JP2009203270A - 外観に優れたポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

外観に優れたポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ウエルド部や偏肉部分で発生するフローラインの無い優れた外観と、優れた衝撃特性および成形性を併せ持つポリカーボネート樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)99〜1重量%、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.20〜2.0μmであるゴム質重合体、シアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体を含むグラフト共重合体(B成分)1〜99重量%の合計100重量部に対して、重量平均粒子径が0.30〜0.50μmであるジエン系ゴム成分の存在下でアルキル(メタ)アクリレート単量体、またはアルキル(メタ)アクリレート単量体と共重合可能な単量体との混合物を乳化重合法により共重合して得られるコアシェル型グラフト共重合体(C成分)を0.1〜10重量部、好ましくはさらに有機リン系難燃剤、有機金属塩系難燃剤、およびシリコーン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の難燃剤(E成分)0.01〜25重量部、含フッ素滴下防止剤(F成分)0.05〜2重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物により、ウエルド部や偏肉部分で発生するフローラインの無い優れた外観と、優れた衝撃特性および成形性を併せ持つポリカーボネート樹脂組成物を提供できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、外観に優れたポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に関するものである。更に詳しくは、ポリカーボネート樹脂と特定のグラフト共重合体及び特定のコアシェル型グラフト共重合体を含む樹脂組成物を使用することにより、ウエルド部や偏肉部分で発生するフローラインの無い優れた外観と、優れた衝撃特性および成形性を併せ持つポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂、更にこれとABS樹脂で代表されるグラフト共重合体とのポリマーアロイは、優れた成形性と高い衝撃特性を有しており、事務機器、電気電子機器、自動車などの幅広い用途に使用されている。なかでも、レーザービームプリンター、複写機、及びノートパソコンやプロジェクター装置などの事務機器や電気電子機器のハウジングにおいては、高衝撃性及び優れた成形性の要求が強く、かかる芳香族ポリカーボネート樹脂とグラフト共重合体からなるポリマーアロイが主流となっている。
更に最近では、軽量化やコストダウンの目的でかかるハウジング成形品の薄肉化、塗装レス化が進められており、その影響で高外観、高衝撃性を付与したハウジング用材料の要求が高まっている。
かかるハウジング用材料としては、芳香族ポリカーボネート樹脂とABS樹脂で代表されるグラフト共重合体のポリマーアロイに、コアシェル型グラフト共重合体を添加する方法が既に数多く提案がなされ、その関連する知見が広く知られている。
例えば、芳香族ポリカーボネート、AS樹脂、ABS樹脂、有機リン化合物オリゴマーからなる樹脂組成物にコアシェル型グラフト共重合体としてMBS樹脂を配合することで、流動性、衝撃特性、耐熱性に優れたポリカーボネート系難燃性樹脂組成物が得られることは既に知られている。(特許文献1、特許文献2、特許文献3)しかしながら、かかるポリカーボネート系難燃性樹脂組成物の場合、コアシェル型グラフト共重合体としてMBS樹脂を配合することで高い流動性を維持しつつ高衝撃強度を得ることは可能になるが、成形品のウエルド部やリブ、ボスなどの偏肉部で、射出成形時の流動パターンに起因する線状の色ムラが発生し、外観上の大きな課題となっている。これはかかるポリカーボネート系難燃性樹脂組成物からなる成形品のモルフォロジーの状態がウエルド部や偏肉部など流動パターンが変化する場所で異なることが原因であり、芳香族ポリカーボネート樹脂とABS樹脂で代表されるグラフト共重合体の相溶性を改良する方法が既に数多く提案がなされている。
例えば、ポリカーボネート樹脂にABS樹脂、HIPS樹脂をはじめとするスチレン系樹脂からなる組成物に相溶化剤としてテルペン系樹脂を添加することで、ウエルド強度、ウエルド外観、溶融流動性に優れたポリカーボネート系熱可塑性樹脂が得られることは既に知られている。(特許文献4)しかしながら、かかるテルペン系樹脂をはじめとする相溶化剤を使用した場合、射出成形時の流動パターンに起因する色ムラ状の外観不良対策としては効果が小さいこと、燃焼性の低下が見られることなどの問題がある。
かかるように、より高いレベルの外観、衝撃特性を有する樹脂材料が求められているが得られていないのが現状である。
WO2000/001839号公報 特開2003−41114号公報 特開2001−302898号公報 特開2000−63651号公報
上記に鑑み本発明の目的はその元来有する難燃性、耐熱性、流動性を維持しつつ、より高いレベルに改良された外観、高衝撃性を有するポリカーボネート系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、芳香族ポリカーボネート樹脂とABS樹脂を代表とするグラフト共重合体に特定の重量平均ゴム粒子径をもつコアシェル型グラフト共重合体を配合することにより、芳香族ポリカーボネート樹脂とABS樹脂で代表されるグラフト共重合体のポリマーアロイのモルフォロジーが原因の外観不良問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、上記課題は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)99〜1重量%、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.20〜2.0μmであるゴム質重合体、シアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体を含むグラフト共重合体(B成分)1〜99重量%の合計100重量部に対して、重量平均粒子径が0.30〜0.50μmであるジエン系ゴム成分の存在下でアルキル(メタ)アクリレート単量体またはアルキル(メタ)アクリレート単量体と共重合可能な単量体との混合物を乳化重合法により共重合して得られるコアシェル型グラフト共重合体(C成分)を0.1〜10重量部含有するポリカーボネート樹脂組成物により達成される。
本発明の好適な態様の1つは、(2)グラフト共重合体(B成分)が乳化重合で得られ、かつゴム質重合体としてジエン系ゴムを1〜40重量%含有するグラフト共重合体である上記構成(1)のポリカーボネート樹脂組成物である。
また、本発明の好適な態様の1つは(3)コアシェル型グラフト共重合体(C成分)がジエン系ゴム成分量を40〜90重量%含有するコアシェル型グラフト共重合体である上記構成(1)または(2)のポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明の別の態様によれば、(4)無機充填材(D成分)を、A成分とB成分の合計100重量部に対し0.1〜50重量部含有する上記構成(1)〜(3)のいずれかのポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の1つは、(5)無機充填材(D成分)がタルク、マイカ、およびワラストナイトからなる群より選ばれる1種以上である上記構成(1)〜(4)のいずれかのポリカーボネート樹脂組成物である。
また、本発明の別の態様によれば、(6)A成分とB成分の合計100重量部に対し、リン酸エステル、スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、およびシリコーン系化合物からなる群より選ばれた1種以上の難燃剤(E成分)を0.001〜25重量部、並びに含フッ素滴下防止剤(F成分)を0.05〜2重量部を含有する上記構成(1)〜(5)のいずれかのポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の1つは、(7)難燃剤(E成分)が下記式(I)で表されるリン酸エステルである上記構成(1)〜(6)のいずれかのポリカーボネート樹脂組成物である。
Figure 2009203270
(式中のXは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンおよびビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドからなる群より選ばれるジヒドロキシ化合物より誘導される二価フェノール残基であり、nは0〜5の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合はそれらの平均値であり、R、R、R、およびRはそれぞれ独立したフェノール、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノールおよびp−クミルフェノールからなる群より選ばれるアリール基より誘導される一価フェノール残基である。)
以下、本発明の詳細について説明する。
(A成分:芳香族ポリカーボネート樹脂)
本発明のA成分であるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂であり、反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでも耐衝撃性の点からビスフェノールAが特に好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
前記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によってポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明のポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環族を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。尚、かかる割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。二官能性アルコールとしては脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、およびトリシクロデカンジメタノールなどが例示される。
さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、上述した各種二価フェノールの異なるポリカーボネート、分岐成分を含有するポリカーボネート、各種のポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体など各種の芳香族ポリカーボネートの2種以上を混合したものであってもよい。さらに下記に示す製造法の異なるポリカーボネート、末端停止剤の異なるポリカーボネートなど各種についても2種以上を混合したものが使用できる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法である界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などの反応形式は、各種の文献および特許公報などでよく知られている方法である。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は特定されないが、分子量が1.0×10未満であると成形品として十分な強度が得られ難く、5.0×10超えると成形加工性が低下する。したがって、粘度平均分子量で表して1.0×10〜5.0×10のものが好ましく、1.4×10〜3.0×10のものがより好ましく、更に好ましくは1.4×10〜2.4×10ある。また、芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。この場合粘度平均分子量が上記範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂とを混合することも当然に可能である。
特に粘度平均分子量が5.0×10を超える芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物はエントロピー弾性が高く、ジェッティングなどに代表されるレオロジー挙動による成形品の外観不良が生じくい特徴がある。かかる外観不良が生ずる場合には、適切な態様である。更にガスインジェクション成形などにおいてもガス注入量が安定し、また発泡成形においては発泡セルが安定し、微細かつ均質なセルが形成されやすいことから有利である。
より好ましくは粘度平均分子量が8.0×10以上のポリカーボネート樹脂との混合物であり、更に好ましくは1.0×10以上の粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂との混合物である。すなわちGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)などの測定法において2ピーク以上の分子量分布を観察できるものが好ましく使用できる。
本発明でいう粘度平均分子量はまず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
(B成分:グラフト共重合体)
本発明のグラフト共重合体は、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.20〜2.0μmであるゴム質重合体、シアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体を含むグラフト共重合体をいう。
本発明で言うゴム質重合体とは、ポリブタジエン、ジエン系共重合体(例えば、スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、並びに(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびブタジエンの共重合体など)、ポリイソプレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体など)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(例えばエチレン・メタクリレート共重合体、およびエチレン・ブチルアクリレート共重合体など)、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、エチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー(例えば、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体など)、アクリル系ゴム(例えば、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、およびブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体など)、並びにシリコーン系ゴム(例えば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなるIPN型ゴム;すなわち2つのゴム成分が分離できないように相互に絡み合った構造を有しているゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリイソブチレンゴム成分からなるIPN型ゴムなど)が挙げられる。中でもより好適であるのは、その効果がより発現しやすいポリブタジエン、ジエン系共重合体、ポリイソプレン、アクリル系ゴム、エチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマーであり、その中でも特にポリブタジエン、ジエン系共重合体が好ましい。
かかるゴム質重合体のゴム粒子の重量平均粒子径は、0.20〜2.0μmの範囲であり、好ましくは0.25〜1.5μm、更に好ましくは0.28〜1.3μmである。ゴム粒子の重量平均粒子径が0.20μmより小さくなると、グラフトポリマー添加による衝撃改良効果が低下し好ましくない。また、2.0μmを超えるとポリカーボネート樹脂との分散状態が悪く、衝撃低下などを起こすので好ましくない。
本発明におけるゴム粒子の重量平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定された値である。具体的には、エマルジョン状態のゴム状重合体を透過型電子顕微鏡測定用のメッシュ上に一滴取り、四酸化オスミウムあるいは四酸化ルテニウムの蒸気で染色した。次に染色されたゴム状重合体のサンプルを透過型電子顕微鏡(FEI社製 TECNAI G2、加速電圧120kv)で撮影し、撮影した画像中のゴム粒子200個から画像処理ソフト(Nexus NewQube)を用いて重量平均粒子径を算出した。
本発明で言うシアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
本発明で言う芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレンなどが挙げられ、特にスチレンが好ましい。
本発明のグラフト共重合体のゴム成分の含有量は、1〜40重量%の範囲であり、好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは10〜25重量%である。含有量が40重量%を超えると、流動性改良効果が不十分となり好ましくない。またかかるゴム量が1重量%未満の場合、衝撃改良効果が不十分となり好ましくない。
本発明のグラフト共重合体は、製造方法に特に指定はないが、乳化重合法により製造されたものが好ましく使用できる。
本発明のグラフト共重合体として具体的には、例えば、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂などが挙げられ、いずれも容易に入手可能である。中でもより好適であるのはABS樹脂である。
ABS樹脂は薄肉成形品に対する優れた成形加工性を有し、良好な耐衝撃性も有する。殊にポリカーボネート樹脂との組合せにおいて好ましい特性が発現される。
尚、ここでABS樹脂はアクリロニトリル、ブタジエンゴム、およびスチレンから主としてなるグラフト共重合体、AES樹脂はアクリロニトリル、エチレン−プロピレンゴム、およびスチレンから主としてなるグラフト共重合体、ASA樹脂はアクリロニトリル、スチレン、およびアクリルゴムから主としてなるグラフト共重合体を示す。
本発明におけるグラフト共重合体は単独で使用することも2種以上を併用することも可能である。例えばABS樹脂とASA樹脂、ABS樹脂とAES樹脂などの併用が可能である。なお、複数のグラフト共重合体を併用する場合は、ゴム成分の含有量は各々1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは10〜25重量%である。ゴム成分の含有量が40重量%を超えると、流動性改良効果が不十分となり好ましくない。またかかるゴム量が1重量%未満の場合、衝撃改良効果が不十分となり好ましくない。
ABS樹脂とは、ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物とをグラフト共重合した熱可塑性グラフト共重合体(ABS共重合体)、並びに該グラフト共重合体と、シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体(AS共重合体)との混合物をいう。なお、このシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体はジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物とをグラフト共重合した熱可塑性グラフト共重合体からなる樹脂の製造の際に副生される共重合体でもよく、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物とを別途共重合して得られるビニル化合物共重合体をブレンドしたものでもよい。かかるシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物からなる共重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により、標準ポリスチレン換算で測定される値において、好ましくは3.0×10〜2.0×10の範囲であり、より好ましくは6.0×10〜1.4×10の範囲であり、更に好ましくは9.0×10〜1.2×10の範囲である。尚、かかるAS共重合体の割合は、アセトンなどのかかるAS共重合体の良溶媒にABS樹脂を溶解し、その可溶分を遠心分離するなどの手法により採取することが可能である。一方その不溶分(ゲル)が正味のABS共重合体となる。
ABS共重合体においてジエン系ゴム成分にグラフトされたシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の割合(ジエン系ゴム成分の重量に対するかかるグラフト成分の重量の割合)、すなわちグラフト率(重量%)は20〜200%が好ましく、より好ましくは20〜80%である。
かかるABS樹脂のジエン系ゴム成分としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、およびスチレン−ブタジエン共重合体などのガラス転移温度が−10℃以下のゴム成分が用いられる。
ABS樹脂における芳香族ビニル化合物としては、前記のものが挙げられ、特にスチレンが好ましい。ABS樹脂におけるシアン化ビニル化合物としては、前記のものが挙げられ、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
本発明で使用するABS樹脂においては、ABS樹脂成分100重量%中ジエンゴム成分の割合が好ましくは1〜40重量%の範囲であり、より好ましくは5〜30重量%の範囲であり、更に好ましくは10〜25重量%の範囲であり、特に好ましくは12〜22重量%の範囲である。ジエン系ゴム成分以外のシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の共重合の割合は、ABS樹脂成分100重量%中99〜60重量%が好ましく、より好ましくは95〜70重量%、更に好ましくは90〜75重量%、特に好ましくは88〜78重量%である。更にかかるシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の合計量100重量%に対して、シアン化ビニル化合物が5〜50重量%(より好ましくは15〜35重量%)、芳香族ビニル化合物が95〜50重量%(より好ましくは65〜85重量%)であることが好ましい。更に上記のジエン系ゴム成分にグラフトされる成分の一部についてメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、無水マレイン酸、N置換マレイミド等を混合使用することもでき、これらの含有割合はABS樹脂成分中15重量%以下であるものが好ましい。更に反応で使用される開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は必要に応じて、従来公知の各種のものが使用可能である。
ABS樹脂においては、ゴム粒子径は重量平均粒子径において0.20〜2.0μmであり、0.25〜1.5μmが好ましく、0.28〜1.3μmが更に好ましい。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布であるもの及び2山以上の複数の山を有するもののいずれもが使用可能であり、更にそのモルフォロジーにおいてもゴム粒子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の周りにオクルード相を含有することによりサラミ構造を有するものであってもよい。
かかるABS樹脂の製造方法は特に指定はないが、より好ましいのは乳化重合法により製造されたABS樹脂である。
(C成分:コアシェル型グラフト共重合体)
本発明のコアシェル型グラフト共重合体は、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.30〜0.50μmであるジエン系ゴム成分とアルキル(メタ)アクリレート単量体またはアルキル(メタ)アクリレートとそれと共重合する他の単量体との混合物を共重合してなるコアシェル型のグラフト共重合体であり、ブタジエン−スチレンに代表されるジエン系ゴムに、主としてメチルメタアクリレート、またはメチルメタアクリレートとそれと共重合可能な他の単量体との混合物をグラフト共重合することで得られる共重合体が好ましい。
本発明でいうジエン系ゴム成分とは、主構成単位の1,3−ブタジエン50〜100重量%、好ましくは65〜100重量%、更に好ましくは75〜100重量%、これと共重合可能なスチレンに代表されるビニル単量体50〜0重量%、好ましくは35〜0重量%、更に好ましくは25〜0重量%となるように乳化重合して得られる共重合体である。主構成単位の1,3−ブタジエンが50重量%より少なくなると、十分な衝撃特性が得られず不適である。
本発明のジエン系ゴム成分の粒子径は重量平均粒子径で0.30〜0.50μm、好ましくは0.30〜0.40μm、更に好ましくは0.32〜0.38μmである。ジエン系ゴムの粒子径が0.30μm未満では、ウエルド部や偏肉部分でフローラインが濃く発生し、0.50μmを超えると分散不良を起こし衝撃改質剤としての効果が無くなってしまうので不適である。
本発明におけるゴム粒子の重量平均粒子径は、B成分のゴム質重合体の重量平均粒子径の測定方法と同じ方法で測定された値であり、透過型電子顕微鏡により撮影されたゴム粒子の画像を元に算出された値である。
このジエン系ゴム成分の形成に使用されるスチレンに代表されるビニル系単量体としては、例えばスチレン、α―メチルスチレン、P−メチルスチレン、クロロスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレンなどの芳香族ビニル単量体、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、プロピルメタアクリレート、ブチルメタアクリレートなどのアルキルメタアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなどのアルキルアクリレートが挙げられる。なお、上記単量体以外でもビニルエーテル系単量体、ハロゲン化ビニリデン単量体、グリシジルアクリレートなどグリシジル基を有するビニル系単量体などが挙げられる。
さらに、前記のビニル系単量体のうち、架橋性単量体ともなるものは、ブタジエンやビニル系単量体と共重合可能なもので、分子内に独立したC=C結合を二以上内在する化合物であり、例えば、ジビニルベンゼン,ジビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート等の多価アルコールのα,β−不飽和カルボン酸エステル、トリメタクリル酸エステルまたはトリアクリル酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等のα,β−不飽和カルボン酸のアリルエステル、ジアリルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリアジン等のジ−またはトリアリル化合物などが挙げられる。
前記ビニル系単量体ならびに架橋性単量体は、それぞれ一種または二種以上を使用することができる。
また、ジエン系ゴム成分を形成する際、重合反応には、必要に応じて、t−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤(開始剤)を使用することもできる。このジエン系ゴム成分には、そのラテックスを調製する際、肥大化剤を添加しジエン系ゴム成分の重量平均粒子径を制御する。かかる肥大化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の無機塩、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等の有機塩、硫酸、塩酸等の無機酸、酢酸、コハク酸等の有機酸、ならびにそれら有機酸無水物、さらには、カルボン酸含有高分子ラテックスなどが挙げられる。
本発明で使用するコアシェル型のグラフト共重合体は、前記構成のジエン系成分のラテックスに、アルキル(メタ)アクリレート単量体、あるいはアルキル(メタ)アクリレートとそれと共重合する他の単量体との混合物を、一段または多段でグラフト重合することによって調製される。
すなわち、前記のグラフト重合に使用する単量体としては、必須成分であるメチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、およびメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート類の他に、スチレン、α−メチルスチレン、あるいは各種ハロゲン置換及び/またはアルキル置換のスチレン等のスチレン類、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体が挙げられる。さらには、上述した架橋性単量体となるビニル系単量体を、前記ビニル系単量体と併せて使用することもできる。必須成分であるアルキル(メタ)アクリレートと混合して利用する際、これらビニル系単量体ならびに架橋性単量体は、それぞれ一種または二種以上を使用することができる。
グラフト重合においては、ジエン系ゴム成分ラテックス40〜90重量部、好ましくは42〜85重量部、更に好ましくは45〜80重量部に対し、使用する単量体または単量体混合物の量を60〜10質量部、好ましくは58〜15重量部、更に好ましくは55〜20重量部となる範囲にすることが好ましい。また、単量体混合物を用いる際には、単量体混合物の総和において、必須成分であるアルキル(メタ)アクリレート単量体は、少なくとも25重量%以上、より好ましくは40重量%以上であることが好ましい。
なお、グラフト重合自体は、単量体または単量体混合物を一度に加えて、一段で重合してもよく、あるいは、単量体または単量体混合物を2回もしくはそれ以上に分割して添加し,グラフト重合を複数段に分けて行うこともできる。
グラフト重合の方法としては乳化重合の手段を用いる。このグラフト共重合を行う際、重合開始剤として、過硫酸カリウム,過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化物などを使用することができる。この他、前記の酸化剤化合物と亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアルデヒド・スルホキシレート、デキストローズ等を組み合わせてレドックス系開始剤として使用することもできる。
グラフト共重合における反応温度は、用いる重合開始剤の種類に応じて、例えば、40〜80℃の範囲に適宜選択することができる。また、乳化重合に際し、ブタジエン系ゴム重合体ラッテクスに対する乳化剤としては、公知の乳化剤を適宜用いることができる。
得られたコアシェル型のグラフト共重合体は、反応液に適当な酸化防止剤や、必要に応じて、添加剤等を加え、あるいは添加せずに、噴霧乾燥(直接粉体化)するか、または、硫酸、塩酸、リン酸等の酸や塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の塩などの凝析剤を反応液に適宜加えて、凝析し更に熱処理して固化する。その後、脱水、洗浄を経て、最終的に乾燥して粉末化し使用する。
(D成分:無機充填材)
本発明においてはD成分として各種の無機充填材を含むことができる。例えば、タルク、ワラストナイト、マイカ、クレー、モンモンリロナイト、スメクタイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、金属フレーク、金属繊維、金属コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガラスフレーク、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊維、セラミックバルーン、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、グラファイト、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムなどの各種ウイスカーなどが挙げられる。なかでも、タルク、ワラストナイト、マイカ、などのケイ酸塩系の充填材が好ましく使用される。これらの無機充填材は、1種もしくは2種以上を併用して含むものであってもよい。
(D−1成分:タルク)
本発明において使用するタルク(D−1成分)とは、平均粒径が5μm以下のものを挙げることができる。更に好ましくは平均粒径が3μm以下であり、特に好ましくは2μm以下のものを挙げることができる。下限としては0.05μmを挙げることができる。ここでタルクの平均粒径は、液相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。かかる測定を行う装置の具体例としてはマイクロメリティックス社製Sedigraph5100などを挙げることができる。
タルクは造粒された形態で使用されることが好ましい。造粒方法としては、バインダーを使用する場合と、実質的に使用しない場合がある。バインダーを使用しないものがより好適である。バインダーを使用しない場合の造粒方法としては、脱気圧縮の方法(例えば真空状態で脱気しながらブリケッティングマシーンなどでローラー圧縮する方法など)、および転動造粒や凝集造粒の方法などが挙げられる。
(D−2成分:マイカ)
本発明において使用するマイカ(D−2成分)とは、平均粒径が1〜80μmの粉末状のものを挙げることができる。更に好ましくは平均粒径が2〜50μmのものを挙げることができる。かかる平均粒径はレーザー回折・散乱法により測定される値である。平均粒径が1〜80μmの場合には、より難燃性に良好な作用を与えるとともに、樹脂中の微分散の条件も満足するため、耐湿熱性も良好に維持できる。マイカの厚みとしては、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01〜1μmのものを使用できる。好ましくは厚みが0.03〜3μmである。更にかかるマイカには、シランカップリング剤等で表面処理されていてもよく、更にエポキシ系、ウレタン系、アクリル系等の結合剤で造粒し、顆粒状とされていても良い。
(D−3成分:ワラストナイト)
本発明において使用するワラストナイト(D−3成分)とは、数平均繊維径が0.5〜5μmのものが好ましい。かかる数平均繊維径は、電子顕微鏡写真などにて観察した画像から、無作為に抽出した合計1000個分の繊維径を測定してその数平均値を算出して求められるものである。またアスペクト比L/D(L:数平均繊維長、D:数平均繊維径)が5以上であるものが好ましく、6以上であるものがより好ましい。尚、数平均繊維長は、ワラストナイトを光学顕微鏡または電子顕微鏡などにより、ワラストナイトの全体像がほぼ完全に観察可能な倍率で観察し、かかる像を画像解析装置に入力し、算出することができる。画像解析装置のとしては例えばピアス製 PIAS−IIIシステムなどを挙げることができる。本発明で使用するワラストナイトとしては、1000℃における強熱減量が2重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がより好ましく、1重量%以下が更に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、強化フィラーの折れを抑制するための折れ抑制剤を含むことができる。折れ抑制剤はマトリックス樹脂と強化フィラーとの間の密着性を阻害し、溶融混練時に強化フィラーに作用する応力を低減してフィラーの折れを抑制する。折れ抑制剤の効果としては1)剛性向上(フィラーのアスペクト比が大きくなる)、2)靭性向上(マトリックス樹脂の靭性を発揮しやすい、特に靭性の良好な芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とする場合に有効)、3)導電性の向上(導電性フィラーの場合)などを挙げることができる。折れ抑制剤は具体的には、(i)樹脂と親和性の低い化合物を強化フィラーの表面に直接被覆した場合の該化合物、および(ii)樹脂と親和性の低い構造を有し、かつ強化フィラーの表面と反応可能な官能基を有する化合物である。
樹脂と親和性の低い化合物としては各種の滑剤を代表的に挙げることができる。滑剤としては例えば、鉱物油、合成油、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリオルガノシロキサン(シリコーンオイル、シリコーンゴムなど)、オレフィン系ワックス(パラフィンワックス、ポリオレフィンワックスなど)、ポリアルキレングリコール、フッ素化脂肪酸エステル、トリフルオロクロロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレングリコールなどのフッ素オイルなどが挙げられる。
樹脂と親和性の低い化合物を強化フィラーの表面に直接被覆する方法としては、(1)該化合物を直接、または該化合物の溶液や乳化液を強化フィラーに浸漬する方法、(2)該化合物の蒸気中または粉体中に強化フィラーを通過させる方法、(3)該化合物の粉体などを強化フィラーに高速で照射する方法、(4)強化フィラーと該化合物を擦り付けるメカノケミカル的方法などを挙げることができる。
樹脂と親和性の低い構造を有し、かつ強化フィラーの表面と反応可能な官能基を有する化合物としては、各種の官能基で修飾された上記の滑剤を挙げることができる。かかる官能基としては例えばカルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、エステル基、アミノ基、アルコキシシリル基などを挙げることができる。
折れ抑制剤としてより好ましいのは、カルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選択された少なくとも1種の官能基を有するポリオレフィンワックスである。分子量としては重量平均分子量で500〜20,000が好ましく、より好ましくは1,000〜15,000である。かかるポリオレフィンワックスにおいて、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基の量としては、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基から選択される少なくとも1種の官能基を有する滑剤1g当り0.05〜10meq/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜6meq/gであり、更に好ましくは0.5〜4meq/gである。他の官能基の場合もカルボキシル基と同程度含まれていることが好ましい。
折れ抑制剤として特に好ましいものとしてα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体を挙げることができる。かかる共重合体は、常法に従いラジカル触媒の存在下に、溶融重合あるいはバルク重合法で製造することができる。ここでα−オレフィンとしてはその炭素数が平均値として10〜60のものを好ましく挙げることができる。α−オレフィンとしてより好ましくはその炭素数が平均値として16〜60、更に好ましくは25〜55のものを挙げることができる。折れ抑制剤は本発明のポリカーボネート樹脂組成物100重量%中、0.01〜2重量%が好ましく、0.05〜1.5重量%がより好ましく、0.1〜0.8重量%が更に好ましい。
(E成分:難燃剤)
本発明の難燃剤(E成分)は、従来芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が適用できるが、より好適には、(i)有機リン系難燃剤(例えば、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、およびホスホン酸アミド化合物など)、(ii)有機金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤など)、(iii)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤である。尚、難燃剤として使用される化合物の配合は難燃性の向上のみならず、各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。
(E−1)有機リン系難燃剤
本発明の有機リン系難燃剤としては、ホスフェート化合物、特にアリールホスフェート化合物が好適である。かかるホスフェート化合物は難燃性の向上に効果的であり、かつホスフェート化合物は可塑化効果があるため、耐熱性の低下はあるものの本発明の樹脂組成物の成形加工性を高められる点で有利である。かかるホスフェート化合物は、従来難燃剤として公知の各種ホスフェート化合物が使用できるが、より好適には特に下記一般式(I)で表される1種または2種以上のホスフェート化合物を挙げることができる。
Figure 2009203270
(式中のXは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、およびビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドからなる群より選ばれるジヒドロキシ化合物より誘導される二価フェノール残基であり、nは0〜5の整数、またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合はそれらの平均値であり、R、R、R、およびRはそれぞれ独立したフェノール、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、およびp−クミルフェノールからなる群より選ばれるアリール基より誘導される一価フェノール残基である。)
上記式(I)のホスフェート化合物は、異なるn数を有する化合物の混合物であってもよく、かかる混合物の場合、平均のn数は好ましくは0.5〜1.5、より好ましくは0.8〜1.2、更に好ましくは0.95〜1.15、特に好ましくは1〜1.14の範囲である。
上記式(I)のXを誘導する二価フェノールの好適な具体例としては、レゾルシノール、ビスフェノールA、およびジヒドロキシジフェニルで、中でも好ましくはレゾルシノール、ビスフェノールAである。
上記式(I)のR、R、R、およびRを誘導する一価フェノールの好適な具体例としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、2,6−ジメチルフェノールで、中でも好ましくはフェノール、および2,6−ジメチルフェノールである。
上記式(I)のホスフェート化合物の具体例としては、トリフェニルホスフェートおよびトリ(2,6−キシリル)ホスフェートなどのモノホスフェート化合物、並びにレゾルシノールビスジ(2,6−キシリル)ホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、4,4−ジヒドロキシジフェニルビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするリン酸エステルオリゴマーが好適で、中でもレゾルシノールビスジ(2,6−キシリル)ホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、4,4−ジヒドロキシジフェニルビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするリン酸エステルオリゴマーが好ましい。
難燃剤として有機リン系難燃剤を使用する場合、その配合量は、A成分とB成分の合計100重量部を基準として1〜25重量部が好ましく、より好ましくは2〜25重量部、更に好ましくは3〜20重量部である。かかる好ましい範囲であるほど有機リン系難燃剤の配合により期待される効果(例えば難燃性など)が発揮される。
(E−2)有機金属塩系難燃剤
有機金属塩系難燃剤は、耐熱性がほぼ維持される点で有利である。本発明において最も有利に使用される有機金属塩系難燃剤は、スルホン酸アルカリ(土類)金属塩である。その中でも好ましいのはフッ素置換有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩であり、特に好ましいのはパーフルオロアルキル基を有するスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩である。ここでパーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜18の範囲が好ましく、1〜10の範囲がより好ましく、更に好ましくは1〜8の範囲である。
フッ素置換有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の金属イオンを構成する金属は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属であり、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムが挙げられる。より好適にはアルカリ金属である。したがって好適な有機金属塩系難燃剤は、パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩である。かかるアルカリ金属の中でも、透明性の要求がより高い場合にはルビジウムおよびセシウムが好適である一方、これらは汎用的でなくまた精製もし難いことから、結果的にコストの点で不利となる場合がある。一方、コストや難燃性の点で有利であるがリチウムおよびナトリウムは逆に透明性の点で不利な場合がある。これらを勘案してパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属を使い分けることができるが、いずれの点においても特性のバランスに優れたパーフルオロアルキルスルホン酸カリウム塩が最も好適である。かかるカリウム塩と他のアルカリ金属からなるパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。
かかるパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩としては、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸ルビジウム、およびパーフルオロヘキサンスルホン酸ルビジウム等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。これらの中で特にパーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。
上記の有機金属塩系難燃剤はイオンクロマトグラフィー法により測定した弗化物イオンの含有量が好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である。弗化物イオンの含有量が低いほど、難燃性や耐光性が良好となる。弗化物イオンの含有量の下限は実質的に0とすることも可能であるが、精製工数と効果との兼ね合いから実用的には0.2ppm程度が好ましい。かかる弗化物イオンの含有量のパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩は例えば次のように精製される。パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩を、該金属塩の2〜10重量倍のイオン交換水に、40〜90℃(より好適には60〜85℃)の範囲において溶解させる。該パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩は、パーフルオロアルキルスルホン酸をアルカリ金属の炭酸塩または水酸化物で中和する方法、もしくはパーフルオロアルキルスルホニルフルオライドをアルカリ金属の炭酸塩または水酸化物で中和する方法により(より好適には後者の方法により)生成される。また該イオン交換水は、特に好適には電気抵抗値が18MΩ・cm以上である水である。金属塩を溶解した液を上記温度下で0.1〜3時間、より好適には0.5〜2.5時間撹拌する。その後該液を0〜40℃、より好適に10〜35℃の範囲に冷却する。冷却により結晶が析出する。析出した結晶をろ過によって取り出す。これにより好適な精製されたパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩が製造される。
難燃剤としてフッ素置換有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩を使用する場合、その配合量は、A成分とB成分との合計100重量部を基準として好ましくは0.01〜1.0重量部、より好ましくは0.05〜0.8重量部、更に好ましくは0.08〜0.6重量部である。かかる好ましい範囲であるほどフッ素置換有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の配合により期待される効果(例えば難燃性や帯電防止性など)が発揮される。
フッ素置換有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩以外の有機金属塩系難燃剤としては、フッ素原子を含有しない有機スルホン酸の金属塩が好適である。該金属塩としては、例えば脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、脂肪族スルホン酸のアルカリ土類金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、および芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩等(いずれもフッ素原子を含有しない)が挙げられる。
脂肪族スルホン酸金属塩の好ましい例としては、アルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる(ここで、アルカリ(土類)金属塩の表記は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれも含む意味で使用する)。かかるアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩に使用するアルカンスルホン酸の好ましい例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、メチルブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、へプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩に使用する芳香族スルホン酸としては、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸、芳香族スルホネートのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸、芳香族ケトンのスルホン酸、複素環式スルホン酸、芳香族スルホキサイドのスルホン酸、芳香族スルホン酸のメチレン型結合による縮合体からなる群から選ばれた少なくとも1種の酸を挙げることができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の具体例としては、例えばジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジカリウム、5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウム、1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウム、ベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カルシウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウムな、α,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、およびアントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物などを挙げることができる。
フッ素原子を含有しない有機スルホン酸の金属塩の中でも、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩が好ましく、特にカリウム塩が好適である。難燃剤としてかかる芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩を配合する場合、その含有量は、A成分とB成分との合計100重量部を基準として好ましくは0.01〜1重量部であり、より好ましくは0.05〜0.8重量部、更に好ましくは0.08〜0.6重量部である。
(E−3)シリコーン系難燃剤
本発明のシリコーン系難燃剤として使用されるシリコーン化合物は、燃焼時の化学反応によって難燃性を向上させるものである。該化合物としては従来芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃剤として提案された各種の化合物を使用することができる。シリコーン化合物はその燃焼時にそれ自体が結合してまたは樹脂に由来する成分と結合してストラクチャーを形成することにより、または該ストラクチャー形成時の還元反応により、ポリカーボネート樹脂に難燃効果を付与するものと考えられている。したがってかかる反応における活性の高い基を含んでいることが好ましく、より具体的にはアルコキシ基およびハイドロジェン(即ちSi−H基)から選択された少なくとも1種の基を所定量含んでいることが好ましい。かかる基(アルコキシ基、Si−H基)の含有割合としては、0.1〜1.2mol/100gの範囲が好ましく、0.12〜1mol/100gの範囲がより好ましく、0.15〜0.6mol/100gの範囲が更に好ましい。かかる割合はアルカリ分解法より、シリコーン化合物の単位重量当たりに発生した水素またはアルコールの量を測定することにより求められる。尚、アルコキシ基は炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好適である。
一般的にシリコーン化合物の構造は、以下に示す4種類のシロキサン単位を任意に組み合わせることによって構成される。すなわち、
M単位:(CHSiO1/2、H(CHSiO1/2、H(CH)SiO1/2、(CH(CH=CH)SiO1/2、(CH(C)SiO1/2、(CH)(C)(CH=CH)SiO1/2等の1官能性シロキサン単位、
D単位:(CHSiO、H(CH)SiO、HSiO、H(C)SiO、(CH)(CH=CH)SiO、(CSiO等の2官能性シロキサン単位、
T単位:(CH)SiO3/2、(C)SiO3/2、HSiO3/2、(CH=CH)SiO3/2、(C)SiO3/2等の3官能性シロキサン単位、
Q単位:SiOで示される4官能性シロキサン単位である。
シリコーン系難燃剤に使用されるシリコーン化合物の構造は、具体的には、示性式としてD、T、M、M、M、M、M、M、M、D、D、Dが挙げられる。この中で好ましいシリコーン化合物の構造は、M、M、M、Mであり、さらに好ましい構造は、MまたはMである。
ここで、上記示性式中の係数m、n、p、qは各シロキサン単位の重合度を表す1以上の整数であり、各示性式における係数の合計がシリコーン化合物の平均重合度となる。この平均重合度は好ましくは3〜150の範囲、より好ましくは3〜80の範囲、更に好ましくは3〜60の範囲、特に好ましくは4〜40の範囲である。かかる好適な範囲であるほど難燃性において優れるようになる。更に後述するように芳香族基を所定量含むシリコーン化合物においては透明性や色相にも優れる。
またm、n、p、qのいずれかが2以上の数値である場合、その係数の付いたシロキサン単位は、結合する水素原子や有機残基が異なる2種以上のシロキサン単位とすることができる。
シリコーン化合物は、直鎖状であっても分岐構造を持つものであってもよい。またシリコン原子に結合する有機残基は炭素数1〜30、より好ましくは1〜20の有機残基であることが好ましい。かかる有機残基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、およびデシル基などのアルキル基、シクロヘキシル基の如きシクロアルキル基、フェニル基の如きアリール基、並びにトリル基の如きアラルキル基を挙げることがでる。さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基またはアリール基である。アルキル基としては、特にはメチル基、エチル基、およびプロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
さらにシリコーン系難燃剤として使用されるシリコーン化合物はアリール基を含有することが好ましい。より好適には下記一般式(II)で示される芳香族基が含まれる割合(芳香族基量)が10〜70重量%(より好適には15〜60重量%)である。
Figure 2009203270
(式(II)中、Xはそれぞれ独立にOH基、炭素数1〜20の一価の有機残基を示す。nは0〜5の整数を表わす。さらに式(II)中においてnが2以上の場合はそれぞれ互いに異なる種類のXを取ることができる。)
シリコーン系難燃剤として使用されるシリコーン化合物は、上記Si−H基およびアルコキシ基以外にも反応基を含有していてもよく、かかる反応基としては例えば、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基、およびメタクリロキシ基などが例示される。
Si−H基を有するシリコーン化合物としては、下記一般式(III)および(IV)で示される構成単位の少なくとも一種以上を含むシリコーン化合物が好適に例示される。
Figure 2009203270
Figure 2009203270
(式(III)および式(IV)中、Z〜Zはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の一価の有機残基、または下記一般式(IV)で示される化合物を示す。α〜αはそれぞれ独立に0または1を表わす。m1は0もしくは1以上の整数を表わす。さらに式(IV)中においてm1が2以上の場合の繰返し単位はそれぞれ互いに異なる複数の繰返し単位を取ることができる。)
Figure 2009203270
(式(V)中、Z〜Zはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の一価の有機残基を示す。α〜αはそれぞれ独立に0または1を表わす。m2は0もしくは1以上の整数を表わす。さらに式(V)中においてm2が2以上の場合の繰返し単位はそれぞれ互いに異なる複数の繰返し単位を取ることができる。)
シリコーン系難燃剤に使用されるシリコーン化合物において、アルコキシ基を有するシリコーン化合物としては、例えば一般式(VI)および一般式(VII)に示される化合物から選択される少なくとも1種の化合物があげられる。
Figure 2009203270
(式(VI)中、βはビニル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、並びに炭素数6〜12のアリール基およびアラルキル基を示す。γ、γ、γ、γ、γ、およびγは炭素数1〜6のアルキル基およびシクロアルキル基、並びに炭素数6〜12のアリール基およびアラルキル基を示し、少なくとも1つの基がアリール基またはアラルキル基である。δ、δ、およびδは炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。)
Figure 2009203270
(式(VII)中、βおよびβはビニル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、並びに炭素数6〜12のアリール基およびアラルキル基を示す。γ、γ、γ、γ10、γ11、γ12、γ13およびγ14は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、並びに炭素数6〜12のアリール基およびアラルキル基を示し、少なくとも1つの基がアリール基またはアラルキルである。δ、δ、δ、およびδは炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。)
難燃剤としてシリコーン系難燃剤を使用する場合、その配合量は、A成分とB成分との合計100重量部を基準として好ましくは0.1〜5重量部であり、より好ましくは0.2〜4重量部、更に好ましくは0.3〜3重量部である。
上記難燃剤(E−1)、(E−2)および(E−3)は、単独であるいは2種以上の併用で使用してもよい。
(F成分:含フッ素滴下防止剤)
本発明で使用する含フッ素滴下防止剤(F成分)とは、燃焼時の溶融滴下を防止し難燃性を更に向上させる含フッ素化合物であり、代表的にはフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。尚、以下ポリテトラフルオロエチレンを単にPTFEと称することがある。フィブリル形成能を有するPTFEの分子量は極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1000万、より好ましく200万〜900万である。かかるPTFEは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中での分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物を使用することも可能である。
かかるフィブリル形成能を有するPTFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)のテフロン(登録商標)6J、ダイキン化学工業(株)のポリフロンMPA FA500、およびF−201Lなどを挙げることができる。PTFEの水性分散液の市販品としては、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製のフルオンD−1、D−2、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)30Jなどを代表として挙げることができる。
混合形態のPTFEとしては、(1)PTFEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法(特開昭60−258263号公報、特開昭63−154744号公報などに記載された方法)、(2)PTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法(特開平4−272957号公報に記載された方法)、(3)PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に除去する方法(特開平06−220210号公報、特開平08−188653号公報などに記載された方法)、(4)PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する単量体を重合する方法(特開平9−95583号公報に記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、更に該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法(特開平11−29679号などに記載された方法)により得られたものが使用できる。これらの混合形態のPTFEの市販品としては、三菱レイヨン(株)の「メタブレン A3800」(商品名)、およびGEスペシャリティーケミカルズ社製 「BLENDEX B449」(商品名)などを挙げることができる。
混合形態におけるPTFEの割合としては、PTFE混合物100重量%中、PTFEが1〜60重量%が好ましく、より好ましくは5〜55重量%である。PTFEの割合がかかる範囲にある場合は、PTFEの良好な分散性を達成することができる。
(各成分の含有量について)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、A成分とB成分の合計100重量%のうち、A成分は99〜1重量%、好ましくは98〜20重量%、更に好ましくは97〜40重量%、特に好ましいのは95〜60重量%で、B成分は1〜99重量%、好ましくは2〜80重量%、更に好ましくは3〜60重量%、特に好ましいのは5〜40重量%である。
A成分が1重量%未満であると衝撃強度などの機械的強度、耐熱性が不十分であり、また99重量%より多いと成形性が低下し不適である。
C成分の含有量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜9重量部、更に好ましいのは1〜8重量部である。0.1重量部未満であるとフローラインの発生や衝撃特性が不十分であり、また10重量部より多いと耐熱性や難燃性が著しく低下し不適である。
D成分の含有量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.1〜50重量部で、より好ましくは0.5〜40重量部、更に好ましくは1〜30重量部である。F成分の量が50重量部を超えると、流動性の低下や衝撃強度の著しい低下が発生することから不適である。
E成分の含有量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.001〜25重量部で、より好ましくは0.05〜23重量部、更に好ましくは0.1〜20重量部である。0.01重量部未満であると難燃性が不十分であり、また25重量部より多いと耐熱性や機械的強度が著しく低下し不適である。
F成分の含有量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.05〜2重量部、より好ましくは0.07〜1.5重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部である。E成分の含有量が0.01重量部未満では、難燃性が不十分であり、5重量部を超えると衝撃強度など機械的特性が低下するようになり不適である。
(その他の添加剤について)
(i)リン系安定剤
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。
具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、および2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが例示される。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。
上記リン系安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。上記リン系安定剤の中でも、ホスホナイト化合物もしくは下記一般式(VIII)で表されるホスファイト化合物が好ましい。
Figure 2009203270
(式(VIII)中、RおよびR’は炭素数6〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
上記の如く、ホスホナイト化合物としてはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、該ホスホナイトを主成分とする安定剤は、Sandostab P−EPQ(商標、Clariant社製)およびIrgafos P−EPQ(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販されておりいずれも利用できる。
また上記式(VIII)の中でもより好適なホスファイト化合物は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトである。
ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトは、アデカスタブPEP−8(商標、旭電化工業(株)製)、JPP681S(商標、城北化学工業(株)製)として市販されておりいずれも利用できる。ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトは、アデカスタブPEP−24G(商標、旭電化工業(株)製)、Alkanox P−24(商標、Great Lakes社製)、Ultranox P626(商標、GE Specialty Chemicals社製)、Doverphos S−9432(商標、Dover Chemical社製)、並びにIrgaofos126および126FF(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)などとして市販されておりいずれも利用できる。ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトはアデカスタブPEP−36(商標、旭電化工業(株)製)として市販されており容易に利用できる。またビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトは、アデカスタブPEP−45(商標、旭電化工業(株)製)、およびDoverphos S−9228(商標、Dover Chemical社製)として市販されておりいずれも利用できる。
(ii)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
ヒンダードフェノール化合物としては、通常樹脂に配合される各種の化合物が使用できる。かかるヒンダードフェノール化合物としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセテート、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセチルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)ベンゼン、およびトリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)イソシアヌレートなどが例示される。
上記化合物の中でも、本発明においてはテトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、および3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましく利用される。特に3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましい。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
リン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤はいずれかが配合されることが好ましく、これらの併用は更に好ましい。リン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量はA成分とB成分の合計100重量部に対し、0.001〜3重量部、好ましくは0.005〜2重量部、より好ましくは0.01〜1重量部である。併用の場合はA成分とB成分の合計100重量部に対し、0.01〜0.3重量部のリン系安定剤および0.01〜0.3重量部のヒンダードフェノール系酸化防止剤が配合されることがより好ましい。
(iii)離型剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、その成形時の生産性向上や成形品の歪みの低減を目的として、更に離型剤を配合することが好ましい。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。中でも好ましい離型剤として脂肪酸エステルが挙げられる。かかる脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数としては、3〜32の範囲、より好適には5〜30の範囲である。かかる一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール〜ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられる。本発明の脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。
一方、脂肪族カルボン酸は炭素数3〜32であることが好ましく、特に炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸が好ましい。該脂肪族カルボン酸としては、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、ベヘン酸、イコサン酸、およびドコサン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中でも脂肪族カルボン酸は、炭素原子数14〜20であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。特にステアリン酸およびパルミチン酸が好ましい。
ステアリン酸やパルミチン酸など上記の脂肪族カルボン酸は通常、牛脂や豚脂などに代表される動物性油脂およびパーム油やサンフラワー油に代表される植物性油脂などの天然油脂類から製造されるため、これらの脂肪族カルボン酸は、通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。したがって本発明の脂肪酸エステルの製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなる脂肪族カルボン酸、殊にステアリン酸やパルミチン酸が好ましく使用される。
本発明の脂肪酸エステルは、部分エステルおよび全エステル(フルエステル)のいずれであってもよい。しかしながら部分エステルでは通常水酸基価が高くなり高温時の樹脂の分解などを誘発しやすいことから、より好適にはフルエステルである。本発明の脂肪酸エステルにおける酸価は、熱安定性の点から好ましく20以下、より好ましくは4〜20の範囲、更に好ましくは4〜12の範囲である。尚、酸価は実質的に0を取り得る。また脂肪酸エステルの水酸基価は、0.1〜30の範囲がより好ましい。更にヨウ素価は、10以下が好ましい。尚、ヨウ素価は実質的に0を取り得る。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
離型剤の含有量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.005〜2重量部、より好ましくは0.01〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。かかる範囲においては、ポリカーボネート樹脂組成物は良好な離型性および離ロール性を有する。特にかかる量の脂肪酸エステルは良好な色相を損なうことなく良好な離型性および離ロール性を有するポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
(iv)紫外線吸収剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。本発明の樹脂組成物は透明性に優れることから光を透過させる用途において極めて好適である。
本発明の紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。
また紫外線吸収剤としては、具体的にシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/またはヒンダードアミン構造を有する光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。上記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。
上記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相(透明性)の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、0.01〜2重量部、好ましくは0.03〜2重量部、より好ましくは0.02〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
(v)染顔料
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は更に各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する成形品を提供できる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は透明性に優れることから光を透過させる用途において極めて好適である。したがって例えば蛍光増白剤を配合することにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に更に高い光透過性や自然な透明感を付与すること、並びに蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を配合することにより、発光色を生かした更に良好な意匠効果を付与することができる。また極微量の染顔料による微妙な着色のなされ、かつ高い透明性を有するポリカーボネート樹脂組成物もまた提供可能である。
本発明で使用する蛍光染料(蛍光増白剤を含む)としては、例えば、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、およびジアミノスチルベン系蛍光染料などを挙げることができる。これらの中でも耐熱性が良好でポリカーボネート樹脂の成形加工時における劣化が少ないクマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、およびペリレン系蛍光染料が好適である。
上記ブルーイング剤および蛍光染料以外の染料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などを挙げることができる。更に本発明の樹脂組成物はメタリック顔料を配合してより良好なメタリック色彩を得ることもできる。メタリック顔料としては、各種板状フィラーに金属被膜または金属酸化物被膜を有するものが好適である。
上記の染顔料の含有量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、0.00001〜1重量部が好ましく、0.00005〜0.5重量部がより好ましい。
(vi)その他の熱安定剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上記のリン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかるその他の熱安定剤は、これらの安定剤および酸化防止剤のいずれかと併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている)が好適に例示される。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば上記社製のIrganox HP−2921が好適に例示される。本発明においてもかかる予め混合された安定剤を利用することもできる。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。
またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかる安定剤は、樹脂組成物が回転成形に適用される場合に特に有効である。かかるイオウ含有安定剤の配合量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.08重量部である。
(vii)光高反射用白色顔料
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、光高反射用白色顔料を配合して光反射効果を付与することができる。かかる白色顔料としては二酸化チタン(特にシリコーンなど有機表面処理剤により処理された二酸化チタン)顔料が特に好ましい。かかる光高反射用白色顔料の含有量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、3〜30重量部が好ましく、8〜25重量部がより好ましい。尚、光高反射用白色顔料は2種以上を併用することができる。
(viii)その他の添加剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、A成分とB成分以外の熱可塑性樹脂、その他の流動改質剤、抗菌剤、流動パラフィンの如き分散剤、光触媒系防汚剤、熱線吸収剤およびフォトクロミック剤などを配合することができる。
A成分とB成分以外の熱可塑性樹脂としては、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、環状ポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、熱可塑性フッ素樹脂(例えばポリフッ化ビニリデン樹脂に代表される)、並びにポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂など)が例示される。
(ポリカーボネート樹脂組成物の製造)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜F成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。各成分の一部を予備混合する方法としては例えば、A成分以外の成分を予め予備混合した後、A成分のポリカーボネート樹脂に混合または押出機に直接供給する方法が挙げられる。
予備混合する方法としては例えば、A成分としてパウダーの形態を有するものを含む場合、かかるパウダーの一部と配合する添加剤とをブレンドしてパウダーで希釈した添加剤のマスターバッチを製造し、かかるマスターバッチを利用する方法が挙げられる。更に一成分を独立に溶融押出機の途中から供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。更にかかるペレットの製造においては、光学ディスク用ポリカーボネート樹脂において既に提案されている様々な方法を用いて、ペレットの形状分布の狭小化、ミスカット物の低減、運送または輸送時に発生する微小粉の低減、並びにストランドやペレット内部に発生する気泡(真空気泡)の低減を適宜行うことができる。これらの処方により成形のハイサイクル化、およびシルバーの如き不良発生割合の低減を行うことができる。またペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
また、あらかじめ本発明の高濃度のE成分を含有するようA成分とE成分とを溶融混練機で溶融混練しペレット化したマスターペレットを製造し、かかるマスターペレットを残りのA成分およびその他の添加剤と混合し溶融混練機でペレット化する方法が挙げられる。
(本発明の樹脂組成物からなる成形品について)
本発明における樹脂組成物は、通常上述の方法で得られたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また本発明における樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
本発明の樹脂組成物が利用される成形品の具体的としては、OA機器や家電製品の内部部品やハウジングなどへの応用に好適なものである。これらの製品としては例えば、パソコン、ノートパソコン、CRTディスプレー、プリンター、携帯端末、携帯電話、コピー機、ファックス、記録媒体(CD、CD−ROM、DVD、PD、FDDなど)ドライブ、パラボラアンテナ、電動工具、VTR、テレビ、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器、照明機器、冷蔵庫、エアコン、タイプライター、ワードプロセッサーなどを挙げることができ、これらの筐体などの各種部品に本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物から形成された樹脂製品を使用することができる。またその他の樹脂製品としては、ディフレクター部品、カーナビケーション部品、カーステレオ部品などの車両用部品を挙げることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ウエルド部や偏肉部分で発生するフローラインの無く、衝撃特性および成形性に優れることから、OA用途、その他の各種分野において幅広く有用である。したがって本発明の奏する産業上の効果は極めて大である。
本発明者が現在最良と考える発明の形態は、上記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下に実施例をあげて本発明を更に説明する。なお、特に説明が無い限り実施例中の部は重量部、%は重量%である。なお、評価は下記の方法によって実施した。
(ポリカーボネート樹脂組成物の評価)
(i)難燃性
UL規格94Vに従い、厚み1.5mmで燃焼試験を実施した。
なお、難燃性のランクは、V−1クラス以上が好ましい。
(ii)シャルピー衝撃強さ
ISO 179に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度の測定を実施した。
(iii)耐熱性
ISO 75−1および75−2に従い、荷重たわみ温度を測定した。なお、測定荷重は1.80MPaで実施した。
(iv)流動性
流路厚2mm、流路幅8mmのアルキメデス型スパイラルフロー長を射出成形機[住友重機械工業(株)製SG150U]により測定した。シリンダー温度260℃、金型温度70℃、射出圧力98MPaで行った。
(v)外観(線状の色ムラ)
図1〜図3に示すノートパソコンの筐体成形品を成形し、ウエルド部分の延長線上に発生する線状の色ムラ(フローラインA)とボスを起点に発生する線状の色ムラ(フローラインB)の有無を確認した。
○ : 色ムラ発生無し
× : 色ムラ発生有り
[実施例1〜19、比較例1〜10]
表1〜表3に示す組成で、E成分のFR−1(リン酸エステル)、D成分(強化フィラー)、およびB成分(ABS−1、ABS−2、ABS−3、ABS−4)を除く成分からなる混合物を押出機の第1供給口から供給した。かかる混合物は次の(i)の予備混合物と他の成分とをV型ブレンダーで混合して得た。すなわち、(i)F成分(含フッ素滴下防止剤)とA成分の芳香族ポリカーボネートとの混合物であってF成分がその2.5重量%となるようポリエチレン袋中で該袋全体を振り動かすことで均一に混合された混合物である。B成分(ABS−1、ABS−2、ABS−3、ABS−4)及びD成分(強化フィラー)を含む場合は、第2供給口からサイドフィーダーを用いて供給した。更にE成分のFR−1を添加する場合は、80℃に加熱した状態で液注装置(富士テクノ工業(株)製HYM−JS−08)を用いてシリンダー途中の第3供給口(第1供給口とベント排気口との間に位置)から、各々所定の割合になるよう押出機に供給した。液注装置は一定量を供給する設定とし、その他の原料の供給量は計量器[(株)クボタ製CWF]により精密に計測された。押出は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30α−38.5BW−3V)を使用し、スクリュー回転数150rpm、吐出量20kg/h、ベントの真空度3kPaで溶融混練しペレットを得た。なお、押出温度については、第1供給口からダイス部分まで260℃で実施した。
得られたペレットの一部は、80〜90℃で6時間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片(UL94、ISO179、ISO75−1及びISO75−2準拠)を成形した。
表1〜表3中記号表記の各成分は下記の通りである。
(A成分)
PC−1::芳香族ポリカーボネート樹脂[ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量22,500のポリカーボネート樹脂粉末、帝人化成(株)製 パンライトL−1225WP]
PC−2:芳香族ポリカーボネート樹脂[ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量19,700のポリカーボネート樹脂粉末、帝人化成(株)製 パンライトL−1225WX]
(B成分)
ABS−1:ABS樹脂[日本A&L(株)製 クララスチックSXH−330(商品名)、ブタジエンゴム成分約17.5重量%、重量平均ゴム粒子径が0.40μm、乳化重合にて製造]
ABS−2:ABS樹脂[日本A&L(株)製 UT−61(商品名)、ブタジエンゴム成分約14重量%、重量平均ゴム粒子径が0.56μm、塊状重合にて製造]
ABS−5:乳化重合法により製造されたABS樹脂(CHEIL INDUSTRY INC.製:CHT(商品名);ポリブタジエンからなるゴム成分量が約58重量%、重量平均ゴム粒子径が0.31μm)
(C成分)
MBS−1:コア−シェル型グラフト共重合体[乳化重合にて製造されるコアがブタジエンゴム成分70重量%でシェルがスチレンおよびメチルメタクリレート30重量%であるグラフト共重合体、ゴム成分の重量平均粒子径量が0.32μm]
MBS−2:コア−シェル型グラフト共重合体[乳化重合にて製造されるコアがブタジエンゴム成分70重量%でシェルがスチレンおよびメチルメタクリレート30重量%であるグラフト共重合体、ゴム成分の重量平均粒子径量が0.41μm]
MBS−3:コア−シェル型グラフト共重合体[ロームアンドハース(株)製:パラロイド EXL−2678(商品名);コアがポリブタジエン60重量%、シェルがスチレンおよびメチルメタクリレート40重量%であるグラフト共重合体、重量平均粒子径が0.35μm、乳化重合にて製造]
(D成分)
WSN:ワラストナイト(清水工業(株)製;H−1250F(商品名))
タルク:タルク(林化成(株)製;HST0.8(商品名))
マイカ:マスコバイト((株)山口雲母工業所製;A−41(商品名))
(E成分)
FR−1:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル(大八化学工業(株)製:CR−741(商品名))
FR−2:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ化学工業(株)製 メガファックF−114P(商品名))
FR−3:Si−H基とメチル基およびフェニル基を含有する有機シロキサン系難燃剤(信越化学工業(株)製 X−40−2600J(商品名))
(F成分)
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製 ポリフロンMP FA500C(商品名))
(その他の成分)
ABS−3:乳化重合法により製造されたABS樹脂(ポリブタジエンからなるゴム成分量が約15重量%、重量平均ゴム粒子径が0.18μm)
ABS−4:乳化重合法により製造されたABS樹脂(ポリブタジエンからなるゴム成分量が約21重量%、重量平均ゴム粒子径が2.2μm)
MBS−4:コア−シェルグラフト共重合体(三菱レイヨン(株)製:メタブレンC−223A(商品名);コアがポリブタジエン70重量%、シェルがスチレンおよびメチルメタクリレートであるグラフト共重合体、重量平均粒子径が0.23μm)
MBS−5:コア−シェル型グラフト共重合体[乳化重合にて製造されるコアがブタジエンゴム成分70重量%でシェルがスチレンおよびメチルメタクリレート30重量%であるグラフト共重合体、ゴム成分の重量平均粒子径量が0.55μm]
DC30M:α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス(三菱化学(株)製;ダイヤカルナ30M(商品名))
SL900:脂肪酸エステル系離型剤(理研ビタミン(株)製;リケマールSL900(商品名))
IRGX:フェノール系熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals K.K.製;IRGANOX1076(商品名))
TMP:ホスフェート系熱安定剤(大八化学工業(株)製;TMP(商品名))
Figure 2009203270
Figure 2009203270
Figure 2009203270
上記表から本発明の特定の重量平均粒子径のジエン系ゴムを使用することで、ウエルド部や偏肉部分で発生するフローラインの無い優れた外観と、優れた衝撃特性および成形性を併せ持つポリカーボネート樹脂組成物を得られることがわかる。
実施例において使用したノートパソコンのハウジングを模した成形品の表側斜視概要図である(縦178mm×横245mm×縁の高さ10mm、厚み2.0mm)。該成形品のゲートはサイドゲート2個所(長さ5mm×幅8mm、厚み1.5mm)となっている。 実施例において使用した成形品の表面側正面概要図であり、ゲート位置、フローライン発生場所、予想ウエルド位置を示す。 実施例において使用した成形品の裏面側正面概要図であり、リブ付ボスがある様子を示す。(ボスの形状:外径が6.5mm、内径が2.5mm、高さ10mm)
符号の説明
1 ノートパソコンのハウジングを模した成形品本体
2 鏡面部
3 艶消し表面部
4 ゲート(サイドゲート2個所、長さ5mm×幅8mm、厚み1.5mm)
5 ウエルド予想位置
6 フローラインA(ウエルドと思われる部分を起点に発生する線状の色ムラ)
7 フローラインB(ボスを起点に樹脂の流れ方向に発生する線状の色ムラ)
8 リブ付ボス (外径が6.5mm、内径が2.5mm、高さ10mm)

Claims (8)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)99〜1重量%、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.20〜2.0μmであるゴム質重合体、シアン化ビニル単量体及び芳香族ビニル単量体を含むグラフト共重合体(B成分)1〜99重量%の合計100重量部に対して、重量平均粒子径が0.30〜0.50μmであるジエン系ゴム成分の存在下でアルキル(メタ)アクリレート単量体またはアルキル(メタ)アクリレート単量体とそれと共重合可能な単量体との混合物を乳化重合法により共重合して得られるコアシェル型グラフト共重合体(C成分)を0.1〜10重量部含有するポリカーボネート樹脂組成物。
  2. グラフト共重合体(B成分)が乳化重合で得られ、かつゴム質重合体としてジエン系ゴムを1〜40重量%含有するグラフト共重合体である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. コアシェル型グラフト共重合体(C成分)がジエン系ゴム成分を40〜90重量%含有するコアシェル型グラフト共重合体である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. A成分とB成分の合計100重量部に対し、無機充填材(D成分)を0.1〜50重量部含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 無機充填材(D成分)がタルク、マイカ、およびワラストナイトからなる群より選ばれた1種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. A成分とB成分の合計100重量部に対し、リン酸エステル、スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、およびシリコーン系化合物からなる群より選ばれた1種以上の難燃剤(E成分)0.001〜25重量部、並びに含フッ素滴下防止剤(F成分)0.05〜2重量部を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 難燃剤(E成分)が下記式(I)で表されるリン酸エステルである請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2009203270
    (式中のXは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンおよびビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドからなる群より選ばれるジヒドロキシ化合物より誘導される二価フェノール残基であり、nは0〜5の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合はそれらの平均値であり、R、R、R、およびRはそれぞれ独立したフェノール、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノールおよびp−クミルフェノールからなる群より選ばれるアリール基より誘導される一価フェノール残基である。)
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物で成形された成形体。
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