JP2020131577A - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
現在、フラットディスプレイの代表と言えば、液晶ディスプレイ(LCD)であるが、LCDとは異なる表示原理に基づくフラットディスプレイとして、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル(PDP)、ライトエミッティングダイオード表示装置(LED)、蛍光表示管表示装置(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などの開発も活発に行われている。
ディスプレイ材料の基板として用いるフィルム材料は、傷つき防止のためにアクリル等のハードコート加工が施されるので、ハードコート層との接着性が要求されている。
また、特許文献2に記載されたポリアミドフィルムの易滑層は、半芳香族ポリアミドを含有し、球晶の成長が抑制され、透明性と滑り性のバランスが図られているが、ディスプレイ材料として用いるには、ハードコート層との接着性が優れるものではなかった。
本発明の課題は、透明性と滑り性のバランスに優れるとともに、ハードコート層との接着性が優れ、ディスプレイ材料として用いることができる耐熱性や寸法安定性に優れたポリアミドフィルムを提供することにある。
(1)半芳香族ポリアミドフィルム(I)の少なくとも片面に、無機系および/または有機系微粒子を含有する層(II)が積層されてなることを特徴とする積層フィルム。
(2)ヘイズが3%以下であることを特徴とする(1)記載の積層フィルム。
(3)微粒子を含有する層(II)面の、23℃×50%RH雰囲気下における動摩擦係数が0.7以下であることを特徴とする(1)または(2)記載の積層フィルム。
(4)微粒子を含有する層(II)における微粒子の含有量が0.1〜25質量%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5)微粒子を含有する層(II)がダイマー酸系ポリアミドを含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6)250℃×5分の熱収縮率が3%以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の積層フィルム。
(7)上記(1)記載の積層フィルムを製造するための方法であって、半芳香族ポリアミドフィルム(I)の少なくとも片面に、微粒子を含有する層(II)形成用塗剤を塗布して、微粒子を含有する層(II)を積層することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
(8)下記(a)〜(f)の工程を含むことを特徴とする(7)記載の積層フィルムの製造方法。
(a)半芳香族ポリアミドからなる未延伸フィルムを製膜する工程
(b)半芳香族ポリアミドからなるフィルムの少なくとも片面に、微粒子を含有する層(II)形成用塗剤を塗布して塗膜を形成する工程
(c)塗膜を乾燥する工程
(d)未延伸フィルムを延伸する工程
(e)延伸フィルムを250℃〜(Tm−5℃)で熱固定処理する工程
(f)延伸フィルムを巻き取る工程
(9)工程が、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順であることを特徴とする(8)記載の積層フィルムの製造方法。
(10)工程が、(a)、(d)、(e)、(b)、(c)、(f)の順であることを特徴とする(8)記載の積層フィルムの製造方法。
本発明の積層フィルムは、半芳香族ポリアミドフィルム(I)の少なくとも片面に、微粒子を含有する層(II)が積層されたものである。
本発明の積層フィルムを構成する基材は、半芳香族ポリアミドフィルム(I)であり、このフィルムを構成する半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とから構成されるものや、脂肪族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから構成されるものを用いることができる。芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とからなる半芳香族ポリアミドとしては、例えば、テレフタル酸と1,9−ノナンジアミンとからなるポリアミド9Tや、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンとからなるポリアミド10T等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とからなる半芳香族ポリアミドとしては、例えば、アジピン酸とメタキシリレンジアミンとからなるポリアミドMXD6等が挙げられる。上記構成の中でも透明性と寸法安定性のバランスに優れるという理由で、本発明で用いる半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とから構成されるものが好ましい。以下、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とから構成される半芳香族ポリアミドについて詳細に説明をする。
テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,2−体、1,3−体、1,4−体、1,5−体、1,6−体、1,7−体、1,8−体、2,3−体、2,6−体、2,7−体)が挙げられる。
半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸成分以外のジカルボン酸成分を含有してもよい。他のジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジアミン成分における炭素数6〜12の脂肪族ジアミンの含有量は、60モル%以上であることが好ましく、75モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。炭素数6〜12の脂肪族ジアミンの含有量が60モル%以上であると、得られるフィルムは、耐熱性と生産性を両立することができる。炭素数6〜12の脂肪族ジアミンは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、2種以上を併用する場合、含有量はそれらの合計とする。
低重合物の固相重合は、好ましくは、減圧下または不活性ガス流通下でおこなわれる。また、固相重合の温度は200〜280℃であることが好ましい。固相重合の温度をこの範囲とすることで、得られる半芳香族ポリアミドの着色やゲル化を抑制することができる。固相重合の温度が200℃未満であると、重合時間が長くなるため生産性に劣る場合がある。一方、280℃を超えると、得られる半芳香族ポリアミドにおいて、着色やゲル化が発現する場合がある。
低重合物の溶融重合は、好ましくは、350℃以下の温度で行われる。重合温度が350℃を超えると、半芳香族ポリアミドの分解や熱劣化が促進される場合がある。そのため、このような半芳香族ポリアミドから得られたフィルムは、強度や外観に劣ることがある。なお、上記の溶融重合には、溶融押出機を用いた溶融重合も含まれる。
滑剤の平均粒径は、0.05〜5.0μmであることが好ましく、滑剤の含有量は、0.3質量%以下であることが好ましい。滑剤の平均粒径が0.05〜2.0μmである場合、滑剤の含有量は0.2質量%以下で用い、滑剤の平均粒径が2.1〜5.0μmである場合、滑剤の含有量は0.1質量%以下で用いることが、効率よく半芳香族ポリアミドフィルム(I)の滑り性改善ができるためより好ましいが、摩擦特性、光学特性、その他のフィルムに対する要求特性に応じて選択することができる。滑剤は、透明性を損なわない範囲で添加することができるが、高い透明性を得るためには、添加しない方が好ましい。
(ア)半芳香族ポリアミドの重合時に添加する方法
(イ)半芳香族ポリアミドに直接添加し、溶融混練したペレットを準備するマスターバッチ法
(ウ)フィルム製膜時に半芳香族ポリアミドに直接添加し、押出機で溶融混練する方法
(エ)フィルム製膜時に押出機に直接添加し、溶融混練する方法
(微粒子)
微粒子を含有する層(II)を構成する微粒子としては、滑り性や耐ブロッキング性を良好なものとする滑剤用の微粒子を使用することができ、たとえば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等の無機系粒子を挙げることができる。また、有機系微粒子として、たとえば、アクリル粒子、メラミン粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子などを挙げることができる。これらの無機系および有機系粒子は、単独もしくは複数をブレンドして用いることができ、分散性や接着性を高めるために、表面処理を施してもよい。微粒子の平均粒径は、0.010〜5.0μmであることが好ましく、0.030〜4.0μmであることがより好ましく、0.050〜3.0μmであることがさらに好ましい。摩擦特性、光学特性、その他のフィルムに対する要求特性に応じて微粒子の平均粒径を選択することができる。
層(II)における微粒子の含有量は0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、5〜18質量%であることがさらに好ましい。微粒子の含有量が0.1質量%未満では、微粒子添加の効果が十分に発揮されず、フィルム同士のブロッキングを充分に抑えることができないことがあり、またスリップ性が不十分であり、操業性に劣ることがある。一方、微粒子の含有量が25質量%を超えると、透明性が低下し、層(II)の凝集力低下を引き起こすことがある。
微粒子を含有する層(II)を構成する樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、中でもハードコート層との接着性に優れることから、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましく、さらに耐熱性の観点から、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂がより好ましい。
ダイマー酸系ポリアミドは、主鎖にアミド結合を有するものであり、主にジカルボン酸成分としてのダイマー酸とジアミン成分とを用いた脱水縮合反応によって得られるものである。ダイマー酸系ポリアミドは、ポリアミド樹脂として広く使用されているナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などの樹脂に比べて、大きな炭化水素グループを有するために、柔軟性を有している。
本発明において、ダイマー酸系ポリアミドは、ジカルボン酸成分としてダイマー酸をジカルボン酸成分全体の50モル%以上含有することが好ましく、60モル%以上含有することがより好ましく、70モル%以上含有することがさらに好ましい。ダイマー酸の割合が50モル%未満であると、ダイマー酸系ポリアミドの特性や効果を奏することが難しくなる。
また、ダイマー酸系ポリアミドのジアミン成分としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、m−キシレンジアミン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジンなどを用いることができ、中でもエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、m−キシレンジアミン、ピペラジンが好ましい。
ダイマー酸系ポリアミドを重合する際に、上記ジカルボン酸成分とジアミン成分の仕込み比を変更することなどによって、樹脂の重合度や酸価もしくはアミン価を制御することが可能となる。
また、ダイマー酸系ポリアミドの酸価は、1〜20mgKOH/gであることが好ましく、1〜15mgKOH/gであることがより好ましく、3〜12mgKOH/gであることがさらに好ましく、3〜7mgKOH/gであることが最も好ましい。ダイマー酸系ポリアミドの酸価が1mgKOH/g未満では、層(II)を形成するための塗剤として、安定なものを得ることが困難になり、一方、20mgKOH/gを超えると、本来のダイマー酸系ポリアミドの良好な特性である耐薬品性が低下することがある。
なお、酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数で定義されるものである。一方、アミン価とは、樹脂1g中の塩基成分とモル当量となる水酸化カリウムのミリグラム数で表されるものである。いずれも、JIS K2501に記載の方法で測定される。
上記市販品の例として、「エリーテルKA−5034」、「KZA−0134」、「KZA−3556」(いずれもユニチカ社製)、「プラスコートZ−730」、「RZ−142」(いずれも互応化学工業社製)などを挙げることができる。
TCD系ポリエステルは、グリコール成分におけるトリシクロデカンジメタノールの含有量が50〜100モル%であることが好ましく、55〜95モル%であることがより好ましく、60〜90モル%であることがさらに好ましい。TCD系ポリエステルのグリコール成分におけるトリシクロデカンジメタノールの含有量が50モル%未満であると、得られる樹脂層は、アクリル系のハードコート層との接着性が低下することがある。
TCD系ポリエステルを構成するトリシクロデカンジメタノール以外のグリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロブタンジメタノール等の脂環族グリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上のアルコール等が挙げられる。
TCD系ポリエステルを構成するジカルボン酸成分として、例えば、芳香族ジカルボン酸、飽和脂肪族ジカルボン酸等を組合わせて用いることができ、芳香族ジカルボン酸と飽和脂肪族ジカルボン酸を併用する場合、モル比(芳香族ジカルボン酸成分/飽和脂肪族ジカルボン酸成分)は70/30〜95/5であることが好ましく、73/27〜93/7であることがより好ましく、75/25〜90/10であることがさらに好ましい。
飽和脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸が好ましく、得られるTCD系ポリエステルの耐アルコール性を向上する効果が高い点で、セバシン酸がより好ましい。耐アルコール性が向上したTCD系ポリエステルを含有する樹脂層は、耐久性が増すと同時に、例えば、樹脂層上にアクリル系樹脂含有層等を積層した場合に、接着性等の耐久性が増し、特に好ましい。
本発明の積層フィルムは、微粒子を含有する層(II)と、半芳香族ポリアミドフィルム(I)とから構成されるため、透明性を有するものであり、ヘイズは3%以下であることが好ましい。
また、本発明の積層フィルムは、微粒子を含有する層(II)が積層されているため、滑り性に優れるものであり、微粒子を含有する層(II)面の、23℃×50%RH雰囲気下における動摩擦係数は0.7以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。
また、本発明の積層フィルムは、半芳香族ポリアミドフィルム(I)を基材とするため、熱収縮率が低いものであり、250℃×5分の熱収縮率は3%以下であることが好ましく、2.5%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。
また、本発明の積層フィルムは、半芳香族ポリアミドフィルム(I)と層(II)との密着性に優れるものである。
したがって、本発明の積層フィルムは、透明性と滑り性を兼ね備えた上で、片面接着フィルムとして被着体との接着や、両面接着フィルムとして被着体どうしの接着に使用することができ、半芳香族ポリアミドフィルムと被着体とが接着されてなる物品を製造することができる。
被着体としては、アクリル等のハードコート層が挙げられる。本発明の積層フィルムと被着体とを接着する方法としては、積層フィルムの層(II)上にハードコート形成用塗剤を塗布して、UV硬化、電子線硬化および熱硬化のいずれかの方法で塗剤を硬化させる方法が挙げられる。
次に、積層フィルムの製造方法について説明する。
微粒子を含む層(II)は、例えば、半芳香族ポリアミドフィルムを得た後、または半芳香族ポリアミドフィルムを製膜する工程において、微粒子を含有する層を積層することで得られる。積層する方法としては、各種溶媒の溶液や水性分散体に微粒子を混合したものを塗布する方法、微粒子を含有する樹脂を熱溶融させ、押出コーティングする方法等が挙げられる。また、半芳香族ポリアミドフィルムの未延伸シートを多層押出する際に、最外層に微粒子を含有させた層を形成する方法等も挙げられる。
半芳香族ポリアミドフィルム(I)の少なくとも片面に、微粒子を含有する層(II)を設ける手段は、上記手段に関わらず、いずれの手段を用いても構わないが、半芳香族ポリアミドフィルムの少なくとも片面に、微粒子を含有する層が着実に形成され、しかも微粒子が層(II)中に完全に埋まった状態ではなく、微粒子の一部または大部分が層(II)外に露出し、しかも層(II)から微粒子が脱落しない状態になっていることが重要である。このような状態にすることで、半芳香族ポリアミドフィルム中に微粒子を含有させなくても良好な滑り性の確保ができ、しかも半芳香族ポリアミドフィルムの透明性を損ねることがない。
具体的には、積層フィルムの製造方法は、
(a)半芳香族ポリアミドからなる未延伸フィルムを製膜する工程
(b)半芳香族ポリアミドからなるフィルムの少なくとも片面に、微粒子を含有する層(II)形成用塗剤を塗布して塗膜を形成する工程
(c)塗膜を乾燥する工程
(d)未延伸フィルムを延伸する工程
(e)延伸フィルムを250℃〜(Tm−5℃)で熱固定処理する工程
(f)延伸フィルムを巻き取る工程
を含むことが好ましい。
上記工程は、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順であってもよく、また、(a)、(d)、(e)、(b)、(c)、(f)の順であってもよい。
まず、工程(b)において使用する、微粒子を含有する層(II)形成用塗剤について説明する。
層(II)形成用塗剤は、ダイマー酸系ポリアミドなどの層(II)形成用樹脂と、微粒子と、必要に応じて使用される架橋剤とを、水性媒体または溶剤に分散または溶解したものであり、作業環境面を考慮して、水性媒体に分散させた水性分散体であることが好ましい。水性媒体は、水を主成分とする液体であり、後述する塩基性化合物や親水性有機溶剤を含有してもよい。
塩基性化合物の常圧時の沸点が185℃を超えると、水性塗剤を塗布して塗膜を形成する際に、乾燥によって塩基性化合物、特に有機アミン化合物を揮発させることが困難になり、衛生面や塗膜特性に悪影響を及ぼす場合がある。
保護コロイド作用を有する化合物としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常は5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼインなど、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物などが挙げられる。
ダイマー酸系ポリアミドの水性分散体を得るにあたっては、密閉可能な容器を用いることが好ましい。つまり、密閉可能な容器に各成分を仕込み、加熱、攪拌する手段が好ましく採用される。
具体的に、まず、所定量のダイマー酸系ポリアミドと、塩基性化合物と、水性媒体とを容器に投入する。なお、前述したように、水性媒体中に塩基性化合物や後述する親水性有機溶剤を含有させてもよいので、例えば、塩基性化合物を含有する水性媒体を用いるのであれば、別途、塩基性化合物を投入せずとも、結果的に容器中に塩基性化合物が仕込まれることになる。
次に、容器を密閉し、好ましくは70〜280℃、より好ましくは100〜250℃の温度で、加熱撹拌する。加熱攪拌時の温度が70℃未満になると、ダイマー酸系ポリアミドの分散が進み難く、樹脂の数平均粒子径を0.5μm以下とすることが難しくなる傾向にあり、一方、280℃を超えると、ダイマー酸系ポリアミドの分子量が低下するおそれがあり、また、系の内圧が無視できない程度まで上がることがあり、いずれも好ましくない。
加熱撹拌する際は、樹脂が水性媒体中に均一に分散されるまで毎分10〜1000回転で加熱撹拌することが好ましい。
前述の塩基性化合物のときと同様、水性媒体中に親水性有機溶剤を含有させてもよいので、親水性有機溶剤を含有する水性媒体を用いるのであれば、別途、親水性有機溶剤を追加投入せずとも、結果的に容器中に親水性有機溶剤が仕込まれることになる。
そして、水性分散体を冷却した後は、直ちにこれを払い出し、次なる工程に供しても基本的に何ら問題ない。しかしながら、容器内には異物や少量の未分散樹脂が稀に残っていることがあるため、水性分散体を払い出す前に、一旦濾過工程を設けることが好ましい。濾過工程としては、特に限定されないが、例えば、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(例えば空気圧0.5MPa)する手段が採用できる。
ダイマー酸系ポリアミドの水性分散体に微粒子を含有させる方法としては、特に限定はされないが、分散性の点から、あらかじめ公知の分散機等を使用して溶媒に分散させた状態で混合する方法が好ましい。分散機としては、羽型撹拌機、高速回転型ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、ディゾルバーが挙げられ、高速回転型ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、ディゾルバーが好ましく、高速回転型ホモミキサーが特に好ましい。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、トルエン、キシレン、シクロヘキサンが挙げられ、必要に応じて、これらの有機溶剤を混合して用いてもよい。
工程(b)において、層(II)形成用塗剤を半芳香族ポリアミドフィルムに塗布して塗膜を形成する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが採用できる。これらの方法によりを半芳香族ポリアミドフィルムの表面に均一に塗工することができる。
層(II)形成用塗剤を半芳香族ポリアミドフィルムに塗布して塗膜を形成した後、工程(c)において、塗膜を乾燥熱処理することにより、水性媒体を除去することができ、緻密な塗膜からなる層(II)が形成された半芳香族ポリアミドフィルムを得ることができる。
工程(a)においては、前記の半芳香族ポリアミドやこれに添加剤を配合したものを押出機で溶融押出し、TダイやIダイなどのフラットダイから溶融ポリマーをシート状に吐出し、冷却ロールやスチールベルトなどの移動冷却体の冷却面に接触させて冷却することにより未延伸シートを得る。
この時、押出温度は半芳香族ポリアミドの融点(Tm)以上370℃以下であることが好ましい。押出温度が融点以下になると粘度が上昇して押し出しできなくなるおそれがあり、370℃を超えると、半芳香族ポリアミドが分解してしまうおそれがある。
移動冷却体の温度は40〜120℃であることが好ましく、45〜90℃であることがより好ましく、45〜60℃であることがさらに好ましい。通常、ポリアミドは、結晶化速度が速く、徐冷すると結晶が成長して延伸が困難になるため、冷却効率を高めることと移動冷却体への水滴の結露を抑制することを両立させるため、室温近傍に急冷することが常道である。
移動冷却体の温度が120℃を超える場合は、溶融ポリマーは、移動冷却体上で適度な硬さを発現するまでの時間が長くなって、未延伸シートが移動冷却体から外れにくくなる。その結果、たとえば移動冷却体がロールである場合には、未延伸シートが破断してロールヘの巻き付きが生じたり、破断しなくても未延伸シートがロールから外れるときの勢いで脈打ちが生じたりする。また未延伸シート中に大きさのバラついた結晶が生成して、延伸ムラが発生したり延伸が困難になったりする。
また、半芳香族ポリアミドは、40℃未満の移動冷却体で急冷すると、それによって、溶融ポリマーにおける移動冷却体(冷却ロール)に未だ接触していない部分が硬くなり、その硬くなった部分は移動冷却体(冷却ロール)に密着しなくなる。結果として、未延伸シートは、移動冷却体に密着する部分と密着しない部分が現れ、安定して操業できなくなる。また、その後の延伸工程で破断、あるいは、不均一な延伸が起こる。これは、結晶化速度が速いという樹脂特性に加えて、ガラス転移温度(Tg)が高く、さらに、低温領域では弾性率が高く硬い樹脂特性が、移動冷却体との均一な密着を妨げ、局部的な冷却速度ムラを生じていることが原因していると考えられる。
溶融ポリマーを均一に冷却固化して未延伸シートを得るために、溶融ポリマーを移動冷却体に密着させて冷却固化するための方法として、エアーナイフキャスト法、静電印加法、バキュームチャンバ法等の方法を使用することができる。
二軸延伸方法として、フラット式逐次二軸延伸法、フラット式同時二軸延伸法、チューブラ法等を用いることができる。なかでも、フィルム厚み精度が良く、フィルム巾方向の物性が均一であることから、フラット式同時二軸延伸法が最適である。
フラット式同時二軸延伸法のための延伸装置としては、スクリュー式テンター、パンタグラフ式テンター、リニアモーター駆動クリップ式テンターなどを用いることができる。
延伸倍率は、最終的に得られる半芳香族ポリアミドフィルムの耐熱性や力学強度が優れるために、縦方向(MD)および横方向(TD)にそれぞれ1.5〜10倍の範囲であることが好ましく、2〜5倍であることがより好ましい。
延伸速度は、MDとTDの延伸歪み速度がいずれも400%/minを超えることが好ましく、800〜12000%/minであることがより好ましく、1200〜6000%/minであることがより好ましい。歪み速度が400%/min以下であると、延伸の途中で結晶が成長して、フィルムが破断し、反対に歪み速度が速すぎると、未延伸シートは、変形に追随できなくなって破断する場合がある。
延伸温度は、半芳香族ポリアミドのTg以上であることが好ましく、Tgを超えかつ(Tg+50℃)以下であることがより好ましい。延伸温度がTg未満の場合は、フィルムの破断が生じやすく、安定した製造を行うことができず、反対に(Tg+50℃)を超えると、延伸ムラが生じる場合がある。
さらに、熱固定処理を行った後、フィルムは、クリップに把持されたまま、必要に応じて1〜10%の弛緩処理を行うことが好ましく、3〜7%の弛緩処理を行うことがより好ましい。フィルムは、弛緩処理を行うことで、十分な寸法安定性を得られるようになる。
半芳香族ポリアミドからなるフィルムを一度巻き取った後に、層(II)形成用塗剤を塗布するオフラインコートにおいては、透明性に優れるフィルムを得るためには、フィルム(I)に滑剤を添加しない方が好ましいため、巻き取りによるブロッキングや擦り傷が発生しやすくなり、フィルムの品質が低下してしまう。
一方、延伸および熱処理工程後に塗布する場合、延伸によりフィルムの厚み精度が良くなるため、延伸前に塗布する場合と比較してより精密な塗布が可能であり、延伸工程での切断や延伸ムラのリスクをより低減することができる。
このように半芳香族ポリアミドフィルムの製造工程中に層(II)形成用塗剤を塗布することにより、オフラインでの塗布に比べると、製造工程を簡略化することができるばかりか、樹脂層の薄膜化により、コスト面でも有利である。さらには、形成された層(II)は、層の厚みが、含有する微粒子の平均粒径以下であっても、微粒子が層(II)より脱落することなく、積層フィルムの滑り性向上に貢献することができる。
以下の実施例・比較例における各種物性の評価方法は、下記のとおりとした。なお、特に記載がない限りは、いずれの測定も、温度23℃、湿度50%の環境下で行った。
(1)半芳香族ポリアミドの特性
〔極限粘度[η]〕
濃硫酸中、30℃にて、0.05、0.1、0.2、0.4g/dlの各濃度の試料の固有粘度(ηinh)を以下の式から求め、これを濃度0に外挿した値を極限粘度[η]とした。
ηinh=[ln(t1/t0)]/c
〔式中、ηinhは固有粘度(dl/g)、t0は溶媒の流下時間(秒)、t1は試料溶液の流下時間(秒)、cは溶液中の試料の濃度(g/dl)を表す。〕
DSC装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用い、半芳香族ポリアミドを、窒素雰囲気下で20℃から350℃まで10℃/分で昇温させ5分間保持した(1st Scan)後、350℃から20℃まで100℃/分で冷却して5分間保持した。さらに20℃から350℃まで10℃/分で再昇温させた過程(2nd Scan)でのガラス転移温度を、半芳香族ポリアミドのTgとした。同様に、2nd Scanで観測される結晶融解ピークのピークトップ温度をTmとした。
〔酸価、アミン価〕
JIS K2501に記載の方法により測定した。
樹脂10mgをサンプルとし、顕微鏡用加熱(冷却)装置ヒートステージ(リンカム社製、Heating−Freezing STAGE TH−600型)を備えた顕微鏡を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測定を行い、樹脂が変形し始める温度を軟化点とした。
〔固形分濃度〕
得られた水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
B型粘度計(トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計)を用い、温度25℃における回転粘度(mPa・s)を測定した。
電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製、FE−SEM)にて、微粒子をSEM測定した。撮影SEM画像から任意の直交方向の2方向の粒径をスケールで100点実測し、粒子100個分のデータから、平均粒子径を以下の方法で算出した。
平均粒子径:各粒子で、(互いに直交している、短い方の径と長い方の径との和)/2で1粒子ごとの粒径を算出し、100個の平均を取った。
〔厚み〕
得られた積層フィルムを23℃、50%RHの環境下に2時間以上放置してから、透過型電子顕微鏡(TEM)によりフィルム断面観察を行い、各層の厚みを測定した。
得られた積層フィルムの層(II)について、JIS K5600に記載の方法に従い、クロスカット法によって、23℃、50%RHの環境下にて半芳香族ポリアミドフィルム(I)と層(II)間の密着性を評価した。詳しくは、切り込みを入れて100区画の格子パターンをつくった層(II)に、粘着テープ(ニチバン社製、TF−12)を貼り、勢いよくテープを剥離した。半芳香族ポリアミドフィルム(I)上に残留する層(II)の格子の数から、半芳香族ポリアミドフィルム(I)との密着性を、次の4段階で評価した。
◎:100個
○:99〜95個
△:94〜50個
×:49〜0個
なお、テープ剥離後の、半芳香族ポリアミドフィルム(I)上に残留する層(II)の格子において、微粒子の脱落は確認されなかった。
日本電色社製ヘイズメーター(NDH 2000)を用い、JIS K7105に準じて、積層フィルムの全光線透過率(Tt)、拡散透過率(Td)の測定を行い、下記式に基づいて、ヘイズを計算した。
ヘイズ(%)=(Td/Tt)×100
JIS K7125に準じて、積層フィルムの層(II)同士の動摩擦係数を測定した。
積層フィルムを10mm幅×150mmの短冊状にカットし、これに間隔100mmとなるように2本の標線を入れた試験片を作製した。得られた試験片を無荷重下で250℃のオーブン中に5分間熱処理した後、試験片を取り出して23℃×50%RH下で2時間調湿した後、標線間距離を測定した。フィルムの長さ方向(MD)と幅方向(TD)測定用の各3試料について、下記式にて熱収縮率を求め、それぞれの方向の熱収縮率の平均値を算出した。
熱収縮率(%)=(A−B)/A×100
A:熱処理前の標線間距離(mm)、B:熱処理後の標線間距離(mm)
〔ハードコート層の形成〕
積層フィルムの層(II)上に、アクリル系ハードコート樹脂(大日精化社製 セイカビームPHC)を、卓上型コーティング装置を用いて塗布し、低圧水銀灯UVキュア装置(東芝ライテック社製、40mW/cm、一灯式)でキュアリングを行い、厚さ3μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層と層(II)間の接着性を、JIS K5600に記載の方法に従い、クロスカット法によって、23℃、50%RHの環境下にて、評価した。詳しくは、切り込みを入れて100区画の格子パターンをつくったハードコート層に、粘着テープ(ニチバン社製、TF−12)を貼り、勢いよくテープを剥離した。残留する格子の数から、ハードコート層との接着性を、次の4段階で評価した。
◎:100個
○:99〜95個
△:94〜50個
×:49〜0個
積層フィルムのヘイズ評価方法と同じ方法で、ハードコート層を形成した積層フィルムのヘイズを求めた。
JIS K7125に準じて、積層フィルムがフィルム(I)の片面に層(II)が積層されている場合は、フィルム(I)とハードコート層との動摩擦係数を測定し、積層フィルムがフィルム(I)の両面に層(II)が積層されている場合は、層(II)とハードコート層との動摩擦係数を測定した。本発明においては、0.7以下であることが好ましい。
層(II)を構成する樹脂として、以下のものを用い、その水性分散体を製造した。
〔ダイマー酸系ポリアミドP−1〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を100モル%含有し、ジアミン成分としてエチレンジアミンを100モル%含有し、酸価が10.0mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が158℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミドP−2〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を85モル%、アゼライン酸を15モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が15.0mgKOH/g、アミン価が0.3mgKOH/g、軟化点が110℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミドP−3〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を60モル%、アゼライン酸を40モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が10.5mgKOH/g、アミン価が0.1mgKOH/g、軟化点が165℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミドP−4〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を100モル%、アゼライン酸を55モル%含有し、ジアミン成分としてピペラジンを50モル%、エチレンジアミンを50モル%含有し、酸価が10.0mgKOH/g、アミン価が1.0mgKOH/g、軟化点が170℃であるポリアミド樹脂。
〔ダイマー酸系ポリアミドP−5〕
ジカルボン酸成分として、ダイマー酸を45モル%、ジアミン成分としてエチレンジアミンを100モル%含有し、酸価が10.5mgKOH/g、アミン価が0.2mgKOH/g、軟化点が163℃であるポリアミド樹脂。
ポリオレフィンP−6として、住友化学社製「ボンダインLX4110」を用いた。
テレフタル酸3057g、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル474g、エチレングリコール1154g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール275gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。この時のモノマー成分の配合は、テレフタル酸:5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル:エチレングリコール:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール=92:8:93:7(モル比)とした。次いで、触媒として三酸化アンチモン0.525g、トリエチルホスフェート0.328g、酢酸亜鉛二水和物1.580gを添加した後、系の温度を250℃に昇温し、系の圧力を0.4MPaで制圧し、3時間反応を行った。その後、徐々に放圧し、常圧にて1時間反応を行った。その後、270℃に昇温し、徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、2時間30分後に系を窒素ガスで常圧にして重縮合反応を終了した。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、放冷した。次いで、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のTCD系ポリエステルP−7を得た。
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミドP−1、37.5gのイソプロパノール(IPA)、37.5gのテトラヒドロフラン(THF)、7.2gのN,N−ジメチルエタノールアミンおよび217.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、100gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、水の混合媒体約100gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−1を得た。E−1の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.040μm、pHは10.4、粘度は36mPa・sであった。
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミドP−2、93.8gのIPA、6.0gのN,N−ジメチルエタノールアミンおよび200.3gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、130gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、水の混合媒体約130gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−2を得た。E−2の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.052μm、pHは10.6、粘度は30mPa・sであった。
撹拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、110.0gのダイマー酸系ポリアミドP−3、110.0gのIPA、110.0gのTHF、9.2gのN,N−ジメチルエタノールアミン、11.0gのトルエン、および199.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、330gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、トルエン、水の混合媒体約330gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−3を得た。E−3の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.065μm、pHは10.3、粘度は8mPa・sであった。
攪拌機およびヒーター付の密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75.0gのダイマー酸系ポリアミドP−4、37.5gのIPA、37.5gのTHF、7.2gのN,N−ジメチルエタノールアミン、および217.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、100gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、水の混合媒体約100gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−4を得た。E−4の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.045μm、pHは10.6、粘度は5mPa・sであった。
攪拌機およびヒーター付の密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、110.0gのダイマー酸系ポリアミドP−5、110.0gのIPA、110.0gのTHF、9.2gのN,N−ジメチルエタノールアミン、11.0gのトルエン、および199.8gの蒸留水を仕込んだ。回転速度を300rpmで撹拌しながら、系内を加熱し、120℃で60分間加熱攪拌を行った。その後、撹拌しながら室温付近(約30℃)まで冷却し、330gの蒸留水を追加した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)でごくわずかに加圧しながらろ過した。得られた水性分散体を1Lナスフラスコに入れ、80℃に加熱した湯浴につけながらエバポレーターを用いて減圧し、IPA、THF、トルエン、水の混合媒体約330gを留去し、乳白色の均一なダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−5を得た。E−5の固形分濃度は20質量%、分散体中の樹脂の数平均粒子径は0.085μm、pHは10.4、粘度は5mPa・sであった。
攪拌機およびヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、60.0gのポリオレフィン樹脂P−6、28.0gのIPA、1.5gのトリエチルアミンおよび210.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体N−1を得た。
ジャケット付きの、密閉が可能な円筒状ガラス容器(内容量3L)と、攪拌機(東京理科器械社製、「MAZELA NZ−1200」)を用い、TCD系ポリエステルP−7を300g、IPAを50g、蒸留水を650gそれぞれガラス容器内に仕込み、攪拌翼の回転速度を70rpmに保って攪拌しながら、ジャケット内に熱水を通して昇温した。内温が80℃になった時点で昇温を止め、そこから攪拌を90分間続けた。攪拌中は内温を72±2℃に保つよう行った。その後、ジャケット内に冷水を通し、回転速度を30rpmに下げて攪拌しつつ、25℃まで冷却しポリエステル樹脂分散液を得た。得られたポリエステル樹脂分散液800gを丸底フラスコに仕込み、水40gを添加し、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を40g留去した。その後、室温まで冷却し、さらに攪拌しながら、最後に固形分濃度が30質量%となるようにイオン交換水を加えて、TCD系ポリエステル樹脂水性分散体S−1を得た。
水溶性ポリエステル樹脂(互応化学工業社製、プラスコートRZ−142、固形分濃度25質量%)に、蒸留水、アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業社製、オルフィンE1004)を添加し、ポリエステル樹脂固形分5質量%、界面活性剤0.005質量%の組成からなるポリエステル樹脂水性分散体S−2を作製した。
ポリウレタン樹脂水性分散体(大成ファインケミカル社製、WBR−2101、固形分濃度25質量%、体積平均粒子径41nm)を用いた。
アクリル樹脂水性分散体(アイカ工業社製、B−800、固形分濃度55質量%)を用いた。
〔シリカ微粒子〕
扶桑化学工業社製コロイダルシリカPL−1(粒子径:0.015μm)、PL−3(粒子径:0.035μm)、PL−7(粒子径:0.075μm)
〔アクリル微粒子〕
JXTGエネルギー社製ユニパウダーNMB−0220C(粒子径:2μm)、NMB−0520C(粒子径:5μm)
〔半芳香族ポリアミドA〕
テレフタル酸(TA)3289質量部、1,9−ノナンジアミン(NDA)2533質量部、2−メチル−1,8−オクタンジアミン(MODA)633質量部、安息香酸(BA)48.9質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物6.5質量部(前記のポリアミド原料4者の合計に対して0.1質量%)および蒸留水2200質量部を反応釜に入れ、窒素置換した。これらの原料のモル比(TA/BA/NDA/MODA)は99/2/80/20である。
反応釜の内容物を100℃で30分間攪拌した後、2時間かけて内部温度を210℃に昇温した。この時、反応釜の内部は2.12MPa(22kg/cm2)まで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.12MPa(22kg/cm2)に保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を0.98MPa(10kg/cm2)まで下げ、さらに1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを100℃の温度で減圧下で12時間乾燥した後、2mm以下の大きさまで粉砕した。
次いで、粉砕したプレポリマーを、温度230℃、圧力13.3Pa(0.1mmHg)の条件下で10時間固相重合してポリマーを得た。これを二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX44C」)に供給し、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練して押し出し、冷却、切断して、半芳香族ポリアミドAのペレットを製造した。
テレフタル酸(TA)489質量部、1,10−デカンジアミン(DDA)507質量部、安息香酸(BA)2.8質量部、次亜リン酸ナトリウム一水和物1.0質量部(前記のポリアミド原料4者の合計に対して0.1質量%)および蒸留水1000質量部を反応釜に入れ、窒素置換した。これらの原料のモル比(TA/BA/DDA)は99/2/100である。
反応釜の内容物を80℃で0.5時間、毎分28回転で撹拌した後、230℃に昇温した。その後、230℃で3時間加熱した。その後冷却し、反応物を取り出した。
該反応物を粉砕した後、乾燥機中において、窒素気流下、220℃で5時間加熱し、固相重合してポリマーを得た。これを二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX44C」)に供給し、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練して押し出し、冷却、切断して、半芳香族ポリアミドBのペレットを製造した。
半芳香族ポリアミドCとして、三菱ガス化学社製ナイロンMXD6「S6007」を用いた。
樹脂Dとして、ナイロン6(脂肪族ポリアミド)(ユニチカ社製ナイロン6「A1030BRF―BA」)を用いた。
〔樹脂E〕
樹脂Eとして、PET(ユニチカ社製PET「UT−CBR」)を用いた。
〔樹脂F〕
樹脂Fとして、PEN(帝人社製テオネックス「TN8065S」)を用いた。
半芳香族ポリアミドA98質量部と、シリカ(東ソー・シリカ社製、NIPGEL AZ−204、粒子径1.7μm)2質量部とを溶融混練してマスターチップ(M1)を作製した。
[シリカ含有マスターチップ(M2)]
半芳香族ポリアミドA98質量部と、シリカ(富士シリシア化学社製、サイリシア310P、粒子径2.5μm)2質量部とを溶融混練してマスターチップ(M2)を作製した。
<層(II)形成用塗剤の調製>
ダイマー酸系ポリアミド樹脂水性分散体E−1と、オキサゾリン化合物の水性溶液(日本触媒社製エポクロスWS−700、固形分濃度25質量%)とを、各成分の固形分質量比率が100:10になるように混合し、室温で5分間混合攪拌した。さらに、層(II)を構成する成分全体に対するシリカ微粒子の含有量が25質量%になるようにシリカ微粒子PL−3を混合し、層(II)形成用塗剤を得た。
<積層フィルムの製造>
半芳香族ポリアミドAを、シリンダー温度を295℃(前段)、320℃(中段)および320℃(後段)に設定した65mm単軸押出機に投入して溶融し、320℃に設定したTダイよりフィルム状に押し出し、循環オイル温度を50℃に設定した冷却ロール上に、静電印加法により押し付けて密着させて冷却し、厚さ250μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。なお、冷却ロールは、表面にセラミック(Al2O3)を0.15mm厚に被覆したものを用いた。また、ロール表面とフィルムとが接触する点よりも上流側にカーボンブラシを2つ並べて冷却ロールに接触させ、カーボンブラシのホルダーを接地することにより、セラミック被覆層の表面を除電した。電極には、直径0.2mmのタングステン線を用い、300W(15kV×20mA)の直流高圧発生装置で6.5kVの電圧を印加した。
次に、上記層(II)形成用塗剤を、グラビアロールで12.0g/m2となるように、未延伸フィルムの片面に塗布した後、未延伸フィルムを、両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機(日立製作所社製)に導いて、予熱部温度125℃、延伸部温度130℃、縦延伸歪み速度2400%/min、横延伸歪み速度2760%/min、縦方向延伸倍率3.0倍、横方向延伸倍率3.3倍で同時二軸延伸した。そして、同テンター内で285℃で熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施した後、均一に徐冷し、フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングして、幅0.5mで長さ500mを巻き取り、厚さ25μmの二軸延伸された半芳香族ポリアミドフィルム上に、厚さ0.300μmの層(II)が設けられた積層フィルムを得た。
表3に示す微粒子含有量に変更し、層(II)形成用塗剤を、グラビアロールで片面6.0g/m2で両面塗布となるように変更した以外は、実施例1と同様にして、半芳香族ポリアミドフィルムの両面に、厚さ0.150μmの層(II)がそれぞれ設けられた積層フィルムを得た。
層(II)形成用塗剤における樹脂の種類、架橋剤の含有量、微粒子の種類、粒子径、含有量、および層(II)の厚みを表3、4に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
実施例1と同様にして、未延伸フィルムを得た後、未延伸フィルムを、両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機(日立製作所社製)に導いて、予熱部温度125℃、延伸部温度130℃、縦延伸歪み速度2400%/min、横延伸歪み速度2760%/min、縦方向延伸倍率3.0倍、横方向延伸倍率3.3倍で同時二軸延伸した。そして、同テンター内で285℃で熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施した後、均一に徐冷し、フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングした。
その後、表4に示す構成の層(II)形成用塗剤を、グラビアロールで1.2g/m2となるように、延伸フィルムの片面に塗布した後、ドライヤー内で115℃で乾燥し、幅0.5mで長さ500mを巻き取り、厚さ25μmの二軸延伸された半芳香族ポリアミドフィルム上に、厚さ0.300μmの層(II)が設けられた積層フィルムを得た。
層(II)形成用塗剤における樹脂の種類、微粒子の含有量を表4に示すものに変更した以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを得た。
実施例1と同様にして、未延伸フィルムを得た後、未延伸フィルムを、ロール式縦延伸機で130℃の条件下にて2.0倍に延伸した。
次いで、表4に示す構成の層(II)形成用塗剤を、縦延伸した半芳香族ポリアミドフィルムの片面にグラビアロールで3.0g/m2となるように塗布したのち、その後連続的にシートの端部をフラット式延伸機のクリップに把持させ、140℃の条件下、横2.5倍に延伸を施し、その後、横方向の弛緩率を5%として、285℃で熱固定を行い、厚さ50μmの逐次二軸延伸された半芳香族ポリアミドフィルムの片面に厚さ0.300μmの層(II)が設けられた積層フィルムを得た。
未延伸フィルムの厚みを375μmに変更した以外は実施例28と同様にして厚さ75μmの逐次二軸延伸された半芳香族ポリアミドフィルムの片面に厚さ0.300μmの層(II)が設けられた積層フィルムを得た。
基材フィルム(I)を構成する成分全体に対するシリカ含有量が0.05質量%になるように、シリカ含有マスターチップM1を混合した以外は実施例9と同様にして、片面に厚さ0.300μmの層(II)が設けられた厚さ25μmの積層フィルムを得た。
半芳香族ポリアミドBを、シリンダー温度を310℃(前段)、330℃(中段)および330℃(後段)に設定した65mm単軸押出機に投入して溶融し、330℃に設定したTダイよりフィルム状に押し出し、循環オイル温度を50℃に設定した冷却ロール上に、静電印加法により押し付けて密着させて冷却し、厚さ250μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
次に、表4に示す構成の層(II)形成用塗剤を、グラビアロールで12.0g/m2となるように、未延伸フィルムの片面に塗布した後、未延伸フィルムを、両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機(日立製作所社製)に導いて、予熱部温度150℃、延伸部温度160℃、縦延伸歪み速度2400%/min、横延伸歪み速度2760%/min、縦方向延伸倍率3.0倍、横方向延伸倍率3.3倍で同時二軸延伸した。そして、同テンター内で300℃で熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施した後、均一に徐冷し、フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングして、幅0.5mで長さ500mを巻き取り、厚さ25μmの二軸延伸された半芳香族ポリアミドフィルム上に、厚さ0.300μmの層(II)が設けられた積層フィルムを得た。
半芳香族ポリアミドCを、シリンダー温度を240℃(前段)、280℃(中段)および270℃(後段)に設定した65mm単軸押出機に投入して溶融し、270℃に設定したTダイよりフィルム状に押し出し、循環オイル温度を30℃に設定した冷却ロール上に、エアナイフ法により押し付けて密着させて冷却し、厚さ100μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
次に、表4に示す構成の層(II)形成用塗剤を、グラビアロールで12.0g/m2となるように、未延伸フィルムの片面に塗布した後、未延伸フィルムを、両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機(日立製作所社製)に導いて、予熱部温度140℃、延伸部温度145℃、縦延伸歪み速度2400%/min、横延伸歪み速度2760%/min、縦方向延伸倍率2.0倍、横方向延伸倍率2.0倍で同時二軸延伸した。そして、同テンター内で250℃で熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施した後、均一に徐冷し、フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングして、幅0.5mで長さ50mを巻き取り、厚さ25μmの二軸延伸された半芳香族ポリアミドフィルム上に、厚さ0.300μmの層(II)が設けられた積層フィルムを得た。
半芳香族ポリアミドAに、表4に示すシリカ含有量になるように、シリカ含有マスターチップM2を混合した以外は実施例1と同様にして、未延伸フィルムを得た。さらに得られた未延伸フィルムに層(II)形成用塗剤を塗布せずに、実施例1と同様にして二軸延伸ならびに熱固定処理を行い、厚さ25μmの半芳香族ポリアミドフィルムを得た。
半芳香族ポリアミドAに、表4に示すシリカ含有量になるように、シリカ含有マスターチップM2を混合した以外は比較例1と同様にして、厚さ25μmの半芳香族ポリアミドフィルムの片面に厚さ0.300μmの層(II)が設けられた積層フィルムを得た。
半芳香族ポリアミドAに、表4に示すシリカ含有量になるように、シリカ含有マスターチップM2を混合し、表4に示す微粒子を含有しない層(II)形成用塗剤を使用した以外は、実施例28と同様にして、厚さ50μmの逐次二軸延伸された半芳香族ポリアミドフィルムの片面に厚さ0.300μmの層(II)が設けられた積層フィルムを得た。
樹脂D(ナイロン6(脂肪族ポリアミド))を、シリンダー温度を210℃(前段)、260℃(中段)および230℃(後段)に設定した65mm単軸押出機に投入して溶融し、230℃に設定したTダイよりフィルム状に押し出し、循環オイル温度を30℃に設定した冷却ロール上に、エアナイフ法により押し付けて密着させて冷却し、厚さ250μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
次に、得られた未延伸フィルムを水分率が3.5質量%となるように水温を65℃に調整した温水層に未延伸フィルムを浸漬し、水切りロールにて未延伸フィルム表面の温水を除去した。
次に、表4に示す構成の層(II)形成用塗剤を、グラビアロールで12.0g/m2となるように、未延伸フィルムの片面に塗布した後、未延伸フィルムを、両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機(日立製作所社製)に導いて、予熱部温度215℃、延伸部温度200℃、縦延伸歪み速度2400%/min、横延伸歪み速度2760%/min、縦方向延伸倍率3.0倍、横方向延伸倍率3.3倍で同時二軸延伸した。そして、同テンター内で210℃で熱固定を行い、フィルムの幅方向に5%の弛緩処理を施した後、均一に徐冷し、フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングして、幅0.5mで長さ500mを巻き取り、厚さ25μmの二軸延伸された脂肪族ポリアミド(ナイロン6)フィルム上に、厚さ0.300μmの層(II)が設けられた積層フィルムを得た。
樹脂E(PET)を、シリンダー温度を260℃(前段)、280℃(中段)および280℃(後段)に設定した65mm単軸押出機に投入して溶融し、280℃に設定したTダイよりフィルム状に押し出し、循環オイル温度を20℃に設定した冷却ロール上に、静電印加法により押し付けて密着させて冷却し、厚さ375μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムを、ロール式縦延伸機で85℃の条件下にて3.4倍に延伸した。次いで、表4に示す構成の層(II)形成用塗剤を、フィルムの片面にグラビアロールで5.3g/m2となるように塗布したのち、その後連続的にシートの端部をフラット式延伸機のクリップに把持させ、120℃の条件下、横4.4倍に延伸を施し、その後、横方向の弛緩率を5%として、240℃で熱固定を行い、厚さ25μmのPETフィルムの片面に厚さ0.300μmの層(II)が設けられた積層フィルムを得た。
樹脂F(PEN)を、シリンダー温度を260℃(前段)、285℃(中段)および285℃(後段)に設定した65mm単軸押出機に投入して溶融し、285℃に設定したTダイよりフィルム状に押し出し、循環オイル温度を50℃に設定した冷却ロール上に、静電印加法により押し付けて密着させて冷却し、厚さ625μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムを、ロール式縦延伸機で130℃の条件下にて5.0倍に延伸した。次いで、表4に示す構成の層(II)形成用塗剤を、フィルムの片面にグラビアロールで6.0g/m2となるように塗布したのち、その後連続的にシートの端部をフラット式延伸機のクリップに把持させ、135℃の条件下、横5.0倍に延伸を施し、その後、横方向の弛緩率を5%として、245℃で熱固定を行い、25μmのPENフィルムの片面に厚さ0.300μmの層(II)が設けられた積層フィルムを得た。
微粒子を含有する層が形成されていない比較例1のフィルムは、滑り性に劣り、比較例2のフィルムは、ハードコート層との接着性に劣るものであり、比較例3、4のフィルムは、基材フィルムが滑剤を含有するため、滑り性は向上したが、ヘイズが高いものであった。比較例5〜7の積層フィルムは、基材フィルムを構成する樹脂が半芳香族ポリアミドでないため、熱収縮率が高く寸法安定性に劣るものであった。
Claims (10)
- 半芳香族ポリアミドフィルム(I)の少なくとも片面に、無機系および/または有機系微粒子を含有する層(II)が積層されてなることを特徴とする積層フィルム。
- ヘイズが3%以下であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
- 微粒子を含有する層(II)面の、23℃×50%RH雰囲気下における動摩擦係数が0.7以下であることを特徴とする請求項1または2記載の積層フィルム。
- 微粒子を含有する層(II)における微粒子の含有量が0.1〜25質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 微粒子を含有する層(II)がダイマー酸系ポリアミドを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 250℃×5分の熱収縮率が3%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1記載の積層フィルムを製造するための方法であって、半芳香族ポリアミドフィルム(I)の少なくとも片面に、微粒子を含有する層(II)形成用塗剤を塗布して、微粒子を含有する層(II)を積層することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
- 下記(a)〜(f)の工程を含むことを特徴とする請求項7記載の積層フィルムの製造方法。
(a)半芳香族ポリアミドからなる未延伸フィルムを製膜する工程
(b)半芳香族ポリアミドからなるフィルムの少なくとも片面に、微粒子を含有する層(II)形成用塗剤を塗布して塗膜を形成する工程
(c)塗膜を乾燥する工程
(d)未延伸フィルムを延伸する工程
(e)延伸フィルムを250℃〜(Tm−5℃)で熱固定処理する工程
(f)延伸フィルムを巻き取る工程 - 工程が、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順であることを特徴とする請求項8記載の積層フィルムの製造方法。
- 工程が、(a)、(d)、(e)、(b)、(c)、(f)の順であることを特徴とする請求項8記載の積層フィルムの製造方法。
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