JP2018080387A - 連続溶融金属めっき装置及び連続溶融金属めっき処理方法 - Google Patents

連続溶融金属めっき装置及び連続溶融金属めっき処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】通板速度が高速である場合に、ポット外部に飛散する金属粉の量を低減することの可能な連続溶融金属めっき装置を提供する。
【解決手段】ポットに収容された溶融金属めっき浴から150mpm以上の通板速度で上方に引き上げられる鋼帯に対してガスワイピング装置によりガスを吹き付け、鋼帯の表面に所定の膜厚の溶融金属を付着させる連続溶融金属めっき装置において、溶融金属めっき浴から引き上げられる鋼帯の移動に伴い鋼帯からポットの縁部へ向かって吹き上がるめっき浴上の流れを遮断する遮断部材を備え、遮断部材は、鋼帯からポットの縁部を含む縁部領域までの間に配置される。
【選択図】図1

Description

本発明は、連続溶融金属めっき装置及び連続溶融金属めっき処理方法に関する。
鋼帯に金属を連続的にめっきするための設備として、一般的に、図9に示すような連続溶融金属めっき装置10が用いられている。連続溶融金属めっき装置10では、鋼帯Sをポット11内の溶融金属めっき浴3に連続的に浸漬させた後、溶融金属めっき浴3内に設置された浴中ロール13で方向転換させ、溶融金属めっき浴3から連続的に引き上げる。また、連続溶融金属めっき装置10は、溶融金属めっき浴3から引き上げられた鋼帯Sに対してガスを噴射するスリットノズル15を含むガスワイピング装置を備える。ガスワイピング装置は、スリットノズル15により鋼帯Sの両面それぞれに対してガス噴流を吹き付けて、鋼帯Sの表面に付着した余分な溶融金属5を吹き落とし、鋼帯Sの表面の溶融金属付着量を所定の値に調節する。
ここで、連続溶融金属めっき装置10の通板速度が高速になると、ポット11の溶融金属めっき浴3から引き上げられた鋼帯Sに随伴する溶融金属付着量が増加する。したがって、ガスワイピング装置により掻き落とす溶融金属量が増加し、スリットノズル15により噴射されるガス噴流の圧力を従来よりも高圧にする必要がある。特に、鋼帯Sの表面への溶融金属付着量を少なくする薄目付を行う場合には、さらにガス噴流の圧力を高くして操業する必要がある。
ここで、ガスワイピング装置から鋼帯にガス噴流を吹き付けると、ガス噴流により鋼帯表面から掻き落とされた亜鉛が飛散する。このように飛散する溶融金属をスプラッシュという。ガス噴流の圧力が高くなるとスプラッシュが発生しやすくなるため、従来、発生したスプラッシュが鋼帯に再付着し、鋼帯に疵が生じないための技術が提案されている。例えば、特許文献1では、めっき浴面からガスワイピングノズルの間に、溶融金属めっき浴から引き上げられた鋼帯を挟むように一対の遮断板を設けることで、トップドロス発生領域の酸素濃度の抑制とともに鋼帯へのスプラッシュ付着量を低減している。
特開2013−185227号公報
しかし、連続溶融金属めっき装置の通板速度がさらに速くなり、150mpm以上となると、ポットの外部に大量の金属粉が飛散することがわかった。通板速度を変化させ、ポット外部に飛散した金属粉の量を測定した一例を図10に示す。図10に示すように、通板速度が100mpmのときにはポット外部に金属粉はほとんど飛散しない。しかし、通板速度が大きくなり、130mpmを超えると飛散する金属粉の量が増加し始め、150mpmで100mpmの場合の約十数倍、200mpmになると100mpmの場合の約数十倍となる。その要因を調べたところ、ポット外部に飛散する金属粉は、ガスワイピング装置のスリットノズル15の下部で発生し、図11に示すように、溶融金属めっき浴3から引き上げられる鋼帯Sの移動に伴い発生する浴面付近の流れFに乗って移動することが判明した。この流れFは、鋼帯Sからポット11の縁部11aへ向かって浴面付近を通り、ポット11の縁部11aから吹き上がる。このため、ポットの周囲に微小な金属粉が多量に飛来して、連続溶融金属めっき装置の周囲で作業するオペレーターの作業性が低下し、連続操業が困難となる。
上記特許文献1に記載の技術では、連続溶融金属めっき装置の通板速度が150mpm以上となったときに強く現れる鋼帯からポットの縁部へ向かうガス流れを遮断することができず、ポット外部に飛散する金属粉の量を低減させることができない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、通板速度が高速である場合に、ポット外部に飛散する金属粉の量を低減することの可能な、新規かつ改良された連続溶融金属めっき装置及び連続溶融金属めっき処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ポットに収容された溶融金属めっき浴から150mpm以上の通板速度で上方に引き上げられる鋼帯に対してガスワイピング装置によりガスを吹き付け、鋼帯の表面に所定の膜厚の溶融金属を付着させる連続溶融金属めっき装置において、溶融金属めっき浴から引き上げられる鋼帯の移動に伴い鋼帯からポットの縁部へ向かって吹き上がるめっき浴上の流れを遮断する遮断部材を備え、遮断部材は、鋼帯からポットの縁部を含む縁部領域までの間に配置される、連続溶融金属めっき装置が提供される。
遮断部材は、鋼帯の表面からポットの前面へ向かう方向において、ポットの縁部より鋼帯側100mmの位置からポットの縁部より外部側100mmの位置までの縁部領域の間に設置される。
この際、遮断部材は、ポットの縁部領域においてポットに取り付けられ、遮断部材のポットへの取付面からの高さは、200mm以上400mm以下とするのがよい。
また、遮断部材は、鋼帯の表面からポットの前面へ向かう方向において、鋼帯の表面から50mm以上200mm以下の領域に設置してもよい。
この際、遮断部材は、鉛直方向における長さが100mm以上200mm以下であり、当該遮断部材の下端が溶融金属めっき浴の浴面から0mm以上20mm以下の高さ位置にあるように設置してもよい。
遮断部材は、めっき浴の浴面に対して垂直または当該垂直状態から所定の傾斜角度鋼帯側に傾斜して設けてもよい。
また、遮断部材は、当該遮断部材の遮断面が流れに対して略直交するように配置してもよい。
遮断部材の先端には、鋼帯側に折れ曲がる付加部材を設けてもよい。
遮断部材の幅は、鋼帯の幅より大きくされる。
遮断部材は、複数の貫通孔の形成されたメッシュ状の板状部材からなり、貫通孔は、円相当径での直径の平均値が300μm以上400μm以下となるように形成されてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、鋼帯の表面に所定の膜厚の溶融金属を付着させる連続溶融金属めっき装置において、ポットに収容された溶融金属めっき浴から150mpm以上の通板速度で上方に引き上げられる鋼帯に対してガスワイピング装置によりガスを吹き付け、溶融金属めっき浴から引き上げられる鋼帯の移動に伴い鋼帯からポットの縁部へ向かって吹き上がるめっき浴上の流れを、鋼帯からポットの縁部を含む縁部領域までの間に配置された遮断部材により遮断する、連続溶融金属めっき処理方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、通板速度が高速である場合にも、ポット外部に飛散する金属粉の量を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る連続溶融金属めっき装置のポット縁部に設置される遮断部材の一例を示す説明図である。 同実施形態に係る連続溶融金属めっき装置のポット縁部に設置される遮断部材の他の例を示す説明図である。 同実施形態に係る連続溶融金属めっき装置のポット縁部に設置される遮断部材の他の例を示す説明図である。 同実施形態に係る連続溶融金属めっき装置のポット縁部に設置される遮断部材の他の例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る連続溶融金属めっき装置の鋼帯近辺に設置される遮断部材の一例を示す説明図である。 同実施形態に係る連続溶融金属めっき装置の鋼帯近辺に設置される遮断部材の他の例を示す説明図である。 比較例として、鋼帯近辺に遮断部材を備えた連続溶融金属めっき装置を示す説明図である。 ポットの浴上及び縁部付近における気流のシミュレーション結果を示す説明図である。 続溶融金属めっき装置の一構成例を示す説明図である。 通板速度とポット外部に飛散した金属粉の量との一関係例を示すグラフである。 ガスワイピング装置の下部で発生した金属粉がポット外部へ移動する浴面付近の流れを示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.概要>
本発明の一実施形態に係る連続溶融金属めっき装置は、溶融金属めっき浴から上方に引き上げられる鋼帯に対してガスワイピング装置によりガスを吹き付け、鋼帯の表面に所定の膜厚の溶融金属を付着させる装置である。連続溶融金属めっき装置は、図9に示したように、鋼帯Sをポット11内の溶融金属めっき浴3に連続的に浸漬させて上方に引き上げた後、スリットノズル15により鋼帯Sの表面に対してガスを噴射する。これにより、鋼帯Sの表面に付着した余分な溶融金属5を吹き落とし、鋼帯Sの表面の溶融金属付着量を所定の値に調節する。
本実施形態に係る連続溶融金属めっき装置は、鋼帯Sの通板速度が150mpm以上の高速となった際に、スリットノズル15の下部にて発生した金属粉が、鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れに乗ってポット11の外部へ飛散しないようにする遮断部材を備える。遮断部材は、鋼帯Sからポット11の縁部11aを含む縁部領域までの間に配置されており、鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れを遮る。これにより、このガスの流れを低減させ、ポット11の外部へ飛散する金属粉の量を低減させる。以下、遮断部材の具体的な構成と配置について、詳細に説明していく。
<2.遮断部材>
[2−1.第1形態(ポット縁部への設置)]
図1〜図4に基づいて、本発明の一実施形態に係る連続溶融金属めっき装置が備える遮断部材の一形態について説明する。図1〜図4は、本実施形態に係る連続溶融金属めっき装置のポット縁部に設置される遮断部材の形態例を示す説明図である。なお、遮断部材は、少なくともポット11の前面に設置されていればよい。本発明において、ポット11の前面は、図9に示した連続溶融金属めっき装置10において、溶融金属めっき浴3から引き上げられた鋼帯Sとポット11と対向する側の面(すなわち、スナウトが設置されていない側の面)をいう。
遮断部材は、鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れを遮断し、金属粉がポット11の外部へ飛散するのを防止できる位置に配置される。以下に示す第1形態では、遮断部材をポット11の縁部11aを含む縁部領域に配置する。めっき浴面はポット11の上端よりも低い位置にある。したがって、鋼帯側からめっき浴上を流れてきたガスは、ポット11の縁部11aで上方へ吹き上がる。そこで、第1形態のように遮断部材をポット11の縁部11aを含む縁部領域に配置することで、ポット11の縁部11aで上方へ吹き上がる流れを効果的に堰き止める。
(1)基本構成
まず、図1に基づいて、連続溶融金属めっき装置のポット縁部に設置される遮断部材の基本構成について説明する。図1に示すように、連続溶融金属めっき装置は、溶融金属めっき浴3が収容されるポット11に遮断部材20aを備える。遮断部材20aは、図1紙面奥行き方向に向かって延びる板状部材であり、溶融金属めっき浴3の温度よりも融点の高い、耐熱性を有する部材で形成されている。例えば、遮断部材20aは鋼板から形成される。なお、遮断部材20aは、めっき浴上を流れてきたガスの流れを完全に遮断できるように貫通孔のない板状部材を用いてもよい。あるいは、少なくともガスの流れを低減させることができればポット11の外部への金属粉の飛散を抑制できることから、遮断部材20aは、例えば細かな貫通孔の形成されたメッシュ状の板状部材から形成することがより好ましい。
ポット11の幅方向を鋼帯Sの板幅方向と同一方向としたとき、遮断部材20aを貫通孔のない板状部材から形成した場合、遮断部材20aに衝突したガスの一部はポット11の幅方向に流れてしまい、ポット11の外部に金属粉が飛散してしまう。そこで、金属粉は確実に捕集するが、ガス流れの一部はそのままポット11の前面へ逃がすために、遮断部材20aの一部または全面を多孔のメッシュ状の板状部材を用いて構成する。これにより、ガスの一部が遮断部材20aに形成された貫通孔から前面に流れるようになり、幅方向へのガス流れが低減するため、ポット11の幅方向からの金属粉の飛散を防止できる。遮断部材20aにおいて貫通孔を形成する部分は、例えば実験等によって金属粉が幅方向に飛散しないようにすることができる部分を調査し決定してもよい。
貫通孔の直径(以下、「メッシュ径」ともいう。)は、300μm以上400μm以下とする。貫通孔の直径は、当該貫通孔の開口面積を有する円の直径に換算した円相当径での直径とし、貫通孔の形状は限定されるものではない。貫通孔の直径が300μm未満であると貫通孔が小さすぎるためポット11の幅方向へのガスの流れが発生し、ポット11の幅方向へ金属粉が飛散する。一方、金属粉の大きさは200μm程度であり、貫通孔の直径が400μmを超えると金属粉の大きさに対して貫通孔の開口が大きくなる過ぎるため、金属粉が貫通孔を通過してしまう。これより、遮断部材20aに貫通孔を設ける場合には、貫通孔の直径は300μm以上400μm以下とする。なお、貫通孔の直径は、板状部材に形成された貫通孔の直径の平均値とする。例えば、貫通孔の直径は、板状部材に形成された複数の貫通孔からランダムに20個を抽出し、それらの直径を平均した値としてもよい。
なお、メッシュ状の板状部材に形成される貫通孔の形状は円形に限定されるものではなく、例えば楕円状や矩形状、多角形状等であってもよい。
鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れは鋼帯Sの幅全体で生じるため、遮断部材20aは、図1紙面奥行き方向に鋼帯Sの幅以上の長さで、鋼帯Sと対向して配置されている。本形態において、遮断部材設置されるポット11の縁部11aを含む縁部領域とは、ポット11の前面である縁部11aを基準として、鋼帯側100mmの位置Pから外部側100mmの位置Pまでの領域をいい、図1の範囲dに相当する。遮断部材20aの少なくとも一部が、ポット11の縁部11aから鋼帯側100mmの位置Pより鋼帯側に位置すると、例えばオペレーターによるめっき浴3内のドロス除去作業等の作業の妨げとなり、オペレーターの作業性を低下させることになる。また、遮断部材20aの少なくとも一部が、ポット11の縁部11aから外部側100mmの位置Pより外部側に位置すると、許容以上にポット11の外部に金属粉が飛散することとなり、ポット11の外部への金属粉の飛散を防止するという遮断部材20aを設置する目的を達成できなくなる。
遮断部材20aは、めっき浴3の浴面に対して垂直または垂直状態から鋼帯S側に所定の傾斜角度θだけ傾斜して設けられる。傾斜角度θは90°以下とするのがよい。傾斜角度θを90°より大きくすると、遮断部材20aがめっき浴3の浴面からポット11の縁部11aの上端に向かって傾斜した状態となるため、遮断部材20aの上方を通ってポット11の縁部11aに向かうめっき浴上のガスの流れが形成される。このため、鋼帯S側で発生した金属粉がポット外部へ流出する量が増加してしまう。一方、遮断部材20aをめっき浴3の浴面に対して垂直な状態からポット外部側へ傾斜させると、ポット11の縁部11aで吹き上がるガスの流れをポット外部へ促してしまい、鋼帯S側で発生した金属粉がポット外部へ流出する量が増加する。これより、遮断部材20aは、めっき浴3の浴面に対して垂直または垂直状態から鋼帯S側に所定の傾斜角度θだけ傾斜して設けるのがよい。
このように遮断部材20aの傾斜角度θは、鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れを遮断部材20aによって遮断または抑制できるように決定されるが、この際遮断部材20aの遮断面がガスの流れに対して略直交するように遮断部材20aを設置するのがよい。これにより、より効果的に鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れを遮断部材20aによって遮断または抑制することができる。
遮断部材20aの高さhは、200mm以上400mm以下とするのがよい。遮断部材20aの高さhは、遮断部材20aが取り付けられているポット11の取付面11bに対して垂直な方向の長さをいう。例えば、図1に示すように遮断部材20aのポット11との取付面11bが、前面(縁部11a)に対してポット11の外側へ傾斜している場合には、めっき浴3の浴面に対して垂直な方向からは傾いた、当該取付面11bに垂直な方向の長さが遮断部材20aの高さhとなる。
遮断部材20aの高さhが200mmより小さい場合にはガスの流れを堰き止める効果が小さく、鋼帯S側で発生した金属粉がポット外部へ流出する量が増加する。また、遮断部材20aの高さhが400mmより大きい場合には、遮断部材20aのサイズが大きくなり、オペレーターの作業性を低下させる。特に、遮断部材20aを鋼帯S側へ傾斜させて設置した場合には、遮断部材20aがめっき浴3の浴上を覆ってしまい、さらにオペレーターの作業性を低下させてしまう。これより、遮断部材20aの高さhは、200mm以上400mm以下とするのがよい。
以上説明したように、連続溶融金属めっき装置のポット縁部に遮断部材20aを設置することで、ポット11の縁部11aで上方へ吹き上がる流れを効果的に堰き止めることができ、鋼帯S側で発生した金属粉がポット外部へ飛散するのを抑制することができる。その結果、連続溶融金属めっき装置のポット11の周囲で作業するオペレーターの作業性を低下させることがなく、溶融金属めっき処理も連続操業することができる。
(2)変形例
以下、図2〜図4に、第1形態の遮断部材の変形例を示す。
図2に示す連続溶融金属めっき装置のポット縁部に設置される遮断部材20bは、図1に示した基本構成の遮断部材20aに相当する第1部材21と、第1部材21の先端に設けられ、鋼帯S側へ折れ曲がっている付加部材である第2部材23とから構成されている。このような付加部材を設けることで、第1部材21の遮断面に衝突したガスの流れが第1部材21の先端へ向かった後、ポット外部へ向かうのを防止することができる。したがって、図1に示した基本構成の形状とした場合と比較して、より確実にポット外部へ向かうガスの流れを遮断または低減することができる。
第1部材21の先端に設けられた第2部材23は、第1部材21の延設方向に対して鋼帯S側へ0°より大きく90°以下の角度範囲で傾斜させて設けるのがよい。第2部材23が第1部材21の延設方向と平行に設けられた(すなわち、0°)の状態では、第1部材21の一部と考えればよい。また、第1部材21の延設方向に対してポット11の外部側へ向かうように第2部材23を設けると、ポット11の縁部11aで吹き上がるガスの流れをポット外部へ促してしまい、鋼帯S側で発生した金属粉がポット外部へ流出する量が増加する。さらに、第2部材23を、第1部材21の延設方向に対して鋼帯S側へ90°より大きく折り曲げて設けると、めっき浴上から遮断部材20bへ向かうガスの流れを、第1部材21の遮断面に衝突せずに第2部材23の外側へ向かわせてしまう可能性がある。そうすると、めっき浴上からポット11の縁部11aへ向かうガスは、第2部材23の上方を通って吹き上がり、鋼帯S側で発生した金属粉をポット外部へ飛散させる可能性がある。
なお、第2部材23の長さaは特に限定されないが、短すぎるとガスの流れの遮断または低減効果が図1に示した基本構成の場合とほぼ変わらなくなる。また、第2部材23の長さaが長すぎると、めっき浴3の浴上を覆ってしまうため、オペレーターの作業性を低下させてしまう。したがって、第2部材23aの長さは、ポット11の縁部11aを含む縁部領域の範囲に収まるように設定するのがよい。
図3に示す連続溶融金属めっき装置のポット縁部に設置される遮断部材20cは、ポット11の縁部11aで前面に設けられている。遮断部材20cは、ポット11の前面から垂直に、鋼帯S側に向かって設けられている。この場合にも、遮断部材20cは、めっき浴3の浴面に対して垂直または垂直状態から鋼帯S側に所定の傾斜角度θだけ傾斜して設けられる。傾斜角度θは90°以下とするのがよい。また、遮断部材20cの高さhは、200mm以上400mm以下とし、ポット11の縁部11aを含む縁部領域の範囲に収まるように設定するのがよい。これにより、図1に示した基本構成の形状とした場合と同等にポット外部へ向かうガスの流れを遮断または低減することができる。
図1〜図3に示した例では、遮断部材20a〜20cが設けられているポット11の縁部領域は、内側部である縁部11aの外部側の上面が上に突出する形状となっているが、遮断部材の形状及び設置位置は縁部領域の形状によらない。例えば、図4に示すように、ポット11の縁部11aの外部側の上面が水平な水平面11cである場合にも、ポット11の前面である縁部11aを基準として、鋼帯側100mmの位置から外部側100mmの位置までの領域内に遮断部材20dを設ければよい。
このとき、遮断部材20dは、めっき浴3の浴面に対して垂直または垂直状態から鋼帯S側に所定の傾斜角度θだけ傾斜して設けられる。傾斜角度θは90°以下とするのがよい。また、遮断部材20cの高さhは、200mm以上400mm以下とし、ポット11の縁部11aを含む縁部領域の範囲に収まるように設定するのがよい。さらに、図2に示したように、遮断部材20dの先端に、鋼帯S側へ折れ曲がる付加部材を設けてもよい。なお、図4の例では、遮断部材20dはポット11の縁部11aと水平面11cとのコーナー部に設けられているが、図3のように縁部11aに取り付けてもよく、水平面11cに取り付けてもよい。
[2−2.第2形態(鋼帯近辺への設置)]
次に、図5及び図6に基づいて、本発明の一実施形態に係る連続溶融金属めっき装置が備える遮断部材の一形態について説明する。図5及び図6は、本実施形態に係る連続溶融金属めっき装置の鋼帯近辺に設置される遮断部材の形態例を示す説明図である。なお、図5及び図6においても、遮断部材は、少なくともポット11の前面に設置されていればよい。
第2形態に係る遮断部材は、鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れを鋼帯Sの近辺で遮断し、金属粉がポット11の外部へ飛散するのを防止する。上述したように、ガスワイピング装置のスリットノズル15の下部にて発生した金属粉は、鋼帯側からポット11の縁部11aへ向かってめっき浴上を流れるガスにのってポット11の外部へ飛散する。そこで、第2形態では、鋼帯S近辺からめっき浴上に流れ出す領域に遮断部材を配置することで、めっき浴上に向かうガスの流れを遮断または低減させる。
(1)基本構成
まず、図5に基づいて、連続溶融金属めっき装置にてめっき処理される鋼帯Sの近辺に設置される遮断部材の基本構成について説明する。図5に示すように、連続溶融金属めっき装置は、溶融金属めっき浴3から引き上げられる鋼帯Sに対向して設置された遮断部材30aを備える。遮断部材30aは、図5紙面奥行き方向に向かって延びる板状部材であり、溶融金属めっき浴3の温度よりも融点の高い、耐熱性を有する部材で形成されている。例えば、遮断部材30aは鋼板から形成される。なお、遮断部材30aは、ガスの流れを完全に遮断できるように貫通孔のない板状部材を用いてもよい。あるいは、少なくともガスの流れを低減させることができればよいことから、遮断部材30aは、例えば細かな貫通孔の形成されたメッシュ状の板状部材であってもよい。鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れは鋼帯Sの幅全体で生じるため、遮断部材30aは、図5紙面奥行き方向に鋼帯Sの幅以上の長さで、鋼帯Sと対向して配置されている。
本形態において、遮断部材30aは、鋼帯Sの表面からポット11の縁部11aである前面へ向かう方向において、鋼帯Sの表面から50mm以上200mm以下の領域に設置される。鋼帯Sから遮断部材30aまでの距離dが50mmより小さいと、遮断部材30aが鋼帯Sと接触する可能性がある。鋼帯Sとの接触を確実に回避するためには、好ましくは、鋼帯Sから遮断部材30aまでの距離dは100mm以上とする。一方、鋼帯Sから遮断部材30aまでの距離dが200mmより大きくなると、鋼帯Sの表面からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れを効果的に遮断または低減することができない、したがって、遮断部材30aは、鋼帯Sの表面から50mm以上200mm以下の領域に設置される。
また、遮断部材30aは、鉛直方向における長さhが100mm以上200mm以下であり、該遮断部材30aの下端31aが溶融金属めっき浴3の浴面から0mm以上20mm以下の高さ位置hにあるように設置される。遮断部材30aの長さhが100mmより短いと、鋼帯Sの表面からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れを抑制する効果が小さく、その流れが十分に弱まらないため、鋼帯Sの近辺で発生した金属粉がガスの流れにのってポット11の外部へ飛散してしまう。一方、遮断部材30aの長さhが200mmより長いと、鋼帯Sの表面と遮断部材30aの遮断面との間で生じているガスの流れが、スリットノズル15の噴射するガスの流れに影響を与えてしまい、ガスワイピングによる鋼帯Sの表面への溶融金属付着量の調整に影響する。
すなわち、図5に示すように、鋼帯Sの近辺で発生したガスの流れは、スリットノズル15からめっき浴3に向かって鉛直下方へ向かった後、遮断部材30aの遮断面に当たり、その流れの向きを鉛直上方へ変更させる。このとき、遮断部材30aの長さhが200mmより長いと、鉛直上方へ向かうガスの流れが弱まらないままスリットノズル15近くまでガスが流れてしまい、その結果、スリットノズル15から鋼帯Sの表面に対して噴射されるガスの流れと衝突し、ワイピング性能を低下させてしまう。したがって、遮断部材30aの長さhは100mm以上200mm以下とするのがよい。
また、遮断部材30aの下端31aは、めっき浴3の浴面3aから所定の高さ位置hまでの間に位置するように設置される。具体的には、高さ位置hは20mm以下とするのがよい。高さ位置hを20mmより大きくすると、鋼帯Sの表面からポット11の縁部11aへ向かうガスが、浴面3aと遮断部材30aの下端31aとの間の隙間を通り、ポット11の縁部11aへ流れてしまう。したがって、遮断部材30aの下端31aを浴面3aに接するように設ける、または、浴面3aと遮断部材30aの下端31aとの間の隙間を20mm以下とすることで、鋼帯Sの表面からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れを遮断または低減させることができる。
以上説明したように、連続溶融金属めっき装置でめっき処理される鋼帯Sの近辺に遮断部材30aを設けることで、鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れを鋼帯Sの近辺で遮断し、金属粉がポット11の外部へ飛散するのを防止する。その結果、連続溶融金属めっき装置のポット11の周囲で作業するオペレーターの作業性を低下させることがなく、溶融金属めっき処理も連続操業することができる。
(2)変形例
図6に、第2形態の遮断部材の変形例を示す。図6に示す連続溶融金属めっき装置でめっき処理される鋼帯Sの近辺に設置される遮断部材30bは、図5に示した基本構成の遮断部材30aに相当する第1部材31と、第1部材31の先端に設けられ、鋼帯S側へ折れ曲がっている付加部材である第2部材33及び第3部材35とから構成されている。このような付加部材を設けることで、第1部材31の遮断面に衝突して鉛直上方へ向かうガスの流れを付加部材に衝突させ、スリットノズル15のガス噴射に影響を及ぼすのを防止することができる。したがって、図5に示した基本構成の形状とした場合と比較して、ポット外部へ向かうガスの流れを遮断または低減することに加え、スリットノズル15のガス噴射に与える影響もなくすことができる。
具体的にみると、第1部材31の先端に設けられた付加部材(第2部材33及び第3部材35)は、第1部材31の延設方向に対して鋼帯S側へ折り曲げられている。このような形状とすることで、第1部材31の遮断面に衝突して鉛直上方へ向かうガスの流れを付加部材によって効果的に堰き止めることができる。なお、図6に示す例では、付加部材は、第2部材33と第3部材35との2つの板状部材を組み合わせ、ガスの流れを覆う空間が形成されるように構成したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、付加部材の側面形状は、図6のようなV次形状の他、半円形状、矩形形状等であってもよい。
なお、付加部材の長さは特に限定されないが、短すぎるとガスの流れの遮断または低減効果が図5に示した基本構成の場合とほぼ変わらなくなる。また、付加部材の長さが長すぎると、鋼帯Sに接触する可能性があるため、付加部材は、鋼帯Sの表面から50mm以上離隔して設けるのがよい。
また、第2形態の遮断部材は、必ずしもめっき浴3の浴面に対して垂直に設けなくともよく、鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れを堰き止めることができれば、浴面に対して垂直な状態から傾いていてもよい。
<3.まとめ>
以上、本発明の一実施形態に係る連続溶融金属めっき装置について説明した。本実施形態に係る連続溶融金属めっき装置は、スリットノズル15の下部にて発生した金属粉が、鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れに乗ってポット11の外部へ飛散しないようにする遮断部材を備える。遮断部材は、鋼帯Sからポット11の縁部11aを含む縁部領域までの間に配置されており、鋼帯S側からポット11の縁部11aへ向かうガスの流れを遮る。これにより、このガスの流れを低減させ、ポット11の外部へ飛散する金属粉の量を低減させることができる。
本発明の連続溶融金属めっき装置の効果を検証するため、連続溶融金属めっき装置のポット外部への金属粉の飛散量についてシミュレーションを行った。本シミュレーションでは、亜鉛めっきを行う連続溶融金属めっき装置において、通板速度を200mpmとし、ポット外部への金属粉(亜鉛粉)の飛散量と、オペレーターの作業性を評価した。ポット外部への金属粉の飛散量については、ポット外部への金属粉の飛散を遮断する遮断部材を設けない場合におけるポット外部への金属粉の飛散量を基準として、ポット外部への金属粉の飛散量が当該基準から50%以上削減できる場合を「○」、当該基準から11〜49%削減できる場合を「△」、当該基準からの削減量が10%以下の場合を「×」と評価した。また、オペレーターの作業性については、遮断部材が設置されていない場合と変わらずオペレーターが作業可能である場合には「○」、遮断部材が設置されていない場合と比較して作業性は低下するが、オペレーターの作業は可能である場合には「△」、オペレーターの作業を阻害する場合には「×」と評価した。下記表1及び表2に、シミュレーションの設定条件及び評価結果を示す。
表1には、実施例A1〜A8として、上記実施形態に係る連続溶融金属めっき装置においてポット縁部に遮断部材が設置された場合のシミュレーション結果を示す。すなわち、表1の実施例A1〜A8は、図1〜図4に示す構成に対応し、ポット縁部11aからの距離、高さh、傾斜角度θを変化させて、ポット外部への金属粉の飛散量及びオペレーターの作業性を評価した。なお、ポット縁部11aからの距離は、ポット縁部11aを基準として、鋼帯側を負の値、ポット外部側を正の値で表した。比較例として、遮断部材を設けない場合について、同様の評価を行った。
実施例A1〜A5では、遮断部材を、ポットの縁部より鋼帯側100mmの位置からポットの縁部より外部側100mmの位置までの縁部領域の間に設置した。その結果、実施例A1〜A5については、いずれの場合にも、遮断部材の設置によりオペレーターの作業性を低下させることなく、ポット外部への金属粉の飛散量を当該基準から50%以上削減できた。
実施例A6は、遮断部材を上記縁部領域の間に設置したが、遮断部材の高さhは200mmより短かった。このため、ポット外部への金属粉の飛散量が実施例A1〜A5に比べて増加したが、許容される程度の抑制効果はあった。また、オペレーターの作業を阻害することもなかった。
実施例A7は、遮断部材の高さhが400mmより長く、上記縁部領域から先端部分がはみ出す状態であった。この場合、オペレーターの作業性は低下するが、ポット外部への金属粉の飛散量を低減させることができた。
実施例A8は、遮断部材の傾斜角度θが90°より大きく、上記縁部領域から先端部分がはみ出す状態であった。この場合、ポット外部への金属粉の飛散量が実施例A1〜A5に比べて増加したが、許容される程度の抑制効果はあった。また、オペレーターの作業性も低下するが、作業は可能であった。
一方、比較例では、遮断部材を設けないためオペレーターの作業を阻害することはないが、ポット外部への金属粉の飛散量が多い結果となった。
次に、表2には、実施例B1〜B12として、上記実施形態に係る連続溶融金属めっき装置において鋼帯近辺に遮断部材が設置された場合のシミュレーション結果を示す。すなわち、表2の実施例B1〜B12は、図5及び図6に示す構成に対応し、鋼帯表面からの距離d、高さh、浴面からの高さ位置hを変化させて、ポット外部への金属粉の飛散量及びオペレーターの作業性を評価した。遮断部材は浴面に対して垂直に設けた。なお、比較例として、表1と同様、遮断部材を設けない場合について、同様の評価を行った。
実施例B1〜B6では、遮断部材を、鋼帯の表面から50mm以上200mm以下の領域に設置した。また、遮断部材の鉛直方向における長さは100mm以上200mm以下であり、当該遮断部材の下端が溶融金属めっき浴の浴面から0mm以上20mm以下の高さ位置にあるように設置された。その結果、実施例B1〜B6については、いずれの場合にも、遮断部材の設置によりオペレーターの作業性を低下させることなく、ポット外部への金属粉の飛散量を当該基準から50%以上削減できた。
実施例B7は、遮断部材は鋼帯の表面から50mm以上200mm以下の領域に設置されているが、高さhが100mmより小さかった。このため、ポット外部への金属粉の飛散量が実施例B1〜B6に比べて増加したが、許容される程度の抑制効果はあった。また、オペレーターの作業を阻害することもなかった。一方、実施例B8は、遮断部材は鋼帯の表面から50mm以上200mm以下の領域に設置されているが、高さhが200mmより大きかった。この場合には、オペレーターの作業性は低下するが、ポット外部への金属粉の飛散量を低減させることができた。
実施例B9は、遮断部材は鋼帯の表面から50mm以上200mm以下の領域に設置されており、高さhも100mm以上200mm以下であるが、浴面からの高さ位置hが20mmより大きかった。この場合、ポット外部への金属粉の飛散量が実施例B1〜B6に比べて増加したが、許容される程度の抑制効果はあった。また、オペレーターの作業を阻害することもなかった。
実施例B10、B11は、遮断部材の高さh及び浴面からの高さ位置hは上記要件を満たしているが、その設置位置が実施例B10では鋼帯の表面から50mmより近く、実施例B11では鋼帯の表面から200mmより離隔した位置であった。この場合、オペレーターの作業性は低下するが、ポット外部への金属粉の飛散量は低減させることができる。
実施例B12では、遮断部材は、高さhについては上記要件を満たしているが、鋼帯の表面から200mmより離隔しており、また、浴面からの高さ位置hが20mmより大きかった。この場合には、ポット外部への金属粉の飛散量が実施例B1〜B6に比べて増加し、オペレーターの作業性も低下したが、許容される程度の抑制効果はあった。
一方、比較例では、遮断部材を設けないためオペレーターの作業を阻害することはないが、ポット外部への金属粉の飛散量が多い結果となった。
また、図8に、ポットの浴上及び縁部付近における気流のシミュレーション結果を示す。実施例Aはポット縁部に遮断部材が設置された場合のシミュレーション結果であり、実施例Bは鋼帯近辺に遮断部材が設置された場合のシミュレーション結果である。実施例Aにおいては、遮断部材は、ポットの縁部より鋼帯側100mmの位置からポットの縁部より外部側100mmの位置までの縁部領域の間に設置されている。実施例Bにおいては、遮断部材は、鋼帯の表面から50mm以上200mm以下の領域に設置され、鉛直方向における長さは100mm以上200mm以下であり、当該遮断部材の下端が溶融金属めっき浴の浴面から0mm以上20mm以下の高さ位置にあるように設置されている。また、比較例として、遮断部材を設けない場合のシミュレーション結果を示す。
図8より、比較例として、遮断部材を設けない場合には、鋼帯表面からポット縁部側(紙面左側)へ向かう浴面上の流れはそのままポット外部へ勢いよく吹き上がっていることがわかる。一方、実施例A及び実施例Bでは、鋼帯表面からポット縁部側(紙面左側)へ向かう浴面上の流れが、遮断部材の設置位置で鋼帯側へ戻る流れとなり、ポット縁部から外部へ向かう流れが抑制されている。このシミュレーション結果からも、本発明のように遮断部材を設けることで、ポット外部への金属粉の飛散を抑制できることがわかる。
表3に、遮断部材に貫通孔を設けた場合の影響の検証結果を示す。実施例C4の遮断部材は、実施例A5の遮断部材と同一とし、実施例C1〜C3の遮断部材は、実施例A5の遮断部材に円形の貫通孔を設け、メッシュ構造を有するものとした。実施例C1〜C3に設けられた貫通孔の直径(メッシュ径)は、円相当径での直径の平均値がそれぞれ307μm、398μm、498μmであった。なお、貫通孔の直径は、複数の貫通孔からランダムに20個を抽出し、それらの直径を平均した値である。そして、実施例C1〜C4について、上記と同様の基準でポット外部への金属粉の飛散量及びオペレーターの作業性を評価するとともに、ポットの幅方向への金属粉の飛散の有無を評価した。ポットの幅方向への金属粉の飛散については、ポット外部への金属粉の飛散の有無によらず、ポットの幅方向に金属粉が飛散した場合を「有」、ポットの幅方向に金属粉が飛散していない場合を「無」と評価した。
下記表3より、メッシュ径が307μmの実施例C1、及び、メッシュ径が398μmの実施例C2では、遮断部材の設置によりオペレーターの作業性を低下させることなく、ポット外部への金属粉の飛散量を当該基準から50%以上削減できた。実施例C1及びC2では、いずれもポット幅方向への金属粉の飛散は確認されなかった。
メッシュ径が498μmの実施例C3については、遮断部材の設置によりオペレーターの作業性を低下させることはないものの、金属粉の一部が遮断部材の貫通孔を通り抜け、ポット外部へ飛散した。実施例C3では、実施例1、2に比べて金属粉飛抑制減効果が低下したが、ポットの幅方向への金属粉の飛散は確認されなかった。
また、遮断部材に貫通孔が形成されていない実施例C4は、遮断部材の設置によりオペレーターの作業性を低下させることなく、ポット外部への金属粉の飛散量を当該基準から50%以上削減できており、大きな金属粉飛散抑制効果を得ることができた。しかし、実施例C4では、ポットの幅方向への金属粉の飛散が発生した。
かかる結果より、実施例C1、C2のように構成することで、ポット外部への金属粉の飛散の抑制とオペレーターの作業性の維持とを両立し、かつ、ポットの幅方向への金属粉の飛散も確実に抑制することが可能となる。
以上より、上述した本発明の実施形態に係る連続溶融金属めっき装置の構成とすることで、ポット外部への金属粉の飛散の抑制とオペレーターの作業性の維持とを両立できることが示された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
3 溶融金属めっき浴
3a 浴面
5 溶融金属
10 連続溶融金属めっき装置
11 ポット
11a 縁部
11b 取付面
11c 水平面
13 浴中ロール
15 スリットノズル
20a、20b、20c、20d、30a、30b 遮断部材

Claims (11)

  1. ポットに収容された溶融金属めっき浴から150mpm以上の通板速度で上方に引き上げられる鋼帯に対してガスワイピング装置によりガスを吹き付け、前記鋼帯の表面に所定の膜厚の溶融金属を付着させる連続溶融金属めっき装置において、
    前記溶融金属めっき浴から引き上げられる前記鋼帯の移動に伴い前記鋼帯から前記ポットの縁部へ向かって吹き上がるめっき浴上の流れを遮断する遮断部材を備え、
    前記遮断部材は、前記鋼帯から前記ポットの縁部を含む縁部領域までの間に配置される、連続溶融金属めっき装置。
  2. 前記遮断部材は、前記鋼帯の表面から前記ポットの前面へ向かう方向において、
    前記ポットの縁部より前記鋼帯側100mmの位置から前記ポットの縁部より外部側100mmの位置までの前記縁部領域の間に設置される、請求項1に記載の連続溶融金属めっき装置。
  3. 前記遮断部材は、前記ポットの縁部領域において前記ポットに取り付けられ、
    前記遮断部材の前記ポットへの取付面からの高さは、200mm以上400mm以下である、請求項2に記載の連続溶融金属めっき装置。
  4. 前記遮断部材は、前記鋼帯の表面から前記ポットの前面へ向かう方向において、前記鋼帯の表面から50mm以上200mm以下の領域に設置される、請求項1に記載の連続溶融金属めっき装置。
  5. 前記遮断部材は、
    鉛直方向における長さが100mm以上200mm以下であり、
    当該遮断部材の下端が前記溶融金属めっき浴の浴面から0mm以上20mm以下の高さ位置にあるように設置される、請求項4に記載の連続溶融金属めっき装置。
  6. 前記遮断部材は、前記めっき浴の浴面に対して垂直または当該垂直状態から所定の傾斜角度前記鋼帯側に傾斜して設けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の連続溶融金属めっき装置。
  7. 前記遮断部材は、当該遮断部材の遮断面が前記流れに対して略直交するように配置される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の連続溶融金属めっき装置。
  8. 前記遮断部材の先端には、前記鋼帯側に折れ曲がる付加部材が設けられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の連続溶融金属めっき装置。
  9. 前記遮断部材の幅は、前記鋼帯の幅より大きい、請求項1〜8のいずれか1項に記載の連続溶融金属めっき装置。
  10. 前記遮断部材は、
    複数の貫通孔の形成されたメッシュ状の板状部材からなり、
    前記貫通孔は、円相当径での直径の平均値が300μm以上400μm以下となるように形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の連続溶融金属めっき装置。
  11. 鋼帯の表面に所定の膜厚の溶融金属を付着させる連続溶融金属めっき装置において、ポットに収容された溶融金属めっき浴から150mpm以上の通板速度で上方に引き上げられる前記鋼帯に対してガスワイピング装置によりガスを吹き付け、
    前記溶融金属めっき浴から引き上げられる前記鋼帯の移動に伴い前記鋼帯から前記ポットの縁部へ向かって吹き上がるめっき浴上の流れを、前記鋼帯から前記ポットの縁部を含む縁部領域までの間に配置された遮断部材により遮断する、連続溶融金属めっき処理方法。
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