JP2018080647A - 内燃機関のバランス装置 - Google Patents

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隆宜 荒井
Takanobu Arai
隆宜 荒井
神山 栄一
Eiichi Kamiyama
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【課題】ピストンの往復運動に起因する振動を適切に抑制する。【解決手段】レシプロ式のエンジン10の振動を打ち消す加振力を発生する内燃機関のバランス装置20において、クランク軸14と平行に配置されたバランス軸21と、バランス軸21と一体回転する偏心ウェイト22と、回転中心14aから偏心した位置でクランク軸14と一体回転する第1連接部24と、回転中心21aから偏心した位置でバランス軸21と一体回転する第2連接部25と、両端26a,26bが第1連接部24および第2連接部25に相対回転可能に連結されたロッド26と、ロッド26を介してトルクを伝達し、バランス軸21をクランク軸14と逆の回転方向へ同じ回転数で不等速回転させるリンク装置27と、リンク装置27が正規に作動する際にロッド26が描く軌跡の進行方向へのみロッド26を推進させる付勢機構28とを設けた。【選択図】図1

Description

この発明は、ピストンの往復運動に起因する振動を打ち消すための加振力を発生する内燃機関のバランス装置に関するものである。
特許文献1には、ピストンの往復運動に起因する振動を抑制することを目的とした内燃機関のバランス装置が記載されている。この特許文献1に記載されたバランス装置では、それぞれ偏心バランスウエイトを備えた2本のバランス軸および中間軸が、レシプロ式の内燃機関のクランク軸と平行に配置されており、それら2本のバランス軸の間に設けられた歯車機構により、2本のバランス軸が互いに逆方向へ同じ回転数で回転する。また、クランク軸と中間軸との間に設けられた歯車機構により、クランク軸から中間軸へ回転数が2倍に増速されてトルクが伝達される。そして、この特許文献1に記載されたバランス装置は、2本のバランス軸のうちいずれか一方のバランス軸と中間軸との間に、偏心歯車や楕円歯車などを用いた不等速歯車機構が設けられており、バランス軸が中間軸と同じ回転数でかつ不等速で回転するように構成されている。
特開2010−169045号公報
上記の特許文献1に記載されたバランス装置では、不等速歯車機構を用いてバランス軸を回転させることにより、ピストン・クランク機構から生じる振動の起振力とほぼ逆位相の加振力を発生することができ、それら起振力と加振力とをつり合わせることができる。すなわち、バランス装置で発生する加振力により、内燃機関の起振力を打ち消すことができる。そのため、特許文献1に記載されたバランス装置によれば、ピストンの往復運動に起因する内燃機関の振動を有効に抑制することができる。
しかしながら、特許文献1に記載されたバランス装置のように、バランス軸を駆動するための動力伝達に歯車を用いる場合は、クランク軸とバランス軸との間の距離が長いと、歯車の大径化や歯車機構の大型化を招いてしまう。その結果、内燃機関の小型・軽量化を妨げてしまう。また、動力伝達に歯車を用いることにより、歯車の歯打ち音や噛み合い音に起因する騒音が発生してしまう。そこで、本願出願人は、特願2016−099067において、機構学上のスライダ・クランク機構や両クランク機構(もしくは、二重クランク機構)などのリンク装置を応用し、1本のロッド(連接棒)を用いてバランス軸を駆動するように構成したバランス装置を提案している。リンク装置を用いたバランス装置によれば、上記の特許文献1に記載されたバランス装置のような歯車機構や不等速歯車機構を使用しないので、内燃機関の小型軽量化を妨げることなく、また、内燃機関の静粛性を低下させることなく、内燃機関の振動を効果的に抑制することができる。
一方で、上記のようなリンク装置のうち、特にロッドの両端がそれぞれクランクの原動節および従動節として拘束される両クランク機構を用いた構成においては、不可避的に思案点が存在する。この場合の思案点は、原動側(すなわち、クランク軸側)のリンクが正回転方向で一定に回転するにもかかわらず、従動側(すなわち、バランス軸側)のリンクは正回転方向もしくは逆回転方向のいずれにも回転し得る不安定な状態となってしまう位置のことである。そのような思案点における不安定状態を回避するために、本願出願人は、上記の特願2016−099067において、ロッドの中間に設けたピボットの変位を規制するガイドや、バランス軸と一体となって回転するカムにばね力を加えるモーメント付与機構などを設けた構成を併せて提案している。但し、そのような思案点における不安定状態を回避するための技術は、完全に確立されたものではない。さらに、複数の回転部分や可動部分を有するリンク装置は、実際の構造では回転部分や可動部分のそれぞれに設けられるクリアランス(遊び)により、回転部分の軸心のずれや可動部分の軌道のずれが不可避的に発生する。そのような軸心や軌道のずれが発生すると、ずれの方向によってはリンク装置の正規の動作が阻害されてしまうおそれがある。このように、歯車を用いることなく、リンク装置によってバランス装置を適切に駆動させるためには、未だ改良の余地があった。
この発明は、上記のような技術的課題に着目して考え出されたものであり、リンク装置を応用し、ピストンの往復運動に起因する振動を効果的にかつ安定して抑制することができる内燃機関のバランス装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、ピストンの往復運動をクランク軸の回転運動に変換してトルクを出力する内燃機関に設けられ、前記内燃機関の振動を打ち消す加振力を発生して前記振動を抑制する内燃機関のバランス装置において、前記クランク軸と平行に配置され、回転自在に支持されたバランス軸と、重心の位置が前記バランス軸の回転中心から偏心しているとともに、前記バランス軸と一体となって回転する偏心ウェイトと、前記クランク軸の回転軸線方向に垂直な所定の平面上で前記クランク軸の回転中心から偏心した位置に形成され、前記クランク軸と一体となって回転する第1連接部と、前記バランス軸の回転軸線方向に垂直な所定の平面上で前記バランス軸の回転中心から偏心した位置に形成され、前記バランス軸と一体となって回転する第2連接部と、一端が前記第1連接部に相対回転可能に連結され、他端が前記第2連接部に相対回転可能に連結されたロッドと、前記ロッドをクランク機構の連接棒として、前記クランク軸のトルクを前記バランス軸に伝達して前記バランス軸を前記クランク軸と逆の回転方向へ前記クランク軸と同じ回転数で不等速回転させるリンク装置と、前記リンク装置が正規に作動する際に前記ロッドの中間部が描く軌跡の進行方向へのみ前記ロッドの移動を推進させる力を、前記ロッドに付与する付勢機構とを備えていることを特徴とするものである。
この発明の内燃機関のバランス装置によれば、リンク装置を介してクランク軸からバランス軸へ動力を伝達し、バランス軸を、クランク軸と逆の回転方向へ、クランク軸と同じ回転数でかつ不等速で回転させることができる。すなわち、歯車を用いることなく、バランス装置を駆動することができる。そして、バランス軸を不等速回転させることによって発生する加振力により、ピストンの往復運動に起因して発生する振動の起振力を打ち消すことができる。そのため、内燃機関の小型軽量化を妨げることなく、また、内燃機関の静粛性を低下させることなく、内燃機関の振動を効果的に抑制することができる。さらに、この発明の内燃機関のバランス装置では、機構学上の両クランク機構として構成されるリンク装置の作動時に、付勢機構により、リンク装置におけるロッドの移動を正規の進行方向へ促進させることができる。バランス軸を駆動するために両クランク機構もしくはそれに相当するクランク機構を用いることにより、バランス軸の回転方向が定まらない不安定な状態となる思案点が不可避的に存在する。それに対して、この発明の内燃機関のバランス装置によれば、付勢機構によってロッドが正規の進行方向へのみ移動するように付勢されているので、バランス軸を常に狙いの回転方向へ回転させることができる。そのため、上記のような思案点における不安定状態を確実に回避することができる。加えて、付勢機構によってロッドが正規の進行方向へのみ移動するように付勢されることにより、第1連接部や第2連接部の回転部分におけるクリアランスや、付勢機構自体の可動部分におけるクリアランスが、ロッドが正規の進行方向に移動する方向へ詰められる。そのため、リンク装置の正規の動作が阻害されてしまう方向への軸心や軌道のずれの発生を回避することができる。したがって、内燃機関の振動を効果的にかつ安定して抑制することができる。
この発明における内燃機関のバランス装置の概略の構成を説明するための図である。 この発明を適用しないリンク装置を用いたバランス装置において、内燃機関のピストンが上死点に位置する際にリンク装置が思案点の状態となる場合のロッド(連接棒)の挙動を説明するための図である。 この発明を適用しないリンク装置を用いたバランス装置において、内燃機関のピストンが下死点に位置する際にリンク装置が思案点の状態となる場合のロッド(連接棒)の挙動を説明するための図である。 図1に示すバランス装置における付勢機構の構成の一例(第1例)を説明するための図である。 図1に示すリンク装置を用いたバランス装置において、内燃機関のピストンが上死点に位置する際にリンク装置が思案点の状態となる場合のロッド(連接棒)の挙動を説明するための図である。 図1に示すリンク装置を用いたバランス装置において、内燃機関のピストンが下死点に位置する際にリンク装置が思案点の状態となる場合のロッド(連接棒)の挙動を説明するための図である。 図1に示すバランス装置における付勢機構の構成の他の例(第2例)を説明するための図である。 図1に示すバランス装置における付勢機構の構成の他の例(第3例)を説明するための図である。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
図1に、この発明の実施形態の一例として、エンジン10、および、そのエンジン10に備え付けたバランス装置20の概略の構成を示してある。この発明の実施形態におけるエンジン10は、ピストンの往復運動をクランク軸の回転運動に変換してトルクを出力するように構成された、いわゆるレシプロ式の内燃機関である。なお、この発明の実施形態では、単気筒もしくは多気筒のいずれの形式の内燃機関であっても対象にすることができる。但し、前掲の特願2016−099067で説明されているように、単気筒の内燃機関は、ピストンを一つしかもたないため、複数のピストンで互いの往復運動の慣性力を打ち消し合うことがない。また、2気筒・4サイクルの内燃機関では、二つのピストンがいずれも同じ位相で往復運動するため、それら二つのピストン同士で互いの往復運動の慣性力を打ち消し合うことがない。したがって、特に、上記のような単気筒の内燃機関、および、2気筒・4サイクルの内燃機関を対象にして、この発明の実施形態におけるバランス装置20でピストンの往復運動による慣性力を打ち消すための加振力を発生することにより、より顕著な制振効果を得ることができる。なお、図1では、単気筒・4サイクルのエンジン10の例を示してある。
エンジン10は、従来周知の構成であり、代表的に、シリンダブロック11、ピストン12、コンロッド13、クランク軸14、および、クランクケース15を備えている。ピストン12は、シリンダブロック11の内部に組み込まれたシリンダ(図示せず)に、シリンダの内周面を摺動して往復運動が可能なように挿入されている。また、ピストン12は、コンロッド13を介してクランク軸14に連結されている。
クランク軸14は、コンロッド13が連結されるクランクピン16、クランクアーム17、クランク軸14の回転軸として機能するクランクジャーナル18、および、カウンタウェイト19を有している。クランクピン16は、クランクアーム17を介してクランクジャーナル18と一体に成形されている。クランク軸14は、シリンダブロック11とクランクケース15との間、もしくは、クランクケース15に設けられた軸受け(図示せず)によって回転自在に支持されている。
クランク軸14のカウンタウェイト19は、重心19aの位置がクランク軸14の回転中心(すなわち、クランクジャーナル18の軸心)14aから偏心している。具体的には、カウンタウェイト19は、その重心19aがクランクジャーナル18を挟んでクランクピン16の反対側に位置するように形成されている。カウンタウェイト19は、コンロッド13の重量を打ち消すための重量と、ピストン12の重量の半分に相当する重量を打ち消すための重量とを合わせた重量を有している。なお、上述の通り、エンジン10の構成については周知であるので、さらに詳細な説明は省略する。
上記のようなエンジン10の振動を抑制するためのバランス装置20が設けられている。この発明の実施形態におけるバランス装置20は、エンジン10が運転される際に、ピストン12の往復運動に起因する振動の起振力を打ち消す加振力を発生し、エンジン10の振動を抑制するように構成されている。具体的には、バランス装置20は、代表的に、バランス軸21、偏心ウェイト22、バランサハウジング23、第1連接部24、第2連接部25、ロッド26、リンク装置27、および、付勢機構28を備えている。
バランス軸21は、クランク軸14と平行に配置されている。バランス軸21には、バランス軸21と一体となって回転する偏心ウェイト22が取り付けられている。もしくは、それらバランス軸21と偏心ウェイト22とが一体に成形されている。また、バランス軸21には、後述する第2連接点25がバランス軸21と一体となって回転するように取り付けられている。もしくは、それらバランス軸21と第2連接点25とが一体に成形されている。あるいは、バランス軸21と偏心ウェイト22と第2連接点25とが一体に成形されている。
偏心ウェイト22は、重心22aの位置がバランス軸21の回転中心21aから偏心している。具体的には、偏心ウェイト22は、その重心22aが回転中心21aを挟んで後述する第2連接点25の反対側に位置するように形成されている。偏心ウェイト22は、概ねピストン12の重量の半分に相当する重量を打ち消すための重量を有している。なお、偏心ウェイト22と第2連接点25とを一体に成形し、それら偏心ウェイト22および第2連接点25を、バランス軸21に一体となって回転するように取り付けてもよい。
バランス軸21、偏心ウェイト22、および、後述する第2連接点25は、バランサハウジング23に設けられた軸受け(図示せず)によって回転自在に支持されている。バランサハウジング23は、シリンダブロック11に取り付けられてエンジン10に固定されている。したがって、バランス軸21および偏心ウェイト22が回転することによって発生する加振力、ならびに、エンジン10で発生する振動の起振力は、バランサハウジング23とエンジン10との間で相互に伝播する。
第1連接部24は、クランク軸14の回転軸線方向に垂直な所定の平面(図1において紙面と平行な平面)上でクランク軸14の回転中心14aから偏心した位置に、クランク軸14と一体となって回転するように形成されている。例えば、図1に示す例では、第1連接部24は、クランクアーム17の所定の位置に、後述するロッド26の一方の端部26aに形成された穴26dがはめ込まれる軸状に形成されている。
第2連接部25は、バランス軸21の回転軸線方向に垂直な所定の平面(図1において紙面と平行な平面)上でバランス軸21の回転中心21aから偏心した位置に、バランス軸21と一体となって回転するように形成されている。例えば、図1に示す例では、第2連接部25は、回転中心21aを挟んで偏心ウェイト22の反対側の位置に、後述するロッド26の他方の端部26bに形成された穴26eと嵌合する軸状に形成されている。
ロッド26は、後述するリンク装置27のクランク機構における連接棒として機能する。ロッド26は、一方の端部26aが、クランク軸14の回転中心14aから偏心した位置に形成された第1連接部24と相対回転可能に連結され、他方の端部26bが、バランス軸21の回転中心21aから偏心した位置に形成された第2連接部25と相対回転可能に連結されている。具体的には、ロッド26の一方の端部26aには、第1連接部24の軸状部分と嵌合する穴26dが形成されている。また、他方の端部26bには、第2連接部25の軸状部分と嵌合する穴26eが形成されている。第1連接部24の軸状部分および穴26d、ならびに、第5連接部25の軸状部分および穴26eは、いずれも、軸線方向および開口方向がいずれも平行となるように形成されている。
クランク軸14の第1連接部24およびバランス軸21の第2連接部25にロッド26を連結することにより、ロッド26を機構学上のクランク機構における連接棒とするリンク装置27が構成される。すなわち、クランク軸14の回転中心14aおよびバランス軸21の回転中心21aを固定節とし、第1連接部24を原動節、および、第2連接部25を従動節とすると、回転中心14aと第1連接部24との間に形成されるリンクが原動側のクランクとなり、回転中心21aと第2連接部25との間に形成されるリンクが従動側のクランクとなる。そして、ロッド26が、原動節と従動節とを結ぶ連接棒となる。したがって、上記の回転中心14a、回転中心21a、第1連接部24、第2連接部25、および、ロッド26により、四節回転連鎖の両クランク機構となるリンク装置27が構成されている。
両クランク機構は、原動側のクランクおよび従動側のクランクが、いずれも、360°回転することが可能であり、原動側のクランクの回転運動に応じて従動側のクランクが回転運動する。したがって、リンク装置27は、ロッド26を介して、クランク軸14のトルクをバランス軸21に伝達し、バランス軸21を回転させることができる。両クランク機構では、従動側のクランクは、原動側のクランクと同じ回転方向および逆の回転方向のいずれにも回転することが可能である。但し、このリンク装置27では、バランス軸21がクランク軸14と逆の回転方向に回転する状態を正規の作動とし、後述する付勢機構28により、バランス軸21はクランク軸14と同じ回転方向へは回転しないように構成されている。
上記のように両クランク機構を応用してバランサ装置を駆動する構成、ならびに、その両クランク機構を応用したバランサ装置の動作および振動の低減効果等に関しては、前掲の特願2016−099067に詳しいので、ここでは詳細な説明を省略する。要は、この発明の実施形態におけるバランス装置20によれば、歯車機構を用いることなく、上記のようなリンク装置27によってクランク軸14からバランス軸21へ動力を伝達し、バランス軸21を、クランク軸14と逆の回転方向へ、クランク軸14と同じ回転数でかつ不等速で回転させることができる。そして、バランス軸21を不等速回転させることによって発生する加振力により、ピストン12の往復運動に起因して発生する振動の起振力を適正に打ち消すことができる。そのため、歯車機構を採用することによるエンジン10の大型化を招くことなく、また、歯車の噛み合い音や歯打ち音等に起因するエンジン10の静粛性の低下を招くことなく、エンジン10の振動を効果的に抑制することができる。
前述したように、上記のような両クランク機構を応用した構成では、従動側のクランクの回転方向が定まらない不安定な状態となる思案点が不可避的に存在する。また、実際の構造では、回転部分や可動部分における潤滑や滑らかな摺動を実現するために、軸受けの内輪と外輪との間や、軸と穴との嵌合部分などに、所定のクリアランス(遊び)が設けられている。そのため、軸の支持部分や嵌合部分において、軸心の位置と軸受けもしくは穴の中心の位置との間にずれが生じてしまう場合がある。
例えば、図2に示すように、この発明の実施形態におけるバランス装置20を適用しない従来の構成では、クランク軸およびバランス軸とロッドとの連接部における軸とその軸を支持する穴との間に所定のクリアランスが設けられる。そのため、連接部における軸心Aと穴の中心Bとの間、および、軸心Cと穴の中心Dとの間に、それぞれ、矢印Eおよび矢印Fで示すようなずれが生じてしまう。また、前掲の特願2016−099067で説明されている構成のように、ロッドの中間部に形成したピボット(もしくは、カムフォロワ)をガイド穴に沿わせる場合には、ガイド穴とピボットとの間に所定のクリアランスが設けられる。そのため、ガイド穴内におけるピボットの軌道が、図2において矢印Gの列示す正規の軌跡に対して、矢印Hで示すような方向にずれてしまう可能性がある。上記のような軸心や軌道のずれが生じると、クランク軸の回転運動とバランス軸の回転運動との対応が乱れてしまい、リンク装置の正規の作動に支障を来してしまうおそれがある。
なお、図2では、ピストンが上死点に位置するクランク角におけるリンク装置の状態を示しているが、上記のような思案点の不安定状態および軸心や軌道のずれは、図3において、それぞれ、矢印J、矢印K、および、矢印Lで示すように、ピストンが下死点に位置するクランク角の状態においても、同様に発生する可能性がある。
この発明の実施形態におけるバランス装置20は、上記のようなリンク装置27における思案点の不安定状態、および、回転部分の軸心やロッド26の軌道のずれを回避してリンク装置27を適正に作動させるために、ロッド26に所定の力あるいはモーメントを与える付勢機構28を備えている。
付勢機構28は、リンク装置27が正規に作動する際に、すなわち、リンク装置27によってバランス軸21が狙い通りにクランク軸14と逆の回転方向へ回転する際に、ロッド26の中間部(後述するカムフォロワ26c)が描く軌跡の進行方向へのみロッド26の移動を推進させる力を、ロッド26に付与するように構成されている。具体的には、図4に示すように、付勢機構28は、基体部29、回転可動部30、および、トーションばね31を有している。
基体部29は、ボス部29aと、フランジ部29bとから構成されている。ボス部29aは、内周部分に回転可動部30を収容する円筒状に形成されている。フランジ部29bは、ボス部29aの外周部分と一体になっており、フランジ部29bには、付勢機構28をエンジン10に固定するためのボルト穴29cが形成されている。
回転可動部30は、ボス部29aの内周部分にはめ込まれ、半径方向の中心を軸にして回転する円柱状に形成されている。また、回転可動部30には、ロッド26のカムフォロワ26cが挿入されるガイド穴30aが形成されている。カムフォロワ26cは、ロッド26の中間部に、ロッド26の長手方向に対してカムフォロワ26cの回転軸線方向が垂直に突出するように取り付けられている。ガイド穴30aは、リンク装置27が正規に作動し、ロッド26が正規の軌道で進行する際に、ガイド穴30a内におけるカムフォロワ26cの進行を妨げることがない所定の幅を持って形成されている。具体的には、ロッド26が正規の軌道で進行する際にカムフォロワ26cの最外周部(ガイド穴30aの内周面と対向するカムフォロワ26の外周面)が描く軌跡と、ガイド穴30aの内周面との間に、所定のクリアランスが設けられている。
なお、基体部29および回転可動部30は、回転可動部30が基体部29に組み付けられた状態で、回転可動部30が円周方向における一部の角度範囲内だけで回転するように構成されている。また、基体部29および回転可動部30は、例えば止め輪あるいはスナップリング等(図示せず)によって、回転可動部30が基体部29から抜け出すことのないように構成されている。
トーションばね31は、両端にアーム(図示せず)を有し、ばねの回転方向(巻き方向)にばね力を作用する。トーションばね31は、基体部29の内周面と回転可動部30の外周面との間に、巻き込まれた状態で組み付けられている。したがって、トーションばね31は、回転可動部30に対して回転可動部30を所定の回転方向(図4において矢印Mで示す回転方向)へ回転させる力、すなわち、回転可動部30の回転軸回りのモーメントを発生する。
付勢機構28は、ガイド穴30aにカムフォロワ26cを挿入した状態で、シリンダブロック11、もしくは、シリンダブロック11とバランサハウジング23とに固定されている。そのため、トーションばね31が発生するばね力は、回転可動部30およびカムフォロワ26cを介して、ロッド26に付与される。
前掲の特願2016−099067で説明されているように、リンク装置27が正規に作動する際には、ロッド26の中間部すなわちカムフォロワ26cは、図5および図6において矢印Nの列で示すような縦長に変形した8の字状の軌跡を描く。なお、図5は、ピストン12が上死点に位置するクランク角におけるリンク装置27および付勢機構28の状態を示し、図6は、ピストン12が下死点に位置するクランク角におけるリンク装置27および付勢機構28の状態を示している。
上記のようにトーションばね31が発生するばね力は、回転可動部30の回転軸回りのモーメントとしてガイド穴30a内のカムフォロワ26cに作用する。そのため、カムフォロワ26cが上記のような8の字状の軌跡の中心付近を進行する場合は、カムフォロワ26cに作用するモーメントはほぼ0になる。そして、カムフォロワ26cが上記のような8の字状の軌跡の両端付近を進行する場合、すなわち、リンク装置27が思案点の状態となる場合に、カムフォロワ26cに作用するモーメントが最大になる。その場合に、カムフォロワ26cに作用するモーメントは、図5および図6において、それぞれ、矢印Pおよび矢印Qの向きの力として、ガイド穴30aの内周面からカムフォロワ26cに付与される。結局、ロッド26には、カムフォロワ26cを介して、リンク装置27が正規に作動する際にカムフォロワ26cが描く軌跡の進行方向へのみロッド26の移動を推進させる向きの力が付与される。
したがって、この発明の実施形態におけるバランス装置20では、付勢機構28によってロッド26が正規の進行方向へのみ移動するように付勢される。そのため、リンク装置27による動力伝達によって、バランス軸21を常に狙いの回転方向へ回転させることができる。その結果、上記のような思案点における不安定状態を確実に回避することができる。それと共に、この発明の実施形態におけるバランス装置20では、上記のように付勢機構28によってロッド26が正規の進行方向へのみ移動するように付勢されることにより、第1連接部24や第2連接部25の回転部分におけるクリアランスや、付勢機構28のガイド穴30aの内周面とカムフォロワ26cの外周面との間のクリアランスが、ロッド26が正規の進行方向に移動する方向へ詰められる。そのため、前述の図2および図3において、矢印E,F,Hあるいは矢印J,K,Lで示したような、リンク装置27の正規の動作が阻害されてしまう方向への軸心や軌道のずれの発生を確実に回避することができる。
なお、この発明のバランス装置20における「付勢機構」は、上記の図4で示した付勢機構28の構成に限定されるものではない。図4で示した付勢機構28では、トーションばね31を用いてロッド26に付与する力を発生させているが、トーションばね31以外の他の機構や装置を用いて「付勢機構」を構成することもできる。そのような「付勢機構」の他の構成例を、図7および図8に示してある。
例えば、図7に示す付勢機構32は、前述の付勢機構28におけるトーションばね31に替えて、圧力発生機構33が設けられている。圧力発生機構33は、油圧ポンプ(もしくは空圧ポンプ)33a、および、基体部29と回転可動部30との間に形成された油圧室(もしくは空圧室)33bを備えている。そして、圧力発生機構33は、油圧ポンプ(もしくは空圧ポンプ)33aで発生させた油圧(もしくは空気圧)を油圧室(もしくは空圧室)33bに供給し、回転可動部30に対して回転可動部30を所定の回転方向(図7において矢印Mで示す回転方向)へ回転させる力、すなわち、回転可動部30の回転軸回りのモーメントを発生するように構成されている。したがって、この図7に示す付勢機構32においても、前述の付勢機構28と同様に、リンク装置27が正規に作動する際にカムフォロワ26cが描く軌跡の進行方向へのみロッド26の移動を推進させる向きの力を、カムフォロワ26cを介して、ロッド26に付与することができる。
また、図8に示す付勢機構34は、前述の付勢機構28におけるトーションばね31に替えて、電磁力発生機構35が設けられている。電磁力発生機構35は、電源制御部35a、および、基体部29と回転可動部30との間に形成されたモータ部35bを備えている。モータ部35bは、例えばコイルおよび永久磁石等(図示せず)を有しており、コイルに電流を流すことにより発生する電磁力によって回転可動部30を回転させる。そのため、電磁力発生機構35は、電源制御部35aで発生させた電力をモータ部35bに供給し、回転可動部30に対して回転可動部30を所定の回転方向(図7において矢印Mで示す回転方向)へ回転させるモータトルク、すなわち、回転可動部30の回転軸回りのモーメントを発生するように構成されている。したがって、この図8に示す付勢機構34においても、前述の付勢機構28と同様に、リンク装置27が正規に作動する際にカムフォロワ26cが描く軌跡の進行方向へのみロッド26の移動を推進させる向きの力を、カムフォロワ26cを介して、ロッド26に付与することができる。
10…エンジン(内燃機関)、 11…シリンダブロック、 12…ピストン、 13…コンロッド、 14…クランク軸、 14a…(クランク軸の)回転中心、 15…クランクケース、 16…クランクピン、 17…クランクアーム、 18…クランクジャーナル、 19…カウンタウェイト、 19a…(カウンタウェイトの)重心、 20…バランス装置、 21…バランス軸、 21a…(バランス軸の)回転中心、 22…偏心ウェイト、 22a…(偏心ウェイトの)重心、 23…バランサハウジング、 24…第1連接点、 25…第2連接点、 26…ロッド(クランク機構の連接棒)、 26a…端部(ロッドの一端)、 26b…端部(ロッドの他端)、 26c…カムフォロワ(ロッドの中間部)、 26d…(ロッドの一端の)穴、 26e…(ロッドの他端の)穴、 27…リンク装置、 29…基体部、 30…回転可動部、 31…トーションばね、 28,32,34…付勢機構、 33…圧力発生機構、 33a…油圧(空圧)ポンプ、 33b…油圧(空圧)室、 35…電磁力発生機構、 35a…電源制御部、 35b…モータ部。

Claims (1)

  1. ピストンの往復運動をクランク軸の回転運動に変換してトルクを出力する内燃機関に設けられ、前記内燃機関の振動を打ち消す加振力を発生して前記振動を抑制する内燃機関のバランス装置において、
    前記クランク軸と平行に配置され、回転自在に支持されたバランス軸と、
    重心の位置が前記バランス軸の回転中心から偏心しているとともに、前記バランス軸と一体となって回転する偏心ウェイトと、
    前記クランク軸の回転軸線方向に垂直な所定の平面上で前記クランク軸の回転中心から偏心した位置に形成され、前記クランク軸と一体となって回転する第1連接部と、
    前記バランス軸の回転軸線方向に垂直な所定の平面上で前記バランス軸の回転中心から偏心した位置に形成され、前記バランス軸と一体となって回転する第2連接部と、
    一端が前記第1連接部に相対回転可能に連結され、他端が前記第2連接部に相対回転可能に連結されたロッドと、
    前記ロッドをクランク機構の連接棒として、前記クランク軸のトルクを前記バランス軸に伝達して前記バランス軸を前記クランク軸と逆の回転方向へ前記クランク軸と同じ回転数で不等速回転させるリンク装置と、
    前記リンク装置が正規に作動する際に前記ロッドの中間部が描く軌跡の進行方向へのみ前記ロッドの移動を推進させる力を、前記ロッドに付与する付勢機構と
    を備えていることを特徴とする内燃機関のバランス装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112606452A (zh) * 2020-12-04 2021-04-06 哈尔滨工大宏图橡塑科技有限公司 一种航空轮胎钢丝圈缠绕机自平衡机构

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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