JP2005003658A - ボルトの緩み点検方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造物を締結するボルトの緩み点検において、点検時間の短縮が図れ、点検コストが低減できる、ボルト緩み点検方法を提供する。
【解決手段】構造物を締結するボルトの緩み点検において、予めボルト締結時にボルトおよびボルト取付け部の鋼材に耐候性に優れた塗料などでマーキングを施して、ボルトの緩み点検時に、地上から撮像した構造物の画像から、ボルト部を拡大して、ボルトに施したマーキングとボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線のずれによって被検査対象ボルトの緩みの判定を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトにて締結して成る構造物のボルトの緩みを点検する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、人手によるボルトの緩み点検方法は、ハンマーによってボルト頭部に衝撃を加え、その打撃音の変化を聞き分けることによる点検方法およびボルトを再度締め付けてチェックする方法などで行われていた。
【0003】
また、鉄道分野では、鉄道車両のボルト緩み点検方法として、予め被検査対象となる全てのボルトに対し、照明手段によって照明されたボルト部の画像を撮像し、この画像を用いて正常締結状態におけるボルトの輪郭を形成する直線の基準軸に対する傾き、あるいはボルト頭部に設けられた基準マークの傾き角度などの情報を抽出して、各ボルト毎に記憶し、ボルトの緩み検査時には、正常締結状態における該当ボルトの情報を検索し、画像より抽出した締結状態の情報との比較を行うことによりボルト緩み点検が行われている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
【特許文献1】
特開平8−278116号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の人手による従来の方法では、作業員が構造物に昇り、各ボルトごとに点検作業を行わなければならないため、時間と労力がかかっていた。また、高所作業になるため危険であり、例えば、鉄塔などの塔状鋼構造物では、山岳部など、人が容易に入り込めない位置に多数点在して建設されており、検査作業は大変であった。
【0006】
また、鉄道車両のボルト緩み点検に用いられる方法では、予めボルト正常締結状態の情報を抽出し、記憶しておくため、建設場所が多数点在し、高所作業を伴う構造物の場合は、予め正常締結状態の情報を得るには時間と労力がかかり、また、記憶しておくデータが膨大となることから、管理が難しいという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題に鑑みてなされたものであり、構造物を締結するボルトの緩み点検において、予めボルト締結時にボルトおよびボルト取付け部の鋼材に耐候性に優れた塗料などでマーキングを施し、ボルトに施したマーキングの線とボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線が繋がって1本の線となるようにし、ボルトの緩み点検時に、地上から撮像した構造物の画像を用いて、ボルト締結部を拡大し、ボルトに施したマーキングとボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線のずれによって被検査対象ボルトの緩みの判定を行うことを特徴とする。
【0008】
また、前記地上から撮像した構造物の画像において、鋼材の劣化度評価を行う画像処理プログラムを用いて、鋼材の劣化度評価とボルト緩み点検を同時に判定することを特徴とする。
構造物を撮像した画像を鋼材の劣化度評価を行う画像処理プログラムを用いて、画像処理を行う。画像処理プログラムにより評価された結果は、劣化度評価ごとに異なる色で着色して示される。この時、マーキングの色は前記画像処理プログラムで識別できる色、かつ劣化度評価ごとに示される色と異なる色を用いる。ボルトに施したマーキングの線とボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線が繋がって1本の線になっていればボルトの緩みはなく、ボルトに施したマーキングの線の色とボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線の色との間に劣化度評価により着色された色が存在すればボルトの緩みがあることを示す。
【0009】
また、ボルトおよびボルトが取付く鋼材に施すマーキングは、シールにより形成され、ボルトの緩みが発生するとシールが切れることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明におけるボルト緩み点検方法の実施例の流れを示す。ボルトの緩み点検方法は、締結ボルトのマーキング1、ボルト取付け鋼材のマーキング2、画像の撮像3、および画像データの解析4の4つのステップにより行う。
締結ボルトのマーキング1、ボルト取付け鋼材のマーキング2の2つのステップはボルトの緩み点検に先立って行い、構造物建設時などのボルト締結状態が正常締結状態である時に行う。
画像の撮像3、画像データの解析4の2つのステップは、ボルトの緩み点検時に行う。
【0012】
締結ボルトのマーキング1のステップでは、ボルトにより締結して成る構造物の締結ボルトに耐候性に優れた塗料などでマーキング5を行う。マーキングは線状のマークを施し、例えば、図2に示すように1本の線、あるいは図3に示すように2本の線を十字の形にしてマーキングを施す。
【0013】
ボルト取付け鋼材のマーキング2のステップは、図2および図3に示すようにボルトが取付く箇所の鋼材に耐候性に優れた塗料などでマーキング6を行う。マーキングは締結ボルトに施したマーキングと同様に線状のマークとし、締結ボルトのマーキングの線とボルト取付け部鋼材のマーキングの線は、繋がって1本の線となるようにする。
【0014】
画像の撮像のステップ3は、ボルトおよびボルト取付け部の鋼材にマーキングを施した構造物を地上より撮像する。
【0015】
画像データの解析4のステップは、画像の撮像のステップで撮像した画像を用いて、図6に示すように画像のボルト部を拡大し、ボルトに施したマーキングの線とボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線が図2および図3に示す正常締結状態と同じように繋がっていればボルトの緩みはなく、ボルトに施したマーキングの線とボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線が図4および図5に示すようにずれて1本の繋がった線になっていなければボルトの緩みがあることを示す。
【0016】
また、画像データの解析のステップ時に、例えば、特許3013301、特開2002−09030のような鋼材の劣化度評価を行う画像処理プログラムを用いると、鋼材の劣化度評価とボルト緩みを同時に判定することができる。劣化度評価を行う画像処理プログラムにより評価された結果は、劣化度評価ごとに異なる色で着色して示される。そのため、マーキングの色は前記画像処理プログラムで識別できる色かつ劣化度評価ごとに示される色と異なる色を使用する。
鋼材の劣化度評価を行う画像処理プログラムにより、例えば図6に示す撮像した画像を処理した場合、図7に示す処理結果が出力される。図7に示すような処理結果より、ボルトに施したマーキングの線とボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線が繋がって1本の線になっていればボルトの緩みはなく、ボルトに施したマーキングの線の色とボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線の色との間に劣化度評価により着色された色が存在すればボルトの緩みがあることを示す。
【0017】
また、マーキングは耐候性に優れた塗料以外に図8に示すように、シール8によりマーキングを施すことができる。マーキングにシール8を用いた場合、ボルトに緩みが発生すると図9に示すようにボルトとボルト取付け部の鋼材の境でシール8が切れるようになっており、構造物を撮像した画像を用いて、画像のボルト部を拡大し、ボルトとボルト取付け部の鋼材に施したマーキングのシール8が繋がっていればボルトの緩みはなく、ボルトとボルト取付け部の鋼材に施したマーキングのシール8がボルトとボルト取付け部の鋼材の境でシール8が切れていれば、ボルトの緩みがあることを示す。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明した手順で行うことにより、以下に記載するような効果を奏する。
【0019】
ボルトの緩み点検に先立って、予めボルトの正常締結状態の情報を記録しておく必要がないため、建設場所が多数点在する構造物の場合などでは、従来の方法と比べて点検時間の短縮が図れ、点検コストが低減できる。
また、ボルトの正常締結状態の情報を記録する必要がなく、ボルトの緩み点検結果だけを管理すればよいため、データの管理が容易になる。
【0020】
従来の人手によるボルトの緩み点検方法では、作業員が構造物に昇り、各ボルトごとに点検作業を行っていたが、本発明のボルトの緩み点検方法では、地上から撮像した画像を用いて、ボルトの緩み点検を行うため、構造物へ昇って各ボルトごとの点検作業を行わなくてよく、点検時間の短縮と省力化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボルト緩み点検方法の流れ
【図2】ボルトおよびボルト取付け部の鋼材に1本の線でマーキングを施した場合の斜視図
【図3】ボルトおよびボルト取付け部の鋼材に2本の線を十字の形でマーキングを施した場合の斜視図
【図4】1本の線でマーキングを施した場合のマーキングのずれ
【図5】2本の線を十字の形でマーキングを施した場合のマーキングのずれ
【図6】ボルト締結部の拡大図の例
【図7】鋼材の劣化度評価を行う画像処理プログラムの処理結果の例
【図8】シールによるマーキング
【図9】シールによるマーキングのずれ
【符号の説明】
1 締結ボルトのマーキングのステップ
2 ボルト取付け部の鋼材のマーキングのステップ
3 画像の撮像のステップ
4 画像データの解析のステップ
5 締結ボルトのマーキング
6 ボルト取付け部の鋼材のマーキング
7 ボルト
8 シール

Claims (3)

  1. 構造物を締結するボルトの緩み点検において、予めボルト締結時に、ボルトおよびボルト取付け部の鋼材に耐候性に優れた塗料などでマーキングを施すこと、前記マーキングは、ボルトに施したマーキングの線とボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線が繋がって1本の線となるようにすること、ボルトの緩み点検時に、地上から撮像した構造物の画像を用いて、ボルト締結部を拡大し、ボルトに施したマーキングとボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線のずれによって被検査対象ボルトの緩みの判定を行うことを特徴とするボルト緩み検査方法。
  2. 請求項1記載の地上から撮像した構造物の画像において、鋼材の劣化度評価を行う画像処理プログラムを用いて、撮像した画像の画像処理を行い、前記画像処理プログラムにより評価された結果は、劣化度評価ごとに異なる色で着色して示すこと、マーキングの色は前記画像処理プログラムで識別できる色かつ劣化度評価ごとに示される色と異なる色を用い、ボルトに施したマーキングの線とボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線が繋がって1本の線になっていればボルトの緩みはなく、ボルトに施したマーキングの線の色とボルト取付け部の鋼材に施したマーキングの線の色との間に劣化度評価により着色された色が存在すればボルトの緩みがあることを示すことで、鋼材の劣化度評価とボルト緩み点検を同時に判定することを特徴とするボルト緩み検査方法。
  3. 請求項1または請求項2において、前記ボルトおよびボルト取付け部の鋼材に施すマーキングは、シールにより形成され、ボルトの緩みが発生するとシールがボルトとボルト取付け部の鋼材の境で切れることを特徴とするボルト緩み点検方法。
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