JP2018089962A - 積層フィルムの製造方法 - Google Patents

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崇正 岩見
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Abstract

【課題】少なくとも一方の面に塗布層を有する積層フィルムにおいて、透明性、印刷層やハードコート層との接着性を両立した積層フィルムを提供する。【解決手段】本発明の積層フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、塗布層を有する積層フィルムの製造方法であって、前記塗布層が熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に塗液を塗布した後に加熱することで形成され、前記塗液が体積平均粒子径0.01μm以上0.1μm以下のイソシアネート化合物を含む製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、イソシアネート化合物を含有する塗液を塗布した後に加熱することで形成される塗布層を有する積層フィルムの製造方法に関する。
従来、樹脂成形物に加飾を施し、かつ耐摩耗性、高表面硬度などのハードコート性を付与する方法として次のような方法が知られている。基材フィルム上に印刷層、蒸着層などから構成される加飾層、UV硬化型樹脂からなるハードコート層が、この順に積層された射出成形用加飾シートを、ハードコート層側を樹脂成形物の成形時に貼り付ける方法である。また、基材フィルムの片面に加飾層を設け、もう一方の面にハードコート層を設け、加飾層側に更に粘着層を積層し、成形物の成形時に粘着層側を樹脂成形物側に貼り合わせる方法も知られている。ここで用いられる基材フィルムとしては、種々の樹脂からなるフィルムが挙げられる。その中でも、物性、価格等の面から二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムが主に用いられている。ここで基材フィルムと、印刷層やハードコート層の接着性を向上させるためには、基材フィルムに易接着層を付与する方法が一般的である。
しかしながら、従来の易接着層を設けた積層フィルムでは、積層フィルムと印刷層やハードコート層との接着性が不十分であるという問題がある。また、長時間高温高湿下に曝されると、易接着層と印刷層の接着性、または易接着層とハードコート層との接着性の低下が生じるといった問題があった。積層フィルムは、携帯電話や電気製品などの筐体に使用されるため、常態(通常の状態)の接着性に加え、高温高湿下に曝した後の湿熱接着性も要求されている。そのため、基材フィルムにはしばしば接着性を目的に易接着層の処方が改良されており、中でも易接着の硬度を高めるためイソシアネート基を官能基にもつ架橋剤が用いられていることが知られている。
更に、加飾層の色調や質感を樹脂成形物に反映させるためには、積層フィルムの透明性も重要であり、積層フィルムを構成する基材フィルムや易接着層の透明性も重要である。
このような課題を解決するため、アクリル・ウレタン共重合樹脂、ポリエステル樹脂、架橋剤を易接着層の構成樹脂に用いる手法が知られている(特許文献1)。またアクリル・ウレタン共重合樹脂を含む水溶性樹脂にイソシアネート架橋剤を易接着層の構成樹脂に用いる手法も知られている(特許文献2)。しかしながら、特許文献1、2に記載の技術は易接着性と透明性の両立については不十分であるという問題がある。
特開2006−215175号公報 特開2016−66063号公報
そこで本発明の課題は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、イソシアネート化合物を含有する塗液を塗布した後に加熱することで形成される積層フィルムにおいて、透明性を保持し、印刷層やハードコート層との接着性に優れた積層フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明に係る積層フィルムの製造方法は、次の構成を有するものである。
(1)熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、塗布層を有する積層フィルムの製造方法であって、前記塗布層が熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に塗液を塗布した後に加熱することで形成され、前記塗液が体積平均粒子径0.01μm以上0.1μm以下のイソシアネート化合物を含む積層フィルムの製造方法。
(2)前記塗布層を形成する際の熱処理温度が100℃以上250℃以下であり、熱処理時間が30秒以上180秒以下である(1)に記載の積層フィルムの製造方法。(3)前記塗液が、アクリル・ウレタン共重合樹脂、架橋剤を含む(1)または(2)に記載の積層フィルムの製造方法。
(4)熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に塗液を塗布した後、少なくとも一軸方向に延伸する工程を含む(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
(5)前記塗液中に含有するイソシアネート化合物が、光散乱法によって求められる粒子径R(粒子径d90−粒子径d10)が0.01μm以上0.05μm以下である(1)〜(4)のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
(6)前記塗液が、アクリル・ウレタン共重合樹脂、イソシアネート架橋剤を含む(1)〜(5)に記載の積層フィルムの製造方法。
(7)前記塗液が、アクリル・ウレタン共重合樹脂、イソシアネート架橋剤、イソシアネート架橋剤を除く架橋剤を含有する(1)〜(6)に記載の積層フィルムの製造方法。
(8)前記塗液のpHが1.0以上6.0以下である(1)〜(7)のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
本発明によれば、透明性を保持し、印刷層やハードコート層との接着性に優れた積層フィルムを製造することが可能になる。
本発明の積層フィルムの製造方法は、基材となる熱可塑性樹脂フィルム(以下、基材フィルムと言う場合がある。)の少なくとも一方の面に、塗布層を有する積層フィルムの製造方法である。該塗布層は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に塗液を塗布した後に加熱することで形成されるものである。
本発明において用いられる基材フィルムを構成する熱可塑性樹脂に好適に用いることができる樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位に有するポリエステル樹脂は、安価であり、非常に多岐にわたる用途に用いることができるので好ましく、少なくとも1種の構成樹脂を主要構成樹脂とするものが挙げられる。これら構成樹脂は、1種のみ用いても2種以上併用してもよい。
本発明でいうポリエステル樹脂としては、典型的なものは、ジカルボン酸とジオールとの重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルである。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどが挙げられる。これらは、カルボン酸あるいはアルコールの形で重縮合するのみならず、エステル化誘導体など誘導体としてから重縮合体とできることはいうまでもない。
本発明の製造方法により得られる積層フィルムは、成形性の観点から、150℃における長手方向および幅方向の100%伸長時の応力(以下、100%伸長時の応力をF−100値と記す。)が10MPa以上70MPa以下であることが好ましい。なお、積層フィルムに用いられる基材フィルムは、樹脂Pからなる層(P層)と樹脂Qからなる層(Q層)を交互に30層以上積層した構造であることが好ましい。更には樹脂Pがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂Qがスピログリコールおよび/またはシクロヘキサンジメタノールを含むポリエステルであることが好ましい。ただし、上記の条件を満たすフィルムであれば、公知のフィルムを用いても良い。
積層フィルムは、150℃におけるフィルムの長手方向および幅方向のF−100値を上記範囲とすることで成形性に優れたものとなる。そのため、真空成形、真空圧空成形、インモールド成形、インサート成形、プレス成形、絞り成形などの各種成形において、任意の形状に成形することが容易となる。また、透明性、印刷層との接着性、更には成形加工後の接着性にも優れるため、成形加工後の美観が求められる携帯電話やパソコンなどの筐体に特に好適に用いることができる。積層フィルムの150℃におけるフィルムの長手方向および幅方向のF−100値が10MPa未満である場合、次の問題が生じ、成形加飾用フィルムとして使用できないことがある。例えば、成形加工の予熱工程において、フィルムが変形、破断する問題、たるみによる成形不良などの問題が挙げられる。一方、70MPaを超えると、熱成形時に変形が不十分となり、成形加飾用フィルムとしての使用に耐えないものとなる恐れがある。
このため、本発明により得られる積層フィルムを成形性に優れたものとするためには、長手方向および幅方向のF−100値が10MPa以上70MPa以下である積層フィルムとすることが好ましい。なお、基材フィルム中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤および架橋剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
また、上記の基材フィルムとして、二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを用いることが好ましい。ここで、「二軸配向」とは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、一般に、未延伸状態の熱可塑性樹脂シートをシートの製造搬送方向である長手方向および製造搬送方向とは垂直な方向である幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸し、その後、熱処理を施し、結晶配向を完了させることにより得ることができる。
本発明における塗布層に好ましく用いられる樹脂としては、接着性の観点からアクリル・ウレタン共重合樹脂が好ましく、アクリル系モノマーは、例えばアルキルアクリレート(アルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル等)、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー等を用いることができる。また、ウレタン成分としては、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物を、乳化重合、懸濁重合等の公知のウレタン樹脂の重合方法によって反応させることで得られる樹脂を用いることができる。ウレタン成分を構成するポリヒドロキシ化合物としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ポリカーボネートジオール、グリセリン等を用いることができ、
基材フィルムに上記樹脂を水で希釈して樹脂を分散させた水系塗液(以下、水系塗剤と言うことがある)を塗布することによって塗布層を得ることができる。
本発明における塗布層は、架橋性官能基を共重合することが好ましく本発明では、イソシアネート化合物として、イソシアネート架橋剤を用いる。また、その他の架橋剤としては、例えば、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化或いはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤等を用いることができる。
また、ハードコート層や特に、シリコーン系接着層との耐湿熱接着性の観点から、2種類以上の架橋剤を用いることが好ましく、具体的には、架橋剤の1種類がイソシアネート架橋剤であり、、少なくとも、もう1種が上述したイソシアネート架橋剤を除く他の架橋剤を含む塗液とすることが好ましい。
本発明の積層フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面にイソシアネート化合物を含有する塗材を塗布した後に加熱させることで塗布層が形成される。前記塗液中に含まれるイソシアネート化合物の体積平均粒子径が0.01μm以上0.1μm以下であることが重要である。コーティング時のゲル化による塗布斑、塗布抜けの観点から、イソシアネート化合物の動的光散乱法によって求められる体積平均粒子径が0.1μmを超えるとイソシアネート化合物が塗液中で凝集しやすくなり、塗布抜けを発生させ、外観を悪化させたり、加熱後のヘイズが基材からのオリゴマーが析出しΔヘイズが悪化する。該体積平均粒子径を上記範囲とするには、イソシアネート架橋剤を調製する際に、イソシアネート官能基の分散性を考慮すればよい。体積平均粒子径が0.01μm未満だと、塗液中でイソシアネート化合物が凝集しやすくなり、後述する粒子径Rが0.05μmより大きくなりやすく、塗布抜けを発生させ、外観を悪化させたり、密着性が悪くなることがある。また、加熱後のヘイズ値が、加熱することにより基材からオリゴマーが析出し、Δヘイズ値が悪化する。好ましくは体積平均粒子径が0.02μm以上0.05μm以下が好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ビトリレン−4,4’ジイソシアネート、3,3’ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネートなどを用いることができる。
積層フィルムのヘイズ値は、透明性の観点から、2.0%以下であることが好ましく、さらには、1.5%以下、さらに好ましくは、1.0%以下である。
積層フィルムの加熱後のヘイズ値と加熱前のヘイズ値の差であるΔヘイズ値は、1.2%以下であることが好ましく、さらには、0.5%以下、さらに好ましくは、0.3%以下である。
また、塗布液にイソシアネート化合物を均一に分散させる観点から光散乱法により求められるメジアン径における粒子径R(粒子径d90―粒子径d10)が0.05μm以下であることが好ましい。粒子径R(粒子径d90―粒子径d10)が小さいほう、つまり、0μm近づくほど塗布抜けが抑制されるため、特段に、下限は限定するものではないが、通常、0.01μm以上である。ここで、粒子径R(粒子径d90―粒子径d10)とは、メジアン粒子径d90(μm)からメジアン粒子径d10(μm)の差をいう。粒子径Rが0.05μmを超えると粒子径のバラツキによって、均一に塗剤がコートされず、塗布抜けを発生させ、外観を悪化させたり、加熱後のヘイズが基材からのオリゴマーが析出することによって悪化したり、密着性が悪くなる場合がある。好ましくは粒子径Rが、0.03μm以下が好ましい。
さらに、本発明においては、ハードコート層や特にシリコーン系の接着層との耐湿熱接着性の観点から、アミノ化合物を含むことが好ましい。後述する塗液のpHを適切な範囲に制御した、イソシアネート化合物とアミノ化合物を含む塗液を加熱することで、架橋反応によってウレア結合が多く形成され、易接着性を付与させることが可能となる。本発明において、アミノ化合物とはアミノ基を有する化合物をあらわし、塗液中にイソシアネート化合物およびアミノ化合物を含むとは、塗液中のイソシアネート化合物とアミノ化合物にそれぞれ、アミノ基、イソシアネート基を含む場合のほか、イソシアネート基とアミノ基を1つの化合物中に有する場合も含まれる。また、上述したとおり、本発明に用いる塗液は、より、易接着性、耐湿熱接着性を高めるために、別の架橋剤を添加することができる。
本発明の積層フィルムの製造方法は、前記塗液の調製が10℃以上40℃以下で行われることが好ましい。前記塗液の調製温度が10℃未満であると水素結合による分子の凝集でゲル化が発生し、塗液の使用期限が短くなる。以下、これをポットライフという。一方、前記塗液の調製温度が40℃を超えるとブロック剤とイソシアネート基が熱開列してゲル化しポットライフが低下し、生産が安定しない場合がある。より好ましくは15℃以上25℃以下が好ましい。
また、本発明の積層フィルムの製造方法において、前記塗液のpHは1.0以上6.0以下であることがこのましい。前記塗液のpHが1.0未満であると、塗液中の成分がイオン化し架橋反応が促進されにくく、pHが6.0を超えるとイソシアネート化合物の水素結合が形成しにくくなる為、架橋反応が促進されにくい。架橋反応が促進されないとイソシアネート化合物が、加熱することで析出されて白濁し、Δヘイズ値が高くなり透明性に影響を及ぼす場合がある。pHの調節方法としては、公知の方法が挙げられるが、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸等の酸や、炭酸水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を塗剤に混合する方法が挙げられる。
本発明において、塗液は、塗液を調製から48時間以内に熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に塗布されることが好ましい。より好ましくは24時間以内である。
さらに、前記塗布層(易接着層とも言う)の成分だけであると帯電し易いため、その結果、静電気により接着層に異物が混入し、外観欠点となる問題を引き起こすことがある。そのため易接着層の成分には、帯電防止の観点から、導電性高分子を含んでいることが好ましい。導電性高分子としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン・ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ−p−フェニレン、ポリヘテロサイクル・ビニレン、特に好ましくは、(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。
本発明により得られる積層フィルムは、塗布層の表面にハードコート層を設けることで、積層フィルムが傷つくことを抑制でき、加工時のハンドリング性を向上させることができる。ただし、コスト面からハードコート層を必要としない用途に対しては、必ずしもハードコート層を設けなくてもよい。
ハードコート層としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、有機シリケート樹脂、シリコーン系樹脂等を用いることができる。その中で、硬度、耐久性および生産性の観点から、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、さらに好ましくは、アクリル系樹脂であり、活性線硬化型のアクリル系樹脂であることが最も好ましい。
ハードコート層の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤等を用いることができる。本発明におけるハードコート層の厚みは、用途に応じて決められるが、通常は0.1μm以上30μm以下が好ましく、さらに好ましくは、1μm以上15μm以下である。ハードコート層の厚みが0.1μm未満の場合、ハードコート層の組成物が十分硬化していても、膜厚が薄すぎるために表面硬度が低くなり、傷が付き易くなることがある。ハードコート層の厚みが30μmを超える場合、折り曲げなどの応力により硬化膜にクラックが入り易くなることがある。
本発明の積層フィルムの製造方法は、耐熱性、寸法安定性の観点から、塗布層を形成する際の熱処理温度が100℃以上基材フィルムの樹脂の融点温度(Tm)℃未満であり、熱処理時間が30秒以上180秒以下であることが好ましい。100℃未満であると、イソシアネート化合物が反応できず、未反応物が白化物として加熱後のヘイズ値を悪化させる場合がある。また、基材フィルムの樹脂の融点温度(Tm)℃を超えると、積層フィルムの平面性が悪化する。塗布層を形成する温度は、好ましくは、130℃以上である。また、本発明の積層フィルムの製造方法において基材フィルムの樹脂をポリエチレンテレフタレート樹脂を主原料とする場合、熱処理温度は250℃以下であることが好ましい。熱処理時間が30秒未満であると、イソシアネート化合物が反応できず、未反応物が白化物として加熱後のヘイズ値を悪化させる場合がある。また、180秒を超えると、積層フィルムの平面性が悪化する場合がある。、熱処理温度の時間は、50秒以上100秒以下であることが好ましい。
また、塗液を加熱させることで塗布層を均一に設ける観点から、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に塗液を塗布した後、少なくとも一軸方向に延伸する工程を含むことが好ましく、塗液をフィルムの製造工程中のインラインコートにて塗布後、少なくとも一軸延伸することが好ましい。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法の一例を、以下に説明する。本発明はこれに限定させるものではない。
まず熱可塑性樹脂ペレットを用意し、押出機の原料投入部に供給する。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物やゲル化物などを取り除かれる。このとき、押出機は、1台であっても、複数台であってもよい。また複数台の押出機を用いる場合は、フィルターを通過した熱可塑性樹脂を積層装置に送り込む。積層装置としては、3層ピノールやマルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができる。また、これらを任意に組み合わせても良い。
このようにして得られた溶融体は、ダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
このようにして得られたキャスティングフィルム(無延伸フィルム)は、必要に応じて二軸延伸することが好ましい。二軸延伸とは、長手方向及び幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二軸方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向及び/または幅方向に再延伸しても良い。特に本発明においては面内の配向差を抑制できる点や、表面傷を抑制する観点から、同時二軸延伸を用いることが好ましい。
まず、逐次二軸延伸の場合について説明する。ここで長手方向の延伸とは、フィルムに長手方向に分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行っても良く、また、複数本のロール対を用いて多段階で行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
本発明の積層フィルムの製造方法においては、塗布層を設けるには、塗剤をコーティングして積層し、加熱を行うことで形成する。塗剤をコーティングする方法としては、本発明における積層フィルムの製造工程とは別工程でコーティングを行う方法、いわゆるオフラインコーティング方法と、本発明における積層フィルムの製造工程中にコーティングを行うことで易接着層を一度に積層させる、いわゆるインラインコーティング方法がある。コストの面や塗布厚みの均一化の面からインラインコーティング方法を採用することが好ましく、その場合に用いられる塗液の溶媒は、環境汚染や防爆性の観点から水系であることが好ましく、水を用いることが最も好ましい態様である。溶媒に水を用い、溶媒である水を蒸発する為にコーティング後のフィルムを加熱することで塗布層を形成する。
インラインコーティングで易接着層を積層する場合には、一軸延伸された積層フィルムに連続的に塗布層を構成する塗剤を塗布する。溶媒として水を用いた塗剤(水系塗剤)の塗布方法としては、例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法およびダイコート法などを用いることができる。
水系塗剤を塗布する前に、積層フィルムの表面にコロナ放電処理等を施すことが好ましい。これは、積層フィルムと塗剤との接着性が向上し、塗布性も良好となるためである。
易接着層には、発明の効果を損なわない範囲であれば、イソシアネート化合物以外の架橋剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑材、顔料、染料、有機または無機の粒子、充填材、界面活性剤等を配合しても良い。
次いで行う幅方向の延伸とは、フィルムの幅方向に分子配向を与えるための延伸を言い、通常はテンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、フィルムに熱を加えて予熱した後、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、本発明における積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましい。また、延伸温度としては100℃以上250℃以下、延伸時間としては30秒以上180秒以下が重要である。二軸延伸された積層フィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うことが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
次いで、同時二軸延伸の場合について説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、連続的に易接着層を構成する塗剤(体積平均粒径0.01μm以上0.1μm以下のイソシアネート化合物を含む。イソシアネート化合物が、光散乱法によって求められる粒子径R(粒子径d90−粒子径d10)が0.01μm以上0.05μm以下であることが好ましい。また、アクリル・ウレタン共重合樹脂、架橋剤を含むことが好ましい。)を塗布する。溶媒として水を用いた塗剤(水系塗剤)の塗布方法としては、例えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法およびダイコート法などを用いることができる。
水系塗材を塗布する前に、本発明における積層フィルムの表面にコロナ放電処理などを施すことが好ましい。これは、積層フィルムと塗剤との接着性が向上し、塗布性も良好となるためである。次に、塗剤を塗布したキャストフィルム(無延伸フィルム)を同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時及び/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能で、かつ任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、面積倍率として8〜30倍が特に好ましい。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うことが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前及び/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷却してワインダーにて巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向及び/または幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前及び/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。また、塗布を形成する際の熱処理温度が100度以上250度以下であり、熱処理時間が30秒以上180秒以下であることが好ましい。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
(1)透明性の測定方法
透明性は、ヘイズ(%)により評価した。ヘイズの測定は、常態(温度23℃、相対湿度65%)において、積層フィルムを1時間放置した後、日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて行った。これを
3回繰り返し、測定した平均値を、積層フィルムのヘイズ値(%)とした。
(2)帯電防止性(表面比抵抗)の測定方法および評価方法
帯電防止性は、表面比抵抗により評価した。表面比抵抗は、積層フィルムを常態(温度23℃、相対湿度65%)において24時間放置後、その雰囲気下でデジタル超高抵抗/微小電流計(アドバンテスト製R8340A)を用いて、印加電圧100Vで10秒間印加後の表面比抵抗値を求めた。なお、測定面は積層フィルムの塗布層面とする。単位は、Ω/□である。表面比抵抗が9×1011Ω/□以下のものであれば実用上問題のないレベルであり、5×1010Ω/□以下のものは優れた帯電防止性を示す。
(3)印刷インキ層との接着性の評価方法
(3−1)初期接着性の評価方法(成形前)
積層フィルム上に、下記の割合でインキ、溶剤、硬化剤を混合した熱硬化型インキを、硬化後の膜厚が約5μmとなるよう均一に塗布した。
インキ:帝国インキ製造(株)製INQスクリーンインキ(971):100重量部
溶剤:帝国インキ製造(株)製F−003:10重量部
硬化剤:帝国インキ製造(株)製240硬化剤:3重量部
次いで、熱硬化型インキを塗布した積層フィルムを、90℃の熱風オーブンで60分乾燥し、熱硬化型インキを硬化させ、インキ積層フィルムを得た。
得られたインキ積層フィルムのインキ積層面に、1mmのクロスカットを100個入れ、セロテープ(登録商標)(ニチバン(株)製CT405AP)を貼り付け、ハンドローラーで1.5kg/cmの荷重で押しつけた後、インキ積層フィルムに対して90度方向に急速に剥離した。接着性は残存したクロスカットの個数により、4段階評価を行った。評価は5回実施し、その平均値をもって評価した。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、SとAのものは良好とした。
S:100個残存
A:80個以上100個未満残存
B:50個以上80個未満残存
C:50個未満残存。
(3−2)湿熱接着性の評価方法(成形前)
(3−1)と同様の方法でインキ積層フィルムを得た。得られたインキ積層フィルムを、温度65℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽中に168時間放置し、湿熱接着試験用インキ積層サンプルを得た。得られた湿熱接着試験用インキ積層サンプルについて、(3−1)と同様の方法で接着性評価を行い、4段階評価を行った。評価は5回実施し、その平均値をもって評価した。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、SとAのものは良好とした。
(3−3)初期接着性の評価方法(成形後)
(3−1)と同様の方法でインキ積層フィルムを得た。該インキ積層フィルムを幅方向に長さ200mm×幅100mmの矩形に切り出して測定用サンプルを得た。次にパンタグラフ方式のフィルムストレッチャーを用いて、温度100℃、速度10mm/秒の条件で、測定用サンプルの短軸方向(幅方向)に伸度50%の一軸延伸を行い、成形後インキ積層フィルムを作製した。得られた成形後インキ積層フィルムについて、(3−1)と同様の方法で接着性評価を行い、4段階評価を行った。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、SとAのものは良好とした。
(3−4)湿熱接着性の評価方法(成形後)
(3−3)と同様の方法で成形後インキ積層脂フィルムを作製した。得られた成形後インキ積層フィルムについて、(3−2)と同様の方法で接着性評価を行い、4段階評価を行った。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、SとAのものは良好とした。
(4)ハードコート層との接着性の評価方法
(4−1)初期接着性の評価方法(成形前)
積層フィルム上に、下記の割合で混合したUV硬化型樹脂を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚が2μmとなるように均一に塗布した。
・ウレタンアクリレート(新中村化学(株)製 UA122P):80重量部
・ポリエステルアクリレート(日本化薬(株)製“カヤラッド”DPHA):10重量部
・ポリエステルアクリレート(日本化薬(株)製“カヤラッド”PETA):10重量部
・シリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン(株)製 SH190):3重量部
・光重合開始剤(長瀬産業(株)社製“イルガキュア”184):3重量部
次いで、塗布層の表面から9cmの高さにセットした120W/cmの照射強度を有する集光型高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製 H03−L31)で、積算照射強度が300mJ/cmとなるように紫外線を照射し、硬化させ、積層フィルム上にハードコート層を積層されたハードコート積層フィルムを得た。得られたハードコート積層フィルムについて、得られたハードコート積層フィルムのハードコート積層面に、1mmのクロスカットを100個入れ、セロテープ(登録商標)(ニチバン(株)製CT405AP)を貼り付け、ハンドローラーで1.5kg/cmの荷重で押しつけた後、ハードコート積層フィルムに対して90度方向に急速に剥離した。接着性は残存したクロスカットの個数により、4段階評価を行った。評価は5回実施し、その平均値をもって評価した。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、SとAのものは良好とした。
S:100個残存
A:80個以上100個未満残存
B:50個以上80個未満残存
C:50個未満残存。
(4−2)湿熱接着性の評価方法(成形後)
(4−1)と同様の方法でハードコート積層フィルムを得た。得られたハードコート積層フィルムを、温度65℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽中に168時間放置し、湿熱接着試験用ハードコート積層サンプルを得た。得られた湿熱接着試験用ハードコート積層サンプルについて、(4−1)と同様の方法で接着性評価を行い、4段階評価を行った。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、SとAのものは良好とした。
(4−3)初期接着性の評価方法(成形後)
(4−1)と同様の方法でハードコート積層フィルムを得た。該ハードコート積層フィルムの幅方向に長さ200mm×幅100mmの矩形に切り出して測定用サンプルを得た。次にパンタグラフ方式のフィルムストレッチャーを用いて、温度100℃、速度10mm/秒の条件で、測定用サンプルの短軸方向(幅方向)に伸度50%の一軸延伸を行い、成形後ハードコート積層フィルムを作製した。得られた成形後ハードコート積層フィルムについて、(4−1)と同様の方法で接着性評価を行い、4段階評価を行った。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、SとAのものは良好とした。
(4−4)湿熱接着性の評価方法(成形後)
(4−3)と同様の方法で成形後ハードコート積層フィルムを作製した。
得られた成形後ハードコート積層フィルムについて、(4−2)と同様の方法で接着性評価を行い、4段階評価を行った。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、SとAのものは良好とした。
(5)Δヘイズ値の測定方法
積層フィルムを金属枠に4辺で固定し、140℃(風量ゲージ「7」)に設定したエスペック(株)製熱風オーブン「HIGH−TEMP−OVEN PHH−200」に、金属枠に固定したサンプルを熱風オーブン内の床に対して立てて入れ、1時間加熱した。空冷で1時間放置した後、塗布層と反対にある積層フィルムの面を、アセトンを含ませた不織布(小津産業(株)製、ハイゼガーゼNT−4)にて拭き取り、さらにアセトンで流し常態で40時間放置乾燥させ、塗布層とは反対にある積層フィルム面から析出したオリゴマーを除去した。その後、サンプルのヘイズ値を、(1)と同様の方法で測定した。これを3回繰り返し、得られたヘイズ値の平均値を加熱後ヘイズ値を測定した。ここで得られた加熱後ヘイズ値から、(1)で測定して得られた加熱前ヘイズを引いた値をΔヘイズ値(%)とした。
(6)外観(塗布抜け)の確認方法
電子顕微鏡にて塗布層の表面を観察し、1mmで0.1μm以上の塗布抜け発生個数により、4段階評価を行った。
S:30個以下発生
A:31〜100個発生
B:101〜200個発生
C:201〜300個発生。
(7)体積平均粒子径(μm)および粒子径R(μm)の測定方法
イソシアネート化合物の水分散からにおける微粒子の光強度基準の粒度分布を、動的光散乱式粒度分布測定装置(ナノトラックUPA−UZ152、日機装株式会社製)を用いて測定した。粒度分布の測定は1回の測定を60秒として5回行なって、その平均値から光強度基準の粒度分布を算出した。算出した光強度基準の粒度分布から、体積平均粒子径(μm)、最大粒子径d90(μm)、最小粒子径d10(μm)を求め、最大粒子径d90から最小粒子径d10の差分を粒子径R(μm)とした。
(8)塗料ポットライフ試験
JISK5600−2−6(1999年)に準じて試験環境23℃、50%RHにて塗料が硬化あるいは2層分離するまでの時間を測定する。本発明においては、下記により判定し、3段階評価を行った。
A級:48時間以上
B級:24時間以上48時間未満
C級:10時間以上24時間未満。
(原料)
(樹脂A)
IV=0.63のポリエチレンテレフタレート
(樹脂B)
IV=0.55のポリエチレンテレフタレートの共重合体(スピログリコール(SPG)成分をジオール成分全体に対して20モル%およびシクロヘキサンジカルボン酸(CHDC)成分をジカルボン酸成分全体に対して30モル%を共重合したポリエチレンテレフタレート)を用いた。
(塗布層の構成)
・アクリル・ウレタン共重合樹脂(a)の水分散体:山南合成化学(株)製、サンナロンWG658(固形分濃度30重量%)
・イソシアネート化合物(b)の水分散体:(固形分濃度28重量%)
・エポキシ化合物(c)の水分散体:DIC(株)製、CR−5L(固形分濃度100重量%)
・ポリチオフェン構造を有する化合物および陰イオン構造を有する化合物からなる組成物(d)の水分散体(固形分濃度1.3重量%)
・オキサゾリン化合物(e)の水分散体:日本触媒(株)製、エポクロスWS−500(固形分濃度40重量%)
・カルボジイミド化合物(f)の水分散体:日清紡(株)製、カルボジライトV−04(固形分濃度40%)
・シリカ粒子(g):日揮触媒化成(株)製、スフェリカスラリー140(固形分濃度40%)
・アセチレンジオール系界面活性剤(h):日信化学(株)製、オルフィンEXP4051(固形分濃度50%)
・水系溶媒(i):純水
上記した(a)〜(h)を固形分重量比で、(a)/(b)/(c)/(d)/(e)/(f)/(g)/(h)=100/100/75/25/60/60/10/15となるように、かつ水系塗剤の固形分濃度が3重量%となるように(i)を混合し、濃度調整した。
(実施例1)
樹脂Aおよび樹脂B乾燥させた後、各々別のベント付き二軸押出機で280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、3層ピノールにて合流させた。なお、厚膜層となる両側表層部分は樹脂Aとなり、樹脂Aと樹脂Bが交互に積層され、かつ隣接する樹脂Aからなる層と樹脂Bからなる層の層厚みは、ほぼ同じになるようにした。次いで、T−ダイに導いてシート状に成形した後、静電印加で表面温度25℃に保たれたキャスティングドラムに密着させて急冷固化し、キャストフィルムを得た。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。次いで、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、フィルムの塗れ張力を55mN/mとした。
塗液(i)の温度を20℃に保ちつつ#4のメタバーで体積平均粒子径0.02μm、粒子径R0.02μmのイソシアネート化合物を使用し、炭酸水素ナトリウムを添加しpHを4.0に調製した塗液(i)を該フィルムの両面に塗布した。ポットライフは、ポットライフ時間内のもの、つまり、分離していないものを用い、グレードは、表中に記載のものを用いた。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風予熱後、110℃の温度で横方向に3.5倍延伸した。延伸したフィルムは、そのままテンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、次いで、同温度にて幅方向に7%の弛緩処理を施し、その後、室温まで冷却後して巻き取った。テンター内で50秒間熱処理をし、122μmのフィルム厚み得た。結果を表1に表す。
(実施例2)
テンター内で240℃の熱風にて230℃に熱処理し、塗液調整温度を25℃、塗液のpHを3に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。結果を表1に表す。
(実施例3)
テンター内で240℃の熱風にて200℃に熱処理し、体積平均粒子径0.1μm、粒子径R0.05μmのイソシアネート化合物を使用し、塗液調整温度を10℃、塗液のpHを7.0に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。
塗液のpHが7.0であっても、イソシアネート化合物の体積平均粒子径が1.0μmと実施例1に比べておおきいため、塗布抜け個数がA評価であり、Δヘイズ値は、良好なものであた。結果を表1に表す。
(実施例4)
テンター内で120秒間熱処理をし、体積平均粒子径0.01μm、粒子径R0.01のイソシアネート化合物を使用し、塗液調整温度を30℃、塗液のpHを2.0に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。
塗液のpHが2.0であっても、イソシアネート化合物の体積平均粒子径が0.01μmであったため、実施例1に比べて小径であり、製膜工程中の流動性を有する塗液中でイソシアネート化合物が凝集し、塗布抜け個数がS評価であり、Δヘイズ値が若干悪化した。結果を表1に表す。
(実施例5)
テンター内で100秒間熱処理をし、体積平均粒子径0.02μm、粒子径R0.03のイソシアネート化合物を使用し、塗液調整温度を50℃、塗液のpHを5.0に変更し、100μmのフィルム厚みを得た以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。結果を表1に表す。
(実施例6)
テンター内で240℃の熱風にて200℃、100秒間で熱処理をし、体積平均粒子径0.01μm、粒子径R0.02μmのイソシアネート化合物を使用し、塗液調整温度を15℃、塗液のpHを3.0に変更し、120μmのフィルム厚みを得た以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。結果を表1に表す。
(実施例7)
テンター内で240℃の熱風にて230℃、140秒間で熱処理をし、体積平均粒子径0.05μm、粒子径R0.02μmのイソシアネート化合物を使用し、塗液調整温度を5℃、塗液のpHを1.0変更し、120μmのフィルム厚みを得た。結果を表1に表す。
(実施例8)
テンター内で240℃の熱風にて220℃、150秒間熱処理をし、体積平均粒子径0.05μm、粒子径R0.01μmのイソシアネート化合物を使用し、塗液調整温度を20℃、塗液のpHを2.0に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。結果を表1に表す。
(実施例9)
テンター内で240℃の熱風にて150℃、50秒間熱処理をし、体積平均粒子径0.02μm、粒子径R0.01μmのイソシアネート化合物を使用し、塗液調整温度を35℃、塗液のpHを8.0に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを得た。結果を表1に表す。
(実施例10、11)
熱処理温度もしくは熱処理時間を変えること以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表1に表す。
(実施例12)
実施例7において、塗液のポットライフ時間を30時間経過したものを用いて実施例7同様に積層フィルムを得た。結果を表1に表す。
(実施例13)
実施例1において、粒子径Rを変えること以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。結果を表1に表す。
(比較例1)
体積平均粒子径0.2μm、粒子径R0.6のイソシアネート化合物を使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムを得た。
(比較例2)
テンター内で200秒間熱処理をし、体積平均粒子径0.3μm、粒子径R0.02μmのイソシアネート化合物を使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムを得た。塗液中の粒子径Rは0.02μmであるが、得られた積層フィルムは、塗布抜けが多く発生していた。これは、フィルムの製造工程中に流動性がある塗液内でイソシアネート化合物が熱により凝集したことが理由であると考えられる。
(比較例3)
テンター内の熱処理温度を80度とし、体積平均粒子径0.3μm、粒子径R0.9のイソシアネート化合物を使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムを得た。
(比較例4)
テンター内の熱処理温度を260℃とし、体積平均粒子径0.5μm、粒子径R0.03のイソシアネート化合物を使用したこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムを得た。
(比較例5)
テンター内の熱処理温度を260℃とし、体積平均粒子径0.008μm、粒子径R0.01μmのイソシアネート化合物を使用した以外は実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムを得た。
塗液中の体積平均粒子径は0.008μmであるが、得られた積層フィルムは、塗布抜けが多く発生していた。これは、フィルムの製造工程中に流動性がある塗液内でイソシアネート化合物が熱により凝集したことが理由であると考えられる。
Figure 2018089962
本発明の積層フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムとりわけ接着層の塗布に関するものである。本発明において透明性、印刷層やハードコート層との接着性を両立して成型体の基材を提供する製造方法である。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、塗布層を有する積層フィルムの製造方法であって、前記塗布層が熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に塗液を塗布した後に加熱することで形成され、前記塗液が体積平均粒子径0.01μm以上0.1μm以下のイソシアネート化合物を含む積層フィルムの製造方法。
  2. 前記塗布層を形成する際の熱処理温度が100℃以上250℃以下であり、熱処理時間が30秒以上180秒以下である請求項1に記載の積層フィルムの製造方法。
  3. 前記塗液が、アクリル・ウレタン共重合樹脂、架橋剤を含む請求項1または2に記載の積層フィルムの製造方法。
  4. 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に塗液を塗布した後、少なくとも一軸方向に延伸する工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
  5. 前記塗液中に含有するイソシアネート化合物が、光散乱法によって求められる粒子径R(粒子径d90−粒子径d10)が0.01μm以上0.05μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
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