JP2008222907A - 流動性向上剤、熱可塑性樹脂組成物、及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジニアリングプラスチックの極めて高度な光学特性を損なうことなく、その溶融流動性を向上させる流動性向上剤、これを用いた熱可塑性樹脂組成物、及び成形品を提供する。
【解決手段】芳香族ビニル単量体単位0.5〜49.9質量%、及び、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位50.1〜99.5質量%を含有する重合体(A)と、芳香族ビニル単量体単位50.1〜100質量%、及び、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位0〜49.9質量%を含有する重合体(B)とを含有する流動性向上剤。
【選択図】なし
【解決手段】芳香族ビニル単量体単位0.5〜49.9質量%、及び、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位50.1〜99.5質量%を含有する重合体(A)と、芳香族ビニル単量体単位50.1〜100質量%、及び、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位0〜49.9質量%を含有する重合体(B)とを含有する流動性向上剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、エンジニアリングプラスチックの光学特性を損なうことなく成形加工時の流動性を向上させる流動性向上剤、該流動性向上剤を含有し、流動性に優れた熱可塑性樹脂組成物、及び、光学特性、耐熱性、耐薬品性に優れた成形品に関する。
エンジニアリングプラスチックは、機械強度、耐熱性、電気特性、寸法安定性等に優れることから、OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器、電子・電気機器、家庭電化機器、自動車用部材、光学部材、建築材料等の幅広い分野で使用されている。しかし、例えばポリカーボネート樹脂の場合、非晶性であるために、溶融流動性が劣るという問題点を有している。
ポリカーボネート樹脂の溶融流動性を向上させるため、種々の方法が提案されている。
ポリカーボネート樹脂の溶融流動性を向上させるため、種々の方法が提案されている。
例えば、低分子量のスチレン系共重合体をポリカーボネート樹脂に添加する方法が提案されている(特許文献1)。
低分子量のスチレン系共重合体の添加により、ポリカーボネート樹脂の流動性は向上するが、低分子量のスチレン系共重合体とポリカーボネート樹脂との相溶性が十分ではないため、成形品に表層剥離が生じやすく、光学特性、機械強度等が著しく低下するという問題がある。
低分子量のスチレン系共重合体の添加により、ポリカーボネート樹脂の流動性は向上するが、低分子量のスチレン系共重合体とポリカーボネート樹脂との相溶性が十分ではないため、成形品に表層剥離が生じやすく、光学特性、機械強度等が著しく低下するという問題がある。
また、芳香族ビニル単量体と、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体とから構成される共重合体をポリカーボネート樹脂に添加する方法も提案されている(特許文献2)。
この共重合体はポリカーボネート樹脂との相溶性が良好であるため、ポリカーボネート樹脂の流動性が向上し、得られる成形品の透明性や耐薬品性も改善されている。しかしながら、ヘッドランプカバー、導光板、光ディスク等の、極めて高度な光学特性(光透過性及び光学外観)が要求される光学部材としては、光学特性が十分ではないという問題がある。
特開2000−239477号公報
国際公開第2005/030819号パンフレット
この共重合体はポリカーボネート樹脂との相溶性が良好であるため、ポリカーボネート樹脂の流動性が向上し、得られる成形品の透明性や耐薬品性も改善されている。しかしながら、ヘッドランプカバー、導光板、光ディスク等の、極めて高度な光学特性(光透過性及び光学外観)が要求される光学部材としては、光学特性が十分ではないという問題がある。
本発明の目的は、エンジニアリングプラスチックの光学特性を損なうことなく成形加工時の流動性を向上させる流動性向上剤、該流動性向上剤を含有し、流動性に優れた熱可塑性樹脂組成物、及び、光学特性、耐熱性、耐薬品性に優れた成形品を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を主とする重合体(A)と、芳香族ビニル単量体単位を主とする重合体(B)とを含有する流動性向上剤が、エンジニアリングプラスチックの光学特性を損なうことなく成形加工時の流動性の向上が可能であることを見出した。
即ち、本発明の流動性向上剤は、芳香族ビニル単量体単位(a1)0.5〜49.9質量%、及び、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a2)50.1〜99.5質量%(a1とa2との合計が100質量%)を含有する重合体(A)と、芳香族ビニル単量体単位(b1)50.1〜100質量%、及び、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b2)0〜49.9質量%(b1とb2との合計が100質量%)を含有する重合体(B)とを含有する。
重合体(A)の含有量が50〜99質量%であり、重合体(B)の含有量が1〜50質量%(重合体(A)と重合体(B)との合計が100質量%)であることが好ましい。
重合体(A)の含有量が50〜99質量%であり、重合体(B)の含有量が1〜50質量%(重合体(A)と重合体(B)との合計が100質量%)であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記の流動性向上剤、及び、エンジニアリングプラスチック(C)を含有する。
本発明の成形品は、前記の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
本発明の成形品は、前記の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
本発明の流動性向上剤によれば、エンジニアリングプラスチックの光学特性を損なうことなく成形加工時の流動性を向上させることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、成形加工時の流動性良く、光学特性、耐熱性、耐薬品性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の成形品は、エンジニアリングプラスチック本来の特性を有し、光学特性、耐熱性、耐薬品性に優れる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、成形加工時の流動性良く、光学特性、耐熱性、耐薬品性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の成形品は、エンジニアリングプラスチック本来の特性を有し、光学特性、耐熱性、耐薬品性に優れる。
本発明書において、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本発明の重合体(A)は、芳香族ビニル単量体単位(a1)0.5〜49.9質量%、及び、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a2)50.1〜99.5質量%(a1とa2との合計が100質量%)を含有する。
芳香族ビニル単量体単位(a1)を構成する芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。この中では、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a2)を構成する単量体としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、モノクロルフェニル(メタ)アクリレート、ジクロルフェニル(メタ)アクリレート、トリクロルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。この中では、フェニルメタクリレートが好ましい。
本発明の重合体(A)は、必要に応じて、その他の単量体単位(a3)を含有してもよい。
その他の単量体単位(a3)を含有する場合、重合体(A)は、芳香族ビニル単量体単位(a1)0.5〜49.9質量%、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a2)50.1〜99.5質量%、及び、その他の単量体単位(a3)0〜40質量%(a1〜a3の合計が100質量%)を含有する。
その他の単量体単位(a3)を含有する場合、重合体(A)は、芳香族ビニル単量体単位(a1)0.5〜49.9質量%、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a2)50.1〜99.5質量%、及び、その他の単量体単位(a3)0〜40質量%(a1〜a3の合計が100質量%)を含有する。
その他の単量体単位(a3)を構成する単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート;安息香酸ビニル、酢酸ビニル、無水マレイン酸等が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ビニル単量体単位(a1)の含有量は0.5質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、49.9質量%以下であり、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
芳香族ビニル単量体単位(a1)の含有量が0.5質量%以上であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が高くなりすぎず、成形加工時に流動性の向上効果をもたらす相分離挙動を示し、耐薬品性の改良効果が向上する。49.9質量%以下であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が十分であり、成形品の光学特性が良好となる。
芳香族ビニル単量体単位(a1)の含有量が0.5質量%以上であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が高くなりすぎず、成形加工時に流動性の向上効果をもたらす相分離挙動を示し、耐薬品性の改良効果が向上する。49.9質量%以下であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が十分であり、成形品の光学特性が良好となる。
エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a2)の含有量は50.1質量%以上であり、55質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。また、99.5質量%以下であり、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a2)の含有量が50.1質量%以上であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が十分であり、成形品の光学特性が良好となる。99.5質量%以下であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が高くなりすぎず、成形加工時に流動性の向上効果をもたらす相分離挙動を示す。
エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a2)の含有量が50.1質量%以上であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が十分であり、成形品の光学特性が良好となる。99.5質量%以下であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が高くなりすぎず、成形加工時に流動性の向上効果をもたらす相分離挙動を示す。
本発明の重合体(A)は、必要に応じて、その他の単量体単位(a3)を含有することができる。その他の単量体単位(a3)の含有量は40質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
その他の単量体単位(a3)の含有量が40質量%以下であれば、成形品の光学特性が良好となる。
その他の単量体単位(a3)の含有量が40質量%以下であれば、成形品の光学特性が良好となる。
本発明の重合体(A)を得るための重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等が挙げられるが、回収が容易であることから、乳化重合法、懸濁重合法が好ましい。但し、乳化重合法の場合は、重合体(A)中に残存する塩類がエンジニアリングプラスチックの熱分解を引き起こすおそれがあるため、燐酸エステル塩乳化剤、スルホン酸塩乳化剤等を使用し、酢酸カルシウム等の塩凝固等により回収することが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、過酸化物、過硫酸化合物、前記過酸化物又は過硫酸化合物と還元剤の組合せからなるレドックス系開始剤、アゾ系化合物等が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、過酸化物、過硫酸化合物、前記過酸化物又は過硫酸化合物と還元剤の組合せからなるレドックス系開始剤、アゾ系化合物等が挙げられる。
重合体は、重合前の単量体組成物中に含まれる各単量体の配合率(質量%)と、重合体中の各単量体単位の含有量(質量%)とが一致していることが好ましい。このような重合体を得るには、各単量体の重合率を90%以上とすることが好ましく、95%以上とすることがより好ましく、97%以上とすることがさらに好ましい。
重合率が90%以上であれば、重合前の各単量体の配合率(質量%)と、重合体中の各単量体単位の含有量(質量%)はほぼ一致し、得られた重合体を回収する際に、未反応の単量体を分離する必要も少ない。
重合率が90%以上であれば、重合前の各単量体の配合率(質量%)と、重合体中の各単量体単位の含有量(質量%)はほぼ一致し、得られた重合体を回収する際に、未反応の単量体を分離する必要も少ない。
重合体(A)の質量平均分子量は5000以上であり、7000以上が好ましく、10000以上がより好ましく、12000以上がさらに好ましい。また、150000以下であり、100000以下が好ましく、70000以下がより好ましく、50000以下がさらに好ましく、30000以下が特に好ましい。
質量平均分子量が5000以上であれば、低分子量物が相対的に少ないため、耐熱性や剛性等の特性を低下させることがなく、成形加工時の発煙、ミスト、機械汚れ、フィッシュアイやシルバー等の成形品の外観不良も生じ難い。150000以下であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が十分であり、成形品の光学特性が良好となる
質量平均分子量が5000以上であれば、低分子量物が相対的に少ないため、耐熱性や剛性等の特性を低下させることがなく、成形加工時の発煙、ミスト、機械汚れ、フィッシュアイやシルバー等の成形品の外観不良も生じ難い。150000以下であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が十分であり、成形品の光学特性が良好となる
本発明の重合体(A)は、エンジニアリングプラスチックと極めて良好な相溶性を有し、エンジニアリングプラスチックの光学特性を損なうことなく成形加工時の流動性を向上させる。
しかしながら、重合体(A)を単独で流動性向上剤として使用した場合には、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が高すぎるため、成形加工時に(溶融状態で)流動性の向上効果をもたらす相分離挙動を十分に示すことができない。重合体(A)を単独で流動性向上剤として使用して、流動性の向上効果を発現させるには、多量の添加が必要となり、エンジニアリングプラスチックの耐熱性や耐薬品性を低下させる。
しかしながら、重合体(A)を単独で流動性向上剤として使用した場合には、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が高すぎるため、成形加工時に(溶融状態で)流動性の向上効果をもたらす相分離挙動を十分に示すことができない。重合体(A)を単独で流動性向上剤として使用して、流動性の向上効果を発現させるには、多量の添加が必要となり、エンジニアリングプラスチックの耐熱性や耐薬品性を低下させる。
本発明の重合体(B)は、芳香族ビニル単量体単位(b1)50.1〜100質量%、及び、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b2)0〜49.9質量%(b1とb2との合計が100質量%)を含有する。
芳香族ビニル単量体単位(b1)を構成する芳香族ビニル単量体としては、前記の芳香族ビニル単量単位(a1)を構成する芳香族ビニル単量体と、同様の単量体を用いることができる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。この中では、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b2)を構成する単量体としては、前記のエステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a2)を構成する単量体と、同様の単量体を用いることができる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。この中では、フェニルメタクリレートが好ましい。
本発明の重合体(B)は、必要に応じて、その他の単量体単位(b3)を含有してもよい。
その他の単量体単位(b3)を含有する場合、重合体(B)は、芳香族ビニル単量体単位(b1)50.1〜100質量%、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b2)0〜49.9質量%、及び、その他の単量体単位(b3)0〜40質量%(b1〜b3の合計が100質量%)を含有する。
その他の単量体単位(b3)を含有する場合、重合体(B)は、芳香族ビニル単量体単位(b1)50.1〜100質量%、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b2)0〜49.9質量%、及び、その他の単量体単位(b3)0〜40質量%(b1〜b3の合計が100質量%)を含有する。
その他の単量体単位(b3)を構成する単量体としては、前記のその他の単量体単位(a3)を構成する単量体と、同様の単量体を用いることができる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ビニル単量体単位(b1)の含有量は50.1質量%以上であり、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
芳香族ビニル単量体単位(b1)の含有量が50.1質量%以上であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が高くなりすぎず、成形加工時に流動性の向上効果をもたらす相分離挙動を示し、耐薬品性の改良効果が向上する。
芳香族ビニル単量体単位(b1)の含有量が50.1質量%以上であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が高くなりすぎず、成形加工時に流動性の向上効果をもたらす相分離挙動を示し、耐薬品性の改良効果が向上する。
本発明の重合体(B)は、必要に応じて、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b2)を含有することができる。エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b2)の含有量は49.9質量%以下であり、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b2)の含有量が49.9質量%以下であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が高くなりすぎず、成形加工時に流動性の向上効果をもたらす相分離挙動を示し、耐薬品性の改良効果が向上する。
エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b2)の含有量が49.9質量%以下であれば、エンジニアリングプラスチックとの相溶性が高くなりすぎず、成形加工時に流動性の向上効果をもたらす相分離挙動を示し、耐薬品性の改良効果が向上する。
本発明の重合体(B)は、必要に応じて、その他の単量体単位(b3)を含有することができる。その他の単量体単位(b3)の含有量は40質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
その他の単量体単位(b3)の含有量が40質量%以下であれば、成形品の光学特性が良好となる。
その他の単量体単位(b3)の含有量が40質量%以下であれば、成形品の光学特性が良好となる。
重合体(B)を得るための重合方法としては、前記の重合体(A)を得るための重合方法と、同様の方法を用いることができる。
重合体(B)は、各単量体の重合率を90%以上とすることが好ましく、95%以上とすることがより好ましく、97%以上とすることがさらに好ましい。重合率が90%以上であれば、重合前の各単量体の配合率(質量%)と、重合体中の各単量体単位の含有量(質量%)はほぼ一致し、得られた重合体を回収する際に、未反応の単量体を分離する必要も少ない。
重合体(B)は、各単量体の重合率を90%以上とすることが好ましく、95%以上とすることがより好ましく、97%以上とすることがさらに好ましい。重合率が90%以上であれば、重合前の各単量体の配合率(質量%)と、重合体中の各単量体単位の含有量(質量%)はほぼ一致し、得られた重合体を回収する際に、未反応の単量体を分離する必要も少ない。
重合体(B)の質量平均分子量は5000以上であり、10000以上が好ましく、20000以上がより好ましく、30000以上がさらに好ましく、40000以上が特に好ましい。また、150000以下であり、120000以下が好ましく、100000以下がより好ましく、80000以下がさらに好ましい。
重合体(B)の質量平均分子量が5000以上であれば、低分子量物が相対的に少ないため、耐熱性や剛性等の特性を低下させることがなく、成形加工時の発煙、ミスト、機械汚れ、フィッシュアイやシルバー等の成形品の外観不良も生じ難い。高温時の透明性(ヘーズの温度依存性)が良好な成形品が必要な場合、質量平均分子量は高い方が好ましい。
重合体(B)の質量平均分子量が150000以下であれば、熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が高くならず、十分な流動性の向上効果が得られる。著しい流動性の向上効果が必要な場合、質量平均分子量は低い方が好ましい。
重合体(B)の質量平均分子量が5000以上であれば、低分子量物が相対的に少ないため、耐熱性や剛性等の特性を低下させることがなく、成形加工時の発煙、ミスト、機械汚れ、フィッシュアイやシルバー等の成形品の外観不良も生じ難い。高温時の透明性(ヘーズの温度依存性)が良好な成形品が必要な場合、質量平均分子量は高い方が好ましい。
重合体(B)の質量平均分子量が150000以下であれば、熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が高くならず、十分な流動性の向上効果が得られる。著しい流動性の向上効果が必要な場合、質量平均分子量は低い方が好ましい。
本発明の重合体(B)は、エンジニアリングプラスチックとの溶融状態(成形加工時)では相分離挙動を示し、成形品の実使用温度領域では耐剥離性が良好となるレベルの相溶性を示す。そのため、エンジニアリングプラスチックの耐熱性及び耐剥離性を損なうことなく成形加工時の流動性を向上させ、且つ、成形品の耐薬品性を向上させる。
しかしながら、重合体(B)を単独で流動性向上剤として使用した場合には、少量の添加でもエンジニアリングプラスチックの光学特性を損なう。そのため高度な光学特性を必要とする用途においては、性能が十分ではない。
しかしながら、重合体(B)を単独で流動性向上剤として使用した場合には、少量の添加でもエンジニアリングプラスチックの光学特性を損なう。そのため高度な光学特性を必要とする用途においては、性能が十分ではない。
本発明の流動性向上剤は、重合体(A)の含有量が50〜99質量%であり、重合体(B)の含有量が1〜50質量%(重合体(A)と重合体(B)との合計が100質量%)である。
重合体(A)の含有量は50質量%以上であり、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましい。また、99質量%以下であり、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。
重合体(A)の含有量が50質量%以上であれば、成形品の光学特性が良好となる。99質量%以下であれば、成形加工時の流動性の向上効果が十分に発現する。
重合体(A)の含有量が50質量%以上であれば、成形品の光学特性が良好となる。99質量%以下であれば、成形加工時の流動性の向上効果が十分に発現する。
重合体(B)の含有量は1質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。また、50質量%以下であり、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。
重合体(B)の含有量が1質量%以上であれば、成形加工時の流動性の向上効果が十分に発現する。50質量%以下であれば、成形品の光学特性が良好となる。
重合体(B)の含有量が1質量%以上であれば、成形加工時の流動性の向上効果が十分に発現する。50質量%以下であれば、成形品の光学特性が良好となる。
本発明の流動性向上剤を得るための、重合体(A)と重合体(B)との混合方法としては、例えば、別々に製造した粉体を混合する方法、多段で重合する方法、重合後のラテックスやスラリーを混合する方法等が挙げられる。これらの方法で重合体(A)と重合体(B)とを混合することにより、所望の流動性向上剤を得ることができる。
重合体(A)と重合体(B)との混合物を流動性向上剤として使用することにより、エンジニアリングプラスチックとの溶融状態(成形加工時)では相分離挙動を示して流動性を発現し、成形品の実使用温度領域ではエンジニアリングプラスチックの光学特性を損なわない、極めて良好な相溶性を示すことが可能となる。
そのため、エンジニアリングプラスチックの優れた光学特性、耐熱性、耐薬品性等を損なうことなく、優れた流動性の向上効果の発現が可能となる。
そのため、エンジニアリングプラスチックの優れた光学特性、耐熱性、耐薬品性等を損なうことなく、優れた流動性の向上効果の発現が可能となる。
本発明で用いるエンジニアリングプラスチック(C)は、熱可塑性のエンジニアリングプラスチックであれば特に制限はない。
エンジニアリングプラスチック(C)としては、例えば、ポリカーボネート;ポリフェニレンエーテル;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体;シンジオタクチックポリスチレン;6−ナイロン、6,6−ナイロン等のナイロン系重合体;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリアミドイミド;ポリエーテルイミド;ポリアセタール等が挙げられる。
また、高度に耐熱性に優れ、溶融流動性が必要とされる耐熱ABS等の特殊なスチレン系樹脂や耐熱アクリル系樹脂等も、本発明におけるエンジニアリングプラスチックとして例示することができる。
これらのエンジニアリングプラスチックは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エンジニアリングプラスチック(C)としては、例えば、ポリカーボネート;ポリフェニレンエーテル;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体;シンジオタクチックポリスチレン;6−ナイロン、6,6−ナイロン等のナイロン系重合体;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリアミドイミド;ポリエーテルイミド;ポリアセタール等が挙げられる。
また、高度に耐熱性に優れ、溶融流動性が必要とされる耐熱ABS等の特殊なスチレン系樹脂や耐熱アクリル系樹脂等も、本発明におけるエンジニアリングプラスチックとして例示することができる。
これらのエンジニアリングプラスチックは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この中でも、流動性の向上効果を考慮すると、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルが好ましく、芳香族ポリカーボネートがより好ましい。
芳香族ポリカーボネートとしては、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン(すなわちビスフェノールA)系ポリカーボネート等の4,4’−ジオキシジアリールアルカン系ポリカーボネートが挙げられる。
芳香族ポリカーボネートとしては、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン(すなわちビスフェノールA)系ポリカーボネート等の4,4’−ジオキシジアリールアルカン系ポリカーボネートが挙げられる。
エンジニアリングプラスチック(C)の分子量は、所望に応じて適宜決定すればよく、本発明において特に制限はない。但し、エンジニアリングプラスチック(C)が芳香族ポリカーボネートである場合には、粘度平均分子量は10000〜50000が好ましく、15000〜30000がより好ましい。
芳香族ポリカーボネートは、公知の方法で製造されたものを用いることができる。
芳香族ポリカーボネートが、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン系ポリカーボネートである場合、その製造方法としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンを原料として用い、アルカリ水溶液及び溶剤の存在下にホスゲンを吹き込んで反応させる方法や、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンと炭酸ジエステルとを、触媒の存在下にエステル交換させる方法等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネートが、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン系ポリカーボネートである場合、その製造方法としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンを原料として用い、アルカリ水溶液及び溶剤の存在下にホスゲンを吹き込んで反応させる方法や、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンと炭酸ジエステルとを、触媒の存在下にエステル交換させる方法等が挙げられる。
また、本発明のエンジニアリングプラスチック(C)には、エンジニアリングプラスチックが本来有する、優れた光学特性、耐熱性、耐衝撃性、難燃性等を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂を配合することも可能である。
具体的には、エンジニアリングプラスチック100質量部に対して100質量部以下の範囲で、ABS、HIPS、PS、PAS等のスチレン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリオレフィン系樹脂;エラストマー等のエンジニアリングプラスチック以外の熱可塑性樹脂を配合し、エンジニアリングプラスチック系ポリマーアロイとして使用することも可能である。
具体的には、エンジニアリングプラスチック100質量部に対して100質量部以下の範囲で、ABS、HIPS、PS、PAS等のスチレン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリオレフィン系樹脂;エラストマー等のエンジニアリングプラスチック以外の熱可塑性樹脂を配合し、エンジニアリングプラスチック系ポリマーアロイとして使用することも可能である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の流動性向上剤、及び、エンジニアリングプラスチック(C)を含有する。
熱可塑性樹脂組成物中の、流動性向上剤及びエンジニアリングプラスチック(C)の含有量は、所望の物性に応じて適宜決定すればよい。エンジニアリングプラスチック(C)の性能(光学特性、耐熱性、衝撃強度等)を低下させることなく有効な流動性の向上効果を得るには、エンジニアリングプラスチック100質量部に対して、流動性向上剤0.1質量部以上であり、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。また、30質量部以下であり、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
流動性向上剤(A)の含有量が、エンジニアリングプラスチック(C)100質量部に対して0.1質量部以上であれば十分な流動性能向上効果が発現する。30質量部以下であれば、エンジニアリングプラスチックの優れた機械特性を損なうことがない。
熱可塑性樹脂組成物中の、流動性向上剤及びエンジニアリングプラスチック(C)の含有量は、所望の物性に応じて適宜決定すればよい。エンジニアリングプラスチック(C)の性能(光学特性、耐熱性、衝撃強度等)を低下させることなく有効な流動性の向上効果を得るには、エンジニアリングプラスチック100質量部に対して、流動性向上剤0.1質量部以上であり、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。また、30質量部以下であり、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
流動性向上剤(A)の含有量が、エンジニアリングプラスチック(C)100質量部に対して0.1質量部以上であれば十分な流動性能向上効果が発現する。30質量部以下であれば、エンジニアリングプラスチックの優れた機械特性を損なうことがない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、公知の安定剤、耐候剤、強化剤、無機フィラー、光拡散剤、耐衝撃性改質剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、染顔料、フルオロオレフィン等の添加剤を配合してもよい。
公知の安定剤としては、例えば、トリスフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジフェニルハイドロジェンフォスファイト、イルガノックス1076(ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。
公知の安定剤としては、例えば、トリスフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジフェニルハイドロジェンフォスファイト、イルガノックス1076(ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。
公知の耐候剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾフェノン等が挙げられる。
成形品の強度、剛性、難燃性を向上させるために、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維等を含有させることができる。また、耐薬品性等の改良のためにポリエチレンテレフタレート等の、他のエンジニアリングプラスチック組成物、耐衝撃性を向上させるためのコアシェル2層構造からなるゴム状弾性体等を配合してもよい。
成形品の強度、剛性、難燃性を向上させるために、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維等を含有させることができる。また、耐薬品性等の改良のためにポリエチレンテレフタレート等の、他のエンジニアリングプラスチック組成物、耐衝撃性を向上させるためのコアシェル2層構造からなるゴム状弾性体等を配合してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性向上剤とエンジニアリングプラスチック(C)が粉体で配合されたものでもよく、加熱混練して得られたものであってもよい。
加熱混練の方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、2本ロール、ニーダー、ブラベンダー等を使用する方法が挙げられる。
また、流動性向上剤とエンジニアリングプラスチック(C)とを混合したマスターバッチを調製し、その後マスターバッチとエンジニアリングプラスチック(C)とを再度混合し、所望の組成物を得ることもできる。
加熱混練の方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、2本ロール、ニーダー、ブラベンダー等を使用する方法が挙げられる。
また、流動性向上剤とエンジニアリングプラスチック(C)とを混合したマスターバッチを調製し、その後マスターバッチとエンジニアリングプラスチック(C)とを再度混合し、所望の組成物を得ることもできる。
本発明の成形品は、前記の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。成形方法としては、射出成形が好ましい。射出成形の方法は特に限定されるものではなく、公知の方法により行なうことができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いると、流動性/耐薬品性/機械物性のバランスを向上させることが可能である。このことから、耐薬品性が要求されるヘッドランプ等の自動車用部材、導光板、拡散板、光ディスク等の光学部材、OA機器、電気・電子機器等の大型・薄肉成形品に極めて有効である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いると、流動性/耐薬品性/機械物性のバランスを向上させることが可能である。このことから、耐薬品性が要求されるヘッドランプ等の自動車用部材、導光板、拡散板、光ディスク等の光学部材、OA機器、電気・電子機器等の大型・薄肉成形品に極めて有効である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
<質量平均分子量の測定>
以下の手順により、重合体の質量平均分子量を測定した。
ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、標準ポリメチルメタクリレートによる検量線から求めた(溶媒:クロロホルム)。測定条件は以下の通り。
カラム :TSK−GEL SUPER HZM−N
(東ソー(株)製)
測定温度 :40℃
溶離液 :クロロホルム
溶離液速度 :0.6ml/分
検出器 :RI
以下の手順により、重合体の質量平均分子量を測定した。
ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、標準ポリメチルメタクリレートによる検量線から求めた(溶媒:クロロホルム)。測定条件は以下の通り。
カラム :TSK−GEL SUPER HZM−N
(東ソー(株)製)
測定温度 :40℃
溶離液 :クロロホルム
溶離液速度 :0.6ml/分
検出器 :RI
<製造例1>
重合体(A−1)の製造
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、下記の乳化剤混合物を仕込み、攪拌して、窒素雰囲気下で内温60℃まで加熱した。
乳化剤混合物:
フォスファノールRS610NA(固形分) 1.0部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸Na塩:東邦化学工業(株)製)
脱イオン水 295部
重合体(A−1)の製造
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、下記の乳化剤混合物を仕込み、攪拌して、窒素雰囲気下で内温60℃まで加熱した。
乳化剤混合物:
フォスファノールRS610NA(固形分) 1.0部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸Na塩:東邦化学工業(株)製)
脱イオン水 295部
次いで、下記の還元剤混合物をフラスコ内に添加した。
還元剤混合物:
硫酸第一鉄 0.0001部
エチレンジアミン四酢酸二Na塩 0.0003部
ロンガリット 0.3部
脱イオン水 5部
還元剤混合物:
硫酸第一鉄 0.0001部
エチレンジアミン四酢酸二Na塩 0.0003部
ロンガリット 0.3部
脱イオン水 5部
次いで、下記の単量体混合物をフラスコ内に6時間かけて滴下した。その後、1時間加熱攪拌し、重合を終了した。
単量体混合物:
スチレン 5部
α−メチルスチレン 30部
フェニルメタクリレート 65部
n−オクチルメルカプタン 1.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
単量体混合物:
スチレン 5部
α−メチルスチレン 30部
フェニルメタクリレート 65部
n−オクチルメルカプタン 1.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
0.7%濃度の酢酸Ca水溶液300部を90℃に加温して攪拌した。この水溶液に、得られた重合体(A−1)のラテックスを徐々に滴下して、重合体(A−1)を凝固させた。析出物を分離して洗浄後、75℃で24時間乾燥し重合体(A−1)を得た。
重合体(A−1)の質量平均分子量は、15000であった。
重合体(A−1)の質量平均分子量は、15000であった。
<製造例2>
重合体(B−1)の製造
単量体混合物を下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして重合体(B−1)を得た。
単量体混合物:
スチレン 71部
α−メチルスチレン 24部
フェニルメタクリレート 5部
n−オクチルメルカプタン 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
重合体(B−1)の製造
単量体混合物を下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして重合体(B−1)を得た。
単量体混合物:
スチレン 71部
α−メチルスチレン 24部
フェニルメタクリレート 5部
n−オクチルメルカプタン 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
重合体(B−1)の質量平均分子量は、50000であった。
<製造例3>
重合体(B−2)の製造
単量体混合物を下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして重合体(B−2)を得た。
単量体混合物:
スチレン 76部
α−メチルスチレン 24部
n−オクチルメルカプタン 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
重合体(B−2)の製造
単量体混合物を下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして重合体(B−2)を得た。
単量体混合物:
スチレン 76部
α−メチルスチレン 24部
n−オクチルメルカプタン 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
重合体(B−2)の質量平均分子量は、50000であった。
<製造例4>
重合体(A−2)の製造
単量体混合物を下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして重合体(A−2)を得た。
単量体混合物:
スチレン 40部
α−メチルスチレン 7部
フェニルメタクリレート 53部
n−オクチルメルカプタン 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
重合体(A−2)の製造
単量体混合物を下記の組成に変更した以外は、製造例1と同様にして重合体(A−2)を得た。
単量体混合物:
スチレン 40部
α−メチルスチレン 7部
フェニルメタクリレート 53部
n−オクチルメルカプタン 0.5部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
重合体(A−2)の質量平均分子量は、50000であった。
製造例1〜4で得られた重合体の組成及び質量平均分子量を表1に示した。
<実施例1,2及び比較例1>
製造例1〜4で得られた重合体を、表2に示す比率で混合し、流動性向上剤1〜3を得た。
流動性向上剤中に含まれる各単量体の組成比を表2に示した。
製造例1〜4で得られた重合体を、表2に示す比率で混合し、流動性向上剤1〜3を得た。
流動性向上剤中に含まれる各単量体の組成比を表2に示した。
<実施例3,4及び比較例2,3>
得られた流動性向上剤とポリカーボネート樹脂(パンライトL1225Z−100K:帝人化成(株)製、粘度平均分子量20000)とを、表3に示す比率で配合した。
配合物を二軸押出機(TEM−35:東芝機械(株)製)に供給し、280℃で溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた流動性向上剤とポリカーボネート樹脂(パンライトL1225Z−100K:帝人化成(株)製、粘度平均分子量20000)とを、表3に示す比率で配合した。
配合物を二軸押出機(TEM−35:東芝機械(株)製)に供給し、280℃で溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物を得た。
<比較例4>
ポリカーボネート樹脂のみを用い、実施例3と同様の条件で溶融混練した
ポリカーボネート樹脂のみを用い、実施例3と同様の条件で溶融混練した
得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、以下の評価を行なった。評価結果は表3に示した。
<溶融流動性>
熱可塑性樹脂組成物のスパイラルフロー長さを、射出成形機(IS−100:東芝機械(株)製)を用いて評価した。
成形温度は280℃、金型温度は80℃、射出圧力は98MPaとし、成形品の厚さは2mm、幅は15mmとした。
熱可塑性樹脂組成物のスパイラルフロー長さを、射出成形機(IS−100:東芝機械(株)製)を用いて評価した。
成形温度は280℃、金型温度は80℃、射出圧力は98MPaとし、成形品の厚さは2mm、幅は15mmとした。
<耐薬品性>
熱可塑性樹脂組成物を用い、射出成形機(IS−100:東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、長さ150mm、幅150mmの成形品を得た。これを切断して、厚さ2mm、長さ150mm、幅25mmの試験片を作成した。
試験片を120℃で2時間アニール処理後、カンチレバー試験を行ない、薬品(溶媒)塗布による試験片の破断時間を測定した。
試験環境は23℃×50%RH、荷重は10MPa、溶媒はガソリンで実施した。
熱可塑性樹脂組成物を用い、射出成形機(IS−100:東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、長さ150mm、幅150mmの成形品を得た。これを切断して、厚さ2mm、長さ150mm、幅25mmの試験片を作成した。
試験片を120℃で2時間アニール処理後、カンチレバー試験を行ない、薬品(溶媒)塗布による試験片の破断時間を測定した。
試験環境は23℃×50%RH、荷重は10MPa、溶媒はガソリンで実施した。
<HID外観>
熱可塑性樹脂組成物を用い、射出成形機(IS−100:東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、長さ150mm、幅150mmの成形品を得た。
光源としてHIDランプ(HID Handy Light Pro NN13000:松下電工(株)製)を用い、この光を成形品に照射した。
目視により、HID外観(強力光源下での成形品の外観)を観察した。HID外観の評価基準を以下に示す。
○:無色透明で、光学異方性が確認されない。
×:曇りがあり、光学異方性が観察される。
熱可塑性樹脂組成物を用い、射出成形機(IS−100:東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、長さ150mm、幅150mmの成形品を得た。
光源としてHIDランプ(HID Handy Light Pro NN13000:松下電工(株)製)を用い、この光を成形品に照射した。
目視により、HID外観(強力光源下での成形品の外観)を観察した。HID外観の評価基準を以下に示す。
○:無色透明で、光学異方性が確認されない。
×:曇りがあり、光学異方性が観察される。
<透明性>
熱可塑性樹脂組成物を用い、射出成形機(IS−100:東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、長さ100mm、幅50mmの成形品を得た。
成形品の全光線透過率をJIS K−7361に準拠して、23℃で測定した。成形品のヘーズをJIS K−7136に準拠して、23℃と120℃で測定した。
熱可塑性樹脂組成物を用い、射出成形機(IS−100:東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、長さ100mm、幅50mmの成形品を得た。
成形品の全光線透過率をJIS K−7361に準拠して、23℃で測定した。成形品のヘーズをJIS K−7136に準拠して、23℃と120℃で測定した。
表3の評価結果から明らかなように、実施例3,4で得られた熱可塑性樹脂組成物は、高度な光学特性(HID外観)を損なうことなく、流動性の著しい向上が見られ、耐薬品性も損なわず、物性バランスに非常に優れていた。
比較例2,3で得られた熱可塑性樹脂組成物は、流動性の著しい向上が見られるが、光学特性が著しく低下した。
本発明の流動性向上剤を用いない(ポリカーボネート樹脂単独)比較例4は、充分な流動性が得られなかった。
比較例2,3で得られた熱可塑性樹脂組成物は、流動性の著しい向上が見られるが、光学特性が著しく低下した。
本発明の流動性向上剤を用いない(ポリカーボネート樹脂単独)比較例4は、充分な流動性が得られなかった。
本発明の流動性向上剤によれば、エンジニアリングプラスチックの光学特性を損なうことなく、成形加工時の流動性を向上させることができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、成形加工時の流動性良く、光学特性、耐熱性、耐薬品性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品は、光学特性、耐熱性、耐薬品性に優れていることから、近年要望が高まっている光学部材、とりわけ自動車用の大型・薄肉ヘッドランプカバー、導光板、光ディスク等の光学部材に好適に利用でき、工業的に極めて有用である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品は、光学特性、耐熱性、耐薬品性に優れていることから、近年要望が高まっている光学部材、とりわけ自動車用の大型・薄肉ヘッドランプカバー、導光板、光ディスク等の光学部材に好適に利用でき、工業的に極めて有用である。
Claims (4)
- 芳香族ビニル単量体単位(a1)0.5〜49.9質量%、及び、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a2)50.1〜99.5質量%(a1とa2との合計が100質量%)を含有する重合体(A)と、
芳香族ビニル単量体単位(b1)50.1〜100質量%、及び、エステル基がフェニル基または置換フェニル基である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(b2)0〜49.9質量%(b1とb2との合計が100質量%)を含有する重合体(B)とを含有する流動性向上剤。 - 重合体(A)の含有量が50〜99質量%であり、重合体(B)の含有量が1〜50質量%(重合体(A)と重合体(B)との合計が100質量%)である、請求項1記載の流動性向上剤。
- 請求項1又は2記載の流動性向上剤、及び、エンジニアリングプラスチック(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007064936A JP2008222907A (ja) | 2007-03-14 | 2007-03-14 | 流動性向上剤、熱可塑性樹脂組成物、及び成形品 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012207164A (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-25 | Teijin Chem Ltd | ウエルド外観および表面硬度に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 |
-
2007
- 2007-03-14 JP JP2007064936A patent/JP2008222907A/ja active Pending
Cited By (1)
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JP2012207164A (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-25 | Teijin Chem Ltd | ウエルド外観および表面硬度に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 |
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