造部材に対する剛性部材の着脱可能構造が担保されている。
これにより、構造部材に対して装着されるあらゆる部材の中から必要に応じて適当な部材を選択し、それを剛性部材として採用することが可能となった。要するに、従来から何等かの目的で構造部材に装着されていた部材を剛性部材として採用することが出来るのである。なお、剛性部材として適当な部材が無い場合等、構造部材に対して新たな部材を剛性部材として装着することを否定するものではない。
しかも、剛性部材は構造部材から着脱可能であり、特許文献1のように両者が焼付固着される必要がないことから、剛性部材としての選択範囲や装着可能範囲は、飛躍的に広がる。設計自由度の向上と、それに伴う本発明構造の採用のし易さが格段に向上されるのである。
加えて、本発明の車両構造のもう一つの大きな特徴は、「押圧機構により剛性部材を構造部材に向けて押圧させて、それら剛性部材と構造部材の間に連結ゴム弾性体を圧縮変形状態で介在せしめた」ことである。
これにより、連結ゴム弾性体を構造部材及び/又は剛性部材に対して非接着としつつ、連結ゴム弾性体を介しての構造部材と剛性部材の連結部位における構造部材に対する剛性部材の相対変位に際して、連結ゴム弾性体において大きな減衰効果が発揮されるように為し得たのである。即ち、連結ゴム弾性体は、非接着であったとしても、押圧機構によって構造部材と剛性部材に対して強固に押圧されることで押圧面での滑り等が防止されて、構造部材と剛性部材の相対変位が連結ゴム弾性体における剪断変形を効率的に生ぜしめ得る。しかも、仮に構造部材や剛性部材が連結ゴム弾性体に対する押圧面で滑ったとしても、押圧機構による押圧力に基づいて大きな摩擦力が発生し、これが減衰力としても寄与し得る。
このように、本発明においては、構造部材に対して所定の大きさを有する別体の剛性部材を取り付け、構造部材の振動や変形に際して構造部材と剛性部材との間に発現する変位に着目し、かかる相対的な変位部分に圧縮状態の連結ゴム弾性体を介在させたことにより、連結ゴム弾性体の減衰力を利用して、構造部材における減衰能を向上せしめ得たのである。そして、その結果、構造部材における振動や変形を抑えつつ、構造部材の軽量化を実現可能と為し得たのであって、ここに本発明の大きな技術的効果が存するのである。
しかも、本発明においては、押圧機構によって変形せしめられた連結ゴム弾性体の弾性反力により、剛性部材が構造部材に対する押圧方向の相対変位が拘束されることから、剛性部材をマスとし且つ連結ゴム弾性体をバネとする振動系における共振に起因する構造部材の振動状態の悪化が効果的に抑えられる。即ち、連結ゴム弾性体が押圧機構で圧縮変形状態に保持されることで、かかる振動系のばね定数が充分に大きくされて固有振動数が問題となる振動領域外に設定され得ると共に、剛性部材の振動部材に対する振動変位そのものが、押圧機構によって制限されることから、かかる振動系の共振が抑えられるのである。
加えて、本発明においては、連結ゴム弾性体が圧縮変形状態で介在されていることに加えて、そもそも連結ゴム弾性体で構造部材と剛性部材が固着されている訳ではないことから、連結ゴム弾性体における引張応力の発生が軽減乃至は回避される。それ故、連結ゴム弾性体におけるクラックの発生が防止されるのであり、また、たとえ連結ゴム弾性体にクラックが発生しても、押圧機構を利用すること等により剛性部材を構造部材に対して完全離脱不能にすることが容易である。それ故、別体の剛性部材を利用した本発明の車両構造においては、構造部材からの剛性部材の予期しない離脱が容易に防止され得るのである。
ところで、上述の如き本発明に従う車両構造では、各種の好適な態様が組み合わせされて適宜に採用され得る。具体的には、例えば、本発明の車両構造においては、例えば、前記剛性部材が板形状とされており、該剛性部材の複数箇所が、圧縮変形状態の前記連結ゴム弾性体を介して前記構造部材に弾性支持されている構成が、採用可能である。
本態様に従って板形状の剛性部材を採用することにより、例えば構造部材の表面に沿って剛性部材を配設することも可能となり、剛性部材の配設スペースを確保し易くなる。また、剛性部材の複数箇所を連結ゴム弾性体を介して弾性支持せしめることにより、連結ゴム弾性体の配設位置の設定自由度の向上や、剛性部材の支持安定性の向上等が図られ得る。なお、板形状の剛性部材は、例えば剛性を調節したり、構造部材の形状に対応させたりする等の目的で、湾曲や屈曲等されていても良いし、その外形は限定されるものでない。
なお、本発明において、構造部材と剛性部材との間に連結ゴム弾性体を介在させる位置は限定されるものでなく、外的荷重の入力時におけるそれら両部材の相対的変位量の大きさ分布等を考慮して連結ゴム弾性体の介在位置や数、形状等を適宜に設定することが可能である。例えば、板形状の剛性部材の略中央と構造部材との間に連結ゴム弾性体を介在させる態様が選択可能である。また、板形状の剛性部材を採用した場合には、例えば、上述の如く剛性部材の略中央で連結ゴム弾性体を介して構造部材に弾性支持せしめる構造の他、剛性部材の略中央をはさんで一方向両側で対向位置する2箇所で連結ゴム弾性体を介して構造部材に弾性支持せしめる構造や、更に、剛性部材の中央や外周部分の3箇所以上で連結ゴム弾性体を介して構造部材に弾性支持せしめる構造等も採用可能である。特に、剛性部材の外周の略全周を、連結ゴム弾性体を介して構造部材に弾性支持せしめることも可能であり、それによって、剛性部材による構造部材の減衰能向上効果を、より多方向で発揮させたり、より効率的に発揮させたりすることも可能となる。
また、本発明の車両構造においては、例えば、前記剛性部材が一方向に延びる長手形状とされており、該剛性部材の両端部分が、それぞれ、圧縮変形状態の前記連結ゴム弾性体を介して前記構造部材に弾性支持されている構成が、採用可能である。
本態様に従って長手形状の剛性部材を採用することにより、剛性部材の配設スペースの設定自由度が一層大きく確保され得る。なお、長手形状の剛性部材は、湾曲していても良いが、直線的に延びる形状を採用する方が、構造部材に対する減衰能向上効果が一層効果的に発揮され得る。また、かかる剛性部材は、板形状の他、ロッド形状等であっても良い。例えば円形や円筒、矩形等の断面のロッド状の剛性部材を採用する場合には、連結ゴム弾性体を介しての構造部材への連結部位においては、連結ゴム弾性体に対する圧縮力を効率的に及ぼすために、構造部材の表面に対向する平面形状とされていることが望ましい。
また、本発明の車両構造においては、例えば、前記剛性部材が、前記構造部材の表面に沿って略平行に配設されている構成が、好適に採用される。
本態様に従って構造部材に対して剛性部材を略平行に配設することにより、剛性部材の配設スペースを容易に確保できることに加えて、剛性部材による構造部材に対する減衰能向上効果をより効果的に得ることが可能となる。なお、剛性部材で覆われる態様となる、剛性部材に対向位置する構造部材の領域には、何等かの部品や装置が配設されていても良いし、適当な孔等が形成されていても良く、剛性部材に対向位置する部分における構造部材の具体的構造によって、剛性部材による構造部材の減衰能向上効果が悪影響を受けるものでない。
また、本発明の車両構造においては、例えば、前記剛性部材が、その対向位置する両端部における前記構造部材に対する弾性支持部の少なくとも一方において、前記押圧機構による押圧方向に対して直交する方向での相対変位を許容されている構成が、好適に採用される。
本態様に従って構造部材の配設方向での変位を許容することにより、連結ゴム弾性体における剪断変形が一層効率的に大きく許容されることとなる。その結果、連結ゴム弾性体の減衰力を利用した剛性部材による構造部材の減衰能向上効果の更なる増大が図られ得る。
また、本発明の車両構造においては、例えば、前記連結ゴム弾性体として非線形なばね特性を有するものが採用されており、該連結ゴム弾性体のばね特性が、その自由状態から前記押圧機構による押圧力が及ぼされて前記構造部材と前記剛性部材との間で圧縮変形されるに至るまでの初期ばね特性に比して、該押圧機構による押圧力が及ぼされて該構造部材と該剛性部材との間で圧縮変形状態とされた装着ばね特性が非線形的に大きくなるように設定されている構成が、好適に採用される。
本態様に従って押圧力作用方向で非線形なばね特性をもった連結ゴム弾性体を採用することにより、連結ゴム弾性体の減衰力を利用した剛性部材による構造部材の減衰能向上効果を充分に発揮させつつ、構造部材に対する剛性部材の着脱作業を容易に行えるようにして、本発明の用途の更なる拡大が図られる。例えば、構造部材に対して大きな頻度で着脱される部材を剛性部材として採用することも容易となる。即ち、剛性部材の着脱作業に際しては、小さい静ばね定数をもって連結ゴム弾性体を容易に圧縮することが出来ることにより、剛性部材を構造部材に対して容易に着脱することが可能となる。一方、剛性部材の装着状態下では、連結ゴム弾性体の動的ばね定数を充分に大きくすることが大きな減衰係数を発現するのに有効であり、それによって、目的とする剛性部材の構造部材に対する減衰能向上効果を一層効果的に得ることが可能となるのである。
また、本発明の車両構造においては、例えば、前記連結ゴム弾性体の内部に非圧縮性流体が封入された流体室が形成されており、前記構造部材の変形に際して該非圧縮性流体が該流体室内で流動せしめられることによって減衰効果が発揮されるようになっている構成が、好適に採用される。
本態様に従って流体封入式の連結ゴム弾性体を採用することにより、構造部材への荷重入力時に剛性部材が構造部材に対して相対変位せしめられることに伴って流体室内で流動せしめられる非圧縮性流体の共振作用等の流動作用を利用することが出来る。即ち、非圧縮性流体の流動作用を利用することにより、連結ゴム弾性体の静的なばね定数を小さく抑えつつ、動的状態での減衰係数を著しく大きく設定することが可能となる。これにより、剛性部材の構造部材に対する着脱作業を容易に実現させつつ、目的とする剛性部材の構造部材に対する減衰能向上効果を一層効果的に得ることが可能となるのである。
上述のとおり、本発明に従う車両構造においては、特に「構造部材に対して別部材とされて、且つ構造部材に対して着脱可能とされた剛性部材を採用した」構成と「押圧機構により剛性部材を構造部材に向けて押圧させて、それら剛性部材と構造部材の間に連結ゴム弾性体を圧縮変形状態で介在せしめた」構成とを、互いに組み合わせて採用したことにより、特許文献1に記載の如き複雑で特別な構造の剛性部材を必要とすることなく、構造部材に対して装着される適当な部材を剛性部材として適宜利用して、簡単な構造をもって、構造部材に対する優れた減衰能向上効果を達成せしめ得たのである。
しかも、本発明の車両構造に従えば、剛性部材を連結ゴム弾性体を介して構造部材に弾性連結せしめた構造を採用しつつも、剛性部材の共振等に起因する構造部材における振動の悪化が効果的に回避され得るのであり、連結ゴム弾性体を含む車両構造の耐久性と信頼性も高度に達成され得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての車両構造が縦断面図として示されている。かかる車両構造は、構造部材10に対して、剛性部材12を装着したことにより、構造部材10の減衰能を向上させ、それによって構造部材10の振動や変形の低減効果を達成せしめたものである。
より詳細には、構造部材10は、電車、自動車、オートバイなどの車両において外的荷重を受けて基本骨格を保持するための構造材である。本実施形態では、図示されているように板状に広がる面板部分を有している。なお、この構造部材10は、外的荷重に対する強度を満足するものであれば良く、その材質は特に限定されないが、例えば、鉄系金属やアルミニウム合金などの金属が採用される他、必要によって繊維補強された合成樹脂材なども好適に採用される。
かくの如き構造部材10には、剛性部材12が装着されている。この剛性部材12は、構造物において外的荷重を受けて基本骨格を保持するための構造材ではないが、構造部材10と略同程度或いはそれ以上の剛性を有するものが望ましい。具体的には、構造部材10と同様に、各種の金属材や合成樹脂材などが好適に採用される。
本実施形態では、平板形状の剛性部材12が採用されており、構造部材10における面板部分に対して、その上下一方の面に対して所定距離を隔てて略平行に配設されている。更に、構造部材10と剛性部材12との対向面間には、連結ゴム弾性体としての圧縮ゴムブロック14が組み付けられている。
この圧縮ゴムブロック14は、図2に示されている外力が及ぼされていないフリー状態下で中実のブロック形状とされており、一方向(図2中の上下方向)の両端面が互いに平行な略平坦面からなる当接面16,18とされている。そして、一方の当接面16において構造部材10の表面に重ね合わされていると共に、図1に示されているように、他方の当接面18において剛性部材12の表面に重ね合わされることにより、それら構造部材10と剛性部材12との対向面間に装着されている。
なお、圧縮ゴムブロック14は、構造部材10および剛性部材12に対して何れも非接着とされて分離可能とされていても良い。或いは、それら構造部材10と剛性部材12の何れか一方に接着されていても良い。換言すれば、圧縮ゴムブロック14は、構造部材10と剛性部材12の少なくとも一方に対して非接着とされており、それよって、剛性部材12を構造部材10から取り外したり、装着することを、繰り返すことが出来るようになっている。なお、圧縮ゴムブロック14の外周面は、構造部材10と剛性部材12との間への装着状態下でも大気中に露出して変形可能な自由表面とされている。
また、本実施形態では、かかる圧縮ゴムブロック14が、剛性部材12の略中央に位置して一つ或いは複数配設されている。なお、図1では、一つの断面において一つの圧縮ゴムブロック14だけが示されているが、構造部材10と剛性部材12との間には、この断面に表れていない他の圧縮ゴムブロック14が存在していても良い。
さらに、構造部材10と剛性部材12との間には、それら両部材10,12を相互に所定距離の接近状態に保持せしめる押圧機構が設けられている。本実施形態では、かかる押圧機構が、ボルト20とナット22による締付構造体24によって構成されている。
すなわち、本実施形態の剛性部材12には、圧縮ゴムブロック14が配設される中央部分から外周側に離隔した位置に、複数の遊挿孔30が板厚方向に貫通して形成されている。また、構造部材10には、剛性部材12への対向部分で遊挿孔30に対応する位置に、それぞれ、貫通孔28が板厚方向に貫通して形成されている。
そして、圧縮ゴムブロック14の配設領域を避けた剛性部材12の外周近くにおいて、締付構造体24を構成するボルト20が、剛性部材12の遊挿孔30から構造部材10の貫通孔28に挿し通されている。このボルト20には、貫通孔28から突出した先端部分に対して、ナット22が締め付けられている。そして、このナット22のボルト20に対する締付力が適当に調節されることにより、構造部材10と剛性部材12とが、圧縮ゴムブロック14の弾性に抗して、相互に接近方向に変位保持されている。
かかる装着状態下、剛性部材12が、構造部材10に対して、圧縮ゴムブロック14を介して弾性連結されているのである。また、構造部材10と剛性部材12の対向面間に介在された一つ又は複数の圧縮ゴムブロック14は、締付構造体24による締付力に基づいて、構造部材10と剛性部材12の対向方向となるボルト20の軸方向で所定量だけを圧縮変形された状態に保持されている。
なお、かかる装着状態下、構造部材10の貫通孔28と剛性部材12の遊挿孔30の少なくとも一方の内周面は、ボルト20の外周面に対して、少なくとも剛性部材12の長手方向で所定量の隙間を有することが望ましい。なお、図1に示された本実施形態では、剛性部材12の遊挿孔30において、図1中の左右方向で、ボルト20に対する僅かな隙間が設定されている。尤も、図1に示された剛性部材12の何れか一方の遊挿孔30においてだけ、ボルト20との間に隙間が設定されていても良い。このような隙間が、ボルト20との間に設定されていることにより、剛性部材12の構造部材10に対する相対変位が、特に長手方向において許容されている。
上述の如き構造の剛性部材12を備えた構造部材10においては、構造部材10に対して外的荷重が及ぼされた場合に、構造部材10が弾性的に変形すると、その変形が、圧縮ゴムブロック14を介して、剛性部材12に及ぼされる。要するに、剛性部材12は構造部材10に対して完全一体化されているのではなく、構造部材10から剛性部材12に至る力と歪の伝達経路が存在する。そして、この伝達経路上に圧縮ゴムブロック14が介在されている。
それ故、構造部材10が外力によって変形すると、圧縮ゴムブロック14の弾性変形に基づいて減衰力が構造部材10に対して及ぼされることとなる。その際、圧縮ゴムブロック14は、構造部材10への当接面と反対側の面が剛性部材12への当接によって拘束状態にあることから、剛性部材12の剛性や変形の位相遅れに基づいて、大きな減衰力が効率的に発揮されるのである。加えて、圧縮ゴムブロック14は、締付構造体24の締付力で予め圧縮状態に保持されていることから、フリー状態に比して動的ばね特性が大きくされて貯蔵ばねひいては減衰係数も一層大きくされている。
これにより、構造部材10の振動や変形に対して、大きな減衰力が作用され得て、構造部材10の制振性能の向上や変形(歪)量の低減が効果的に図られ得る。その結果、例えば車両における急加減速時やコーナリング時における体感剛性や体感反応性乃至はドライバビリティの向上、および乗り心地の向上などが、達成され得るのである。
しかも、構造部材10に対して剛性部材12が容易に着脱可能とされていることから、製造が容易であるだけでなく、剛性部材12の選定自由度ひいては構造部材10の設計自由度も充分に大きく確保され得る。
なお、本発明における押圧機構は、図1に示された締付構造体24に限定されるものではない。その具体的な別例を、図3〜5に示す。なお、以下の図面において、上述の第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、その理解を容易とするために、第一の実施形態と同一の符号を図中に付しておく。
図3に示された車両構造体は、構造部材10と剛性部材12との対向面間に複数個の圧縮ゴムブロック14が介在させられている。即ち、図1には、構造部材10と剛性部材12との対向面間に介在させられた圧縮ゴムブロック14が一つだけ図示されていたが、かかる圧縮ゴムブロック14を複数箇所に配設しても良い。なお、ここでいう「複数箇所」とは、2箇所や3箇所、或いは4箇所以上の他、実質的に無限大の箇所となる「周方向に連続した全周箇所」も含む。要するに、圧縮ゴムブロック14は、構造部材10に対して剛性部材12を安定して弾性連結せしめ得るに充分な箇所と数だけ装着されるものである。
特に、図3に示された態様では、第一の実施形態と同様に剛性部材12の略中央に一つの圧縮ゴムブロック14aが配設されていることに加えて、剛性部材12の長さ方向(図3中の左右方向)の両端部分にも、それぞれ、圧縮ゴムブロック14bが配設れている。そして、剛性部材12は、これら複数の圧縮ゴムブロック14a,14b,14bを介して構造部材10に対して弾性的に連結されて取り付けられている。
そして、図3に示された態様では、押圧機構としての締付構造体32が、中央の圧縮ゴムブロック14aを挟んだ両側において、両端の各圧縮ゴムブロック14bとの間にそれぞれ設けられている。要するに、締付構造体32は、複数の圧縮ゴムブロック14a,14b,14bの配設位置を避けて、何れの圧縮ゴムブロック14a,14b,14bからも離隔した位置に設けられている。
かかる締付構造体32は、構造部材10から剛性部材12の重ね合わせ面上に突出する状態で植設された植設ボルト34を備えている。剛性部材12には、構造部材10への装着状態下で植設ボルト34に対応する位置に遊挿孔36が貫設されている。そして、構造部材10に対して、圧縮ゴムブロック14a,14b,14bを介して重ね合わされた剛性部材12には、その遊挿孔36,36に対して、植設ボルト34,34が挿通されている。更に、剛性部材12の遊挿孔36,36から上方に突出した植設ボルト34,34の突出先端部には、締付ナット38,38が螺着されている。この締付ナット38,38が植設ボルト34,34に締め付けられることにより、圧縮ゴムブロック14a,14b,14bが圧縮変形状態に保持されており、かかる圧縮ゴムブロック14a,14b,14bを介して、剛性部材12が構造部材10に対して弾性連結状態で装着されている。
また、図4に示された押圧機構としての係止構造体40は、剛性部材12の構造部材10に対する直接的な係止機構によって構成されている。即ち、剛性部材12の端縁部には、圧縮ゴムブロック14への重ね合わせ面側に突出して略コ字形又は略U字形に折り返された係止フック42が一体形成されている。また、構造部材10には、剛性部材12の装着状態下で剛性部材12の端縁部が位置する部分に対応する部位に、開口窓44が開口形成されている。そして、この構造部材10の開口窓44に対して、剛性部材12の係止フック42の折返し部分を挿し入れて、構造部材10の裏面(圧縮ゴムブロック14の重ね合わせ面と反対側の面)側に回り込ませることにより、かかる係止フック42の折返し部分を構造部材10の裏面に重ね合わせて係止させることができるようになっている。かかる係止フック42の構造部材10への係止状態下では、剛性部材12の構造部材10からの離隔方向変位量が制限されることにより、これら剛性部材12と構造部材10との間で、圧縮ゴムブロック14が圧縮変形状態保持されており、かかる圧縮ゴムブロック14を介して、剛性部材12と構造部材10が弾性連結されている。また、剛性部材12の係止フック42は、構造部材10の開口窓44に対して隙間をもって挿通されていることから、剛性部材12の構造部材10に対する面方向乃至は長手方向での相対変位が許容され得る。
更にまた、図5に示された押圧機構としての係止構造体46は、剛性部材12の構造部材10に対する係止機構によって構成されている。即ち、構造部材10における圧縮ゴムブロック14の重ね合わせ面上には、剛性部材12の装着状態下で剛性部材12の端縁部が位置する部位において、カギ形の係止片48が、一軸回りで揺動可能に装着されている。この係止片48のカギ形の先端係止部50が、剛性部材12の端縁部に対して、外面(圧縮ゴムブロック14の重ね合わせ面と反対面)に重ね合わされて係止されることにより、剛性部材12の構造部材10からの離隔方向の変位が阻止される。そして、圧縮ゴムブロック14の弾性を利用して、圧縮ゴムブロック14を構造部材10との間で圧縮変形状態に保持せしめた位置に、剛性部材12が保持されるようになっている。なお、係止片48が剛性部材12から不必要に離脱してしまわないように、例えば係止片48の先端係止部50と剛性部材12の外面との間に相互に係合する凹凸係合部を設ける等しても良い。また、かかる係止構造体46においても、係止片48の揺動変位や、係止片48に対する剛性部材12の相対変位に基づいて、剛性部材12の構造部材10に対する面方向乃至は長手方向での相対変位が許容され得る。
さらに、本発明における剛性部材の具体的構造は、図1に示された剛性部材12に限定されるものでない。その具体的な別例を、図6〜8に示す。なお、図6〜8は、剛性部材の内面(構造部材10に対して重ね合わされる面)を示す平面図であり、圧縮ゴムブロックを装着位置に載置せしめた状態を示す。なお、かかる圧縮ゴムブロックは、剛性部材に対して接着されていても良いし、非接着でも良い。圧縮ゴムブロックが剛性部材に接着されている場合には、かかる圧縮ゴムブロックは構造部材に対して非接着とされる。
図6に示された剛性部材52は、一方向(図中の左右方向)に直線的に一定幅で延びる長手板形状とされている。そして、この剛性部材52の長手方向両端部分に対して、一対の圧縮ゴムブロック54,54が装着されている。なお、各圧縮ゴムブロック54は、図2と同様な断面を有する矩形ブロック形状とされている。また、剛性部材52には、ボルトが挿通される遊挿孔30が、圧縮ゴムブロック54を外れた位置に複数(図示では計4個)形成されている。
また、図7に示された剛性部材56は、矩形平面形状で広がる平板とされている。そして、この剛性部材56には、4辺の端縁部近くにおいて、それぞれ、略全長に近い領域に亘って延びるように長手矩形状の圧縮ゴムブロック58aが装着されている。また、剛性部材56の略中央部分には、略正方形状の圧縮ゴムブロック58bが装着されている。これら何れの圧縮ゴムブロック58a,58bも、図2と同様な断面を有する矩形ブロック形状とされている。更に、中央の圧縮ゴムブロック58bの周りには、周囲の4つの圧縮ゴムブロック58aとの略中間に位置して、ボルトが挿通される遊挿孔30が、周上で複数(図周上で8個)形成されている。
更にまた、図8に示された剛性部材60は、図7と略同様に矩形平面形状で広がる平板とされている。そして、この剛性部材60の外周部分には、略一定の断面形状で周方向の全周に亘って連続して延びる環状の圧縮ゴムブロック62が装着されている。なお、剛性部材60には、圧縮ゴムブロック62を外周側に外れた位置に、ボルト装着用の遊挿孔64が、複数(本図では計8個)形成されており、例えば図3に示されたものと同様に、構造部材10に突設された植設ボルトをこれら遊挿孔64に挿通してナットで締付締結することが出来るようになっている。
このような矩形平面状の剛性部材60を全周に亘って延びる圧縮ゴムブロック62を介して構造部材10に装着することにより、剛性部材60の剛性を「線」でなく「面」で効かせることが出来る。それ故、剛性部材60による構造部材10に対する減衰能向上効果の更なる向上が図られる。また、構造部材10の複数方向に対する剛性部材60による減衰能向上効果が発揮されることとなり、構造部材10の捩れ方向の減衰能向上等も効果的に達成され得る。
さらに、本発明における連結ゴム弾性体の具体的構造は、図1に示された圧縮ゴムブロック14に限定されるものでない。その具体的な別例を、図9及び図12に示す。
図9に示された連結ゴム弾性体65は、軟質ゴム弾性体66と硬質ゴム弾性体68の組合構造体にて構成されている。軟質ゴム弾性体66は、略一定厚さで略オーバル形状の断面をもって紙面に垂直な方向に延びる中空チューブ形状とされている。中空構造とされることにより、この軟質ゴム弾性体66は、構造部材10に重ね合わされる剛性部材12で押圧された際、図10に示されているように、比較的容易に変形して柔らかいばね特性、特に小さな静的ばね定数をもって変形するようになっている。
一方、硬質ゴム弾性体68は、中実の厚肉溝形断面をもって紙面に垂直な方向に延びている。特に幅方向両側壁部70,70の肉厚が大きくされていることにより、構造部材10に重ね合わされる剛性部材12で押圧された際、図10に示されているように、幅方向両側壁部70,70が圧縮変形せしめられることとなり、それによって硬いばね特性、特に大きな貯蔵ばね定数ひいては高減衰特性を発揮するようになっている。
なお、本実施形態では、硬質ゴム弾性体68の溝形状内に中空構造の軟質ゴム弾性体66が収容状態で配設されている。これにより、軟質ゴム弾性体66が保護されていると共に、軟質ゴム弾性体66における局所的な変形や応力集中が軽減されて、軟質ゴム弾性体66の耐久性と信頼性の向上が図られている。
かくの如き、軟質ゴム弾性体66と硬質ゴム弾性体68の組合構造体からなる連結ゴム弾性体65においては、図9に示された初期状態から、構造部材10と剛性部材12との間での押圧方向への荷重−撓み特性を測定すると、図11に示されている如き非線形状態となる。即ち、撓み量が点:Aに達するまでは、軟質ゴム弾性体66の弾性変形が支配的となって、柔らかいばね特性が発揮される。一方、撓み量が点:Aを超えると、軟質ゴム弾性体66と共に硬質ゴム弾性体68も弾性変形することとなり、その状態では硬質ゴム弾性体68による硬いばね特性が発揮される。
そして、このような連結ゴム弾性体65を採用した車両構造では、図10に示される装着状態での連結ゴム弾性体65の撓み量が図11に示すAとなるように、調節されている。これにより、構造部材10に対して剛性部材12を装着したり取り外したりする際に、構造部材10と剛性部材12との間に及ぼされる連結ゴム弾性体65の弾性反力が比較的小さく抑えられて、剛性部材の着脱作業を容易に行うことが出来るようになる。一方、構造部材10に対して剛性部材12を装着した状態下では、連結ゴム弾性体65による大きなばね定数と減衰特性が発揮され得て、目的とする構造部材10に対する減衰能向上効果が効果的に発揮され得るのである。
また、図12に示された連結ゴム弾性体72は、それぞれ密閉構造とされた第一の袋状ゴム弾性体74および第二の袋状ゴム弾性体76と支持ゴム弾性体78とからなる複合構造とされている。
支持ゴム弾性体78は、断面が厚肉のH字形状とされており、幅方向両側においてそれぞれ構造部材10と剛性部材12の重ね合わせ方向に立ち上がる一対の厚肉側壁部80,80と、それら一対の厚肉側壁部80,80を高さ方向中間部分で相互に連結する厚肉平板形状の隔壁部82とから構成されている。なお、かかる支持ゴム弾性体78は、図示された略H字状断面で紙面に垂直な方向に延びる長尺形状とされて、図12中の上下にそれぞれ開口する凹所84,86が、紙面に垂直な方向に延びる溝形状とされていても良いし、或いは、図12の中央で上下に延びる中心軸回りの回転体形状とされて、図12中の上下にそれぞれ開口する凹所84,86が、それぞれ環状の周壁を有する円形凹所等として形成されていても良い。
一方、第一の袋状ゴム弾性体74と第二の袋状ゴム弾性体76は、何れも、略一定厚さのゴム膜で形成されており、ボールを上下に少し押しつぶしたような扁平中空形状とされている。なお、これら第一の袋状ゴム弾性体74および第二の袋状ゴム弾性体76は、紙面に垂直な方向に所定長さで延びる長尺の袋形状とされていても良い。
そして、支持ゴム弾性体78の上側の凹所84内に第一の袋状ゴム弾性体74が嵌め入れられて収容配置されている。また、支持ゴム弾性体78の下側の凹所86内に第二の袋状ゴム弾性体76が嵌め入れられて収容配置されている。支持ゴム弾性体78は、第一及び第二の袋状ゴム弾性体74,76に比して大きな静的ばね特性およびばね剛性を有しており、図13に示されているように構造部材10と剛性部材12との間で連結ゴム弾性体72が圧縮変形せしめられた場合でも、第一及び第二の袋状ゴム弾性体74,76の収容領域の潰れや消失を防止して、第一及び第二の袋状ゴム弾性体74,76を保護するようになっている。特に、構造部材10と剛性部材12との間で連結ゴム弾性体72に押圧力が及ぼされた場合に、支持ゴム弾性体78における厚肉側壁部80,80が圧縮変形せしめられることとなり、それによって硬いばね特性、特に大きな貯蔵ばね定数ひいては高減衰特性を発揮するようになっている。
また、好適には、第一の袋状ゴム弾性体74は第二の袋状ゴム弾性体76に比して、壁ばね剛性が大きく設定されている。壁ばね剛性とは、第一及び第二の袋状ゴム弾性体74,76の容積を単位量だけ変化させるに必要とされる圧力変化量と同義である。
更にまた、初期形状として、第一の袋状ゴム弾性体74は、図12に示されているように膨らんだ状態に保持されて、支持ゴム弾性体78の上側の凹所84の開口部から外方に一部が突出した状態に弾性維持されるようになっていることが望ましい。より好適には、図13に示されているように構造部材10と剛性部材12との間で連結ゴム弾性体72が圧縮変形せしめられた装着状態下では、支持ゴム弾性体78の上側の凹所84と剛性部材12とで画成される領域内に略充填されるように、即ち第一の袋状ゴム弾性体74の外側には、上側の凹所84内に空間が出来るだけ残存しないように、かかる第一の袋状ゴム弾性体74の大きさが、凹所84内の容積を考慮して設定される。
また一方、第二の袋状ゴム弾性体76は、初期形状として、図12に示されているように、支持ゴム弾性体78の下側の凹所86内に完全に収容され、且つ、凹所86の内部において第二の袋状ゴム弾性体76の外側に充分な容積の空間が残存するように、かかる第二の袋状ゴム弾性体76の大きさが、凹所86内の容積を考慮して設定される。より好適には、図12に示されているように、第二の袋状ゴム弾性体76の表面が弛みをもった形状設定されており、第二の袋状ゴム弾性体76が容易に膨出変形されて、容積変化が容易に許容されるように設定される。
さらに、上述の如き第一及び第二の袋状ゴム弾性体74,76が上下の凹所84,86に収容配置された支持ゴム弾性体78には、その隔壁部82を貫通して接続流路88,88が形成されている。これらの接続流路88,88は、何れも、一方の端部が第一の袋状ゴム弾性体74の内部に連通されていると共に、他方の端部が第二の袋状ゴム弾性体76の内部に連通されている。要するに、第一の袋状ゴム弾性体74内の密閉された内部領域と、第二の袋状ゴム弾性体76内の密閉された内部領域とが、接続流路88,88によって相互に接続されているのである。
また、この接続流路88,88で接続された第一及び第二の袋状ゴム弾性体74,76の内部領域は、それぞれ、第一及び第二の流体室90,92とされており、水やポリアルキレングリコール等の非圧縮性流体が封入されて充填されている。即ち、本実施形態においては、第一及び第二の流体室90,92と接続流路88,88とを含んで、流体室が構成されている。
かくの如き構造とされた連結ゴム弾性体72は、図12に示されている如き初期状態では、第一の袋状ゴム弾性体74の弾性変形に基づいて柔らかいばね特性が発揮される一方、図13に示されている如き、構造部材10と剛性部材12との対向面間での圧縮変形状態での装着状態下では、支持ゴム弾性体78のばね剛性に基づいて硬いばね特性ひいては高減衰効果が発揮され得る。それによって、前述の図9〜11に示された実施形態と同様に、非線形なばね特性が発揮されるのであり、剛性部材12の構造部材10に対する着脱作業の容易化と、剛性部材12を利用した構造部材10に対する減衰能向上効果とが、両立して効果的に達成され得るのである。
それに加えて、図12〜13に示された構造の連結ゴム弾性体72においては、図13に示されている如き装着状態下で構造部材10に対して外力による変形が生ぜしめられ、それが連結ゴム弾性体72を介して剛性部材12に伝達される際、連結ゴム弾性体72に弾性変形が惹起されるのに伴って、第一の袋状ゴム弾性体74内に圧力変動が生ぜしめられる。そして、この第一の袋状ゴム弾性体74内の圧力変動が、容積可変とされた第二の袋状ゴム弾性体76内との間で相対的な圧力変動となり、それら両者間での相対的な圧力変動に基づいて、封入された非圧縮性流体が接続流路88,88を通じて流動せしめられる。それ故、この流体流動を利用して、詳しくは流体の共振的な流動作用を利用することにより、例えば図14に示されているように、特定周波数域で高減衰効果を得ることが出来るのである。
なお、接続流路88,88を流動せしめられる流体の共振作用に基づく高減衰効果が発揮される周波数は、例えば、接続流路88,88の流路断面積と流路長さを調節することによってチューニングすることが可能である。
また、かくの如き内部に非圧縮性流体が封入された連結ゴム弾性体72は、特に前記図8に示されている如き平板形状で広がる剛性部材と組み合わせて好適に採用される。これにより、構造部材に発生するねじれ方向等の変形に対して、剛性部材への荷重入力方向が流体流動を一層効果的に生ぜしめるように作用して、流体の流動作用に基づく高減衰効果がより効果的に発揮され得ることとなる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその他各種の態様において実施可能であり、当業者の想到し得る各種の公知技術と組み合わせることも可能である。
例えば、本発明における剛性部材は、複数の部材を相互に固定的に連結した複合構造体であっても良い。また、本発明における剛性部材は、構造部材と別体形成されたものであれば良く、構造部材に対して完全に分離されて取り外される態様に限定されるものでない。例えばチェーン等の連結材で連結された状態を維持されつつ取り外される構造の部材や、ゴム等の弾性材や可撓連結材等で屈曲可能に連結された状態を維持されつつ取り外される構造の部材などを、剛性部材として採用することも可能である。
また、本発明における剛性部材は、構造部材に対して、その全体が平行に対向位置している必要はなく、部分的に対向位置していないものや、部分的に或いは全体が構造部材に対して傾斜配置されたもの、或いは部分的にリブ等の突起があるものなど、各種態様が採用可能である。
また、本発明において、剛性部材を構造部材に向けて押圧保持する押圧機構として、コイルスプリング等の金属ばねや連結ゴム弾性体とは別のゴム弾性体等を利用して、剛性部材を構造部材に向けて弾性的に押圧保持せしめることも可能である。
更にまた、締付構造体として図1等に例示の如きボルト20とナット22の締付構造を採用する場合において、圧縮ゴムブロック14に対してボルト20を挿通位置せしめても良い。なお、その場合には、圧縮ゴムブロック14においてボルト20を挿通させるための挿通孔を、ボルト20の外径より充分に大きな内径をもって形成する等して、構造部材10に対する剛性部材12の相対変位と圧縮ゴムブロック14の弾性変形が充分に許容されるようにすることが望ましい。
本発明の一実施形態としての車両構造の要部を示す縦断面図。 同車両構造における剛性部材の装着前の状態を示す縦断面図。 本発明の別の実施形態としての車両構造の要部の縦断面図。 本発明の更に別の実施形態としての車両構造の要部の縦断面図。 本発明の更に別の実施形態としての車両構造の要部の縦断面図。 本発明の更に別の実施形態としての車両構造における剛性部材の内面を示す平面図。 本発明の更に別の実施形態としての車両構造における剛性部材の内面を示す平面図。 本発明の更に別の実施形態としての車両構造における剛性部材の内面を示す平面図。 本発明の更に別の実施形態としての車両構造における剛性部材装着前の状態を示す縦断面図。 同車両構造の縦断面図。 同車両構造の荷重−撓み特性を示すグラフ。 本発明の更に別の実施形態としての車両構造における剛性部材装着前の状態を示す縦断面図。 同車両構造の要部の縦断面図。 同車両構造の減衰特性を示すグラフ。
符号の説明
10:構造部材、12,52,56,60:剛性部材、14,54,58,62:圧縮ゴムブロック、24,32:締付構造体、65,72:連結ゴム弾性体、88:接続流路、90:第一の流体室、92:第二の流体室

Claims (7)

  1. 車両の構造減衰を向上させる車両構造であって、
    車両の構造部材に対して着脱可能な別部材として剛性部材を設けると共に、
    該剛性部材を、該構造部材に対して連結ゴム弾性体を介して弾性支持せしめ、且つ、
    該連結ゴム弾性体は該構造部材と該剛性部材の少なくとも一方に対して非接着で離隔可能とすると共に、
    該剛性部材を該構造部材に向けて押圧保持する押圧機構を設けて、該連結ゴム弾性体を該構造部材と該剛性部材との間で圧縮変形状態で介在させた
    ことを特徴とする車両構造。
  2. 前記剛性部材が板形状とされており、該剛性部材の複数箇所が、圧縮変形状態の前記連結ゴム弾性体を介して前記構造部材に弾性支持されている請求項1記載の車両構造。
  3. 前記剛性部材が一方向に延びる長手形状とされており、該剛性部材の両端部分が、それぞれ、圧縮変形状態の前記連結ゴム弾性体を介して前記構造部材に弾性支持されている請求項1又は2に記載の車両構造。
  4. 前記剛性部材が、前記構造部材の表面に沿って略平行に配設されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の車両構造。
  5. 前記剛性部材が、その対向位置する両端部における前記構造部材に対する弾性支持部の少なくとも一方において、前記押圧機構による押圧方向に対して直交する方向での相対変位を許容されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の車両構造。
  6. 前記連結ゴム弾性体として非線形なばね特性を有するものが採用されており、該連結ゴム弾性体のばね特性が、その自由状態から前記押圧機構による押圧力が及ぼされて前記構造部材と前記剛性部材との間で圧縮変形されるに至るまでの初期ばね特性に比して、該押圧機構による押圧力が及ぼされて該構造部材と該剛性部材との間で圧縮変形状態とされた装着ばね特性が非線形的に大きくなるように設定されている請求項1乃至5の何れか一項に記載の車両構造。
  7. 前記連結ゴム弾性体の内部に非圧縮性流体が封入された流体室が形成されており、前記構造部材の変形に際して該非圧縮性流体が該流体室内で流動せしめられることによって減衰効果が発揮されるようになっている請求項1乃至6の何れか一項に記載の車両構造。
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