本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、二方向のばねを柔らかく設定しながら、他の一方向のばねを比較的に硬く設定することができると共に、柔らかいばねが設定される二方向において、車両ボデーに対するマフラーの相対変位量を制限することができる、新規な構造のマフラーハンガを提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
すなわち、本発明の第一の態様は、車両ボデーにマフラーを吊持するマフラーハンガであって、上下に離隔して並列に延びる上下の支持部と、それら上下の支持部を各長さ方向の中間部分で相互に連結する連結部とが一体で設けられており、前記車両ボデーと前記マフラーの何れか一方に取り付けられる硬質の変位規制部材を備えていると共に、該変位規制部材の長さ方向両側部分において該上下の支持部を相互に繋ぐ取付ゴムが、互いに離隔する方向に突出する一対のアーチ状部をもって形成されており、該一対のアーチ状部に装着孔が貫通形成されていると共に、該車両ボデーと該マフラーの何れか他方に設けられた装着部が該装着孔に挿通されることにより、該変位規制部材の長さ方向両側に設けられた各該取付ゴムが該車両ボデーと該マフラーの何れか他方に取り付けられるようになっている一方、各該取付ゴムの該一対のアーチ状部に挿通された各該装着部が該変位規制部材における該連結部の両側で該上下の支持部の間に配されて、各該装着部の該変位規制部材への当接によって該車両ボデーに対する該マフラーの相対変位量を制限する変位規制手段が構成されるようにしたことを、特徴とする。
このような第一の態様に従う構造とされたマフラーハンガによれば、取付ゴムがそれぞれアーチ形状を有する一対のアーチ状部で構成されていることから、上下方向および支持部の延伸方向(長さ方向)の入力に対して、固着端部の剪断ばね成分による柔らかいばね特性が実現されて、振動絶縁効果が有効に発揮される。一方、上下方向および支持部の延伸方向の両方と直交する方向では、振動入力に対してアーチ状部の両側部分に位置する固着端部の圧縮ばね成分による硬いばね特性が実現されて、マフラーの車両ボデーに対する相対変位量が制限される。このように、本態様に係るマフラーハンガによれば、二方向での低ばね特性による振動絶縁効果と、他の一方向での高ばね特性による変位規制効果とを、簡単な構造で両立して実現することができる。
しかも、上下方向および支持部の延伸方向の両方と直交する各一方側に突出するように配された一対のアーチ状部からなる各取付ゴムが、支持部の長さ方向の両側に位置する両端部分にそれぞれ設けられている。これにより、支持部の両端部分でマフラーをバランスよく支持することができると共に、上下方向および支持部の延伸方向との直交方向両側において、何れも硬いばね特性が実現されて、マフラーの変位量を低減することができる。
さらに、柔らかいばね特性が設定される二方向では、硬質の変位規制部材と装着部との当接によって、マフラーの車両ボデーに対する相対変位量を制限する変位規制手段が構成されることから、取付ゴムの過大な変形が防止されて、柔らかいばね特性を設定しつつ、十分な耐久性が確保される。
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載されたマフラーハンガであって、前記変位規制部材の前記連結部において、前記車両ボデーに取り付けられる取付部が設けられているものである。
本態様によれば、例えば変位規制部材の長さ方向の略中央位置となるバランス的に良好な位置において、マフラーハンガを車両ボデーに取り付けて支持させることも可能になる。
本発明の第三の態様は、第一の態様に記載されたマフラーハンガであって、前記変位規制部材における前記上下の支持部の一方において、前記車両ボデーに取り付けられる取付部が設けられているものである。
本態様によれば、例えば変位規制部材の支持部を車両ボデーに対して重ね合わせるようにしたり、或いは支持部の長さ方向の複数箇所で車両ボデーに対して固定するようにして、マフラーハンガを車両ボデーに対して一層安定して支持させることも可能になる。
本発明の第四の態様は、第三の態様に記載されたマフラーハンガにおいて、前記上下の支持部の一方に植設された取付ボルトによって前記取付部が構成されているものである。
本態様によれば、変位規制部材を車両ボデーに対して取り付ける作業が容易となり、且つ、強固に固定することができる。なお、複数本の取付ボルトを、変位規制部材の支持部から突出して固着することも可能である。また、取付ボルトは、上下一方の支持部から、他方の支持部と反対側に向かって突出する状態で設けることが好適であり、それによって、車両ボデー面に対して取付ボルトで一層正確な位置決め状態で強固に固定して取り付けることが可能になる。
本発明の第五の態様は、前記第一〜四の何れかの態様に記載されたマフラーハンガにおいて、前記各取付ゴムの前記装着孔に前記マフラーの前記装着部が挿通されて、各該取付ゴムが該マフラーに取り付けられるようになっていると共に、前記変位規制部材における上側の前記支持部の長さ方向両側部分が中間部分よりも上方に突出して上下に厚肉とされた厚肉固着部とされており、各該厚肉固着部の上部に各該取付ゴムを構成する前記一対のアーチ状部の上端部がそれぞれ固着されていると共に、各該取付ゴムを構成する該一対のアーチ状部の下端部が下側の前記支持部の長さ方向両側部分の上部にそれぞれ固着されているものである。
本態様のマフラーハンガでは、取付ゴムにおける上側部分の自由長が大きく確保されることから、車両への装着状態でマフラー重量の分担支持荷重が取付ゴムに下向きに作用して、各アーチ状部の上側部分に引張応力が生ぜしめられても広く分散され得て、耐久性が十分に確保される。一方、分担支持荷重による引張応力が生じ難い各アーチ状部の下側部分は、より水平に近い方向に延びる形状とすることにより、上下方向および支持部の延伸方向の両方に対する直交方向で、圧縮ばねを有利に得ることが望ましい。
本発明の第六の態様は、第一〜五の何れかの態様に記載されたマフラーハンガにおいて、前記変位規制部材が合成樹脂で形成されているものである。
本態様によれば、金属製の変位規制部材などに比して大幅な軽量化が図られる。更に、変位規制部材を大きな形状自由度で容易に形成することができる。また、前記第四の態様と本態様を組み合わせて採用することにより、変位規制部材の成形型に予め取付ボルトをセットして成形と同時に取付ボルトを固着することで、植設ボルトを変位規制部材に対して容易に植設することも可能となる。
本発明の第七の態様は、第一〜六の何れかの態様に記載されたマフラーハンガにおいて、前記取付ゴムを構成する前記一対のアーチ状部の中間部分が筒状の接続部で相互に接続されており、該接続部の中心孔によって前記装着孔が構成されているものである。
本態様によれば、取付ゴムを構成する一対のアーチ状部の中間部分同士が、厚さ方向で連結部によって連結されて補強されることから、連結部および支持部と直交する方向の入力に対して、取付ゴムの中間部分の変形剛性が高められて、硬いばね特性が有効に発揮される。また、一対のアーチ状部と連結部とを貫通するように装着孔が形成されることから、装着孔に対する装着部の挿通が容易になって、車両への取付作業が簡単になる。
本発明の第八の態様は、第一〜七の何れかの態様に記載されたマフラーハンガにおいて、前記取付ゴムを構成する前記一対のアーチ状部の厚さが、前記上下の支持部に固着された両端部分よりも中間部分において厚肉とされているものである。
本態様によれば、取付ゴムを構成する一対のアーチ状部の中間部分において厚さ方向の変形剛性が大きく確保されることから、取付部および支持部と直交する方向(厚さ方向)の入力時に、取付ゴムの上下両側部分において略圧縮方向とされる変形量に対して、取付ゴムの中間部分において略剪断方向とされる変形量が著しく大きくなるのを防いで、硬いばね特性を有効に得ることができる。
本発明の第九の態様は、第一〜八の何れかの態様に記載されたマフラーハンガにおいて、前記変位規制部材の長さ方向両側部分にそれぞれ設けられた取付ゴムが、該変位規制部材の長さ方向中間部分を覆う被覆ゴムを介して相互に接続されて一体的に形成されているものである。
本態様によれば、変位規制部材の長さ方向両側部分に設けられる取付ゴムを一体的に形成することができると共に、例えば変位規制部材において装着部が打ち当たることでストッパ機構を構成する部位に緩衝ゴム層を一体形成することも容易に実現可能となる。
本発明の第十の態様は、第一〜九の何れかの態様に記載されたマフラーハンガであって、前記変位規制部材の長さ方向両側部分にそれぞれ設けられた取付ゴムが、前記変位規制部材の長さ方向で対向する前記各アーチ状部の上下の両端部分における内周角部において、該変位規制部材に沿って長さ方向に延びる接続ゴムによって相互に接続されているものである。
本態様によれば、上下方向の振動入力時に応力が集中的に発生しやすいアーチ状部の上下の両端部分において、成形型の型抜構造上でアール面を設定し難い内周角部が、接続ゴムによって相互に接続される。それ故、各アーチ状部の上下の両端部分における内周角部が実質的に消失することとなり、振動入力時における応力集中に起因する亀裂発生等の問題が、型構造の複雑化等を伴うことなく回避されて耐久性の向上が図られ得る。
本発明によれば、変位規制部材に固着される取付ゴムが、一対のアーチ状部で構成されて、変位規制部材の連結部および支持部と直交する各一方側に突出していることから、連結部および支持部の延伸方向では、取付ゴムにおける固着端部の剪断ばね成分によって、柔らかいばね特性が実現されると共に、連結部および支持部と直交する方向(厚さ方向)では、各アーチ状部の両端部分における圧縮ばね成分によって、硬いばね特性が実現される。更に、柔らかいばねが設定される連結部と支持部の各延伸方向(上下方向と左右方向)では、車両側から延びる装着部と変位規制部材の当接によって変位規制手段が構成されるようになっており、取付ゴムの過大な変形が防止されることで耐久性の向上も図られる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜3には、本発明の第一の実施形態としてのマフラーハンガ10が示されている。マフラーハンガ10は、硬質の変位規制部材12に二つの取付ゴム14,14を固着した構造を有しており、変位規制部材12が車両ボデー16に取り付けられると共に、取付ゴム14,14がマフラー18に取り付けられることにより、マフラー18を車両ボデー16に対して弾性的に吊持するようになっている。なお、以下の説明において、特に説明がない限り、前後方向とは車両装着状態において車両前後方向となる図3中の左右方向を、上下方向とは車両装着状態において車両上下方向となる図2中の上下方向を、左右方向とは車両装着状態において車両左右方向となる図2中の左右方向を、それぞれ言う。
より詳細には、変位規制部材12は、合成樹脂で形成された硬質の部材であって、図4に示すように、全体として略横転H字形状を呈しており、上下に離隔して相互に並列に延びる一対の支持部20,20と、それら一対の支持部20,20を長さ方向となる左右方向の中央部分で相互に連結する連結部22とを、一体で備えている。
支持部20は、左右方向で直線的に延びるロッド状とされており、上面が略一定の断面形状で前後に広がっていると共に、下面が前後中央に向かって下傾する下方に凸の略円弧状湾曲面とされている。更に、支持部20における左右方向の両端部分には、中間部分に比して上下外方に突出して上下方向で厚肉とされた厚肉固着部24が設けられている。
連結部22は、上下方向に直線的に延びる略矩形ブロック形状又は平板形状とされて、上下端部が上下一対の支持部20,20と一体で接続されていると共に、図5に示すように、一対の支持部20,20よりも前後方向寸法(厚さ寸法)が大きくされて前後両側に突出している。更に、連結部22には、略中央部分において前後方向に貫通する縦長の略長円断面形状の挿通孔26が形成されている。
なお、変位規制部材12の形成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド(以下、PA)6、PA66等のPA系樹脂全般などが、好適に採用され得る。また、上記の形成材料は、単独で或いは2種以上を組み合わせて採用することができる。更に、上記の合成樹脂材料にガラス繊維等を加えて強度を増すことも可能である。更にまた、変位規制部材12の形成材料は、熱可塑性の合成樹脂に限定されるものではなく、熱硬化性の合成樹脂も採用され得る。加えて、変位規制部材12は、軽量化などの目的で合成樹脂製が望ましいが、鉄やアルミニウム合金などの金属で形成することもできる。
また、変位規制部材12は、表面の略全体が被覆ゴム層28で覆われている。更に、連結部22の左右両側面にそれぞれ第一の緩衝ゴム30が設けられていると共に、下側の支持部20の上面に第二の緩衝ゴム32が設けられている。第一の緩衝ゴム30は、図4に示すように、被覆ゴム層28と一体形成されて、被覆ゴム層28よりも厚肉とされており、本実施形態では上下方向の中央部分が両端部分よりも突出高さの小さい凹んだ形状とされて、その上下両側がそれぞれ山形断面で前後方向に延びている。一方、第二の緩衝ゴム32は、図4,6に示すように、下側の支持部20の左右両端部において上面を覆う被覆ゴム層28と一体形成されて、上方に向かって突出して左右に延びる突条形状を有しており、本実施形態では、前後方向に所定の間隔で三条が並列に形成されている。
さらに、図4,5に示すように、変位規制部材12に形成された挿通孔26の内周面には、被覆ゴム層28と一体形成された中央嵌着ゴム34が固着されている。中央嵌着ゴム34は、挿通孔26に充填されていると共に、連結部22よりも前後外方まで突出している。更に、中央嵌着ゴム34には、中央部分を貫通する略円形断面のボデー装着孔36が形成されている。即ち、本実施形態では、変位規制部材12の連結部22において、車両ボデー側への取付部が、ボデー装着孔36を含んで構成されている。
また、変位規制部材12の上下一対の支持部20,20には、長さ方向の両側部分(左右両端部分)に取付ゴム14,14が固着されている。取付ゴム14は、被覆ゴム層28と一体形成された全体としてリング帯状のゴム弾性体であって、上下の径方向両側部分において変位規制部材12の上下の支持部20,20に固着されている。
すなわち、かかる取付ゴム14は、変位規制部材12を厚さ方向両側から挟むように位置せしめられて、上下の支持部20,20から厚さ方向の両側に向かって互いに離れる方向に膨らんだ一対のアーチ状部37,37を含んで構成されている。各アーチ状部37は、中間部分が略上下方向に延びていると共に、上下の両側部分が支持部20に向かって傾斜して延びている。そして、アーチ状部37は、当該両側部分が、一対の支持部20,20の各一方に固着された固着端部38,38とされていると共に、当該中間部分が、柱状又は板状の中間取付板部40とされている。
固着端部38は、上方又は下方の先端に行くに従って内方に向かって変位規制部材12に近づく方向に傾斜しながら前後に突出していると共に、本実施形態では、前後外方となる中間取付板部40に近づくに従って次第に左右方向で幅広となっている(図2参照)。なお、本実施形態では、上側の固着端部38が、全体に亘って前後外方および上方に向かって凸の湾曲形状とされている一方、下側の固着端部38が、両端部分において前後外方および下方に向かって凸の湾曲形状とされていると共に、中間部分において前後外方および下方に向かって凹の湾曲形状とされている。
中間取付板部40は、左右方向に略一定の幅寸法で上下に延びており、中間取付板部40が上下の固着端部38,38と一体形成されることにより、厚さ方向で湾曲して前後外方に向かって凸となるアーチ形状を構成している。なお、取付ゴム14を構成する各アーチ状部37において、中間取付板部40の厚さ寸法(t1)が、固着端部38の厚さ寸法(t2)よりも大きく(t1>t2)されており、本実施形態では、中間取付板部40の平均幅寸法も固着端部38より大きくされていることと相俟って断面積が大きくされて、左右及び上下の方向において、中間取付板部40の変形剛性が、固着端部38の変形剛性よりも大きくされている。
かくの如き構造とされたアーチ状部37は、上下の固着端部38,38の各先端が上下一対の支持部20,20の各一方に固着されて、上下一対の支持部20,20の間に跨って延びている。本実施形態では、上側の固着端部38が、上側の支持部20における厚肉固着部24の上端部に固着されて、自由長を大きく確保されている一方、下側の固着端部38が、下側の支持部20における厚肉固着部24の上端部に固着されて、自由長を相対的に小さくされている。
さらに、前後一対のアーチ状部37,37が、変位規制部材12の前後各一方側に設けられて、相互に略対称に配されていることにより、図3に示す側方視で全体として略環状構造をもって取付ゴム14が構成されていると共に、かかる取付ゴム14が、支持部20の左右両端部にそれぞれ固着されて対をなすように二つ設けられている。即ち、前後一対のアーチ状部37,37の各固着端部38が、変位規制部材12の前後各一方の面から前後外方に向かって延び出しており、アーチ状部37,37が変位規制部材12の前後に突出して前後外方に向かって凸形状をなしている。本実施形態では、前後一対のアーチ状部37,37が、変位規制部材12の前後両側に相互に対称的なアーチ形状で突出している。
また、各取付ゴム14において、前後一対のアーチ状部37,37の中間取付板部40,40は、接続部42によって相互に連結されている。接続部42は、筒状のゴム弾性体で形成されており、前後一対の中間取付板部40,40の対向面間を前後にストレート形状で延びて、前後一対の中間取付板部40,40と一体形成されている。左右両側に設けられた取付ゴム14,14にそれぞれ形成された接続部42,42は、変位規制部材12の連結部22に対して左右各一方の側方を前後に延びていると共に、一対の支持部20,20の上下間に配されている。また、中間取付板部40,40および接続部42には、前後方向に貫通するマフラー装着孔44が、略一定の円形断面で延びている。なお、接続部42の下部には、第三の緩衝ゴム46が一体形成されており、下部が上部よりも厚肉とされている。また、図4に示されているように、本実施形態の接続部42は、左右外側の外周面が略円弧状の断面を有する湾曲面とされていると共に、左右内側の外周面が左右方向と略直交して広がる略平面とされている。
このような構造とされたマフラーハンガ10は、図7,8に示すように、車両に装着される。即ち、車両ボデー16から突出するボデー側装着ピン48が、中央嵌着ゴム34が固着された変位規制部材12の挿通孔26に挿通されて、挿通孔26内に開口する中央嵌着ゴム34のボデー装着孔36に嵌め入れられることにより、変位規制部材12の連結部22が車両ボデー16に取り付けられる。一方、マフラー18から突出する装着部としてのマフラー側装着ピン50,50が、前後一対の取付ゴム14,14と接続部42とを貫通する左右のマフラー装着孔44,44に挿通されることにより、前後一対の取付ゴム14,14が左右両側においてマフラー18に取り付けられる。これにより、マフラーハンガ10の車両装着状態において、マフラー18がマフラーハンガ10を介して車両ボデー16に吊持されるようになっている。本実施形態では、マフラー装着孔44が、前後一対の取付ゴム14,14と接続部42を貫通して形成されており、周壁部の拡径変形も比較的容易に許容されるようになっていることから、マフラー側装着ピン50をマフラー装着孔44に容易に挿通することができる。また、ボデー側装着孔36も中央嵌着ゴム34で構成されていることから、中央嵌着ゴム34の弾性変形に基づいて、ボデー側装着ピン48を変位規制部材12の挿通孔26に対して容易に挿通して取り付けることができる。
また、車両装着状態において、左右のマフラー側装着ピン50,50は、変位規制部材12における連結部22に対して左右各一方の側方を前後に延びている。更に、左右のマフラー側装着ピン50,50は、変位規制部材12における一対の支持部20,20の上下間を前後に延びている。要するに、マフラー側装着ピン50,50の前後方向の少なくとも一部が、変位規制部材12の一対の支持部20,20と連結部22によって、周囲の三方を囲まれている。なお、マフラー側装着ピン50,50およびそれに外挿された接続部42,42は、被覆ゴム層28および緩衝ゴム30,32で覆われた変位規制部材12に対して、所定の距離だけ離隔して配されている。
なお、図7,8では、マフラー18の質量による取付ゴム14の変形が省略されて図示されている。マフラー18の分担支持荷重が入力されると、取付ゴム14の上側の固着端部38に引張応力が作用するが、本実施形態では、上側の固着端部38が支持部20における厚肉固着部24の上端部に固着されて、上側の固着端部38の自由長が長く確保されることにより、応力や歪の分散により耐久性が確保されている。
そして、車両装着状態において、車両ボデー16とマフラー18の間に上下方向の振動が入力されると、主として取付ゴム14の固着端部38が上下方向に剪断変形して、剪断ばね成分の柔らかいばね特性(小さなばね定数)によって、目的とする防振効果(振動絶縁効果)が有効に発揮される。
さらに、マフラー18の左右方向の振動入力時には、主として取付ゴム14の固着端部38が左右方向に剪断変形して、剪断ばね成分の柔らかいばね特性によって目的とする防振効果が有効に発揮される。なお、中間取付板部40も剪断変形となることから柔らかいばね特性に寄与し得るが、本実施形態の取付ゴム14は、固着端部38が支持部20への固着端に向かって左右方向で次第に狭幅となっていることから、左右方向の振動入力時に、取付ゴム14において固着端部38の剪断変形が、中間取付板部40の剪断変形よりも優先的に生ぜしめられる。
また、前後方向の振動入力時には、上下の固着端部38,38が何れも圧縮変形して、圧縮ばね成分による硬いばね特性(大きなばね定数)によって、マフラー18の車両ボデー16に対する相対変位量が制限される。
本実施形態では、中間取付板部40の厚さ寸法(t1)が、固着端部38の厚さ寸法(t2)よりも大きく(t1>t2)されており、前後方向の振動入力に対して、中間取付板部40の変形剛性が、固着端部38の変形剛性に比して大きくされている。これにより、中間取付板部40の厚さ方向の剪断変形が生じ難くなっており、車両の前後方向で固着端部38の圧縮による硬いばねを得て、マフラー18の保持性能が有効に発揮されるようにすることができる。
しかも、前後一対の中間取付板部40,40が前後に延びる筒状の接続部42によって相互に連結されており、前後方向の入力に対して、車両前後方向となる中間取付板部40,40の厚さ方向での弾性変形が、より生じ難くなっている。
加えて、取付ゴム14における下側の固着端部38は、支持部20の上端部に固着されて、自由長が上側固着端部38より短くされていることから、前後入力に対して圧縮ばね成分による硬いばねが有効に発揮されて、マフラー18の前後方向への変位量が制限されている。特に、下側の固着端部38の中間部分が、下方に凹となる湾曲形状とされており、マフラー18の分担支持荷重による変形状態で、より水平に近い方向で前後に延びるようになっていることから、前後方向での圧縮による硬いばねをより効率的に得ることができる。
以上のように、取付ゴム14が前後外方に向かって凸となるアーチ形状とされていることにより、車両の二方向(上下方向および左右方向)において、取付ゴム14の剪断ばね成分による柔らかいばね特性が実現されると共に、車両の他の一方向(前後方向)において、取付ゴム14の圧縮ばね成分による硬いばね特性が実現される。
さらに、図6に示すように、前後一対の取付ゴム14,14の前後方向外面間の距離、換言すればマフラー装着孔44の長さ(L1)が十分に大きくされている。これにより、図6中の左右両端が上下に相対変位してマフラー装着孔44に挿通されるマフラー側装着ピン50が傾動する上下のこじり変位時に、取付ゴム14が長さ方向に圧縮されて、圧縮ばね成分による比較的硬いばね特性が発揮されることから、マフラー18のこじり方向への振れが制限される。要するに、こじり変位時には、略アーチ形状とされた取付ゴム14,14に対して略軸方向となる荷重が及ぼされることから、上下の固着端部38,38にも圧縮及び引張方向の変形が積極的に生ぜしめられることで有効な変位抑制機能が発揮されるのである。
更にまた、図4に示すように、車両ボデー16への装着部分(ボデー装着孔36)からマフラー18への装着部分(マフラー装着孔44)までの距離(L2)が大きく確保されることから、マフラー18がボデー装着孔36周りで周方向に変位して、図4中で一対のマフラー装着孔44,44の中心を繋ぐ線が傾動するように取付ゴム14が弾性変形する場合に、硬いばねを得ることができて、マフラー18の変位量が制限される。
また、柔らかいばねが設定される車両の二方向(上下方向および左右方向)では、車両ボデー16に対するマフラー18の相対変位量を制限する変位規制手段が、効率的且つ有効に構成される。
すなわち、マフラーハンガ10の車両装着状態において、マフラー側装着ピン50が、変位規制部材12における上下一対の支持部20,20の対向部間に挿通状態で差し入れられており、マフラー支持荷重が入力された装着状態で支持部20,20間の略中央に位置せしめられている。そして、上下方向の大荷重入力時には、マフラー側装着ピン50と支持部20の当接によって、マフラー18と車両ボデー16の上下方向への相対変位量を制限する上下変位規制手段が構成される。
一方、一対のマフラー側装着ピン50,50が、変位規制部材12における連結部22の左右各一方の側方に所定距離を隔てて配されている。そして、左右方向の大荷重入力時には、マフラー側装着ピン50と連結部22の当接によって、マフラー18との車両ボデー16の左右方向への相対変位量を制限する左右変位規制手段が構成される。
本実施形態では、マフラー側装着ピン50が、マフラー装着孔44への挿入により、ゴム弾性体で形成された接続部42によって外周面を覆われると共に、変位規制部材12の表面が被覆ゴム層28で覆われている。これらによって、変位規制手段において、マフラー側装着ピン50と変位規制部材12が、ゴム弾性体を介して緩衝的に当接せしめられるようになっており、変位規制時の当接時の衝撃が低減されることで、打音や乗り心地への悪影響などが低減される。特に、当接時の衝撃が大きくなり易い方向では、被覆ゴム層28が部分的に厚肉とされて、第一の緩衝ゴム30と第二の緩衝ゴム32が形成されていると共に、接続部42が部分的に厚肉とされて、第三の緩衝ゴム46が形成されており、当接時の緩衝作用が有利に発揮されるようになっている。
さらに、変位規制部材12が合成樹脂で形成されていることから、本発明に係るマフラーハンガ10を軽量で得ることができる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、変位規制部材12は、合成樹脂製に限定されるものではなく、例えば、鉄やアルミニウム合金などの金属で形成されていても良いし、取付ゴム14よりも硬いゴムやエラストマで形成されていても良い。
前記実施形態の変位規制部材12は、上下および前後、左右でそれぞれ対称形状とされているが、変位規制部材が対称形状とされることは必須ではない。例えば、下側の支持部20において、下方の固着端部38が固着されていない厚肉固着部24の下端縁部を無くして上下寸法を小さくすることにより、更なる軽量化を図ることも可能である。
また、変位規制部材12の連結部22がマフラー18に取り付けられると共に、取付ゴム14の中間取付板部40が車両ボデー16に取り付けられるようになっていても良い。この場合には、マフラー18の分担支持荷重の作用方向が上下逆向きとなることから、マフラーハンガ10が上下逆向きに取り付けられることが望ましい。
更にまた、変位規制部材12において、車両ボデーと前記マフラーの何れか一方に取り付けられる取付部の位置や具体的取付構造についても、第一の実施形態に示された連結部22の挿通孔26などに限定されるものでない。かかる変位規制部材12における取付部の別態様を含むマフラーハンガを、本発明の第二の実施形態として、図面を参照しつつ、以下に説明する。
すなわち、図9〜15に示された本発明の第二の実施形態としてのマフラーハンガ60は、第一の実施形態と同様に、全体として略I形又は横向きH形の正面形状とされた変位規制部材62に対して、取付ゴム64,64が加硫接着により一体的に設けられた構造とされている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、第一の実施形態と同一の符号を図中に付することにより、その詳細な説明を省略する。
ここにおいて、変位規制部材62は、図16に取付ゴム64,64の被着前の構造が示されているように、上下を略水平方向に平行に延びる一対の支持部66,66を備えていると共に、これら一対の支持部66,66の長さ方向中央部分が連結部68によって一体的に連結されている。
特に、第一の実施形態では一対の支持部20,20や連結部22が長さ方向で断面形状が変化する構造となっていたが、本実施形態では、一対の支持部66,66および連結部68が、何れも、長さ方向の全長に亘って略一定の断面形状とされている。また、一対の支持部66,66と連結部68は、略等しい厚さ寸法をもって形成されている。
さらに、第一の実施形態では連結部22の中央部分に位置して車両ボデーへの取付部として挿通孔26が形成されていたが、それに代えて本実施形態では、下方の支持部66の下端部に位置して車両ボデーへの取付部として取付ボルト70,70が植設されている。具体的には、支持部66の下端部が幅広の装着部分72とされており、金属製の取付ボルト70の頭部70aが、かかる装着部分72に埋め込まれて固着され、取付ボルト70の脚部70bが支持部66から下方に向かって突設されている。
なお、取付ボルト70の具体的な位置や数は限定されるものでないが、本実施形態では、下方の支持部66において、連結部68から左右両側に延び出した部分に各一つの取付ボルト70が固着されている。支持部66において取付ボルト70が固着された装着部分72は、取付ボルト70の頭部70aに対応して、当該頭部70aよりも一回り大きな略円形の厚板形状をもって形成されている。また、下方の支持部66の長さ方向中間部分74も、両側の取付ボルト70,70が固着された装着部分72,72をつなぐように幅寸法が下方に向かって広がる厚肉形状とされており、取付部を構成する支持部66の強度や剛性の向上が図られている(図13参照)。
そして、このような構造とされた変位規制部材62には、第一の実施形態と同様に、その表面を覆うようにゴム弾性体が加硫接着されて被着形成されている。かかる変位規制部材62に固着されたゴム弾性体は、変位規制部材62の長さ方向両側部分に位置して、前後方向両側に向かってそれぞれ湾曲して突出する一対のアーチ状部37,37を備えた取付ゴム64,64を形成している。即ち、本実施形態の取付ゴム64は、第一の実施形態の取付ゴム14と略同じ構造となっており、一対のアーチ状部37,37の各中央部分の間に跨がって接続部42が設けられていると共に、接続部42を貫通してマフラー装着孔44が形成されている。
尤も、本実施形態の取付ゴム64では、各アーチ状部37の上側の固着端部の先端が変位規制部材62の上側の支持部66の高さ方向中間部分に固着されている。この点において、各アーチ状部37の上側の固着端部の先端が変位規制部材12の上側の支持部20の高さ方向上端近くに固着された第一の実施形態とは、構成において差異がある。このように、アーチ状部37の支持部20への固着位置を調節することにより、マフラー支持荷重や取付ゴム64の弾性などを考慮して、接続部42と支持部66との間の上下方向のストッパクリアランスの調節設定を適宜に行うことができる。
また、本実施形態では、接続部42と支持部66との当接に基づく上下方向のストッパ機構において、第一の実施形態における複数突条からなる第二の緩衝ゴム32に代えて、支持部66側から接続部42に向かって突出する緩衝突部76が採用されている。このように第二の緩衝ゴムとしての緩衝突部76の突出高さや形状を適宜に調節することにより、ストッパ機構における緩衝機能などを適宜に調節設定することができる。
なお、このような任意の形状からなる緩衝突部は、上側の支持部66側から接続部42に向かって突出形成しても良いし、連結部22から接続部42に向かって左右方向に突出する第一の緩衝ゴムとして採用することも可能である。要するに、ストッパ機構を構成する各部位における緩衝ゴムの具体的形状や大きさなどは、限定されるものでない。また、接続部42側から緩衝突部を突出形成することも可能である。なお、本実施形態では、接続部42の軸方向中間部分の外径寸法が大きくされて厚肉とされていることで、各方向のストッパ当接時における緩衝作用の更なる向上が図られている。
特に本実施形態では、第一の実施形態と異なり変位規制部材12の連結部68には取付部が設けられていないことから、連結部68にゴム弾性体を被着形成することは必ずしも必要ない。尤も、本実施形態では、連結部68の外周面にも緩衝ゴム層が被着形成されており、接続部42の左右方向への当接に伴うストッパ作用時における衝撃や異音の軽減作用の向上が図られている。なお、左右方向のストッパ機構において緩衝作用を発揮する第一の緩衝ゴムとして、第一の実施形態では連結部68の外周面から接続部42に向かって突出するゴム突部が採用されていたが、本実施形態では、接続部42が外周側に厚肉とされて連結部68に向かって突出するゴム突部77が採用されている。
さらに、ゴム弾性体は、変位規制部材12の長さ方向の両側部分に設けられた一対の取付ゴム64,64を少なくとも備えていれば足りるが、特に本実施形態では、第一の緩衝ゴム30及び緩衝突部76がゴム弾性体で形成されている。また、変位規制部材12における上下の支持部66の長さ方向中間部分にもゴム弾性体が被着形成されており、上下の支持部66の長さ方向中間部分を覆う被覆ゴム(被覆ゴム層28)によって一対の取付ゴム64,64が相互に接続されて一体的に形成されている。
加えて、上下の支持部66の長さ方向中間部分に被着されて一対の取付ゴム64,64を接続する被覆ゴム層28には、上下の支持部66の両側面に沿って長さ方向に延びる接続ゴム部78が、外周面に突出して一体的に形成されている。そして、この接続ゴム部78により、支持部の各一方の側において長さ方向両側に設けられたアーチ状部37,37の上下の両端部分(固着端部38,38)における内周角部が相互に接続されている。
すなわち、かかる接続ゴム部78でアーチ状部37,37の上下の固着端部38,38における内周角部のエッジが実質的になくされている。これにより、例えば図15に示されているように、アーチ状部37の内周側と外周側の各成形用型について、ゴムの加硫成形後に内型を図15中の左右方向に抜くと共に外型を図15中の下方に抜くなどして型抜きすることにより、アーチ状部37の表面においてピン角のように角が立つ形状を容易に回避することが可能になる。
その結果、振動荷重が及ぼされて弾性変形せしめられる取付ゴム64における角部に適切なアール形状を容易に付することが可能になり、角部における応力や歪の集中を回避して耐久性や信頼性の向上が図られ得るのである。
そして、上述の如き構造とされた本実施形態のマフラーハンガ60は、第一の実施形態と同様に、車両ボデーとマフラーとの間に装着されてマフラーを車両ボデーに対して防振支持せしめるようにされる。その際、マフラーは、第一の実施形態と同様に、マフラーに形成された2本のマフラー側装着ピンが、取付ゴム64,64のマフラー装着孔44,44に対して、それぞれ挿通されることによって取り付けられる。
一方、車両ボデーの装着部に対するマフラーハンガ60の取付けは、第一の実施形態とは異なり、変位規制部材62に植設された取付ボルト70によって行われる。例えば本実施形態では、車両ボデーのメンバ部材などのボデー部材に対して変位規制部材62が載置状態でセットされ、ボデー部材に貫設されたボルト装着孔に対して、取付ボルト70,70の脚部70b,70bが挿通されると共に、ナットで締付固定されることによって、マフラーハンガ60の変位規制部材62が車両ボデーに対して取り付けられるようになっている。
なお、図9等に示されたマフラーハンガ60を上下反転して、変位規制部材62をボデー部材の下面に重ね合わせて吊下状態で、マフラーハンガ60をボデー部材に取り付けることも可能である。その場合には、マフラーの静的な支持荷重によって取付ゴム64,64に及ぼされる変形を考慮して、上下の支持部66,66間における接続部42の位置を調節することを含めて取付ゴム64,64の形状の確認と設計変形が適宜に施され得る。
そして、このような本実施形態のマフラーハンガ60も、各方向でのばね特性や防振特性の良好な実現や、各方向でのストッパ機能の実現など、第一の実施形態と同様な技術的効果を有効に発揮し得ることとなる。また、本実施形態のマフラーハンガ60では、第一の実施形態のマフラーハンガ10と同様に、万一に取付ゴム64,64が破断した場合でも、変位規制部材62の連結部68を挟んだ両側において取付ゴム64,64のマフラー装着孔44に挿通された2本のマフラー側装着ピンが、変位規制部材62に引っ掛かることでマフラーの脱落が防止されてフェイルセーフ機能が発揮され得ることとなる。
なお、本実施形態において、左右のアーチ状部37,37の内周角部を相互に連結するように延びる接続ゴム部78は、各アーチ状部37,37の上下の少なくとも一方の固着端部38側に形成されていれば良い。また、かかる接続ゴム部78は,各アーチ状部37,37の外表面において角がたつことを回避できれば良く、成形型の型抜きが可能であることを要件として、支持部66の長さ方向の中間部分で突出高さを小さくされて実質的に消失しているような態様も採用され得る。勿論、このような接続ゴム部78は、本発明において必須ではない。
このような構造とされたマフラーハンガ10は、図7,8に示すように、車両に装着される。即ち、車両ボデー16から突出するボデー側装着ピン48が、中央嵌着ゴム34が固着された変位規制部材12の挿通孔26に挿通されて、挿通孔26内に開口する中央嵌着ゴム34のボデー装着孔36に嵌め入れられることにより、変位規制部材12の連結部22が車両ボデー16に取り付けられる。一方、マフラー18から突出する装着部としてのマフラー側装着ピン50,50が、前後一対の中間取付板部40,40と接続部42とを貫通する左右のマフラー装着孔44,44に挿通されることにより、一対の取付ゴム14,14が左右両側においてマフラー18に取り付けられる。これにより、マフラーハンガ10の車両装着状態において、マフラー18がマフラーハンガ10を介して車両ボデー16に吊持されるようになっている。本実施形態では、マフラー装着孔44が、前後一対の中間取付板部40,40と接続部42を貫通して形成されており、周壁部の拡径変形も比較的容易に許容されるようになっていることから、マフラー側装着ピン50をマフラー装着孔44に容易に挿通することができる。また、ボデー装着孔36も中央嵌着ゴム34で構成されていることから、中央嵌着ゴム34の弾性変形に基づいて、ボデー側装着ピン48を変位規制部材12の挿通孔26に対して容易に挿通して取り付けることができる。
尤も、本実施形態の取付ゴム64では、各アーチ状部37の上側の固着端部の先端が変位規制部材62の上側の支持部66の高さ方向中間部分に固着されている。この点において、各アーチ状部37の上側の固着端部の先端が変位規制部材12の上側の支持部20の高さ方向上端近くに固着された第一の実施形態とは、構成において差異がある。このように、アーチ状部37の支持部66への固着位置を調節することにより、マフラー支持荷重や取付ゴム64の弾性などを考慮して、接続部42と支持部66との間の上下方向のストッパクリアランスの調節設定を適宜に行うことができる。
そして、上述の如き構造とされた本実施形態のマフラーハンガ60は、第一の実施形態と同様に、車両ボデーとマフラーとの間に装着されてマフラーを車両ボデーに対して防振支持せしめるようにされる。その際、マフラーは、第一の実施形態と同様に、マフラーに形成された装着部としての2本のマフラー側装着ピンが、取付ゴム64,64のマフラー装着孔44,44に対して、それぞれ挿通されることによって取り付けられる。