JP2018087592A - 緩み検出具、緩み検出装置、緩み検出システム - Google Patents
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Abstract
Description
締結体は、例えば、被締結体に伝わる振動や温度や湿度の変化等により、経時的に緩みが生じることが知られている。締結体の緩みは、締結機能の低下に繋がり、破壊や部品脱落等の原因となる。
また、ハンマリングによる検出方法は、締結体に緩みが生じているか否かの判断が、作業者の経験と勘に左右されるため、熟練した作業者でないと判断が難しく、また、熟練した作業者であっても周囲の環境や本人の体調等によっては判断を誤るおそれがあるという問題がある。
また、超音波を用いる方法では、検査精度を確保するために、ボルトの頭部端面と反対側の端面(ネジ側端面)とを精密な平面とする必要があるという問題や、超音波探触子を測定する締結体ごとに一定時間接触させる必要があり、検査に時間がかかるという問題に加えて、検出装置が高額でありコストがかかるという問題がある。
さらに、上述の測定方法では、作業者が対象となる締結体のそばまで行く必要があり、高所等の容易に作業者が近づけない場所に設置された締結体の検査が困難であった。
請求項1の発明は、被締結体(71,72)に対して回転して前記被締結体を締結する締結体(50)の締結の緩みを検出する緩み検出具であって、前記被締結体に設けられ、前記締結体の締結の緩みを検出するための検出用領域部(120)を備える第1部材(100)と、前記締結体と一体となって前記被締結体に対して回転し、前記検出用領域部の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽部(220)を備える第2部材(200)と、を有し、前記第1部材と前記第2部材との相対的な位置が合わせられた初期状態から、前記第2部材が前記第1部材に対して回転すると、前記検出用領域部の前記遮蔽部に遮蔽されない露出部分の面積が増加すること、を特徴とする緩み検出具(10,10−3,10−4)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の緩み検出具において、前記検出用領域部(120)は、前記初期状態では前記遮蔽部(220)に遮蔽され、かつ、前記初期状態から前記第2部材(200)が前記第1部材(100)に対して規定量を超えて回転すると露出する位置に警告表示部(126)を備えること、を特徴とする緩み検出具(10−4)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の緩み検出具において、前記検出用領域部(120)に設けられた第1指標部(125)と、前記遮蔽部(220)に設けられた第2指標部(225)とを有し、前記初期状態から前記第2部材が前記第1部材に対して回転すると、前記第1指標部と前記第2指標部との間の距離(L)が大きくなること、を特徴とする緩み検出具(10−3)である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の緩み検出具(10,10−3,10−4)と、前記締結体(50)に取り付けられた前記緩み検出具を撮像する撮像部(81)と、前記撮像部と通信可能であり、前記撮像部が撮像した画像データを用いて前記被締結体(71,72)に対する前記締結体の規定量を超える緩みの有無を判定する判定部と、を備える緩み検出装置(1)である。
請求項6の発明は、請求項5に記載の緩み検出システムにおいて、前記判定部(82)は、前記画像データから、前記固定部(100)と前記可動部(200)との相対的な位置が合わせられた初期状態から前記可動部が前記固定部に対して回転することによって露出した前記固定部の露出部分の面積を算出し、前記面積と面積基準値との大小関係から、前記被締結体(71,72)に対する前記締結体(50)の規定量を超える緩みの有無を判定する、もしくは、前記面積と基準となる面積との面積比を算出し、前記面積比と面積比基準値との大小関係から、前記被締結体に対する前記締結体の規定量を超える緩みの有無を判定すること、を特徴とする緩み検出システムである。
請求項7の発明は、請求項5に記載の緩み検出システムにおいて、前記固定部(100)は、前記固定部と前記可動部(200)との相対的な位置が合わせられた初期状態において前記可動部に遮蔽され、かつ、前記固定部に対して前記可動部が規定量を超えて回転したときに露出する位置に、警告表示部(126)を備え、前記判定部は、前記画像データから、前記警告表示部が抽出されたか否かによって、前記被締結体(71,72)に対する前記締結体(50)の規定量を超える緩みの有無を判定すること、を特徴とする緩み検出システムである。
請求項8の発明は、請求項5に記載の緩み検出システムにおいて、前記固定部(100)は、固定部側指標(125)を備え、前記可動部は、可動部側指標(225)を備え、前記判定部(82)は、前記画像データから、前記固定部側指標と前記可動部側指標との間の距離(L)を算出し、前記距離と距離基準値との大小関係から、前記被締結体(71,72)に対する前記締結体(50)の規定量を超える緩みの有無を判定すること、を特徴とする緩み検出システムである。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
本明細書中において、記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
図1は、第1実施形態の緩み検出具10を説明する図である。図1(a)は、ボルト50に緩み検出具10が装着された状態での上面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す矢印A1−A2での断面を示す断面図である。
図2は、第1実施形態の緩み検出具10の各部を説明する図である。図2(a)は、緩み検出具10の第2部材200の上面図であり、図2(b)は、図2(a)に示す矢印B1−B2での断面を示す断面図である。図2(c)は、緩み検出具の第1部材100の上面図であり、図2(d)は、図2(c)に示す矢印C1−C2での断面を示す断面図である。
図1(a)において、図中左右方向がX方向であり、図中の右側に向かう方向を+X方向とし、図中上下方向がY方向であり、図中の上側に向かう方向を+Y方向であるとする。また、図1(b)において、厚み方向において第1部材100側から第2部材200側へ向かう方向を+Z方向とする。
本実施形態の緩み検出具10は、一例として、被締結部材71,72を締結するボルト50に取り付けられ、被締結部材71,72とボルト50との相対的な位置ずれ、即ち、ボルト50の締結の緩みを検出するものである例を挙げて説明する。この緩み検出具10は、例えば、橋脚や鉄塔等の建造物、鉄道のレール等において、各部材の締結に用いられるボルト50に適用される。
緩み検出具10は、その厚み方向(Z方向)において、下側(−Z側)から順に、第1部材100、第2部材200を有している。
ボルト50は、金属製の板状の被締結部材71に設けられた貫通孔711に挿入され、金属製の板状の被締結部材72に設けられたネジ穴721と螺合する。ボルト50は、回転中心軸Oを中心として、図1(a)に示す矢印D1方向に回転することにより、被締結部材71,72の締結を開放し、矢印D2方向に回転することにより被締結部材71,72を締結する。
このボルト50は、図1(b)に示すように、被締結部材71,72を締結した状態で、ボルト50の頭部51の底面51bで被締結部材71に着座している。
第1部材100は、厚み方向において−Z側に位置する板状の部材であり、円形状の開口部111を有する円形状の環状部110と、環状部110の外周側面から径方向に沿ってXY平面内の一方向に延びた略三角形状の検出用領域部120とを有する部材である。開口部111の径は、ボルト50の頭部51の外接円径よりも十分に大きい。
第1部材100は、緩み検出具10の使用時には、被締結部材71に、その底面100bに形成された不図示の接合層を介して接合される。本実施形態では、第1部材100の被締結部材71側となる底面100bに、第1部材100を被締結部材71に接合する不図示の接合層が形成されており、緩み検出具10の供給時には、この接合層に剥離可能な剥離紙等の剥離部材が積層されている。この接合層は、耐候性を有する接着剤や粘着剤により形成されることが好ましい。
なお、これに限らず、第1部材100の底面100bに接合層や剥離部材を設けず、取り付け作業時に、底面100bに接着剤等を塗布して、緩み検出具10を被締結部材71に接合してもよい。
第2部材200は、ボルト50の頭部51に第2部材200を着脱可能に取り付ける取り付け部210と、取り付け部210の外周側面から径方向に沿ってXY平面内の一方向に延びた略三角形状の遮蔽部220とを有している。
本実施形態では、厚み方向(Z方向)から見た第2部材200の外形は、第1部材100と同様の略雫形状である。
本実施形態の取り付け部210の外径は、第1部材100の環状部110の外径に等しいが、これに限らず、第1部材100の環状部110の外径より大きくてもよいし、小さくてもよい。また、取り付け部210は、ボルト50の頭部51に取り付けされた状態で、その被覆部213で頭部51を被覆している。
穴部211は、その内周面に、周方向に凹凸が繰り返される凹凸形状212を有している。この凹凸は、例えば、内歯歯車状としてもよいし、複数の切り欠きにより形成される形状としてもよい。
なお、凹凸形状212の凹凸のピッチ角は、小さいほど好ましいが、小さすぎるとボルト50の頭部51への取り付けが困難となったり、凹凸形状の形成が困難となったりする。したがって、凹凸のピッチ角は、上記の点を鑑みながら適宜設定してよい。
本実施形態では、第2部材200は、遮蔽部220の方が、取り付け部210よりも、厚さ(Z方向の寸法)が小さい形状となっているが、同じ厚さとしてもよい。
また、本実施形態の遮蔽部220は、第2部材200の厚み方向(Z方向)において、穴部211の開口端側(−Z側)に位置し、その底面200bが平面状で有る例を挙げて説明しているが、これに限らず、例えば、被覆部213側(+Z側)に位置し、上面200aが平面状である形態としてもよいし、遮蔽部220の第2部材200の厚み方向における位置は、適宜選択して設けてよい。
この遮蔽部220は、図1(a)等に示すように、厚み方向(Z方向)から見て、前述の第1部材100の検出用領域部120と同形状であって、検出用領域部120を遮蔽可能である。
また、第1部材100と第2部材200とは、同じ色でもよいし、両者を判別しやすくするために、その色(特に、上面100a,200aの色)を異ならせてもよい。
緩み検出具10は、仮止めされた状態において、厚み方向から見て、図1(a)等に示すように、その外形が略雫形状であり、第1部材100が第2部材200に被覆され、視認不可能である。また、このとき、厚み方向(Z方向)から見て、穴部211の円の中心と、開口部111の円の中心とは一致しており、遮蔽部220の先端部221と検出用領域部120の先端部121とが一致している。
図3は、第1実施形態の緩み検出具10について、ボルト50に緩みが生じていない状態(初期状態)と、緩みが生じた状態とを示す図である。
図3(a)は、ボルト50に緩みが生じていない状態での緩み検出具10を示し、図3(b)では、ボルト50が締結を開放する方向(矢印D1方向)へ許容量(規定量)以上回転した状態での緩み検出具10を示している。図3(a),(b)はいずいれも、ボルト50の回転中心軸O方向(Z方向)から見た様子を示している。
図4は、第1実施形態の緩み検出装置1を説明するブロック図である。
図5は、第1実施形態の緩み検出システムにおける緩み検出方法(手順)のフローチャートを示す図である。
図4に示すように、本実施形態の緩み検出装置及び緩み検出システムは、緩み検出具10、撮像部81、CPU(Central Processing Unit)82、管理サーバ83、入力部84、表示部85等を備えている。
この撮像部81は、不図示のメモリを内部に備え、撮像した緩み検出具10の画像データやCPU82との通信で得た各種情報をそのメモリに記録可能及び読み出し可能としてもよい。また、撮像部81は、情報を入力可能な撮像部側入力部や、撮影対象となる緩み検出具10を照明する照明部等を備えていてもよい。
なお、この飛行体は、飛行体と有線又は無線通信可能な不図示の飛行装置により操縦可能としてもよいし、後述するCPU82と飛行体とが無線通信可能であり、CPU82の指示により操縦可能としてもよい。
表示部85は、CPU82の処理結果や、撮像部81の撮像した画像データ等を表示可能なディスプレイである。
本実施形態の緩み検出装置1は、これらに加えて、警告音や音声案内等を発する音声部等を備えていてもよい。
次に、作業者は、第1部材100と第2部材200とが積層され、遮蔽部220の先端部221と検出用領域部120の先端部121との位置を合わせた状態で仮止めされた緩み検出具10を用意する。作業者は、第1部材100の底面100bに設けられた不図示の剥離部材を剥離し、第1部材100の開口部111及び第2部材200の穴部211の位置を、ボルト50の頭部51に合わせ、開口部111及び穴部211に頭部51を挿入し、穴部211に頭部51を嵌合させる。また、このとき、作業者は、第1部材100の底面100bに形成された不図示の接合層を介して、緩み検出具10を被締結部材71に接合する。
図3(b)に示すように、ボルト50が開放方向(矢印D1方向)に回転すると、第2部材200もボルト50と一体となって回転する。そのため、遮蔽部220に遮蔽されていた検出用領域部120が第2部材200の回転量に応じて露出する。
なお、これに限らず、ボルト50等に付された識別番号等の情報は、予め、管理サーバ83に記憶されており、作業者は、それらを呼び出して、入力部84から入力された締結作業を行った日時、作業者等の情報を入力し、CPU82がこれらを紐付けして、管理サーバ83に記憶する形態としてもよい。
そして、CPU82は、不図示のメモリに予め記憶された、検出用領域部120の露出部分を抽出してその面積を算出するためのプログラムを呼び出し、画像データから、検出用領域部120の露出部分を抽出し、その面積を算出する(S13)。
算出した検出用領域部120の面積が基準値以下である場合、CPU82は、対象のボルト50が開放方向に回転していない又は開放方向への回転は許容量内であり、ボルト50の緩みがない又は緩みが許容量内である、即ち、許容量を超える緩みなしと判定する(S15)。
算出した検出用領域部120の面積が基準値より大きい場合、CPU82は、対象のボルト50が許容量を超えて開放方向に回転しており、ボルト50の緩みが許容量を超えている、即ち、許容量を超える緩みありと判定する(S16)。
そして、作業者は、遮蔽部220の先端部221が検出用領域部120の先端部121と一致するように位置合わせを行って、第2部材200を頭部51に装着してもよいし、古い第1部材100を被締結部材71から剥離し、新しい緩み検出具10をボルト50に装着してもよい。
検査対象となるボルト50が複数ある場合には、CPU82は、ボルト50ごとに緩み検出具10の撮像及び許容量を超える緩みの有無の判定を行ってもよいし、複数の緩み検出具10の撮像を行った後に、各緩み検出具10について許容量を超える緩みの有無の判定を順次行ってもよい。
緩み検出具10の脱落等によるボルト50の緩みの見落としを防止するために、検出用領域部120が画像データから抽出されなかった場合には、例えば、CPU82は、画像データから遮蔽部220を抽出し、遮蔽部220が抽出されれば脱落が生じていないと判断し、ボルト50に緩みが生じていない(許容量を超える緩みなし)と判定する。また、遮蔽部220が抽出されなければ、緩み検出具10が脱落していると判断し、締結の確認及び緩み検出具10の再設置が必要であると判定する。そして、判定結果を表示部85に表示し、判定結果と検査日時や該当するボルト50の識別番号等とを紐付けし、管理サーバ83に記憶する形態としてもよい。
なお、撮像された画像データから検出用領域部120が抽出されなかった場合のCPU82の処理は、上記に限定されるものではない。
また、本実施形態によれば、CPU82により、検出結果や作業日時、作業者、ボルト50や被締結部材71,72等のデータ管理を行うことができるので、検査結果の記入忘れや改ざん等を防止できる。
また、作業者が目視できない箇所や容易に近づけない箇所(例えば、高所や、有毒な気体等が存在するプラント内部や原子力発電所内)等に関しても、作業者の安全を確保しながら、ボルトの緩みの有無を容易にかつ安定して行うことができる。
また、撮像部81は、車両や飛行体等に設置可能であるので、例えば、離れた位置から広範囲に設けられた検査対象となるボルト50を一度に撮像したり、一定間隔で長距離にわたって配置された検査対象となるボルト50を移動しながら連続して撮像したりすることが可能であり、検査作業の大幅な効率改善を図ることができる。
図6は、第2実施形態の緩み検出システムにおける緩み検出方法(手順)のフローチャートを示す図である。
第2実施形態では、第1実施形態と同様の緩み検出具10及び緩み検出装置1を用いている。また、第2実施形態の緩み検出システムでは、CPU82が、許容量(規定量)を超えるボルト50の緩みの有無を、検出用領域部120の露出した部分の面積と基準面積との面積比によって判定している点が前述の第1実施形態とは異なる。
したがって、本実施形態では、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。なお、後述する第3実施形態、第4実施形態においても、同様に、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態では、検出用領域部120の露出部分の面積を算出した後に、CPU82は、予めCPU82の不図示のメモリや管理サーバ83等に記憶されていた基準面積(基準となる面積)を呼び出し、算出した検出用領域部120の露出部分の面積と基準面積(基準となる面積)との面積比を算出する(S24)。
この基準面積は、本実施形態では、検出用領域部120全体の面積である。なお、これに限らず、基準面積は、例えば、第1部材100の上面100aの面積や、遮蔽部220の面積、第2部材200の上面200aの面積等としてもよい。また、基準面積は、第2部材200の面積や遮蔽部220の面積を、画像データからCPU82が算出して用いてもよい。
面積比が基準値以下である場合、CPU82は、ボルト50の緩みがない又は緩みが許容量内である(許容量を超える緩みなし)と判定する(S26)。また、面積比が基準値より大きい場合、CPU82は、ボルト50の緩みが許容量を超えている(許容量を超える緩みあり)と判定する(S27)。
以降のCPU82の処理(S28)は、第1実施形態のS17以降と同様である。また、以降の作業者の作業等も、第1実施形態と同様である。
このような形態としても、前述の第1実施形態と同様に、ボルト50の締結の許容量を超える緩みを安定して、確実に検出することができる。
図7は、第3実施形態の緩み検出具10−3及び緩み検出システムにおける緩み検出方法(手順)のフローチャートを示す図である。図7(a)では、ボルト50及び第2部材200が開放方向(矢印D1方向)に許容量を超えて回転した状態での緩み検出具10−3の上面図を示している。また、図7(b)は、第3実施形態の緩み検出システムのフローチャートを示している。
図7(a)に示すように、第3実施形態の緩み検出具10−3は、検出用領域部120に指標125が設けられ、遮蔽部220に指標225が設けられている点が、前述の第1実施形態の緩み検出具10とは異なる。
第3実施形態の緩み検出装置は、前述第1実施形態の緩み検出装置1と同様である。
第3実施形態の緩み検出システムでは、CPU82が、撮像された画像データから第1部材100と第2部材200とに設けられた指標125,225間の距離Lに基づいてボルト50の緩みを判定する点が、前述の第1実施形態とは異なる。
この指標125,225は、凹部又は凸部としてもよいし、他の部分とは色が異なる印等としてもよい。また、厚み方向(Z方向)から見た指標125,225の形状は、図7(a)では、一例として三角形形状としたが、これに限らず、円形形状や四角形形状等としてもよいし、文字や記号等としてもよい。また、この指標125,225は、検出用領域部120、遮蔽部220の先端部121,221以外に設けてもよい。
第3実施形態では、画像処理を行った後、CPU82は、撮像部81が撮像した緩み検出具10の画像データから、指標125及び指標225を抽出し、2つの指標間の距離Lを算出する(S33)。距離Lは、図7に示すように、回転中心軸Oを中心とする回転方向における距離としてもよいし、2つの指標間の直線距離としてもよい。
次に、CPU82は、予め管理サーバ83又はCPU82内の不図示のメモリ等に記憶された基準値(距離基準値)を呼び出し、算出した距離Lが基準値(距離基準値)以下か否かを判定する(S34)。ここでの基準値は、ボルト50の緩みが許容量の上限である場合の指標125,225間の距離である。
また、指標125,225間の距離Lが基準値よりも大きい場合、CPU82は、ボルト50の緩みが許容量を超えている(許容量を超える緩みあり)と判定する(S36)。
以降のCPU82の処理(S37)は、第1実施形態のS17以降と同様であり、作業者の作業等も、第1実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、指標125,225間の距離Lを用いて緩みの判定を行ったが、これに限らず、例えば、指標125,225間の回転中心軸Oを中心とする角度を用いて緩みを判定する形態としてもよい。
図8は、第4実施形態の緩み検出具10−4及び緩み検出システムにおける緩み検出方法(手順)のフローチャートを示す図である。図8(a)では、ボルト50及び第2部材200が、開放方向(矢印D1方向)に許容量を超えて回転した状態での緩み検出具10−4の上面図を示している。また、図8(b)は、第4実施形態の緩み検出システムのフローチャートを示している。
第4実施形態の緩み検出具10−4は、図8(a)に示すように、ボルト50が許容量を超えて回転した場合に、第1部材100の検出用領域部120に設けられた警告表示126が露出する点が、前述の第1実施形態とは異なる。
第4実施形態の緩み検出装置は、前述の第1実施形態の緩み検出装置1と同様である。
第4実施形態の緩み検出システムでは、CPU82が、撮像部81が撮像した画像データから、警告表示126を抽出したか否かに基づいて、ボルト50の許容量を超える緩みの有無を判定する点が、前述の第1実施形態とは異なる。
警告表示126は、第1部材100及び第2部材200とは異なる色で形成されていることが、画像データから警告表示126を抽出しやすくする観点から好ましい。また、警告表示126に、ボルト50の緩みが許容量を超えていることを示す文字やマーク等を設けてもよい。また、警告表示126は、例えば、検出用領域部120の他の部分よりも、厚みが大きい又は小さくてもよいし、凹凸形状等が設けられていてもよい。
第4実施形態において、画像処理を行った後に、CPU82は、撮像部81が撮像した緩み検出具10−4の画像データから、第1部材100の検出用領域部120に設けられた警告表示126の抽出を試みる(S43)。
警告表示126が抽出されない場合、CPU82は、ボルト50の緩みがない又は緩みが許容量内である(許容量を超える緩みなし)と判定する(S44)。
また、警告表示126が抽出された場合、CPU82は、ボルト50の緩みが許容量を超えている(許容量を超える緩みあり)と判定する(S45)。
以降のCPU82の処理(S46)は、第1実施形態のS17以降と同様であり、作業者の作業等も、第1実施形態と同様である。
なお、本実施形態において、ボルト50の開放方向への回転量(緩み量)が許容量内であるが許容量の上限に近い場合に露出する注意表示を、警告表示126の締結方向側の隣接する領域に、さらに設けてもよい。この注意表示は、ボルト50の緩みが許容量内であるが大きいことを表示する。注意表示の色は、警告表示126や他の検出用領域部120、遮蔽部220とは異なることが、画像データから注意表示や警告表示126を抽出しやすくする観点から好ましい。そして、CPU82が、注意表示を抽出した際には、ボルト50の緩みが許容量内であると判定し、さらに、緩みが大きく注意が必要であることを表示部85に表示する等の処理を行うようにしてもよい。
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、厚み方向(Z方向)から見た検出用領域部120及び遮蔽部220の形状や取り付け部210の形状は、例えば、以下のような形態としてもよい。
図9及び図10は、変形形態の緩み検出具を示す図である。図9(a),(b)では、ボルトが許容量を超えて緩んだ状態での変形形態の緩み検出具の上面図を示し、図9(c)、図10では、初期状態での変形形態の緩み検出具の上面図を示している。
例えば、図9(a)に示すように、検出用領域部120と遮蔽部220とは、突出方向の寸法が幅よりも大きい矩形形状(所謂、縦長の矩形形状)としてもよい。このような形態とする場合には、検出用領域部120と環状部110との接続部分の幅、遮蔽部220と取り付け部210との接続部分の幅が、前述の第1実施形態等よりも狭くなり、ボルト50の開放方向への回転量がより小さい量(角度)で、検出用領域部120の露出面積が飽和する。そのため、この変形形態の緩み検出具は、緩みの許容量(回転角度)が小さいボルト50に好適である。
また、図9(c)に示すように、検出用領域部120は、その面積が遮蔽部220の面積よりも大きく、初期状態において検出用領域部120の一部が露出する形態や、遮蔽部220が回転方向において非対称な形状としてもよい。
なお、上記の例に限らず、第1部材100が、厚み方向(Z方向)から見て非対称な形状(例えば、回転方向における開放方向側が大きく突出している形状)としてもよい。また、第1部材100及び第2部材200は、上述の各形状を適宜組み合わせた形状としてもよい。
したがって、例えば、緩みを検出し、ボルトに第2部材200を装着したまま増し締めした際に、第2部材200を当初の初期位置に正確に戻すことができない場合にも、十分に検出用領域を覆うことができる。
また、図10(c)に示しように、第2部材200は、取り付け部210の穴部211が貫通孔であり、装着時に頭部51が露出する形態としてもよい。このような形態とすれば、例えば、ボルトの軸部52が突出している状態のナットに緩み検出具10,10−3,10−4を取り付ける場合等にも好適に使用できる。
直線方向の位置ずれを検出するものとすれば、例えば、電車等の各種乗り物や、室内外の仕切り扉として用いられるスライドドアの開閉を検出する検出具、検出装置及び検出システムとして用いることができる。
また、被締結部材71,72に対する締結体であるボルト50の緩み(回転方向の位置ずれ)を検出する例に限らず、各実施形態に示した緩み検出具、緩み検出装置、緩み検出システムを、一方の部材に他方の部材が回転可能であるもの(例えば、レバーを回転させて開閉する蛇口や、スクリュー式の蓋等)に対して、回転方向の位置ずれ(開栓の有無)を検出するものに適用してもよい。
また、各実施形態において、穴部211は、厚み方向(Z方向)から見て、ボルト50の頭部51の外接円を同じとする六角形形状としてもよい。
ボルト50の頭部51に第2部材200を着脱可能に取り付け、かつ、ボルト50と第2部材200とが一体となって回転するための抜け止め形状については、上述の例に限らず、適宜採用してよい。例えば、取り付け部210をゴム等の可撓性を有する材料により形成し、頭部51を穴部211に圧入し、摩擦により頭部51と第2部材200とを一体に保持してもよい。
また、各実施形態において、第1部材100は、樹脂製や紙製のシート状の部材の片面に接合層が形成されたシール部材を用いてもよいし、被締結部材71にスタンプや塗装、印刷等で直接描画されて形成されてもよい。
また、各実施形態において、第1部材100と第2部材200とは、個々に供給され、個々に対象となる被締結部材71やボルト50に装着する形態としてもよい。
アダプタ部は、略円筒形状又は有底の円筒形状であって、開口部にボルト50の頭部51が嵌合する。開口部は、頭部51の外形に合わせて六角形や円形となっており、開口部に頭部51を圧入して装着可能である。また、アダプタ部は、外周側に、周方向に凹凸が繰り返される凹凸形状を有している。この凹凸形状は、第2部材200の穴部211の凹凸形状212と嵌合する。
このようなアダプタ部を備えることにより、穴部211の凹凸形状212の凹凸のピッチ角が小さくなっても、ボルト50への取り付けが可能である。
10,10−3,10−4 緩み検出具
100 第1部材
110 環状部
120 検出用領域部
125 指標
200 第2部材
210 取り付け部
220 遮蔽部
225 指標
81 CPU
82 撮像部
83 管理サーバ
84 入力部
85 表示部
Claims (8)
- 被締結体に対して回転して前記被締結体を締結する締結体の締結の緩みを検出する緩み検出具であって、
前記被締結体に設けられ、前記締結体の締結の緩みを検出するための検出用領域部を備える第1部材と、
前記締結体と一体となって前記被締結体に対して回転し、前記検出用領域部の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽部を備える第2部材と、
を有し、
前記第1部材と前記第2部材との相対的な位置が合わせられた初期状態から、前記第2部材が前記第1部材に対して回転すると、前記検出用領域部の前記遮蔽部に遮蔽されない露出部分の面積が増加すること、
を特徴とする緩み検出具。 - 請求項1に記載の緩み検出具において、
前記検出用領域部は、前記初期状態では前記遮蔽部に遮蔽され、かつ、前記初期状態から前記第2部材が前記第1部材に対して規定量を超えて回転すると露出する位置に警告表示部を備えること、
を特徴とする緩み検出具。 - 請求項1又は請求項2に記載の緩み検出具において、
前記検出用領域部に設けられた第1指標部と、前記遮蔽部に設けられた第2指標部とを有し、
前記初期状態から前記第2部材が前記第1部材に対して回転すると、前記第1指標部と前記第2指標部との間の距離が大きくなること、
を特徴とする緩み検出具。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の緩み検出具と、
前記締結体に取り付けられた前記緩み検出具を撮像する撮像部と、
前記撮像部と通信可能であり、前記撮像部が撮像した画像データを用いて前記被締結体に対する前記締結体の規定量を超える緩みの有無を判定する判定部と、
を備える緩み検出装置。 - 被締結体に対して回転して前記被締結体を締結する締結体の締結の緩みを検出する緩み検出システムであって、
前記被締結体に設けられる固定部と、
前記固定部の少なくとも一部を遮蔽し、前記締結体と一体となって前記被締結体に対して回転する可動部と、
前記固定部及び前記可動部を撮像する撮像部と、
前記撮像部と通信可能であり、前記撮像部が撮像した画像データを用いて、前記被締結体に対する前記締結体の規定量を超える緩みの有無を判定する判定部と、
を備える緩み検出システム。 - 請求項5に記載の緩み検出システムにおいて、
前記判定部は、
前記画像データから、前記固定部と前記可動部との相対的な位置が合わせられた初期状態から前記可動部が前記固定部に対して回転することによって露出した前記固定部の露出部分の面積を算出し、
前記面積と面積基準値との大小関係から、前記被締結体に対する前記締結体の規定量を超える緩みの有無を判定する、もしくは、
前記面積と基準となる面積との面積比を算出し、前記面積比と面積比基準値との大小関係から、前記被締結体に対する前記締結体の規定量を超える緩みの有無を判定すること、
を特徴とする緩み検出システム。 - 請求項5に記載の緩み検出システムにおいて、
前記固定部は、前記固定部と前記可動部との相対的な位置が合わせられた初期状態において前記可動部に遮蔽され、かつ、前記固定部に対して前記可動部が規定量を超えて回転したときに露出する位置に、警告表示部を備え、
前記判定部は、前記画像データから、前記警告表示部が抽出されたか否かによって、前記被締結体に対する前記締結体の規定量を超える緩みの有無を判定すること、
を特徴とする緩み検出システム。 - 請求項5に記載の緩み検出システムにおいて、
前記固定部は、固定部側指標を備え、
前記可動部は、可動部側指標を備え、
前記判定部は、前記画像データから、前記固定部側指標と前記可動部側指標との間の距離を算出し、前記距離と距離基準値との大小関係から、前記被締結体に対する前記締結体の規定量を超える緩みの有無を判定すること、
を特徴とする緩み検出システム。
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