JP2018079608A - ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリオレフィン樹脂被覆鋼管は通常数mmの厚膜被覆が行われる。ポリオレフィン樹脂は溶融した状態から常温まで冷却すると、大きな体積収縮が生じる。しかしながら鋼材に被覆された状態では収縮が拘束されて残留収縮応力が発生し、接着力が減少し被覆の剥離要因となっている。【解決手段】ポリオレフィン樹脂の残留応力の問題が大きい中〜大径鋼管1の被覆において、その被覆方法をTダイス方式によって多層に巻き付ける被覆方法で製造する。この場合、1回に巻き付け被覆するシート6の厚みを1mm未満とすることで、シート6の層間でのずれによる応力緩和が可能となることから製造時の残留収縮応力が減少して接着力が向上し、冷熱サイクル等の被覆応力試験における耐久性が大きく向上する。【選択図】図2

Description

石油・ガス等のエネルギー輸送に用いられるラインパイプの防食用外面被覆には通常ポリオレフィン樹脂を被覆した鋼管が使用されるが、本発明は、このポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法に関する。
ラインパイプに用いられる外面ポリオレフィン樹脂被覆鋼管において、長期の防食性と施工時の耐疵性が要求される場合には3層被覆鋼管が用いられる。その構成は防食性の高いエポキシ樹脂プライマー層、接着剤層、ポリオレフィン樹脂層からなる3層構造である。被覆されるポリオレフィン樹脂には、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂があるが、安価で信頼性が高いことから、一般的にはポリエチレン樹脂が、高温用や耐疵性が要求される場合にはポリプロピレン樹脂が使用される。これらの3層被覆鋼管は被覆工場で生産され、現地で溶接接合を行う。
ポリオレフィン樹脂は熱可塑性樹脂であるため、鋼管への被覆には固形のポリオレフィン樹脂ペレットをスクリュー押出機で加熱しながら溶融させ、小〜中径鋼管では直線状に鋼管を搬送する丸ダイス方式、中〜大径鋼管ではスパイラル状に回転搬送するTダイス方式を用いて、半溶融状態のシートで被覆され、この後冷却されて製品となる。丸ダイスでは1層被覆のみであるが、Tダイスでは1mm以上のシートを2層以上に巻き付けることで厚膜の被覆を行っている。Tダイス方式の被覆方法としては特許文献1及び特許文献2に示される様に厚膜のポリオレフィン樹脂と薄膜の接着剤を1層にして同時に押し出して被覆する方法が一般的である。このため、接着剤がポリオレフィン樹脂被覆層内部に混入するという問題もあるので3層以上の多層は困難であり、主に2層(ラップ部3層)の厚膜被覆が行われる(図1)。この時、巻きつけられた直後のシート状の表層ポリオレフィン樹脂が外面からの冷却によって下層のポリオレフィン樹脂との間で固化・融着する前に収縮に伴って幅方向に滑りを生じ、ラップずれと呼ばれる現象を生ずる。このラップずれは膜厚の不均一を引き起こすことから、特許文献3に見られるように、圧下ロールを用いて押さえつけることで抑制する等の方法が行われていた。このように製品外観を優先する被覆が行われ、ポリオレフィン樹脂被覆の残留収縮応力に着目し、それを緩和する手法は積極的に行われて来なかった。
特許第3090307号公報 特許第3736377号公報 特開2005−88299号公報
ポリオレフィン樹脂の1種であるポリエチレン樹脂では溶融状態から固体への変化で約20%の体積収縮が生じるが、鋼材との接着によって収縮が抑制されるため被覆の冷却後には内部に大きな収縮応力が残留する。この結果、厚膜被覆では冷熱サイクル試験などによって発生する応力によって剥離が発生しやすいという課題があった。鋼管径が小さい場合は鋼管周方向の収縮応力は締め付け圧力となって接着力増加の効果が期待出来るが、中〜大径鋼管では曲率が大きいためポリエチレン樹脂の収縮応力は周方向の接着力強化には寄与せず、この結果、被覆が厚くなると剥離し易くなる傾向がある。
ポリオレフィン樹脂の残留収縮応力は、ポリオレフィン樹脂のヤング率と残留歪み量の積として考えられる。そこで、ポリオレフィン樹脂の残留歪み量としては界面で固定された状態から開放された場合の実際的な応力を考えてみる。縮み量を考えた場合に射出成形で金型から樹脂を外した時の縮み量を例に一般的なポリオレフィン樹脂の弾性率から10mm幅での被覆厚み1mm当りの残留収縮応力を見積もった例を表1に示す。実成型物では応力緩和や応力歪み曲線が直線では無いことから、この値よりも残留収縮応力は小さいが、ポリオレフィン樹脂であればポリエチレン樹脂もポリプロピレン樹脂も大きくはその値は変わらないことが分かっている。
一方、ポリオレフィン樹脂被覆鋼材の接着力として用いられるピール強度の値は20〜50N/mmであるが、被覆の接着力に対して残留収縮応力はマイナスに作用するため、残留収縮応力が増えると被覆の接着力は小さくなる。このため、ポリオレフィン樹脂で数mmの被覆を行う場合に剥離力として作用する残留収縮応力は、無視出来ない。
被覆の残留収縮応力を緩和する方法として、塗料等の熱硬化性樹脂の場合、変性や他樹脂又は顔料を添加するといった対応が行われるが、ポリオレフィン樹脂では異なる樹脂や顔料を大量に添加すると、物性低下が大きい。このため樹脂の改良による応力緩和は難しく、冷却速度を速めて結晶化を抑制するといった方法しか試みられて来なかった。しかしながら、耐疵性の観点から樹脂強度(弾性率)の高い被覆が好まれるようになると、低温と高温を交互に繰り返して1日の寒暖や1年の寒暖を模擬する冷熱サイクル等の試験を行うと、残留収縮応力が更に増加して接着力を越えるために、残留収縮応力があると剥離が生じやすいといった問題があった。
冷熱サイクル試験で剥離なし:接着力>製造時の被覆残留応力+低温時収縮応力
冷熱サイクル試験で剥離あり:接着力<製造時の被覆残留応力+低温時収縮応力
本発明は、以上の課題を解決したポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法を提供することを目的とする。
ポリオレフィン樹脂被覆の残留収縮応力の緩和を行うため、特に課題の大きい中〜大径の被覆鋼管において、Tダイス方式での溶融シート間のラップずれによる応力緩和に着目した。ポリオレフィン樹脂のシートを積層した場合、ポリオレフィン樹脂層間の接着力は分子鎖の絡み合いが十分に行われない半溶融状態では、上層は収縮によるラップずれ、すなわち応力緩和が可能となる(図2)。従って、この場合の収縮応力は鋼材に固定され下層のポリオレフィン樹脂層とのずれが生じない最下層のポリオレフィン厚みでほぼ決定される。よって、Tダイスでの巻き付けシートの厚みを薄くすることで残留収縮応力の緩和が達成出来る。
また、ラップずれによる膜厚の不均一を出来るだけ小さくするために、加えて1層の熱容量を低下させることで上層のラップずれを促進させて残留収縮応力を小さくするために、1回に巻き付けるポリオレフィン樹脂シートの厚みを薄くして多層巻きにする方法が有効である。
本発明はポリオレフィン樹脂被覆の残留収縮応力を緩和して被覆の剥離力を抑制するために従来のTダイスによる鋼管被覆方法の大幅な改良を行うことにある。すなわち、予めプライマーと接着剤層を形成した鋼管の表面に押出機よりTダイスで押し出された単層のシート状の溶融ポリオレフィン樹脂を多層にスパイラル状に巻き付けて約2〜5mm厚みのポリオレフィン樹脂被覆を鋼管外側に形成するものである。この時、巻き付ける単層ポリオレフィン樹脂シートの厚みを1mm未満とすることで最下層の残留応力を小さくし、加えてラップずれによる応力緩和を促進させるポリオレフィン樹脂被覆鋼管の多層被覆方法を見出した。
本発明の要旨は次のとおりである。被覆厚みが数mmの3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管において、その被覆方法をTダイスより押し出された1mm未満の薄膜のシートを多層巻きとすることで、収縮の残留応力を緩和し、冷熱サイクル試験のように被覆の剥離応力が課題となる場合でも剥離抑制を可能とするものである。
多層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の被覆材料は従来材料を用いる。本発明の鋼管サイズとしてはTダイス方式でスパイラル搬送での被覆を行う中〜大径鋼管が主な対象である。小〜中径サイズの鋼管に用いることも出来るが応力緩和の効果は小さくなる。
本発明の製造は図4に示す様に、外面に鋼管ブラスト装置7によるブラスト処理及び下地処理装置8による化成処理を行った鋼管1を加熱装置9によって加熱した後に紛体プライマー塗装機10によってエポキシ樹脂プライマー層2、ついで接着剤押出機11によって接着剤層5を形成する。この後、Tダイス16によって1層の単位幅当りの残留収縮応力が小さくなるように1層の厚みを1mm未満としたポリオレフィン樹脂シート(ポリオレフィン樹脂層6)を押し出し、多層に積層して被覆を形成する。ポリオレフィン樹脂の被覆厚みが同じ場合には、応力緩和のずれ界面を多くもつこととなるので積層数(巻き数)は多い方が良い。しかしながら被覆時の鋼管の軸速が一定の場合巻き数を多くするには鋼管の回転数(周速)を上げる必要があるが、回転時の鋼管の踊り等の問題から限界がある。また、積層数(巻き数)に対する応力緩和効果は巻き数が多くなると次第に小さくなるので、標準的な3〜5mm未満の被覆に対しては巻き数4〜6が適当である。(表2)
なお、被覆の応力緩和のために積層間のずれを積極的に利用することから、巻き付けられたポリオレフィン樹脂シートの抑えにはシートを急冷するために内部を水冷したロールを用いると良い。この結果、巻き付け直後のシートの残留収縮応力が小さくなる。最後に、ポリオレフィン樹脂の多層被覆後に鋼管の内外面水冷を冷却装置14によって行い3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管を製造する。
これまでは、図3に示す様に、接着剤とポリオレフィン樹脂を、接着剤押出機11及びポリオレフィン樹脂押出機12によって2層Tダイス13を介して共押し出しにより作成した比較的厚膜のシートを鋼管に2層、一部を3層で巻き付け、且つラップずれを抑制するために圧下ロールによって上層のポリオレフィン樹脂シート(ポリオレフィン樹脂層4)を押さえつける被覆方法を行っていた。この被覆方法では、上層のポリオレフィン樹脂層が下層のポリオレフィン樹脂層と一体化しており、溶融状態から固体状態への相変化に伴う体積収縮による応力の残留量が大きく、接着力の低下や剥離の要因となっていた。これに対して、本発明の3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の多層被覆方法では、層間でラップずれによる被覆の収縮応力が緩和されることから(図2)、初期接着力の向上や冷熱サイクルでの剥離を抑制することが可能となる。
図1は一般的な3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の接着剤とポリオレフィン樹脂の2層被覆の構造を示す軸方向断面図の一例。 図2は本発明の3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管のポリオレフィン樹脂の多層被覆構造を示す軸方向断面図の一例。 図1に示す一般的な3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の接着剤とポリオレフィン樹脂の2層被覆構造の被覆方法の一例。 図2に示す本発明の3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管のポリオレフィン樹脂の多層被覆構造の被覆方法の一例。
以下、本発明につき詳細に説明を行なう。(図2、図4)
本発明の3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管の大部分は既存の方法によって鋼管1の外面にエポキシ樹脂プライマー層2、接着剤5、ポリオレフィン樹脂層6の順に3層で形成される。
被覆に使用する鋼管材質に制限は無く、普通鋼、あるいは高合金鋼など、どのような鋼種でも適用可能である。また、サイズ、厚みの制約は設備に起因するのみである。但し、本発明の効果は小径の鋼管では小さい。鋼管は油等の付着がある場合は事前に除去した後に鋼管表面の錆や汚れを除去し、接着に必要な粗度を確保するために鋼管ブラスト装置7によってブラスト処理を行う。ブラスト処理に用いる研掃材としては、一般的には鋼製グリッド・ショット粒を用いる。更に清浄な表面が要求される場合には、アルミナ等のセラミック素材を用いても良い。ブラスト処理後の表面に、鉄粉等の汚れが付着している場合、ブラシ、吸引、液体による洗浄等の処理を行うことができる。
次に、下地処理装置8によって洗浄処理、あるいは塗布型化成処理を行う。化成処理はリン酸やその他の処理を使用する事が出来るが、特に高い防食性能が要求される場合には、例えば日本パーカーライジング社製のパルクロム100などを用いて塗布型クロメート化成処理を行っても良い。
次に、エポキシ樹脂プライマー層2について説明する。このプライマー層2の形成には粉体エポキシ樹脂を用い、加熱装置9によって160〜250℃に加熱した鋼管に対して紛体プライマー塗装機10によって静電粉体塗装を行う。
粉体エポキシ樹脂塗料はビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を単独、もしくは混合し、更に多官能性のフェノールノボラック型エポキシ樹脂やハロゲン化エポキシ樹脂を組み合わせたものに、フェノール系、アミン系、イミダゾール化合物、ジシアンジアミドといった硬化剤を添加して調整されたものを用いる。
また、粉体エポキシ樹脂塗料としては無機顔料を20〜50重量%配合する。無機顔料はシリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等を適宜用いる。
粉体エポキシ樹脂塗料は、国内では日本ペイント株式会社、もしくは関西ペイント株式会社から入手可能なものを適宜選択して用いる。プライマー層の厚みは150〜600μmが適切である。
粉体エポキシ樹脂プライマー層2を形成後に、変性ポリオレフィン樹脂接着剤5を積層する。変性ポリオレフィン樹脂接着剤は、ポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸で変性したもの、あるいはポリオレフィン樹脂と無水マレイン酸との共重合体、ポリオレフィン樹脂とアクリル酸エステルと、無水マレイン酸との共重合体を用いることができる。
変性ポリオレフィン樹脂接着剤は、粉体あるいはペレットで供給される。ポリエチレン樹脂被覆に使用する接着剤としては、例えば三井化学社製のNE060,NE065,NE080、BOREALIS社製のBorcoat ME0420、Lyondell Basell社製のLucalen G3710E等が使用できる。ペレットの場合、接着剤押出機11を用いて加熱溶融した樹脂を、従来のポリオレフィン樹脂との2層ではなく、単層のTダイス15を用いてプライマー塗布後の鋼管外面に単独被覆する。あるいは、変性ポリオレフィン樹脂接着剤を粉砕して粉体化し、この粉体を塗布する方法もある。これらの方法により、0.1〜0.4mmの単独の接着剤層を予め形成する。
変性ポリオレフィン樹脂接着剤層5の上に被覆するポリオレフィン樹脂層6は、鋼管被覆用として市販されているものを使用することができる。代表的なポリオレフィン樹脂はポリエチレン樹脂であり、その他には高温用にポリプロピレン樹脂が用いられる。ポリエチレン樹脂としては鋼管被覆用に用いられる銘柄を使用することができる。例えば、国内では日本ポリエチレン社製のNOVATEC ER002S、海外では BOREALIS社製のBorcoat HE3450、Lyondell Basell社製のLupolen 4552Dなどの、鋼管被覆に要求される長期耐久性を有し、カーボンブラックを添加したものが使用可能である。
ポリプロピレン樹脂としては一般的にはホモポリマーよりも低温特性に優れる共重合体が使用され、耐熱性と耐候性対策として、着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等が添加されたもので、低温靭性と高温使用での耐酸化劣化性を兼ね備えたものであることが好ましい。ポリプロピレン樹脂での着色顔料としてカーボンブラックを用いると、高温で酸化防止剤の効果が消失するため、高性能の被覆鋼管品では用いられない。このため、着色顔料の色としては白色が一般的である。ポリプロピレン樹脂は、例えば国内では日本ポリプロピレンのTX1843B、海外ではBOREALIS社製のBorcoat BB108E-1199、Lyondell Basell社製のMoplen Coat EP60R/BIANCO、Polieco-mpb社のPROCOAT H.08.HTといった鋼管被覆用の樹脂が使用出来る。
ポリオレフィン樹脂被覆層は取り扱い時の疵発生を抑制するため、通常2mm以上被覆される。ポリオレフィン樹脂層は厚い程、耐疵性と防食性に優れるが、厚膜になると残留収縮応力が大きくなるため、おおむね5mm以下が望ましい。
ポリオレフィン樹脂の被覆方法としては従来と同じく、スクリューの押出機12を用いて樹脂を溶融させてTダイス16よりシート状にしたものを鋼管にスパイラル状に巻き付ける。この時、接着剤との共押し出しは行わず、接着剤とポリオレフィン樹脂は各々別々に被覆する。別々に被覆することによって本発明のポリオレフィン樹脂の多層巻きが可能となる。多層巻きによって層間のずれを利用した応力緩和が生じ(図2)、被覆の耐剥離性能が向上する。この時、応力緩和を効率的にするにはシート厚みは薄い方が良い。シートが薄いと熱量が小さくなって表面の温度が低下しやすく、応力緩和が生じやすくなる。また、最下層の接着剤層とポリオレフィン樹脂層では層間のずれは生じないので、応力緩和の出来ない1層目の厚みは薄い方が残留収縮応力は小さくなる。以上の理由から、1回に巻き付けるシートの膜厚を1mm未満とすることが必要である。このシートを多層に巻きつけることによって、応力を緩和した被覆が可能となる。巻き回数が多い方がずれ界面が多くなることから、巻き回数も多い方が良く、多層としては4層以上積層を行い、必要とする巻き数とピッチ幅からTダイス幅を決定する。Tダイスから押し出されたシートを鋼管に巻き付ける際には押さえ回転ロールを用いる。ポリオレフィン樹脂の応力緩和という観点ではロールは無い方が良いが、気泡等の混入を避けるためには必須である。ロール材質としては耐熱性を有するシリコンゴムが良く、ロールには内部を水冷する機構を設けて表面温度を抑制する。
〔実施例1〜7、比較例1〜3〕
以下、本発明の、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン樹脂を使用し、Tダイス16を用いて被覆するポリエチレン樹脂の巻き数と厚みを変えた実施例、比較例を具体的に説明する。
鋼管1は200AのJIS G3452の配管用炭素鋼管5.5m長を用いた。鋼管外面に鋼管ブラスト装置7によってIKK社製のTGD−70番でグリッドブラスト処理を行って除錆したものを用意した。その後、下地処理装置8によって鋼管の表面洗浄処理を行って汚れや鉄粉等を除去した。
鋼管を加熱装置9で220℃に加温後、スパイラル搬送を行い、粉体エポキシ樹脂プライマー(BASEPOX(登録商標)PE50-1081、Arsonsisi社製)を、紛体プライマー塗装機10によって膜厚が250μmとなるよう静電粉体塗装を実施した。この後、接着剤としてBOREALIS社製のBorcoat ME0420のペレットを押出機11と単層Tダイスを用いてシート状の半溶融状態に成形して接着剤膜厚が0.2mmとなるように巻き付け被覆を行った。次いで、ポリエチレン樹脂被覆にはBOREALIS社製のBorcoat HE3450のペレットを押出機12とポリオレフィン樹脂用単層Tダイス16を用いてシート状の半溶融状態に成形して巻き付け被覆を行った。この時の走行ピッチを25mmとし、Tダイスの幅、リップ厚みを調整してシートの厚み、巻き数、全膜厚を変更してポリエチレン樹脂被覆を行った。被覆の後に冷却装置14によって水冷を行い、3層ポリエチレン樹脂被覆鋼管を製造した。
製造した実施例、比較例のポリエチレン樹脂被覆鋼管は150mm長に切断した後、円周方向に8等分して試験片を作製した。作製したサンプルは軸方向に20mm幅でポリエチレン樹脂被覆の表面から鋼面に達する切り込みを入れた後、10mm/分の速度で90度方向にポリエチレン樹脂被覆を引っ張って、その剥離強度を測定し、ピール強度を求めた。また、冷熱サイクル試験としてはサンプルを−20℃環境に1時間、60℃環境に1時間保持する冷熱サイクルを100回実施後に被覆を除去して、被覆の膨張と収縮によって発生する端部からの鋼面の露出する剥離距離を測定し、その平均剥離距離を求めた。試験結果については表2、表3にまとめた。
被覆の全厚みが約3mmの場合に、1枚のシートの厚みと巻き数を変化させた結果を表2に示す。この結果、1枚のシートの厚みが1.0mm以上になれば、特に残留収縮応力の影響が大きい冷熱サイクル試験による被覆端面からの剥離が大きくなることが分かる(比較例1,2)。ただし、1枚のシートの厚みが0.4mmで、巻き数が7になるとその効果は小さくなる(実施例4)。従って、工業的には1枚のシートの厚みは0.5mm以上1.0mm未満であって、被覆全厚みが約3mmの場合は巻き数が4から6が適当である(実施例1〜3)。
よって、本発明の多層ポリオレフィン樹脂被覆を行うと、従来の方法である比較例1、2に比べてポリオレフィン樹脂被覆の接着力(ピール強度)が向上するとともに冷熱サイクル試験での剥離が大きく減少する。これは、本発明の被覆方法によりポリオレフィン樹脂の残留収縮応力が緩和されたものと考えられる。
被覆の全厚みが約5mmの場合に、1枚のシートの厚みと巻き数を変化させた結果を表3に示す。この結果、被覆の全厚みが3mmより大きいために、全体として残留収縮応力が大きくなり、冷熱サイクル試験での剥離距離が大きくなっているが、この場合でも、1枚のシートの厚みを1.0mm未満とすれば冷熱サイクル試験での剥離を出来るだけ小さくすることができる(実施例5〜7)。
一方、1枚のシートの厚みが1.0mmの場合は、ピール強度には顕著にその効果は表れないが、冷熱サイクル試験での剥離が過大となり、実用上好ましくない(比較例3)。
以上の結果からも明らかなように、3層ポリオレフィン樹脂被覆鋼管において多層被覆を行うことで、ポリオレフィン樹脂の残留収縮応力が緩和され、特に冷熱サイクル試験における端部剥離を減少させることが可能となる。その効果は鋼管周方向の締め付け圧力が小さい中〜大径鋼管の厚膜被覆で大きい。
1 鋼管
2 プライマー層
3 2層Tダイス被覆による接着剤層
4 2層Tダイス被覆による厚膜ポリオレフィン樹脂層
5 ポリオレフィン樹脂被覆前に形成された接着剤層
6 単層Tダイスによって多層被覆されたポリオレフィン樹脂層
7 鋼管ブラスト装置
8 洗浄、化成処理等の下地処理装置
9 加熱装置
10 粉体プライマー塗装機
11 接着剤押出機
12 ポリオレフィン樹脂押出機
13 2層Tダイス
14 冷却装置
16 ポリオレフィン樹脂用単層Tダイス

Claims (1)

  1. プライマー、接着剤、ポリオレフィン樹脂の3層からなる被覆層を有するポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法において、押出機よりTダイスで押し出されたシート状の溶融ポリオレフィン樹脂を鋼管に多層に巻き付けて約2〜5mm厚みのポリオレフィン樹脂被覆を鋼管外側に形成する時、巻き付けるポリオレフィン樹脂シートの1層の厚みを1mm未満とすることを特徴とするポリオレフィン樹脂被覆鋼管の製造方法。
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