JP2018076543A - 重合体 - Google Patents

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豊 青木
新治 松岡
Shinji Matsuoka
新治 松岡
光史 野殿
Mitsufumi Nodono
光史 野殿
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Abstract

【課題】ポリカーボネート樹脂に配合した場合には成形加工性を改善でき、かつ成形不良の発生が抑えられ、表面硬度が良好な成形体を得ることができる重合体を提供する。
【解決手段】ナフチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a1)および芳香族ビニルに由来する構成単位(a2)を有し、前記構成単位(a2)の割合が、重合体の全構成単位100質量%のうち、0.5〜85質量%であり、質量平均分子量が、50000〜5000000である、重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、重合体に関する。
ポリカーボネート樹脂からなる成形体は、機械強度、耐熱性、電気特性、寸法安定性、難燃性、透明性等に優れることから、各種機器(電気機器、電子機器、OA機器等)の部材(筐体等)、光記録媒体、自動車部品、建築部材等に広く用いられている。
しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、流動性が低く、成形加工性に課題がある。
成形加工性が向上したポリカーボネート樹脂組成物としては、下記のものが開示されている。
・フェニル(メタ)アクリレートに由来する構成単位および芳香族ビニルに由来する構成単位を有する重合体からなる流動性向上剤と、ポリカーボネート樹脂とを含むポリカーボネート樹脂組成物(特許文献1)。
国際公開第2005/030819号
しかしながら、特許文献1に記載されたポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体は、流動性向上剤である重合体が芳香族ビニル(特にスチレン)に由来する構成単位を多く有するため、各種シート、自動車ヘッドランプ等として用いるには、表面硬度が不足している。一方、成形体の表面硬度を高くするために、芳香族ビニルに由来する構成単位の割合を減らすと、ポリカーボネート樹脂組成物の成形加工性が低下する。
本発明は、ポリカーボネート樹脂に配合した場合には成形加工性を改善でき、かつ成形不良の発生が抑えられ、表面硬度が良好な成形体を得ることができる重合体および表面硬度向上剤;成形加工性が良好であり、かつ成形不良の発生が抑えられ、表面硬度が良好な成形体を得ることができるポリカーボネート樹脂組成物;ならびに成形不良の発生が抑えられ、表面硬度が良好である、ポリカーボネート樹脂を含む成形体を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]ナフチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a1)および芳香族ビニルに由来する構成単位(a2)を有し、前記構成単位(a2)の割合が、重合体の全構成単位100質量%のうち、0.5〜85質量%であり、質量平均分子量が、50000〜5000000である、重合体。
本発明の重合体は、ポリカーボネート樹脂に配合した場合には成形加工性を改善でき、かつ成形不良の発生が抑えられ、表面硬度が良好な成形体を得ることができる。
本発明の表面硬度向上剤は、ポリカーボネート樹脂に配合した場合には成形加工性を改善でき、かつ成形不良の発生が抑えられ、表面硬度が良好な成形体を得ることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、成形加工性が良好である。本発明のポリカーボネート樹脂組成物によれば、成形不良の発生が抑えられ、表面硬度が良好な成形体を得ることができる。
本発明の成形体は、成形不良の発生が抑えられ、表面硬度が良好である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「構成単位」とは、単量体が重合することによって形成された単量体に由来する構成単位、または重合体を処理することによって構成単位の一部が別の構造に変換された構成単位を意味する。
「質量平均分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定される、ポリスチレン換算の質量平均分子量である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
<重合体>
本発明の重合体(以下、重合体(A)とも記す。)は、ナフチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a1)および芳香族ビニルに由来する構成単位(a2)を有する。重合体(A)は、必要に応じて他の単量体に由来する構成単位(a3)を有していてもよい。
重合体(A)の質量平均分子量は、50000〜5000000が好ましく、50000〜1000000がより好ましく、50000〜200000がさらに好ましい。重合体(A)の質量平均分子量が50000以上であれば、成形体の表面硬度がさらに優れる。重合体(A)の質量平均分子量が5000000以下であれば、成形加工性がさらに優れる。
重合体(A)の製造方法としては、公知の懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法等が挙げられる。重合体(A)の製造方法としては、重合体(A)の回収が容易な点から、懸濁重合法または乳化重合法が好ましい。
(構成単位(a1))
構成単位(a1)は、ナフチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位である。構成単位(a1)は、成形体の表面硬度を向上させる。
ナフチル(メタ)アクリレートとしては、例えば、1−ナフチルメタクリレート、2−ナフチルメタクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート等が挙げられる。ナフチル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
構成単位(a1)としては、成形体の耐熱性が優れる点から、1−ナフチルメタクリレートに由来する構成単位および2−ナフチルメタクリレートに由来する構成単位のいずれか一方または両方が好ましい。
構成単位(a1)の割合は、重合体(A)の全構成単位100質量%のうち、15〜99.5質量%が好ましく、15〜80質量%がより好ましく、15〜60質量%がさらに好ましい。構成単位(a1)が15質量%以上であれば、成形体の表面硬度がさらに優れる。構成単位(a1)が99.5質量%以下であれば、ポリカーボネート樹脂組成物の成形加工性がさらに優れる。
(構成単位(a2))
構成単位(a2)は、芳香族ビニルに由来する構成単位である。構成単位(a2)は、ポリカーボネート樹脂組成物の成形加工性を向上させる。
芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。芳香族ビニルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
構成単位(a2)としては、成形体の耐熱性が優れる点から、スチレンに由来する構成単位およびα−メチルスチレンに由来する構成単位のいずれか一方または両方が好ましい。
構成単位(a2)の割合は、重合体(A)の全構成単位100質量%のうち、0.5〜85質量%が好ましく、20〜85質量%がより好ましく、40〜85質量%がさらに好ましい。構成単位(a2)が0.5質量%以上であれば、ポリカーボネート樹脂組成物の成形加工性がさらに優れる。構成単位(a2)が85質量%以下であれば、成形体の表面硬度がさらに優れる。
(構成単位(a3))
構成単位(a3)は、ナフチル(メタ)アクリレートおよび芳香族ビニル以外の他の単量体に由来する構成単位である。
他の単量体としては、例えば、下記のものが挙げられる。
メタクリレート:メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等(ただし、ナフチルメタクリレートを除く)。
アクリレート:メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート等(ただし、ナフチルアクリレートを除く)。
カルボキシ基含有単量体:メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸等。
シアン化ビニル単量体:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
ジエン系単量体:ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等。
ビニルエーテル系単量体:ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等。
カルボン酸系ビニル単量体:酢酸ビニル、酪酸ビニル等。
オレフィン系単量体:エチレン、プロピレン、イソブチレン等。
ハロゲン化ビニル単量体:塩化ビニル、塩化ビニリデン等。
マレイミド系単量体:マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド等。
架橋剤:アリル(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート等。
他の単量体としては、共重合性に優れる点から、メタクリレート、アクリレートが好ましい。
他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
構成単位(a3)の含有量は、重合体の全構成単位100質量%のうち、0〜30質量%が好ましい。構成単位(a3)の含有量が30質量%以下であれば、成形体の耐熱分解性が優れる。
(作用機序)
以上説明した本発明の重合体にあっては、ナフチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a1)を有するため、本発明の重合体をポリカーボネート樹脂に配合した場合には、表面硬度に優れる成形体を得ることができる。
また、本発明の重合体にあっては、芳香族ビニルに由来する構成単位(a2)を有するため、本発明の重合体をポリカーボネート樹脂に配合した場合には、成形加工性に優れるポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。
また、本発明の重合体にあっては、ナフチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a1)を有するため、成形不良の発生が抑えられた成形体を得ることができる。
<表面硬度向上剤>
本発明の重合体は、上述した効果を発揮することから、ポリカーボネート樹脂の表面硬度向上剤として好適に用いることができる。
そして、本発明の表面硬度向上剤にあっては、上述した作用機序によって、本発明の重合体と同様の効果を発揮することができる。
<ポリカーボネート樹脂組成物>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(B)と、本発明の表面硬度向上剤とを含む。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じてポリカーボネート樹脂(B)および本発明の表面硬度向上剤以外の他の成分を含んでいてもよい。
(ポリカーボネート樹脂(B))
ポリカーボネート樹脂(B)は、主鎖に炭酸エステル結合(−O−C(O)−O−)を有する高分子化合物であればよく、特に制限はない。
ポリカーボネート樹脂(B)としては、通常、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応によって製造される芳香族ポリカーボネートが挙げられる。具体的には、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法または溶融法によって反応させて製造されたものが挙げられ、より具体的には、2価フェノールとホスゲンとを反応させて製造されたもの、2価フェノールとジフェニルカーボネート等とをエステル交換法によって反応させて製造されたものが挙げられる。
2価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、またはこれらのハロゲン置換体等が挙げられる。これらの他に、2価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。
2価フェノールとしては、コストの点から、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系が好ましく、ビスフェノールAが特に好ましい。
2価フェノールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、ハロホルメート等が挙げられ、具体的には、ホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。
カーボネート前駆体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂(B)は、分岐構造を有していてもよい。ポリカーボネート樹脂(B)に分岐構造を導入するための分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(B)は、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部とを有する共重合体であってもよく、この共重合体を含むポリカーボネート樹脂であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(B)は、エステル前駆体(2官能性カルボン酸(テレフタル酸等)またはそのエステル形成誘導体等)の存在下で、2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるポリエステル−ポリカーボネート樹脂であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(B)は、種々のポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(B)の製造の際には、分子量の調節のために、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノール等を用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂(B)の粘度平均分子量は、粘度法により算出することができ、15000〜30000が好ましく、17000〜25000がより好ましい。粘度平均分子量が前記範囲内であれば、ポリカーボネート樹脂組成物の成形加工性および成形体の表面硬度が優れる。
(他の成分)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて各種添加剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃化剤等)、各種フィラー(ガラス、マイカ、ゴム粒子等)等を含んでいてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリカーボネート樹脂以外の他の樹脂を含んでいてもよい。
(ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(B)と、本発明の表面硬度向上剤と、必要に応じて他の成分とを溶融混練することによって製造することができる。
溶融混練装置としては、例えば、バンバリーミキサ、ニーダ、ロール、ニーダールーダ、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等が挙げられる。
(ポリカーボネート樹脂組成物の組成)
本発明の表面硬度向上剤の割合は、ポリカーボネート樹脂(B)と表面硬度向上剤との合計100質量%のうち、0.1〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。表面硬度向上剤の割合が0.1質量%以上であれば、成形体の表面硬度がさらに優れる。表面硬度向上剤の割合が60質量%以下であれば、成形体の光学特性がさらに優れる。
(屈折率)
重合体(A)の屈折率とポリカーボネート樹脂(B)の屈折率との差の絶対値は、0.01以下が好ましく、0.008以下がより好ましい。屈折率差の絶対値が0.01以下であれば、成形体の光学特性がさらに優れる。
本発明における屈折率は、波長589nmにおける屈折率である。
本発明における屈折率は、文献値であってもよく、計算値であってもよく、各種屈折率計を用いた測定値であってもよい。後述する実施例においては、重合体(A)およびポリカーボネート樹脂(B)の屈折率は、POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION(WILEY INTERSCIENCE)に記載されている文献値、または下記式(1)を用いて算出した計算値とした。
n(A)=n(a1)×x(a1)/100+n(a2)×x(a2)/100+n(a3)×x(a3)/100 ・・・(1)
ただし、
n(A)は、重合体(A)の屈折率であり、
n(a1)は、ナフチル(メタ)アクリレートの単独重合体の屈折率の文献値であり、
n(a2)は、芳香族ビニルの単独重合体の屈折率の文献値であり、
n(a3)は、他の単量体の単独重合体の屈折率の文献値であり、
x(a1)は、重合体(A)の全構成単位100質量%のうちの構成単位(a1)の割合であり、
x(a2)は、重合体(A)の全構成単位100質量%のうちの構成単位(a2)の割合であり、
x(a3)は、重合体(A)の全構成単位100質量%のうちの構成単位(a3)の割合である。
(相分離形成)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物においては、成形加工性の点から、重合体(A)とポリカーボネート樹脂(B)とが280℃で相分離を形成することが好ましい。
本発明における280℃での相分離形成の有無は、例えば、以下のように決定できる。
280℃の溶融混練温度にて作製したポリカーボネート樹脂組成物について、示差走査熱量計(DSC)によってDSC曲線を測定し、得られたDSC曲線が2つ以上の変曲点(ガラス転移温度)を有すれば相分離を形成しており、単一の変曲点(ガラス転移温度)のみを有すれば相分離が形成されていないとする。DSC曲線は、空気中または不活性ガス中において、常温から200℃の温度範囲を毎分2℃以上50℃以下の昇温速度で測定する。
(作用機序)
以上説明した本発明のポリカーボネート樹脂組成物にあっては、本発明の表面硬度向上剤がナフチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a1)を有する重合体(A)からなるため、表面硬度に優れる成形体を得ることができる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物にあっては、本発明の表面硬度向上剤が芳香族ビニルに由来する構成単位(a2)を有する重合体(A)からなるため、成形加工性に優れる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物にあっては、本発明の表面硬度向上剤がナフチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a1)を有する重合体(A)からなるため、成形不良の発生が抑えられた成形体を得ることができる。
<成形体>
本発明の成形体は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られたものである。
成形方法としては、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の公知の方法が挙げられる。成形方法としては、所望の形状に成形できる点から、射出成形法、押出成形法が好ましい。
(作用機序)
以上説明した本発明の成形体にあっては、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られたものであるため、成形不良の発生が抑えられ、表面硬度が良好である。
以下に本発明を実施例により説明する。実施例において、「部」は「質量部」を示す。重合体の各構成単位の割合および質量平均分子量の求め方、ならびにポリカーボネート樹脂組成物および成形体の評価方法は、下記のとおりである。
(構成単位の割合)
重合体の各構成単位の割合は、単量体の仕込み量から計算した。
(質量平均分子量)
テトラヒドロフラン(THF)に溶解した重合体について、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって溶出曲線を測定し、標準ポリスチレンによる検量線を基に重合体の質量平均分子量を算出した。
(成形不良)
成形体の成形不良については、厚さ2mmのシート状の成形体を目視により観察し、成形体のエッジ部分に発生した白化の有無から下記基準によって評価した。
○:エッジ部分に白化が発生しない。
×:エッジ部分に白化が発生した。
(鉛筆硬度)
JIS K 5600−5−4に準拠し、厚さ2mmのシート状の成形体の表面の鉛筆硬度を測定した。
(流動長(成形加工性))
成形温度を280℃、金型温度を90℃とし、得られる成形体の幅15mm×厚さ2mmとしたときの、流動長を評価した。
(製造例1)
分散剤(1)の合成:
撹拌機、冷却管および温度計を備えた容量1200Lの反応容器内に、17質量%水酸化カリウム水溶液の61.6部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、アクリエステルM)の19.1部および脱イオン水の19.3部を仕込んだ。反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、さらに4時間撹拌した。この後、反応装置内の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
撹拌機、冷却管および温度計を備えた容量1050Lの反応容器内に、脱イオン水の900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム(三菱レイヨン社製、アクリエステルSEM−Na、42質量%水溶液)の60部、メタクリル酸カリウム水溶液の10部およびメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、アクリエステルM)の12部を入れて撹拌し、反応容器内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業社製、V−50)の0.08部を添加し、さらに60℃に昇温した。昇温後、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、アクリエステルM)を0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤(1)を得た。
(製造例2)
重合体(A−1)の製造:
撹拌機、冷却管および温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水の200部、硫酸ナトリウム(NaSO)の0.3部および分散剤(1)(固形分10質量%)の0.26部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。2−ナフチルメタクリレート(三菱レイヨン社製)の20部、スチレンの70部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製、アクリエステルM)の8.5部、メチルアクリレート(和光純薬工業社製、試薬特級)の1.5部および重合開始剤として1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(日油社製、パーオクタO)の1.1部を加え、水性分散液とした。重合装置内を十分に窒素置換し、水性分散液を90℃に昇温してから4時間保持した。反応液を40℃に冷却して、重合体(A−1)の水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、75℃で18時間乾燥して、重合体(A−1)を得た。重合体(A−1)の各構成単位の割合、質量平均分子量および屈折率を表1に示す。
(製造例3)
重合体(A’−2)の製造:
スチレンを用いず、メチルメタクリレートの量を78.5部に変更した以外は製造例2と同様の操作を行い重合体(A’−2)を得た。重合体(A’−2)の各構成単位の割合、質量平均分子量および屈折率を表1に示す。
(製造例4)
重合体(A’−3)の製造:
2−ナフチルメタクリレートの代わりにフェニルメタクリレート(三菱レイヨン社製、アクリエステルPH)の20部を用い、スチレンを用いず、メチルメタクリレートの量を78.5部に変更し、連鎖移動剤として1−オクタンチオール(東京化成工業社製)の2部を用い、重合開始剤としてパーオクタOの代わりに2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(日油社製、AMBN)の0.3部を用いた以外は製造例2と同様の操作を行い重合体(A’−3)を得た。重合体(A’−3)の各構成単位の割合、質量平均分子量および屈折率を表1に示す。
(製造例5)
重合体(A’−4)の製造:
冷却管および撹拌装置を備えたセパラブルフラスコに、アニオン系乳化剤(花王社製、ラテムルASK、固形分28質量%)の1.0部(固形分換算)、蒸留水の290部を仕込み、窒素雰囲気下に水浴中で80℃まで加熱した。硫酸第一鉄の0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩の0.0003部、ロンガリットの0.3部を蒸留水5部に溶かして加え、スチレンの87.5部、フェニルメタクリレートの12.5部、t−ブチルヒドロパーオキシドの0.2部、1−オクタンチオールの0.5部の混合物を180分かけて滴下した。その後、60分間撹拌し、重合を終了した。0.7質量%の割合で硫酸を溶解した水溶液の300部を70℃に加温し撹拌した。この中に得られた重合体エマルションを徐々に滴下し、重合体を凝固させた。析出物を分離し、洗浄した後、75℃で24時間乾燥し、重合体(A’−4)を得た。重合体(A’−4)の各構成単位の割合、質量平均分子量および屈折率を表1に示す。
Figure 2018076543
(実施例1)
芳香族ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユーピロンS−2000F、屈折率:1.585)の85部および重合体(A−1)の15部をポリエチレン製の袋に入れ、ポリエチレン製の袋を手でよく振ってハンドブレンドした後、混合物を、二軸押出機(池貝社製、PCM35)を用いて260℃で溶融混練し、押出されたストランドをカットし、ペレットを得た。
ペレットを、射出成形機(東芝機械プラスチックエンジニアリング社製、IS100EN)を用いて成形温度260℃および金型温度80℃で成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。さらに、成形温度280℃および金型温度90℃、射出圧力100MPaの条件で得られる、幅15mm×厚さ2mmの成形体の流動長を評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例1)
重合体(A−1)を重合体(A’−2)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。さらに流動長を評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
重合体(A−1)を重合体(A’−3)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。さらに流動長を評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
重合体(A−1)を重合体(A’−4)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。さらに流動長を評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例4)
重合体(A−1)を用いなかった以外は実施例1と同様の操作を行い、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。さらに流動長を評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 2018076543
比較例1は、重合体(A)が構成単位(a2)を有していないため、流動長が短かった。
比較例2は、重合体(A)が構成単位(a1)を有していないため、成形不良が発生した。また、重合体(A)が構成単位(a2)を有していないため、流動長が短かった。
比較例3は、重合体(A)中の構成単位(a2)の割合が多いため、成形体の表面硬度が低かった。
比較例4は、重合体(A)を用いていないため、成形体の表面硬度が低く、流動長も短かった。
本発明の成形体は、各種機器(電気機器、電子機器、OA機器等)の部材(筐体等)、光記録媒体、自動車部品(自動車ヘッドランプ、自動車内装材等)、建築部材、各種シートとして有用である。

Claims (1)

  1. ナフチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a1)および芳香族ビニルに由来する構成単位(a2)を有し、
    前記構成単位(a2)の割合が、重合体の全構成単位100質量%のうち、0.5〜85質量%であり、
    質量平均分子量が、50000〜5000000である、重合体。
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