JP2018083972A - スパッタリング装置及び膜の製造方法 - Google Patents

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Junya Kotori
準也 小鳥
星野 和弘
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Abstract

【課題】長期間に亘って安定して所望の膜厚の膜を形成する。
【解決手段】スパッタリング装置は、ターゲット及び成膜対象物が配置されるチャンバ、チャンバ内のプラズマ光を受けて光の強度値Iを補正部201に出力する受光部160、及び反応性ガスOの流量を調整する流量調整器133を備えている。補正部201は、光の強度値Iを補正係数kで補正し、PID制御部202は、補正後の光の強度値k×Iを用いて反応性ガスOの流量を制御する。校正部206は、反応性ガスOの流量の基準値Qに対する、成膜を行っているときに測定した反応性ガスOの流量の測定値QO2の大小関係により、補正係数kを校正する。
【選択図】図4

Description

本発明は、反応性スパッタリングにより成膜対象物に膜を形成するスパッタリング装置、及び膜の製造方法に関する。
スパッタリングは、光学薄膜や半導体集積回路等の種々の成膜対象物に成膜する用途に活用されている。化合物の薄膜を成膜対象物に形成するスパッタリングとしては、化合物のターゲットを高周波放電でスパッタする高周波スパッタリングと、反応性ガスをチャンバ内に導入して金属のターゲットをスパッタする反応性スパッタリングとがある。近年、コストダウンや生産性の向上の要求から、反応性スパッタリングが用いられている。
反応性スパッタリングは、成膜速度や膜質の異なる3つの状態が存在することが知られている。3つの状態は、金属モード、遷移モード、化合物モードと呼ばれている。化合物モードは、反応性モードとも呼ばれている。反応性ガスがターゲット表面の原子と反応することで、ターゲットの表面が化合物で被覆される。化合物モードでは、ターゲットの表面の化合物化は十分であるが、成膜速度は遅い。金属モードでは、ターゲットの表面の化合物化は不十分であるが、成膜速度は速い。遷移モードでは、ターゲットの表面において化合物と金属とが混在し、化合物モードに比べて成膜速度は速いが、反応性ガスの流量などのプロセス条件が僅かに変動するだけで成膜速度が大きく変動する、不安定な状態である。これらの現象に関しては、反応性ガスの収支をモデル化したベルグモデルとして知られている(非特許文献1)。また、直流スパッタの平衡状態のマクロモデルとして、動的なベルグモデルが知られている(非特許文献2)。
成膜制御方法としては、プラズマエミッションモニタ制御、即ちPEM制御が知られている(特許文献1)。PEM制御は、受光部を用いてプラズマ光をモニタリングし、PID制御などのフィードバック制御により安定した成膜を行う方法である。また、PEM制御と並行して、プラズマ光の強度と成膜した膜厚との相関関係から膜厚を推定し、推定の膜厚値が目標膜厚値に達するまで成膜する制御を行うことも知られている。
特許第5932448号公報
S.Berg,H.O.Blom,T.Larsson,and C.Nender:J.Vac.Sci.Technol.A,5,(1987),202 T.Kubart, O.Kappertz, T.Nyberg, S.Berg / Thin Solid Films 515(2006) P.421−424 "Dynamic behaviour of the reactive sputtering process"
PEM制御を行うスパッタリング装置では、受光部で受光されたプラズマ光の強度値、又は光の強度値から求まる推定の成膜速度値が目標値に近づくようにプロセス量、例えば反応性ガスの流量をフィードバック制御している。しかし、PEM制御を行うスパッタリング装置を長期間に亘って使用すると、上述したフィードバック制御において、成膜後の膜厚が目標膜厚からずれることがあった。例えば、受光部を構成する部品のうち、チャンバの内部に配置される部品、例えば受光部のレンズにも着膜するため、受光部にて受光される光の強度が着膜量に応じて変化する。このため、光の強度値をフィードバックして成膜すると、成膜対象物に形成される膜の膜厚が目標膜厚に対してずれることがあった。また、ターゲットの消耗などによりターゲットと成膜対象物との距離などの装置固有のパラメータが変わる場合には、成膜対象物に到達する粒子の割合が変わるため、成膜対象物に形成される膜の膜厚が目標膜厚に対してずれることがあった。また、メンテナンスを行った場合にも、メンテナンス前後で部品の配置関係がずれることがあり、成膜対象物に形成される膜の膜厚が目標膜厚に対してずれることがあった。
そこで、本発明は、長期間に亘って安定して所望の膜厚の膜を形成することを目的とする。
本発明のスパッタリング装置は、成膜対象物及びターゲットが配置されるチャンバと、前記チャンバの内部に反応性ガスを供給する反応性ガス供給部と、前記チャンバの内部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、前記ターゲットに電力を供給して前記チャンバの内部にプラズマを発生させ、前記プラズマ中の前記不活性ガスのイオンを前記ターゲットに衝突させる電源と、前記プラズマが発する光を受ける受光部と、前記受光部にて受けた光の強度値を補正データで補正し、補正後の光の強度値を用いて、前記反応性ガスの流量、前記不活性ガスの流量及び前記電源の出力のうち少なくとも1つのプロセス量をフィードバック制御する制御処理を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記プロセス量の基準値に対する、前記制御処理にて成膜を行っているときに測定した前記プロセス量の測定値の大小関係により、前記補正データを校正する校正処理を行うことを特徴とする。
本発明によれば、長期間に亘って安定して所望の膜厚の膜を形成することができる。
第1実施形態に係るスパッタリング装置を示す説明図である。 (a)は、第1実施形態におけるコリメータを示す断面図である。(b)は、第1実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 (a)及び(b)は、反応性ガスの流量に対する成膜速度の関係を示す図である。 第1実施形態に係るスパッタリング装置の制御系の機能ブロック図である。 第1実施形態においてスパッタリング装置を校正する際の手順を示すフローチャートである。 放電開始してからの時刻と、光強度との関係を示す図である。 (a)は、光学系が変動した場合の成膜速度の変化を示す説明図である。(b)は、装置固有のパラメータが変動した場合の成膜速度の変化を示す説明図である。 判定テーブルを示す図である。 第2実施形態に係るスパッタリング装置の制御系の機能ブロック図である。 (a)〜(d)は、実施例におけるシミュレーション結果を示す図である。 (a)及び(b)は、実施例におけるシミュレーション結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るスパッタリング装置を示す説明図である。スパッタリング装置100は、第1実施形態ではDCマグネトロンスパッタリング装置である。スパッタリング装置100は、反応性スパッタリングにより、成膜対象物であるレンズ基板Wの表面に反射防止膜等の薄膜を形成する。スパッタリング装置100によってレンズ基板Wの表面に薄膜を形成することにより、最終品であるレンズ、又はレンズの中間品等の成膜品が製造される。
スパッタリング装置100は、真空に減圧されるチャンバ、即ち真空チャンバ101と、コントローラ200とを備えている。真空チャンバ101は、ポンプ120により排気され、真空チャンバ101内の圧力を示す圧力値Pが所定の圧力値となるように減圧保持される。真空チャンバ101内の圧力は、圧力計170にて測定される。圧力計170は、真空計である。圧力計170は、コントローラ200に信号線で接続されている。
真空チャンバ101の内部には、ターゲット141及びレンズ基板Wが配置される。ターゲット141は、真空チャンバ101の内部に配置されたバッキングプレート142に保持される。ターゲット141は、金属等の膜材であり、例えばSiである。
レンズ基板Wは、ターゲット141に対向する位置に配置されたホルダ152に保持される。ホルダ152は、駆動装置151により回転軸を中心に回転駆動される。ホルダ152は、複数のレンズ基板Wを保持することができ、回転軸を中心に回転することにより、複数のレンズ基板Wを、回転軸を中心に公転させる。
真空チャンバ101には、反応性ガスの流量を調整する流量調整器133と、反応性ガスを真空チャンバ101内に導入するガス導入ライン134とを有する反応性ガス供給部131が接続されている。即ち、流量調整器133と真空チャンバ101とがガス導入ライン134で接続されている。流量調整器133には、反応性ガスの供給源であるガスボンベ139が接続されている。
流量調整器133は、マスフローコントローラであり、コントローラ200に信号線で接続されている。流量調整器133は、コントローラ200から入力を受けた反応性ガスの目標流量値QO2 に従ってガス導入ライン134を通過する反応性ガスの流量を調整する。また、流量調整器133は、反応性ガスの流量を示す流量値QO2をコントローラ200へ送信する。
ガス導入ライン134は、レンズ基板Wとターゲット141の間であってターゲット141の近傍に配置されたリング状の管135を有しており、管135に等間隔で設けられた複数の孔から均一に反応性ガスが噴き出される。このような構成の反応性ガス供給部131により真空チャンバ101の内部に反応性ガスが供給される。反応性ガスは、レンズ基板Wに化合物の膜を形成するためのガスである。形成する膜が例えばSiOなどの酸化物膜の場合、反応性ガスはOガスである。
また、真空チャンバ101には、不活性ガスの流量を調整する流量調整器136と、流量が調整された不活性ガスを真空チャンバ101内に導入するガス導入ライン137とを有する不活性ガス供給部132が接続されている。即ち、流量調整器136と真空チャンバ101とがガス導入ライン137で接続されている。なお、流量調整器136には、不活性ガスの供給源であるガスボンベ140が接続されている。
流量調整器136は、マスフローコントローラであり、コントローラ200に信号線で接続されている。流量調整器136は、コントローラ200から入力を受けた不活性ガスの目標流量値QAr に従ってガス導入ライン137を通過する不活性ガスの流量を調整する。また、流量調整器136は、不活性ガスの流量を示す流量値QArをコントローラ200へ送信する。
ガス導入ライン137は、レンズ基板Wとターゲット141との間であってターゲット141の近傍に配置されたリング状の管138を有しており、管138に等間隔で設けられた複数の孔から均一に不活性ガスが噴き出される。このような構成の不活性ガス供給部132により真空チャンバ101の内部に不活性ガスが供給される。不活性ガスは、真空チャンバ101内でプラズマを発生させるためのガスであり、例えばArガスである。
ターゲット141、即ちバッキングプレート142には、スパッタ電源である電源145が接続されている。電源145は、直流のパルス電源であり、ターゲット141、即ちバッキングプレート142をカソードとし、真空チャンバ101をアノードとするものである。ターゲット141に負の電圧が印加されることで、ターゲット141の近傍にプラズマが発生する。電源145は、コントローラ200に信号線で接続されている。電源145は、コントローラ200から入力を受けた目標出力電力値P に従って、ターゲット141に印加する出力電力を制御する。そして電源145は、出力電力を示す出力電力値Pをコントローラ200へ送信する。
ターゲット141の温度上昇を抑制するためにバッキングプレート142の背面近傍には、冷却水によりターゲット141を冷却する冷却系143が配置されている。ターゲット141、即ちバッキングプレート142の背面近傍には、マグネット144が設置されており、低電圧、高密度のプラズマを生成することができる。
反応性ガスが流量調整器133により真空チャンバ101の内部に導入されると、反応性ガスがターゲット141の原子と反応してターゲット141の表面に化合物の膜が形成される。不活性ガスの導入中に、電源145の出力電力がターゲット141に供給されると、真空チャンバ101の内部、具体的にはターゲット141の前方に放電が発生する。発生した放電により不活性ガスがイオン化、即ちプラズマが発生する。プラズマ中の不活性ガスのイオンがターゲット141に衝突して、ターゲット141の表面をスパッタする。不活性ガスのイオンによってスパッタされた粒子は、ターゲット141の前方に放出され、レンズ基板Wに金属酸化膜を形成する。
スパッタリング装置100は、プラズマが発する光を受ける受光部160を備えている。受光部160は、コリメータ161と、分光器162とを有する。コリメータ161と分光器162とは、光ファイバ163で接続されている。コリメータ161は、真空チャンバ101の内部であって、ターゲット141の表面近傍に、ターゲット141の表面と平行な向きに配置され、プラズマ光を集光する。
図2(a)は、第1実施形態における受光部160のコリメータ161を示す断面図である。コリメータ161は、真空チャンバ101内に設置され、光ファイバ163に光を集光させるコリメートレンズ31と、コリメートレンズ31を囲うカバー30とを有する。光ファイバ163は、カバー30側に配置されたコネクタ32と、光ファイバ163に取りつけられたコネクタ33との接続により、カバー30に固定される。
分光器162は、回折格子及びCCDセンサを有する。分光器162は、コリメータ161から光ファイバ163を介して取得したプラズマ光を分光分析して、所定波長毎の光のスペクトル強度、即ち光の強度を示す情報である光の強度値Iを電気信号としてコントローラ200へ送信する。以下、光の強度値Iをモニタ値Iともいう。なお、分光器162の代わりに、バンドパスフィルタ(BPF)及び光電子増倍管(PMT)で光強度を測定する構成にしてもよい。コントローラ200は、受光部160の分光器162から、信号線を通じて、光の強度値Iを電気信号で取得する。
また、コントローラ200には、膜厚計180が信号線で接続されている。膜厚計180は、例えば光学式膜厚計であり、真空チャンバ101の外部に配置される。膜厚計180は、真空チャンバ101の内部から取り出されたレンズ基板Wの表面に形成された膜の膜厚を測定することができる。膜厚計180は、実測した膜厚値THをコントローラ200へ信号線を介して送信する。膜厚計180は成膜後に膜厚を実測することはできるが、成膜中に膜厚を実測することはできないため、成膜中はコントローラ200において膜厚を推定することになる。
図2(b)は、第1実施形態におけるコントローラ200の構成を示すブロック図である。コントローラ200は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)251を備えている。また、コントローラ200は、ROM(Read Only Memory)252、RAM(Random Access Memory)253、及びHDD(Hard Disk Drive)254を備えている。また、コントローラ200は、インタフェース255を備えている。
CPU251には、ROM252、RAM253、HDD254及びインタフェース255が、バスを介して接続されている。ROM252には、CPU251を動作させる基本プログラムが格納されている。RAM253は、CPU251の演算処理結果等、各種データを一時的に記憶する記憶装置である。HDD254は、CPU251の演算処理結果や外部から取得した設定データ等を記憶する記憶装置であると共に、CPU251に、後述する各種演算処理、即ち膜の製造方法の各工程を実行させるためのプログラム260を記録するものである。また、HDD254には、目標成膜速度値D、不活性ガスの目標流量値QAr 及び目標膜厚値TH等の各種のデータが記憶されている。
インタフェース255には、膜厚計180、受光部160、圧力計170、ポンプ120、電源145、流量調整器133,136が接続されている。インタフェース255は、膜厚値TH、光強度値I、圧力値P、出力電力値P、反応性ガスの流量値QO2及び不活性ガスの流量値QArなどの情報を電気信号として入力を受ける。インタフェース255は、入力を受けた電気信号を、必要に応じてCPU251にて処理可能な電気信号に変換する。
図3(a)及び図3(b)は、反応性ガスの流量に対する成膜速度の関係を示す図である。図3を用いて反応性スパッタリングにおける反応性ガスの流量と成膜速度との関係について説明する。反応性スパッタリングでは、ターゲット141の表面状態として、成膜速度や膜質の異なる3つのモードが存在する。3つのモードは、金属モード、化合物モード、及び金属モードと化合物モードとの間の遷移モードである。この3つのモードが存在する原因は、反応性ガスがターゲット141の表面の原子と反応し、ターゲット141の表面が化合物で被覆されることにある。
化合物モードは、図3(a)及び図3(b)中のガス流量領域QIIIであり、ターゲット141の表面の化合物を維持するのに十分な量の反応性ガスが存在する状態である。この化合物モードの場合、十分に反応が進み化学量論比を満足する化合物を得やすいが、他の2つのモードに比べ成膜速度が遅い。ターゲット141の表面の化合物膜の結合力やターゲット材料と化合物膜との結合力は、金属などのターゲット材料の結合力よりも強い。これらの結合を切り、ターゲット141をスパッタして化合物をたたき出すには、より多くのエネルギーが必要になるため、化合物のスパッタ率は金属のスパッタ率よりも低くなり、その結果、成膜速度が遅くなる。
金属モードは、図3(a)及び図3(b)中のガス流量領域Qであり、ターゲット141の表面を化合物化するのに十分な量の反応性ガスが存在せず、ターゲット141の表面が化合物よりも金属の割合が高い状態である。その結果、成膜速度は化合物モードよりも速くなるが、形成される薄膜は、反応が十分に進んでいない金属的なものとなる。したがって、必要な膜機能が実現できないことが多い。
遷移モードは、図3(a)及び図3(b)中のガス流量領域QIIであり、化合物モードと金属モードとの中間にあたる量の反応性ガスが存在する状態である。ターゲット141の表面は部分的に化合物が形成され、化合物と金属とが混在する。そのため、成膜速度は化合物モードよりも速くなるが、不安定な状態である。
図3(a)のA点にあたる化合物モードから反応性ガスの流量を減少させる場合を考える。B点までは、ターゲット141の表面は化合物で被覆されている。ガス流量領域QIIでは、ターゲット141の表面の化合物がスパッタされて金属表面が出現したとしても、金属表面はすぐに反応性ガスと反応して再び化合物で被覆される。B点よりさらに反応性ガス流量を減少させると、ターゲット141の表面に出現する金属表面を化合物化するのに必要な反応性ガス量が不足する。すると化合物スパッタだけではなく、金属表面から金属スパッタも始まる。金属スパッタにより生じた金属粒子は、導入している反応性ガスの一部と反応する。そのため、ターゲット141の金属表面の反応に使用される反応性ガスがさらに不足する。その結果、急激にターゲット141の表面の金属モードの割合が高くなり、破線のように化合物モードのB点から金属モードのD点に移行する。金属モードから反応性ガスの流量を増加させる場合にも同様に急激な状態変化が起こり、破線に沿って金属モードのC点から化合物モードのA点に移行する。結果として、図3(a)に示すように、反応性スパッタリングでは、反応性ガスの流量と成膜速度との関係がヒステリシス曲線となる。なお、条件によっては、図3(b)に示すように、ヒステリシス曲線とならないこともある。第1実施形態では、化合物モードよりも成膜速度の速い遷移モードにおいて、プラズマエミッションモニタ制御、即ちPEM制御にて成膜を行う。
PEM制御においてモニタする特定波長のピーク発光強度は、材料固有の情報を含んでおり、ターゲット141からスパッタされた金属原子や反応性ガスの原子又は分子などの励起状態にある物理量に対応付けることができる。したがって、PEM制御にて取得した発光強度と、形成された膜の膜厚との相関関係を用い、発光強度から成膜した膜厚を推定するモデルを構築し、プロセス中の膜厚制御を行うことができる。
図4は、第1実施形態に係るスパッタリング装置の制御系の機能ブロック図である。図2(b)に示すCPU251は、プログラム260を実行することにより、図4に示す補正部201、PID制御部202、推定部203、推定部204、判定部205及び校正部206として機能する。補正部201、PID制御部202、推定部203、推定部204及び判定部205は、実際にレンズ基板Wに成膜を行う制御工程、即ち制御処理を行い、校正部206は、制御処理にて用いるパラメータを校正する校正工程、即ち校正処理を行う。また、図2(b)に示すHDD254は、記憶部211、記憶部212、記憶部213、記憶部214、記憶部215及び記憶部216として機能する。記憶部211には、後述する補正係数kが記憶され、記憶部212には、後述する変換係数Kが記憶されている。また、記憶部213には、光強度の目標である目標強度値Iが記憶され、記憶部214には、膜厚の目標である目標膜厚値THが記憶され、記憶部215には、後述する反応性ガスの流量の基準値Qが記憶されている。また、記憶部216には、後述する閾値TTH、所定値δ及び判定テーブルTAが記憶されている。
まず、補正部201、PID制御部202、推定部203、推定部204及び判定部205において成膜制御を行う制御処理について説明する。受光部160から取り込まれる発光強度のモニタ値Iは、プロセスを繰り返すことにより、種々の要因により、経時的に、又は清掃などのメンテナンスの際の特定のタイミングで変動する。これらの要因とは、コリメートレンズ31への着膜による光の減衰、光ファイバ163を交換する場合の光ファイバ163の機差、コネクタ33の着脱よるコリメートレンズ31と光ファイバ163との相対位置の変化などである。そのため受光部160のモニタ値Iの変動、すなわち光学系の変動を補正する補正係数kを導入する。
補正部201は、受光部160より取得された強度値Iを補正データである補正係数kで補正する。具体的には、補正部201は、強度値Iに補正係数kを乗算することで、強度値Iを補正する。補正係数kは、0以上の値の定数である。補正係数kの初期値は、k=1と定義しておき、後述する校正処理の度に変更する。ここで、補正部201は、所定の周期、例えば10[msec]の周期で強度値Iを取得する度に補正計算を行う。
PID制御部202は、補正後の光の強度値k×Iを用いて、反応性ガスOの流量、不活性ガスArの流量及び電源145の出力のうち少なくとも1つのプロセス量をフィードバック制御する。第1実施形態では、プロセス量は、反応性ガスOの流量である。
PID制御部202のフィードバック制御について具体的に説明すると、PID制御部202は、光の強度値k×Iが目標強度値Iに近づくように、反応性ガスOの流量の目標である目標流量値QO2 を求める。そして、PID制御部202は、目標流量値QO2 を示す電気信号を流量調整器133へ送信する。流量調整器133は、指令を受けた目標流量値QO2 となるように反応性ガスOの流量を調整する。これにより、PID制御部202は、光の強度値k×Iが目標強度値Iに近づくように、反応性ガスOの流量を制御する。
また、推定部203、推定部204及び判定部205において、補正後の光の強度値k×Iを用いて推定の膜厚値THを求め、推定の膜厚値THが目標膜厚値THに達するまで成膜する制御を行う。
以下、発光強度から膜厚を推定するモデルの原理について説明する。プロセスプラズマは、通常、常時給電状態であり空間的粒子輸送が支配的な電離進行プラズマである。また低気圧放電を用いるプロセスプラズマの分野で高密度と呼ばれる電子密度は1017m−3のオーダにある。これらのことは文献「プラズマ診断の基礎と応用(プラズマ・核融合学会:ISBN 4−339−00782−X)」に記載されている。
プロセスプラズマの発光状態およびエネルギー準位の占有密度分布は、コロナ平衡と考えてよい。コロナ平衡の場合、準安定状態からの励起と解離性励起が無視できるため、基底状態からの励起と自然放出による励起状態の崩壊を考えればよい。基底状態のスパッタ粒子Xに電子eが衝突することによる電子衝突励起は(1)式のようになる。
X+e→X+e … (1)
励起されたスパッタ粒子が自然放出によりh×νの光を放出する過程を(2)式に示す。
→X+h×ν … (2)
(2)式に示す、放出される光の波長νは、例えばSiの場合251[nm]前後の波長、Nbであれば410[nm]前後の波長である。(1)式及び(2)式から放電空間内の粒子数により発光量が決まる。スパッタされた粒子がレンズ基板Wの方向へと飛ぶ場合のスパッタ粒子XのフラックスをF、観測される発光強度をIとした場合、発光強度Iは、フラックスFに比例する。
∝F … (3)
レンズ基板Wに成膜される膜の成膜速度をDとすると、成膜速度DはフラックスFに比例する。(3)式からフラックスFを発光強度Iの関数として表現すると、成膜速度Dは(4)式のように表される。
D=K×F(I) … (4)
ここでKは、フラックスFの値、即ち発光強度Iに比例した値を成膜速度Dに変換する変換係数である。変換係数Kは、ターゲット141とレンズ基板Wとの距離やそれぞれの姿勢といったターゲット141とレンズ基板Wとに関わる装置固有のパラメータと、膜の密度などの成膜される膜種により決まる定数である。
推定部203は、光の強度と成膜速度との対応データを示すに基づき、補正後の光の強度値k×Iから推定の成膜速度値Dを求める。ここで、推定部203は、発光強度Iとして、補正後の光の強度値k×Iの入力を受ける。したがって、以下の(5)式の関係となるため、(4)式は以下の(6)式となる。光の強度と成膜速度との対応データとは、変換係数Kである。
=k×I … (5)
D=K×F(k×I) … (6)
よって、推定部203は、入力値k×Iから、(6)式により、推定の成膜速度値Dを求める。具体的には、推定部203は、(6)式のように、補正後の光の強度値k×Iに比例する値F(k×I)を、変換係数Kを用いて変換する、即ち値F(k×I)に変換係数Kを乗算することにより、推定の成膜速度値Dを求める。なお、第1実施形態では、推定部203は、光の強度と成膜速度とが比例関係にあるものとして、光の強度値から成膜速度値を推定したが、推定の方法はこれに限定するものではない。
推定部204は、推定の成膜速度値Dを時間積算して推定の膜厚値THを求める。具体的には、推定部204は、補正後の光の強度値k×Iを上述した所定の周期で取得するため、光の強度値k×Iに所定の周期の時間を掛け算し、この演算結果を積算することにより、推定の膜厚値THを求める。このように、光の強度と膜厚との間には、相関性があるため、式(6)のようなモデルを構築することにより、膜厚を推定することができる。
判定部205は、推定の膜厚値THが目標膜厚値THに達したか否かを判定し、推定の膜厚値THが目標膜厚値THに達した時点で、成膜のプロセスを終了させる。多層膜を成膜する場合は上記のプロセスを指定層数分繰り返す。
ところで、補正係数kと変換係数Kは、スパッタリング装置100を長期間に亘って使用すると、上述した制御処理によって形成した膜の膜厚が目標とする膜厚からずれることがあったため、あるタイミングで校正が必要である。例えば、長期間の成膜によりコリメートレンズ31に着膜した場合、又はターゲット141の消耗などによりターゲット141とレンズ基板Wとの距離が変わった場合などに校正が必要である。また、例えばターゲット141やコリメートレンズ31、光ファイバ163の交換作業、コリメートレンズ31に付着した膜の除去作業、コネクタ33の着脱作業等のメンテナンス作業を行った直後においても校正が必要である。即ち、光学系の経時的な変動により補正係数kを校正する必要がある場合と、ターゲット141とレンズ基板Wとの幾何学的配置といった装置固有のパラメータの変動により変換係数Kを校正する必要がある場合とがある。ここで、係数k,Kを校正するとは、記憶部211,212に記憶されている係数k,Kを更新することである。
第1実施形態では、スパッタリング装置100の校正、即ち係数k,Kの校正を行うために、校正用に用意したレンズ基板Wに、校正前の係数k,Kを用いて成膜する制御処理を行う。そして、制御処理中に測定した測定結果と、膜厚の実測値とを用いて、係数k,Kを校正する。以下、校正方法について詳細に説明する。図5は、第1実施形態においてスパッタリング装置を校正する際の手順を示すフローチャートである。
まず、校正用のレシピとして、PID制御部202は目標強度値Iを取得し、判定部205は目標膜厚値THを取得し、校正部206は反応性ガスの基準値Q、閾値TTH、所定値δ、判定テーブルTAを取得する(S1)。ホルダ152には、校正用に用意したレンズ基板Wをセットしておく。この状態で、成膜のプロセス、即ち制御処理を開始する(S2)。
校正部206は、制御処理にて成膜を行っているときに反応性ガスOの流量を測定した測定結果である測定値QO2を流量調整器133から取得し、HDD254等に記録する(S3)。この測定値QO2は、光の強度値Iが安定したときの値である。
図6は、放電開始してからの時刻と、光強度との関係を示す図である。放電開始した直後は、光強度値k×Iが低く、図3(a)又は図3(b)に示す化合物モードである。この状態から反応性ガスOの流量を低下させていくと、化合物モードから遷移モードへと移行し、光強度値k×Iが図6に示すように上昇していく。そして、光強度値k×Iは、遷移モードにおいて目標強度値Iに近づいていき、時刻T1を過ぎると一定値に安定した定常状態となる。なお、この定常状態を静定状態ともいう。このように、校正部206は、光強度値k×Iが一定値に安定したときに測定した反応性ガスOの流量の測定値QO2を取得する。判定部205は、推定の膜厚値THが目標膜厚値THに達したら、成膜のプロセス、即ち制御処理を終了する(S4)。
次に、成膜終了した成膜品について、膜厚計180により膜厚を測定する。校正部206は、膜厚計180により実測した膜厚値THを取得する(S5)。そして、校正部206は、膜厚値THと目標膜厚値THとの偏差ΔTH(=|TH−TH|)を計算する(S6)。第1実施形態において偏差ΔTHは、膜厚値THと目標膜厚値THとの差の絶対値である。なお、成膜終了時において推定の膜厚値THは目標膜厚値THと同じ値となっている。したがって、校正部206は、ステップS6において膜厚値THと目標膜厚値THとの偏差の計算の代わりに、実測した膜厚値THと成膜終了時の推定の膜厚値THとの偏差を計算してもよい。
次に、校正部206は、偏差ΔTHと閾値TTHとを比較する(S7)。例えば、校正部206は、偏差ΔTHが閾値TTH以上であるか否かを判断する。偏差ΔTHが閾値未満の場合(S7:No)、即ち、実測した膜厚値THが目標膜厚値THに近い場合は、係数k,Kの校正の必要はない。したがって、そのまま校正処理を終了してもよいが、第1実施形態では、校正部206は、ステップS3で取得した反応性ガスOの流量の測定値QO2を基準値Qに設定し(S11)、処理を終了する。つまり、校正部206は、記憶部215に記憶されている基準値Qを更新する。このように、実測した膜厚値THが目標膜厚値THに近い場合には、そのときに測定された測定値QO2に基準値Qを更新する。
校正部206は、偏差ΔTHが閾値TTHを超える場合、第1実施形態では偏差ΔTHが閾値TTH以上の場合(S7:Yes)、判定テーブルTAに従い、係数k,Kのうちいずれを校正するのかを判定する(S8)。そして、校正部206は、判定の結果、係数k又は係数Kを校正する校正処理を実行する(S9,S10)。その後、ステップS2の処理に移行する。ホルダ152には、校正用に用意した、前回の校正に使用したレンズ基板とは別のレンズ基板Wをセットしておく。そして、再度、レンズ基板Wに対して成膜する。
以下、ステップS8の判定について詳細に説明する。図7(a)は、光学系が変動した場合の成膜速度の変化を示す説明図である。図7(a)中の点Pは、PID制御部202により、光の強度値k×Iが目標強度値Iに制御されている定常状態を示し、点Pの状態で推定された成膜速度と、実際の成膜速度とが一致しているものとする。
経時変化により光学系が変動し、受光部160におけるモニタ値Iが減少した場合、プラズマの発光強度を増加させる、つまり光の強度値k×Iが目標強度値Iに増加するよう、反応性ガスOの流量をフィードバック制御する。すなわち反応性ガスOの流量を減少させ、ターゲット141の表面への反応性ガスOの供給量を減らし、金属モード寄りの成膜条件へとシフトさせる。これによりターゲット粒子のフラックスFが増加し、実際の成膜速度は、図7(a)中の点Pの位置へと移る。即ち、反応性ガスOの測定値QO2が基準値Qよりも小さくなり、かつ推定の成膜速度よりも実際の成膜速度が速い点Pの位置へ制御状態が変動する。その結果、実測される膜厚値THは目標膜厚値THよりも増加する。この場合、モニタ値Iの減少を補正するために、補正係数kが増加するよう補正係数kを校正する必要がある。
また、光学系が変動し、受光部160におけるモニタ値Iが増加した場合、プラズマの発光強度を減少させる、つまり光の強度値k×Iが目標強度値Iに減少するよう、反応性ガスOの流量をフィードバック制御する。すなわち反応性ガスOの流量を増加させ、ターゲット141の表面への反応性ガスOの供給量を増やし、化合物モード寄りの成膜条件へとシフトさせる。これによりターゲット粒子のフラックスFが減少し、実際の成膜速度は、図7(a)中の点Pの位置へと移る。即ち、反応性ガスOの測定値QO2が基準値Qよりも大きくなり、かつ推定の成膜速度よりも実際の成膜速度が遅い点Pの位置へ制御状態が変動する。その結果、実測される膜厚値THは目標膜厚値THよりも減少する。この場合、モニタ値Iの増加を補正するために、補正係数kが減少するよう補正係数kを校正する必要がある。
図7(b)は、ターゲット141とレンズ基板Wとに関わる装置固有のパラメータが変動した場合の成膜速度の変化を示す説明図である。図7(b)中の点Pは、PID制御部202により、光の強度値k×Iが目標強度値Iに制御されている状態を示し、点Pの状態で推定された成膜速度と、実際の成膜速度とが一致しているものとする。
ターゲット141とレンズ基板Wとの間の距離が短くなった場合、光学系の変動はほとんどなく、ターゲット粒子のフラックスF、即ち受光部160の光の強度値Iはほとんど変化しない。したがって、フィードバック制御による反応性ガスOの流量の測定値QO2は、基準値Qに対してほとんど変化しない。しかし、ターゲット141とレンズ基板Wとの間の距離が短くなったので、レンズ基板Wに到達するターゲット粒子数が増加する。これにより、実際の成膜速度は推定の成膜速度よりも増加し、点Pの位置へとシフトする。その結果、実測される膜厚値THは目標膜厚値THよりも増加する。この場合、変換係数Kが増加するよう変換係数Kを校正する必要がある。
また、ターゲット141とレンズ基板Wとの間の距離が長くなった場合、光学系の変動はほとんどなく、ターゲット粒子のフラックスF、即ち受光部160の光の強度値Iはほとんど変化しない。したがって、フィードバック制御による反応性ガスOの流量の測定値QO2は、基準値Qに対してほとんど変化しない。しかし、ターゲット141とレンズ基板Wとの間の距離が長くなったので、レンズ基板Wに到達するターゲット粒子数が減少する。これにより、実際の成膜速度は推定の成膜速度よりも減少し、点Pの位置へとシフトする。その結果、実測される膜厚値THは目標膜厚値THよりも減少する。この場合、変換係数Kが減少するよう変換係数Kを校正する必要がある。
以上、点Pから点Pへのシフトと、点Pから点Pへのシフトは、共に成膜速度の増加として現れ、実測される膜厚値THが増加する。点Pから点Pへのシフトと、点Pから点Pへのシフトは、共に成膜速度の減少として現れ、実測される膜厚値THが減少する。よって、第1実施形態では、校正部206は、基準値Qに対する測定値QO2の変位量|QO2−Q|が所定値δ以下であるか否かで係数k,Kのいずれを校正するかを判定する。
ここで、測定値QO2と基準値Qとが一致するか否かで係数k,Kのいずれを校正するかを判定してもよいが、膜厚計180の精度にもよるが一致するのが稀な場合もある。したがって、所定値δは、測定値QO2と基準値Qとが一致すると見做せる許容範囲に設定される。所定値δは0以上の定数である。したがって、例えば所定値δを0に設定してもよい。この場合、校正部206は、測定値QO2と基準値Qとが一致するか否かを判定することになる。
校正部206は、変位量|QO2−Q|が所定値を超える、即ち|QO2−Q|>δと判定した場合には、測定値QO2と基準値Qとが一致しないので、補正係数kを校正する(S9)。このステップS9において、校正部206は、反応性ガスOの流量の基準値Qに対する測定値QO2の大小関係により、補正係数kを校正する。また、校正部206は、変位量|QO2−Q|が所定値以下である、即ち|QO2−Q|≦δと判定した場合には、所定値の範囲内で測定値QO2と基準値Qとが一致すると見做せるので、変換係数Kを校正する(S10)。このステップS10において、校正部206は、目標膜厚値THに対する膜厚値THの大小関係により、変換係数Kを校正する。
以下、これら校正処理について具体的に説明する。図8は、係数の校正に用いる判定テーブルを示す図である。第1実施形態では、校正部206は、判定テーブルTAに従って補正係数kと変換係数Kについて個別に選択し、選択した係数を校正する。
校正部206は、ステップS5で実測した膜厚値THmから目標膜厚値THを減算した値が正であれば、判定テーブルTA中の「増加」、負であれば判定テーブルTA中の「減少」の列をそれぞれ参照する。
また校正部206は、ステップS3で測定した測定値QO2から基準値Qを減算した値が正であって、絶対値|QO2−Q|が所定値δを超える場合は、判定テーブルTA中の「増加」の行を参照する。校正部206は、ステップS3で測定した測定値QO2から基準値Qを減算した値が負であって、絶対値|QO2−Q|が所定値δを超える場合は、判定テーブルTA中の「減少」の行を参照する。校正部206は、絶対値|QO2−Q|が所定値δ以下であれば「変化なし」の行を参照する。
目標膜厚値THに対する膜厚値THが「減少」であり、基準値Qに対する測定値QO2の変化が「増加」の場合は、図7(a)における点Pから点Pへのシフトであり、校正部206は、補正係数kを減少させる。
目標膜厚値THに対する膜厚値THが「増加」であり、基準値Qに対する測定値QO2の変化が「減少」の場合は、図7(a)における点Pから点Pへのシフトであり、校正部206は、補正係数kを増加させる。
一方、目標膜厚値THに対する膜厚値THが「増加」であり、基準値Qに対する測定値QO2の変化が「増加」の場合は、光学系の変動と装置固有のパラメータの変動が同時に発生していると推定される。この場合は、図7(a)における点Pから点Pへのシフトが想定され、PEM制御による所望の膜質を実現する粒子のフラックスFの状態を優先して校正するため、校正部206は、補正係数kを減少させる。
目標膜厚値THに対する膜厚値THが「減少」であり、基準値Qに対する測定値QO2の変化が「減少」の場合も同様に、図7(a)における点Pから点Pへのシフトが想定される。したがって、校正部206は、補正係数kを増加させる。
以上、校正部206は、判定テーブルTAに従い、基準値Qに対する反応性ガスの流量の変化が「増加」の場合は、補正係数kを減少させ、基準値Qに対する反応性ガスの流量の変化が「減少」の場合は、補正係数kを増加させる。即ち、校正部206は、測定値QO2が基準値Qよりも大きいときには補正係数kを減少させ、測定値QO2が基準値Qよりも小さいときには補正係数kを増加させる。なお、第1実施形態において、基準値Qに対する測定値QO2の大小の判断は、|QO2−Q|>δを前提とする。したがって、δ=0に設定されているときは、基準値Qと測定値QO2とが異なる値であれば補正係数kを校正することになる。
判定テーブルTAにおいて基準値Qに対する反応性ガスの流量の変化が「変化なし」、即ち、|QO2−Q|≦δの場合は、図7(b)における点Pから点P又は点Pへのシフトと推定できる。このため、校正部206は、補正係数kは校正せず、変換係数Kを目標膜厚値THに対する膜厚値THの変化から逆算して増加あるいは減少させる校正を行う。具体的には、校正部206は、目標膜厚値THに対して膜厚値THが大きいときには、変換係数Kを増加させ、目標膜厚値THに対して膜厚値THが小さいときには、変換係数Kを減少させる。
このように、ある期間に亘ってスパッタリング装置100を使用した場合や、メンテナンスを行った場合などに係数kや係数Kを校正することにより、長期間に亘って安定して所望の膜厚の膜を形成することができる。
以上の校正処理は、目標膜厚値THと実測した膜厚値THとの偏差ΔTHが閾値未満となるまで繰り返す。なお、図5に示す処理のフローチャートにおいて、ステップS2〜S10を特定の回数処理、繰り返しても、偏差ΔTHが閾値未満とならない場合は、異常をオペレータに通知する構成としてもよい。
[第2実施形態]
第2実施形態に係るスパッタリング装置について説明する。図9は、第2実施形態に係るスパッタリング装置の制御系の機能ブロック図である。なお、第2実施形態のスパッタリング装置の機器構成については、第1実施形態のスパッタリング装置と同様であり、説明を省略する。第2実施形態では、図2(b)に示すCPU251の機能が第1実施形態と異なり、その異なる機能について詳細に説明する。
図2(b)に示すCPU251は、プログラム260を実行することにより、図9に示す補正部201、PID制御部202A、推定部203、推定部204、判定部205及び校正部206として機能する。即ち、PID制御部202Aの機能が第1実施形態のPID制御部202と異なる。
補正部201、PID制御部202A、推定部203、推定部204及び判定部205は、実際にレンズ基板Wに成膜を行う制御工程、即ち制御処理を行い、校正部206は、制御処理にて用いるパラメータを校正する校正工程、即ち校正処理を行う。また、図2(b)に示すHDD254は、記憶部211、記憶部212、記憶部213A、記憶部214、記憶部215及び記憶部216として機能する。記憶部213Aには、目標の成膜速度である目標成膜速度値Dが記憶されている。
推定部203は、第1実施形態と同様、補正後の光の強度値k×Iから推定の成膜速度値Dを求める。PID制御部202Aは、第1実施形態とは異なり、推定部203にて求めた推定の成膜速度値Dが目標成膜速度値Dに近づくように、プロセス量である反応性ガスOの流量を制御する。このように、推定部203及びPID制御部202Aの機能により、補正後の光の強度値k×Iを用いて、反応性ガスOの流量をフィードバック制御する制御処理を行う。補正係数k及び変換係数Kの校正方法は第1実施形態と同様である。以上、第2実施形態によれば、PID制御部202Aの制御入力が光の強度値k×Iではなく、光の強度値k×Iから求めた推定の成膜速度値Dであっても、第1実施形態と同様、長期間に亘って安定して所望の膜厚の膜を形成することができる。
[実施例]
本実施例においては直流スパッタの平衡状態のマクロモデルとして知られる非特許文献2に記載されているベルグモデルを適用し、光学系の変動や装置の経時変化によるスパッタリング装置100の挙動をシミュレートした。なお、コントローラ200における制御は、第1実施形態で説明した通りである。
ベルグモデルで使用したパラメータを以下に示す。
不活性ガス種:Ar
反応性ガス種:O
ターゲット材料:Si
圧力:0.1[Pa]
温度:293[K]
反応性ガスの流量増加速度:40[sccm/min]
真空ポンプの排気速度:1.6[m/sec]
真空チャンバの体積:1.8[m
投入電力:5[kW]
ターゲット面積:0.02[m
被処理基板面積:8.0[m
図10(a)、図10(b)、図10(c)及び図10(d)は、実施例におけるシミュレーション結果を示す図である。図10(a)及び図10(c)は、光学系の変動によりモニタ値Iが減少した場合を想定してベルグモデルを用いてスパッタリング装置100の成膜速度をシミュレーションした結果である。図10(b)及び図10(d)は、光学系の変動によりモニタ値Iが減少した場合を想定してベルグモデルを用いてスパッタリング装置100の酸素流量をシミュレーションした結果である。また、図10(a)及び図10(b)には、補正係数kを校正する前の状態、図10(c)及び図10(d)は、補正係数kを校正した後の状態を実線で図示している。また、図10(a)、図10(b)、図10(c)及び図10(d)には、モニタ値Iが減少する前の初期状態を破線で図示している。
図10(b)に示すように、モニタ値Iが減少したことに対し、補正係数kが未校正であるため、値k×Iを目標強度値Iへと上昇させるために酸素流量を減少させることになる。その結果として、図10(a)に示すように、光学系が変動する前の初期状態より成膜速度が増加しいていることがわかる。
図8に示す判定テーブルTAにおいて基準値Qに対する測定値QO2の変化が「減少」であり、目標膜厚値THに対する膜厚値THの変化が「増加」であるから、補正係数kを減少させる校正を行った。そして、校正済の補正係数kを用いてシミュレーションした結果が図10(c)及び図10(d)である。補正係数kを校正した後は、図10(d)に示すように、酸素流量が初期状態、即ちモニタ値Iが減少する前と同じ値となる。そして、図10(c)に示すように、成膜速度が初期状態、即ちモニタ値Iが減少する前と同じ値となるため、校正を行うことにより、長期間に亘って安定して所望の膜厚の膜を形成することができる。
図11(a)及び図11(b)は、実施例におけるシミュレーション結果を示す図である。具体的には、酸素のターゲット141への吸着率がスパッタリング装置100の経時変化により変化した場合のベルグモデルを用いたシミュレーション結果を示す図である。図11(a)には、成膜速度をシミュレーションした結果、図11(b)には、酸素流量をシミュレーションした結果を示している。図11(a)及び図11(b)において、実線はターゲット141への酸素の吸着率が大のとき、破線はターゲット141への酸素の吸着率が小のときである。なお、酸素の吸着率の大小は相対値である。
図11(a)に示すように成膜速度がターゲット141における酸素の吸着率に関わらず一定とするには、図11(b)に示すように、酸素の流量、即ち反応性ガスの流量をターゲット141への酸素の吸着率に応じて変化させなければならない。したがって、図5のステップS11において、ステップS3で測定した測定値QO2を基準値Qに設定する。図11(a)及び図11(b)の例では、図11(a)に示すように定常状態、即ち静定状態において、成膜速度を目標の成膜速度に制御しているときに供給している酸素の流量に基準値Qを設定すればよい。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
上記実施形態では、補正データが補正係数kである場合について説明したが、これに限定するものではなく、例えば補正データがテーブルであってもよい。この場合、補正データの校正は、テーブル中の値を校正することになる。
また、上記実施形態では、対応データが変換係数Kである場合について説明したが、これに限定するものではなく、例えば対応データがテーブルであってもよい。この場合、対応データの校正は、テーブル中の値を校正することになる。
また、上記実施形態では、D=K×F(k×I)の関係において、F(k×I)は、補正後の光の強度値k×Iに比例する値であり、これに係数Kを乗算することにより成膜速度値Dを求める場合について説明したが、これに限定するものではない。フラックスFは、モニタ値Iに比例するので、D=K×κ×(k×I)とすることもでき、K×κを一つの係数としてもよい。この場合、K×κが変換係数ということになり、推定の成膜速度値Dは、補正後の光の強度値k×Iに変換係数K×κを乗算することにより求めることができる。この場合、校正対象は、変換係数K×κということになる。
また、上記実施形態では、校正処理として、補正係数kを校正する処理と、変換係数Kを校正する処理とを選択して行う場合について説明したが、これに限定するものではない。補正係数k又は変換係数Kを選択せずに、いずれか一方のみ又は両方を校正するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、CPU251は判定テーブルTAを参照して、校正する係数と係数の増減を決定するようにしたが、これに限定するものではなく、判定テーブルTAを用いることなく、決定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、基準値Qも校正する場合について説明したが、基準が変動しない、又は変動量が無視できる程度であれば、基準値Qを予め定めた一定値としてもよい。
また、上記実施形態では制御部のフィードバック制御として、CPU251が反応性ガスの流量のみを制御する場合について説明した。しかし、本発明は、このフィードバック制御に限定するものではない。例えば、CPU251が不活性ガスの流量のみを制御する場合、又は電源145の出力のみを制御する場合であってもよい。また、CPU251が反応性ガスの流量と不活性ガスの流量を制御する場合、不活性ガスの流量と電源145の出力を制御する場合、又は不活性ガスの流量と反応性ガスの流量と電源145の出力を制御する場合であってもよい。即ち、CPU251は、補正後の光の強度値を用いて、反応性ガスの流量、不活性ガスの流量及び電源145の出力のうち少なくとも1つのプロセス量をフィードバック制御すればよい。また、電源145の出力とは、電源145の出力電力であってもよいし、出力電圧であってもよいし、出力電流であってもよい。また、出力電圧及び出力電流であってもよいし、出力電力及び出力電圧であってもよいし、出力電力及び出力電流であってもよいし、出力電力、出力電圧及び出力電流であってもよい。即ち、CPU251は、電源145の出力を制御する場合、電源145の出力電圧、出力電流及び出力電力のうち少なくとも1つを制御すればよい。いずれにしても、CPU251は、校正処理として、プロセス量の基準値に対するプロセス量の測定値の大小関係により、補正データを校正することになる。
また、上記実施形態では、スパッタリング装置100が、DCマグネトロンスパッタリング装置である場合について説明したが、これに限定するものではない。例えばDCスパッタリング装置、RFスパッタリング装置、RFマグネトロンスパッタリング装置等、種々のスパッタリング装置に適用可能である。
また、上記実施形態では、ターゲット141としてSiを用いた場合について説明したが、Siに限定するものではなく、種々の金属を用いることができる。例えば、ターゲットとして、Nb、Y、Sn、In、Zn、Ti、Th、V、Ta、Mo、W、Cu、Cr、Mn、Fe、Ni、Co、Sm、Pr、Biなどを用いることができる。
また、上記実施形態では、反応性ガスとしてOガスを用いた場合について説明したが、Oガスに限定するものではなく、種々の反応性ガスを用いることができる。例えば、反応性ガスとして、N、O、COガスなどを用いることができる。
また、上記実施形態では、キャリアガスとしての不活性ガスとしてArガスを用いた場合について説明したが、Arガスに限定するものではなく、種々の不活性ガスを用いることができる。例えば、不活性ガスとして、He、Ne、Kr、Xe、Rnガスなどを用いることができる。
また、上記実施形態では、各記憶部がHDD254である場合について説明したが、これに限定するものではない。各記憶部が例えばUSBメモリやメモリカード、SSDなど、どのような記憶装置であってもよい。また、記憶部がコントローラに内蔵の記憶装置に限らず、コントローラに外付けされる記憶装置であってもよい。
本発明は、上記実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、上記実施形態では、成膜の制御を行うコントローラ200のCPU251において校正を行う場合について説明したが、これに限定するものではなく、コントローラ200とは別のコンピュータ又は回路において校正処理を行ってもよい。
また、上記実施形態では、膜厚計180をコントローラ200に信号線で接続してデータの有線通信を行う場合について説明したが、これに限定するものではなく、無線通信により行ってもよい。また、有線通信又は無線通信に限らず、膜厚計180の測定データのみを、不図示の入力装置例えばキーボードなどを用いて操作者がコントローラ200に手入力する、又はメモリを用いてコントローラ200に入力する場合であってもよい。
100…スパッタリング装置、101…真空チャンバ(チャンバ)、131…反応性ガス供給部、132…不活性ガス供給部、141…ターゲット、145…電源、160…受光部、251…CPU(制御部)

Claims (13)

  1. 成膜対象物及びターゲットが配置されるチャンバと、
    前記チャンバの内部に反応性ガスを供給する反応性ガス供給部と、
    前記チャンバの内部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、
    前記ターゲットに電力を供給して前記チャンバの内部にプラズマを発生させ、前記プラズマ中の前記不活性ガスのイオンを前記ターゲットに衝突させる電源と、
    前記プラズマが発する光を受ける受光部と、
    前記受光部にて受けた光の強度値を補正データで補正し、補正後の光の強度値を用いて、前記反応性ガスの流量、前記不活性ガスの流量及び前記電源の出力のうち少なくとも1つのプロセス量をフィードバック制御する制御処理を行う制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記プロセス量の基準値に対する、前記制御処理にて成膜を行っているときに測定した前記プロセス量の測定値の大小関係により、前記補正データを校正する校正処理を行うことを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 前記制御部は、前記基準値に対する前記測定値の変位量が所定値を超える場合に前記補正データを校正することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
  3. 前記補正データは、前記受光部にて受けた光の強度値に乗算する補正係数であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリング装置。
  4. 前記プロセス量が前記反応性ガスの流量であり、
    前記制御部は、前記校正処理において、前記測定値が前記基準値よりも大きいときには前記補正係数を減少させ、前記測定値が前記基準値よりも小さいときには前記補正係数を増加させることを特徴とする請求項3に記載のスパッタリング装置。
  5. 前記制御部は、前記制御処理において、前記補正後の光の強度値を用いて推定の膜厚値を求め、前記推定の膜厚値が目標膜厚値に達するまで成膜することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
  6. 前記制御部は、成膜終了したときに実測した膜厚値と、前記目標膜厚値又は成膜終了時の前記推定の膜厚値との偏差が閾値を超える場合、前記校正処理を行うことを特徴とする請求項5に記載のスパッタリング装置。
  7. 前記制御部は、前記偏差が前記閾値未満の場合に測定された前記測定値を、前記基準値に設定することを特徴とする請求項6に記載のスパッタリング装置。
  8. 前記制御部は、前記制御処理において、光の強度と成膜速度との対応データに基づき、前記補正後の光の強度値から推定の成膜速度値を求め、前記推定の成膜速度値を時間積算して前記推定の膜厚値を求め、
    前記校正処理において、前記基準値に対する前記測定値の変位量が所定値以下の場合、前記目標膜厚値又は成膜終了時の前記推定の膜厚値に対する、成膜終了したときに実測した膜厚値の大小関係により、前記対応データを校正することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
  9. 前記対応データが変換係数であり、
    前記制御部は、前記制御処理において、前記補正後の光の強度値、又は前記補正後の光の強度値に比例する値を、前記変換係数を用いて変換することにより前記推定の成膜速度値を求め、
    前記校正処理において、前記目標膜厚値又は成膜終了時の前記推定の膜厚値に対して前記実測した膜厚値が大きいときには、前記変換係数を増加させ、前記目標膜厚値又は成膜終了時の前記推定の膜厚値に対して前記実測した膜厚値が小さいときには、前記変換係数を減少させることを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング装置。
  10. 成膜対象物及びターゲットが配置されるチャンバと、
    前記チャンバの内部に反応性ガスを供給する反応性ガス供給部と、
    前記チャンバの内部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、
    前記ターゲットに電力を供給して前記チャンバの内部にプラズマを発生させ、前記プラズマ中の前記不活性ガスのイオンを前記ターゲットに衝突させる電源と、
    前記プラズマが発する光を受ける受光部と、
    前記受光部にて受けた光の強度値を補正データで補正し、補正後の光の強度値を用いて、前記反応性ガスの流量、前記不活性ガスの流量及び前記電源の出力のうち少なくとも1つのプロセス量をフィードバック制御し、かつ、
    光の強度と成膜速度値との対応データに基づき、前記補正後の光の強度値から推定の成膜速度値を求め、前記推定の成膜速度値を時間積算して推定の膜厚値を求め、前記推定の膜厚値が目標膜厚値に達するまで成膜する制御処理を行う制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記目標膜厚値又は成膜終了時の前記推定の膜厚値に対する、実測した膜厚値の大小関係により、前記対応データを校正する校正処理を行うことを特徴とするスパッタリング装置。
  11. 前記対応データが変換係数であり、
    前記制御部は、前記制御処理において、前記補正後の光の強度値、又は前記補正後の光の強度値に比例する値を、前記変換係数を用いて変換することにより前記推定の成膜速度値を求め、
    前記校正処理において、前記目標膜厚値又は成膜終了時の前記推定の膜厚値に対して前記実測した膜厚値が大きいときには、前記変換係数を増加させ、前記目標膜厚値又は成膜終了時の前記推定の膜厚値に対して前記実測した膜厚値が小さいときには、前記変換係数を減少させることを特徴とする請求項10に記載のスパッタリング装置。
  12. 成膜対象物及びターゲットが配置されたチャンバの内部に反応性ガス及び不活性ガスを供給し、電源により前記ターゲットに電力を供給して前記チャンバの内部にプラズマを発生させ、前記プラズマ中の前記不活性ガスのイオンを前記ターゲットに衝突させて、前記成膜対象物に膜を形成する膜の製造方法であって、
    受光部にて受けた光の強度値を補正データで補正し、補正後の光の強度値を用いて、前記反応性ガスの流量、前記不活性ガスの流量及び前記電源の出力のうち少なくとも1つのプロセス量をフィードバック制御する制御工程と、
    前記プロセス量の基準値に対する、前記制御工程にて成膜を行っているときに測定した前記プロセス量の測定値の大小関係により、前記補正データを校正する校正工程と、を備えたことを特徴とする膜の製造方法。
  13. 成膜対象物及びターゲットが配置されたチャンバの内部に反応性ガス及び不活性ガスを供給し、電源により前記ターゲットに電力を供給して前記チャンバの内部にプラズマを発生させ、前記プラズマ中の前記不活性ガスのイオンを前記ターゲットに衝突させて、前記成膜対象物に膜を形成する膜の製造方法であって、
    受光部にて受けた光の強度値を補正データで補正し、補正後の光の強度値を用いて、前記反応性ガスの流量、前記不活性ガスの流量及び前記電源の出力のうち少なくとも1つのプロセス量をフィードバック制御し、かつ、光の強度と成膜速度値との対応データに基づき、前記補正後の光の強度値から推定の成膜速度値を求め、前記推定の成膜速度値を時間積算して推定の膜厚値を求め、前記推定の膜厚値が目標膜厚値に達するまで成膜する制御工程と、
    前記目標膜厚値又は成膜終了時の前記推定の膜厚値に対する、実測した膜厚値の大小関係により、前記対応データを校正する校正工程と、を備えたことを特徴とする膜の製造方法。
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