本発明の請求項1に記載の発明は、調理油が充填された油槽と、前記油槽に充填された調理油を所定の温度に加熱する加熱手段と、食品を前記油槽に充填された調理油中で所定の方向に搬送する水平搬送部、および前記食品を前記調理油から引き上げて所定の方向に搬送する傾斜搬送部とから構成した搬送手段と、前記傾斜搬送部により搬送される食品に、前記油槽に充填された調理油を流れ落とす流下開口を有する流下手段と、前記油槽に充填された調理油を循環させるポンプと、前記油槽に充填された調理油を前記流下手段へと供給するポンプと、を備え、前記水平搬送部にて前記油槽に充填された調理油中を所定の方向に搬送しつつ、前記油槽に充填された調理油で前記食品の揚げ調理を行う油中内調理ステップと、前記傾斜搬送部にて前記油槽に充填された調理油から引き上げて所定の方向に搬送しつつ、前記流下手段の有する流下開口から前記所定の温度の調理油を前記食品に流れ落として、前記食品の揚げ調理を行う油中外調理ステップと、を含むフライヤーの運転方法であって、前記油槽に充填された調理油を循環させながら前記加熱手段により加熱し、前記油槽に充填された調理油が所定の温度に達した後に、前記所定の温度に達した調理油を前記流下手段へと供給し、前記流下開口から流れ落とすことを所定時間継続した後、前記所定の温度の調理油へ前記食品を投入して前記食品の揚げ調理を開始することを特徴とするフライヤーの運転方法としたものである。
このフライヤーの運転方法によれば、所定の温度に達する前の調理油を流下手段へと供給して流れ落としつつ油槽に充填された調理油を所定の温度に加熱するよりも、流下手段から流れ落とさずに油槽に充填された調理油を循環させながら加熱手段により所定の温度に加熱することにより、効率的に調理油を加熱することができる。そして所定の温度に達した調理油を流下手段へと供給して所定時間継続して流れ落とすことにより、食品の揚げ調理以前からフライヤーを予備加熱して、調理開始直後から揚げ調理する食品に最適な調理油の温度で食品を調理することができる。これにより、食品の揚げ調理を開始するまでの時間を短縮するとともに、常に揚げ調理した食品の品質を安定化させることができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、油槽に充填された調理油を循環させながら加熱するとき、前記調理油を前記油槽の食品搬送方向の上流側から吸い込み、前記上流側から吸い込んだ調理油を前記油槽の食品搬送方向の下流側で吐出することで、前記油槽の食品搬送方向の下流側から上流側へと流し戻して循環させ、前記油槽に充填された調理油を流下手段に供給しているとき、前記調理油を前記油槽の食品搬送方向の上流側から吸い込み、前記上流側から吸い込んだ調理油を前記流下手段へと供給して食品搬送方向の下流側へと流れ落とし、前記上流側へと流し戻される調理油と合流させて循環させることを特徴とするフライヤーの運転方法としたものである。
これにより、油槽に充填された調理油を循環させながら加熱手段により加熱するときと、油槽に充填され所定の温度に達した調理油を流下手段へと供給するときとに、油槽に充填された調理油をより効率良く加熱し、所定の温度へと加熱する時間を短縮することができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、加熱手段は、第1加熱手段と第2加熱手段とを有し、油槽に充填された調理油を循環させながら加熱するとき、前記油槽に充填された調理油を前記第1加熱手段と前記第2加熱手段とにより加熱し、前記油槽に充填され所定の温度に達した前記調理油を流下手段へと供給するとき、前記第1加熱手段により加熱された前記油槽に充填された調理油を、前記第2加熱手段によりさらに加熱することを特徴とするフライヤーの運転方法としたものである。
これにより、油槽に充填された調理油を循環させながら加熱するとき、第1加熱手段と第2加熱手段とにより効率的に加熱して短時間にて所定の温度へと加熱することで、揚げ調理を開始するまでの時間をさらに短縮することができる。また、油槽に充填され所定の温度に達した調理油を流下手段へと供給するとき、油槽に充填され第1加熱手段により加熱した調理油を第2加熱手段で再加熱することで、揚げ調理を開始する以前から揚げ調理する食品の調理条件に合わせた調理油の温度へと加熱することができ、揚げ調理開始直後から揚げ調理した食品の品質をより安定化させることができる。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、油槽に充填された調理油の温度を計測する第1温度センサと、第2加熱手段により加熱された前記調理油の温度を計測する第2温度センサと、前記第1温度センサにより計測した温度に基づいて第1加熱手段の出力制御を行うとともに、前記第2温度センサにより計測した温度に基づいて前記第2加熱手段の出力制御とを行う制御部と、を備え、
前記油槽に充填された調理油を循環させながら加熱するとき、前記第1温度センサにより計測する前記油槽に充填された調理油の温度が所定の温度に達した後に、前記所定の温度に達した調理油を流下手段へと供給し、前記油槽に充填された調理油を前記流下手段に供給しているとき、前記油槽に充填された調理油を前記第1温度センサと前記第1加熱手段とにより所定の温度に保ちつつ、前記第2温度センサにより計測した温度に基づいて前記第2加熱手段の出力を制御して、前記第2加熱手段により加熱された前記調理油の温度を、任意の温度にすることを特徴とするフライヤーの運転方法としたものである。
これにより、油槽に充填された調理油を流下手段に供給しているとき、揚げ調理を開始する以前から揚げ調理する食品の調理条件に合わせた調理油の温度へと加熱することができ、揚げ調理を開始するまでの時間を短縮するとともに、揚げ調理開始直後から揚げ調理した食品の品質をより安定化させることができる。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、
ポンプは、油槽に充填された調理油を循環させるときに運転する第1ポンプと、前記油槽に充填された調理油を流下手段へと供給するときに運転する第2ポンプと、を有し、
前記油槽に充填され加熱手段により加熱された調理油が所定の温度に達した後に、運転するポンプを前記第1ポンプから前記第2ポンプへと切り替えることを特徴とするフライヤーの運転方法としたものである。
これにより、油槽に充填された調理油を循環させるときと、油槽に充填された調理油を流下手段へと供給するときとで、それぞれに最適なポンプを選択し、油槽に充填された調理油の確実な循環を行うことができる。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、少なくとも油槽に充填された調理油を流下手段へと供給しているとき、搬送手段を運転した状態とすることを特徴とするフライヤーの運転方法としたものである。
これにより、油槽に充填された調理油の滞留している部分の流動を促進し、油槽に充填された調理油を均温化することができる。また、搬送手段を加熱された調理油で加熱することで搬送手段を調理油の温度に近づけ、調理開始時から揚げ調理した食品の品質をより安定化させることができる。
本発明の請求項7に記載の発明は、調理油が充填された油槽と、前記油槽に充填された調理油を所定の温度に加熱する加熱手段と、前記加熱手段により所定の温度に加熱された調理油中で食品を揚げ調理しつつ所定の方向に搬送する水平搬送部、および前記水平搬送部から所定角度傾斜し前記食品を前記調理油から引き上げて所定の方向に搬送する傾斜搬送部とから構成した搬送手段と、前記傾斜搬送部により搬送される食品に、前記油槽内の所定の温度に加熱された調理油を流れ落として前記食品を揚げ調理する流下開口を有する流下手段と、前記油槽内の食品搬送方向の上流側に設けられた吸油口と、前記吸油口から吸い込み、食品搬送方向の下流側で前記油槽内へ吐出することで前記調理油を循環させるポンプと、前記吸油口から吸い込み、前記調理油を前記流下手段へと供給するポンプと、を備え、
前記油槽に充填された調理油を循環させるポンプを運転しつつ前記加熱手段により前記油槽内の調理油を加熱し、前記調理油を所定の温度へと加熱した後に、前記所定の温度の調理油を前記流下手段へと供給するポンプを所定時間運転した後、前記所定の温度の調理油へ前記食品を投入して調理を開始することを特徴とするフライヤーとしたものである。
このフライヤーの運転方法によれば、所定の温度に達する前の調理油を流下手段へと供給して流れ落としつつ油槽に充填された調理油を所定の温度に加熱するよりも、流下手段から流れ落とさずに油槽に充填された調理油を循環させながら加熱手段により所定の温度に加熱することにより、効率的に調理油を加熱することができる。そして所定の温度に達した調理油を流下手段へと供給して所定時間継続して流れ落とすことにより、食品の揚げ調理以前からフライヤーを予備加熱して、調理開始直後から揚げ調理する食品に最適な調理油の温度で食品を調理することができる。これにより、食品の揚げ調理を開始するまでの時間を短縮するとともに、常に揚げ調理した食品の品質を安定化させることができる。
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、加熱手段は、油槽に充填された調理油を所定の温度に加熱する第1加熱手段と、吸油口近傍に配置され、前記第1加熱手段により加熱された前記油槽に充填された調理油をさらに加熱する第2加熱手段と、により構成されることを特徴とするフライヤーとしたものである。
これにより、油槽に充填された調理油を循環させながら加熱するとき、第1加熱手段と第2加熱手段とにより効率的に加熱して短時間にて所定の温度へと加熱することで、揚げ調理を開始するまでの時間をさらに短縮することができる。また、油槽に充填され所定の温度に達した調理油を流下手段へと供給するとき、油槽に充填され第1加熱手段により加熱した調理油を第2加熱手段で再加熱することで、揚げ調理を開始する以前から揚げ調理する食品の調理条件に合わせた調理油の温度へと加熱することができ、揚げ調理開始直後から揚げ調理した食品の品質をより安定化させることができる。
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、油槽に充填された調理油の温度を計測する第1温度センサと、第2加熱手段により加熱された前記調理油の温度を計測する第2温度センサと、を備え、
前記第1温度センサにより計測した温度に基づいて、前記油槽に充填された調理油を所定の温度に達するように第1加熱手段と前記第2加熱手段との出力を制御し、前記油槽に充填された調理油が所定の温度に達した後に、前記第1温度センサにより前記油槽に充填された調理油を所定の温度に保ちつつ、前記第2温度センサにより計測した温度に基づいて、前記第2加熱手段により加熱される前記調理油の温度を任意の温度とするように前記第2加熱手段の出力を制御する制御部を有することを特徴とするフライヤーとしたものである。
これにより、油槽に充填された調理油を流下手段に供給しているとき、揚げ調理を開始する以前から揚げ調理する食品の調理条件に合わせた調理油の温度へと加熱することができ、揚げ調理を開始するまでの時間を短縮するとともに、揚げ調理開始直後から揚げ調理した食品の品質をより安定化させることができる。
以下に、本発明の一実施形態のフライヤーの運転方法およびフライヤーの詳細について、図1〜図24を参照しながら説明を行う。
(第1実施形態)
(フライヤーの構成)
まず、本発明のフライヤー1について、基本的な構成を説明する。
図1、図2に示すように、フライヤー1は、調理油Coを充填し食品Wを揚げ調理する油槽100と、油槽100のベースである外郭体2と、油槽100の中で食品Wを搬送するバーコンベヤ(搬送手段)210を備えた搬送装置200と、3つの部分トレイ401により構成される調理油トレイ400と、調理油Coを加熱する加熱手段(ヒーター)220,221と、調理油Coを流し移動させる管路121,122,124,126,127,131,140,151と、管路に備える開閉弁123,128,132,141,150,160と、調理油を管路内へ吐出するポンプ125,130と、搬送装置200を調理を行う下限位置と洗浄およびメンテナンスを行う上限位置とに昇降可能とする昇降装置500などにより構成されている。
なお、加熱手段220、221は、例えばシーズヒーターであり、通電を制御することで調理油を加熱する出力を制御することのできるヒーターである。また、加熱手段220、221はシーズヒーターに限らず、ステンレス等の金属管に収めた電熱線式、あるいはガス燃焼管式やIH式等を用いてもよく、実施形態の構成に本件発明が限定されるものではない。
ここで、説明を簡単にするため、油槽100において、食品Wを調理油Coへ投入する位置を食品投入位置100aとし、揚げ調理を終えた食品Wを搬出する位置を食品搬出位置100bとして、左側に食品投入位置100aを置き、右側に食品搬出位置100bを置いたフライヤー1の側を正面とする。また、正面に対向する側をフライヤー1の背面とし、食品投入位置100a側のフライヤー1の側面を左側面、食品搬出位置100b側のフライヤー1の側面を右側面とし、フライヤー1の上方側を上面とする。
搬送装置200は、水平に食品Wを搬送する水平搬送部212と、水平搬送部212から所定角度傾斜して食品Wを搬送する傾斜搬送部213を有する。水平搬送部212で食品Wを搬送する方向を第1水平方向(A方向)、傾斜搬送部213で食品Wを搬送する方向を第1傾斜方向(B方向)、傾斜搬送部213で食品Wを搬送する方向とは逆の方向を第2傾斜方向(C方向)、水平搬送部212で食品Wを搬送する方向とは逆の方向を第2水平方向(D方向)とする。また、以下の説明において、第1水平方向(A方向)と第1傾斜方向(B方向)を総称してバーコンベヤ210の往路または食品搬送方向、第2傾斜方向(C方向)と第2水平方向(D方向)を総称してバーコンベヤ210の復路と称する場合がある。
(搬送装置の構成)
図1に示すように、油槽100内に位置する搬送装置200は、無端状に循環駆動するバーコンベヤ(搬送手段)210と、バーコンベヤ210の内側に備え、油槽100に充填された調理油Coを加熱し所定の温度に維持する第1加熱手段(加熱手段)220と、板状の蓋部221aと、下限位置に搬送装置200があるときに、蓋部221aと、油槽100の凹部110を構成する底面110bおよび垂直な側壁110cにより形成される加熱室110a内で油槽100に充填された調理油Coを加熱して所定の温度に維持する第2加熱手段(加熱手段)221と、を備える。第1加熱手段220および第2加熱手段221は、後述する操作盤の制御部により個別に出力を調整可能としている。
なお、図1では、蓋部221aと仕切板111との間に隙間が描かれているが、実際は密着している。蓋部221aと側壁110cとの間との間の隙間も、同様に密着している。蓋部221aと仕切板111と側壁110cとの区別がつきやすいよう、便宜上の隙間を作っているものである。
搬送装置200は、バーコンベヤ210の循環駆動方向と直交する方向の両側に備える略同形状の2枚の板状のフレーム234へ、バーコンベヤ210と、第1加熱手段220と、蓋部221aと、第2加熱手段221とを固定して構成している。図2に示すように、水平に片持ちに設けられた一対の支持アーム535にそれぞれ取り付けられた2組の吊下げ部材536は、各々のフレーム234へ取り付けられ、搬送装置200を吊下げるように支持して、支持アーム535を鉛直方向に上下動することで搬送装置200を昇降させることができる。搬送装置200の下部に第2加熱手段221と蓋部221aとを備えているため、搬送装置200を上昇させることにより、加熱室110aの上部を構成する蓋部221aと、加熱室110aに位置する第2加熱手段221は、搬送装置200と共に上昇される。蓋部221aが上昇することにより、加熱室110aの上部は開放される。搬送装置200の昇降の詳細に関しては、後述する。
図1に示すように、バーコンベヤ210は、食品投入位置100a側に設けられた第1スプロケット214と、食品搬出位置100b側に設けられた第2スプロケット215と、搬送装置200の水平搬送部212から傾斜搬送部213へと移行する個所に設けられたガイドスプロケット217とを備えている。バーコンベヤ210を駆動するための循環駆動モータ216は、図2に示すように、搬送装置200の背面側のフレーム234の外側に取り付けられており、この循環駆動モータ216から、第2スプロケット215に駆動力が伝達され、バーコンベヤ210は無端状に循環駆動することができる。循環駆動モータ216は搬送装置200側に取り付けられているため、搬送装置200を昇降装置500により上昇させた状態でも、バーコンベヤ210を循環駆動させることができる。
なお、本実施形態におけるフライヤーは、油槽100に充填された調理油Coの温度を測定する第1温度センサ(図示せず)と、加熱室110aに貯めた調理油Coの温度を測定する第2温度センサ(図示せず)とを備えてもよい。その場合は、第1温度センサにより油槽100に充填された調理油Coの温度を測定し、第2温度センサにより、バーコンベヤ210の傾斜搬送部213の上方から流れ落とす調理油Coの温度を測定する。バーコンベヤ210の傾斜搬送部213の上方から流れ落とす調理油Coについては、後述する。
また、操作盤600の制御部(図示せず)により、第1温度センサの測定した温度に基づいて第1加熱手段220の出力を制御し、油槽100に充填された調理油を任意の温度へと加熱してもよい。加えて、第2温度センサの測定した温度に基づいて第2加熱手段221の出力を制御し、バーコンベヤ210の傾斜搬送部213の上方から流れ落とす調理油Coを任意の温度へと加熱してもよい。操作盤600の制御部については、後述する。
なお、本実施形態におけるフライヤーでは搬送手段をバーコンベヤとしたが、それに限定されるものではなく、ネットコンベヤでもよい。
(油槽と管路の構成)
図1に示すように、油槽100は、食品投入位置100aに食品Wを滑らせて油槽100に充填された調理油Coへと投入するシュート101を備えている。シュート101は、食品投入位置100aにおいて油槽100に対して着脱自在に装着されている。油槽100の食品投入位置100aの下方には、底面110bが水平搬送部212の底面よりも低くなるように形成され、上部が開放された凹部110が設けられている。また、凹部110の略中央部には、水平方向に凹部110を略半分に仕切る前述の仕切板111が設けられている。
仕切板111の下端と油槽100の凹部110の底面110bとの間には、調理油が通る隙間が形成されている。搬送装置200を下限位置まで下降させた状態では、蓋部221aと、仕切板111と、凹部110の底面110bおよび右側の側壁110cとで加熱室110aが形成される。仕切板111により仕切られた凹部110の左側の部分(蓋部221aで覆われていない部分)には、揚げかす搬送装置300が着脱自在となるように設置されている。第1ポンプ125または第2ポンプ130を運転することで、揚げかす搬送装置300に備えられたフィルター301により、揚げかすDrが調理油Coから分離され、揚げかすDrが分離された調理油Coを第2加熱手段221により所定の温度に加熱することができる。揚げかす搬送装置300については、後述する。
管路は、加熱室110a内に設けられた吸油口120から第1管路(管路)121に続き、第2ポンプ(ポンプ)130を経て第6管路(管路)131に接続され、第6管路131は、流下手段である調理油トレイ400を構成する複数の部分トレイ401の数だけ分岐され、調理油Coを各部分トレイ401に吐出する吐出口133に続いている。複数の部分トレイ401は、バーコンベヤ210の傾斜搬送部213の上方に位置し、吐出口133から調理油Coが吐出され、部分トレイ401に一時的に貯められた調理油Coは、部分トレイ401が有する流下開口403からバーコンベヤ210の傾斜搬送部213へと流れ落とすように構成している。
図2に示すように、分岐された第6管路131には、それぞれ油量調整弁(開閉弁)132が設けられており、分岐された各第6管路131を通過する調理油Coの量を調整することができる。
また、図1に示すように、第1管路121から第2ポンプ130に至る途中で、第2管路(管路)122へと分岐し、第1循環弁(開閉弁)123を介して、第3管路(管路)124へと接続している。第3管路124は第1ポンプ(ポンプ)125を経て、さらに第4管路(管路)126へ続き、送油弁(開閉弁)150を介して、送油路(管路)151を経て、調理油Coを一時的に貯めておく貯油タンク(図示せず)に接続されている。
一方、給油路(管路)140は、給油弁(開閉弁)141を介して第3管路124に接続されている。さらに、第4管路126から送油弁(開閉弁)150に至る途中で、第2循環弁(開閉弁)128を介して、第4管路126から第5管路(管路)127が分岐されている。第5管路127は、傾斜搬送部213に沿うように傾斜した油槽100の底面よりも上方に設けられた吐出口129まで続いている。
第5管路127から続く吐出口129は、油槽100に充填された調理油Coの油面近傍に位置し、第6管路(管路)131から続く各々の吐出口133よりも、油槽100に充填された調理油の油面の近くに位置しており、第5管路127の吐出口129は、傾斜搬送部213に沿うように傾斜した油槽100の底面と略平行となるよう下向きに傾斜している。また、図2に示すように、第5管路127の吐出口129は、油槽100とフレーム234の間に位置している。さらに、油槽100内で搬送装置200を洗浄した後、洗浄水を排水する排水弁(開閉弁)160が、加熱室110aの下部に設けられている。排水弁160は、フライヤー1での調理中は、常時閉じているものとする。
(バーコンベヤと搬送板の構成)
図3に示すように、バーコンベヤ210は棒材210aの両端を曲げ加工して連結させていくことにより構成されたコンベヤであって、棒材210aにはさらにU字状の補助部材210bが溶接などによって固定されている。また、図4に示すように、両側のフレーム234には、それぞれ上下2段のバーコンベヤレール211が設けられており、搬送方向に沿ってバーコンベヤ210の下面側を受けるとともに、搬送方向に対してバーコンベヤ210の左右方向の位置を規制している。図3では説明のため、第1搬送板232及び第2搬送板233は省略している。
図6に示すように、バーコンベヤ210には、食品搬送方向に直交する第3水平方向(E方向、図2参照)において、複数(多数)の棒材210aが、食品搬送方向において一定間隔で配置されている。また、この搬送装置200では、フライヤー1の油槽100における食品搬送方向の最上流側において油槽100に充填された調理油Co中に投入される食品Wを保持するために複数の搬送板を備えている。図7(a)、図7(b)に示すように、複数の搬送板は、水平搬送部212および傾斜搬送部213において、食品Wを搬送する際、自重で棒材210a上に倒伏する第1搬送板(搬送板)232と、所定の起立角度θ1(略60度)をなすように起立される第2搬送板(搬送板)233で構成されるが、これらが一定のパターンで、補助部材210bに回転可能に取り付けられている。
第1搬送板232および第2搬送板233を取り付ける際、図5に示すように、搬送板固定部材231を用いて補助部材210bを挟み込むようにして取り付ける。図5においては、搬送板232,233及び搬送板固定部材231は、補助部材210bの内側の幅に略合わせた寸法とし、搬送板232,233が搬送方向と略直行する方向へ位置ずれすることを抑制している。
図6に示すように、搬送装置200の水平搬送部212および傾斜搬送部213に沿って、油槽100の底面に対して略垂直なフレーム234が搬送装置200のバーコンベヤ210の両側に設けられている。また、フレーム234には、食品搬送方向の上流側から下流側に掛けて複数の穴(図示せず)が設けられており、油槽100に充填され、フレーム234の両側の調理油Coがこの穴を通って流通する。フレーム234の上端は油槽100に充填された調理油Coの油面より上方であり、下端は油槽100の底面に接触するよう構成されている。バーコンベヤ210に沿ってフレームの所定の位置にはガイド部材240が設置されている。
バーコンベヤ210の両側に設けられる2つのフレーム234の内側には、それぞれフレーム234の内側に取付けた段付ピン(図示せず)に、だるま穴(図示せず)により着脱自在に取り付けられた区画板234aが設けられている。区画板234aは、食品投入位置100aから食品搬出位置100bまで、フレーム234と略平行に延設されており、食品投入位置100aでは、油槽100の側壁との間に所定の隙間、例えば40ミリメートルの隙間を設け、調理油Coの流通を可能としている。
図4に示すように、区画板234aの上部は起立した第2搬送板233の自由端よりも高くなるよう構成されており、水平搬送部212で第2搬送板233の自由端が油槽100に充填された調理油Coの油面よりも高い位置にある場合、区画板234aの上端もフレーム234と同様に、油槽100に充填された調理油Coの油面よりも高い位置にある。
また、区画板234aの下端は、バーコンベヤ210と、例えば1〜3ミリメートルの隙間が空くように構成されている。搬送装置200の食品搬送方向と直交する方向の両側に設けられたフレーム234と、フレーム234の両内側に有する区画板234aとの間には内流路(流路)235が、フレーム234と油槽100の食品搬送方向に平行な側壁100cとの間には外流路(流路)236が形成され、内流路235と外流路236には、食品搬送方向の下流側から上流側に向けて調理油Coが流れる。
調理油Coは、フレーム234に設けられた複数の孔(図示せず)を通じて内流路235と外流路236との間を流動可能となる。これにより、油槽100中に搬送装置200を支持するフレーム234が設けられていても、フレーム234に設けられた複数の孔により、調理油Coを内流路235と外流路236とにバランスよく振り分けて下流側から上流側に流し戻すことができる。
区画板234aは食品搬送方向に沿って、上記のように食品投入位置100a周辺から食品搬出位置100b周辺まで取り付けられている。区画板234aと起立した第2搬送板233との間には、揚げ調理される食品Wが通らない程度の所定の隙間、例えば7ミリメートル程度の隙間が形成されている。また、食品投入位置100aでは、区画板234aの端と油槽100の側壁100cとの間に、調理油Coが流通可能なように、所定の隙間、例えば40ミリメートル程度の隙間が設けられている。
そのため、第1搬送板232および第2搬送板233により搬送される食品Wは、水平搬送部212では油槽100に充填された調理油Coの中で確実に搬送され、傾斜搬送部213では食品搬送方向に直交する方向に食品を落下させることなく確実に搬送される。
また、図7(a)に示すように、ガイド部材240の上面は、第2搬送板233の前方斜め下向きに延設される作用受け部材233aの先端に設けたローラ233bが重力で垂れ下がった状態で、その最下端よりも上にあるため、第2搬送板233がガイド部材240の位置まで搬送されると、ローラ233bがガイド部材240の斜面241aに接触し、図7(b)に示すように、さらにローラ233bがガイド部材240の上面に乗り上げ、その上面を転動する。それに伴って、第2搬送板233は、当該第2搬送板233が係合されている補助部材210bを軸として回転し、第2搬送板233が所定の起立角度θ1(略60度)をなすように起立される。また、第1搬送板232には、食品Wが載置される側に突出した複数の略半球状の突起232aが設けられている(突起232aの詳細な役割は後述する)。
図1に示すように、複数の搬送板である第1搬送板232および第2搬送板233は、傾斜搬送部213の上面側を第1傾斜方向(B方向)の最下流側まで搬送されると、第2スプロケット215によって搬送方向が反転され、傾斜搬送部213の下面側を第1傾斜方向(B方向)とは逆の第2傾斜方向(C方向)に搬送される。その際、第1搬送板232および第2搬送板233は自重で垂れ下がり、第1搬送板232および第2搬送板233の自由端が油槽100の底面を摺動する。同様に、水平搬送部212の下面側において、第1搬送板232および第2搬送板233は、その自由端が油槽100の底面を摺動しながら、第1水平方向(A方向)とは逆の第2水平方向(D方向)に搬送される。
図6に示すように、食品搬送方向に直交する第3水平方向(E方向)における第1搬送板232と第2搬送板233の寸法は、補助部材210bの有効寸法と略同じである。さらに、図1〜7に示す構成例では、食品搬送方向における第1搬送板232と第2搬送板233の寸法はほぼ同じに設定されている。なお、食品搬送方向における第1搬送板232と第2搬送板233の寸法は特に限定されず、揚げ調理される食品Wの種類や大きさなどによって、適宜変更することが可能である。
図7(a)に示すように、第1搬送板232と第2搬送板233が1つおきに取り付けられている場合、図1に示す食品投入位置100aにおいて、第2搬送板233を倒伏させておけば、食品搬送方向における食品Wの大きさとして、第1水平方向(A方向)における第1搬送板232の幅寸法と略同じ大きさのものまでは許容される。そして、食品Wを第1搬送板232と第2搬送板233の上に載置させた状態で搬送し、食品Wが浮き上がり始めるタイミングで図7(b)のように第2搬送板233を所定の起立角度θ1(略60度)に起立させれば、浮き上がった食品Wを第2搬送板233によって食品搬送方向に押送りすることができる。
その際、起立した第2搬送板233の自由端の一部が、油槽100に充填された調理油Coの油面上から出ているようにしておけば、確実に食品を押送することができる。また第2搬送板233を起立させることにより隙間Sができるが、この隙間Sを通じて、区画板234aと第1搬送板232および起立した第2搬送板233で略仕切られた区画に、搬送面の下方から加熱された調理油Coが流入する。これにより区画板234aと第1搬送板232および第2搬送板233で略仕切られた区画にあった油は、当該区画から、区画板234aと第1搬送板232および第2搬送板233との間を通り流出していく。なお、第2搬送板233にも第1搬送板232の突起232aと同様の突起を設けておいてもよい。
一方、椎茸などのように、油槽100に充填された調理油Coに投入されても全く調理油Co中に沈まず、最初から浮き上がっている食品Wも存在する。その場合、後述するガイド部材240を食品投入位置P1から第2搬送板233が起立しているように起立開始位置を設定すればよい。また、第1搬送板232は不要であるので、すべての搬送板を第2搬送板233とし、食品投入位置100aから第2搬送板233を起立させてもよい。
また、例えばハムカツなどのように平面視での面積は大きいけれども厚みの薄い食品の場合、食品搬送方向における第1搬送板232の寸法を第2搬送板233の寸法よりも長く(例えば2倍)するように構成してもよい。あるいは、食品搬送方向における第1搬送板232と第2搬送板233の寸法はほぼ同じに設定し、例えば図8に示すように、2つの第2搬送板233の間に第1搬送板232を2枚隣接するように配置するように配列パターンを変更してもよい。
この場合も第2搬送板233を起立させることにより隙間Sができるが、この隙間Sを通じて、区画板234aと第1搬送板232および起立した第2搬送板233で略仕切られた区画に調理油Coが流入する。そうして区画板234aと第1搬送板232および第2搬送板233で略仕切られた区画にあった油は、区画板234aと第1搬送板232および第2搬送板233とで構成される区画から、区画板234aと第1搬送板232および第2搬送板233との間を通り流出していく。
なお、第2搬送板233が起立していない状態では、流動性を有する衣が、これら第1搬送板232および第2搬送板233の隙間から棒材210aや補助部材210b、あるいは第1加熱手段220などに落下して付着することが考えられる。また、第1搬送板232および第2搬送板233の隙間から調理油Coが流動することにより固まっていない衣が脱離することが考えられる。これらを防止するために、第1搬送板232同士および第1搬送板232と第2搬送板233とが部分的に重なり合うように構成することが好ましい。
食品搬送方向における第1搬送板232および第2搬送板233の寸法は特に限定されず、また2つの第2搬送板233の間の配置される第1搬送板232の枚数も特に限定されない。さらに、これら第1搬送板232および第2搬送板233を棒材210a及び補助部材210bに対して着脱可能とし、食品搬送方向における寸法の異なる複数種類の第1搬送板232および第2搬送板233を用意することにより、同じフライヤー1を用いて、厚みや平面視での面積の異なる様々な種類の食品を効率よく揚げ調理することが可能である。
(ガイド部材の構成)
この搬送装置200は、第2搬送板233の前方斜め下向きに延設される作用受け部材233aの、先端に設けたローラ233bがガイド部材240の上面に乗り上げる位置を変化させることが可能なように構成されている。図9は、第2搬送板233を起立させるためのガイド部材240の構成例を示す。前述のように、この搬送装置200では、揚げ調理される食品Wの種類、大きさ、比重などに応じて、第2搬送板233を起立させる位置を、あらかじめ設定されている複数の位置から選択することができる。
そのため、ガイド部材240は、水平搬送部212および傾斜搬送部213の上面付近において、第1スプロケット214および第2スプロケット215の部分を除くほぼ全域にわたって設けられており、水平搬送部212の第1水平方向(A方向)の上流側近傍において、可動式に構成されている。図13に示すように、傾斜搬送部213は第2搬送板233を起立させたまま食品を搬送するので、ガイド部材240を上下させる必要がない。そのためガイド部材240を、例えば板材を折り曲げ加工して製造し、フレーム234へ固定する構造としており、第2搬送板233を起立させたまま傾斜搬送部213において食品Wを搬送することができる。なお、水平搬送部212においてもガイド部材240を上下する必要のない箇所は、同様に固定された板金としてもよい。
図9に示すように、ガイド部材240は、例えば逆U型断面を有するチャンネル材を切断加工したり、逆U型断面を有するように板材を折り曲げ加工したりして製造される。ガイド部材240は、大きく分けて少なくとも3つの部材で構成され、少なくとも3つの部材のうち1つの第3部材243は固定されており、残りの少なくとも2つの第1部材241および第2部材242は、隣接する他の部材に対して相対的に所定の角度だけ回転するように連結されている。
食品投入位置100aの直下付近に配置される第1部材241の第1水平方向(A方向)の上流側端部には、第2搬送板233のローラ233bが乗り上げ易くなるように、斜面241aが形成されている。また、第1部材241の垂直壁の中程、例えば第1水平方向(A方向)の上流側端部から全長の1/3程度の位置、および第1水平方向(A方向)の下流側端部近傍には、2つの円形開口241bおよび241cが形成されている。第2部材242よりも一回り小さいチャンネル材などで形成され、第1部材241および第3部材243の内側に嵌合される嵌合部材244および245が溶接などにより固定されている。嵌合部材244および245の垂直壁のうち第2部材242から突出する部分には、円形開口244aおよび245aが形成されている。第3部材243の第1水平方向の下流側端部には、円形開口243aが形成されている。
図10に示すように、第1部材241と第2部材242は、円形開口241cおよび244aに嵌装された段付ボルト250aによって、第1部材241が第2部材242に対して相対的に回転又は変位可能に結合される。第2部材242と第3部材243は、円形開口245aおよび243aに嵌装された段付ボルト250bによって、第2部材242が第3部材243に対して相対的に回転又は変位可能に結合される。また、第3部材243は、例えば搬送装置200のフレーム234に固定され、第2搬送板233のローラ233bが第3部材243の上面を転動する場合は、第2搬送板233は必ず起立される。
図10に示すように、第1部材241の円形開口241bには、段付ボルト250cが嵌装されている。図6に示すように、段付ボルト250cはカム板251に結合されており、カム板251にはフレーム234を貫通する軸材252を介してレバー253が連結されている。ここでレバー253を水平方向に旋回させることによりカム板251が回転し、第1部材241を垂直方向に上下させることができる。なお、前述のように第3部材243はフレーム234に固定されていると説明したが、第1部材241と第2部材242と同様に段付ボルトとカム板251、軸材252、レバー253に連結されていても良く、その場合は第3部材243も垂直方向に上下させることができる。
図10は、第1部材241および第2部材242を上昇させ、第1水平方向(A方向)における第1部材241の斜面241aの途中で第2搬送板233を起立させる場合を示す。距離L1は、ローラ233bが第1部材241と接触する第2搬送板233の起立開始位置から、第2搬送板233の起立が完了する起立完了位置までの水平距離を示す。高さHは、ローラ233bが第1部材241と接触する第2搬送板233の起立開始位置から、第2搬送板233が起立する起立完了位置までの垂直距離である。また、傾斜角度θ3は、斜面241aの傾斜角度を示す。
図11は、第1部材241のみを下降させ、第1水平方向(A方向)における第1部材241の途中で第2搬送板233を起立開始させる場合を示す。距離L2は、ローラ233bが第1部材241と接触する第2搬送板233の起立開始位置から、第2搬送板233の起立が完了する起立完了位置までの水平距離を示す。高さHは、ローラ233bが第1部材241と接触する起立開始位置から、第2搬送板233が起立する起立完了位置までの垂直距離である。また、傾斜角度θ4は、第1部材241の傾斜角度を示す。そして距離L4は、段付ボルト250cと段付ボルト250aの間の軸間距離を表している。
図12は、第1部材241および第2部材242を下降させ、第1水平方向(A方向)における第2部材242の上流側端部で第2搬送板233を起立開始させる場合の設定を示す。距離L3は、ローラ233bが第2部材242と接触する第2搬送板233の起立開始位置から、第2搬送板233の起立が完了する起立完了位置までの水平距離を示す。高さHは、ローラ233bが第2部材242と接触する起立開始位置から、第2搬送板233が起立する起立完了位置までの垂直距離である。また、傾斜角度θ5は第2部材242の傾斜角度を示す。そして距離L5は、段付ボルト250aと段付ボルト250bの間の軸間距離を表している。
食品Wが食品搬出位置100bに到達する時点で揚げ調理が完了するように、食品Wの調理時間を決定する搬送装置200による食品Wの搬送速度が設定される。そのため、どの時点で第2搬送板233を起立させるかは、前記搬送速度や揚げ調理される食品Wが浮かび上がるタイミングに合わせて、図10、図11、図12に示すいずれかの起立開始位置を適宜選択すればよい。
さらに、起立開始位置から起立完了位置までの第2搬送板233の起立早さも変更することができる。例えば、図11と図12におけるガイド部材の構成とを比較してみると、搬送速度と高さHとを同一としたとき、第2搬送板233の起立開始位置から起立完了位置までの水平距離は、図11におけるL2より図12におけるL3の方が大きくなっており、傾斜角度は図11におけるθ4より図12におけるθ5の方が小さくなっている。このとき、第2搬送板233の起立早さは、図11におけるガイド部材の構成より図12におけるガイド部材の構成の方が遅くなる。
また、図10の構成では、斜面241aの傾斜角度θ3を変化させると起立開始位置から起立完了位置までの距離L1が変わり、第2搬送板233の起立早さを変更することができる。この斜面241aはシュート101の下方に位置するため、傾斜角度θ3をより大きくするとシュート101の下方での第2搬送板233の起立早さを早くすることができる。
同様に、例えば図11と図12の構成では、高さHを同一としたとき、距離L4もしくはL5を短くするほど傾斜角度θ4もしくはθ5が大きくなり、第2搬送板233の起立早さを早くすることができる。つまり、傾斜角度θ3〜θ5の角度を大きくすることで、第2搬送板233の起立早さを早くすることができる。逆に、傾斜角度θ3〜θ5の角度を小さくすることで、第2搬送板233の起立早さを遅くすることができる。傾斜角度θ3は、例えば30〜60度に設定する。また、傾斜角度θ4、θ5は、例えば1〜10度に設定する。
なお、図10〜12において、高さHを変更することにより第2搬送板233の起立角度θ1〜θ2を変更することができる。例えば、前述したように第3部材243が段付ボルト250cとカム板251、軸材252、レバー253に連結されて垂直方向に上下できる構成の場合、第3部材243を垂直方向で下に移動することにより高さHが小さくなり第2搬送板233の起立角度を小さくすることができる。
なお、この実施形態で説明した、ガイド部材240の構造、第2搬送板233を起立させる位置および数および早さなどは、この構成例に限定されるものではないことはいうまでもない。また、ガイド部材240は、大きく分けて少なくとも3つの部材で構成されているとしたが、この構成に限定されるものではなく、より多くの種類の食品に対応する場合等、起立開始位置の変更可能な位置を多く設定したいときには、構成する部材を例えば4つ、5つと増やして構成してもよい。逆に、構成する部材を減らして構成してもよい。
(揚げかす搬送装置の構成)
図14(a)に示すように、揚げかす搬送装置300は、油槽100の食品投入位置100aの直下付近に設けられ、下部には油槽100に充填された調理油Coから揚げかすDrを分離するフィルター301と、フィルター301上に堆積した揚げかすDrを油槽100から掻いて搬送するためのスクレーパ302と、スクレーパ302を等間隔に取付けて第3スプロケット303と第4スプロケット304により無端状に循環駆動するチェーン305と、チェーン305によるスクレーパ302の搬送方向を所定角度だけ傾斜させるガイドスプロケット306と、第4スプロケット304へ動力を伝えてチェーンを循環駆動させる搬送モータ307とを備えている。
図14(b)に示すように、揚げかす搬送装置300は、油槽100の凹部110の側壁110dと仕切板111の互いに対向する面に取付けられたL字状の金具308により支持されており、揚げかす搬送装置300の下部には、油槽100の凹部110の底面110bとの間に隙間が形成されている。垂直方向におけるスクレーパ302の一方の端部側では、水平方向におけるその左右両端がチェーン305に固定されており、スクレーパ302の他方の端部側には、水平な先端を有する歯302aが形成されている。チェーン305を循環駆動させることにより、スクレーパ302は、この歯302aによりフィルター301上に堆積した揚げかすDrを掻いて搬送する。
(調理油トレイと管路の構成)
図1に示すように、このフライヤー1においては、主に傾斜搬送部213の上方側に調理油トレイ400が設けられており、第1搬送板232上に載置され、第1傾斜方向(B方向)に搬送される食品Wの上方側から、所定の温度に加熱された調理油Coを流れ落とさせて食品Wを揚げ調理するよう構成されている。調理油トレイ400は、フライヤーの搬送装置200のフレーム234に取り付けられており、昇降装置500によってフライヤーの搬送装置200と共に垂直方向に上下動される。
図1および図2に示すように、調理油トレイ400は、底面に複数(多数)の流下開口403が所定のパターンで形成された複数の部分トレイ401で構成されており、各部分トレイ401の食品搬送方向の上流側の側壁には、部分トレイ401に供給された調理油Coの量が一定量を超えたときに、調理油Coをオーバーフローさせる開口部402が形成されている。また、複数の部分トレイ401のうち食品搬送方向の最上流側の部分トレイ401からオーバーフローされた調理油Coは、直接油槽100に流れ落とされるように構成されている。
図1に示すように、第2ポンプ130を運転することにより、揚げかす搬送装置300に設けられたフィルター301に調理油Coを通過させ、調理油Coから揚げかすDrが分離される。油槽100の凹部110に形成された加熱室110a内の吸油口120は第1管路121に接続されており、第2ポンプ130を経て第6管路131へと続き、第6管路131内で調理油トレイ400を構成する複数の部分トレイ401の数だけ分岐されて、部分トレイ401に調理油Coを吐出する吐出口133へと続いている。
図15(a)に示すように、分岐された第6管路131はそれぞれ油量調整弁132を備えており、分岐した各第6管路131から各部分トレイ401に吐出される調理油Coの量を調整することができる。これにより、複数の部分トレイ401のうち少なくとも1つの選択した部分トレイ401からのみ調理油Coを流し落とすことや、複数の部分トレイ401のうち選択した部分トレイ401から流し落とす調理油Coの量を変えることが可能である。また、第2ポンプ130を停止し、すべての油量調整弁132を閉じることにより、調理油Coを流し落とさずに揚げ調理することも可能である。つまり、後述する油中外調理ステップを実施せずに、油中内調理ステップにのみで揚げ調理することが可能となる。したがって、食品Wの様々な調理方法に対応することができる。
図15(b)に示すように、吐出口133と部分トレイ401との間には所定の隙間Gが存在し、第2ポンプ130による吐出圧力によって調理油Coは、吐出口133から各部分トレイ401へ吐出される。吐出口133と部分トレイ401との間に所定の隙間Gが存在するため、各部分トレイ401を取り外さなくとも昇降装置500により搬送装置200を上昇させることができる。また、各部分トレイ401は調理油Coから揚げかすDrを分離するためのフィルター404を備えており、吐出口133から吐出される調理油Coから揚げかすDrが分離される。なお、図15(b)の矢印は、調理油の流れを示している。
吐出口133から吐出され、フィルター404の表面もしくはフィルター404の表面に残った揚げかすDrに接触した調理油Coの一部は、揚げかすDrと共にフレーム234と部分トレイ401の間に流れ落ち、傾斜搬送部213に沿って傾斜した油槽100の底面を食品搬送方向とは逆の方向である第2傾斜方向(C方向)に流れる。これにより、揚げかすDrが各部分トレイ401に流入することが防止され、各部分トレイ401の流下開口403が揚げかすDrにより目詰まりすることを防止することができる。また、フィルター404を通過する調理油Coから揚げかすDrを分離することにより、フィルター404の表面に残った揚げかすDrを調理油Coと共に流し落とすことで、フィルター404の表面に揚げかすDrが堆積せず、フィルター404の機能を維持し続けることができる。
各部分トレイ401に備えられたフィルター404の隙間は、例えば約2ミリメートルであり、揚げかす搬送装置300に備えられたフィルター301の隙間は、例えば約3ミリメートルである。各部分トレイ401のフィルター404の隙間を、揚げかす搬送装置300のフィルター301の隙間よりも狭くすることにより、揚げかす搬送装置300のフィルター301で分離し切れなかった揚げかすDrを分離することができる。そうすることにより、揚げかす搬送装置300のフィルター301によって比較的大きな揚げかすDrを調理油から分離し、各部分トレイ401のフィルター404により比較的小さな揚げかすDrを調理油から分離して、揚げかす搬送装置300のフィルター301と、各部分トレイ401のフィルター404の表面で分離する揚げかすDrの量を、その隙間の幅の差により調整することができる。
部分トレイ401に吐出された調理油Coは、部分トレイ401に形成された流下開口403から自然落下させて、食品W及び複数の搬送板232,233上に調理油Coを流れ落とす。吐出口133と各部分トレイ401との間に所定の隙間Gがあることによって、昇降装置500によりフライヤーの搬送装置200と共に各部分トレイ401を垂直方向に上下動させることができる。そうして構成されたフライヤーの搬送装置200と各部分トレイ401を昇降装置500により上昇させ、油槽100に充填される調理油Coを取り除いた後に、油槽100を清掃することができる。油槽100の清掃後は昇降装置500によりフライヤーの搬送装置200と各部分トレイ401を下降させることで、フライヤーの搬送装置200と各部分トレイ401は揚げ調理に使用する位置に戻すことができる。なお、調理油トレイ400を構成する部分トレイ401は3つに限定されず、食品の調理方法に合わせて増減してもよい。
(昇降装置の構成)
図2および図17に示すように、搬送装置200を昇降させる昇降装置500は、フライヤー1の背面側に設けられた一対の支柱501と、3つの昇降機構510,520,530と、昇降装置500の制御を行う操作盤600などで構成されている。また、図16(a)および図16(b)に示すように、昇降装置500は、2本の安全バー540と、安全バー540を収納する収納箱(収納部)541とを備えている。
図16(a)に示すように、2本の安全バー540は、同一形状であって、断面円形の中空の棒状部材で、例えば肉厚2ミリメートルで断面の外径が23ミリメートルの棒状部材であり、一方の先端を収納孔へと挿入する差し込み側540aとし、他方の先端を作業者が持つ持ち手側540bとし、長さ方向の中央から差し込み側寄りにつば部540cを有する。なお、つば部540cを安全バー540の持ち手側にも同様に有してもよい。これにより、持ち手側540bと差し込み側540aとの識別をせずに取り扱うことが可能となり、安全バー540の取扱いが容易となる。
図2および図16(b)に示すように、2本の安全バー540を収納する収納箱541は、フライヤー1と操作盤600との間に設置されており、安全バー540の差し込み側540aを差し込んで収納する収納孔541aを備えている。収納箱541の収納孔541aの内部には第1センサ(図示せず)、例えば磁気を用いて近接した金属に反応する非接触型センサなどが設けられている。
この第1センサは、安全バー540のそれぞれが収納孔541aに差し込まれ収納されたことを検知し、所定の信号を操作盤600の制御部(図示なし)へと送信する。操作盤600の制御部(図示なし)は、第1センサにより少なくとも1本の安全バー540が差し込まれていないことを検知したときに、制御部が有するインターロック機能を作動させ、昇降モータ511への駆動信号の出力を遮断し、搬送装置200の昇降動作を不可とする。そして全数の安全バー540が差し込まれたことを第1センサが検知すると、制御部は設定されたインターロック機能を解除し、昇降モータ511への駆動信号を出力できる状態となり、搬送装置200の昇降動作を可能とする。なお、第1センサは非接触型に限定されず、収納孔541aに安全バー540が収納されたことを検知できるものであれば、接触型を用いてもよい。
図17に示すように、一対の支柱501は、フライヤー1の背面側において水平方向に所定の間隔を空けて配置されている。外郭体2の下部と一対の支柱501には、第1動力伝達機構510と、第2動力伝達機構520と、第3動力伝達機構530とが備え付けられており、それらにより搬送装置200を昇降させることができる。なお、図17では、一対の支柱501に高さに違いがあるが、本実施形態の昇降させる搬送装置の形状によるものであり、支柱の高さは同じであってもよい。
また、図17に示すように、第1動力伝達機構510は、外郭体2の下部に設置されており、操作盤600の制御部によって運転と停止が制御される昇降モータ511と、昇降モータ511の駆動軸に固定され、昇降モータ511の駆動力を伝達するための第5スプロケット512と、一対の支柱501の下部に水平に軸支されたシャフト514と、第5スプロケット512のほぼ真下の位置でシャフト514に固定された第6スプロケット515と、第5スプロケット512と第6スプロケット515との間に架け渡された無端状の第1チェーン513などで構成されている。
また、図17に示すように、一対の支柱501にそれぞれ設けられた第2動力伝達機構520は、第1動力伝達機構510の第6スプロケット515が固定されたシャフト514の両端近傍で、かつ一対の支柱501の互いに対向する面の近傍に固定された第7スプロケット521と、一対の支柱501のそれぞれの上端部近傍で、かつ一対の支柱501の互いに対向する面に回転自在に設けられた第8スプロケット522と、第7スプロケット521と第8スプロケット522との間に架け渡され、駆動力を伝達するための無端状の第2チェーン523と、一対の支柱501の互いに対向する面に設けられた係止部材524などで構成されている。
図18に示すように、第3動力伝達機構530は、一対の支柱501にそれぞれ設けられた2つの第2動力伝達機構520の第7スプロケット521と第8スプロケット522の間に架け渡された第2チェーン523の端部に接続された2つスライド部材531と、それぞれのスライド部材531から水平方向に搬送装置の上方へ延びる片持ちの支持アーム535と、片持ちの支持アーム535から搬送装置200を吊下げて支持するための吊下げ部材536などで構成されている。
図19(a)に示すように、上面視でスライド部材531は係止部材524に、スライド部材531の有する第1ベアリング533と第2ベアリング534により係止されている。第1ベアリング533によりスライド部材531と係止部材524とのY方向への振れを抑制し、第2ベアリング534によりスライド部材531と係止部材524とのX方向への振れを抑制するよう構成されている。また、図19(b)に示すように、第1ベアリング533と第2ベアリング534は、それぞれスライド部材531の鉛直方向の上端部近傍と下端部近傍に取付けられており、スライド部材531は係止部材524に対して、鉛直方向のみに移動するように構成されている。
以上のように、第1動力伝達機構510と、2つの第2動力伝達機構520と、2つの第3動力伝達機構530は、動力伝達可能に接続されており、第1動力伝達機構510の昇降モータ511を駆動することにより、第3動力伝達機構530の支持アーム535が鉛直方向に昇降され、この支持アーム535から吊下されている搬送装置200が、振れのないようスムーズに昇降されるように構成されている。
図17および図20に示すように、一対の支柱501、それぞれ、搬送装置200を昇降装置500により上昇させ、搬送装置200の下端が油槽100の上端よりも上方となる位置である上限位置に達したことを検知する上限位置センサ(図示せず)と、搬送装置200を昇降装置500により下降させ、搬送装置200のフレーム234の下端が油槽100の内側底面に接触した位置である下限位置に達したことを検知する下限位置センサ(図示せず)とを備えている。
搬送装置200の上限位置はフライヤー1の洗浄およびメンテナンスを行うときの位置であり、搬送装置200の下限位置はフライヤー1で揚げ調理を行うときの位置である。上限位置センサは、搬送装置200が上限位置に達したときに、所定の信号を操作盤600の制御部へ送信し、操作盤600の制御部から昇降モータ511に上昇のための駆動信号が出力されるのを規制し、搬送装置200のそれ以上の上昇を制限する。下限位置センサは、搬送装置200が下限位置に達したときに、所定の信号を操作盤600の制御部へ送信し、操作盤600の制御部から昇降モータ511に下降のための駆動信号が出力されるのを規制し、搬送装置200のそれ以上の下降を制限する。
なお、本実施形態では、支柱501はフライヤー1の背面側に一対(2本)だけ設置されているが、第1動力伝達機構510と、第2動力伝達機構520と、第3動力伝達機構530を備える構成であれば、支柱501の数は3本以上であってもよい。支柱501が3本の場合は、フライヤー1の背面側に2本と正面側に1本設置するか、あるいは3本とも背面側に設置することができる。
支柱501を3本とし、背面側に2本と正面側に1本設置する場合、背面側の1本の支柱501と正面側の1本の支柱501から両端支持にて支持アーム535を渡し、背面側の他の1本の支柱501から片持ちにて支持アーム535を1つ延ばして、搬送装置200を吊下げて支持することができる。これにより、搬送装置200の重心が片側に寄っている場合に、両端支持により、搬送装置200のうち重心が偏って質量の大きい側を吊下げて支持し、搬送装置200を安定して昇降させることができる。あるいは、背面側の2本と正面側の1本の支柱501から、それぞれ片持ちの支持アーム535を延ばし、3本の片持ちの支持アーム535により搬送装置200を吊下げて支持することができる。
また、支柱501を3本とし、背面側に支柱501を3本とも設置する場合、3本の支柱501から片持ちの支持アーム535を延ばして、3つの片持ちの支持アーム535により搬送装置200を吊下げて支持することができ、大型となり質量の大きくなった搬送装置200を安定して昇降することができる。
支柱501が4本以上の場合、様々なバリエーションが考えられるが、支柱501が3本のときと同様に、搬送装置200の重心の片寄りや大型化による質量の増大に対して、支柱501の数と配置、支持アーム535の構成を変更し、安定して搬送装置200を昇降することができる。
ただし、本実施形態において、一対の支柱501をフライヤー1の背面側に設置しているのは、フライヤー1の正面側にて清掃およびメンテナンスを行うことを考え、正面側に支柱501を設置しないことにより洗浄およびメンテナンスの作業性を向上させるためと、構造を簡素化するためである。そのため、搬送装置200の重心の片寄りや大型化による質量の増大に対して搬送装置200を安定して昇降することができるのであれば、一対の支柱501をフライヤー1の背面側にのみ設置することがより好ましい。
図21及び図22に示すように、スライド部材531及び係止部材524は、それぞれ、搬送装置200が上限位置に達したときに、搬送装置200の下端よりも下方に、安全バー540を水平方向に差し込むことができるだけの大きさを有する略円形の第1開口525および第2開口532を有している。係止部材524の第1開口525は、搬送装置200が上限位置に達したときに、正面視で、スライド部材531の第2開口532と重なる位置に形成されている。
そのため、昇降モータ511を駆動してスライド部材531を上方にスライドさせて、搬送装置200が上限位置に達し、昇降モータ511の駆動を停止すると、係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532の位置が略一致するので、安全バー540のつば部540cがスライド部材531の正面に当接するまで係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532を貫通するように安全バー540を差し込むことで、スライド部材531が係止部材524に係止され、スライド部材531のスライドが規制される。
より詳しく説明すると、略円形の第1開口525及び第2開口532は、例えば、鉛直方向に直線部分を有する長孔であり、鉛直方向の上下に位置する半円部の直径26ミリメートルで、鉛直方向の長孔の直線部分の寸法を9ミリメートルとし、鉛直方向の長穴の長さを35ミリメートルとしている。搬送装置200が上限位置まで上昇され、昇降モータ511の駆動が停止されると、係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532とにより形成される貫通孔の開口面積が、例えば直径23ミリメートルの円形断面を有する安全バー540の断面積よりも大きくなるので、安全バー540を水平方向に差し込むことができる。係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532をそれぞれ長孔とすることにより、安全バー540を差し込むときの遊びを大きくし、差し込みが容易になる。
なお、係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532は、一方を円孔とし、他方を長孔としてもよい。あるいは、係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532をいずれも円孔としてもよい。
また、図16(a)および図22に示すように、安全バー540は係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532を貫通するように差し込まれるときに、スライド部材531の正面側に当接し、当て止めとなるつば部540cを有している。また、係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532を貫通するように安全バー540が差し込まれたことを検出するための第2センサ537が支柱501にそれぞれ設けられている。第2センサ537は、例えば磁気を用いて近接した金属に反応する非接触型センサである。
(操作盤について)
図2に示すように、操作盤600は収納箱541を挟んでフライヤー1の背面側に隣接するように設置されている。操作盤600は、運転ランプや運転ボタンなどを表示する表示部と、表示部を触れることにより各装置を操作することができる操作部を兼用する表示画面601と、フライヤー1の各制御を行う制御部(図示せず)とを備える。
図23に示すように、操作盤600の表示部と操作部を兼用する表示画面601はタッチパネルとなっており、以下の機能を備えている。
・バーコンベヤ210の循環駆動モータ216の駆動制御を行う、バーコンベヤ運転ボタン611とバーコンベヤ停止ボタン612。
・油槽100に充填した調理油Coを送油する第1ポンプ125の制御を行う、第1ポンプ運転ボタン613と第1ポンプ停止ボタン614。
・第1加熱手段220と第2加熱手段221の制御を行う、加熱手段運転ボタン615と加熱手段停止ボタン616。
・揚げかす搬送装置300の制御を行う、揚げかす搬送運転ボタン617と揚げかす搬送停止ボタン618。
・第2ポンプ130の制御を行う、第2ポンプ運転ボタン619と第2ポンプ停止ボタン620。
・各運転ボタン操作により運転の状態を示すよう点灯する、バーコンベヤ運転ランプ621と、第1ポンプ運転ランプ622と、加熱手段運転ランプ623と、揚げかす搬送装置運転ランプ624と、第2ポンプ運転ランプ625。
・搬送装置200の昇降を制御する上昇ボタン626と下降ボタン627。上昇ボタン626と下降ボタン627は押し続けている間のみ搬送装置200の上昇と下降を行い、搬送装置200の上昇と下降を行っている間は警告音を出力する。
・上昇ボタン626と下降ボタン627を押し続けている間に点灯する上昇ランプ628および下降ランプ629。
・上限位置センサにより搬送装置200が上限位置に達したことが検知されたときに点灯する上限位置ランプ630と、下限位置センサにより搬送装置200が下限位置に達したことが検知されたときに点灯する下限位置ランプ631。
なお、図23に示す操作盤600の表示部と操作部を兼用する表示画面601は、画面を切り替えることにより、各種の設定を行うことができるよう設計されている。例えば、油槽100に充填された調理油Coの温度や食品Wの上方から流し落とす調理油Coの温度を温度センサにより計測して表示し、それぞれの調理油Coの温度を所定の温度に設定して第1加熱手段220と第2加熱手段221を個別にて制御して所定の温度へと加熱することや、加熱しないことで調理油Coを設定した所定の温度まで自然冷却することや、バーコンベヤ210の循環駆動する速度を変更して、油槽100に充填された調理油Co中に投入された食品Wの、食品投入位置100aから食品搬出位置100bに至るまでの時間を変更することができる。
(搬送装置の昇降)
次に、昇降装置500により搬送装置200を昇降させる動作について説明する。図23に示す操作盤600の表示画面601の上昇ボタン626を押し続けて昇降装置500を駆動し、搬送装置200を上限位置まで上昇させると、上限位置に達したことを上限位置センサ(図示せず)が検知し昇降モータ511が停止し、上限位置ランプ630が点灯する。この状態で、作業者は、収納箱541の収納孔541aから2本の安全バー540を引き抜き、安全バー540のつば部540cがスライド部材531に当接するまで係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532を貫通させるように2本の安全バー540をフライヤー1の正面側から差し込む。
図21に示すように、安全バー540は、つば部540cから先の差し込み側540aの長さは、係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532を水平方向に貫通するのに十分な長さであり、また、つば部540cから持ち手側540bまでの長さが、搬送装置200の下方を横断する長さ(支持アーム535の長さ)よりもさらに長く、作業者が搬送装置200の下方に頭や腕を差し入れることなく安全バー540を抜き差しすることができる。さらに、安全バー540を係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532から抜き差しする際、上限位置に上昇させて停止した搬送装置200から滴る調理油や落下する揚げかすDrによって作業者が汚されることが防止される。
図21に示すように、安全バー540のつば部540cがスライド部材531に当接するまで係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532を貫通するように安全バー540を差し込むことにより、係止部材524とスライド部材531とが安全バー540によって係止固定され、スライド部材531のスライド(上昇又は下降)が規制される。これにより、フライヤーの洗浄およびメンテナンスの際の意図しない搬送装置200の下降を防止することができる。また、収納箱541の収納孔541aから少なくとも1本の安全バー540を引き抜くことで、昇降モータ511への駆動信号は制御部のインターロック機能により遮断される。これにより、フライヤー1の洗浄およびメンテナンスの際に、意図しない搬送装置200の下降を防止することができる。
搬送装置200を上限位置まで上昇させて停止し、フライヤー1の洗浄およびメンテナンスを行った後に、搬送装置200の下降を行う。2本の安全バー540の差し込み側540aを係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532から引き抜き、収納箱541の収納孔541aへ2本の安全バー540の差し込み側540aを差し込んで収納する。2本の安全バー540を係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532から引き抜き、収納箱541の収納孔541aに差し込んで収納しなければ、制御部のインターロック機能により、操作盤600の表示画面601の下降ボタン627を押しても昇降装置500は駆動されず、搬送装置200は下降しない。
これにより、意図しない搬送装置200の下降を防止することができる。2本の安全バー540を収納箱541に収納し、操作盤600の表示画面601の下降ボタン627を押し続けると、昇降装置500が駆動され、搬送装置200を下限位置まで下降させることができる。搬送装置200を下限位置まで下降させると、下限位置に達したことを下限位置センサ(図示せず)が検知し昇降モータ511の駆動が停止し、下限位置ランプ631が点灯する。
搬送装置200を上昇させる作業の途中で昇降装置500の駆動を停止し、上限位置センサ(図示せず)と下限位置センサ(図示せず)とが検知していない状態(上限位置ランプ630と下限位置ランプ631とが点灯していない状態)で昇降装置500の駆動が所定の時間、例えば30秒以上停止され続けると、制御部は警告音を出力する。搬送装置200を上限位置まで上昇させ、さらに、2本の安全バー540がそれぞれの係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532に貫通するように差し込まれると、支柱501に設けられたそれぞれの第2センサ537が安全バー540の差し込みを検出し、所定の信号を制御部に出力する。制御部は、第2センサ537からの所定の信号を受信すると、警告音の出力を停止させる。
搬送装置200が上限位置にあるときに、2本の安全バー540が係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532を貫通されないまま所定の時間、例えば30秒経過すると、すなわち、上限位置センサ(図示せず)により搬送装置200が上限位置に到達したことが検出された後、所定時間以内に第2センサ537が安全バー540それぞれの差し込みを検知しないときは、上記の場合と同様に、制御部は警告音を出力する。2本の安全バー540がそれぞれの係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532に貫通するように差し込まれると、支柱501に設けられたそれぞれの第2センサ537が安全バー540それぞれの差し込みを検知し、所定の信号を制御部に出力する。制御部は、第2センサ537が2本の安全バー540が差し込まれたことを検知すると、警告音の出力を停止させる。
搬送装置200を下降させる作業の途中で昇降装置500の駆動を停止し、上限位置センサ(図示せず)と下限位置センサ(図示せず)とが検知していない状態(上限位置ランプ630と下限位置ランプ631とが点灯していない状態)で昇降装置500の駆動が所定の時間、例えば30秒以上停止され続けると、制御部は警告音を出力する。搬送装置200を下限位置まで下降させ、下限位置センサ(図示せず)が搬送装置200の下限位置への下降を検出すると、制御部は警告音の出力を停止させる。
これらの警告音により、作業者へ注意を喚起して、フライヤー1の洗浄およびメンテナンスの際の意図しない搬送装置200の上昇又は下降を防止することができる。なお、警告音を出力するまでの所定の時間は、フライヤー1の運用に合わせて変更してもよい。また、警告音のみならず、回転灯をフライヤー1に取り付け、警告音を出力すると共に回転灯を点灯させてもよい。その場合は、聴覚のみならず視覚でも作業者に対して注意を喚起することができる。
また、制御部からの昇降モータ511への駆動信号を、支柱501に設けられた第2センサ537からの信号に応じて遮断するように構成してもよい。操作盤600の制御部は、支柱501に設けられた第2センサ537が少なくとも1本の安全バー540が係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532に貫通するように差し込まれたことを検知すると、昇降モータ511への駆動信号の出力を遮断するインターロック機能を有しているものである。
操作盤600の制御部は、搬送装置200を上限位置まで上昇させ、少なくとも1本の安全バー540が係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532に貫通するように差し込まれたことを第2センサ537が検知すると、制御部が有するインターロック機能を作動させ、操作盤600の表示画面601の下降ボタン627が操作されたとしても、昇降モータ511への駆動信号の出力を遮断し、搬送装置200の下降動作を不可とする。
これにより、万が一、収納箱541の収納孔541aに設けられた第1センサが誤作動を起こし、少なくとも1本の安全バー540が引き抜かれた状態であるにもかかわらず、2本の安全バー540がいまだ収納箱541の収納孔541aに差し込まれていることを示す信号が出力されている状態であったとしても、制御部は支柱501に設けられた第2センサ537からの信号に基づいて、昇降モータ511へ駆動信号の出力を遮断するので、搬送装置200は下降されることはなく、フライヤー1の洗浄およびメンテナンスの際に、より安全に作業を行うことができる。つまり、フライヤー1のあらゆる状況においても、搬送装置200の昇降動作は、操作盤600の制御部により安全側に働くように制御されている。
なお、本実施形態では、フライヤー1の洗浄およびメンテナンスの際に、作業者が安全バーを係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532に安全バー540を差し込みやすいように、安全バー540をフライヤー1の正面側から差し込むように構成しているが、フライヤー1の背面側から安全バー540を差し込むように構成してもよい。その場合、作業者は、安全バー540の持ち手側540bのうちつば部540cに近い部分を持ってスライド部材531の第2開口532から安全バー540の差し込み側540aを差し込むことになるので、作業者からスライド部材531の第2開口532への距離が短くなり、安全バー540の取扱いを容易にすることができる。
なお、支柱501に設けられた第2センサ537は非接触型に限定されず、安全バー540が係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532を貫通するように差し込まれたことを検知できるならば、接触型を用いてもよい。また、安全バー540の数は2本に限定されず、3本以上であってもよい。安全バー540の数を3本以上とした場合は、係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532に全ての安全バー540を貫通するように差し込むようにすれば、スライド部材531のスライドを規制する際に、支持アーム535により吊下げて支持されている搬送装置200の質量が大きくなったとしても、安全バー540の構造を変更して強度を変えることなく、係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532に貫通するように差し込まれた安全バー540でスライド部材531のスライドを規制することができる。
(初期加熱)
次に、フライヤー1による揚げ調理の準備作業である油槽100に充填された調理油Coの初期加熱について説明する。フライヤー1による揚げ調理を行う前に、揚げ調理の準備作業である油槽100に充填された調理油Coの初期加熱を行う必要がある。初期加熱は、油槽100に充填された調理油Coを所定の温度まで加熱する行程と、フライヤー1の各部の部材及び調理油Coを加熱する行程により構成されている。
油槽100に充填された調理油Coを所定の温度まで加熱する行程は、油槽100に所定量の調理油Coを充填し、油槽100に充填された調理油Coが均一に所定の温度となるよう加熱するものであり、各部の部材と調理油Coを加熱する行程は、調理油Coを所定の温度まで加熱する行程が終了した後に、調理油Coをさらに加熱しながら、揚げ調理中に調理油Coが流れる箇所を加熱するものである。この2つの行程が終了した後に、フライヤー1による揚げ調理を開始する。
(調理油の所定の温度までの加熱)
揚げ調理の準備作業として、まず油槽100に充填された調理油Coを所定の温度まで加熱する。まず、図1に示す開閉弁である排水弁160と、第1循環弁123と、送油弁150を閉じて、給油弁141と、第2循環弁128を開き、第1ポンプ125を運転する。第1ポンプ125を運転することにより、貯油タンク(図示せず)から続く給油路140により、調理油Coを貯油タンクから吸い出して、油槽100に充填する。これにより、例えば調理油を入れた一斗缶などから油槽100へ直接調理油Co注ぐ必要がないので、給油作業の省力化が図れる。油槽100への調理油Coの充填が完了すると、第1ポンプ125の運転を停止し、給油弁141を閉じて、第1循環弁123を開く。
次に、バーコンベヤ210の内側に設けられた第1加熱手段220と、加熱室110a内に設けられた第2加熱手段221による加熱を開始し、バーコンベヤ210の運転を開始する。これにより、第1加熱手段220と第2加熱手段221により油槽100に充填された調理油Coを加熱しながら複数の搬送板を備えるバーコンベヤ210で循環させて、油槽100に充填された調理油Coを均一に効率良く加熱することができる。
さらに、第1ポンプ125を運転して、第1ポンプ125により食品搬送方向の上流側にある吸油口120から加熱室内110a内の調理油Coを第1管路121内に吸い込み、食品搬送方向の下流側にある第5管路127の吐出口129から傾斜搬送部213に沿うように傾斜している油槽100の底面に向けて調理油Coを吐出する。これにより、第1加熱手段220と第2加熱手段221により加熱した油槽100に充填された調理油Coを、食品搬送方向の下流側へと循環させて、油槽100に充填された調理油Coを均一に効率良く加熱することができる。
第5管路127の吐出口129は、傾斜搬送部213に沿うように傾斜している油槽100の底面と略平行となるように、食品搬送方向の上流側へ向けて下降傾斜している。そのため、傾斜した油槽100の底面に調理油Coを吐出すると、調理油Coは吐出圧力を加えた流れの速度で、傾斜している油槽100の底面の上に流し落とすことができる。油槽100に充填された調理油の油面近傍に位置する第5管路127から続く食品搬送方向の下流側にある吐出口129から調理油Coを油槽100へ吐出させて循環させることで、空気中への調理油Coからの放熱を抑えることができる。
また、調理油Coを第6管路131から続く吐出口133から吐出させて部分トレイ401の流下開口403から流し落として油槽100に循環させるよりも、空気中への調理油Coからの放熱を少なくしつつ、部分トレイ401などの部材への吸熱による温度低下をなくすことができる。これにより、効率的に調理油Coを加熱して昇温し、調理する食品に最適な所定の温度まで調理油Coを加熱し昇温する時間を短くすることができる。また、吐出口129に続く第5管路127は、油槽100とフレーム234との間に位置しているため、昇降装置500により搬送装置200を昇降させる際に、搬送装置200が吐出口129に続く第5管路127と干渉することはない。
傾斜搬送部213に沿うように傾斜している油槽100の底面に吐出された調理油Coは、傾斜した油槽100の底面を、食品搬送方向とは逆の方向である第2傾斜方向(C方向)へと流れる。その調理油Coの流れは、区画板234aと第1搬送板232および起立した第2搬送板233とによって略仕切られた区画により食品搬送方向の上流側から下流側へと送られる調理油Coと、食品搬送方向の下流側で合流する。合流した調理油Coは、区画により食品搬送方向の上流側から下流側へと送られる調理油Coと、食品搬送方向の下流側にある吐出口129から吐出される調理油Coとにより、量が増えていく。
量の増えた調理油Coは、区画により送られる調理油Coの圧力と、量の増え続ける調理油Coの自重により、押し出されるようにして流路235、236と、搬送手段210の内側と、搬送装置200の下方で垂れ下がる第1搬送板232および第2搬送板233の両側と、へ流入し、第2水平方向(D方向)へ流れる。流路235、236へ流入した調理油Coは、食品投入位置100aで区画板234aと油槽の壁面100cとの隙間を通り、食品投入位置100aの調理油Coへと合流して昇温する。
同様に、搬送手段210の内側と、搬送装置200の下方で垂れ下がる第1搬送板232および第2搬送板233の両側と、へ流入した調理油は、第1スプロケット214の位置周辺において、食品投入位置100aの調理油Coと合流して昇温する。
このようにして、低温で粘性が高く循環しにくい低温の油槽100に充填された調理油Coを、第1加熱手段220と第2加熱手段221により加熱しながら、複数の搬送板を備えるバーコンベヤ210の運転により循環させ、さらに第1ポンプ125により油槽100の下流側に設けられた吐出口129から傾斜搬送部213に沿って傾斜した油槽100の底面へと吐出させて、油槽100に充填された調理油Coを所定の温度まで加熱する。
そうすることにより、油槽100に充填された調理油Coを効率的に均一に所定の温度へと加熱することができ、かつ、部分トレイ401の流下開口403から調理油Coを流し落として循環させていないことにより、流し落とす際の温度低下をなくし、フライヤー1での揚げ調理を開始するまでの初期加熱の時間を短縮することができる。第2加熱手段221は、揚げ調理において流下開口から流れ落とす調理油Coを加熱するだけでなく、初期加熱においても油槽100に充填された調理油Coを加熱することができる。
さらに、バーコンベヤ210を運転すると、第2傾斜方向(C方向)と第2水平方向(D方向)に搬送される第1搬送板232および第2搬送板233は自重で垂れ下がり、第1搬送板232および第2搬送板233の自由端が油槽100の底面を摺動する。第2傾斜方向(C方向)と第2水平方向(D方向)に搬送される第1搬送板232および第2搬送板233により、油槽100の底面付近に貯まった調理油Coを食品投入位置100aの直下付近へと搬送する。食品投入位置100aの直下付近へと搬送された調理油Coは、第1ポンプ125の吸引力により、フィルター301を通り加熱室110aに流れ、加熱室110a内で第2加熱手段221により調理油Coを加熱してから、食品搬送方向の下流側にある吐出口129から傾斜搬送部213に沿うように傾斜している油槽100の底面へと調理油Coを吐出させる。
これにより、油槽100の底面付近に貯まった、バーコンベヤ210の内側に設けられた第1加熱手段220では加熱しにくい油槽100に充填された調理油Coを循環させて、効率的に均一に所定の温度へと加熱し、フライヤー1での揚げ調理を開始するまでの初期加熱の時間を短縮することができる。油槽100に充填された調理油Coの温度が所定の温度、例えば180度Cに達した後に、第1ポンプ125の運転を停止し、第1循環弁123と第2循環弁128を閉じて、油槽100に充填された調理油Coの所定の温度までの加熱を終了し、各部の部材の加熱行程へと移行する。
(各部の部材の加熱)
油槽100に充填された調理油Coが所定の温度に達した後に、揚げ調理中に調理油Coが接触する各部の部材の加熱を行う。まず、第6管路131に設けられた全ての油量調整弁132を開き、図1に示す第1加熱手段220と第2加熱手段221を運転したまま、第2ポンプ130の運転を開始し、油槽100に充填された調理油Coを加熱室110aに位置する第2加熱手段221により加熱しながら、加熱室110aに設けられた食品搬送方向の上流側にある吸油口120から第2ポンプ130へと送り、第6管路131内で分岐させ、それぞれの吐出口133からバーコンベヤ210の傾斜搬送部213の上方に位置する部分トレイ401へと調理油Coを吐出させる。
部分トレイ401上に吐出された調理油Coは、一時的に部分トレイ401上に貯まり、部分トレイ401に形成された流下開口403から自然落下して、バーコンベヤ210と、第1搬送板232および第2搬送板233と、傾斜搬送部213の油槽100の底面を流れて、それぞれの部材を調理油Coの熱で加熱する。これにより、揚げ調理中に調理油Coが接触する部材が調理油とほぼ同じ温度に加熱され、揚げ調理の際に調理油Coの温度が部材に奪われることを抑制し、所定の温度に安定させた調理油Coで食品Wを調理することができる。
なお、各部の部材を調理油Coとほぼ同じ温度に加熱するまでの所要時間は加熱する部材の大きさや数により変動するが、例えば第2ポンプ130の運転を開始してから所定時間、例えば5分間を経過した後に、フライヤー1による揚げ調理を開始する。
なお、油槽100に充填された調理油Coの所定の温度までの加熱と、各部材の加熱とは、フライヤー1で揚げ調理を行う前に限られず、フライヤー1で揚げ調理する食品Wを変更する際にも行うことができる。その場合、油槽100に充填された調理油Coから揚げ調理された食品Wの全数を搬出して食品Wの揚げ調理を終えた後に、新たに揚げ調理される変更する食品Wnを調理するのに最適な所定の温度まで調理油Coを加熱して昇温する際に使用する。そうすることで、変更する食品Wnを調理するのに最適な所定の温度まで調理油Coを加熱して昇温する時間を短くすることができる。なお、図面に食品Wnは図示されていないが、変更前と変更後の食品を区別するために変更後の食品を「Wn」としたものである。
なお、油槽100に充填された調理油Coを所定の温度まで加熱した後、各部の部材の加熱へと移行する際の調理油Coの温度は、一般的に揚げ調理を行う温度である、例えば180度Cとしたが、この温度に限定されるものではない。例えば、油槽100に充填された調理油Coの所定の温度は、例えば後述する渦巻きポンプによる吸込みと吐出に適した粘度となる温度である100度Cとしてもよい。その場合、100度Cから揚げ調理する温度である例えば180度Cまで調理油Coを加熱した後に、フライヤー1による揚げ調理を開始する。
また、第1ポンプ125として、移送できる流量は多くはないが粘性の高い低温の調理油でも移送できるギアポンプを使用し、第2ポンプ130としては、粘性の低い高温の調理油であれば比較的多くの流量を移送できる渦巻きポンプを使用するのが好ましい。
もちろん、第2ポンプ130としてもギアポンプを使用することは可能であるが、ギアポンプは移送する流量を増やすことで運転音が大きくなるため、部分トレイ401上に吐出して調理に使用する調理油Coの時間当たりの量を確保するためには、運転音が大きくなるおそれがある。また、第1ポンプ125としても渦巻きポンプを使用することはできるが、渦巻きポンプは粘性の高い低温の調理油Coを移送すると時間当たりに移送できる流量は増やしにくく、調理油Coが加熱されて粘性の低い所定の温度になるまでは、循環の効率は低くなるおそれがある。
なお、本実施形態におけるフライヤーは、油槽100に充填された調理油Coの温度を測定する第1温度センサと、加熱室110aに貯めた調理油Coの温度を測定する第2温度センサ(図示せず)とを備えてもよい。その場合は、第1温度センサにより油槽100に充填された調理油Coの温度を測定し、第2温度センサにより、バーコンベヤ210の傾斜搬送部213の上方から流れ落とす調理油Coの温度を測定する。
また、操作盤600の制御部(図示なし)により、調理油の所定の温度までの加熱で、第1温度センサの測定した温度に基づいて第1加熱手段220の出力を制御し、油槽に充填された調理油を任意の温度へと加熱してもよい。加えて、各部の部材の加熱で、第2温度センサの測定した温度に基づいて第2加熱手段221の出力を制御し、バーコンベヤ210の傾斜搬送部213の上方から流れ落とす調理油Coを任意の温度へと加熱してもよい。
油槽100に充填された調理油Coを第1ポンプ125により循環しながら加熱する際には、第1温度センサの測定した温度に基づいて第1加熱手段220と第2加熱手段221の出力を制御し、油槽100に充填された調理油を任意の温度に加熱してもよい。そして、油槽100に充填された調理油Coを第2ポンプ130により流下開口403から流れ落として循環しながら加熱する際には、第1温度センサの測定した温度に基づいて第1加熱手段220の出力を制御し、第2温度センサの測定した温度に基づいて第2加熱手段221の出力を制御し、調理油Coをそれぞれ任意の温度に加熱してもよい。
(揚げ調理方法)
次に、このフライヤー1による食品Wの揚げ調理方法について説明する。このフライヤー1による食品Wの揚げ調理方法は、所定の温度に加熱された調理油Coが充填された油槽100内にシュート101上を滑らせて食品Wを投入し、油槽100に充填された調理油Coの中を所定の方向(A方向)に搬送しつつ食品Wの揚げ調理を行う油中内調理ステップと、食品Wを油槽100に充填された調理油Coの中から傾斜方向(B方向)に引き上げながら搬送しつつ、食品Wの上方側から所定の温度に加熱された調理油Coを流れ落として食品Wの揚げ調理を行う油中外調理ステップの、2つのステップで構成されている。
油中内調理ステップにおいては、揚げ調理される食品Wは、搬送装置200の水平搬送部212の上面側であって、第1水平方向(A方向)の最上流部の食品投入位置100aから、油槽100に充填された調理油Coにシュート101上を滑らせて投入され、水平搬送部212の上面側を搬送され、その間に予備的な揚げ調理がなされる。
衣の有無に関係なく、揚げ調理前に調理油Coよりも比重が大きい食品Wの場合、油槽100に充填された調理油Coに投入されると、食品Wが自重で調理油Co中に沈み、第1搬送板232および/又は第2搬送板233上に載置される。そして、高温の調理油によって食品W内部の水分が蒸発され、比重が調理油Coよりも小さくなると浮き上がる。食品Wが調理油Co中に沈んでいる間は、食品Wのほぼ全体が調理油Coによって加熱され、食品Wが浮き上がってからは、主に調理油Coに浸っている食品Wの下側部分が揚げ調理される。
一方、揚げ調理前から油槽100に充填された調理油Coよりも比重が小さい食品Wの場合、油槽100に充填された調理油Coに投入されても食品Wは自重で調理油Co中に沈むことはなく、最初から浮き上がっている。そのため、図10におけるガイド部材240の構成とし、食品投入位置100aから油槽内の調理油Co中に投入した食品Wは、調理油中に投入された直後からすでに起立した第2搬送板233によって、第1水平方向(A方向)に押送されながら、主に調理油Coに浸っている部分が揚げ調理される。
前述のように、第2搬送板233の起立開始位置と起立する早さ、起立角度を変更することが可能であるので、揚げ調理される食品Wの種類、大きさ、特性などに起因する調理油Co中で食品Wが浮き上がるタイミングやその早さにあわせて第2搬送板233を起立させることにより、浮き上がった食品Wを油槽100に充填された調理油Co中に滞留させることなく、効率よく食品搬送方向に搬送することができる。
なお、起立した第2搬送板233の自由端の少なくとも一部は油槽100に充填した調理油Coの油面上に出ていてもよい。その場合は、調理油Co中で浮き上がった食品Wは第2搬送板233を乗り越えることはなく確実に押送することができる。また、起立した第2搬送板233の自由端の少なくとも一部が、油面と略同一高さとしてもよい。
図4に示すように、フライヤー1の搬送装置200では、第1搬送板232および第2搬送板233の両外側付近に、食品搬送方向に沿って区画板234aが設けられている。区画板234aの上部は油槽100に充填された調理油Coの油面から一部を出しており、区画板234aの下部はバーコンベヤ210に接しない程度の位置まで下方へ延びている。この区画板234aを設けることにより、第1搬送板232と第2搬送板233により搬送される食品Wが、フレーム234と第1搬送板232および第2搬送板233の間隙に入り込むことを防ぐことができ、食品を確実に搬送することができる。
また、図7に示すように第2搬送板233を倒伏した状態から起立させることにより、第2搬送板233が起立した部分のバーコンベヤ210の上面が開放されてバーコンベヤ210の棒材210a及び補助部材210bと間に隙間Sができる。この隙間Sを通じて、区画板234aと第1搬送板232および起立した第2搬送板233で略仕切られた区画に調理油Coが流入する。区画板234aと第1搬送板232および第2搬送板233で略仕切られた区画にあった調理油Coは、区画板234aと第1搬送板232および第2搬送板233とで構成される区画から、区画板234aと第1搬送板232および第2搬送板233との間を通り流出していく。
このようにして、区画板234aと第1搬送板232および第2搬送板233とで構成される区画の調理油Coは、所定の温度に加熱された調理油Coと入れ替わり、食品Wを加熱するために熱エネルギーの奪われた調理油Coの温度は再び所定の温度となり、食品Wを充分に加熱することができる。
前記したように、第2ポンプ130により各部分トレイ401上に供給され、各部分トレイ401から食品Wに流れ落とされた調理油Coは、油槽100中に流れ落ち、食品搬送方向の下流側で、区画により食品搬送方向の上流側から下流側へと送られる調理油Coと合流する。合流した調理油Coは、流路235、236と、搬送手段210の内側と、搬送装置200の下方で垂れ下がる第1搬送板232および第2搬送板233の両側を通り、食品投入位置100aへと流れる。これにより、第2搬送板233による食品搬出位置100b側への流れは邪魔されずに、食品投入位置100a側への循環流動が可能となり、より安定した循環流動とすることができ、調理油Coの均温化が促進される。
また、天ぷらなどのように流動性を有する衣をまとった食品Wの場合、油槽100に充填された調理油Coに投入されると、第1搬送板232および第2搬送板233の上に沈み、油槽100内に充填された調理油Coの中を搬送される間に衣が固められる。第2搬送板233が起立されていない状態の時に、隣接する2つの第1搬送板232と第2搬送板233が互いに部分的に重なり合うので、衣が固まるまで時間のかかる流動性を有する衣をまとった食品Wであっても、型崩れすることなく、また、衣が食品から脱離して搬送装置200の棒材210a及び補助部材210bやフライヤー1の第1加熱手段220などに付着することなく、揚げ調理することができる。
第1搬送板232には、食品Wが載置される側に突出した複数の略半球状の突起232aが設けられている。揚げ調理される食品Wが油槽100に投入され、油槽100に充填された調理油Co中に沈むと、この突起232aの上に載置され、第1搬送板232の平坦部232bとの間に隙間ができる。それによって、第1搬送板232の平坦部232bと食品Wの下面との間に十分な量の高温の調理油Coが供給され、食品Wを主に下側から効率よく加熱することができる。
上記油中内調理ステップにおいて食品Wが油槽100に充填された調理油Coの中を搬送されている間は、いわゆる予備的な加熱であり、食品Wの芯温を殺菌に必要な温度まで上昇させる必要はない。そこで、食品Wが多量の油を吸う前の適当なタイミングで食品Wを調理油Coから引き上げ、搬送装置200の傾斜搬送部213を第1傾斜方向(B方向)に搬送し始めると、油中外調理ステップに移行し、調理油トレイ400によって、食品Wの上方側から所定の温度に加熱された調理油Coは流れ落とされ、油槽100に充填された調理油の中において調理油Coと充分に触れていない主に食品Wの上側部分の揚げ調理が行われると共に、流れ落とされた調理油Coは、食品Wを搬送する第1搬送板232の平坦部232b上を流れ、結果的に、食品Wを上側および下側から均一に加熱する。
調理油トレイ400の各部分トレイ401に供給された調理油Coは、加熱されて粘性が低くなっており、重力によって部分トレイ401の底面の流下開口403から傾斜搬送部213中を搬送される食品Wの上面に流れ落ち、食品Wを主に上面側から効率よく加熱することができる。
なお、図1に示すように、油中内調理ステップから油中外調理ステップに移行する部分で、油中内調理ステップにおける油槽100に充填された調理油W中を搬送しながら行う食品Wの加熱と、油中外調理における流れ落とした調理油Wによる食品Wの加熱とを、オーバーラップさせてもよい。調理油中内の加熱と調理油中外の加熱との両方の加熱を同時に行って、食品Wを調理することができる。
前述のように、搬送装置200の水平搬送部212において、油槽100に充填された調理油Coの中で食品Wが浮き上がると、食品Wのうち油面から露出している部分には、あまり調理油Coは供給されず、調理油Co中に浸っている食品Wの下側に比べて加熱される割合は低い。一方、傾斜搬送部213において、食品Wの上方側から調理油Coを流れ落とさせると、食品Wの上側に直接高温の調理油Coが供給されると共に、第1搬送板232の突起232aと平坦部232bの間に流れ落とした調理油Coが流れ、食品Wの下側からも加熱される。食品Wの下側に比べて食品Wの上側の部分が加熱される割合が高くなる。
この油中外調理ステップでは、食品Wの芯温を殺菌に必要な温度まで上昇させ、食品Wが傾斜搬送部213の第1傾斜方向(B方向)の食品搬出位置100bに到達する時点で揚げ調理が完了するように、調理時間(搬送装置200による食品Wの搬送速度や、水平搬送部212および傾斜搬送部213の長さなど)、調理油トレイ400から流れ落とす調理油Coの温度や量などが設定されている。
図7(b)に示すように、第1搬送板232の平坦部232bには食品Wが載置される側に突出した複数の突起232aが形成されており、また、搬送装置200の水平搬送部212を搬送される間に、食品Wの下側の揚げ調理がある程度進行しており、食品Wの下側はある程度固化しているので、傾斜搬送部213を搬送される際には、食品Wはこれら複数の突起232a上に乗った状態となる。第2ポンプ130により各部分トレイ401に供給され、部分トレイ401から食品Wの上方側から流れ落とされた調理油Coは、食品Wの表面の凹凸や気孔などを伝って流れ、食品Wを加熱しつつ、さらに、第1搬送板232の平坦部232bの上に流れ落ちる。
さらに、調理油Coは、傾斜搬送部213の傾斜に従って、突起232aによって形成される食品Wと第1搬送板232の平坦部232bとの隙間を流れ落ちる。傾斜搬送部213では、第1搬送板232は傾斜して搬送され、且つ、第2搬送板233が起立されており、第1搬送板232と第2搬送板233との間に隙間が形成され、その隙間から調理油Coが油槽100中に流れ落ちる。その結果、傾斜搬送部213を搬送される第1搬送板232上に余分な調理油が滞留せず、食品Wは余分な調理油Coを吸収することなく、食品Wの油切れをよくすることができる。
また、第1搬送板232上を流れる調理油Coは、第1搬送板232を加熱し、これにより食品Wを加熱、保温する効果も有している。上記のように、このフライヤー1においては、食品Wが傾斜搬送部213の第1傾斜方向(B方向)の食品搬出位置100bに到達する時点で揚げ調理が完了するように構成されており、揚げ調理が完了した食品Wは、図1に示すように、傾斜搬送部213の第1傾斜方向(B方向)の食品搬出位置100bから、食品トレイ102上に回収される。
食品Wは、油中外調理ステップが終了した後、食品搬出位置100bから食品トレイ102上に回収されるまで搬送されている間に、食品Wの表面に付着している調理油Coが油切りされることとなる。また、第2ポンプ130により各部分トレイ401に供給され、各部分トレイ401から食品Wに流れ落とされた調理油Coは、油槽100中に流れ落ち、油槽100中を食品投入位置100a側へ流動し、再び、食品搬送方向の上流側にある吸油口120から第1管路121を介して第2ポンプ130により、各部分トレイ401に供給される。つまり、調理油Coは循環されており、この循環により、調理油全体が均温化され、安定した揚げ調理が可能となる。
さらに、図7(b)に示すように、第2搬送板233を起立させることにより隙間Sができるが、起立した第2搬送板233によってその隙間Sの上部の一部を覆うこととなる。図7(b)においては、水平搬送部212における状態を示しているが、傾斜搬送部213においては、第2搬送板233が起立したまま傾斜搬送されることにより、起立した第2搬送板233によって隙間Sの略全面を覆うこととなる。
これにより、傾斜搬送部213において食品Wの上面側の調理油トレイ400から流れ落とされた調理油Coは、直接隙間Sに流れ落ちるのではなく、第1搬送板232及び第2搬送板233に補足されて第1搬送板232上及び第2搬送板233上を流動し、食品W及び搬送板を加熱することとなる。流れ落とした調理油Coにより、流れ落とした調理油を無駄にすることなく最大限加熱に利用してから循環流動させることができる。
第1搬送板232および第2搬送板233が傾斜搬送部213の上面側を第1傾斜方向(B方向)の最下流側まで搬送されると、第2スプロケット215によって搬送方向が反転され、第1搬送板232および第2搬送板233の自由端が油槽100の底面を摺動しながら、傾斜搬送部213の下面側を第1傾斜方向(B方向)とは逆の第2傾斜方向(C方向)に搬送され、さらに、水平搬送部212の下面側において、第1搬送板232および第2搬送板233は、その自由端が油槽100の底面を摺動しながら、第1水平方向(A方向)とは逆の第2水平方向(D方向)に搬送される。
図13に示すように、食品搬出位置100bの第2スプロケット215により第1搬送板232と第2搬送板233の搬送される方向が変わるが、第1搬送板232と第2搬送板233は棒材210aと補助部材210bにより回転が規制され、回転が規制された第1搬送板232および第2搬送板233の上を食品Wが滑り搬出されていく。
これにより、第1搬送板232および第2搬送板233によってガイドされて食品Wは食品トレイ102へ搬出されるので、食品Wが載置されていた第2搬送板233から直下へ落下して破損したり食品トレイ102からこぼれたりすることを防止することができる。なお、図7、図8、図13では、図面を見易くする関係から一部の部材のハッチングを省略している。
油槽100の底に沈殿した揚げかすDrは、第1搬送板232および第2搬送板233の自由端によって第2傾斜方向(C方向)および第2水平方向(D方向)に押し出され、凹部110の底部に設けられた揚げかす搬送装置300のフィルター301上に集められる。そして、フィルター301の上面に堆積した揚げかすDrは、スクレーパ302の歯302aにより掻き出され、搬送され揚げかす搬送装置300によって揚げかす搬出位置309から搬出される。揚げかす搬出位置309から搬出された揚げかすDrは、揚げかすトレイ(図示せず)へと落下させて集め、生ごみとして廃棄される。
調理油Coの温度に関して、調理油トレイ400から流れ落とされる調理油Coの温度は、油槽100に充填された調理油Coの温度より高く設定するのが好ましい。第2ポンプ130により調理油トレイ400に供給する調理油Coは第2加熱手段221により加熱することができるので、調理油トレイ400から流れ落とされる調理油Coの温度を高くすることが可能となっている。
例えば唐揚げを揚げ調理する場合、油槽100に充填された調理油の温度を180℃とし、調理油トレイ400から流れ落とされた調理油Coの温度を190℃とする。このように、調理油トレイ400から流れ落とされる調理油の温度を油槽100に充填された調理油Coの温度より高く設定することによって、次のような効果がある。まず、食品Wを調理油Coから引き上げた後、食品Wに対し揚げ調理に使用した調理油Coよりも高温の調理油Coをかけることにより、香ばしさや食品表面のサクサク感を出す方法が知られている。本発明でも油槽100に充填された調理油Coの温度より調理油トレイ400から流れ落とされる調理油Coの温度を高くすることで、同様の効果が得られる。
また、傾斜搬送部213において、搬送板(第1搬送板232および第2搬送板233)も油槽100に充填された調理油Coの温度よりも高い温度の調理油Coで加熱されることとなり、搬送板が傾斜搬送部213の下面側を第2傾斜方向(C方向)に搬送されて油槽100に充填された調理油Coに浸漬されても、搬送板によって油槽100に充填された調理油Coの温度を低下させることはない。
さらに、調理油トレイ400から流れ落とされた調理油Coは、油槽100に充填された調理油Coの温度より高いため、調理油トレイ400から滴下した調理油が油槽100に充填された油と合流する際に、油槽100に充填された調理油の温度を昇温させる。その結果、油槽100に充填された調理油を所定の温度に維持するために必要な第1加熱手段220による消費電力を抑制することができる。
また、調理油トレイ400から流れ落とされる調理油Coの温度を油槽100に充填された調理油Coの温度より必ず高く設定する必要はなく、調理油トレイ400から流れ落とされる調理油Coの温度が油槽100に充填された調理油Coの温度よりも低くてもよい。その場合、食品Wの芯温を、時間をかけて上昇させ、調理油トレイ400から流れ落とされる調理油Coによる食品表面の加熱し過ぎを防止することができる。油中内調理における調理油の温度と油中外調理における調理油の温度とを、調理する食品に応じて設定をすればよい。
図2に示すように、分岐された各第6管路131に流れる調理油Coの量を調整するための油量調整弁132が設けられているので、油量調整弁132を選択的に閉じることにより、例えば調理油トレイ400のうち食品搬送方向の上流側の2つの部分トレイ401には調理油Coを供給せず、食品搬送方向の下流側の1つの部分トレイ401のみに調理油Coを供給することにより、二度揚げを行うことができる。
二度揚げの目的は、長時間加熱し過ぎると食味を損なう食品Wを長時間加熱しないことにあるので、油槽100に充填された調理油Coにより1度目の揚げ調理をして食品Wの芯温を上昇させた後、すぐに調理油Coを食品Wに流れ落とさず食品Wの余熱により芯温をゆるやかに上昇させる。食品Wの余熱により芯温をゆるやかに上昇させた後に、例えば最後の1つの部分トレイ401により短時間で高温の調理油Coを食品Wに滴下して食品Wの芯温を殺菌に必要な温度まで上昇させる。
揚げ調理により調理される衣をもった食品Wの、衣を除いた部分を種というが、例えば唐揚げの種である鶏肉は長時間加熱すると固くなる性質を有している。このように、長時間加熱すると種が固くなる性質をもつ唐揚げなどの揚げ調理に対しては、二度揚げが適している。二度揚げを行うことにより、種に柔らかさを保ちつつ、衣はサクサクとした食感をもった唐揚げに仕上げることができる。
(油槽に充填された調理油の循環)
本実施形態のフライヤー1において、食品Wを調理する際には、搬送装置200の水平搬送部212において、区画板234aと第1搬送板232および起立した第2搬送板233により形成された区画によって、油槽100に充填された調理油Coが食品搬送方向の上流側から下流側に送られている。
また、搬送装置200の傾斜搬送部213では、調理油Coを食品Wの上方から食品Wに流れ落とし、流れ落ちた調理油Coを傾斜搬送部213に沿うように傾斜している油槽100の底面の上を流して、食品搬送方向の下流側で上記区画により送られてくる調理油Coと油槽100の食品搬送方向の下流側で合流させている。合流した調理油Coは、時間の経過と共にその量が増えるため、増える調理油Coを搬送装置200の食品搬送方向と直交する方向の両側に設けられた区画板234aとフレーム234との間に形成された内流路235と、フレーム234と油槽100の側壁100cとの間に形成された外流路236を通じて、食品搬送方向の上流側に流し戻して循環させている。
以下、実際の食品Wを調理する際の、調理油Coの流れについて説明する。まず、区画板234aと第1搬送板232および起立した第2搬送板233により形成された区画によって、油槽100に充填された調理油Coは所定の流量(例えば調理する食品Wを冷凍コロッケとした場合は毎分12リットル程度と想定される)で、食品搬送方向の上流側から下流側に送られる。
食品搬送方向の下流側では、油槽100に充填された調理油Coから引き上げた食品Wの上方から食品Wに調理油Coを流れ落とすことで、その調理油Coを傾斜搬送部213に沿うように傾斜している油槽100の底面の上を所定の流量(例えば揚げ調理する食品Wを冷凍コロッケとした場合は毎分95リットル程度と想定される)で流し落とし、油槽100の食品搬送方向の下流側で、区画により上流側から下流側に搬送される調理油Coと合流させている。
食品搬送方向の下流側で合流された調理油Coは、次々に区画により搬送される調理油Coと、傾斜搬送部213に沿うように傾斜している油槽100の底面の上を流れ落ちる調理油Coとにより、その量が増えていく。量の増えた調理油Coの一部は、区画により送られる調理油Coの圧力と、量の増え続ける調理油Coの自重により、押し出されるようにして、搬送装置200の食品搬送方向と直交する方向の両側に設けられた区画板234aの下端と油槽100の底面との間の所定の隙間、例えば70〜80ミリメートルである隙間を通り、区画板234aとフレーム234により形成された内流路235に流入する。
また、量の増えた調理油Coの他の一部は、区画により送られる調理油Coの圧力と、量の増え続ける調理油Coの自重により、押し出されるようにして、内流路235に流入した調理油Coをフレーム234に形成された複数の孔(図示せず)を通って、フレーム234と油槽の側壁100cにより形成された外流路236に流入する。
量の増えた調理油Coのうち内流路235と外流路236へ流入しなかった残りの調理油Coは、区画により送られる調理油Coの圧力と、量の増え続ける調理油Coの自重により、押し出されるようにして、搬送装置200の内側と、搬送装置200の下方で垂れ下がる第1搬送板232および第2搬送板233の両側に流入する。
内流路235に流入した調理油Coは、区画により食品搬送方向の上流側から下流側に送られる調理油Coから、区画板234aにより区画された内流路235内を食品搬送方向の下流側から上流側に流れる。食品搬送方向の上流側に流れる調理油Coは、食品投入位置100aで途切れた区画板234aの端と油槽100の側壁100cとの間の所定の隙間、例えば40ミリメートルである隙間を通り、食品投入位置100aの調理油Coと合流する。外流路236に流入した調理油Coは、食品搬送方向の下流側から上流側に流れ、上流側のフレーム234に形成された複数の孔(図示せず)を通って内流路235に流入し、内流路235から食品投入位置100aの調理油と合流する。
これにより、区画により食品搬送方向の上流側から下流側に送られ調理油Coと、流路235および236内を食品搬送方向の下流側から上流側に流し戻される調理油Coとが、区画板234aにより区画され、両者が混じり合いにくくなる。
それにより、食品の調理に使用され、食品から分離された揚げかすDrを含んだ、流路内235および236を流れる調理油Coと、区画により搬送され、食品Wを揚げ調理する調理油Coとが、区画板234aにより区画され、区画により搬送されながら調理される食品Wに揚げかすDrが付着するのを防止することができる。
また、区画により搬送される食品を調理する調理油の温度と、内流路235と外流路236を流し戻される調理油の温度が異なる場合にも、食品を調理する調理油の温度変化を抑制することができる。これにより、安定した揚げ調理が可能となる。
搬送装置200の内側と、搬送装置200の下方で垂れ下がる第1搬送板232および第2搬送板233の両側に流入した調理油Coは、搬送装置200や第1加熱手段220、第1搬送板232および第2搬送板233などの流れの抵抗となる部材の間を食品搬送方向の上流側に流れる。
そして、第1搬送板232および第2搬送板233の搬送方向を変える第1スプロケット214の位置周辺において、食品投入位置100aの調理油Coと合流する。搬送装置200の内側と、第1搬送板232および第2搬送板233の両側に流入した調理油Coは、その流速を上げることなく、食品搬送方向の下流側から上流側に流し戻される。
内流路235および外流路236と、搬送装置200の内側と、搬送装置200の下方で垂れ下がる第1搬送板232および第2搬送板233の両側とを、食品搬送方向の下流側から上流側に流れ戻る調理油Coの流量の合計は、例えば揚げ調理する食品Wを冷凍コロッケとした場合、例えば毎分107リットル程度と想定される。これは、区画によって食品搬送方向に送られる調理油Coの流量と、調理油Coから引き上げた食品Wの上方から流れ落とされる調理油Coの流量との合計に略等しい。
すなわち、本実施形態のフライヤー1で食品Wの揚げ調理に使用される油槽100に充填される調理油Coの量を、例えば200リットルとすれば、1分あたり約53パーセントの調理油Coが常に循環していることになる。この食品搬送装置の上流側と下流側とで循環する調理油Coは、食品Wを調理している間は常に循環しているので、食品Wを調理している間は、油槽100に充填された調理油Coの食品搬送方向の上流側と下流側とで油面の片寄りを抑制して、安定して食品を揚げ調理することができ、同じ食品であってもより美味しく調理することができる。
また、油面が片寄って油面が低くなる場合を想定して、調理に必要な油面高さを確保するために油槽100に充填する調理油Coの量を増やし、油面を高く設定しておく必要がない。これにより、油槽100に充填する調理油Coの量を減らすことができる。
食品搬送方向の上流側である食品投入位置100aの調理油Coに合流した調理油Coのうちの一部は、再び区画により食品搬送方向の上流側から下流側に送られる。食品投入位置100aの調理油Coに合流した調理油Coのうちの区画により搬送されなかった残りの調理油Coは、食品投入位置100aの下方に設けられたフィルター301を通り、調理油Coに含まれる揚げかすDrが分離され、食品搬送方向の上流側にある吸油口120から第2ポンプ130により吸い込まれて、吐出口133から調理油トレイ400を構成する複数の部分トレイ401に吐出され、各部分トレイ401の流下開口402から、食品Wの上方に流れ落ちる。
このようして、フライヤー1内で調理油Coを循環させることにより、油槽100に充填された調理油Coの食品搬送方向の上流側と下流側とで油面の片寄りを抑制することができる。それにより、油槽100に充填された調理油Coによる食品の揚げ調理を安定させることができ、同じ食品であってもより美味しく揚げ調理することができる。
また、内流路235と外流路236を形成し調理油を流し戻すことにより、調理油Coは、流れの抵抗となる部材が配置された搬送装置200の内側で流速を上げることなく、食品搬送方向の下流側から上流側に流れ、搬送装置200の内部に設けられた第1加熱手段220の周囲にある調理油Coを激しく流動させることなく、安定して加熱することができる。
さらに、内流路235と外流路236を形成することにより、調理油Coは搬送装置200の下方を、流れの抵抗となる搬送装置200の下方で垂れ下がる第1搬送板232および第2搬送板233により流速を上げることなく、食品搬送方向の下流側から上流側に流れる。そうして、搬送装置200の下方で垂れ下がる第1搬送板232および第2搬送板233により食品搬送方向の上流側に搬送する揚げかすDrを、調理油Coの流れで散乱させることなく、安定して搬送することができる。
なお、食品搬送方向の上流側から下流側に油槽100に充填された調理油Coを送る区画は、油槽100に充填された調理油Coを押して上流側から下流側に送るという性格から、区画板234aと起立した第2搬送板233のみにより構成してもよい。しかしながら、食品Wの調理と搬送の際の利便性等や、区画内の調理油Coを搬送手段210の内側に流れ込まないように、第1搬送板232により遮蔽するという効果を考慮すると、区画は区画板234aと第1搬送板232および起立した第2搬送板233とにより形成するのが好ましい。
また、調理油Coを循環させて油槽100に充填された調理油Coの食品搬送方向の上流側と下流側で油面の片寄りを抑制することができるのであれば、区画板234aは搬送装置200の食品搬送方向と直交する方向の両側のいずれか一方のみに設け、内流路235と外流路236により形成される流路を1つとしてもよい。これにより、油槽100の幅を小さくし、食品Wを調理する際に必要な油槽100に充填される調理油Coの量と、その調理油Coを所定の温度に加熱するエネルギーを少なくすることができる。
しかしながら、内流路235および外流路236を食品搬送方向と直交する方向の両側に設けることにより、食品搬送方向の下流側から上流側に流し戻す調理油Coの量の許容量を多くすることができ、区画により食品搬送方向の上流側から下流側に送られる調理油Coと、流路内235および236を食品搬送方向の下流側から上流側に流し戻す調理油Coとが、搬送装置200の食品搬送方向と直交する方向の両側で、区画板234aにより区画され、両者が混じり合わされにくくすることができる。
それにより、食品Wの調理に使用され、食品Wから分離された揚げかすDrを含んだ、内流路235および外流路236内を流れる調理油Coと、区画により搬送される食品を調理する調理油Coとを、区画板234aにより区画し、区画により搬送されながら調理される食品Wに揚げかすDrが付着するのを防止することができるため、区画板234aは搬送装置200の食品搬送方向と直交する方向の両側に設けることが好ましい。
また、本実施形態のフライヤー1では、内流路235と外流路236とにより流路が形成されているが、内流路235または外流路236のいずれか一方のみとしてもよい。しかしながら、搬送装置200を昇降させる際に、搬送装置200を支持するためのフレーム234を備え、そのフレーム234が油槽100内に位置している場合でも、食品搬送方向の下流側から上流側に調理油Coを流し戻すために、流路の一部を塞ぐことなく、内流路235と外流路236とで流路を形成するのが好ましい。
また、内流路235および外流路236に加熱手段を別途設けることにより、内流路235および外流路236の調理油Coを加熱しつつ流し戻すことができる。これにより、内流路235および外流路236内を食品搬送方向の下流側から上流側に流し戻す調理油Coを加熱し、調理油Coの温度を、調理する食品Wに最適な所定の温度に保つことができる。
さらに、本実施形態のフライヤー1について、区画板234aと起立した第2搬送板233との間の所定の隙間と、区画板234aと油槽100の側壁100cとの所定の隙間と、区画板234aと油槽100の底面との所定の隙間の寸法は、例示であって、これらに限定されるものではない。
(フライヤーの洗浄方法)
フライヤー1の洗浄方法について、図24を用いて概要を説明し、各ステップに関して詳細に説明する。図24に示すように、フライヤー1の洗浄のステップは、以下により構成される。
・フライヤー1での調理を終えた後に、各装置を停止させる調理終了ステップ(S100)。
・搬送装置200と油槽100の洗浄のために、油槽100から調理油Coを貯油タンク(図示せず)に送る洗浄準備ステップ(S200)。
・着脱自在な部材を取り外し、フライヤー1とは別に洗浄する着脱自在な部材の取り外しステップ(S300)。
・搬送装置200と油槽100に湯をかけて、粗洗浄を行う粗洗浄ステップ(S400)。
・長い休みの前などに行う、バーコンベヤ210の水平搬送部の少なくとも一部を強アルカリ性の洗剤を溶かした湯に浸漬して洗浄する浸漬洗浄ステップ(S500)。
・昇降装置500を駆動して、搬送装置200を油槽100から上昇させる搬送装置の上昇ステップ(S600)。
・揚げかす搬送装置300を取り出して洗浄する揚げかす搬送装置の洗浄ステップ(S700)。
・油槽100に湯をかけてアルカリ性の洗剤で洗浄する油槽の洗浄ステップ(S800)。
・搬送装置200を油槽100に下降させる搬送装置の下降ステップ(S900)。
・搬送装置200へ湯をかけて、アルカリ性の洗剤により洗浄する搬送装置の洗浄ステップ(S1000)。
・着脱自在な部材の取り外しステップ(S300)にて洗浄した着脱自在な部材を取り付ける着脱自在な部材の取付けステップ(S1100)。
・フライヤー1の全体を乾燥させて、次回の使用に備える乾燥ステップ(S1200)。
フライヤー1に設けられた各装置は防水対策を施しているため、フライヤー1を洗浄する際にはフライヤー1と操作盤600の電源を入れた状態で行う。なお、フライヤー1の洗浄で使用される湯の温度は60〜70度Cであるが、作業者が安全に使用できるならば、より高い温度である70〜90度Cの湯を使用することができる。それにより、フライヤー1に付着した調理油Coの粘性がより低下し、調理油Coを洗い落とすことが容易となり、洗浄性を向上させることができる。なお、フライヤー1の洗浄においては、皮膚の保護のため手袋を着用するのが好ましい。
フライヤー1の各部材や搬送装置200および油槽100の洗浄では、湯をかけた後にアルカリ性の洗剤を使用して、スポンジたわし等によりこすり洗いを行うが、スポンジたわしを使うのは着脱自在な部材や搬送装置、油槽内に異物を残さないようにし、フライヤー1による揚げ調理の際の異物混入を防止するためである。そのため、洗浄の際に装置内へ異物を残さない洗浄用具であれば、他の用具を用いてもよい。
強アルカリ性の洗剤やアルカリ性の洗剤を使用してフライヤー1の洗浄を行うが、環境への負荷を考慮し、強アルカリ性もしくはアルカリ性となった湯へ中和剤を混ぜ込んで、中性化を行ってから排水する。強アルカリ性もしくはアルカリ性となった湯の具体的な中性化手段としては、油槽100の下部に備える排水弁160を開いて排水する際に、排水する量に合わせて排水を充分に中性化することができる分量の中和剤を混ぜ合わせながら排水する、もしくは油槽100に貯めた強アルカリ性もしくはアルカリ性となった湯を一時的に貯めておく貯水槽を用意し、貯水槽内で中和剤を混ぜ込んで中性化を行うなどの手段がある。排水を中性化することができれば、どのような手段を講じてもよい。
洗浄に使用した湯には揚げかすDrが含まれており、排水溝や排水管を詰まらせるおそれがあるため、排水は別途用意したフィルターを通して揚げかすDrを除去してから排水する。別途用意したフィルターの隙間は、揚げかす搬送装置に有したフィルターの隙間よりも小さい隙間を有するものが好ましい。
以下、図24に示した各ステップについて詳細に説明していく。まず、調理終了ステップ(S100)において、調理の終えたフライヤー1の第2ポンプ130、バーコンベヤ210の循環駆動モータ216、第1加熱手段220、第2加熱手段221を停止させる。
洗浄準備ステップ(S200)では、まず、第1循環弁123を開き、第2循環弁128を閉じる。次に、油槽100に充填された調理油Coを貯油タンクに送るための送油弁150を開き、第1ポンプ125の運転を開始する。それによって、第1ポンプ125の吸引力により、油槽100に充填された調理油Coを貯油タンクに送る。油槽100に充填された全ての調理油が貯油タンクへ送られると、油槽100の下部に設けられた送油弁150を閉じる。以後に続く洗浄により発生する洗浄水を排水するため、排水弁160を開く。
着脱自在な部材の取り外しステップ(S300)では、着脱自在な部材である各部分トレイ401、シュート101、区画板234aなどをフライヤー1から取り外す。取り外した各部材に湯をかけ、さらに、アルカリ性の洗剤を、例えば所定量の水に混ぜ込むことによりPH11.75±0.25となるようなアルカリ性の洗剤を使用し、各部材をスポンジたわしにて洗浄し、さらに湯をかけて洗剤成分を洗い流す。
粗洗浄ステップ(S400)では、第2搬送板233の起立位置を変更するレバー253を操作し、第2搬送板233の起立開始位置をバーコンベヤ210の食品搬送方向における最も上流側として、可能な限り多くの第2搬送板233を起立させた状態とした後、搬送装置200の水平搬送部212と傾斜搬送部213に湯をかけ、搬送装置200に付着した調理油Coや揚げかすDrを洗い流す。
また、搬送装置200と油槽100のフレーム234との隙間に湯をかけることにより、油槽100に付着した調理油Coや揚げかすDrを洗い流す。なお、日常的にフライヤー1を洗浄する場合には、次の浸漬洗浄ステップ(S500)を行わず、引き続いて搬送装置の上昇ステップ(S600)を行う。浸漬洗浄ステップ(S500)を行うためには30分程度の時間が必要であるため、長い休みの前やフライヤー1を長期間使用しないときのみ、浸漬洗浄ステップ(S500)を行う。
浸漬洗浄ステップ(S500)では、油槽100の下部に設けられた排水弁160を閉じる。次に、油槽100にバーコンベヤ210の水平搬送部の少なくとも一部が浸漬するように湯を貯める。さらに、油槽100に強アルカリ性の洗剤を、例えば油槽に貯めた湯がPH12.7±0.3となるような強アルカリ性の洗剤を入れる。
そして、操作盤600の表示画面601にて第1加熱手段220および第2加熱手段221による加熱温度を、油槽に貯めた湯を80〜90度Cとなるように設定し、第1加熱手段220および第2加熱手段221による発熱を開始させ、循環駆動モータ216を駆動してバーコンベヤ210を循環駆動させながら、投入した強アルカリ性の洗剤を湯に溶かす。さらに、バーコンベヤ210を循環駆動させながら、強アルカリとなった油槽100内の湯にバーコンベヤ210の水平搬送部212の少なくとも一部を30分間程度浸漬して洗浄を行う。
浸漬洗浄が完了すると、第1加熱手段220、第2加熱手段221、循環駆動モータ216の運転を停止する。そして、油槽100の下部の排水弁160を開き、油槽100に貯めた強アルカリ性の湯を排水する。なお、浸漬による洗浄に使用した洗剤は強アルカリ性の洗剤としたが、浸漬洗浄により調理油Coなどの付着を洗い流すことができる洗剤であれば中性洗剤を用いても構わない。その場合、洗浄に使用した湯を中性化する作業が不要で、中性化せず排水することが可能である。また、浸漬して洗浄を行う時間を30分間程度としたが、洗剤の種類や調理油Coの付着の程度により前後することはいうまでもない。
搬送装置の上昇ステップ(S600)では、操作盤600の表示画面601の上昇ボタン626を押し続けて昇降装置500を駆動し、搬送装置200を上限位置まで上昇させると、昇降モータ511が停止し、上限位置ランプ630が点灯する。作業者は、収納箱541の収納孔541aから2本の安全バー540を引き抜き、安全バー540のつば部540cがスライド部材531に当接するまで係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532を貫通させるように、2本の安全バー540を差し込む。
搬送装置200のバーコンベヤ210は上昇した状態でも運転させることができるため、上昇した搬送装置200のバーコンベヤ210を運転させ、上記粗洗浄ステップ(S400)および浸漬洗浄ステップ(S500)で洗い落とせなかった、搬送装置200に付着した調理油Coや揚げかすDr、もしくは浸漬洗浄ステップ(S500)を行っていた場合は、上昇させた搬送装置200に付着した洗浄水が、搬送装置200の下方に位置する油槽100にしたたり落ちる。
それによって、バーコンベヤ210や搬送板232および233に付着した調理油Coと揚げかすDr、もしくは洗浄水を油槽100に効率的に落下させることができる。また、搬送装置200の下部には、加熱室110a中の調理油Coを加熱し所定の温度に維持する第2加熱手段221と、その第2加熱手段221の上部に加熱室110aを区画するための蓋部221aが設けられている。搬送装置200を上昇させることにより、第2加熱手段221と蓋部221aを共に上昇させることができ、第2加熱手段221と加熱室110a内の洗浄を、後述する油槽100の洗浄ステップ(S800)において行うことができる。
揚げかす搬送装置の洗浄ステップ(S700)では、まず、油槽100に設置された揚げかす搬送装置300を取り出す。次に、揚げかす搬送装置300のフィルター301に付着した揚げかすDrを廃棄する。そして、揚げかす搬送装置300に湯をかけて、揚げかす搬送装置300に付着した調理油Coや揚げかすDrを洗い流し、さらに、アルカリ洗剤を、例えば所定量の水に混ぜ込むことにより、PH11.75±0.25となるようなアルカリ性の洗剤を使用して、揚げかす搬送装置300をスポンジたわしにて洗浄し、さらに湯をかけて洗剤成分を洗い流す。
油槽の洗浄ステップ(S800)では、油槽100に湯をかけ、さらに、アルカリ洗剤を、例えば所定量の水に混ぜ込むことにより、PH11.75±0.25となるようなアルカリ性の洗剤を使用して、油槽100をスポンジたわしにて洗浄し、さらに湯をかけて洗剤成分を洗い流す。搬送装置200に設けられた第2加熱手段221と蓋部221aを上昇させることにより、油槽100の凹部110の上部が開放され、第2加熱手段221と、蓋部221aと、凹部110内の洗浄を行うことができる。油槽100の洗浄が完了すると、揚げかす搬送装置の洗浄ステップ(S700)で取り外し洗浄した揚げかす搬送装置300を油槽100に取付ける。
搬送装置の下降ステップ(S900)では、2本の安全バー540を係止部材524の第1開口525とスライド部材531の第2開口532から引き抜き、収納箱541の収納孔541aに2本の安全バー540の差し込み側540aを差し込んで収納する。収納箱541の収納孔541aに2本の安全バー540の差し込み側540aを差し込まれると、収納箱541の収納孔541aの内部に設けられた第1センサ(図示せず)が、差し込まれた2本の安全バー540を検知し、所定の信号を操作盤600の制御部へと送信する。送信された信号を制御部が受信すると、制御部に設定されたインターロック機能は作動せず、昇降モータ511への駆動信号を遮断することはない。操作盤600の表示画面601の下降ボタン627を押し続けて昇降装置500を駆動し、搬送装置200を下限位置まで下降させると、昇降モータ511が停止し、下限位置ランプ631が点灯する。
搬送装置の洗浄ステップ(S1000)では、搬送装置200に湯をかけ、さらに、アルカリ洗剤を、例えば所定量の水に混ぜ込むことによりPH11.75±0.25となるようなアルカリ性の洗剤を使用して、搬送装置200をスポンジたわしにて洗浄する。搬送装置200のバーコンベヤ210を停止した状態で、洗浄可能な場所にあるバーコンベヤ210及びそれらのバーコンベヤ210に取り付けられた複数の搬送板232および233を洗浄する。
そして、バーコンベヤ210を駆動し、洗浄されていないバーコンベヤ210及びそれらのバーコンベヤ210に取り付けられた複数の搬送板232および233を洗浄可能な位置に移動させて、バーコンベヤ210の駆動を停止し、バーコンベヤ210と複数の搬送板232および233を洗浄する。このような洗浄とバーコンベヤ210の駆動の運転と停止を繰り返し、全てのバーコンベヤ210と複数の搬送板232および233を洗浄する。その後、搬送装置200の全体に湯をかけて、搬送装置200に付着した洗剤成分を洗い流す。
着脱自在な部材の取り付けステップ(S1100)では、着脱自在な部材の取り外しステップ(S300)において取り外して洗浄した着脱自在な部材をフライヤー1に取付ける。
乾燥ステップ(S1200)では、フライヤー1を乾燥させた後、排水弁160を閉じることにより、フライヤー1を使用して調理を再開できるようにする。
本実施形態に記載したように、第1ポンプ125を、揚げ調理を行うために調理油Coを油槽100に充填する給油と、揚げ調理を行う前の準備として行う調理油Coの所定の温度までの加熱する際の調理油Coの循環と、揚げ調理が終了して油槽100に充填された調理油Coを一時的に保管するために貯油タンクへ送る送油に使用し、1つのポンプに複数の機能を備えさせることで、同様の機能を個別のポンプにより担うフライヤーと比較して、フライヤー1の構成を簡素化することができる。
なお、各部分トレイ401に揚げかすDrの汚れが蓄積しておらず、洗浄する必要がない場合は、着脱自在な部材の取り外しステップ(S300)において、各部分トレイ401を取り外すことなく、搬送装置200を昇降させてもよい。各部分トレイ401は搬送装置200と共に昇降させることができるため、各部分トレイ401を取り外す手間を省くことができる。
また、搬送装置の上昇ステップ(S600)と搬送装置の下降ステップ(S900)は、フライヤー1のメンテナンスの際にも使用することができる。フライヤー1のメンテナンス時には、通常、フライヤー1の電源を切った状態で行うが、電源を切った状態であっても、安全バー540を差し込んだ状態であれば、スライド部材531のスライドを規制し、上昇させた搬送装置200の意図しない下降を防止することができ、安全にメンテナンスを行うことができる。さらに、本実施形態に記載した開閉弁は電磁弁や電動弁とするのが好ましく、その場合は操作盤600の制御部により制御する。もちろん、手動による操作を行ってもよい。
以上のように、本実施形態のフライヤーの運転方法およびフライヤーによれば、所定の温度に達する前の調理油を流下手段へと供給して流れ落としつつ油槽に充填された調理油を所定の温度に加熱するよりも、流下手段から流れ落とさずに油槽に充填された調理油を循環させながら加熱手段により所定の温度に加熱することにより、効率的に調理油を加熱することができる。そして所定の温度に達した調理油を流下手段へと供給して所定時間継続して流れ落とすことにより、食品の揚げ調理以前からフライヤーを予備加熱して、調理開始直後から揚げ調理する食品に最適な調理油の温度で食品を調理することができる。これにより、食品の揚げ調理を開始するまでの時間を短縮するとともに、常に揚げ調理した食品の品質を安定化させることができる。
(第2実施形態)
一般的に、フライヤーで食品を揚げ調理するために用いられる調理油は、新鮮なものであるほど、より美味しい食品を製造することができることが知られている。また、調理油は、大気中の酸素と接触する機会が多いほど劣化が促進されるということが知られている。
そのため、新鮮な調理油を用いて美味しい食品を揚げ調理するために、調理油と大気中の酸素との接触の機会を少なくして調理油の劣化を抑制しつつ、食品を揚げ調理することが肝要となる。特に、前述の特許文献1に記載されたフライヤーは、連続的または間欠的に調理油を噴霧するため、霧状となった調理油は、大気中の酸素と接触する面積が大きくなり、大気中の酸素との接触の機会が多くなる。そして、調理油の劣化は著しく促進され、長期間にわたって同じ調理油により美味しい食品を調理することが困難となるおそれがある。
そこで、本発明の第2実施形態及び第3実施形態では、食品の揚げ調理中の調理油と大気中の酸素との接触の機会を減らし、調理油の劣化を抑制して、より長期間にわたって同じ調理油により美味しい食品を揚げ調理することができるフライヤーを提供する。
以下に、本発明の第2実施形態のフライヤーについて図25〜図31を参照しながら説明する。まず、第2実施形態のフライヤー701の全体的な構成を図25及び図26に示す。
(部分トレイに調理油を供給する管路)
先に説明した第1実施形態のフライヤー1では、図1及び図2に示すように、部分トレイ401に調理油Coを供給する管路は、第2ポンプ130に接続された第6管路131と、調理油Coを各部分トレイ401に吐出するための吐出口133とから構成されている。第6管路131は、昇降する搬送装置200とは連動せず、外郭体2に固定されており、搬送装置200の昇降の際フレーム234と干渉しないように、水平方向においてフレーム234よりも外側に後退している。そして、調理油Coは、第2ポンプ130による吐出圧力によって、第6管路131を通り、吐出口133から各部分トレイ401へ吐出される。
それに対して、第2実施形態のフライヤー701では、図25に示すように、固定された第6管路131に換えて、略水平に固定された第7管路(管路)711と、第7管路711から回転継手713を介して、管長方向の中心軸を中心として回転自在に接続された可動式の第8管路(管路)712と、第8管路から分岐して各部分トレイ741に調理油Coを吐出するための吐出口715を有する複数の吐出配管(管路)714とにより構成されている。詳細については後述するが、第8管路712は、管長方向の中心軸を中心として回転し、吐出配管714の吐出口715を部分トレイ741に一時的に貯められた調理油Coに漬けた位置である調理位置と、吐出口715を部分トレイ741に一時的に貯められた調理油Coから引き上げて、昇降する搬送装置200のフレーム247に干渉しないよう、搬送装置200の外側へと退避させた退避位置とに吐出配管714を移動させることができる。以下、具体的な構成と作用効果について記載する。
(第7管路と第8管路と吐出配管の構成)
図25及び図26に示すように、第2ポンプ130に接続された第7管路711は略水平に設けられているが、第7管路711から回転継手713を介して接続される第8管路712は、傾斜搬送部213に沿うように傾斜して設けられている。そして、各吐出配管(管路)714の有する吐出口715は、鉛直方向における各部分トレイ741の上方に位置している。また、第8管路712は、搬送装置200の昇降に連動して、後述する嵌合部材(嵌合部)720と嵌合軸部(被嵌合部)730とにより、第8管路712の管長方向の中心軸を中心として回転継手713により回転するように構成されている。
(嵌合部材と嵌合軸部の構成)
図27(a)及び(b)に示すように、第8管路712のうち、傾斜搬送部213側の支柱501の近傍には、第8管路712に回転力を伝達するための嵌合部材(嵌合部)720が第8管路712に固定されている。また、傾斜搬送部213側の支柱501のスライド部材531には、嵌合部材720へと嵌合することで第8管路712を管長方向の中心軸を中心として回転させる嵌合軸部(被嵌合部)730が固定されている。以下に、嵌合部材720と嵌合軸部730の構成について記載する。
図29(a)〜(c)に示すように、嵌合部材720は、第8管路712の外径部に嵌合固定された環状固定部721と、環状固定部721に固定され、略U状溝の嵌合凹部723を有する嵌合板部722などで構成されている。また、嵌合凹部の上側の辺724には、約45度の面取り725がなされている。
一方、傾斜搬送部213の近傍に設けられたスライド部材531には、第8管路712の上方に水平に張り出した、側面視略L状アームである嵌合軸部730が設けられており、嵌合軸部730には、さらに第8管路712と平行な軸731が固定されている。軸731の外径は嵌合凹部723の略U状溝の幅より所定の寸法だけ小さく、軸731が嵌合凹部723に嵌合できるよう構成されている。
(吐出管路の調理位置と退避位置とへの移動)
図28(a)及び(b)に示すように、第8管路712は、管長方向の中心軸を中心として回転し、吐出配管714の吐出口715を部分トレイ741に一時的に貯められた調理油Coに漬けた位置である調理位置(図28(a)の状態)と、吐出口715を部分トレイ741に一時的に貯められた調理油Coから引き上げて、昇降する搬送装置200のフレーム234に干渉しないよう、搬送装置200の外側へと退避させた退避位置(図28(b)の状態)とに吐出配管714を移動させることができる。
また、図29(a)〜(c)に示すように、嵌合部材720を回転させることにより、第8管路712は管長方向の中心軸を中心として回転し、吐出配管714を調理位置と退避位置とに移動させることができる。以下、嵌合部材720及び嵌合軸部730の動きと、第8管路712の回転及び吐出配管714の移動について記載する。
図29(a)は、搬送装置200が下限位置にあるときの嵌合部材720と嵌合軸部730との位置関係を示し、吐出配管714が調理位置にある図28(a)と対応している。また、図29(b)は、搬送装置200を下限位置から上昇させるために、スライド部材531を上方へスライドさせたときの位置関係を示し、図28(b)と対応している。図29(c)は、搬送装置200を図29(b)の位置からさらに上昇させ、搬送装置200を上限位置に位置させたときの位置関係を示している。
図29(a)及び(b)に示すように、搬送装置200を上昇させるために、スライド部材531を上方にスライドさせる際、スライド部材531の上方へのスライドと共に嵌合軸部730の軸731は上昇し、軸731は嵌合凹部の上側の辺724に当接する。
そして、スライド部材531の上方へのスライドと共に嵌合軸部730が上昇し、嵌合部材720を反時計回りに回転させることにより、第8管路712を管長方向の中心軸を中心に反時計回りに回転させる。軸731の上昇により回転する嵌合部材720は、第8管路712を管長方向の中心軸を中心に反時計回りに回転させて、吐出管路714を退避位置へと移動させる。
図29(b)の状態から、スライド部材531をさらに上方にスライドさせ、搬送装置200を上限位置に位置させた図29(c)の状態へと移る。このとき、嵌合部材720と嵌合軸部730の嵌合は解除され、軸731は嵌合凹部723の上方に位置することとなる。
反対に、図29(b)及び(c)に示すように、搬送装置200を上限位置から下降させるために、スライド部材531を下方にスライドさせる際、スライド部材531の下方へのスライドと共に嵌合軸部730の軸731は下降し、軸731が嵌合凹部の下側の辺726と当接して、嵌合部材720と嵌合軸部730とは嵌合する。
そして、図29(b)から図29(a)の状態へと移るように、スライド部材531の下方へのスライドと共に嵌合軸部730が下降し、嵌合部材720を時計方向に回転させることにより、第8管路712を管長方向の中心軸を中心に時計回りに回転させる。軸731の下降により回転する嵌合部材720は、第8管路712を管長方向の中心軸を中心に時計回りに回転させて、吐出管路714を調理位置へと移動させる。こうして、嵌合部材720及び嵌合軸部730は、吐出配管714を、搬送装置200の昇降に連動して調理位置と退避位置とに移動させることができる。
また、図29(a)および(b)に示すように、嵌合凹部の上側の辺724には、約45度の面取り725がなされている。面取り725は、搬送装置200を上限位置から下降させるために、スライド部材531を下方にスライドさせ、軸731が嵌合凹部723に嵌合する際、軸731と嵌合板部722の嵌合凹部723との間に、図29における左右方向の位置ずれがあったとしても軸731が嵌合板部722の嵌合凹部723へと嵌合するようガイドし、円滑に嵌合させることができる。なお、上記面取り725の角度は、嵌合部材720と嵌合軸部730との位置関係等に応じて適宜設定される。
図26にある油槽100のベースである外郭体2は、第8管路712が管長方向の中心軸を中心として回転し、調理位置から退避位置へと移動した吐出配管714に当接し、第8管路712の回転の角度を規制する回転ロック機構(図示なし)を備える。また、第8管路712は、重力の作用で吐出配管714が退避位置から調理位置へと戻らないように重量配分が成されている。具体的には、図28(b)の状態では、第8管路712の管長方向の中心軸を通る鉛直線よりも左側に重心があり、第8管路712に対して反時計回りに回転力が作用しているが、第8管路712は吐出配管714と回転ロック機構とが当接することにより回転を規制される。
また、吐出管路714を調理位置に移動することにより、吐出口715を部分トレイ741に一時的に貯めた調理油Coに浸漬させる。これにより、吐出口715から吐出される調理油Coと大気中の酸素との接触の機会を少なくしつつ、部分トレイ741に調理油Coを供給することができる。また、部分トレイ741に供給された調理油Coは、部分トレイ741の底面や調理油Coの油面による跳ね返りを少なくして、調理油Coと大気中の酸素との接触の機会を少なくする。これらにより、吐出口715から部分トレイ741に調理油Coを供給するときに、調理油Coの劣化を抑制することができる。
このように、第8管路712を搬送装置200の昇降に連動して回転させ、吐出配管714を調理位置と退避位置とに移動させることができるので、フライヤー701の清掃やメンテナンスを行う際、搬送装置200を上昇させると、それに連動して第8管路712が回転して吐出配管714を調理位置から退避位置へと移動させることができる。また、フライヤー701の清掃やメンテナンスの完了後、搬送装置200を下降させると、それに連動して第8管路が回転して吐出配管714を退避位置から調理位置へと移動させることができる。これにより、搬送装置200の昇降と連動して吐出配管714を退避位置と調理位置との間を移動させることができ、手間なく搬送装置200を昇降させることができる。
なお、第2実施形態では、上記のように搬送装置200の昇降に連動して第8管路712を回転させるように構成しているが、これに限定されるものではなく、手動操作、或いは独立した回転駆動装置により第8管路712を回転させるように構成してもよい。
その場合、前述のように吐出配管714を退避位置に移動させたとき、吐出配管714が回転ロック機構と当接することにより第8管路712は回転を規制されるが、さらに吐出配管714が調理位置に移動したときに、吐出配管714が当接し、第8管路712の回転が規制される回転ロック機構を備える。
そして、吐出配管714が退避位置に移動したことを検出するセンサを設けると共に、センサにより吐出配管714の退避位置への移動完了が検出されている間のみ、搬送装置200を昇降させる昇降装置500(図2参照)を動作可能とするような安全回路を設ければよい。このような構成とすることにより、搬送装置200を上昇させることなく吐出配管714を退避位置へと移動し、部分トレイ741やそれに設けられた揚げかす回収トレイ750(詳細は後述する)などを取り外して、部分的な清掃やメンテナンスを行うことができる。
また、吐出配管714の調理位置への移動完了が検出されている間のみ、第2ポンプ130を運転可能とするようなセンサ及び安全回路を設けてもよい。このような構成とする場合、吐出配管714が調理位置に位置していることを確認し、第2ポンプ130を運転することができるので、吐出口715を部分トレイ741に一時的に貯めた調理油Coに浸漬させ、吐出口715から吐出される調理油Coと大気中の酸素との接触の機会を少なくしつつ、部分トレイ741に調理油Coを供給することができる。
なお、吐出配管714の退避位置への移動完了が検知されている間のみ、昇降装置500を動作可能とするようなセンサ及び安全回路と、吐出配管714の調理位置への移動完了が検知されている間のみ、第2ポンプ130を運転可能とするようなセンサ及び安全回路との、両方を設けてもよい。
(揚げかす回収トレイ)
第1実施形態のフライヤー1では、図15(b)に示すように、各部分トレイ401にフィルター404を設け、吐出口133から吐出される調理油Coから揚げかすDrが分離されるように構成している。それに対して、第2実施形態のフライヤー701では、図26、図27(a)、図28(a)に示すように、各部分トレイ741の内部で、且つ、吐出配管714の吐出口715に対向する位置に、揚げかす回収トレイ750が部分トレイ741と着脱自在に設けられ、吐出口715から吐出される調理油Coから揚げかすDrが分離されるように構成している。
揚げかす回収トレイ750は、図30に示すように、上面が完全に開放された箱体であり、板金をプレス及び折り曲げ加工することにより形成されている。揚げかす回収トレイ750の正面750a、背面750b、左側面750c、右側面750d及び底面750eには、それぞれ矩形開口が形成されており、各矩形開口にパンチングメタルによるフィルター751が取り付けられている(図30では正面750aの.一部を除いてパンチングメタルの穴を省略している)。
また、揚げかす回収トレイ750の正面750aには取手752が取り付けられている。前述したように、吐出配管714を搬送装置200の昇降を妨げない位置である退避位置に移動させたとき、取手752を把持して、部分トレイ741から揚げかす回収トレイ750を引き上げることができ、揚げかす回収トレイ750により調理油Coから分離した揚げかすDrを容易に除去し、揚げかす回収トレイ750を洗浄することができる。洗浄後の揚げかす回収トレイ750は、再度部分トレイ741に取付けられる。
なお、揚げかす回収トレイ750は、パンチングメタルをプレス及び折曲加工して、揚げかす回収トレイ750とフィルター751とを一体のものとして形成してもよく、その場合は、フィルター751を別物として製造する手間を省くことができる。また、揚げかす回収トレイ750は、線材を折り曲げて溶接し、形成してもよく、その場合はフィルター751の面積を大きくすることができ、効率的に調理油Coから揚げかすDrを分離することができる。
なお、フィルター751は、パンチングメタルに限らず、メッシュ状の金網等により形成してもよく、その場合は、パンチングメタルにより実現できない粗さのメッシュをフィルター751とすることができ、より細かな揚げかすDrを調理油Coから分離することができる。
(受流し部)
第1実施形態のフライヤー1では、部分トレイ401からバーコンベヤ210の傾斜搬送部213を搬送される食品Wに対して流れ落とされた調理油Coは、バーコンベヤ210の第1搬送板232及び第2搬送板233を流れ落ち、傾斜搬送部213に沿うように傾斜する油槽100の底面に流れ落ちて、油槽100に充填された調理油Coへと合流する。それに対し、第2実施形態のフライヤー701では、図25に示すように、バーコンベヤ210の傾斜搬送部213の内側に、部分トレイ741から食品Wに対して流れ落とされた調理油Coを受け止め、搬送装置200の上流側に流し戻すための受流し部760が設けられている。以下、受流し部760について説明する。
図25に示すように、受流し部760は、傾斜搬送部213と略平行となるように傾斜して設けた複数の受流し板761と、複数の受流し板761を下方より支える複数の支持棒765により構成されている。
図31(a)に示すように、複数の支持棒765を食品搬送方向と直交する方向に配置し、複数の支持棒765の両端を搬送装置200の一対のフレーム234に溶接している。そして、両端が一対のフレーム234へと溶接されている複数の支持棒765には、複数(例えば3枚)により構成される受流し板761を載置している。
また、図31(b)に示すように、受流し板761の下面には、断面が略L状の長尺の止め具764が食品搬送方向と直交する方向に取り付けられており、この止め具764を支持棒765に係止させることによって、傾斜して設けた受流し板761は食品搬送方向の上流側に滑り落ちることのないように保持されている。
受流し板761の受け面762には穴などは設けられておらず、また、食品搬送方向と直交する方向の両端部には、所定の高さ(例えば11mm)の壁763が設けられている。さらに、食品搬送方向の上流側における受流し板761の幅は、その下流側の幅よりも狭くなるように設定され、食品搬送方向の下流側の受流し板761の幅の狭い端部が上流側に隣接する受流し板761の受面762の幅の広い端部の上に載置されている。
図25に示す部分トレイ741から流れ落とした調理油Coは、食品Wを揚げ調理し、第1搬送板232及び第2搬送板233から流れ落ちた直後に、バーコンベヤ210の傾斜搬送部213の内側に傾斜して設けた受流し板761により受け止められ、傾斜した受け面762を流れ、油槽100に充填された調理油Coに合流する。これにより、部分トレイ741から流れ落とした調理油Coを、傾斜する油槽100の底面まで落下させることなく、可能な限り早く油槽100に充填された調理油Coに合流させることができる。
また、傾斜した受流し板761は、壁763により食品搬送方向に直交する方向に調理油Coが流れ落ちないようにし、また、食品搬送方向に沿って隣接する受流し板761の一部を重ねるように載置しているので、部分トレイ741から流れ落とした調理油を受け止め、最も上流側に位置する受流し板761の一部を油槽100に充填された調理油Coに浸漬している上流側端部から、油槽100に充填された調理油Coへと、確実に円滑に調理油Coを合流させることができる。
これらにより、部分トレイ741から流れ落とした調理油Coを、可能な限り早く、円滑に油槽100に充填された調理油Coに合流させることができ、これにより、調理油Coと大気中の酸素との接触の機会を少なくし、調理油Coの劣化を抑制することができる。
また、部分トレイ741から流れ落とした調理油Coが油槽100に充填された調理油Coに合流するまでの時間を短くし、調理油Coが大気に接触することにより冷却される時間を短くして、調理する食品Wに最適な所定の温度に調理油Coを加熱するためのエネルギーを少なくすることができる。
また、最も上流側に位置する受流し板761の上流側端部の一部は油槽100に充填された調理油Coに浸漬しているので、部分トレイ741から流れ落とした調理油Coが、受流し板761の傾斜に沿って上流側へと流れ、油槽100に充填された調理油へと合流するとき、油面による跳ね返りを少なくすることができ、調理油Coと大気中の酸素とが接触する機会を少なくし、調理油Coの劣化を抑制することができる。
なお、受流し板761の上流側端部の油槽100に充填された調理油Coに浸漬する長さを長くすることにより、油槽100に充填された調理油Coが、食品を揚げ調理したときに食品に吸収される、もしくは加熱よる蒸発などにより減少し、油槽100に充填された調理油Coの油面が低下したとしても、最も上流側に位置する受流し板761の上流側端部の一部を油槽100に充填された調理油Coに浸漬したままとすることができる。
これにより、受流し板761を上流側へと流れた調理油Coが油槽100に充填された調理油へと合流するとき、油槽100に充填された調理油Coの油面が低下していても、油面による跳ね返りを少なくすることができ、調理油Coと大気中の酸素とが接触する機会を少なくし、調理油Coの劣化を抑制することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態のフライヤー801について図32を参照しながら説明する。第1実施形態のフライヤー1では、図1に示すように、底面が水平な3つの部分トレイ401をそれぞれ水平に取り付けるように構成し、吐出口133を食品搬送方向で各部分トレイ401の中央に位置させている。それに対し、第3実施形態のフライヤー801では、底面が傾斜搬送部213に沿って平行な複数(例えば3枚)の部分トレイ841を、各部分トレイ841の下面が同一面を成すように連続して取り付け、吐出口815を食品搬送方向で各部分トレイ841の下流側に寄せて位置させている。
また、各部分トレイ841内側の底面に一定間隔で、部分トレイ841に供給された調理油Coを一時的に貯めた後に、上流側へと調理油Coを流動させる堰842を設けている。隣接する2つの堰842の間には、流下開口403(図示せず)が各部分トレイ841の底面に設けられている。
堰842は、傾斜する部分トレイ841の下流側から供給された調理油Coを一時的に貯めた後に、例えば、堰842からオーバーフローにより流動させる、もしくは堰842の食品搬送方向に直交する方向に隙間を形成し、その隙間から流動させて、上流側へと調理油Coを流動させる。そのため、傾斜する部分トレイ841の流下開口403のうち、最も低い高さ位置から最も高い高さ位置にある流下開口403までの間の、それぞれの流下開口403から、単位時間あたりに流れ落とす調理油Coの量を略同量とすることができる。
そのため、図1と図32を比較してわかるように、第3実施形態の各部分トレイ841の底面から傾斜搬送部213を搬送される食品Wまでの鉛直方向の距離を均一に、且つ、最短にすることで、部分トレイ841から流し落とす調理油Coが大気中の酸素と接触する時間が短くなり、調理油Coの劣化を抑制することができる。
また、各部分トレイ841の底面から傾斜搬送部213を搬送される食品Wまでの鉛直方向の距離を均一にすることで、食品Wに流れ落ちた調理油Coの温度がより均一にすることができる。これにより、食品Wを加熱する調理油Coの温度制御を容易にすることができ、食品Wの仕上がり具合をより緻密に制御することができる。
なお、各実施形態にかかるフライヤーは、本発明の内容の一例を示すものであり、更なる別の公知技術と組み合わせることも可能であるし、各実施形態の組み合わせを変更することも可能である。例えば、第1実施形態に記載のフライヤーに第2実施形態に記載の受流し部を設けたり、第2実施形態に記載のフライヤーに第3実施形態に記載の部分トレイを設けたりしても良い。
また、この例示に限定されることなく、種々の変更が可能である。そして、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは無論である。そうすることにより、調理する食品の種類や調理条件等に合わせてフライヤーの構成を変更し、食品の揚げ調理を開始するまでの時間を短縮するとともに、常に揚げ調理した食品の品質を安定化させることができる上に、食品の揚げ調理中の調理油と大気中の酸素との接触の機会を減らし、調理油の劣化を抑制して、より長期間にわたって同じ調理油により美味しい食品を揚げ調理することができるフライヤーとすることができる。