JP2018078864A - 生体関連分子固定化用担体 - Google Patents
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Abstract
【課題】生体関連分子含有溶液をスポットした際にそのスポット径を小さく維持しつつ、検出感度の高い担体の提供。【解決手段】樹脂基板と、該樹脂基板上に形成されたアミノ基含有化合物層と、該アミノ基含有化合物層上に形成された多価カルボン酸層を有する生体関連分子固定化用担体であって、前記多価カルボン酸層のカルボキシル基は活性エステル化されており、前記活性エステル化前の担体表面をX線光電子分光法で測定した場合におけるC1sスペクトルの(COOピーク強度)/(C−Cピーク強度)比が0.064以上0.12以下である、生体関連分子固定化用担体。【選択図】図1
Description
本発明は、生体関連分子を固定化するための担体およびその製造方法に関する。
環境や食品に対する安全性及び健全性を求める要望に伴い、環境資料や食品の原料又は製品中の微生物汚染を管理するための技術開発が進んでいる。その手段としては、微生物由来の核酸などの生体関連分子を検出する方法が検出感度及び特異性などの点から有利であり、マイクロアレイやDNAチップ等、表面処理を施した基板上に生体関連分子を固定化した各種担体が開発されている。これらの担体では、精密な点着装置を使用することによって、異なる生体関連分子を含有する多数の溶液が、小さなスポット状で基板上に個別にスポッティングされる。
上記のような生体関連分子を固定化するための担体の例としては、例えば各種材料から作成された基板上に多価アミン層を有し、その上にさらに活性エステル基を有する担体(特許文献1)、同様に基板上に静電層を有し、その上にさらに活性エステル基を有する担体(特許文献2)、また同様に、基板上にアミノアルキルシランと活性エステル基を有する担体(特許文献3)などあり、基板の表面処理の種類や方法としては数多くのものが知られている。しかしながら、各種基板や表面処理の具体的な種類及び適用条件によって、生体関連分子のスポッティングや検出の性能が大きく影響を受ける場合もあり、従って、さらなる技術開発が必要とされている。
生体関連分子を固定化するための基板の表面処理において、例えばポリアクリル酸のような多価カルボン酸を使用した基板では表面のぬれ性が高いために、生体関連分子含有溶液を基板上にスポットした際にそのスポット径が大きくなる問題があった。また、本技術分野において、検出感度(S/N比)の向上は常に求められる要望である。このように、生体関連分子溶液が広がらないようにスポット径を小さく維持しつつ、さらに生体関連分子の検出感度を高めることができる技術の開発の必要性が存在する。
本願発明者らは、樹脂基板を用い、該基板上にアミノ基含有化合物層及び多価カルボン酸層を順に積層した生体関連分子固定化用担体を作製する場合において、積層後の担体表面をX線光電子分光法で測定した場合におけるC1sスペクトルの(COOピーク強度)/(C−Cピーク強度)比を所定の範囲とすることにより上記の課題を解決できることを見出し、本願発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、樹脂基板と、該樹脂基板上に形成されたアミノ基含有化合物層と、該アミノ基含有化合物層上に形成された多価カルボン酸層を有する生体関連分子固定化用担体であって、前記多価カルボン酸層のカルボキシル基は活性エステル化されており、前記活性エステル化前の担体表面をX線光電子分光法で測定した場合におけるC1sスペクトルの(COOピーク強度)/(C−Cピーク強度)比が0.064以上0.12以下である、生体関連分子固定化用担体を提供する。
また、本発明は、樹脂基板の上にアミノ基含有化合物層を形成する工程、該アミノ基含有化合物層の上に多価カルボン酸層を形成する工程、及び、該多価カルボン酸層のカルボキシル基を活性エステル化する工程を含む、生体関連分子固定化用担体の製造方法であって、前記アミノ基含有化合物層及び多価カルボン酸層を形成する各工程は、多価カルボン酸層の形成後の担体表面をX線光電子分光法で測定した場合におけるC1sスペクトルの(COOピーク強度)/(C−Cピーク強度)比が0.064以上0.12以下となる条件で行われる、製造方法を提供する。
本願発明においては、前述の通り、樹脂基板を用いるとともに、該基板を表面処理して多価カルボン酸層を形成した後の担体表面をX線光電子分光法で測定した場合におけるC1sスペクトルの測定値を制御した生体関連分子固定化用担体とすることによって、生体関連分子含有溶液をスポットした際にそのスポット径を小さく維持しつつ、検出感度の高い担体を得ることができる。
本願発明は、樹脂基板と、該樹脂基板上に形成されたアミノ基含有化合物層と、該アミノ基含有化合物層上に形成された多価カルボン酸層を有する生体関連分子固定化用担体であって、前記多価カルボン酸層のカルボキシル基は活性エステル化されており、前記活性エステル化前の担体表面をX線光電子分光法で測定した場合におけるC1sスペクトルの(COOピーク強度)/(C−Cピーク強度)比が0.064以上0.12以下である、生体関連分子固定化用担体を提供する。
本願発明においては樹脂の基板が使用される。樹脂の種類は特に限定されないが、核酸等の生体関連分子の検出は生体関連分子に結合している蛍光物質に基づいて行われることが多いため、自家蛍光がなるべく低い材料を用いることが好ましい。具体的な樹脂の種類としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、ポリフェニレンオキサイド及びポリスルホンなどの有機材料などが挙げられ、これらの2種類以上の混合樹脂を使用してもよい。また、検出感度の向上など、所望の目的に応じて性能を向上できる他の物質を適宜追加してもよく、例えばカーボンブラックなどの黒色顔料を混合してもよい。
本発明においては、樹脂基板の材料としてポリカーボネートを使用することが好ましく、より好ましくは黒色顔料としてのカーボンブラックを含むポリカーボネートが使用される。カーボンブラックの量は当業者が適宜決定することが可能であるが、例えば0.1重量%〜2重量%、好ましくは0.2重量%〜1重量%、より好ましくは0.3重量%〜0.8重量%のカーボンブラックを樹脂中に含むもの材料が使用される。
本発明の生体関連分子固定化用担体では、上記の樹脂基板上にアミノ基含有化合物層が形成される。アミノ基含有化合物層に含まれるアミノ基含有化合物としては、非置換でも置換されていてもよいアミノ基を1つ又は複数有する任意の化合物を使用することが可能であり、例えばアンモニアや各種アミン、アミノアルコール、アミノアルキルシラン等を含む化合物を使用することができる。上記アミンとしては、アリルアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、n−プロピルアミン等が挙げられる。本発明においては、上記のうち、アミノ基含有化合物として好ましくはアミノアルキルシランが使用される。アミノアルキルシランは、例えばアルキル基の炭素数1〜10、好ましくは2〜5のものが使用され、具体的にはアルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等であり得る。上記のうち、本発明においてはプロピル基が特に好ましい。また、アミノアルキルシランのシランは1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、例えば炭素数1〜5、好ましくは2〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)で置換されているものを使用することが可能であり、特にエトキシ基で3置換されていることが好ましい。具体的なアミノアルキルシランとしては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルジメトキシエチルシラン等が挙げられ、本発明においては3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。なお、アミノ基含有化合物層は基板の少なくとも一部の表面上に形成されていればよく、基板の表面全体を覆っている必要はない。
アミノ基含有化合物層を形成する方法は特に限定されないが、例えば、上記のアミノ基含有化合物を各種溶媒に溶解した溶液に基板を浸漬することによって、アミノ基含有化合物層を形成することができる。溶媒の種類としては水や各種有機溶媒、例えばメタノール、エタノールなどのアルコールを使用することができるが、基板の表面粗度を小さくして自家蛍光を押さえるためには、溶媒として水を使用して、アミノ基含有化合物が十分に加水分解された水溶液に基板を浸漬することが好ましい。
アミノ基含有化合物溶液の濃度及び浸漬時間は、使用する具体的な化合物の種類、及び、後述するような本発明の所定のピーク強度比が得られるように当業者が適宜設定することが可能であるが、例えば1重量%〜10重量%、好ましくは3重量%〜8重量%の溶液を使用し、浸漬時間は15分〜180分、好ましくは30分〜120分とすることができる。
本発明の生体関連分子固定化用担体では、上記のアミノ基含有化合物層の上にさらに多価カルボン酸層が形成される。このように多価カルボン酸層を形成することによって、担体の表面側にカルボキシル基が導入される。本発明に使用される多価カルボン酸の種類は特に限定されないが、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、アクリル酸−メタクリル酸コポリマー等のカルボキシル基を有するモノマーの単独重合体又は共重合体を使用することができる。多価カルボン酸のカルボキシル基がアミノ基含有化合物層のアミノ基とアミド結合することによって、多価カルボン酸層はアミノ基含有化合物層の上に強固に結合することが可能となる。なお、多価カルボン酸層はその下にある基板及び/又はアミノ基含有化合物層の少なくとも一部の表面上に形成されていればよく、基板及び/又はアミノ基含有化合物層の表面全体を覆っている必要はない。
多価カルボン酸層を形成する方法は特に限定されないが、例えば、アミノ基含有化合物層が形成された基板を多価カルボン酸の溶液に浸漬する方法が挙げられる。多価カルボン酸の溶液に使用される溶媒は当業者が適宜選択することが可能であり、水や各種有機溶媒、例えばメタノール、エタノールなどのアルコールを使用することができるが、本発明においては水溶液を使用することが好ましい。
多価カルボン酸層溶液の分子量、濃度及び浸漬時間は、具体的な多価カルボン酸の種類、及び後述するような本発明の所定のピーク強度比が得られるように当業者が適宜設定することが可能であるが、例えば、分子量は2.5万〜100万、好ましくは5万〜50万、特に好ましくは10万〜20万が選択され、濃度としては0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%、特に好ましくは1.0重量%〜5.0重量%が選択され、浸漬時間としては例えば1分〜60分、好ましくは5分〜30分、特に好ましくは10分〜20分が選択される。
上記の通り、樹脂基板上にアミノ基含有化合物層、さらに多価カルボン酸層が積層された担体は、その表面をX線光電子分光法で測定した場合におけるC1sスペクトルの(COOピーク強度)/(C−Cピーク強度)比(以下、単に「ピーク強度比」ともいう)が0.064以上0.12以下となる。上記ピーク強度比は好ましくは0.064以上0.10以下であり、さらに好ましくは0.064以上0.10未満、特に好ましくは0.070以上0.094以下である。或いは、上記ピーク強度は、0.10以上0.12以下の範囲であってもよい。多価カルボン酸層を形成した後のピーク強度比が上記の範囲となるように作成した生体関連分子固定化用担体とすることにより、生体関連分子含有溶液をスポットした際にそのスポット径を小さく維持しつつ、検出感度の高いDNAチップを得ることができる。
なお、上記の「COOピーク強度」とは、C1sスペクトルにより測定される基板表面のカルボキシル基に由来するピークの強度を意味し、結合エネルギー288.4eV付近に観察されるピークの測定値を表す。また、上記の「C−Cピーク強度」とは、C1sスペクトルにより測定される基板表面の炭化水素基に由来するピークの強度を意味し、結合エネルギー284.7eV付近に観察されるピークの測定値を表す。
上記COOピークは、主に担体の最上層に形成された多価カルボン酸層のカルボキシル基に由来するものであると考えられ、従って、一般に多価カルボン酸層の形成を制御できる変動要素を調整することによって上記のピーク強度を調整することが可能である。例えば、多価カルボン酸層を形成する工程で使用する多価カルボン酸溶液の濃度や、該溶液への基板の浸漬時間などを調整することによって、前記ピーク強度比を調整することが可能であり、その具体的な濃度や時間の好ましい範囲及び具体的な値は、当業者が実際のピーク強度の測定値等に基づいて適宜調整して設定できることは明らかであり、その具体的な好ましい範囲は前述した通りである。
また、上記C−Cピークは主に樹脂基板とアミノ基含有化合物層及び多価カルボン酸層に由来するものであると考えられ、特に、樹脂基板上にアミノ基含有化合物層及び多価カルボン酸層を形成した後にも基板の樹脂が一部表面に露出していることによりピーク強度は基板の材質により変動を受けると考えられる。従って、前記ピーク強度比は、アミノ基含有化合物層及び多価カルボン酸層を形成する工程における作用条件(例えば溶液の濃度及び浸漬時間等)によって変動するものであり、基板の材質固有の値となる。
本願発明の生体関連分子固定化用担体において、上記の通り形成された多価カルボン酸層のカルボキシル基は活性エステル化される。カルボキシル基を活性エステル化して活性エステル基を形成することによって、最終的に生体関連分子固定化用担体として生体関連分子溶液をスポッティングする際に生体関連分子を安定的に固定化することが可能となる。活性エステル基の種類及びその形成手段は、生体関連分子固定化用担体としての用途に適切なものを当業者が適宜選択することが可能であり特に限定されないが、例えばニトロフェニル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、N−ヒドロキシノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基などが挙げられ、本発明においてはN−ヒドロキシスクシンイミド基が好ましい。活性エステル基を形成する方法としては、例えば1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などの脱水縮合剤と、上記のような活性エステル基に対応する各種求電子性基導入剤(N-ヒドロキシスクシンイミドなど)を緩衝液に溶解した溶液中に浸漬することによって、多価カルボン酸層のカルボキシル基を活性エステル化することができる。
上記により得られる本発明の生体関連分子固定化用担体は、その表面上に生体関連分子を固定化することができる。本発明における生体関連分子は好ましくは核酸である。 核酸含有溶液を生体関連分子固定化用担体に点着し、乾燥させた後で担体上に結合されなかった未反応の核酸溶液を洗浄することにより、核酸が固定化された担体を得ることができる。担体上に核酸含有溶液をスポットする方法は核酸含有溶液を保持したピンを担体上に接触させて点着する方法、あるいは核酸含有溶液をインクジェットにより担体上に吹き付ける方法などがあるが、特に限定されず、当業者に知られる任意の装置及び方法等を使用して行うことが可能である。
上記のように作製された核酸固定化担体は、被検試料中の標的核酸の存在の検出に使用することができる。例えば、核酸としてDNAを使用する場合を例示すると、被検試料からDNAを抽出して増幅し、それを核酸固定化担体(DNAチップやマイクロアレイなど)上の核酸とハイブリダイズさせて検出することにより、被検試料中の特定の微生物汚染の有無などを確認することができる。DNAを抽出する方法としては、例えばフェノール抽出法、フェノール・クロロホルム抽出法、アルカリ溶解法、ボイリング法が挙げられる。また、市販のDNA抽出試薬や核酸自動抽出装置を用いてDNAを抽出する方法が挙げられる。
抽出されたDNAは、必要によりそのターゲット領域が核酸増幅方法により増幅される。ターゲット領域とは、染色体DNAのうち、核酸増幅方法により増幅できる領域であり、検出対象の微生物を検出することができるものであれば特に制限されず、目的に応じて適宜設定することができる。例えば、被検試料に検出対象の微生物と異なる種類の細胞が含まれる場合には、ターゲット領域は、検出対象の微生物に特異的な配列を有することが好ましい。また、目的によっては、複数種の微生物に共通する配列を有するものであってもよい。核酸増幅方法としては、PCR法(polymerase chain reaction)、SDA法(strand displacement amplification)、LCR法(ligase chain reaction)、LAMP法(loop-mediated isothermal amplification),ICAN法(isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acids)などが存在し、その中でもPCR法を用いることが好ましい。例えばPCR法で増幅されるターゲット領域の長さとしては、通常80〜1000塩基、好ましくは100〜500塩基が挙げられる。
増幅されたDNAは、本発明の核酸固定化担体を用いて検出される。担体上に固定化されている核酸(プローブ)は、特定の遺伝子やタンパク質などの多種の生体関連分子が混在し、他と区別しにくく直接には選択が困難である場合に、標的とする生体関連分子にのみ結合させることで、検出可能にする検出子である。例えば、生体関連分子として、特定の微生物の核酸を検出する場合、プローブには、この微生物の核酸が有する塩基配列と相補的な配列を有するDNA断片が用いられ、核酸とのハイブリダイゼーションが行われる。プローブには通常1〜200塩基、好ましくは10〜150塩基のDNAが固定化される。DNAは一本鎖、二本鎖のいずれも固定化することができる。また、標的の生体関連分子を蛍光物質などで予め標識しておくことで、プローブに結合した生体関連分子を検出することができる。生体関連分子とプローブの結合反応に用いられる溶液には、生体関連分子の他、例えばクエン酸−生理食塩水にSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を添加した緩衝液などが含有される。
以下、実施例に基づいて本願の態様をさらに詳細に説明する。
以下、実施例に基づいて本願の態様をさらに詳細に説明する。
表面処理基板の作製
カーボンブラックを含有するポリカーボネート基板を、5重量%の3−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液(AS溶液)に30〜120分間浸漬してアミノ基を導入した。このアミノ基が導入された基板を分子量約15万のポリアクリル酸水溶液(PA溶液)に浸漬した後、純水で洗浄し、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)に100mMの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩と50mMのN-ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に10分間浸漬することによってカルボキシル基を活性化して、表面処理基板を作製した。上記の処理に際して、浸漬に用いるポリアクリル酸水溶液の濃度を、後述の表に示すように0.5%〜10%の範囲で変えることによってカルボキシル基導入量の異なる基板を作製した。また、ポリアクリル酸処理後の基板表面について、X線光電子分光分析機(K-Alpha XPS system、サーモフィッシャーサイエンティフィック製)で測定し、C1sスペクトルを得て、炭化水素に由来する284.7eV付近で得られるピークの強度(C−Cピーク強度)とカルボキシル基に由来する288.4eV付近で得られるピークの強度(COOピーク強度)を測定し、その比を算出した。
カーボンブラックを含有するポリカーボネート基板を、5重量%の3−アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液(AS溶液)に30〜120分間浸漬してアミノ基を導入した。このアミノ基が導入された基板を分子量約15万のポリアクリル酸水溶液(PA溶液)に浸漬した後、純水で洗浄し、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)に100mMの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩と50mMのN-ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に10分間浸漬することによってカルボキシル基を活性化して、表面処理基板を作製した。上記の処理に際して、浸漬に用いるポリアクリル酸水溶液の濃度を、後述の表に示すように0.5%〜10%の範囲で変えることによってカルボキシル基導入量の異なる基板を作製した。また、ポリアクリル酸処理後の基板表面について、X線光電子分光分析機(K-Alpha XPS system、サーモフィッシャーサイエンティフィック製)で測定し、C1sスペクトルを得て、炭化水素に由来する284.7eV付近で得られるピークの強度(C−Cピーク強度)とカルボキシル基に由来する288.4eV付近で得られるピークの強度(COOピーク強度)を測定し、その比を算出した。
実施例4のポリアクリル酸処理後の基板におけるXPS表面分析のC1sスペクトルを図1に示す。288.4eV付近に検出されるピークがポリカーボネート基板に主に由来すると考えられるC−Cピークであり、284.7eV付近に検出されるピークが多価カルボン酸層のカルボキシル基に由来すると考えられるCOOピークである。
DNA固定化基板の作製
表面処理基板に対し、マイクロアレイ作成装置(MARKS-I 、高電工業製)を用いて10mMに調製したDNAプローブ溶液を点着した。DNAプローブが点着された基板を80℃のオーブンで1時間加熱した後、2×SSC/0.2%SDSで室温にて10分間および60℃にて10分間洗浄してDNA固定化基板を作製した。
点着したDNAプローブ溶液のスポット径を顕微鏡観察により測定した。
表面処理基板に対し、マイクロアレイ作成装置(MARKS-I 、高電工業製)を用いて10mMに調製したDNAプローブ溶液を点着した。DNAプローブが点着された基板を80℃のオーブンで1時間加熱した後、2×SSC/0.2%SDSで室温にて10分間および60℃にて10分間洗浄してDNA固定化基板を作製した。
点着したDNAプローブ溶液のスポット径を顕微鏡観察により測定した。
カビPCR産物の調製と検出感度の評価
Aspergillus fumigatusを平板培地上で培養し、得られた集落からDNAを抽出した。これを50pg/μL濃度に調製したものを鋳型DNAとしてPCRにより増幅し、検出感度評価用のPCR産物を得た。
Aspergillus fumigatusを平板培地上で培養し、得られた集落からDNAを抽出した。これを50pg/μL濃度に調製したものを鋳型DNAとしてPCRにより増幅し、検出感度評価用のPCR産物を得た。
検出
ハイブリダイゼーション用バッファー2μLとPCR産物4μLを混合し、作製したDNA固定化基板の表面と接触させ、45℃で60分間反応させた。反応後、基板を0.5×SSC/0.2%SDS溶液で、次いで0.5×SSC溶液で2回、それぞれ50往復ずつ揺動洗浄し、カバーガラスをのせてDNAチップ検出装置(GENOGATE Reader、東洋鋼鈑製)で蛍光検出画像を得た。検出画像上の各スポットから得られる蛍光強度値およびバックグラウンド値からS/N比を算出した。
ハイブリダイゼーション用バッファー2μLとPCR産物4μLを混合し、作製したDNA固定化基板の表面と接触させ、45℃で60分間反応させた。反応後、基板を0.5×SSC/0.2%SDS溶液で、次いで0.5×SSC溶液で2回、それぞれ50往復ずつ揺動洗浄し、カバーガラスをのせてDNAチップ検出装置(GENOGATE Reader、東洋鋼鈑製)で蛍光検出画像を得た。検出画像上の各スポットから得られる蛍光強度値およびバックグラウンド値からS/N比を算出した。
上記の通り作製した核酸固定化用担体(エステル活性化前)についてのC−Cピーク強度及びCOOピーク強度の算出値、それらのピーク強度比、並びに、DNA固定化後に測定されたS/N比及びスポット径を以下の表に示す。
上記の結果によれば、カビPCR産物をハイブリダイズさせてDNA固定化基板の検出感度を評価した結果、多価カルボン酸層形成後の基板表面のCOO/C−Cピーク強度比が0.064〜0.12の範囲となる担体上に核酸溶液を点着すると、スポット径を小さく維持しつつ、検出感度の高いDNAチップを得ることができる。
Claims (4)
- 樹脂基板と、該樹脂基板上に形成されたアミノ基含有化合物層と、該アミノ基含有化合物層上に形成された多価カルボン酸層を有する生体関連分子固定化用担体であって、前記多価カルボン酸層のカルボキシル基は活性エステル化されており、前記活性エステル化前の担体表面をX線光電子分光法で測定した場合におけるC1sスペクトルの(COOピーク強度)/(C−Cピーク強度)比が0.064以上0.12以下である、生体関連分子固定化用担体。
- 前記アミノ基含有化合物がアミノアルキルシランであることを特徴とする、請求項1に記載の生体関連分子固定化用担体。
- 前記樹脂基板が黒色顔料含有のポリカーボネートであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の生体関連分子固定化用担体。
- 樹脂基板の上にアミノ基含有化合物層を形成する工程、該アミノ基含有化合物層の上に多価カルボン酸層を形成する工程、及び、該多価カルボン酸層のカルボキシル基を活性エステル化する工程を含む、生体関連分子固定化用担体の製造方法であって、前記アミノ基含有化合物層及び多価カルボン酸層を形成する各工程は、多価カルボン酸層の形成後の担体表面をX線光電子分光法で測定した場合におけるC1sスペクトルの(COOピーク強度)/(C−Cピーク強度)比が0.064以上0.12以下となる条件で行われる、製造方法。
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