JP2018082587A - 電力変換装置及びパワー半導体素子制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1には、複数の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)をそれぞれ個別に駆動する駆動回路として、IGBTのゲート抵抗を変化させて、スイッチング動作時の電流アンバランスを改善する点についての記載がある。
また、特許文献2には、定常時のオン電圧ばらつきによる電流アンバランスを改善するために、ゲート閾値電圧とゲート閾値電圧基準値との差分に応じて、電源電圧とエミッタ電位の双方を同極性に等量変化させる点についての記載がある。
例えば、特許文献1に記載された手法は、IGBTのターンオン・ターンオフ制御開始時におけるゲート抵抗を変化させるものである。この特許文献1に記載された手法では、スイッチング動作時の電流アンバランスを改善することができるものの、パワー半導体素子の定常電流のアンバランスを改善することはできないという問題がある。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならは、複数のパワー半導体素子が並列接続された電力変換装置において、パワー半導体素子のゲート信号のオン状態が持続する時間を判別する判別部と、それぞれのパワー半導体素子ごとに用意され、それぞれのパワー半導体素子の電力変換素子特性を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された電力変換素子特性に基づいて、それぞれのパワー半導体素子のスイッチング速度の均等化制御を行うと共に、判別部が、所定時間以上オン状態が持続することを判別した場合に、記憶部に記憶された電力変換素子特性に基づいて、それぞれのパワー半導体素子の導通電流の均等化制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、本例の電力変換装置の素子を制御する駆動回路とその周辺構成の例を示す。
図1では、並列接続された2個のパワー半導体素子31,32と、それぞれのパワー半導体素子31,32の駆動回路40−1,40−2の構成を示す。後述するように電力変換装置は、より多数のパワー半導体素子を並列接続する構成が一般的であるが、ここでは説明を簡単にするために、2個のパワー半導体素子31,32の例を示す。
パワー半導体素子31,32としては、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が使用される。それぞれのパワー半導体素子31,32のコレクタとエミッタの間には、負荷電流を転流させるためのダイオード31a,32aが接続されている。
なお、ゲート信号指令入力端子11に供給されるゲート信号指令は、オン/オフ期間判別部12に供給され、このオン/オフ期間判別部12で、ゲート信号指令でオン状態が継続する期間が予め決められた所定時間以上であるか否かが判別される。オン/オフ期間判別部12で得たオン状態が継続する期間が所定時間以上か否かの情報は、ゲート制御量算出部13に供給される。
そして、その算出した各パワー半導体素子31,32のゲート電圧傾き及びゲート電圧の値を、制御部20を介してそれぞれの駆動回路40−1,40−2のゲート電圧傾き可変回路部42及びゲート電圧可変回路部43に与える。
図2は、ゲート信号指令の一例を示す。ゲート信号指令は、各パワー半導体素子31,32のオン・オフを指示する信号であり、図2でゲート信号指令がハイレベルのときオンを指示し、ゲート信号指令がローレベルのときオフを指示する。
ここで、オン/オフ期間判別部12では、このゲート信号指令で示された、オン状態が継続する期間が予め決められた所定時間以上であるか否かを判別する。ここでの所定時間としては、例えば10μ秒から20μ秒程度の時間とする。そして、所定期間未満の比較的短い期間でオンとオフを繰り返す期間を期間Aとし、所定期間以上の比較的長い時間オン状態が継続する期間を期間Bとする。オン/オフ期間判別部12は、現在の状態が期間Aか期間Bの、いずれかであるかの情報を、ゲート制御量算出部13に送る。
但し、期間Aでゲート電圧変化時の傾きを制御し、期間Bでゲート電圧を制御するのはあくまでも一例である。なお、期間Aと期間Bを使った具体的な制御例の組み合わせについては後述する。
図3は、本例の電力変換装置の制御処理の1つの例(例1)を示すフローチャートである。
まず、ゲート信号指令入力端子11を介してオン/オフ期間判別部12が、上位コントローラ(不図示)からのゲート信号指令を受信し、そのゲート信号指令からオン状態が継続する期間を判別する(ステップS11)。そして、ゲート制御量算出部13は、オン/オフ期間判別部12で判別したオン状態が継続する期間が、所定期間以上か否かを判別する判別処理を行う(ステップS12)。
ここで、タイミングt2において、オン/オフ期間判別部12がオン状態の継続を判別したとき、ゲート制御量算出部13での算出に基づいて、ゲート電圧可変回路部43がパワー半導体素子31,32の特性に合わせたゲート電圧を設定して、導通電流均等化制御を行う。図4Aの状態では、2つのゲート印加電圧Vge1,Vge2の差分ΔVgeAが徐々に大きくなっている。
このタイミングt2以降のゲート印加電圧Vge1,Vge2の制御により、図4Bに示すように、2つの導通電流I1,I2が徐々にほぼ等しい値になり、導通電流がほぼ均等になる。
図5は、本例の電力変換装置の制御処理の別の例(例2)を示すフローチャートである。
図5のフローチャートにおいて、先に説明した例1のフローチャート(図3)と同じ処理や判断については、同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
図5の例においては、ステップS13で、ゲート制御量算出部13が、記憶部41に記憶されたスイッチング速度情報51を参照した後、ステップS17に移り、スイッチング素子のゲート電圧を制御する点が、図3のフローチャートと異なる。
図5のフローチャートに示す例2の制御処理では、ステップS17以外のステップにおいて、図3のフローチャート(例1)と同じ制御処理が行われる。
そして、タイミングt2において、オン/オフ期間判別部12でオン状態が継続していることを判別すると、ゲート制御量算出部13における算出結果に基づいて、ゲート電圧可変回路部43が素子の特性に合わせた導通電流均等化制御用のゲート電圧を設定する。図6Aの状態では、2つのゲート印加電圧Vge1′,Vge2′の差分ΔVge2が徐々に大きくなっている。このゲート印加電圧Vge1′,Vge2′の差分ΔVge2は、図4Aに示す差分ΔVgeAと同じである。このゲート印加電圧の差分ΔVge2と上述した差分ΔVge1とは、ΔVge2>ΔVge1となる。
図7は、本例の電力変換装置の制御処理の別の例(例3)を示すフローチャートである。
図7のフローチャートにおいて、先に説明した例1,例2のフローチャート(図3,図5)と同じ処理や判断については、同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
図7の例では、ステップS13で、ゲート制御量算出部13がスイッチング速度情報51を参照した後、ステップS18に移り、スイッチング素子のゲート電圧の傾きとゲート電圧の双方を制御する点が、図3及び図5のフローチャートと異なる。
図7のフローチャートに示す例3の制御処理では、ステップS18以外のステップにおいて、図3及び図5のフローチャート(例1,例2)と同じ制御処理が行われる。
図8は、本例の電力変換装置の全体構成の例を示す。
この図8に示す電力変換装置は、2組の電力変換ユニット300−1,300−2を備え、それぞれの電力変換ユニット300−1,300−2には、パワーモジュール30−1,30−2が配置される。各パワーモジュール30−1,30−2には、2個ずつのパワー半導体素子31,33及び32,34が配置される。すなわち、一方のパワーモジュール30−1として、負極側パワー端子102と正極側パワー端子101との間に、パワー半導体素子31,33が接続される。また、他方のパワーモジュール30−2として、負極側パワー端子102と正極側パワー端子101との間に、パワー半導体素子32,34が接続される。したがって、パワー半導体素子31,33と、パワー半導体素子32,34とは、並列に接続された状態である。
それぞれのパワー半導体素子31〜34のコレクタとエミッタの間には、負荷電流を転流させるためのダイオード31a,32a,33a,34aが接続されている。
図9は、電力変換装置の変形例を示す。図9において、図8に示す電力変換装置と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
図9に示す電力変換装置は、それぞれのパワーモジュール30−1,30−2が温度センサ14を備え、それぞれの温度センサ14は、各パワーモジュール30−1,30−2内の各パワー半導体素子31〜34の近傍に配置される。温度センサ14としては、熱電対、温度センスダイオード、又はサーミスタなどから構成される。
そして、それぞれの温度センサ14で得た温度を温度検出部15で測定し、それぞれの温度検出部15で検出した温度データをゲート制御量算出部13に供給する。
なお、上述した実施の形態例では、2個(2組)のパワー半導体素子が並列接続した構成としたが、パワー半導体素子の並列数をn個(nは3以上の整数)に増やした場合に適用してもよい。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
Claims (9)
- 複数のパワー半導体素子が並列接続された電力変換装置において、
前記パワー半導体素子のゲート信号のオン状態が持続する時間を判別する判別部と、
それぞれの前記パワー半導体素子の電力変換素子特性を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された電力変換素子特性に基づいて、それぞれの前記パワー半導体素子のスイッチング速度の均等化制御を行うと共に、前記判別部が所定時間以上オン状態が持続することを判別した場合に、前記記憶部に記憶された電力変換素子特性に基づいて、それぞれの前記パワー半導体素子の導通電流の均等化制御を行う制御部とを備えた
電力変換装置。 - 前記制御部は、前記判別部が判別したオン状態の持続時間が、前記所定時間未満であるとき、前記パワー半導体素子のゲート電圧が変化する際の傾きを、前記記憶部に記憶された電力変換素子特性に基づいて可変設定して、前記パワー半導体素子のスイッチング速度の均等化制御を行う
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記制御部は、前記判別部が判別したオン状態の持続時間が、前記所定時間未満であるとき、前記パワー半導体素子のゲート印加電圧値を、前記記憶部に記憶された電力変換素子特性に基づいて可変設定して、前記パワー半導体素子のスイッチング速度の均等化制御を行う
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記制御部は、前記判別部が判別したオン状態の持続時間が、前記所定時間未満であるとき、前記パワー半導体素子のゲート電圧が変化する際の傾きとゲート印加電圧値とを、前記記憶部に記憶された電力変換素子特性に基づいて可変設定して、前記パワー半導体素子のスイッチング速度の均等化制御を行う
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記制御部は、前記判別部が、所定時間以上オン状態が持続することを判別した場合に、前記パワー半導体素子のゲート印加電圧値を、前記記憶部に記憶された電力変換素子特性に基づいて可変設定して、前記パワー半導体素子の導通電流の均等化制御を行う
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記制御部は、前記パワー半導体素子のゲート電圧が変化する際の傾きと、前記パワー半導体素子のゲート電圧値の少なくともいずれか一方を可変設定して前記パワー半導体素子のスイッチング速度の均等化制御を行うと共に、前記判別部が所定時間以上オン状態が持続することを判別した場合に、前記パワー半導体素子のゲート印加電圧値を、前記記憶部に記憶された電力変換素子特性に基づいて可変設定して、前記パワー半導体素子の導通電流の均等化制御を行う
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記記憶部は、ある特定のゲート電圧におけるスイッチング速度情報と、複数のゲート電圧におけるオン電圧の情報とを記憶し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されたスイッチング速度情報に基づいて、それぞれの前記パワー半導体素子のスイッチング速度の均等化制御を行うと共に、前記記憶部に記憶されたオン電圧の情報に基づいて、それぞれの前記パワー半導体素子の導通電流の均等化制御を行う
請求項1に記載の電力変換装置。 - それぞれの前記パワー半導体素子の温度を検出する温度センサを備えると共に、それぞれの前記記憶部は、前記パワー半導体素子の温度特性を記憶し、
前記制御部は、それぞれの前記温度センサが検出した温度と前記記憶部に記憶された温度特性とに応じて、それぞれの前記パワー半導体素子の導通電流の均等化制御状態と、それぞれの前記パワー半導体素子の導通電流の均等化制御状態を制御するようにした
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 並列接続された複数のパワー半導体素子で電力変換を行う場合に、
前記パワー半導体素子のゲート信号のオン状態が持続する時間を判別する判別処理と、
それぞれの前記パワー半導体素子の電力変換素子特性に基づいて、それぞれの前記パワー半導体素子のスイッチング速度の均等化制御を行う均等化制御処理と、
前記判別処理で所定時間以上オン状態が持続することを判別した場合に、それぞれの前記パワー半導体素子の電力変換素子特性に基づいて、それぞれの前記パワー半導体素子の導通電流の均等化制御処理とを行う
パワー半導体素子制御方法。
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