JP2018085984A - 酵素処理加糖卵黄、及びそれを用いたプリン - Google Patents

酵素処理加糖卵黄、及びそれを用いたプリン Download PDF

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Abstract

【課題】「ゲルプリン」もしくは「ゲル化剤入りプリン」に、高含量(例えば卵黄含量として、酵素処理していない通常の卵黄を配合できない含量)で配合しても、耐熱性が期待でき、苦み及び/又は硫黄臭が抑制され、嗜好性の高まる卵黄原料の提供。【解決手段】加糖した卵黄をホスホリパーゼなどで酵素反応させた場合の、その反応率が20〜60%である酵素処理加糖卵黄。【効果】当該酵素処理加糖卵黄を2〜15重量%配合し、ゲル化剤を分散・溶解した状態で含むプリンベースは、従来よりも高含量で卵黄を含みながら高温で加熱殺菌しても凝固せず、このプリンベースを冷却して凝固させたプリンは、卵黄由来のコクやカスタード感により嗜好性が高く、かつ、苦みや硫黄臭が抑制される。【選択図】なし

Description

本発明は、酵素処理加糖卵黄、及びそれを用いたプリンに関する。
卵黄はその特有の嗜好性の高い風味やコク味を有するとともに、乳化性や熱凝固性のような物理的性状を有する素材であることにより、プリン、ムース、マヨネーズ、カスタードクリームなどの各種加工食品の原料として広く使用されている。しかし、卵黄は加熱に対する耐性が比較的弱く、上記各種加工食品の製造工程における加熱処理や加熱殺菌処理工程において、その特有の風味が損なわれたり、熱凝集により食感がざらついたり、ボソボソしたりするという問題を有する。かかる風味や食感の変化があると、最終的な卵黄含有加工食品の品質低下の原因となる。
特許文献1には、水及び油を含むエマルジョンに、ホスホリパーゼAにより変性させた卵黄を配合することにより、エマルジョンの熱安定性を向上させたことが記載されている。また、特許文献2〜4には、菓子やパン、フライ食品、米飯用の品質改良材として、ホスホリパーゼにより処理した卵黄を利用できることが記載されている。さらに、特許文献5には、リゾ化率40〜80%のリゾ化卵黄において、ホスファチジルエタノールアミンの脂肪酸組成におけるアラキドン酸とドコサヘキサエン酸の合計を20%以上とすることにより耐熱性に優れ、かつ、苦味が低減できることが開示されている。
特開昭51−84785号公報 特開2003−325140号公報 特開2004−16081号公報 特開2004−41046号公報 特開2008−43323号公報 国際公開第2015/083757号
ところで、プリンには卵黄などの卵の加熱による凝固を利用して調製されるものと、ベースミックスにゲル化剤(寒天、ゼラチン、ガム類、加工デンプンなど)を溶解・分散させて冷却による凝固を利用して調製させるものの二つに大別される。
前者のプリンは「卵プリン」と言われ、卵黄由来のカスタード感とコクを楽しめる反面、卵黄原料を多く配合しなければならず高コストとなることや、殺菌処理で過剰な加熱を行うとプリンの物性にも影響するため、衛生面でのコントロールが困難であった。後者のプリンは「ゲルプリン」もしくは「ゲル化剤入りプリン」と言われ、ベースミックス(プリンベースまたはプリンミックスとも呼ばれる)に流動性がある限り、衛生的にプレート殺菌機などで高温殺菌も行える反面、高温殺菌時の耐熱性の面で卵黄原料の添加量に制限があり、カスタード感やコクを向上させることが出来なかった。
そこで、上記の「ゲルプリン」もしくは「ゲル化剤入りプリン」に、ホスホリパーゼで酵素処理して耐熱性を改善した酵素処理卵黄を配合し、高温殺菌時の耐熱性を確保しつつ、卵黄由来のカスタード感とコクを付与することが考えられる。
しかしながら、特許文献5で指摘されているように、特許文献1〜4で開示されているリゾ化卵黄は、通常の卵黄と異なる苦味を呈するため、リゾ化卵黄をプリンなどの加工食品に配合する場合、風味の点から、その配合量も制限されてしまう。
また、特許文献5に示されているリゾ化率の酵素処理卵黄をゲル化剤入りプリンに適用すると、硫黄臭らしき雑味が発生し、これらの雑味を消すためには、香料などによるマスキングが必要となるという問題が生じた。
それ故に、本発明は、「ゲルプリン」もしくは「ゲル化剤入りプリン」に、高含量で配合しても、苦み及び/又は硫黄臭が抑制され、プリンの嗜好性を向上できる酵素処理加糖卵黄及びこれを用いたプリンを提供することを目的とする。
本願の発明者らは、鋭意検討した結果、加糖した卵黄をホスホリパーゼで処理し、その反応率を20〜60%とすることで、加熱凝固せず、風味の良好な酵素処理加糖卵黄が得られることを見出した。また、本発明者らは、加糖した卵黄をホスホリパーゼなどで酵素反応させた場合の反応率が20〜60%の酵素処理加糖卵黄を2〜15重量%配合し、ゲル化剤を分散・溶解した状態で含むプリンベースを、冷却して凝固する、プリンの製造方法が、上記課題を解決することを見出した。
本発明の酵素処理加糖卵黄は、例えば、「ゲルプリン」もしくは「ゲル化剤入りプリン」のプリンベースに、これまでの卵黄の配合量では考えられなかった2〜15重量%で配合しても、プリンベースの加熱殺菌時に凝固することがなく、苦み及び/又は硫黄臭が抑制されることを見出した。
すなわち、本発明の酵素処理加糖卵黄を使用することで、卵黄由来のコクやカスタード感が強く、衛生レベルの高いプリンを、プレート殺菌機などで連続的に大量生産できることを見出した。このとき、当該プリンを大量生産する際に、特別な設備導入を必要とすることなく、容易に嗜好性の高いプリンを提供できることを見出した。
すなわち、本発明は、
[1]加糖した卵黄をホスホリパーゼで酵素反応させ、その反応率が20〜60%である、酵素処理加糖卵黄、
[2]前記ホスホリパーゼがホスホリパーゼA2である、[1]に記載の酵素処理加糖卵黄、
[3]加糖した卵黄をホスホリパーゼで酵素反応させ、その反応率が20〜60%である、酵素処理加糖卵黄を2〜15重量%配合し、ゲル化剤を分散・溶解させた状態のプリンベースを冷却して凝固させる、プリンの製造方法、
[4]プリンベースを110〜150℃、1〜60秒の超高温殺菌(UHT)処理してから、冷却して凝固させる、[3]に記載のプリンの製造方法、
[5]加糖した卵黄をホスホリパーゼで酵素反応させ、その反応率が20〜60%である酵素処理加糖卵黄と、ゲル化剤とを含有し、前記酵素処理加糖卵黄の配合量が卵黄量として2〜15重量%である、プリン
である。
本発明は、加糖した卵黄をホスホリパーゼで酵素反応させ、その反応率が20〜60%である、酵素処理加糖卵黄である。本発明の酵素処理加糖卵黄は、苦み及び/又は硫黄臭が抑制されているため、例えば、「ゲルプリン」もしくは「ゲル化剤入りプリン」のプリンベースに、これまでの卵黄の配合量では考えられなかった2〜15重量%で配合しても、プリンベースの加熱殺菌時に凝固することがなく、苦み及び/又は硫黄臭が抑制される。これにより、従来の「ゲルプリン」もしくは「ゲル化剤入りプリン」で卵黄由来のコクやカスタード感を出すために香料などのマスキングを必要としていたところ、当該香料などのマスキング剤の添加を低減もしくは無くすこともできる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下に述べる個々の形態には限定されない。
(卵黄)
本発明の卵黄とは、公知の鳥類の卵の卵黄全てを含むが、調達のしやすさから鶏卵が好ましい。また、卵黄は割卵して卵白を分離して得ることもできるし、市販の卵黄(液体卵黄)を使用することもできる。
一般的に卵黄は、リン脂質、トリグリセリド及びコレステロール等の卵黄脂質と卵黄蛋白との複合体である卵黄リポ蛋白質を主成分としている。その構造は、トリグリセリドが中心部に位置し、その周りをリン脂質、コレステロール及び卵黄蛋白が覆った構造をしていると言われている。また、リン脂質には、リン酸エステルからなる親水部分と脂肪酸残基からなる疎水部分が存在し、前記卵黄リポ蛋白質において、リン脂質は、当該疎水部分である脂肪酸残基が卵黄リポ蛋白質の中心部に位置するトリグリセリドにくさび状に刺さった構造をしていると言われている。
また、上記卵黄リポ蛋白質を構成する卵黄リン脂質は、リン酸エステル構造を分子に含んだ複合脂質であり、主にホスファチジルコリン(PC)70〜80%、ホスファチジルエタノールアミン(PE)10〜15%、スフィンゴミエリン(SPM)1〜3%、リゾホスファチジルコリン(LPC)1〜2%からなる。よって、卵黄リポ蛋白質を構成する卵黄リン脂質は、その殆どが脂肪酸残基を2個有したジアシルグリセロリン脂質であるホスファチジルコリン(PC)及びホスファチジルエタノールアミン(PE)からなる。
(加糖)
本発明の加糖とは、卵黄に糖類を添加することをいい、添加の方法、ならびに添加する糖類は、公知の糖類であれば特に制限はない。調達のしやすさと、プリンを始めとする卵黄含有食品に適用した場合の風味への影響を鑑みて、砂糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、オリゴ糖などが好ましい。
(ホスホリパーゼ)
本発明のホスホリパーゼは、本発明の酵素処理加糖卵黄の耐熱性を付与する目的で使用する。このとき、加糖した卵黄の反応率が設計の範囲であれば、ホスホリパーゼの由来や種類に特に制限はない。中でも、苦み及び/又は硫黄臭が抑制できる微生物由来のホスホリパーゼであることが好ましく、例えば、放線菌由来のホスホリパーゼA2である。放線菌由来のホスホリパーゼA2は例えば、特許文献6(国際公開第2015/083757号)に記載されているものなど、公知のものを使用することができる。
本発明のホスホリパーゼの添加量は、加糖した卵黄の反応率が所定の設計の範囲であれば、特に制限はない。ホスホリパーゼによる酵素反応をするにあたり、例えば、卵黄との添加量の比率(卵黄比)でホスホリパーゼの添加量を設定することができる。ホスホリパーゼの添加量は、好ましくは卵黄比0.005〜0.1、より好ましくは0.01〜0.08、さらに好ましくは0.01〜0.06、さらに好ましくは0.01〜0.04、さらに好ましくは0.015〜0.035、特に好ましくは0.02〜0.03である。
本発明のホスホリパーゼの反応温度は、加糖した卵黄の反応率が設計の範囲であれば、特に制限はない。例えば、本発明のホスホリパーゼの反応温度は、好ましくは10〜65℃、より好ましくは20〜65℃、さらに好ましくは25〜65℃、さらに好ましくは30〜65℃、さらに好ましくは35〜65℃、特に好ましくは40〜60℃である。また、本発明のホスホリパーゼの失活温度は、実際に当該ホスホリパーゼが失活すれば、その温度範囲に特に制限はない。例えば、本発明のホスホリパーゼの失活温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは70〜150℃、さらに好ましくは70〜120℃、さらに好ましくは70〜100℃、さらに好ましくは70〜90℃である。
(酵素処理加糖卵黄)
本発明の酵素処理加糖卵黄は、卵黄、糖類、ホスホリパーゼ以外の食品原料及び/又は食品添加物原料及び/又は水の添加に制限はない。必要に応じて添加可能である。
(酵素処理加糖卵黄の反応率)
本発明の酵素処理加糖卵黄は、ホスホリパーゼによる反応率が、好ましくは20〜60%、より好ましくは20〜50%、さらに好ましくは20〜45%、さらに好ましくは20〜40%、さらに好ましくは20〜35%、特に好ましくは20〜32%である。ホスホリパーゼによる反応率が20%以上であると、酵素処理加糖卵黄の耐熱性が向上し、好ましい。また、ホスホリパーゼによる反応率が60%以下であれば、酵素処理加糖卵黄の苦み及び/又は硫黄臭が抑制され、好ましい。
本発明において、ホスホリパーゼ反応率を求める方法は以下のとおりである。つまり、酵素処理加糖卵黄中の全卵黄脂質を得るために、酵素処理加糖卵黄の1mLとクロロホルム/メタノール(2/1容量比)の混合溶媒50mLとを混合して卵黄脂質を抽出した後、抽出液から溶剤を除去する。
得られた卵黄脂質を濃度5w/v%になるよう前記混合溶媒に溶解しサンプル液を調製する。次に、サンプル液をクロマロッドに0.8μLチャージし、当該チャージしたクロマロッドを展開溶媒I[クロロホルム/メタノール/水(70/30/3容量比)]で8cm展開した後、さらに展開溶媒II[ヘキサン/ジエチルエーテル/蟻酸(90/10/0.1容量比)]で展開する。そして、展開後のクロマロッドをイアトロスキャン法(TLC−FID法)で分析する。具体的には、(株)三菱化学ヤトロン製のイアトロスキャンMK−6sを用いてFID:水素160mL/min、エアー2.0L/minの条件で分析する。
次に、得られたチャートの各脂質成分のピークの面積百分率を用いて下記数式により本発明の酵素反応率を求める。ホスホリパーゼA2の反応率は、ホスファチジルエタノールアミン(PE)及びホスファチジルコリン(PC)が同酵素の反応によりリゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)及びリゾホスファチジルコリン(LPC)へ変化した割合であり、HPLCを用いて測定したピーク面積を用いて下記の数式を用いて算出できる。
[数1]
ホスホリパーゼA2の反応率(%)=(リゾホスファチジルエタノールアミンの面積百分率+リゾホスファチジルコリンの面積百分率)×100/(ホスファチジルエタノールアミンの面積百分率+ホスファチジルコリンの面積百分率+リゾホスファチジルエタノールアミンの面積百分率+リゾホスファチジルコリンの面積百分率)
(酵素処理加糖卵黄の配合)
本発明の酵素処理加糖卵黄における卵黄の配合量は、酵素処理加糖卵黄の原材料の合計のうち、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは40〜80重量%である。本発明の酵素処理加糖卵黄における糖類の配合量は、酵素処理加糖卵黄の原材料の合計のうち、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは20〜60重量%である。本発明の酵素処理加糖卵黄のホスホリパーゼの配合量は、酵素処理加糖卵黄の原材料の合計のうち、好ましくは0.005〜0.1重量%、より好ましくは0.005〜0.05重量%、さらに好ましくは0.005〜0.04重量%、特に好ましくは0.01〜0.02重量%である。本発明の酵素処理加糖卵黄には、水を配合しても良く、水の配合量は、酵素処理加糖卵黄の原材料の合計のうち、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは0〜25重量%、特に好ましくは0〜20重量%である。
本発明の酵素処理加糖卵黄が如何なる理由により耐熱性に優れ、しかも苦味の少ないものとなるのか明らかではないが、従来の豚膵臓由来のホスホリパーゼA2のみで処理されたリゾ化卵黄は、二重結合が4個以上の高度不飽和脂肪酸が遊離脂肪酸として多数存在した状態となる。前記遊離脂肪酸は、卵黄リポ蛋白質の中心部に位置するトリグリセリドにくさび状に刺さった状態と思われる。ここで、前記遊離脂肪酸は、1本のくさび状に刺さった状態であることから、ジアシルグリセロリン脂質のように、2本のくさび状に刺さった状態と比べ、卵黄リポ蛋白質から遊離し易い不安定な状態と思われる。また、高度不飽和脂肪酸は、非常に酸化され易い性質を有することから、上記従来のリゾ化卵黄は、卵黄リポ蛋白質から遊離した一部の高度不飽和脂肪酸が酸化され、当該酸化物が苦味の原因となっているのではないかと推察される。
これに対し、本発明のリゾ化卵黄は、二重結合が4個以上の高度不飽和脂肪酸が結合したリン脂質が残存し、高度不飽和脂肪酸が遊離脂肪酸として殆ど存在しない状態である。したがって、本発明のリゾ化卵黄は、高度不飽和脂肪酸を脂肪酸残基として有するジアシルグリセロリン脂質が卵黄リポ蛋白質の中心部に位置するトリグリセリドに2本のくさび状に刺さった状態であることから、高度不飽和脂肪酸の二重結合部分がトリグリセリドで保護され、その結果、酸化され難く、本発明のリゾ化卵黄は、苦味の少ないものと推定される。また、このような構造上の差異が、耐熱性の向上に影響したのではないかと推察される。
(本発明の酵素処理加糖卵黄の応用)
本発明の酵素処理加糖卵黄は、全ての食品に応用できる。その中でも「ゲルプリン」もしくは「ゲル化剤入りプリン」に卵黄原料として添加した場合には、卵黄由来のコクやカスタード感が強く、衛生レベルの高いプリンを、プレート殺菌機などで連続的に大量生産できることを見出した。このとき、当該プリンを大量生産する際に、特別な設備導入を必要とすることなく、容易に嗜好性の高いプリンを提供できることを見出した。
(本発明の酵素処理加糖卵黄のプリンへの応用)
本発明のプリンは、前記酵素処理加糖卵黄、乳製品、甘味料、ゲル化剤などの原料を使用して製造することができる。
本発明のプリンに前記酵素処理加糖卵黄をプリンベースに配合する割合は、卵黄量として、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは3〜10重量%、さらに好ましくは4〜8重量%である。
本発明で用いることのできる乳製品としてはバター、バターオイル、クリーム、クリームパウダー、バターミルク、れん乳、牛乳、濃縮乳、脱脂粉乳、ホエイ、乳タンパク濃縮物、ホエイタンパク濃縮物、乳糖などを挙げることができるが、これらの例に限定されない。本発明のプリンの製造において、例えば牛乳を用いた場合、牛乳のプリンへの配合量は、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%、さらに好ましくは65〜75重量%である。
また、本発明のプリンに香りや味を付与する目的等で他の原材料を添加することもできる。例えば、砂糖、果実、果汁、ナッツ類、香草(バニラ等)、スパイス、シロップ(メープルシロップ、ハチミツ等)など又はその加工品(オレンジピール、果物のジャム、果物の乾燥物等)、あるいは香料、甘味料、調味料、矯味料などの食品添加物等を添加したプリンを製造することもできるが、本発明においてはこれらの例に限定されない。本発明でいうプリンにはこれらの製品も含むことができる。
本発明のプリンに砂糖、ぶどう糖、麦芽糖、果糖、三温糖、和三盆糖、黒糖、メープルシロップ、蜂蜜、異性化液糖、果糖ぶどう糖液糖、還元水飴(糖アルコール)、トレハロース等の甘味料や、糖分を多く含む食品等を、酵素処理加糖卵黄とは他に添加することができる。これらの甘味料等は、好ましくは、1〜20重量%、より好ましくは4〜10重量%、さらに好ましくは6〜8重量%添加することができるが、甘味料等の種類、他原料の含量等によって適宜調整することができる。
本発明のプリンには、ゲル化剤を添加する。本発明で使用することのできるゲル化剤の例として、ローカストビーンガム、グアーガム、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、カラギーナン、ゼラチン、ローメトキシルペクチン、ハイメトキシルペクチン、タラガム、寒天、カラギーナン、ジェランガム等を挙げることができる。ゲル化剤は1種類あるいは複数種類を組み合わせて用いることができる。ゲル化剤の添加量は、ゲル化剤の種類、他原料の含量等によって適宜調整することができるが、好ましくは0.1〜2重量%、よりこのましくは0.3〜1重量%、さらに好ましくは0.5〜0.6重量%を挙げることができる。
本発明のプリンの製造方法は、原料に、前記酵素処理加糖卵黄、乳製品、甘味料、ゲル化剤等原料を含む原料溶液を調合(攪拌・溶解・分散など)する工程と、型(容器など)へ充填する(流し込む)工程と、冷却する工程とを少なくとも含む。
より詳細には、本発明のプリンの製造方法の工程例として、主原料を溶解・分散する調合工程と、調合液(原料溶液)を保持する保持工程と、香料又は色素を添加する添加工程と、水分を調整する水分調整工程と、水分を調整した原料溶液を攪拌して均質化する均質化工程と、原料溶液を加熱する殺菌工程と、原料溶液を適温で保持する保温工程と、原料溶液を容器へ充填する充填工程と、原料溶液を冷却する工程とを含んでもよい。
調合工程後に、溶液を保持する温度の例は、45〜75℃であり、50〜70℃が好ましく、55℃〜65℃がより好ましい。この際の保持する時間の例は、実際に用いるタンクの大きさ(容量)、製品を充填するための容器を準備するタイミング(所要時間)などによって、長時間となり得るが、芽胞菌との関係において、0.5〜6時間であり、0.5〜4時間が好ましく、0.5〜2時間程度がより好ましい。
殺菌工程の温度の例は、連続式の殺菌方法を採用することが多く、110〜150℃の殺菌温度で処理することが好ましく、120〜140℃がより好ましく、125〜135℃がさらに好ましい。このとき、殺菌時間として1〜60秒が好ましく、1〜30秒がより好ましく、1〜5秒がさらに好ましい。そして、連続式の殺菌方法は、商業規模の大量処理に適しており、衛生面でも品質面でも定定しているため望ましい。なお、回分式の殺菌方法を採用することでも良く、90〜100℃の殺菌温度で処理することが好ましく、93〜97℃がより好ましく、約95℃がさらに好ましい。このとき、殺菌時間として、1〜10分が好ましく、2〜7分がより好ましく、5分程度がさらに好ましい。
殺菌して冷却後の保温工程の温度の例は、50〜70℃であり、55〜65℃が好ましい。保温された原料溶液はプリン用の容器(カップ)に充填され、10℃以下まで冷却を行い、本発明のプリンが得られる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
<実施例I>
[実施例I−1]
(酵素処理反応率の設定)
ホスホリパーゼA2の反応率によるプリンミックスへの風味への影響について評価する目的で、表1〜2に記載する処方に従って、ホスホリパーゼA2濃度及び酵素処理反応時間の異なる加糖卵黄、及びプリンミックスを調製した。
具体的には、表1に記載するホスホリパーゼA2以外の原材料(卵黄6kg、砂糖3.9986kg)を配合して加温を始め、50℃に達温した時点でホスホリパーゼA2(放線菌由来、市販品)0.0014kgを添加して0.5時間、1時間、及び2時間反応させた。その後、再び加温して75〜80℃で10分以上保持してホスホリパーゼA2を失活させて酵素処理加糖卵黄1〜3をそれぞれ10kg得た。このとき、ホスホリパーゼA2の反応率は、0.5時間の反応で26.4%、1時間の反応で36.2%、2時間の反応で48.6%であった。
ホスホリパーゼA2の反応率は、ホスファチジルエタノールアミン(PE)及びホスファチジルコリン(PC)が同酵素の反応によりリゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)及びリゾホスファチジルコリン(LPC)へ変化する割合として、HPLCを用いて測定したピーク面積を用いて下記の数式を用いて算出した。
[数1]
ホスホリパーゼA2の反応率(%)=(リゾホスファチジルエタノールアミンの面積百分率+リゾホスファチジルコリンの面積百分率)×100/(ホスファチジルエタノールアミンの面積百分率+ホスファチジルコリンの面積百分率+リゾホスファチジルエタノールアミンの面積百分率+リゾホスファチジルコリンの面積百分率)
次に、表2に記載する原材料(牛乳70kg、砂糖7kg、寒天0.25kg、ゼラチン0.3kg)を必要に応じて寒天及びゼラチンを加温溶解しながら配合し、約40℃に調整したところで酵素処理加糖卵黄1〜3(10kg)をそれぞれ配合して、均質機付きプレート式殺菌機にて130℃3秒間保持して加熱殺菌した後、60℃程度まで冷却し、プリン用の容器(カップ)に充填した。その後、ミックスを充填した容器を冷蔵庫に入れ、10℃以下まで静置冷却を行い、プリン1〜3を得た。なお、表2に示す配合例における卵黄量は6%である。
得られたプリン1〜3を6名の専門パネラーが官能評価をした。官能評価は、5段階評価で行い、5(嗜好性が高い)、4(やや嗜好性が高い)、3(許容範囲)、2(やや嗜好性が低い)、1(嗜好性が低い)を基準とした。6名の官能検査の結果の平均値を算出したものを最終評価し、官能評価が3.0以上であれば合格とした。
表3に示す通り、プリン1(ホスホリパーゼA2の反応率26.4%の酵素処理加糖卵黄を使用)の官能評価は5.0、プリン2(ホスホリパーゼA2の反応率36.2%の酵素処理加糖卵黄を使用)の官能評価は5.0、プリン3(ホスホリパーゼA2の反応率48.6%の酵素処理加糖卵黄を使用)の官能評価は4.0であった。従って、ホスホリパーゼA2の反応率20〜60%の酵素処理加糖卵黄を使用すれば、卵黄風味の豊富なゲル化剤入りプリンとなることがわかった。
なお、酵素処理加糖卵黄の代わりに卵黄(酵素処理しない卵黄に加糖したもの)を使用して、表2に記載の配合でゲル化剤入りプリンを調製した場合、加熱による卵黄の凝固が発生し、プレート殺菌機を通液することができなかった。
[実施例I−2]
ホスホリパーゼA2の反応率によるプリンミックスへの風味への影響について評価する目的で、表1〜2に記載する処方に従って、ホスホリパーゼA2濃度及び酵素処理反応時間の異なる加糖卵黄、及びプリンミックスを調製した。
具体的には、表1に記載するホスホリパーゼA2以外の原材料(卵黄6kg、砂糖3.99986kg)を配合して加温を始め、50℃に達温した時点でホスホリパーゼA2(放線菌由来、市販品)0.00014kg(実施例I−1の1/10の添加量)を添加して2時間、4時間、6時間、8時間、16時間及び20時間反応させた。その後、再び加温して75〜80℃で10分以上保持してホスホリパーゼA2を失活させて酵素処理加糖卵黄4〜9をそれぞれ10kg得た。このとき、ホスホリパーゼA2の反応率は、2時間の反応で22.3%、4時間の反応で28.6%、6時間の反応で30.1%、8時間の反応で37.5%、16時間の反応で52.9%、20時間の反応で59.5%であった。
ホスホリパーゼA2の反応率は、ホスファチジルエタノールアミン(PE)及びホスファチジルコリン(PC)が同酵素の反応によりリゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)及びリゾホスファチジルコリン(LPC)へ変化する割合として、HPLCを用いて測定したピーク面積を用いて下記の数式を用いて算出した。
[数1]
ホスホリパーゼA2の反応率(%)=(リゾホスファチジルエタノールアミンの面積百分率+リゾホスファチジルコリンの面積百分率)×100/(ホスファチジルエタノールアミンの面積百分率+ホスファチジルコリンの面積百分率+リゾホスファチジルエタノールアミンの面積百分率+リゾホスファチジルコリンの面積百分率)
次に、表2に記載する原材料(牛乳70kg、砂糖7kg、寒天0.25kg、ゼラチン0.3kg)を必要に応じて寒天及びゼラチンを加温溶解しながら配合し、約40℃に調整したところで酵素処理加糖卵黄4〜9(10kg)をそれぞれ配合した後、均質機付きプレート式殺菌機にて130℃3秒間保持して加熱殺菌して、60℃程度まで冷却し、プリン用の容器(カップ)に充填した。その後、ミックスを充填して容器を冷蔵庫に入れ、10℃以下まで静置冷却を行い、プリン4〜9を得た。なお、実施例II−2においても、表2に示す配合例における卵黄量は6%である。
得られたプリン4〜9を6名の専門パネラーが官能評価をした。官能評価は、5段階評価で行い、5(嗜好性が高い)、4(やや嗜好性が高い)、3(許容範囲)、2(やや嗜好性が低い)、1(嗜好性が低い)を基準とした。6名の官能検査の結果の平均値を算出したものを最終評価し、官能評価が3.0以上であれば合格とした。
その結果、プリン4(ホスホリパーゼA2の反応率22.3%の酵素処理加糖卵黄を使用)の官能評価は3.0、プリン5(ホスホリパーゼA2の反応率28.6%の酵素処理加糖卵黄を使用)の官能評価は5.0、プリン6(ホスホリパーゼA2の反応率30.1%の酵素処理加糖卵黄を使用)の官能評価は5.0、プリン7(ホスホリパーゼA2の反応率37.5%の酵素処理加糖卵黄を使用)の官能評価は5.0、プリン8(ホスホリパーゼA2の反応率52.9%の酵素処理加糖卵黄を使用)の官能評価は4.0、プリン9(ホスホリパーゼA2の反応率59.5%の酵素処理加糖卵黄を使用)の官能評価は3.0であった。従って、ホスホリパーゼA2の反応率20〜60%の酵素処理加糖卵黄を使用すれば、卵黄風味の豊富なゲル化剤入りプリンとなることがわかった。
Figure 2018085984
Figure 2018085984
実施例I−1及びI−2の結果を表3にまとめた。
Figure 2018085984
<実施例II>
以下、酵素処理に用いるホスホリパーゼA2の添加量及びプリンミックス中の卵黄含有量を変化させたプリンの実施例を説明する。
[実施例II−1]
ホスホリパーゼA2以外の原材料(卵黄4kg、砂糖3kg、水2.999kg)を配合して加温を始め、50℃に達温した時点でホスホリパーゼA2(放線菌由来、市販品)0.001kg(卵黄比0.025%)を添加して1時間、酵素反応させた。その後、再び加温して75〜80℃で10分以上保持してホスホリパーゼA2を失活させて酵素処理加糖卵黄を10kg得た。このとき、ホスホリパーゼA2の反応率は、30%であった。
原材料(牛乳70kg、砂糖7kg、寒天0.25kg、ゼラチン0.3kg、水12.45kg)を必要に応じて寒天及びゼラチンを加温溶解しながら配合し、約40℃に調整したところで上記の酵素処理加糖卵黄10kgを配合して、均質機付きプレート式殺菌機にて130℃3秒間保持して加熱殺菌した後、60℃程度まで冷却し、プリン用の容器(カップ)に充填した。その後、ミックスを充填した容器を冷蔵庫に入れ、10℃以下まで静置冷却を行い、卵黄4%の実施例II−1のプリンを得た。
実施例II−1のプリンの官能検査を実施例I−1と同様の方法で実施したところ、5.0であった。
[実施例II−2]
実施例II−1と同様の材料の配合で酵素処理加糖卵黄を調製した。原材料(牛乳70kg、砂糖7kg、寒天0.25kg、ゼラチン0.3kg、水2.45kg)を必要に応じて寒天及びゼラチンを加温溶解しながら配合し、約40℃に調整したところで上記の酵素処理加糖卵黄20kgを配合して、均質機付きプレート式殺菌機にて130℃3秒間保持して加熱殺菌した後、60℃程度まで冷却し、プリン用の容器(カップ)に充填した。その後、ミックスを充填した容器を冷蔵庫に入れ、10℃以下まで静置冷却を行い、卵黄8%の実施例II−2のプリンを得た。
実施例II−2のプリンの官能検査を実施例I−1と同様の方法で実施したところ、5.0であった。
[実施例II−3]
ホスホリパーゼA2以外の原材料(卵黄6kg、砂糖3.9985kg)を配合して加温を始め、50℃に達温した時点でホスホリパーゼA2(放線菌由来、市販品)0.0015kg(卵黄比0.025%)を添加して1時間、酵素反応させた。その後、再び加温して75〜80℃で10分以上保持してホスホリパーゼA2を失活させて酵素処理加糖卵黄を10kg得た。このとき、ホスホリパーゼA2の反応率は、31%であった。
原材料(牛乳70kg、砂糖7kg、寒天0.25kg、ゼラチン0.3kg、水15.75kg)を必要に応じて寒天及びゼラチンを加温溶解しながら配合し、約40℃に調整したところで上記の酵素処理加糖卵黄6.7kgを配合して、均質機付きプレート式殺菌機にて130℃3秒間保持して加熱殺菌した後、60℃程度まで冷却し、プリン用の容器(カップ)に充填した。その後、ミックスを充填した容器を冷蔵庫に入れ、10℃以下まで静置冷却を行い、卵黄4%の実施例II−3のプリンを得た。
実施例II−3のプリンの官能検査を実施例I−1と同様の方法で実施したところ、5.0であった。
[実施例II−4]
実施例II−3と同様の材料の配合で酵素処理加糖卵黄を調製した。原材料(牛乳70kg、砂糖7kg、寒天0.25kg、ゼラチン0.3kg、水9.15kg)を必要に応じて寒天及びゼラチンを加温溶解しながら配合し、約40℃に調整したところで上記の酵素処理加糖卵黄13.3kgを配合して、均質機付きプレート式殺菌機にて130℃3秒間保持して加熱殺菌した後、60℃程度まで冷却し、プリン用の容器(カップ)に充填した。その後、ミックスを充填した容器を冷蔵庫に入れ、10℃以下まで静置冷却を行い、卵黄8%の実施例II−4のプリンを得た。
実施例II−4のプリンの官能検査を実施例I−1と同様の方法で実施したところ、5.0であった。
[実施例II−5]
ホスホリパーゼA2以外の原材料(卵黄8kg、砂糖1.998kg)を配合して加温を始め、50℃に達温した時点でホスホリパーゼA2(放線菌由来、市販品)0.002kg(卵黄比0.025%)を添加して1時間、酵素反応させた。その後、再び加温して75〜80℃で10分以上保持してホスホリパーゼA2を失活させて酵素処理加糖卵黄を10kg得た。このとき、ホスホリパーゼA2の反応率は、34%であった。
原材料(牛乳70kg、砂糖7kg、寒天0.25kg、ゼラチン0.3kg、水17.45kg)を必要に応じて寒天及びゼラチンを加温溶解しながら配合し、約40℃に調整したところで上記の酵素処理加糖卵黄5kgを配合して、均質機付きプレート式殺菌機にて130℃3秒間保持して加熱殺菌した後、60℃程度まで冷却し、プリン用の容器(カップ)に充填した。その後、ミックスを充填した容器を冷蔵庫に入れ、10℃以下まで静置冷却を行い、卵黄4%の実施例II−5のプリンを得た。
実施例II−5のプリンの官能検査を実施例I−1と同様の方法で実施したところ、5.0であった。
[実施例II−6]
実施例II−5と同様の材料の配合で酵素処理加糖卵黄を調製した。原材料(牛乳70kg、砂糖7kg、寒天0.25kg、ゼラチン0.3kg、水12.45kg)を必要に応じて寒天及びゼラチンを加温溶解しながら配合し、約40℃に調整したところで上記の酵素処理加糖卵黄10kgを配合して、均質機付きプレート式殺菌機にて130℃3秒間保持して加熱殺菌した後、60℃程度まで冷却し、プリン用の容器(カップ)に充填した。その後、ミックスを充填した容器を冷蔵庫に入れ、10℃以下まで静置冷却を行い、卵黄8%の実施例II−6のプリンを得た。
実施例II−6のプリンの官能検査を実施例I−1と同様の方法で実施したところ、5.0であった。
[比較例1]
卵黄8kg及び砂糖2kgを混合して加糖卵黄を調整した。原材料(牛乳70kg、砂糖7kg、寒天0.25kg、ゼラチン0.3kg、水17.45kg)を必要に応じて寒天及びゼラチンを加温溶解しながら配合し、約40℃に調整したところで加糖卵黄6.7kgを配合した後、均質機付きプレート式殺菌機にて130℃3秒間保持して加熱殺菌しようとしたが、加熱による卵黄の凝固が発生し、プレート殺菌機を通液することができなかった。すなわち、酵素処理しない通常の卵黄では、ゲル化剤入りプリンのベースに4%も添加することはできなかった。
[比較例2]
比較例1と同様の材料の配合で加糖卵黄を調整した。原材料(牛乳70kg、砂糖7kg、寒天0.25kg、ゼラチン0.3kg、水12.45kg)を必要に応じて寒天及びゼラチンを加温溶解しながら配合し、約40℃に調整したところで加糖卵黄13.3kgを配合した後、均質機付きプレート式殺菌機にて130℃3秒間保持して加熱殺菌しようとしたが、加熱による卵黄の凝固が発生し、プレート殺菌機を通液することができなかった。すなわち、酵素処理しない通常の卵黄では、ゲル化剤入りプリンのベースに8%も添加することはできなかった。
実施例II−1〜II−6、比較例II−1及びII−2の加糖卵黄の配合とプリンミックスの評価結果を表4にまとめて示す。
Figure 2018085984
実施例II−1〜II−6より、本発明に係る酵素処理加糖卵黄を卵黄量で2〜15重量%の割合で配合したプリンミックスは、良好な耐熱性及び風味を有することが確認された。
本発明の酵素処理加糖卵黄を使用することで、卵黄由来のコクやカスタード感が強く、衛生レベルの高いプリンを、プレート殺菌機などで連続的に大量生産できることを見出した。このとき、当該プリンを大量生産する際に、特別な設備導入を必要とすることなく、容易に嗜好性の高いプリンを提供できることを見出した。

Claims (5)

  1. 加糖した卵黄をホスホリパーゼで酵素反応させ、その反応率が20%〜60%である、酵素処理加糖卵黄。
  2. 前記ホスホリパーゼがホスホリパーゼA2である、請求項1に記載の酵素処理加糖卵黄。
  3. 加糖した卵黄をホスホリパーゼで酵素反応させ、その反応率が20〜60%である酵素処理加糖卵黄を、卵黄量として2〜15重量%配合し、ゲル化剤を分散・溶解させた状態のプリンベースを冷却して凝固させる、プリンの製造方法。
  4. プリンベースを110〜150℃、1〜60秒の超高温殺菌(UHT)処理してから、冷却して凝固させる、請求項3に記載のプリンの製造方法。
  5. 加糖した卵黄をホスホリパーゼで酵素反応させ、その反応率が20〜60%である酵素処理加糖卵黄と、ゲル化剤とを含有し、前記酵素処理加糖卵黄の配合量が卵黄量として2〜15重量%である、プリン。
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