JP2018084265A - 回転装置のシャフトのシール構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な構造でありながら、シール性を向上できる回転装置のシャフトのシール構造を提供する。【解決手段】第3の封止部材30は、弾性部材で構成されると共に、内輪12の軸方向における端面12aを封止する第1の封止面31、及びシャフト2の外周面2b(ここでは、嵌合部35の底面35a)を封止する第2の封止面32を有する。従って、第1の封止面31が、内輪12の軸方向における端面12aに対して弾性変形に伴う押圧力を付与することで、当該端面12aを封止することができる。また、第2の封止面32が、シャフト2の外周面2bに対して弾性変形に伴う収縮力を付与することで、当該外周面2bを封止することができる。【選択図】図2
Description
本発明は、回転装置のシャフトのシール構造に関する。
従来、回転装置のシャフトのシール性を確保するためのシール構造が採用されている。例えば、下記特許文献1には、シャフトがベアリングによって回転可能に支持されると共に、当該ベアリングがケースのフランジによって支持される構造が記載されている。この回転装置では、フランジとシャフトとの間は、シャフトに設けられたVリングによって封止されている。
また、下記特許文献2には、シャフトがベアリングによって回転可能に支持されると共に、当該ベアリングがケースのブラケットによって支持されており、当該ブラケットよりも軸方向外側に防水構造が設けられることが記載されている。当該防水構造は、シャフトに設けられた水切り板や、当該水切り板を収容する防水カバー等によって構成される。
ここで、上述の特許文献1の構造では、Vリングが、静止部であるケースのフランジと当接した状態で、シャフトと一体的に回転する。従って、Vリングが摩耗することによってシール性が低下する可能性があった。また、特許文献2の構造は、防水構造を構成するための部品点数が多く、組付工数の増加や回転装置の大型化等の問題があった。従って、簡便な構造でありながら、シール性を向上することが求められていた。
本発明は、簡便な構造でありながら、シール性を向上できる回転装置のシャフトのシール構造を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る回転装置のシャフトのシール構造は、軸方向に延びるシャフトと、シャフトに取り付けられる内輪、当該内輪の外周側に設けられる外輪、及び内輪と外輪との間に設けられる転動体を有するベアリングと、外輪を支持する壁部と、壁部と外輪との間を封止する第1の封止部材と、内輪と外輪との間を封止する第2の封止部材と、シャフトと内輪との間を封止する第3の封止部材と、を備え、第3の封止部材は、シャフトに一体回転可能に装着される弾性部材で構成されると共に、内輪の軸方向における端面を封止する第1の封止面、及びシャフトの外周面を封止する第2の封止面を有する。
回転装置のシャフトのシール構造は、軸方向に延びるシャフトと、内輪、外輪及び転動体を有するベアリングと、外輪を支持する壁部と、を備える。このような構造において、外部からの流体は、壁部と外輪との間、内輪と外輪との間、及びシャフトと内輪との間を浸入経路として、回転装置の内部へ浸入し得る。これに対して、シール構造は、壁部と外輪との間を封止する第1の封止部材と、内輪と外輪との間を封止する第2の封止部材と、シャフトと内輪との間を封止する第3の封止部材と、を備えている。従って、壁部と外輪との間からの流体の侵入は、第1の封止部材によって防止される。また、内輪と外輪との間からの流体の侵入は、第2の封止部材によって防止される。ここで、第3の封止部材は、シャフトに一体回転可能に装着される弾性部材弾性部材で構成されると共に、内輪の軸方向における端面を封止する第1の封止面、及びシャフトの外周面を封止する第2の封止面を有する。従って、第1の封止面が、内輪の軸方向における端面に対して弾性変形に伴う圧縮力を付与することで、当該端面を封止することができる。また、第2の封止面が、シャフトの外周面に対して弾性変形に伴う収縮力を付与することで、当該外周面を封止することができる。このように、内輪の端面に沿って流体が侵入することを第1の封止面が防止し、シャフトの外周面に沿って流体が侵入することを第2の封止面が防止することで、シャフトと内輪との間からの流体の侵入が防止される。以上のように、各封止部材を配置するだけの簡便な構造にて、シール構造のシール性を確保することができる。また、第3の封止部材は、内輪と共にシャフトと一体となって回転することができ、各封止面と各当接面とが摺動しないため、第3の封止部材の摩耗によるシール性の低下が発生しない。以上により、簡便な構造でありながら、シール構造のシール性を向上できる。
シャフトの外周面には径方向内側へ向かって窪む嵌合部が形成され、第3の封止部材の第2の封止面は、嵌合部に収容されてよい。このような構造により、第3の封止部材のうち第2の封止面の周辺部分が嵌合部に嵌合する。この場合、嵌合部が第3の封止部材を軸方向に支持することができるため、第1の封止面における軸方向への圧縮力を発生させることが可能となる。これにより、嵌合部へ第3の封止部材を嵌合させるだけの簡便な構造によって、シール性を確保することができる。
シャフトには、内輪及び第3の封止部材の一方を他方に対して軸方向に付勢することにより、内輪の端面に第1の封止面を押圧する押圧リングが設けられていてよい。この場合、押圧リングを設けるだけの簡便な構造により、第1の封止面におけるシール性を確保することができる。
第3の封止部材は、内輪に対して、軸方向における外側に配置されてよい。このような構造により、シャフトと内輪との間からの流体の侵入が、軸方向における外側にて防止される。これにより、シャフトと内輪との間に流体が入り込むことも防止できる。
第3の封止部材の第1の封止面及び第2の封止面の少なくとも一方には、溝部が形成されていてよい。このような構造により、溝部が形成された封止面におけるシール性を向上できる。
本発明によれば、簡便な構造でありながら、シール性を向上できる。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
まず、本実施形態に係る回転装置1の構成について説明する。シール構造100付近における回転装置1の構成について、図1を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシール構造100が適用された回転装置1の断面図である。
回転装置1として、ポンプ、車両等の駆動に用いられる電動モータを一例に挙げる。かかる回転装置1は、軸方向に延びるシャフト2と、シャフト2に設けられた回転子3と、当該回転子3と周方向に対向するように設けられた固定子4と、回転子3及び固定子4を内部に収容するハウジング6と、を主に備える。
回転子3は、ハウジング6の内部空間において、シャフト2に固定されている。回転子3は、例えばロータ鉄心及び当該ロータ鉄心に設けられた永久磁石によって構成されている。また、固定子4は、ハウジング6の内部空間において、当該ハウジング6に固定されている。固定子4は、例えば、回転子3を取り囲むように設けられた複数のコイルによって構成される。固定子4と回転子3との間で発生する駆動力によって回転子3が回転し、当該回転子3の回転に伴ってシャフト2も回転する。なお、シャフト2の端部2aは、回転子3の端面よりも軸方向における外側へ向かって突出している。当該端部2aは、ハウジング6に固定されたベアリング11(詳細な構成は後述する)によって回転可能に支持される。端部2aのうち、ベアリング11よりも軸方向における外側に突出した部分には、ファン等の回転部材が設けられる。なお、以降の説明では、軸方向において、ハウジング6の内部へ向かう方向を「軸方向における内側」と称し、ハウジング6の外部へ向かう方向を「軸方向における外側」と称する。
ハウジング6は、シャフト2、回転子3及び固定子4を取り囲むように軸方向に沿って延びる筒状の本体部7と、軸方向における端部側に設けられる端壁部8と、を備える。端壁部8は、軸方向と直交する方向へ広がると共に、中央位置付近においては、ベアリング11を固定するための取付壁部9を備えている。本実施形態では、取付壁部9は、端壁部8において軸方向と直交する方向へ広がる部分から、軸方向に沿ってハウジング6の内部へ向かって延びている。取付壁部9は、シャフト2に対して外周側で対向するように配置されている。
次に、図2を参照して、本実施形態に係るシール構造100について詳細に説明する。図2は、図1に示すシール構造100周辺の拡大断面図である。シール構造100は、ハウジング6の外部からの流体が、シャフト2付近からハウジング6の内部へ侵入することを防止するための構造である。図2に示すように、シール構造100は、上述のシャフト2と、ベアリング11と、上述の取付壁部(壁部)9と、第1の封止部材20と、第2の封止部材21と、第3の封止部材30と、を備えている。
ベアリング11は、シャフト2に取り付けられる内輪12、当該内輪12の外周側に設けられる外輪13、及び内輪12と外輪13との間に設けられる転動体14を有する。内輪12は、断面略矩形状の環状の部材であり、軸方向における外側の端面12aと、軸方向における内側の端面12bと、内周面12cと、外周面12dと、を有している。外輪13は、断面略矩形状の環状の部材であり、軸方向における外側の端面13aと、軸方向における内側の端面13bと、内周面13cと、外周面13dと、を有している。また、内輪12の外周面12dと外輪13の内周面13cは、互いに径方向に対向するように配置されている。内輪12の外周面12dと外輪13の内周面13cとの間には、転動体14が配置される。なお、本実施形態においては、転動体14として球体の部材が採用されているが、形状は特に限定されず、円柱状、円錐台状等の形状であってもよい。内輪12の外周面12d及び外輪13の内周面13cには転動体14を収容するための溝部が設けられている。
内輪12は、シャフト2の外周面2bに対して内周面12cが当接するように、シャフト2に取り付けられている。また、シャフト2には、外周面2bの軸方向における内側に、外周側へ広がる段差面2cが形成されている。内輪12の軸方向における内側の端面12bは、段差面2cと当接することによって、軸方向に支持されている。
外輪13は、取付壁部9の内周面9aに対して外周面13dが当接するように、取付壁部9に取り付けられている。また、取付壁部9には、内周面9aの軸方向における外側に、内周側へ広がる段差面9bが形成されている。外輪13の軸方向における外側の端面13aは、段差面9bと当接することによって、軸方向に支持されている。また、外輪13の軸方向における内側の端面13bは、ベアリング止め部材16と当接することによって、軸方向に支持されている。ベアリング止め部材16は、取付壁部9の内周面9aに形成された凹状の嵌合部17に嵌合している。また、外輪13の外周面13dには、一対の溝部13eが形成されている。
第1の封止部材20は、取付壁部9と外輪13との間を封止する部材である。本実施形態では、第1の封止部材20は、外輪13の外周面13dに形成された溝部13eに収容されたOリングによって構成されている。これにより、第1の封止部材20は、外輪13の外周面13dと取付壁部9の内周面9aとの間を封止し、シール性を確保することができる。なお、第1の封止部材20の数量は特に限定されず、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
第2の封止部材21は、ベアリング11の内輪12と外輪13との間を封止する部材である。本実施形態では、第2の封止部材21は、転動体14に対して軸方向における内側及び外側に設けられたベアリングシールによって構成される。ベアリングシールは、内輪12と外輪13との間に形成された隙間を全周にわたって塞ぐ円環状のシール部材である。これにより、第2の封止部材21は、内輪12と外輪13との間を封止し、シール性を確保することができる。
図2及び図3に示すように、第3の封止部材30は、シャフト2に一体回転可能に装着される弾性部材で構成されるシール部材である。第3の封止部材30の材質としてゴム材等が挙げられる。第3の封止部材30は、断面L字状のリング形状を有しており、軸方向に延びる第1の部分30Aと、内周側へ延びる第2の部分30Bと、を有している。第2の部分30Bは、第1の部分30Aの軸方向における外側において、内周側へ屈曲している。第1の部分30Aは、軸方向における内側に位置する端面30Aaと、内周側に位置する側面30Abと、外周側に位置する側面30Acと、を有している。第2の部分30Bは、内周側に位置する端面30Baと、軸方向における外側に位置する側面30Bbと、軸方向における内側に位置する側面30Bcと、を有している。
上述のような構成を有する第3の封止部材30は、内輪12に対して、軸方向における外側に配置される。ここでは、第3の封止部材30は、内輪12の軸方向における外側の端面12aと、シャフト2の外周面2bとの間の角部付近に配置される。また、第1の部分30Aは、内輪12の端面12aを押圧するように配置され、第2の部分30Bは、シャフト2を押圧するように配置される。ここで、シャフト2の外周面2bには、径方向内側へ向かって窪む嵌合部35が形成される。第2の部分30Bは、当該嵌合部35に嵌合するように配置される。より具体的に、嵌合部35は、内輪12の端面12aから、軸方向における外側へ所定距離だけ離間した位置に、形成される。嵌合部35は、軸方向に延びる底面35aと、軸方向における外側に位置する側面35bと、軸方向における内側に位置する側面35cと、を備える。嵌合部35の底面35aは、シャフト2の外周面2bの一部を構成する。
第3の封止部材30の第1の部分30Aにおける端面30Aaは、内輪12の軸方向における外側の端面12aと当接する。また、第1の部分30Aの内周側の側面30Abは、シャフト2の外周面2bと当接する。第2の部分30Bにおける端面30Baは、嵌合部35の底面35aと当接する。第2の部分30Bの軸方向における外側の側面30Bbは、嵌合部35の側面35bと当接する。第2の部分30Bの軸方向における内側の側面30Bcは、嵌合部35の側面35cと当接する。このような構成により、第1の部分30Aの端面30Aaは、内輪12の軸方向における外側の端面12aを封止する第1の封止面31として機能する。また、第2の部分30Bの端面30Baは、シャフト2の外周面2bを構成する嵌合部35の底面35aを封止する第2の封止面32として機能する。また、嵌合部35は、第2の封止面32を収容する機能を有する。第1の封止面31には、複数(ここでは2つ)の溝部36が形成される。第2の封止面32には、複数(ここでは2つ)の溝部37が形成される。なお、第1の封止面31及び第2の封止面32におけるいずれか一方の溝部は省略されてよく、両方の溝部が省略されてもよい。
ここで、第3の封止部材30の寸法について説明する。第3の封止部材30の組み付け前における寸法のうち、第1の部分30Aの端面30Aaと第2の部分30Bの側面30Bbとの間の軸方向における寸法は、内輪12の端面12aと嵌合部35の側面35bとの間の軸方向における寸法L1よりも小さい。これにより、第3の封止部材30をシール構造100に組み付けることにより、第3の封止部材30の第1の部分30Aは圧縮され、これを支持する面には圧縮に伴う反力(押圧力)が作用する。従って、第1の封止面31は、内輪12に押圧力PFを付与し(図3参照)、当該部分におけるシール性を確保する。例えば、外部から内輪12の端面12aに沿って、内輪12とシャフト2との間へ浸入しようとする流体の流れW1は、第1の封止面31によって遮断される(図3参照)。また、第3の封止部材30の組み付け前における寸法のうち、第2の部分30Bの端面30Baの内径寸法は、嵌合部35の底面35aの外径寸法R1よりも小さい。これにより、第3の封止部材30をシール構造100に組み付けることにより、第3の封止部材30の第2の部分30Bを支持する面には収縮力が作用する。従って、第2の封止面32は、嵌合部35の底面35a、すなわちシャフト2の外周面2bに収縮力SFを付与し(図3参照)、当該部分におけるシール性を確保する。例えば、外部からシャフト2に沿って、内輪12とシャフト2との間へ浸入しようとする流体の流れW2は、第1の封止面31によって遮断される(図3参照)。
次に、本実施形態に係る回転装置のシャフトのシール構造100の作用・効果について説明する。
回転装置1のシャフト2のシール構造100は、軸方向に延びるシャフト2と、内輪12、外輪13及び転動体14を有するベアリング11と、外輪13を支持する取付壁部9と、を備える。このような構造において、外部から流体は、取付壁部9と外輪13との間、内輪12と外輪13との間、及びシャフト2と内輪12との間を浸入経路として、回転装置1の内部へ浸入し得る。これに対して、シール構造100は、取付壁部9と外輪13との間を封止する第1の封止部材20と、ベアリング11の内輪12と外輪13との間を封止する第2の封止部材21と、シャフト2と内輪12との間を封止する第3の封止部材30と、を備えている。従って、取付壁部9と外輪13との間からの流体の侵入は、第1の封止部材20によって防止される。また、内輪12と外輪13との間からの流体の侵入は、第2の封止部材21によって防止される。
ここで、第3の封止部材30は、シャフト2に一体回転可能に装着される弾性部材で構成されると共に、内輪12の軸方向における端面12aを封止する第1の封止面31、及びシャフト2の外周面2b(ここでは、嵌合部35の底面35a)を封止する第2の封止面32を有する。従って、第1の封止面31が、内輪12の軸方向における端面12aに対して弾性変形に伴う圧縮力を付与することで、当該端面12aを封止することができる。また、第2の封止面32が、シャフト2の外周面2bに対して弾性変形に伴う収縮力を付与することで、当該外周面2bを封止することができる。このように、内輪12の端面12aに沿って流体が侵入すること(図3に示す流れW1)を第1の封止面31が防止し、シャフト2の外周面2bに沿って流体が侵入すること(図3に示す流れW2)を第2の封止面32が防止することで、シャフト2と内輪12との間からの流体の侵入が防止される。以上のように、各封止部材20,21,30を配置するだけの簡便な構造にて、シール構造100のシール性を確保することができる。また、第3の封止部材30は、内輪12と共にシャフト2と一体となって回転することができ、各封止面31,32と各当接面(端面12a及び外周面2b)とが摺動しないため、第3の封止部材30の摩耗によるシール性の低下が発生しない。以上により、簡便な構造でありながら、シール構造100のシール性を向上できる。
また、大掛かりなシール構造を設ける場合に比して、各封止部材を設ければよいだけの構成であるため、シール構造を小型化できると共に、部品点数を減少させることもできる。また、組み付け工数も低減できる。
シャフト2の外周面2bには径方向内側へ向かって窪む嵌合部35が形成され、第3の封止部材30の第2の封止面32は、嵌合部35に収容されている。このような構造により、第3の封止部材30のうち第2の封止面32の周辺部分である第2の部分30Bが嵌合部35に嵌合する。この場合、嵌合部35が第3の封止部材30をその第1の部分30Aを圧縮した状態で支持することができるため、第1の封止面31を内輪12の端面12aに押圧することが可能となる。これにより、嵌合部35へ第3の封止部材30を嵌合させるだけの簡便な構造によって、シール性を確保することができる。
第3の封止部材30は、内輪12に対して、軸方向における外側に配置されている。このような構造により、シャフト2と内輪12との間からの流体の侵入が、軸方向における外側にて防止される。これにより、シャフト2と内輪12との間に流体が入り込むことも防止できる。
第3の封止部材30の第1の封止面31及び第2の封止面32には、溝部36,37が形成されていている。このような構造により、溝部36,37が形成された封止面31,32におけるシール性を向上できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、図4に示すようなシール構造200を採用してもよい。図4に示すシール構造200において、シャフト2には押圧リング201が設けられている。押圧リング201は、第3の封止部材30を内輪12の端面12aに向けて付勢することにより第1の部分30Aを圧縮し、内輪12の端面12aに対する第1の封止面31の軸方向における押圧力を発生させる。押圧リング201は、嵌合部35よりも軸方向における外側に設けられている。第3の封止部材30を押圧する押圧面201aは、嵌合部35の側面35bと軸方向における同位置に配置されている。これにより、押圧リング201は、押圧面201aにて第3の封止部材30を軸方向に付勢することができる。以上により、押圧リング201を設けるだけの簡便な構造により、第1の封止面31におけるシール性を確保することができる。なお、当該構造において、嵌合部35の側面35bに対応する部分が全て切り欠かれることにより、押圧リング201のみで第3の封止部材30を支持する構造であってもよい。
また、図5に示すようなシール構造300を採用してもよい。シール構造300では、軸方向における内側に第3の封止部材305が設けられている。具体的には、シャフト2は、内輪12から軸方向の内側へ離間した位置に段差面303を有すると共に、段差面303と外周面2bとの間の角部に、嵌合部304が形成されている。
第3の封止部材305は、断面L字状に屈曲した形状を有しており、軸方向に延びる第1の部分305Aと、内周側へ延びる第2の部分305Bと、を有している。第2の部分305Bは、第1の部分305Aの軸方向における内側において、内周側へ屈曲している。第1の部分305Aは、軸方向における外側に位置する端面305Aaと、内周側に位置する側面305Abと、外周側に位置する側面305Acと、を有している。第2の部分305Bは、内周側に位置する端面305Baと、軸方向における内側に位置する側面305Bbと、軸方向における外側に位置する側面305Bcと、を有している。
上述のような構成を有する第3の封止部材305は、内輪12に対して、軸方向における内側に配置される。ここでは、第3の封止部材305は、内輪12の軸方向における内側の端面12aと、シャフト2の外周面2bとの間の角部付近に配置される。また、第1の部分305Aは、内輪12の端面12bを押圧するように配置され、第2の部分305Bは、シャフト2を押圧するように配置される。ここで、嵌合部304は、内輪12の端面12bから、軸方向における内側へ所定距離だけ離間した位置に、形成される。嵌合部304は、軸方向に延びる底面304aと、軸方向における外側に位置する側面304bと、軸方向における内側に位置する側面304cと、を備える。嵌合部304の底面304aは、シャフト2の外周面2bの一部を構成する。
第3の封止部材305の第1の部分305Aにおける端面305Aaは、内輪12の軸方向における内側の端面12bと当接する。また、第1の部分305Aの内周側の側面305Abは、シャフト2の外周面2bと当接する。第2の部分305Bにおける端面305Baは、嵌合部304の底面304aと当接する。第2の部分305Bの軸方向における内側の側面305Bbは、嵌合部35の側面304cと当接する。第2の部分305Bの軸方向における外側の側面305Bcは、嵌合部35の側面304bと当接する。このような構成により、第1の部分305Aの端面305Aaは、内輪12の軸方向における内側の端面12bを封止する第1の封止面310として機能する。また、第2の部分305Bの端面305Baは、シャフト2の外周面2bを構成する嵌合部304の底面304aを封止する第2の封止面320として機能する。このように、第3の封止部材30は、シャフト2と内輪12との間の侵入経路を、軸方向における内側にて封止している。このような流体の流れの下流側で封止する構造であっても、請求項における「シャフトと内輪との間を封止する第3の封止部材」に該当する。
また、シャフト2には、押圧リング301が設けられている。押圧リング301は、内輪12の軸方向における外側に設けられており、軸方向の内側の端面301aにて、内輪12の端面12aを押圧している。押圧リング301は、内輪12を軸方向に付勢することにより第1の部分305Aを圧縮し、内輪12の端面12bに対する第1の封止面310の軸方向における押圧力を発生させることができる。
なお、回転装置の構成は図1に示すものに限定されず、適宜変更してよい。また、シャフトの形状やハウジングの取付壁部の形状も、上記実施形態及び変形例で示すものから適宜変更してよい。
1…回転装置、2…シャフト、9…取付壁部(壁部)、11…ベアリング、12…内輪、13…外輪、14…転動体、20…第1の封止部材、21…第2の封止部材、30,305…第3の封止部材、31,310…第1の封止面、32,320…第2の封止面、35,304…嵌合部、201,301…押圧リング、100…シール構造。
Claims (5)
- 軸方向に延びるシャフトと、
前記シャフトに取り付けられる内輪、当該内輪の外周側に設けられる外輪、及び前記内輪と前記外輪との間に設けられる転動体を有するベアリングと、
前記外輪を支持する壁部と、
前記壁部と前記外輪との間を封止する第1の封止部材と、
前記内輪と前記外輪との間を封止する第2の封止部材と、
前記シャフトと前記内輪との間を封止する第3の封止部材と、を備え、
前記第3の封止部材は、前記シャフトに一体回転可能に装着される弾性部材で構成されると共に、前記内輪の前記軸方向における端面を封止する第1の封止面、及び前記シャフトの外周面を封止する第2の封止面を有する、回転装置のシャフトのシール構造。 - 前記シャフトの前記外周面には径方向内側へ向かって窪む嵌合部が形成され、
前記第3の封止部材の前記第2の封止面は前記嵌合部に収容される、請求項1に記載の回転装置のシャフトのシール構造。 - 前記シャフトには、前記内輪及び前記第3の封止部材の一方を他方に対して前記軸方向に付勢することにより、前記内輪の前記端面に前記第1の封止面を押圧する押圧リングが設けられている、請求項1又は2に記載の回転装置のシャフトのシール構造。
- 前記第3の封止部材は、前記内輪に対して、前記軸方向における外側に配置される、請求項1〜3の何れか一項に記載の回転装置のシャフトのシール構造。
- 前記第3の封止部材の前記第1の封止面及び前記第2の封止面の少なくとも一方には、溝部が形成されている、請求項1〜4の何れか一項に記載の回転装置のシャフトのシール構造。
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