JP2010281697A - 位置ずれ検出具、位置ずれ検出装置、位置ずれ検出システム、弛み検出具、弛み検出装置、弛み検出システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被締結部材510,520に固定されるリング部材20と、ボルト100と一体となって被締結部材510,520に対して回転移動するキャップ部材30とを有し、一方が、リーダライタ50と非接触通信可能なICタグ35を備え、他方が、ICタグ35の通信を遮断する導体片23を備える弛み検出具10とした。この弛み検出具10は、リング部材20に対してキャップ部材30が、規定量以上回転移動すると、ICタグ35とリーダライタ50との通信の可否が変化する。これを検出することにより、ボルト100の弛みを検出する弛み検出装置、弛み検出システムとした。
【選択図】図2
Description
そこで、締結体の経時的な弛み(軸力の低下)を検出する方法として、例えば、被締結体と締結体とにペンキ等により印を付けておき、目視検査によって両者間の印のズレから回転弛みを検出する方法や、ハンマで締結体又は締結体付近の被締結体を叩き、その打音によって作業者が弛みを判断する方法(ハンマリング)等がある。
また、特許文献1に示すような、歪ゲージを測定対象の締結体に貼付して軸力を測定し、弛みを検出する方法や、特許文献2に示すように、超音波を用いてボルトの軸力を測定する方法等も知られている。
ハンマリングによる検出方法は、弛みが生じているか否かの判断が、作業者の経験と勘に左右されるため、熟練した作業者でないと判断が難しく、また、熟練した作業者であっても周囲の環境や本人の体調等によっては判断を誤るおそれがあるという問題がある。
また、超音波を用いる方法では、検査精度を確保するために、ボルトの頭部端面と反対側の端面(ネジ側端面)とを精密な平面とする必要があるという問題や、超音波探触子を測定する締結体ごとに一定時間接触させる必要があり、検査に時間がかかるという問題に加えて、検出装置が高額でありコストがかかるという問題がある。
請求項1の発明は、固定部材(510,520)と、前記固定部材に対して相対移動可能な可動部材(100)との相対的な位置ずれの検出に用いられる位置ずれ検出具であって、前記固定部材に固定され、不導体により形成される第1部材(20)と、前記可動部材と一体となって前記固定部材に対して相対移動し、前記相対移動の移動方向に対して垂直な方向であって前記第1部材に対応する領域に配置され、不導体により形成される第2部材(30)と、を有し、前記第1部材と前記第2部材とのいずれか一方が、外部機器と非接触通信可能な検出用ICタグ(35)を備え、他方が、導体であって前記検出用ICタグの通信を遮断する遮断材(23,26,28)を備え、前記第1部材と前記第2部材との相対的な位置が合わせられた初期状態から、前記第2部材が前記第1部材に対して規定量以上相対移動すると、前記相対移動の移動方向に対して垂直な方向から見て、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域内に位置する状態から前記遮断材の領域外に位置する状態へ、又は、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域外に位置する状態から前記遮断材の領域内に位置する状態へ変化すること、を特徴とする位置ずれ検出具(10〜17)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の前記位置ずれ検出具において、前記可動部材は、締結部材(100)であり、前記固定部材は、前記締結部材によって締結される被締結部材(510,520)であり、前記可動部材は、前記固定部材に対して相対的に回転移動すること、を特徴とする位置ずれ検出具(10〜17)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の前記位置ずれ検出具と、前記検出用ICタグ(35)と非接触通信可能であり、前記検出用ICタグとの非接触通信が可能か否かを検出可能な検出部(50)と、を備える位置ずれ検出装置(10〜17)である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の弛み検出具において、前記第1部材(20)及び/又は前記第2部材(30)は、前記第2部材の回転移動量に関わらず、前記回転中心軸(L)方向から見て前記遮断材(23,26,28)の領域外に位置する第2のICタグ(27,37)を備えていること、を特徴とする弛み検出具(12〜15)である。
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の弛み検出具において、前記第1部材(20)及び前記第2部材(30)は、互いに係合し、前記回転中心軸方向の移動を規制する係合部(24,34)を有すること、を特徴とする弛み検出具(10〜17)である。
請求項9の発明は、請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の弛み検出具において、前記第1部材(20)又は前記第2部材(30)は、複数の前記検出用ICタグ(35)を備え、前記第2部材の前記第1部材に対する前記開放方向への回転移動量に応じて、前記回転中心軸(L)方向から見て、前記検出用ICタグが前記遮断材(23)の領域内に位置する状態から前記遮断材の領域外に位置する状態へ、又は、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域外に位置する状態から前記遮断材の領域内に位置する状態へ、段階的に変化すること、を特徴とする弛み検出具(17)である。
請求項11の発明は、請求項10に記載の弛み検出具において、前記被覆部は、金属により形成されていること、を特徴とする弛み検出具である。
請求項12の発明は、請求項4から請求項11までのいずれか1項に記載の弛み検出具において、前記第1部材(20)及び前記第2部材(30)の鍔部(31)の外縁部を仮止め部材によって、仮止めされ、前記初期状態で供給されること、を特徴とする弛み検出具(10〜17)である。
請求項14の発明は、請求項13に記載の弛み検出装置において、前記検出部の動作を制御する制御部(51)を備えること、を特徴とする弛み検出装置である。
請求項15の発明は、請求項13又は請求項14に記載の弛み検出装置において、前記検出用ICタグ(35)と前記検出部(50)とが通信した情報を記録する記録部(52)を備えること、を特徴とする弛み検出装置である。
請求項18の発明は、請求項17に記載の弛み検出システムにおいて、前記可動部(30)の回転移動に関わらず、前記検出部(50)と非接触通信可能な第2のICタグ(27,37)を備えること、を特徴とする弛み検出システムである。
請求項19の発明は、請求項17又は請求項18に記載の弛み検出システムにおいて、複数の前記検出用ICタグ(35)を備え、前記初期状態からの前記可動部(30)の回転移動量によって各前記検出用ICタグの前記検出部(50)との通信の可否が個々に変化し、前記締結部材の回転量を段階的に検出可能であること、を特徴とする弛み検出システムである。
請求項21の発明は、請求項13から請求項15までのいずれか1項に記載の前記弛み検出装置と、前記弛み検出装置の動作を制御する制御部(51)と、を備える弛み検出システムである。
請求項22の発明は、請求項15から請求項19までのいずれか1項に記載の弛み検出システムにおいて、前記検出用ICタグ(35)との通信結果に関する情報を記録する記録部(52)を備えること、を特徴とする弛み検出システムである。
(1)本発明による位置ずれ検出具は、第1部材と第2部材との相対的な位置が合わせられた初期状態から、第2部材が第1部材に対して規定量以上相対移動すると、相対移動の移動方向に対して垂直な方向から見て、検出用ICタグが遮断材の領域内に位置する状態から遮断材の領域外に位置する状態へ、又は、検出用ICタグが遮断材の領域外に位置する状態から前記遮断材の領域内に位置する状態へ変化するので、検出用ICタグが外部機器と非接触通信可能か否かを検出することにより、可動部材の固定部材に対する位置ずれを非接触で容易に検出することができる。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
図1は、第1実施形態の弛み検出具を説明する図である。
図1(a)は、弛み検出具10の側面図であり、図1(b)は、弛み検出具10の平面図である。図1(c)は、図1(b)に示す矢印A−Aでの断面図であり、図1(d)は、図1(b)に示す矢印B−Bでの断面図である。なお、図1(c),(d)では、ボルト100に装着した状態での弛み検出具10の断面を示している。
そして、弛み検出具10は、キャップ部材30の鍔状部31に配置された検出用ICタグ35と、リング部材20に配置された検出用ICタグ35の非接触通信を遮断する遮断部である導体片23とを備え、検出用ICタグ35の通信状態の変化を検出することにより、ボルト100の弛みを検出する機能を有している。
本実施形態の弛み検出具10は、このボルト100の頭部120に装着され、ボルト100の弛みを検出するものである。
このリング部材20の内周の径は、ボルト100の頭部120の径よりも大きく形成されている。本実施形態のリング部材20は、ボルト100がM24であるため、その内径が44.5mm、外径が60mmであり、厚さは3mmとしたが、ボルトのサイズによって適宜その寸法を設定可能である。
接合面21は、リング部材20の一端面であり、不図示の接着剤層や両面テープ等により、被締結部材510の表面にリング部材20(弛み検出具10)を接合する面である。対向面22は、接合面21とは反対側の端面であり、キャップ部材30の鍔状部31と対向する面である。
また、本実施形態の導体片23は、略円環状であるが、一部に開口部23aを有している。開口部23aは、その両端が円環形状の中心(回転中心軸L)に対して角度θ1(約18°)をなしており、この角度θ1は本実施形態におけるボルト100の弛みの許容範囲の大きさに等しい。
また、本実施形態の導体片23は、リング部材20に埋設され、リング部材20の対向面22及び接合面21には露出しない形態となっており、対向面22及び接合面21は、略平坦となっている。なお、導体片23は、対向面22及び接合面21に露出する形態としてもよく、製造条件や設置環境等に応じて選択できる。
リング側位置決め部25は、キャップ部材30に設けられたキャップ側位置決め部36とその周方向の位置を一致させることにより、弛み検出具10の初期状態を決める機能を有する印である。ここで、弛み検出具10の初期状態とは、弛み検出具10のキャップ部材30とリング部材20との間に、相対的な位置ずれが生じていない状態であり、弛み検出具10の使用に際して予め設定される状態である。
本実施形態のリング側位置決め部25は、リング部材20の外周端部であって導体片23の開口部23a近傍となる位置に、回転中心軸L方向から見て、外周側へ凸となる略矩形状に形成されているが、リング側位置決め部25は、目視等により確認できる形状であれば、略三角形状等でもよく、特にその形状を限定しない。
このリング側位置決め部25は、上述の初期状態の位置合わせに用いることに加え、リーダライタ50としてハンディタイプのものを用いる場合等に、そのリーダライタによってICタグ35との非接触通信を行うポイント(リーダライタを近付けるもしくは当てる場所)としても活用できる。
鍔状部31は、リング部材20に対向し、リング部材20を被覆するように略円環形状に形成された部分である。本実施形態の鍔状部31は、径方向の幅が11.8mm、厚みが約1.5mmであり、図1(c)に示すように、ボルト100に弛み検出具10を装着した状態において、被締結部材510表面から鍔状部31のリング部材とは反対側の面までの高さhは、4.5mmである。これらの寸法は、ボルトのサイズによって適宜設定可能である。
保持部32は、鍔状部31及び被覆部33の内周側に形成され、ボルト100の頭部120の形状に合せて略六角柱状に形成された中空状の部分である。この保持部32は、ボルト100の頭部120と嵌合可能である。この保持部32により、キャップ部材30は、頭部120と一体となって回転可能である。
このキャップ側係合部34とリング側係合部24とが係合することにより、キャップ部材30は、リング部材20に対して、厚さ方向(ボルト100の回転中心軸L方向)への移動が規制され、キャップ部材30の脱落を防止できる。一方、ボルト100の回転方向への位置は規制されず、ボルト100の回転にともなって、キャップ部材30は、リング部材20に対して、図1(b)に示す矢印C方向及びD方向に回転可能である。
ICタグ35は、アンテナ面に平行な面がリング部材20の対向面22と略平行となるようにして鍔状部31に埋設されており、その表面は表出しておらず、鍔状部31の表面は、略平坦となっている。なお、これに限らず、ICタグ35は、例えば、その表面が鍔状部31表面に表出していてもよいし、鍔状部31の表面に接着剤等により接合されていてもよい。
また、ICタグ35は、金属製である被締結部材510に対して、ボルト100の回転中心軸L方向に約2.0mm離れて配置されており、被締結部材510によってその通信が妨げられることはない。
また、本実施形態のICタグ35は、ボルト100の回転中心軸L方向から見て、導体片23と重なる平面(リング部材20側の面)の面積が、その平面の約7割以上となると、非接触通信が遮断され、リーダライタ50との通信が不可能となる。導体片とどの程度重なることによりICタグの通信が遮断されるかは、リーダライタの種類やICタグの種類、導体片となる金属部材とICタグとの高さ方向(回転中心軸L方向)の距離にも依る。なお、本実施形態では、理解を容易にするために、図1を含め以下に示す各図においては、ICタグの通信が遮断された状態とは、ボルト100の回転中心軸L方向から見て、ICタグが完全に導体片上に位置する状態として示している。
本実施形態のキャップ側位置決め部36は、鍔状部31のICタグ35に対応する位置にリング部材20側とは反対側の面に形成され、略円盤状に突出した形状を有しているが、目視等により確認できる形状であれば、凹形状や半球状の突起等でもよく、特にその形状を限定しない。
このキャップ側位置決め部36は、リング側位置決め部25と同様に、弛み検出具10の初期状態の位置合わせに用いることに加え、リーダライタ50としてハンディタイプのものを用いる場合等に、そのリーダライタによってICタグ35との非接触通信を行うポイント(リーダライタを近付けるもしくは当てる場所)としても活用できる。
本実施形態の弛み検出具10は、リング部材20とキャップ部材30とが係合し、予め初期状に設定された状態で、リング部材20とキャップ部材30の鍔状部の外縁部分を仮止め部材等によって仮止めした状態で供給されるものとする。
これにより、ボルト100に弛み検出具10を装着する際に、初期状態を設定し直す必要がなく、作業を容易に行える。この仮止め部材は、片面に不用意な力でキャップ部材30が回転しない程度の接合力を有する接着剤層等が設けられた紙製等の仮止め用テープ等を用いることができる。なお、この仮止め部材には、ボルト100の回転によってキャップ部材30が回転可能となるように、例えば、鍔状部31とリング部材20との境目に、周方向にミシン目や切れ込み等を設けてもよい。
図2(a)では、ボルト100に弛みがなく、弛み検出具10が初期状態である様子を示し、図2(b)では、ボルト100が弛んだときの弛み検出具10の状態を示している。なお、図2(a),(b)の紙面左側の図において、上側は、弛み検出具10を回転中心軸Lに沿って見た平面図であり、導体片23とICタグ35との位置関係を破線によって示している。下側は、弛み検出具10の側面図であり、理解を容易にするために、ICタグと導体片とはリング部材20及びキャップ部材30の表面に露出した形態で示している。なお、理解を容易にするために、図2では、ボルトを省略して示している。
本実施形態の弛み検出装置及び弛み検出システムは、ICタグ35及び導体片23を備える弛み検出具10と、ICタグ35と非接触通信可能なリーダライタ50と、CPU(Central Processing Unit)51と、管理サーバ52、入力部53とを備えている。
CPU51は、リーダライタ50と有線又は無線で接続された中央演算処理装置である。このCPU51は、入力部53からの入力やCPU内の不図示のメモリに記録されたプログラムに基づいて、リーダライタ50への指示を出してICタグ35との通信を行わせる等、その動作を制御したり、リーダライタ50が受信したICタグ35の情報の処理を行ったりする制御部である。不図示のメモリには、各種処理を実行するためのプログラム等が予め記録されている。
管理サーバ52は、CPU51の指示によって各種データを記録及び管理する記録装置である。
まず、ボルト100を用意し、被締結部材510の孔及び被締結部材520のねじ穴に挿入し、レンチ等の不図示の工具で締結方向(図1(b)に示す矢印D方向)に回転させて締結する。本実施形態では、ボルト100に弛みが生じていない締結状態とは、ボルト100の頭部120が被締結部材510に着座してから、さらに約36°(約1/10回転)増し締めした状態である。また、許容できるボルト100の弛みは、その締結状態から約18°(約1/20回転)開放方向(図1(b)に示す矢印C方向)へ回転した状態までとし、それ以上回転した場合は、増し締めが必要である。
なお、接合面21に不図示のシート状やフィルム状等の接着剤層を設け、その表面を剥離紙等により保護した形態として弛み検出具10を提供すれば、貼付作業を容易に行うことができる。また、仮止め部材は、弛み検出具10から外さなくてもよい。
仮止め部材によって弛み検出具10の初期状態が予め設定されていない場合や、仮止め部材が剥離している場合等は、キャップ部材30を回転させ、キャップ側位置決め部36とリング側位置決め部25との周方向における位置を合わせ、弛み検出具10を初期状態とする。
次に、作業者は、リーダライタ50よってICタグ35と非接触通信を行い、ICタグ35のユニークIDを読み出す。CPU51は、読み出されたICタグ35のユニークIDを、ボルト100を締結した日時、被締結部材510,520の識別番号、作業者の識別番号等の締結に関する各種情報等とともに、管理サーバ52の所定の領域に記録させる。また、CPU51からの指示により、リーダライタ50を介して、ボルト100を締結した日時等の各種情報をICタグ35の不図示のメモリに記録することができる。
このとき、仮に、ボルトが弛んでいない場合、弛み検出具10は、キャップ部材30とリング部材20との位置関係は初期状態のままである。また、ボルト100の弛みが許容範囲内であれば、ボルト100の回転(弛み)と一体となってキャップ部材30が回転し、ICタグ35も開放方向(矢印C方向)に移動するが、ICタグ35は、回転中心軸L方向から見て、開口部23a内に位置している。
CPU51は、リーダライタ50によってそのICタグ35が非接触通信可能であり、初期状態での通信の可否と変化がないと判断すると、検査を行った日時や、作業者のID、検査結果等の情報を、管理サーバ52に記録する。また、CPUは、リーダライタ50を介してICタグ35のメモリの所定の領域に、検査を行った日時等の情報を書き込む。この際、書き込まれた情報は、前回記録された情報に上書きしてもよいし、別の領域に書き込んでもよい。
このとき、リーダライタ50によってICタグ35との非接触通信を試みても、ICタグ35は、導体片23によってその通信が遮断されており、リーダライタ50は、ICタグ35が非接触通信不可能であることを検出する。すなわち、そのICタグ35が対応するボルト100が許容範囲を超えて弛んでいることを検出する。
弛みが検出されたボルト100は、作業者によってキャップ部材30が外され、ボルト100の頭部120を工具等で保持し、締結状態まで増し締めされる。
増し締めした後、作業者は、キャップ部材30をボルト100の頭部120に被せ、キャップ側係合部34とリング側係合部24とを係合させ、キャップ側位置決め部36の周方向の位置をリング側位置決め部25の位置と合わせ、弛み検出具10を再び初期状態とする。
従って、本実施形態では、管理サーバ52の所定の領域に、各ICタグ35のユニークIDごとに、検査日時や検査時のICタグの通信状態、増し締めの日時、増し締め量、作業者の識別番号等の情報が記録されている。
しかも、ICタグ35によって、そのICタグ35に対応するボルト100の検査日時やそのときの増し締め量等の情報を管理したり、管理サーバ52によって複数のICタグ35、ひいては複数のボルト100の検査に関する情報を管理したりすることができ、作業が容易であり、かつ、より大きく詳細な情報を管理することができる。
また、ICタグ35とリーダライタ50との非接触通信によって、ボルト100の弛みを非接触で検出できるので、目視や接触しての弛みの検出が容易でない場所に設けられたボルト100の弛みも容易に検出することができる。
加えて、容易に弛みを検出できるので、ボルト100の弛み検出作業を頻繁にかつ日常的な検査として行うことができ、安全性等の向上につなげることができる。
その上、ICタグ35とリーダライタ50との非接触通信によってボルト100の弛みを検出できるので、一度に複数のICタグとの通信を試みることによって同時に複数のボルト100の弛みの検査を行うことができ、作業効率を向上できる。
図3は、第2実施形態の弛み検出具、弛み検出装置及び弛み検出システムを説明する図である。図3(a)は、初期状態を示し、図3(b)は、ボルトが規定量(約18°)以上回転した状態を示している。図3(a),(b)の紙面左上側は、弛み検出具11の平面図であり、紙面左下側は、弛み検出具11の側面図であり、図2(a),(b)と同様に、理解を容易にするために、ボルト100等は省略し、ICタグ35及び導体片26がリング部材20及びキャップ部材30の表面に露出した形態で示している。
第2実施形態の弛み検出具11、弛み検出装置、弛み検出システムは、ICタグ35とリーダライタ50との非接触通信が、初期状態では不可能であるが、キャップ部材30の回転量が許容範囲を超えると可能となる。この通信状態の変化をリーダライタ50によって検出することにより、ボルト100の弛みを検出している点が、前述の第1実施形態とは異なる。従って、前述の第1実施形態と共通の機能を果たす部分には、同一の符合又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
しかし、振動等により、ボルト100が弛み、規定量(約18°)以上回転すると、キャップ部材30の回転によってICタグが開放方向(矢印C方向)に移動し、図3(b)に示すように、回転中心軸L方向から見て、ICタグ35は導体片26の領域外に位置している。従って、ICタグ35は、リーダライタ50と非接触通信可能となる。
これにより、リーダライタ50によって、ICタグ35の通信状態の変化を検出することができ、ボルト100の弛みを検出することができる。
また、本実施形態によれば、弛み検出具11の初期状態(ボルト100に弛みが生じていない締結状態)では、ICタグ35は、リーダライタ50と通信不可能であるが、キャップ部材30が規定量θ1以上回転するとICタグ35が通信可能となるので、複数の弛み検出具11の検査を行った場合にも、弛んだボルト100の見落としを防止できる。
さらに、本実施形態によれば、導体片26の大きさを小さくすることができ、コスト低減を図ることができる。
図4は、第3実施形態の弛み検出具を説明する図である。図4(a)は、初期状態での弛み検出具の平面図と側面図を示し、図4(b)は、許容範囲を超えてキャップ部材30が開放方向に回転した状態での平面図と側面図を示している。図4及び以下に示す図5〜9においては、図2(a),(b)と同様に、理解を容易にするために、ボルト100等は省略して示し、平面図においては導体片23とICタグ35とを破線によって示し、側面図においてはICタグと導体片とはリング部材20及びキャップ部材30の表面に露出した形態で示している。
第3実施形態は、弛み検出具12が、キャップ部材30の被覆部33に、キャップ部材30の回転量によって通信の可否が変化しないICタグ37を備えている点以外は、第1実施形態と略同様の形態である。従って、第1実施形態と共通の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
このICタグ37は、ボルト100の回転中心軸L上に位置しており、キャップ部材30がボルト100とともに回転しても、導体片23との位置関係に変化は無く、リーダライタ50と非接触通信可能な第2のICタグである。また、このICタグ37は、多層基板型のICタグであり、ICタグ35と同仕様のものを用いているが、異なる仕様や形状のものであってもよい。
しかし、ボルト100が締結状態から弛むと、ボルト100の回転に伴ってキャップ部材30が開放方向に回転する。そして、キャップ部材の回転量(角度α)が規定量(約18°)を超えると、ICタグ35は、回転中心軸L方向から見て、導体片23の領域上となる位置まで移動する。
これにより、検出用のICタグ35は、リーダライタ50との非接触通信が不可能になる。一方、ICタグ37は、回転中心軸L上に配置されており、キャップ部材30の回転量によらず、リーダライタ50と非接触通信可能である。
ICタグ35,37の双方と通信可能であれば、リーダライタ50は、ICタグ35,37からユニークIDを読み出すことができ、これにより、その弛み検出具12の取り付けられたボルト100には、許容範囲を超える弛みが生じていないことを検出できる。
しかし、ICタグ37と通信可能であるが、検出用のICタグ35とは通信不可能であり、リーダライタ50が、ICタグ37のみのユニークIDしか読み出せなかった場合には、その弛み検出具12の取り付けられたボルト100には、許容範囲を超える弛みが生じていることを検出できる。
また、ボルト100が弛んでいる場合、前述の第1実施形態では、前回の検査日時や検査結果等の情報を読み出すことができなかったが、上述のようにICタグ35,37を使い分けることにより、前回の検査日時や検査結果等の情報を、ボルト100が弛んでいる場合にもICタグ37から得ることができ、増し締め作業を行う際の参考とすることができる。
図5は、第4実施形態の弛み検出具を説明する図である。図5(a)は、第4実施形態の弛み検出具13の初期状態を示し、図5(b)は、ボルト100が規定量θ1以上弛んだときの弛み検出具10を示している。
第4実施形態は、第3実施形態と同様にキャップ部材30の回転量によって通信の可否が変化しないICタグ37を備えている点と、第2実施形態と同様に初期状態において検出用のICタグ35がリーダライタ50とは非接触通信不可能であり、ボルト100が規定量以上弛んだ場合に非接触通信可能となる点以外は、第1実施形態と略同様の形態である。従って、第1〜第3実施形態と共通の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第4実施形態の弛み検出具13は、第3実施形態と同様に、被覆部33の頂面にICタグ37を備える。このICタグ37は、キャップ部材30の回転量によらず、常にリーダライタと非接触通信可能である。
しかし、ボルト100が開放方向へ規定量θ1(約18°)以上回転(例えば、角度α)すると、キャップ部材30も一体となって回転し、ICタグ35は、図5(b)に示すように、導体片26の領域外の位置へ移動する。そのため、ICタグ35,37の双方が、リーダライタ50と通信可能となる。従って、リーダライタ50によって、このICタグ35の通信状態の変化(通信不可能であった状態から通信可能な状態への変化)を検出することにより、ボルト100の弛みを検出することができる。
また、ボルト100が弛んでいる場合、前述の第1実施形態では、前回の検査日時や検査結果等の情報を読み出すことができなかったが、上述のようにICタグ35,37を使い分けることにより、ボルト100が弛んでいる場合にも、前回の検査日時や検査結果等の情報を得ることができ、増し締め作業を行う際の参考とすることができる。
さらに、本実施形態によれば、ICタグ35は、弛み検出具13の初期状態(ボルトに弛みが生じていない締結状態)では通信不可能であるが、ボルト100が弛み、キャップ部材30が規定量以上回転すると通信可能となるので、複数の弛み検出具11の検査を行った場合にも、弛んだボルト100の見落としを防止できる。
図6は、第5実施形態の弛み検出具を説明する図である。図6(a)は、弛み検出具14の初期状態での平面図と側面図を示し、図6(b)は、ボルト100が規定量以上弛んだ状態での弛み検出具14の平面図と側面図を示している。
第5実施形態は、キャップ部材30の回転量によらず常にリーダライタ50と通信可能なICタグ27が、リング部材20側に設けられている点が異なる以外は、前述の第1実施形態と略同様の形態である。従って、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第5実施形態の弛み検出具14は、図6(a)に示すように、ICタグ27を、リング部材20の導体片23の開口部23aに備えている。このICタグ27は、多層基板型のICタグであり、検出用のICタグ35と同様の仕様のものを用いているが、異なる形状や規格のものを用いてもよい。
なお、本実施形態のICタグ27は、回転中心軸L方向から見て、ICタグ35と周方向に隣接するように配置されている。そのため、開口部23aの角度θ2は、第1実施形態の角度θ1よりも広くなっており、図6(a)に示すように、導体片23のICタグ35側の端部と、ICタグ35の締結方向側の端部とが角度θ1(約18°)をなしている。
しかし、ボルト100が弛み、キャップ部材30がボルト100の回転に追従して回転し、その回転量(角度α)が規定量θ1以上となると、図6(b)に示すように、ICタグ35は、回転中心軸L方向から見て導体片23の領域上となる位置まで移動する。そのため、ICタグ35のリーダライタ50との通信は遮断され、通信不可能となる。
一方、ICタグ27は、リング部材20に設けられているので、移動せず、キャップ部材30の回転量によらず通信可能である。
また、ICタグ27は、ボルト100の弛みに関係なく、常に通信可能であるので、ボルト100の識別番号(ボルト100のユニークID)や、検査日時や検査結果、増し締めの有無や増し締め量等の情報を、メモリに書き込んで記録させることができる。これにより、ボルトが規定量以上緩み、ICタグ35と通信が不可能になった場合にも、ボルト100の個体識別や、ボルト100の前回の弛み検査の検査結果等の情報をリーダライタ50を介して得ることができ、増し締め作業時の参考にすることができる。
さらに、ICタグ27は、リング部材20に設けられているので、前述の第3実施形態のように、被覆部33の頂部33aに配置する場合に比べて、外部からの衝撃等を受け難く、破損し難い。
図7は、第6実施形態の弛み検出具を説明する図である。図7(a)は、弛み検出具15の初期状態での平面図と側面図を示し、図7(b)は、ボルト100が規定量以上弛んだ状態での弛み検出具15の平面図と側面図とを示している。
第6実施形態は、前述の第2実施形態と同様に、初期状態では検出用のICタグ35とリーダライタ50との非接触通信が不可能であるが、キャップ部材30が規定量θ1以上回転することにより、非接触通信可能となる点や、第5実施形態と同様に、リング部材20にキャップ部材の回転量に依らずリーダライタ50と非接触通信可能なICタグ27を備える点以外は、第1実施形態と同様の形態である。従って、前述の第1,2,5実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第6実施形態の弛み検出具15は、リング部材20の導体片26が設けられた領域以外の領域に、ICタグ27が配置されている。
ここで、ボルト100が弛み、キャップ部材30がボルト100とともに開放方向に規定量θ1(約18°)以上(例えば、図7(b)に示す角度α)回転すると、ICタグ35はボルト100の開放方向へ移動し、回転中心軸L方向から見て、導体片23の領域外に位置し、リーダライタ50と非接触通信可能となる。一方、ICタグ27は、ボルト100の弛みに関係なく、リーダライタ50と常に通信可能である。
また、ボルト100の弛みによって通信が遮断されないICタグ27のメモリに、前回の検査時の情報等を記録させることにより、ICタグ35と通信できない状態であっても、前回の検査日時等の情報をリーダライタ50により得ることができる。また、ボルト100の弛みによって通信が遮断されないICタグ27のメモリにボルト100の識別番号(ユニークID)を記録させ、ボルト100の個体識別(ボルト100のID管理)用として使用すれば、ICタグ35と通信できない状態であっても、ボルト100の個体識別が可能である。
図8は、第7実施形態の弛み検出具を説明する図である。図8(a)は、弛み検出具16の初期状態での平面図と側面図を示し、図8(b)は、ボルト100が規定量以上弛んだ状態での弛み検出具16の平面図と側面図とを示している。
第7実施形態は、キャップ部材30の回転により通信状態が変化する複数の検出用のICタグを備えている点が第1実施形態とは異なる以外は、第1実施形態と略同様の形態である。従って、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第7実施形態の弛み検出具16は、鍔状部31に、キャップ部材30が規定量θ1(約18°)以上回転することによって、リーダライタ50との非接触通信の可否が変化する検出用ICタグを2つ配置している。
本実施形態の導体片28は、回転中心軸Lを中心として、180°の円弧を描く略円弧状の薄板状の部材であり、第1実施形態に示す導体片23と同様に、ステンレス等により形成され、リング部材20に埋設されている。この導体片28の端部と、それに近接するICタグ35a,35bとは、図8(a)に示すように、回転中心軸L方向から見て、回転中心軸Lを中心として角度θ1(約18°)をなすように配置されている。
この状態で作業者がリーダライタによってICタグの通信状態を検出すると、ICタグ35bとは通信不可能であり、ICタグ35aとは通信可能であると検出される。
そして、ボルト100が規定量θ1以上(角度α)回転すると、図8(b)に示すように、回転中心軸L方向からみて、ICタグ35bは、導体片28の存在しない領域に位置し、ICタグ35aは、導体片28の領域上に位置する。これにより、ICタグ35aは、導体片28によってリーダライタ50との通信が遮断されるが、一方のICタグ35bは、リーダライタ50との通信可能となる。従って、リーダライタ50によってICタグ35a,35bの通信の可否が、初期状態とは変化したことを検出できる。
なお、本実施形態では、導体片28を1つとしたが、ICタグ35a,35bの数に合せて2つとしてもよいし、ICタグ35a,35bが回転中心軸Lに対してなす角度も180°に限らず、自由に選択してよい。
図9は、第8実施形態の弛み検出具を説明する図である。なお、図9(a)は、弛み検出具17の初期状態での平面図の一部を拡大した図と側面図とを示し、図9(b)は、ボルト100が規定量以上弛んだ状態での弛み検出具17の平面図の一部を拡大した図と側面図とを示している。
第8実施形態は、検出用ICタグが複数設けられている点以外は、前述の第1実施形態と略同様の形態である。従って、第1実施形態と共通する機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して重複する説明を省略する。
導体片23の開口部23aは、回転中心軸Lに対して角度θ3(約36°)をなしている。そして、ICタグ35c〜35fは、図9(a)に示すように、初期状態において、回転中心軸L方向から見て導体片23の開口部23a内に周方向に等間隔(回転中心軸Lに対して約9°毎)に配置されている。
ここで、振動等により、ボルト100が弛んだとする。例えば、ボルト100が弛み、締結状態から開放方向へ約9°回転した場合、キャップ部材30は、ボルト100の回転に伴って同様に回転する。これにより、ICタグ35c〜35fが開放方向に回転移動し、回転中心軸L方向から見て、ICタグ35cのみが導体片23上に位置し、その通信が遮断される。一方、ICタグ35d〜35fは、リーダライタ50と非接触通信可能である。
次に、締結状態からボルト100が約18°回転した場合には、キャップ部材30がボルト100の回転に伴って初期状態から約18°(図9(b)に示す角度β)回転する。このとき、図9(b)に示すように、回転中心軸L方向から見て、ICタグ35c,35dが導体片23の領域上に位置することとなり、ICタグ35c,35dは、リーダライタ50との非接触通信が不可能となる。
そして、締結状態からボルト100が約36°回転した場合には、キャップ部材30がボルト100の回転に伴って初期状態から約36°回転する。このとき、ICタグ35c〜35f全てが導体片23上に位置することとなり、ICタグ35c〜35fは、リーダライタ50との非接触通信が不可能となる。
よって、より高い精度でボルト100の弛みを検出できる。また、弛みが生じたボルト100の増し締めを行う際に、増し締め量等の目安を得ることができ、増し締め作業を容易に行える。
また、いずれか1つのICタグ、例えば、ICタグ35fを、前述の第5実施形態のICタグ27のように、導体片23と同じくリング部材20に配置し、このICタグ35fをボルト100の個体識別(ID管理)用や弛み検出の検出結果の記録用として使用し、その他のICタグ35c〜35eを本実施形態で示したように、ボルト100の回転量の検出に用いる形態としてもよい。ボルト100のID管理用や記録用として用いるICタグは、前述のICタグ35fに限らず、適宜選択して用いてよい。
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、締結される被締結部材510を固定部材とし、被締結部材に対して相対的に回転移動して被締結部材を締結するボルト100を可動部材とし、ボルト100の弛み(回転)を検出する例を示したが、これに限らず、可動部材は、固定部材に対して直線方向に相対移動する部材とし、直線方向の位置ずれ検出具、位置ずれ検出装置及び位置ずれ検出システムとしてもよい。直線方向の位置ずれを検出するものとすれば、例えば、電車等の各種乗り物や、室内外の仕切り扉として用いられるスライドドアの開閉を検出する検出具、検出装置及び検出システムとして用いることができる。
図10は、変形形態のキャップ部材を備える弛み検出装置を示す図である。なお、図10では、変形形態のキャップ部材30−2〜30−4を備える弛み検出具10−2〜10−4において、図1(b)の矢印A−Aでの断面に相当する断面を示している。また、図10に示す弛み検出具10−2〜10−4のリング部材20は、いずれも第1実施形態と同様の形態である。
図10(a)は、被覆部39が金属製であるキャップ部材30−2を備える緩み検出具10−2を示している。この変形形態のキャップ部材30−2のように、被覆部39をステンレスや鉄等の金属製とすれば、スパナ等の工具によって、キャップ部材30−2を取り付けたまま、増し締めを行うことができる。従って、弛んだボルト100からキャップ部材30−2を外してボルトを増し締めし、再びキャップ部材30−2をボルト100の頭部120に嵌めるといった作業が不要となり、作業時間を短縮でき、増し締め作業も容易となる。
なお、図10(a)では、ボルト100を保持する保持部32は、被覆部39の金属面と鍔状部31の樹脂面とが存在している形態として示したが、これに限らず、保持部32の全面が金属面となるように、被覆部39の回転中心軸L方向の寸法を、被締結部材まで延ばした形態としてもよい。
従って、増し締め作業が容易になり、作業時間の短縮も図ることができる。
なお、図10(b)に示す変形形態のキャップ部材30−3では、ボルト100は、M24サイズであり、被締結部材510表面から鍔状部31の上側面31aまでの高さは、4.5mmであり、ボルト100の頭部120の高さはM24サイズで15mmであるので、弛み検出具10−3から、ボルト100の頭部120は、10.5mm、すなわち、頭部120は、全体の2/3以上は表出する。従って、レンチ等の工具によってボルト100の頭部120を保持して増し締めは可能である。
このような形態とすれば、キャップ部材30−4の金型等の製造が容易となる。なお、キャップ部材30−4のように、鍔状部を設けない場合、キャップ部の外形を略半球状や略円錐状等としてもよい。このような形状とすることにより、ボルトの存在を隠すことができ、悪意ある第三者によるいたずらや盗難を防止でき、意匠性も向上できる。
10−2,10−3,10−4 弛み検出具
20 リング部材
23,26,28 導体片
24 リング側係合部
30 キャップ部材
30−2,30−3,30−4 キャップ部材
31 鍔状部
32 保持部
34 キャップ側係合部
35,35a〜35f ICタグ(検出用ICタグ)
37,27 ICタグ(第2のICタグ)
100 ボルト
50 リーダライタ
51 CPU
52 管理サーバ
510,520 被締結部材
520a ネジ穴
Claims (22)
- 固定部材と、前記固定部材に対して相対移動可能な可動部材との相対的な位置ずれの検出に用いられる位置ずれ検出具であって、
前記固定部材に固定され、不導体により形成される第1部材と、
前記可動部材と一体となって前記固定部材に対して相対移動し、前記相対移動の移動方向に対して垂直な方向であって前記第1部材に対応する領域に配置され、不導体により形成される第2部材と、
を有し、
前記第1部材と前記第2部材とのいずれか一方が、外部機器と非接触通信可能な検出用ICタグを備え、他方が、導体であって前記検出用ICタグの通信を遮断する遮断材を備え、
前記第1部材と前記第2部材との相対的な位置が合わせられた初期状態から、前記第2部材が前記第1部材に対して規定量以上相対移動すると、前記相対移動の移動方向に対して垂直な方向から見て、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域内に位置する状態から前記遮断材の領域外に位置する状態へ、又は、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域外に位置する状態から前記遮断材の領域内に位置する状態へ変化すること、
を特徴とする位置ずれ検出具。 - 請求項1に記載の前記位置ずれ検出具において、
前記可動部材は、締結部材であり、
前記固定部材は、前記締結部材によって締結される被締結部材であり、
前記可動部材は、前記固定部材に対して相対的に回転移動すること、
を特徴とする位置ずれ検出具。 - 請求項1又は請求項2に記載の前記位置ずれ検出具と、
前記検出用ICタグと非接触通信可能であり、前記検出用ICタグとの非接触通信が可能か否かを検出可能な検出部と、
を備える位置ずれ検出装置。 - 被締結部材に対して相対的に回転移動して、前記被締結部材又は他方の締結部材のネジ穴部、又は、他方の締結部材の雄ネジ部に螺合し、前記被締結部材を締結する締結部材の弛みの検出に用いられる弛み検出具であって、
不導体により形成された略リング状の部材であり、前記締結部材の回転中心軸とその中心が同一となるように前記被締結部材に固定される第1部材と、
前記回転中心軸方向において前記被締結部材とは反対側であって前記第1部材と対向する位置に設けられた略円環状の鍔部と、前記鍔部の内周側であって前記締結部材を嵌合して保持する保持部とを備え、前記締結部材と一体となって前記被締結部材に対して相対的に回転移動する不導体により形成された第2部材と、
を有し、
前記第1部材と前記第2部材とのいずれか一方が、外部機器と非接触通信可能な検出用ICタグを備え、他方が、前記検出用ICタグの通信を遮断する遮断材を備え、
前記第1部材と前記第2部材との相対的な位置が合わせられた初期状態から、前記第1部材に対して前記第2部材が、前記回転中心軸を中心として前記締結部材の締結を開放する開放方向に規定量以上回転移動すると、前記回転中心軸方向から見て、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域内に位置する状態から前記遮断材の領域外に位置する状態へ、又は、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域外に位置する状態から前記遮断材の領域内に位置する状態へ変化すること、
を特徴とする弛み検出具。 - 請求項4に記載の弛み検出具において、
前記第1部材及び/又は前記第2部材は、前記第2部材の回転移動量に関わらず、前記回転中心軸方向から見て前記遮断材の領域外に位置する第2のICタグを備えていること、
を特徴とする弛み検出具。 - 請求項4又は請求項5に記載の弛み検出具において、
前記第1部材及び前記第2部材は、互いに係合し、前記回転中心軸方向の移動を規制する係合部を有すること、
を特徴とする弛み検出具。 - 請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の弛み検出具において、
前記第1部材に対して前記第2部材が前記初期状態から前記開放方向に18°以上回転した場合に、前記回転中心軸方向から見て、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域内に位置する状態から前記遮断材の領域外に位置する状態へ、又は、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域外に位置する状態から前記遮断材の領域内に位置する状態へ変化すること、
を特徴とする弛み検出具。 - 請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の弛み検出具において、
前記第1部材に対して前記第2部材が前記初期状態から前記開放方向に9°以上回転した場合に、前記回転中心軸方向から見て、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域内に位置する状態から前記遮断材の領域外に位置する状態へ、又は、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域外に位置する状態から前記遮断材の領域内に位置する状態へ変化すること、
を特徴とする弛み検出具。 - 請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の弛み検出具において、
前記第1部材又は前記第2部材は、複数の前記検出用ICタグを備え、前記第2部材の前記第1部材に対する前記開放方向への回転移動量に応じて、前記回転中心軸方向から見て、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域内に位置する状態から前記遮断材の領域外に位置する状態へ、又は、前記検出用ICタグが前記遮断材の領域外に位置する状態から前記遮断材の領域内に位置する状態へ、段階的に変化すること、
を特徴とする弛み検出具。 - 請求項4から請求項9までのいずれか1項に記載の弛み検出具において、
前記第2部材は、前記締結部材の前記回転中心軸方向に沿って前記被締結部材とは反対側の頂部を被覆する被覆部を有すること、
を特徴とする弛み検出具。 - 請求項10に記載の弛み検出具において、
前記被覆部は、金属により形成されていること、
を特徴とする弛み検出具。 - 請求項4から請求項11までのいずれか1項に記載の弛み検出具において、
前記第1部材及び前記第2部材の鍔部の外縁部を仮止め部材によって、仮止めされ、前記初期状態で供給されること、
を特徴とする弛み検出具。 - 請求項4から請求項12までのいずれか1項に記載の弛み検出具と、
前記検出用ICタグと非接触通信可能であり、前記検出用ICタグとの通信状態を検出可能な検出部と、
を備える弛み検出装置。 - 請求項13に記載の弛み検出装置において、
前記検出部の動作を制御する制御部を備えること、
を特徴とする弛み検出装置。 - 請求項13又は請求項14に記載の弛み検出装置において、
前記検出用ICタグと前記検出部とが通信した情報を記録する記録部を備えること、
を特徴とする弛み検出装置。 - 固定部材と、固定部材に対して相対移動可能な可動部材との相対的な位置ずれを検出する位置ずれ検出システムであって、
前記固定部材に固定される固定部と、
前記固定部に対向する位置に配置され、前記可動部材と一体となって前記固定部材に対して相対移動する可動部と、
前記固定部と前記可動部とのいずれか一方に設けられた検出用ICタグと、
他方に設けられた前記検出用ICタグの通信を遮断する遮断部と、
前記検出用ICタグと非接触通信可能であり、前記検出用ICタグとの通信の可否を検出する検出部と、
を備え、
前記固定部と前記可動部との相対的な位置が合わせられた初期状態から、前記可動部が規定量以上相対移動することによって、前記検出用ICタグと前記検出部との間の通信が、通信可能な状態から通信不可能な状態へ変化したこと、又は、通信不可能な状態から通信可能な状態へ変化したことを前記検出部が検出することにより、前記固定部材と前記可動部材との相対的な位置ずれを検出すること、
を特徴とする位置ずれ検出システム。 - 被締結部材を、前記被締結部材又は他方の締結部材のネジ穴、又は、他方の締結部材の雄ネジとの螺合によって締結する締結部材の弛みを検出する弛み検出システムであって、
前記被締結部材に固定される固定部と、
前記固定部に対向する位置に配置され、前記締結部材と一体となって前記被締結部材に対して相対的に回転移動する可動部と、
前記固定部と前記可動部とのいずれか一方に設けられた検出用ICタグと、
他方に設けられた前記検出用ICタグの通信を遮断する遮蔽部と、
前記検出用ICタグと非接触通信可能であり、前記検出用ICタグとの通信の可否を検出する検出部と、
を備え、
前記固定部と前記可動部との相対的な位置が合わせられた初期状態から、前記可動部が前記固定部に対して、前記締結部材の締結を開放する方向に規定量以上回転移動することによって、前記検出用ICタグと前記検出部との間の通信が、通信可能な状態から通信不可能な状態へ変化したこと、又は、通信不可能な状態から通信可能な状態へ変化したことを前記検出部が検出することにより、前記締結部材の弛みを検出すること、
を特徴とする弛み検出システム。 - 請求項17に記載の弛み検出システムにおいて、
前記可動部の回転移動に関わらず、前記検出部と非接触通信可能な第2のICタグを備えること、
を特徴とする弛み検出システム。 - 請求項17又は請求項18に記載の弛み検出システムにおいて、
複数の前記検出用ICタグを備え、前記初期状態からの前記可動部の回転移動量によって各前記検出用ICタグの前記検出部との通信の可否が個々に変化し、前記締結部材の回転量を段階的に検出可能であること、
を特徴とする弛み検出システム。 - 請求項17から請求項19までのいずれか1項に記載の弛み検出システムにおいて、
前記検出部の動作を制御する制御部を備えること、
を特徴とする弛み検出システム。 - 請求項13から請求項15までのいずれか1項に記載の前記弛み検出装置と、
前記弛み検出装置の動作を制御する制御部と、
を備える弛み検出システム。 - 請求項15から請求項19までのいずれか1項に記載の弛み検出システムにおいて、
前記検出用ICタグとの通信結果に関する情報を記録する記録部を備えること、
を特徴とする弛み検出システム。
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