この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
図1に、この発明の実施形態で制御対象にする車両Veの駆動系統の一例を示してある。図1に示す車両Veは、エンジン(ENG)1、ならびに、第1モータ(MG1)2および第2モータ(MG2)3を動力源とするハイブリッド車両である。また、この図1に示す車両Veは、動力分割機構4、出力部材5、駆動輪6、上記各モータ2,3に電気的に接続されたバッテリ7、および、コントローラ8を備えている。
エンジン1は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼することにより動力を出力する内燃機関であり、出力の調整、ならびに、始動および停止の動作などが電気的に制御されるように構成されている。ガソリンエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料の供給量、点火の実行および停止、ならびに、点火時期などが電気的に制御される。
第1モータ2および第2モータ3は、いずれも、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。第1モータ2および第2モータ3は、それぞれ、回転数やトルクの調整、ならびに、モータとしての機能と発電機としての機能との切り替えなどを電気的に制御するように構成されている。また、第1モータ2と第2モータ3とは、バッテリ7や、図示しないインバータあるいはコンバータを介して、互いに電気的に接続されている。したがって、エンジン1から出力された動力の一部を第1モータ2で電力に変換し、その変換された電力を第2モータ3に供給し、第2モータ3を駆動することができる。そして、その際に第2モータ3が出力するトルクを駆動輪6に付加し、車両Veの駆動力を発生させることができる。なお、第1モータや第2モータをジェネレータとして機能させ、それらのモータで発電された電力を、バッテリ7に充電することもできる。
動力分割機構4は、例えば、入力要素、反力要素、および、出力要素(いずれも図示せず)の3つの回転要素を有する遊星歯車機構から構成されている。この動力分割機構4の入力要素にエンジン1が連結され、反力要素に第1モータ2が連結され、出力要素に出力部材5を介して駆動輪6が連結されている。出力部材5には、第2モータ3が駆動輪6へ動力伝達が可能なように連結されている。そして、動力分割機構4は、エンジン1が出力するトルクを、第1モータ2側と駆動輪6側とに分割して伝達する。また、第1モータ2が出力するトルクを駆動輪6側に伝達すること、および、第1モータ2が出力するトルクをエンジン1に伝達してエンジン1をモータリングすることも可能なように構成されている。
駆動輪6は、車両Veの前輪もしくは後輪である。あるいは、車両Veは、前輪および後輪を駆動輪6とする四輪駆動車であってもよい。駆動輪6を含む各車輪には、それぞれ、制動装置(図示せず)が設けられている。また、前輪もしくは後輪の少なくともいずれか一方には、車両Veの操舵を行う操舵装置(図示せず)が設けられている。
上記のような車両Veを制御するためのコントローラ(ECU)8が設けられている。コントローラ8は、例えばマイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置である。コントローラ8には、例えば、後述する外部センサ11、GPS受信部12、内部センサ13、地図データベース14、および、ナビゲーションシステム15などからの各種データが入力されるように構成されている。また、車両間通信システムからのデータが入力されるように構成することもできる。そして、コントローラ8は、入力された各種データおよび予め記憶させられているデータや計算式等を使用して演算を行うとともに、その演算結果を制御指令信号として出力し、後述するアクチュエータ16や補助機器17などの各制御対象の動作を制御するように構成されている。
図1に示す車両Veはハイブリッド車両であるので、コントローラ8によってエンジン1および各モータ2,3などをそれぞれ制御することにより、ハイブリッド走行モード(以下、HVモード)およびモータ走行モード(以下、EVモード)を設定して走行することが可能である。HVモードは、エンジン1を稼動させた状態で走行する(HV走行する)走行モードである。図1に示す車両Veでは、エンジン1の出力トルクだけで走行する場合、あるいは、エンジン1の出力トルクと第1モータ2および第2モータ3の少なくともいずれかの出力トルクとを併用して走行する場合も、このHVモードに含まれる。なお、この発明の実施形態では、後述する図13に示すようなシリーズハイブリッド方式の車両Veにおいて、エンジン1を稼動させてモータ(発電機)を駆動する場合も、このHVモードに含まれる。一方、EVモードは、いわゆる電気自動車として走行する(EV走行する)走行モードであって、エンジン1を停止した状態で、モータの出力トルクによって走行する走行モードである。図1に示す車両Veでは、第2モータ3の出力トルクだけで走行する場合、あるいは、第1モータ2の出力トルクと第2モータ3の出力トルクとを併用して走行する場合も、このEVモードに含まれる。
さらに、この発明の実施形態で制御対象とする車両Veは、車両Veの運転操作を人が行うことなく自動制御して走行させる自動運転が可能である。この発明の実施形態において定義している自動運転とは、走行環境の認識や周辺状況の監視、ならびに、発進・加速、操舵、および、制動・停止などの全ての運転操作を、全て車両Veの制御システムが行う自動運転である。例えば、NHTSA[米国運輸省道路交通安全局]が策定した自動化レベルにおける「レベル4」、あるいは、米国のSAE[Society of Automotive Engineers]が策定した自動化レベルにおける「レベル4」および「レベル5」に該当する高度自動運転もしくは完全自動運転である。したがって、この発明の実施形態で制御対象とする車両Veは、車内に搭乗者(運転者、同乗者、および、乗客など)が存在しない状況であっても自動運転によって走行することが可能である。すなわち、車両Veは、車内に搭乗者が存在する状態で自動運転によって走行する有人自動運転と、車内に搭乗者が存在しない状態で自動運転によって走行する無人自動運転とが可能である。なお、車両Veは、例えば上記のSAEの自動化レベルにおける「レベル4」で定義されているように、自動運転で走行する自動運転モードと、車両Veの運転操作を運転者が行う手動運転モードとを選択できる構成であってもよい。
上記のような自動運転を実施するコントローラ8の一例を、図2に示してある。コントローラ8には、外部センサ11、GPS受信部12、内部センサ13、地図データベース14、および、ナビゲーションシステム15などからの検出信号や情報信号が入力されるように構成されている。なお、図2では、1つのコントローラ8が設けられた例を示しているが、コントローラ8は、例えば、制御する装置や機器毎に、あるいは、制御内容に応じて、複数設けられていてもよい。
外部センサ11は、車両Veの外部における走行環境や周辺状況を検出する。外部センサ11としては、例えば、車載カメラ、RADAR[Radio Detection and Ranging]、LIDAR[Laser Imaging Detection and Ranging]、および、超音波センサなどが設けられている。外部センサ11として、上記の各センサの全てが設けられていてもよく、あるいは、上記の各センサのうちの少なくとも1つが設けられた構成であってもよい。
例えば、車載カメラは、車両Veの前方および側方に設置され、車両Veの外部状況に関する撮像情報をコントローラ8に送信する。車載カメラは、単眼カメラであってもよく、あるいはステレオカメラであってもよい。単眼カメラは、ステレオカメラと比較して、小型で低コストであり、車両Veへの取り付けが容易である。ステレオカメラは、両眼視差を再現するように配置された複数の撮像部を有している。ステレオカメラの撮像情報によれば、認識対象物の奥行き方向の情報も得ることができる。
RADARは、ミリ波やマイクロ波などの電波を利用して車両Veの外部の他車両や障害物等を検出し、その検出データをコントローラ8に送信する。例えば、電波を車両Veの周囲に放射し、他車両や障害物等に当たって反射された電波を受信して測定・分析することにより、他車両や障害物等を検出するように構成されている。
LIDAR(もしくは、レーザーセンサ、レーザースキャナー)は、レーザー光を利用して車両Veの外部の他車両や障害物等を検出し、その検出データをコントローラ8に送信する。例えば、レーザー光を車両Veの周囲に放射し、他車両や障害物等に当たって反射されたレーザー光を受光して測定・分析することにより、他車両や障害物等を検出するように構成されている。
超音波センサは、超音波を利用して車両Veの外部の他車両や障害物等を検出し、その検出データをコントローラ8に送信する。例えば、超音波を車両Veの周囲に放射し、他車両や障害物等に当たって反射された超音波を受信して測定・分析することにより、他車両や障害物等を検出するように構成されている。
GPS受信部12は、複数のGPS[Global Positioning System]衛星からの電波を受信することにより、車両Veの位置(例えば、車両Veの緯度および経度)を測定し、その位置情報をコントローラ8に送信する。
内部センサ13は、車両Veの走行状態および各部の作動状態や挙動等を検出する。内部センサ13としては、例えば、車速を検出する車速センサ、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ、各モータ2,3の回転数をそれぞれ検出するモータ回転数センサ(もしくはレゾルバ)、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキセンサ(もしくはブレーキスイッチ)、操舵装置の舵角を検出する舵角センサ、車両Veの前後加速度を検出する前後加速度センサ、車両Veの横加速度を検出する横加速度センサ、車両Veのヨーレートを検出するヨーレートセンサ、各モータ2,3との間で電力を授受するバッテリ7の充電状態(充電残量;SOC)を検出するバッテリセンサ、ならびに、座席上に着席する搭乗者を検知する着座センサ、シートベルトの着装の有無を検出するシートベルト着装センサ、車内の搭乗者の有無を検知する生体センサあるいは動体検知センサ、エンジン1やインバータを冷却する冷却水の温度やエンジン1あるいは各モータ2,3などの各装置の温度をそれぞれ検出するセンサ、後述するフィルター46の圧力損失を検出するセンサ48などが設けられている。
地図データベース14は、地図情報を蓄積したデータベースであり、例えば、コントローラ8内に形成されている。あるいは、車両Veと通信可能な情報処理センタなどの外部施設のコンピュータに記憶されたデータを利用することもできる。
ナビゲーションシステム15は、GPS受信部12が測定した車両Veの位置情報と、地図データベース14の地図情報とに基づいて、車両Veの走行ルートを算出するように構成されている。
上記のような外部センサ11、GPS受信部12、内部センサ13、地図データベース14、および、ナビゲーションシステム15などからの検出データや情報データが、コントローラ8に入力される。そして、コントローラ8は、入力された各種データおよび予め記憶させられているデータ等を使用して演算を行い、その演算結果を基に、車両Ve各部のアクチュエータ16および補助機器17などに対して、制御指令信号を出力するように構成されている。
アクチュエータ16は、車両Veを自動運転で走行させる際に、車両Veの発進・加速、操舵、および、制動・停止などの運転操作に関与し、エンジン1や各モータ2,3、制動装置、および、操舵装置などを制御するための作動装置である。主なアクチュエータ16としては、例えば、スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、および、操舵アクチュエータなどが設けられている。前述したように、図1に示す車両Veは、動力源としてエンジン1ならびに第1モータ2および第2モータ3を備えている。したがって、このアクチュエータ16には、エンジン1ならびに第1モータ2および第2モータ3を制御するためのアクチュエータや操作機器等が含まれる。
例えば、スロットルアクチュエータは、コントローラ8から出力される制御信号に応じてエンジン1のスロットルバルブの開度や第1モータ2および第2モータ3に対する供給電力を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータは、コントローラ8から出力される制御信号に応じて制動装置を作動させ、各車輪へ付与する制動力を制御するように構成されている。操舵アクチュエータは、コントローラ8から出力される制御信号に応じて電動パワーステアリング装置のアシストモータを駆動し、操舵装置における操舵トルクを制御するように構成されている。
補助機器17は、上記のアクチュエータ16に含まれない機器もしくは装置であり、例えば、ワイパー、前照灯、方向指示器、エアコンディショナ、オーディオ装置など、車両Veの運転操作に直接には関与しない機器・装置である。
コントローラ8は、車両Veを自動運転で走行させるための主な制御部として、例えば、車両位置認識部18、外部状況認識部19、走行状態認識部20、走行計画生成部21、走行制御部22、および、補助機器制御部23などを有している。
車両位置認識部18は、GPS受信部12で受信した車両Veの位置情報および地図データベース14の地図情報に基づいて、地図上における車両Veの現在位置を認識するように構成されている。なお、ナビゲーションシステム15で用いられる車両Veの位置を、そのナビゲーションシステム15から得ることもできる。あるいは、道路上や道路脇の外部に設置されたセンサやサインポスト等で車両Veの位置を測定可能な場合は、そのセンサとの通信によって現在位置を得ることもできる。
外部状況認識部19は、例えば車載カメラの撮像情報やRADARもしくはLIDARの検出データに基づいて、車両Veの外部状況を認識するように構成されている。外部状況としては、例えば、走行車線の位置、道路幅、道路の形状、路面勾配、および、車両周辺の障害物に関する情報等が得られる。また、走行環境として車両周辺の気象情報や路面の摩擦係数などを検出してもよい。
走行状態認識部20は、内部センサ13の各種検出データに基づいて、車両Veの走行状態を認識するように構成されている。車両Veの走行状態としては、例えば、車速、前後加速度、横加速度、および、ヨーレートなどが入力される。
走行計画生成部21は、例えば、ナビゲーションシステム15で演算された目標ルート、車両位置認識部18で認識された車両Veの現在位置、および、外部状況認識部19で認識された外部状況等に基づいて、車両Veの進路を生成するように構成されている。進路は、目標ルートに沿って車両Veが進行する経路である。また、走行計画生成部21は、目標ルート上で、安全に走行すること、法令を順守して走行すること、および、効率よく走行すること等の基準に沿って、車両Veが適切に走行することができるように進路を生成する。そして、走行計画生成部21は、生成した進路に応じた走行計画を生成するように構成されている。具体的には、少なくとも、外部状況認識部19で認識された外部状況および地図データベース14の地図情報に基づいて、予め設定された目標ルートに沿った走行計画が生成される。
走行計画は、車両Veの将来の駆動力要求を含む車両の走行状態を設定したものであり、例えば、現在時刻から数秒先の将来のデータが生成される。また、車両Veの外部状況や走行状況によっては、現在時刻から数十秒先の将来のデータが生成される。走行計画は、例えば、目標ルートに沿った進路を車両Veが走行する際に、車速、加速度、および、操舵トルク等の推移を示すデータとして走行計画生成部21から出力される。
また、走行計画は、車両Veの速度パターン、加速度パターン、および、操舵パターンとして走行計画生成部21から出力することもできる。速度パターンとは、例えば、進路上に所定間隔で設定された目標制御位置に対して、各目標制御位置毎に時間に関連付けられて設定された目標車速からなるデータである。加速度パターンとは、例えば、進路上に所定間隔で設定された目標制御位置に対して、各目標制御位置毎に時間に関連付けられて設定された目標加速度からなるデータである。操舵パターンとは、例えば、進路上に所定間隔で設定された目標制御位置に対して、各目標制御位置毎に時間に関連付けられて設定された目標操舵トルクからなるデータである。
走行制御部22は、走行計画生成部21で生成された走行計画に基づいて、車両Veの走行を自動で制御するように構成されている。具体的には、走行計画に応じた制御信号が、スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、および、操舵アクチュエータ等のアクチュエータ16に対して出力される。また、エンジン1ならびに第1モータ2および第2モータ3に対して、上記のような走行計画に応じた制御信号が出力されてもよい。
補助機器制御部23は、走行計画生成部21で生成された走行計画に基づいて、補助機器17を自動で制御するように構成されている。具体的には、走行計画に応じた制御信号が、必要に応じて、ワイパー、前照灯、方向指示器、エアコンディショナ、オーディオ装置等の補助機器17に対して出力される。
なお、上述したような走行計画に基づいて車両Veを自動運転で走行させる制御に関しては、例えば、特開2016−99713号公報に記載されている。この車両Veは、特開2016−99713号公報に記載されている内容や、その他の自動運転に関する制御技術を適用して、上述した高度自動運転あるいは完全自動運転による走行が可能なように構成されている。
ここで、エンジン1の構成の一例について説明する。図3は、エンジン1の構成を説明するための模式図であり、エンジン1の本体部24には、4つのシリンダ25が設けられている。また、それぞれのシリンダ25に燃料を噴射するための電子制御式燃料噴射弁26が設けられているとともに、それぞれのシリンダ25には、吸気マニホールド27と排気マニホールド28とがそれぞれ連通している。なお、吸気マニホールド27とシリンダ25との連結部には、図示しない吸気弁が設けられ、また排気マニホールド28とシリンダ25との連結部には、図示しない排気弁が設けられており、図示しないピストンの動作に連動して吸気弁や排気弁が開閉するように構成されている。
また、吸気マニホールド27は、吸気ダクト29を介して排気ターボチャージャ30のコンプレッサ30cの出口に連結され、コンプレッサ30cの入口は、エアフロメータ31を介してエアクリーナ32に連結されている。吸気ダクト29内には電気制御式スロットル弁33が設けられ、更に吸気ダクト29回りには、吸気ダクト29内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置34が設けられている。一方、排気マニホールド28は、排気ターボチャージャ30の排気タービン30tの入口に連結され、排気タービン30tの出口は浄化装置35に連結されている。
排気マニホールド28と吸気マニホールド27とは排気ガス再循環通路(以下、EGR通路と記す)36を介して互いに連結され、EGR通路36内には電気制御式EGR制御弁37が設けられている。また、EGR通路36周りにはEGR通路36内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置38が設けられている。一方、各燃料噴射弁26は燃料供給管39を介してコモンレール40に連結されている。このコモンレール40内へは電気制御式の吐出量可変は燃料ポンプ41を介して燃料タンク42から燃料が供給され、コモンレール40内に供給された燃料は各燃料供給管39を介して燃料噴射弁26に供給される。
浄化装置35は排気タービン30tの出口に連結された第1排気管43と、第1排気管43に連結された触媒コンバータ44と、触媒コンバータ44に連結された第2排気管45とを備えている。触媒コンバータ44内には、従来知られているウォールフロー型のパティキュレートフィルター(以下、単にフィルターと記す)46が設けられている。
触媒コンバータ44には、フィルター46の温度を検出するための温度センサ47と、フィルター46の圧力損失を検出するための圧力損失センサ48が設けられている。なお、圧力損失センサ48に代えて、フィルター46の上流側と下流側とにそれぞれ圧力センサを設け、それらの圧力センサで検出された圧力差から、圧力損失を求めてもよい。
一方、排気マニホールド28には燃料添加弁49が取り付けられている。この燃料添加弁49にはコモンレール40から燃料が添加され、燃料添加弁49から排気マニホールド28内に燃料が添加される。なお、燃料添加弁49は、シリンダ25から浄化装置35に到る流路内に燃料を添加できる位置に設けられていればよく、したがって、第1排気管43に燃料添加弁49が設けられていてもよい。
上記のエンジン1は、燃料を燃焼することにより動力を出力するように構成されており、その燃料の燃焼に伴って生じる窒素酸化物(NOx)を窒素に還元するために、前述したように触媒コンバータ44が設けられている。この触媒コンバータ44は、貴金属により構成されているものであるから、燃料の燃焼により生じる硫黄酸化物(SOx)が、次第に触媒コンバータ44の反応面に吸着する。そのため、触媒コンバータ44におけるNOxを還元する機能が低下する。このような現象は、硫黄被毒と称される。また、フィルター46は、燃料の燃焼に伴って生じる粒子状物質(PM)を捕集するものであるから、次第にフィルター46の目減りが生じ、そのため、排気を充分に外部に排出することができず、エンジン1の出力が低下し、またはフィルター46により捕集可能なPM量が飽和状態になると、外部にPMが排出されることとなりPMを捕集するというフィルター46の機能が低下する可能性がある。
上記のような硫黄被毒やフィルター46の目減りを解消するための制御が従来知られている。具体的には、硫黄被毒を解消するための制御(以下、触媒再生制御と記す)は、触媒コンバータ44の温度を予め定められた所定の温度まで昇温させて硫黄酸化物を触媒コンバータ44から脱離させる制御であり、フィルター46の目減りを解消するための制御(以下、PM除去制御と記す)は、フィルター46の温度を予め定められた所定の温度まで昇温させるとともに、フィルター46の設けられている箇所の酸素量を増大させて、フィルター46に堆積したPMを燃焼させて除去する制御である。なお、触媒再生制御における触媒コンバータ44の目標温度と、PM除去制御におけるフィルター46の目標温度とはほぼ同一である。
一方、上記の触媒再生制御やPM除去制御による触媒コンバータ44やフィルター46の昇温は、エンジン1の出力や運転状態を変化させて行うことがある。具体的には、エンジン1が燃費が良好な運転点から外れた運転点で運転することや、要求駆動力に基づく動力以上の動力を出力すること、あるいはエンジン1の点火時期を遅らせる点火遅角制御を実行することがある。そのような場合には、燃費が悪化する可能性があるため、上記各制御を実行する頻度を少なくすることが好ましい。また、各制御を実行した場合には、上述したようなエンジン1の出力や運転状態の変化が生じるため、ショックや異音が生じる可能性がある。したがって、この発明の実施形態における制御装置は、無人自動運転時に、触媒再生制御やPM除去制御が実行されるように構成されている。
その制御の一例を説明するためフローチャートを図4に示している。なお、図4に示す例は、PM除去制御が、無人自動運転時に実行されるように構成された制御例である。この制御例は、まず、PM除去制御を実行する必要があるか否かを判断する(ステップS1)。このステップS1は、従来知られているPM除去制御を実行する条件と同様に、フィルター46の前後差圧ΔPが、予め定められた所定圧以上であるか否かを判断することができる。なお、ステップS1は、車両Veの走行モードに拘わらず判断してよく、搭乗者の運転操作に従って走行するマニュアルモードで走行している時や、有人自動運転で走行している時、あるいは無人自動運転で走行している時に判断することができる。
PM除去制御を実行する必要がなく、ステップS1で否定的に判断された場合には、そのままこのルーチンを一旦終了する。それとは反対に、PM除去制御を実行する必要があり、ステップS1で肯定的に判断された場合には、ついで、無人自動運転中か否かを判断する(ステップS2)。このステップS2は、自動運転中であることと、車内に搭乗者が存在しないこととの少なくとも二つの条件が成立した場合に肯定的に判断される。また、自動運転であるか否かは、例えば、車内あるいは車外からコントローラ8に自動運転を実行する指示があったか否か、あるいは予めタイマーなどにより自動運転を実行する時刻が定められ、その時刻を経過しているか否かなどにより判断することができ、要はコントローラ8で実行されるいずれかのプログラムにより、自動運転を実行するためのフラグがオンされているか否かにより判断することができる。
さらに、車内に搭乗者が存在しないか否かは、例えば、赤外線センサやドップラーセンサなどの生体センサあるいは動体検知センサを設け、搭乗者の体温や動作を検知することにより判断することができる。上記のような専用のセンサを利用することにより、確実に搭乗者の有無を判断することができる。また、車室内に設けられている装置の操作状況または作動状態に基づいて、搭乗者の有無を判断することもできる。例えば、パワースイッチあるいはイグニションキースイッチやスタートボタンスイッチがONに操作された場合や、着座センサが座席上に人が乗っていることを検知した場合に、車内に搭乗者が存在すると判断される。
無人自動運転中でなく、ステップS2で否定的に判断された場合には、そのままこのルーチンを一旦終了する。それとは反対に、無人自動運転中であることによりステップS2で肯定的に判断された場合には、ついで、走行ルートを検討する走行検討制御が実行される(ステップS3)。この走行検討制御は、ナビゲーションシステム15で演算された目標ルートを走行した場合に、PMを除去することができるか否かを判断し、PMを除去できないときには、目的地に到着するまでの間にPMを除去することができる走行ルートを生成するように構成されている。
その走行検討制御の制御の一例を図5に示してある。図5に示す制御例では、まず、上記のようにナビゲーションシステム15で演算された目標ルートから走行負荷と走行時間とを予測する(ステップS31)。具体的には、目標ルートを走行する際の平均車速から走行負荷や走行時間を予測する。なお、走行負荷や走行時間は、渋滞情報や信号情報などの外部から入力されるデータなどを考慮して予測してもよい。
ついで、ステップS31で予測された走行負荷や走行時間に基づいて、PM除去制御を実行することによりPMを除去することができるか否かを判断する(ステップS32)。上述したようにPM除去制御は、エンジン1の出力を増大させてフィルター46を昇温する。そのようにエンジン1の出力を増大させることにより駆動力が変化しないように、図1に示す車両Veでは、エンジン1の出力を増大させた分の動力を、第1モータ2により電気エネルギーに変換させる。すなわち、第1モータ2を発電機として機能させ、発電された電力をバッテリ7に充電する。したがって、ステップS32では、PM除去制御を実行することに伴って発電される電力を、バッテリ7に充電できるか否か、すなわち、PM除去制御を実行することに伴って生じる電力をバッテリ7に充電した場合に、バッテリ7のSOCの上限値以下となるか否かを判断してもよい。言い換えれば、バッテリ7に許容される充電量を第1モータ2が発電する程度の動力をエンジン1が出力することにより、フィルター46がPMを除去することができる温度まで昇温するか否かを判断してもよい。
なお、ステップS32を実行した時点では、SOCが高い場合であっても、目標ルートのうちの初期の走行区間をEVモードにより走行してSOCを低下させ、残りの走行区間をHVモードで走行することにより、PMを除去することができるか否かを判断してもよい。
目標ルートを走行すればPMを除去することができ、ステップS32で肯定的に判断された場合には、図5における制御を一旦終了する。すなわち、後述するステップS4に移行する。それとは反対に、目標ルートを走行するとPMを除去することができず、ステップS32で否定的に判断された場合には、PMを除去することができる走行ルートを再計算し、目標ルートを再計算された走行ルートに書き換えて(ステップS33)、図5における制御を一旦終了する。ステップS33は、例えば、既存の目標ルートとは異なる他の走行ルートをナビゲーションシステム15で検索し、その検索された走行ルートを走行した場合にPMを除去することができるか否かを判断する。すなわち、目標ルートを検索された走行ルートに書き換えて上記ステップS32を実行する。そして、上記の走行ルートを繰り返し検索し、かつ検索された走行ルートを走行した場合にPMを除去することができるか否かを判断することにより、ステップS32で肯定的に判断される走行ルートを検索する。そして、ステップS32で肯定的に判断される走行ルートを、目標ルートとして書き換える。
上記ステップS3についで、PM除去制御を実行して(ステップS4)、このルーチンを一旦終了する。図6は、ステップS4の制御内容を具体的に説明するためのフローチャートであり、まず、PM除去制御を実行することができる走行区間を走行しているか否かを判断する(ステップS41)。このステップS41は、エンジン1の出力を増大させることができる走行路を走行しているか否かを判断するためのステップであって、例えば、駆動走行する走行区間か否かなどにより判断することができる。
PM除去制御を実行することができない走行区間を走行しており、ステップS41で否定的に判断された場合には、そのままこのルーチンを一旦終了する。それとは反対に、PM除去制御を実行することができる走行区間を走行しており、ステップS42で肯定的に判断された場合は、PM除去制御を実行する条件が成立しているか否かを判断する(ステップS42)。PM除去制御は、PMを燃焼させるものであるため、アイドリング時などと比較して二酸化炭素(CO2)が多く排出される。そのため、ステップS42における条件の一例として、車両Veの周辺環境が含まれる。具体的には、周辺に人間や動物がいないこと、住宅街ではないこと、車庫やタワー型の駐車場などの閉鎖された空間でないことなどであり、上記の全ての条件を満たしている場合に、ステップS42の条件が成立していると判断することができる。なお、周辺に人間や動物がいないか否かは、赤外線センサや車載カメラなどのデータに基づいて判断することができ、住宅街ではないこと、車庫やタワー型の駐車場などの閉鎖された空間でないことは、外部状況認識部19により判断することができる。
また、PM除去制御は、上述したようにフィルター46を昇温させる工程(昇温制御)を有している。そのフィルター46の昇温は、エンジン1の出力(パワー)を増大させることにより達成できる。このようにエンジン1の出力を増大させると、車両Veの駆動力が増大することになるため、駆動力の変化を抑制するためにエンジン1の出力を増大させた分のエネルギーを、第1モータ2または第2モータ3で回生する。すなわちバッテリ7に充電する。したがって、バッテリ7の充電量が過度に増大する可能性がある。さらに、エンジン1の出力を増大させることによりエンジン1の温度が過度に増大する可能性があり、また増大させたエンジン1の出力分のエネルギーを第1モータ2または第2モータ3で回生することにより第1モータ2や第2モータ3あるいはそれらのモータ2,3を制御するためのインバータの温度が過度に増大する可能性がある。さらに、エンジン1の出力を増大させることにより燃料が過度に減少する。
そのような車両Veの状態(運転状態)もステップS42における条件として含んでもよい。具体的には、PM除去制御を実行することによりバッテリ7に入力される電力量を予測し、その予測された電力量をバッテリ7が充電できること、すなわち入力電力量(Win)が所定の電力量以下であり、またSOCが所定値以下であること、各モータ2,3やインバータの温度が所定の温度以下であること、エンジン1を冷却する冷却水やインバータを冷却する冷却水の温度が所定の温度以下であること、燃料の残量が所定量以上であることなどを条件とし、それらの条件を全て満たしている場合に、ステップS42の条件が成立していると判断することができる。なお、予測された電力量をバッテリ7が充電できるか否かは、電力量に加えてバッテリ7の温度(周辺温度であってもよい)を考慮して判断してもよい。
PM除去制御を実行する条件が成立しておらず、ステップS42で否定的に判断された場合は、そのままこのルーチンを一旦終了する。それとは反対に、PM除去制御を実行する条件が成立しており、ステップS42で肯定的に判断された場合には、PM除去制御を実行する。具体的には、まず、バッテリ7に充電するべき電力量Wに、エンジン1の出力を増大させるための電力量W1を加算して、エンジン1の出力Peを設定する(ステップS43)。すなわち、PM除去制御を実行していない場合に設定されるエンジン1の出力Peと比較してエンジン1の出力Peを増大させる。これは、エンジン1の出力Peを定めるパラメータに、車両Veに要求される動力とバッテリ7に充電する電力とが含まれているためである。ステップS43における電力量W1は、エンジン1の出力Peが増大することによりフィルター46の温度がPMを燃焼可能な温度まで増大することができる電力量に定められている。なお、ステップS43は、バッテリ7の受け入れを補償しつつ、排気ガスの流量を増大させて迅速にフィルター46の温度を上昇させることができればよく、第1電力量W1は、走行中と停車中とで分けて設定してもよい。
また、ステップS43におけるエンジン1の出力Peの増大に加えて、燃料添加弁49から第1排気管43内に燃料を添加して、第1排気管43内で未燃燃料の燃焼反応を生じさせ、第1排気管43内の温度を上昇させてもよい。さらに、ステップS43におけるエンジン1の出力Peの増大に加えて、または置き換えて、エンジン1の点火時期を遅らせる遅角制御を実行してもよい。
ついで、フィルター46の温度Tが予め定められた所定温度T1以上となったか否かを判断する(ステップS44)。このステップS44におけるフィルター46の温度Tは、温度センサ47により検出してもよく、エンジン1の負荷などに応じてフィルター46の温度を推定してもよい。なお、所定温度T1は、フィルター46の設けられている箇所の酸素量を増大させることで、PMを燃焼させることができる温度である。
フィルター46の温度Tが所定温度T1未満であり、ステップS44で否定的に判断された場合には、そのままこのルーチンを一旦終了する。それとは反対に、フィルター46の温度Tが所定温度T1以上であって、ステップS44で肯定的に判断された場合には、フィルター46の設けられている箇所の酸素量を増大させる吸気制御を実行して(ステップS45)、このルーチンを終了する。このステップS45における吸気制御の一例は、シリンダ25に供給する混合気の空燃比(A/F)を大きくすることである。このように空燃比を大きくすることにより、排気に含まれる酸素量が比較的多くなるため、フィルター46が設けられている箇所に供給される酸素量を増大させることができる。または、第1モータ2によりエンジン1の回転数を増大させてもよい。これは、エンジン回転数を増大させることにより、単位時間にシリンダ25から排出される排気の流量が増大し、フィルター46が設けられている箇所に供給される酸素量を増大させることができるためである。
上述したように制御することにより、PM除去制御は、無人自動運転時にのみ実行される。したがって、搭乗者がいるときにPM除去制御が実行されることがないため、PM除去制御の実行に伴う振動や異音が発生したとしても、搭乗者がその振動や異音を感じることがなく、その結果、搭乗者に違和感や不快感が生じることを抑制することができる。
また、上述したハイブリッド車両は、第1モータ2を発電機として機能させることにより、エンジン1の出力を増大させたとしても駆動力が変化することを抑制することができる。そのため、走行負荷が低い走行状態であっても、車速や駆動力を変化させることなく、エンジン1の出力を増大させること、すなわちPM除去制御を実行することができる。
さらに、予め定められた目標ルートを走行するとした場合に、PMを除去することができないときには、PMを除去することができる走行ルートに目標ルートを変更するため、無人自動運転中にPM除去制御を実行する機会を増加させることができる。
またさらに、PM除去制御を実行する条件に周辺環境の状態を含むことにより、周囲の人に不快感を与えることを抑制することや、閉鎖された空間で排気が充満することを抑制することができる。
また、上述したようにPM除去制御を実行すると、エンジン1の出力を増大させ、また条件に応じて走行ルートが変更されるため、PM除去制御を実行した後に、人が搭乗した時に燃料の残量が、搭乗者が意図した量よりも低下している可能性があり、搭乗者に違和感が生じる可能性がある。そのため、この発明の実施形態における制御例では、無人自動運転中にPM除去制御を実行したことを搭乗者に知らせるように構成されている。その制御例を図7に示している。図7に示す例では、まず、無人自動運転中にPM除去制御を実行したか否かを判断する(ステップS71)。このステップS71は、例えば、上記ステップS45を実行した後に、PM除去制御を実行したことを示すフラグをオンに切り替え、そのフラグがオンになっているか否かに基づいて判断することができる。
無人自動運転中にPM除去制御を実行しておらず、ステップS71で否定的に判断された場合には、そのままこのルーチンを一旦終了する。それとは反対に、無人自動運転中にPM除去制御を実行しており、ステップS71で肯定的に判断された場合には、無人自動運転中にPM除去制御を実行したことを搭乗者に知らせて(ステップS72)、このルーチンを一旦終了する。このステップS72は、例えば、無人自動運転中にPM除去制御を実行したことをインストルメントパネルに表示して搭乗者に知らせてもよく、無人自動運転中にPM除去制御を実行したことを音声により搭乗者に知らせてもよく、搭乗者に知らせる手段は特に限定されない。なお、ステップS72を実行した後に、PM除去制御を実行したことを示すフラグをオフに切り替えることが好ましい。
上述したように無人自動運転中にPM除去制御を実行したことを搭乗者に知らせることにより、燃料の残量が意図した量よりも減少していることによる違和感や不快感が搭乗者に生じることを抑制することができる。
なお、この発明の実施形態における「除去制御」は、上記のPM除去制御に限らず、触媒コンバータ44に吸着した硫黄酸化物を脱離させて触媒コンバータ44の機能を回復させる触媒再生制御を対象としたものであってもよい。その場合には、図4におけるステップS1では、触媒コンバータ44に吸着した硫黄酸化物を除去する触媒再生制御を実行する必要があるか否かを判断すればよい。具体的には、触媒コンバータ44の外周部のうちのいずれかの位置に、触媒コンバータ44の内部に向けて光を照射する発光部を設け、触媒コンバータ44の外周部のうち発光部に対向した位置に発光部から照射された光を受ける受光部を設け、発光部から出力された光量と受光部で受けた光量との偏差などから触媒コンバータ44に吸着した硫黄酸化物を検出し、その検出された硫黄酸化物の量が所定量以上か否かを判断すればよい。また、触媒再生制御は、触媒コンバータ44に酸素を供給する制御を有していなくてもよいので、上記ステップS44およびステップS45を行わなくてもよい。すなわち、ステップS43が、触媒再生制御となる。なお、他のステップは、同様のステップとしてよい。
このように触媒再生制御を対象とした場合であっても、PM除去制御と同様の効果を奏することができる。
この発明の実施形態で制御対象とする車両Veは、前述の図1に示した構成の車両Veに限定されるものではない。この発明の実施形態では、一例として、以下の図8から図15に示すような構成の車両を制御対象にすることができる。なお、図8から図15に示す各車両Veにおいて、図1に示す車両Veまたは既出した図に示す車両Veと構成や機能が同じ部材については、図1または既出した図と同じ参照符号を付けてある。
例えば、図8に示す車両Veは、前述の図1に示した車両Veと同様に、エンジン1ならびに第1モータ2および第2モータ3を動力源とするハイブリッド車両である。前述の図1に示した車両Veは、動力分割機構4の入力要素にエンジン1が連結され、反力要素に第1モータ2が連結され、出力要素に出力部材5および第2モータ3が連結された、いわゆる入力スプリット方式と称することのできる構成のハイブリッド車両である。それに対して、この図8に示す車両Veは、動力分割機構4の入力要素にエンジン1および第2モータ3が連結され、反力要素に第1モータ2が連結され、出力要素に出力部材5が連結された、いわゆる出力スプリット方式と称することのできる構成のハイブリッド車両である。
図9に示す車両Veは、前述の図1に示した車両Veと同様に、動力源として、エンジン1ならびに第1モータ2および第2モータ3を動力源とするハイブリッド車両である。また、動力分割機構50、出力部材5、駆動輪6、および、コントローラ8を備えている。動力分割機構50は、例えば、2個の遊星歯車機構を組み合わせた複合遊星歯車機構によって構成され、入力要素および出力要素を含む4つの回転要素が形成されている。動力分割機構50の入力要素にエンジン1が連結され、出力要素に出力部材5を介して駆動輪6が連結されている。残り2つの回転要素に第1モータ2および第2モータ3がそれぞれ連結されている。動力分割機構50は、上記のように複合遊星歯車機構の各回転要素の連結関係を切り替えるクラッチや回転を規制するブレーキなどの係合機構(図示せず)を備えており、係合機構の動作を制御することにより、入力要素と出力要素との間の変速比を変化させる変速機構としての機能も有している。したがって、この図9に示す車両Veは、いわゆる複合スプリット方式と称することのできる構成のハイブリッド車両である。
図10、図11、図12に示す車両Veは、いわゆるパラレルハイブリッド方式のハイブリッド車両であり、動力源として、エンジン1およびモータ(MG)51を備えている。また、変速機52、出力部材5、駆動輪6、および、コントローラ8を備えている。モータ51は、前述の第1モータ2および第2モータ3と同様に、発電機能を有するモータ・ジェネレータである。変速機52は、複数の変速段を設定すること、もしくは、変速比を無段階に変化させることが可能な自動変速機である。図10に示す車両Veは、変速機52の入力側にエンジン1が連結され、変速機52の出力側に出力部材5およびモータ51が連結されている。図11および図12に示す車両Veは、変速機52の入力側にエンジン1およびモータ51が連結され、変速機52の出力側に出力部材5を介して駆動輪6が連結されている。さらに、図12に示す車両Veは、エンジン1と変速機52との間の動力伝達を遮断するためのクラッチ53が設けられている。
図13に示す車両Veは、いわゆるシリーズハイブリッド方式のハイブリッド車両であり、動力源として、エンジン(ENG)61ならびに第1モータ(MG1)62および第2モータ(MG2)63を備えている。また、出力部材5、駆動輪6、および、コントローラ8を備えている。エンジン61は、前述のエンジン1と同様に、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関である。第1モータ62および第2モータ63は、前述の第1モータ2および第2モータ3と同様に、発電機能を有するモータ・ジェネレータである。なお、第1モータ62は、発電機能のみを有する発電機であってもよい。この図13に示す車両Veでは、エンジン61と第1モータ62とが連結されている。したがって、エンジン61の出力によって第1モータ62を駆動し、第1モータ62で発電させることができる。また、出力部材5を介して第2モータ62と駆動輪6とが連結されている。第1モータ62と第2モータ63とは、例えばバッテリ7やインバータあるいはコンバータ(いずれも図示せず)を介して、互いに電気的に接続されている。したがって、第1モータ62で発生させた電力を第2モータ63に供給し、第2モータ63を駆動することができる。
図14に示す車両Veは、上記の図13に示す車両Veと同様に、動力源として、エンジン61ならびに第1モータ62および第2モータ63を備えている。また、出力部材5、駆動輪6、および、コントローラ8を備えている。さらに、エンジン61と出力部材5とを選択的に連結するクラッチ64を備えている。すなわち、この図14に示す車両Veは、上記の図13に示す車両Veの構成に対してクラッチ64が設けられている。クラッチ64を開放した状態では、上記の図13に示す車両Veと同様に、いわゆるシリーズハイブリッド方式のハイブリッド車両として機能し、クラッチ64を係合した状態では、いわゆるパラレルハイブリッド方式のハイブリッド車両として機能する。
そして、図15に示す車両Veは、動力源としてエンジン71を備えている。また、変速機72、出力部材5、駆動輪6、および、コントローラ8を備えている。エンジン71は、前述のエンジン1やエンジン61と同様に、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関である。変速機72は、複数の変速段を設定すること、もしくは、変速比を無段階に変化させることが可能な自動変速機である。図15に示す車両Veは、変速機72の入力側にエンジン71が連結され、変速機72の出力側に出力部材5が連結されている。すなわち、この図15に示す車両Veは、ハイブリッド車両ではなく、エンジン71のみを駆動力源とする従来一般的な車両(エンジン車両)である。この発明の実施形態では、ハイブリッド車両に限らず、この図15に示す車両Veのようなエンジン車両も制御対象にすることができる。