JP2018075897A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】シール性能を低下せずに、生物の付着を低減した空気入りの提供。【解決手段】この空気入りタイヤは、インナーライナーの半径方向内側に位置するシーラント層を備えている。このシーラント層の半径方向内側表面は、タイヤ内腔に露出している。このシーラント層は、忌避剤を含んでいる。好ましくは、忌避剤は、動物忌避性成分、虫忌避性成分又はその混合物である。好ましくは、忌避剤は、少なくとも1種の動物忌避性成分と、少なくとも1種の虫忌避性成分との混合物である。好ましくは、シーラント層の材料は、100質量部の基材ゴムと、2質量部以上30質量部以下の忌避剤とを含むシーラント材である。好ましくは、シーラント層の半径方向内側表面の少なくとも一の領域に機能性部材が接着されており、機能性部材が接着されていない他の領域はタイヤ内腔に露出している。【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。詳細には、本発明は、シーラント層を備えた空気入りタイヤに関する。
走行中のタイヤが釘等を踏むことにより、トレッドに貫通孔が形成される場合がある。この貫通孔を塞ぐために、その内面にゴム組成物からなるシーラント層を備えたタイヤが存在する。このタイヤは、シーラントタイヤと称される。シーラントタイヤは、パンクシール性能を有している。シーラントタイヤでは、シーラント層をなすゴム組成物が貫通孔に流入して、この貫通孔の開口部及び内部に粘着することにより、タイヤの気密性が保持される。シーラント層をなすゴム組成物の流動性及び粘着性が、パンクシール性能に寄与する。
シーラント層をなすゴム組成物の粘着性に起因して、タイヤの保管及び輸送中に、シーラント層の表面に、虫、小動物等の異物が付着する場合がある。タイヤの外観上、虫、小動物等の付着は、消費者に好ましくない印象を与える。シーラント層への異物の付着がないタイヤが求められている。
例えば、特表2012−533669号公報には、シーラント層の表面に可塑性フィルムを付着したタイヤが開示されている。特表2013−513524号公報には、シーラント層の表面に粘着防止溶液が塗布されたタイヤ及びシーラント層の表面に粉末等を含む粘着防止層が形成されたタイヤが開示されている。
特表2012−533669号公報 特表2013−513524号公報
特表2012−533669号公報に開示されたタイヤでは、シーラント層の表面がフィルムで被覆されている。特表2013−513524号公報に開示されたタイヤでは、シーラント層の表面が、粘着防止溶液又は粘着防止層で被覆されている。これらのタイヤでは、シーラント層への虫、動物等の付着は回避されうる。しかし、特表2013−513524号公報に開示されたタイヤでは、粘着防止溶液又は粘着防止層の一部が、シーラント層をなすゴム組成物とともに貫通孔に流入して、ゴム組成物の粘着性を減少させることにより、パンクシール性能が低下する場合がある。また、シーラント層の表面にフィルムを付着させたタイヤでは、このフィルムの一部が貫通孔に入り込むことでゴム組成物の流入が妨げられ、パンクシール性能が低下する可能性がある。パンクシール性能を低下することなく、虫、動物等の付着を回避したシーラントタイヤは未だ提案されていない。
また、特表2012−533669号公報に開示されたタイヤを製造する場合、通常のシーラントタイヤの製造工程に加えて、シーラント層の表面に、所定の大きさに切断したフィルムを付着させる工程が必要となる。特表2013−513524号公報に開示されたタイヤを製造する場合、通常のシーラントタイヤの製造工程に加えて、シーラント層の表面に粘着防止溶液を塗布する工程又は粘着防止層を形成する工程が必要となる。タイヤ製造における新たな工程の追加はコスト増大の原因となり、好ましくない。
本発明の目的は、パンクシール性能を低下することなく、シーラント層への虫、動物等の付着を低減した空気入りタイヤの提供である。
本発明に係る空気入りタイヤは、インナーライナーと、このインナーライナーの半径方向内側に位置するシーラント層とを備えている。このシーラント層の半径方向内側表面は、タイヤ内腔に露出している。このシーラント層は、忌避剤を含んでいる。
好ましくは、この忌避剤は、動物忌避性成分、虫忌避性成分又はその混合物である。好ましくは、この忌避剤は、少なくとも1種の動物忌避性成分と、少なくとも1種の虫忌避性成分との混合物である。
好ましくは、このシーラント層はシーラント材を材料として形成されている。このシーラント材は、100質量部の基材ゴムと、2質量部以上30質量部以下の忌避剤とを含んでいる。
好ましくは、このタイヤでは、シーラント層の半径方向内側表面の少なくとも一の領域に機能性部材が接着されており、この機能性部材が接着されていない他の領域はタイヤ内腔に露出している。
本発明に係る空気入りタイヤは、忌避剤を含むシーラント層を備えている。このシーラント層の表面には、パンクシール性能低下の原因となるフィルムや粘着防止層等が存在しない。このタイヤでは、パンクシール性能を低下することなく、シーラント層への虫、動物等の付着が効果的に低減される。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2の(2a)は、本発明の他の実施形態に係るタイヤの内面を説明する展開図であり、(2b)は、(2a)のIIb−IIb線に沿った部分断面図である。 図3の(3a)は、本発明のさらに他の実施形態に係るタイヤの内面を説明する展開図であり、(3b)は、(3a)のIIIb−IIIb線に沿った部分断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明されるが、本発明に係るタイヤは、この実施形態の説明に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更されうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ2が示された断面図である。この図において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のビード8、カーカス10、ベルト12、バンド14、インナーライナー16及びシーラント層18を備えている。それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。それぞれのビード8は、サイドウォール6の半径方向内側に位置している。カーカス10は、両ビード8の間に架け渡されている。ベルト12は、トレッド4の半径方向内側に位置しカーカス10と積層されている。バンド14は、ベルト12の半径方向外側に積層されている。インナーライナー16は、カーカス10の半径方向内側に位置してカーカス10の内面に接合されている。シーラント層18は、インナーライナー16の半径方向内側に位置してインナーライナー16の内面に接合されている。図示されないが、シーラント層18は、タイヤ周方向に延在している。インナーライナー16の内面全体に、シランと層18が形成されてもよい。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。なお、図1では、シーラント層18以外の構成部材は、その断面の輪郭のみが示されている。
図1に示された記号Teは、正規リムに組み込まれ正規内圧に充填されたタイヤに正規荷重を負荷して、キャンバー角0度で平面に接地させたときに得られる接地面の、タイヤ軸方向最も外側に位置する端(接地端)である。このタイヤ2では、インナーライナー16の半径方向内側において、赤道面CLから軸方向外側に向かって、シーラント層18が延びている。このタイヤでは、一方のトレッド端Teの軸方向外側から、他方のトレッド端Teの軸方向外側まで、シーラント層18が延在している。
図示される通り、このタイヤ2では、シーラント層18の半径方向外側の面がインナーライナー16の内面に接合されており、シーラント層18の半径方向内側の面がタイヤ内腔に露出している。本明細書において、シーラント層18の半径方向内側の面を、このシーラント層18の半径方向内側表面又は表面と称する。このタイヤ2では、シーラント層18の半径方向内側表面全体が、タイヤ内腔に露出している。
図1に示された矢印dsは、シーラント層18の厚みである。本発明において、シーラント層18の厚みdsは特に限定されず、タイヤ形状に応じて適宜変更されうる。パンクシール性能の観点から、厚みdsは、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましい。軽量化及び製造容易との観点から、好ましい厚みdsは、10mm以下である。本明細書において、シーラント層18の厚みdsは、図1の断面において測定される。
図1に示された両矢印Wsは、シーラント層18の軸方向幅であり、両矢印Wtは、トレッド4の接地幅である。接地幅Wtとは、一方の接地端Teから他方の接地端Teまでの距離である。本発明において、シーラント層18の幅Wsは特に限定されないが、パンクシール性能の観点から、幅Wsは、トレッド接地幅Wtの90%以上が好ましく、100%以上がより好ましい。軽量化及び製造容易との観点から、幅Wsは、120%以下が好ましく、110%以下がより好ましい。本明細書において、シーラント層18の幅Ws及びトレッド接地幅Wtは、図1の断面において測定される。
本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。本明細書において正規荷重とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最高負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
シーラント層18は忌避剤を含んでいる。本明細書において、忌避剤とは、タイヤ2に接近可能な生物に作用して忌避行動をとらせる効果(忌避効果)を有する成分を意味する。必ずしも、所謂有害生物を対象とする成分に限定されるものではない。
例えば、タイヤ2に接近可能な生物として、ガ、ハエ、ハチ、アリ、ゴキブリ等の昆虫類や、種々のクモ類、ネズミ等の哺乳類及びヤモリ等の爬虫類が挙げられる。本明細書において、主に昆虫類及びクモ類に対して有効な忌避剤を「虫忌避性成分」と称し、主に哺乳類及び爬虫類等に対して有効な忌避剤を「動物忌避性成分」と称する。動物忌避性成分、虫忌避性成分又はその混合物を含むシーラント層18が好ましい。複数生物に対する忌避効果が得られるとの観点から、少なくとも1種の動物忌避性成分と、少なくとも1種の虫忌避性成分とを含むシーラント層18がより好ましい。
虫忌避性成分の例として、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、p−ジクロロベンゼン、ジ−n−ブチルサクシネート、カラン−3,4−ジオール、1−メチルプロピル2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシラート、p−メンタン−3,8−ジオール、n−ヘキシルトリエチレングリコールモノエーテル、クレゾール、o−フェニルフェノール、イミダゾール、テトラヒドロチオフェン等が挙げられる。虫忌避性成分の他の例として、リモネン、ゲラニオール、ヒバオイル、シトロネラール、シトロネロール、シトラール、リナロール、メントール、テルピネオール等が挙げられる。忌避効果の観点から、N,N−ジエチル−m−トルアミドが好ましい。1又は2以上の虫忌避性成分が適宜選択して用いられうる。
動物忌避性成分の例として、ピロール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピペラジン、ピロリジン、ヘキサヒドロピリダジン、イミダゾリジン、ピペリジン、エチレンスルフィド、トリメチレンスルフィド、チオフェン、チオラン、テトラヒドロ−2H−チオピラン、チアゾリン、チアゾール、チアゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チオモルホリン、チアジアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリジン、1,3−チアザン、5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン、フラン、2H−ピラン、4H−ピラン、オキサゾール、イソオキサゾール、モルホリン及びオキサゾリン並びにそれらの誘導体が挙げられる。動物忌避性成分の他の例として、カプサイシン(8−メチル−N−バニリル−trans−6−ノネンアミド)、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、メンソール、リモネン、クレオソート、クジン、木酢液、辛子等が挙げられる。忌避効果の観点から、カプサイシンが好ましい。1又は2以上の動物忌避性成分が適否選択して用いられうる。
また、本発明の目的が達成される限り、ピレスロイド系化合物、カルバメート系化合物及び有機リン系化合物並びにこれらの誘導体から選択される殺虫剤成分を忌避剤として配合してもよい。ピレスロイド系化合物の例として、テトラメトリン、トラロメトリン、シクロプロトリン、ペルメトリン、フェノトリン、レスメトリン、サイフルトリン、シフェノトリン、シフェノトリン、フェノトリン、アレスリン、ピレトリン、サイフェノトリン等が挙げられる。カルバメート系化合物の例として、1−ナフチル−N−メチルカルバメート、2−sec−ブチルフェニル−N−メチルカルバメート、2−イソプロポキシフェニル−N−メチルカルバメート、m−トリル−N−メチルカルバメート等が挙げられる。有機リン系化合物の例として、フェニトロチオン、ジクロルボス、シアノホス、ダイアジノン、フェンチオン、クロルピリホス等が挙げられる。
本発明に係るタイヤでは、シーラント層18が含む忌避剤によって、前述した虫、動物等をシーラント層18から遠ざける忌避効果が発揮される。このタイヤ2では、シーラント層18の表面が露出しているにも係わらず、タイヤ2の保管及び輸送中に、シーラント層18への生物の付着が低減される。このタイヤ2では、生物の付着に起因する外観の低下が生じない。
忌避剤を含むシーラント層18は、シーラント用ゴム組成物に忌避剤を配合してなるシーラント材を、インナーライナー16の内面に塗布することにより形成される。この忌避剤を含むシーラント材の流動性及び粘着性は適正である。この忌避剤を含むシーラント材は、インナーライナー16の内面に好適に粘着して、略均一な厚みのシーラント層18を形成しうる。このシーラント層18は、このタイヤ2の走行中も、インナーライナー16の内面において、略均一な厚みを保持しうる。このタイヤ2が釘等を踏むことにより、トレッド面20からインナーライナー16の内面まで貫通する孔が開いた場合、この忌避剤を含むシーラント材が、タイヤ2の内側からこの貫通孔に流入して、この貫通孔の開口部及び内部に粘着する。さらに、このタイヤ2では、虫、動物等の付着を回避するために、シーラント層18の表面を被覆する必要がない。このタイヤ2では、シーラント材の貫通孔への流入及び粘着が妨げられない。このタイヤ2では、走行中に形成された貫通孔が速やかに塞がれ、タイヤ2の気密性が保持される。このタイヤ2では、シーラント層18によるパンクシール性能が充分に発揮されうる。
このタイヤ2は、従来あるシーラントタイヤの製造方法を利用して、製造されうる。通常、シーラントタイヤの製造方法は、基材ゴム、液状ポリマー、可塑剤等を配合してシーラント用ゴム組成物を調製する工程と、このシーラント用ゴム組成物をタイヤ内面に塗布してシーラント層を形成する工程とを含んでいる。この調製工程において、シーラント用ゴム組成物に忌避剤を配合することにより、忌避剤を含むシーラント材を得ることができる。塗布工程において、忌避剤を含むシーラント材をタイヤ内面に塗布することにより、タイヤ2が製造される。このタイヤ2の製造には、特殊な設備及び新たな工程の追加を要しない。なお、本明細書において、忌避剤を配合する前の組成物を「シーラント用ゴム組成物」と称し、このシーラント用ゴム組成物に忌避剤を配合したものを「シーラント材」と称する。
本発明の目的が達成される限り、シーラント用ゴム組成物に配合する忌避剤の量は特に限定されず、選択された忌避剤の種類に応じて適宜変更されうる。忌避効果の持続性の観点から、忌避剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、5質量部以上が好ましく、10質量部以上が特に好ましい。費用効果の観点から、好ましい配合量は、30質量部以下である。2種以上の忌避剤を配合する場合、その合計量が前述した配合量となるように設定される。
本発明において、シーラント材の粘度は特に限定されないが、シーラント層18の形状維持及びパンクシール性能の観点から、シーラント材の40℃における粘度は、3000Pa・s以上が好ましく、5000Pa・s以上がより好ましい。貫通孔への流入容易及び製造容易の観点から、シーラント材の40℃における粘度は、70000Pa・s以下が好ましく、50000Pa・s以下がより好ましい。本明細書において、シーラント材の粘度はJIS K6833に準拠して、回転式粘度計により40℃の条件下で測定される。
本発明において、シーラント用ゴム組成物は特に限定されず、従来シーラントタイヤの製造に用いられるゴム組成物が用いられうる。このシーラント用ゴム組成物の基材ゴムとして、ブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(X−IIR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(NBR)等が例示される。1又は2種以上の基材ゴムが適宜選択されて用いられる。
耐空気透過性の観点から、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム等のブチル系ゴムが好ましい。2種以上の基材ゴムを混合して用いる場合、全基材ゴム中のブチル系ゴムの割合として、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
タイヤ2の気密性の観点から、ブチル系ゴムのムーニー粘度(ML1+8(125℃))は、20以上が好ましく、30以上がより好ましい。シーラント材の流動性の観点から、好ましいムーニー粘度(ML1+8(125℃))は、60以下である。ブチル系ゴムのムーニー粘度(ML1+8(125℃))は、JIS K6300−1の規定に準拠して測定される。測定条件は、以下の通りである。
ローター:Lローター
予備加熱時間:1分間
ローターの回転時間:8分間
温度125℃
ブチル系ゴムとして、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム等のハロゲン化ブチルゴムを用いる場合、ハロゲン含有率が後述する架橋反応に寄与する。好ましいハロゲン含有率は、0.1質量%以上5.0質量%以下である。ハロゲン含有率は、溶液NMR法により測定される。
液状ポリマーとして、液状ポリブテン、液状ポリイソブテン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状ポリα−オレフィン、液状イソブチレン、液状エチレンα−オレフィン共重合体、液状エチレンプロピレン共重合体及び液状エチレンブチレン共重合体並びにこれらの水素添加物が例示される。1又は2以上の液状ポリマーが適宜選択されて用いられうる。シーラント材に適度な粘着性が付与されるとの観点から好ましい液状ポリマーは、液状ポリブテンである。
液状ポリブテンは、イソブテンを主体として、一部にn−ブテンが反応してなる共重合体である。粘着性付与の観点から、液状ポリブテンの数平均分子量は、200以上が好ましく、300以上がより好ましい。作業性の観点から、好ましい数平均分子量は、2000以下である。本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、HLC−8120GPC)によって測定される。測定条件は、以下の通りである。なお、数平均分子量は、標準ポリスチレン換算値として算出される。
検知器:示差屈折計
カラム:GMHHXL(東ソー社製)
カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
シーラント層の形状維持及びパンクシール性能の観点から、液状ポリブテンの40℃における動粘度は、20000mm/s以上が好ましく、23000mm/s以上がより好ましい。流動性及び作業性の観点から、40℃における動粘度は、30000mm/s以下が好ましく、28000mm/s以下がより好ましい。本明細書において、40℃における動粘度は、JIS K2283に準拠して測定される。
シーラント層の形状維持及びパンクシール性能の観点から、液状ポリブテンの100℃における動粘度は、550mm/s以上が好ましく、570mm/s以上がより好ましい。流動性及び作業性の観点から、100℃における動粘度は、625mm/s以下が好ましく、610mm/s以下がより好ましい。本明細書において、100℃における動粘度は、JIS K2283に準拠して測定される。
粘着性の観点から、液状ポリマーの量は、基材ゴム100質量部に対して、50質量部以上が好ましく、100質量部以上がより好ましく、150質量部以上が特に好ましい。流動性の観点から、液状ポリマーの量は、400質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましい。
シーラント用ゴム組成物に含まれる可塑剤の種類は、特に限定されず、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジイソノニルフタレート(DINP)等のフタル酸エステル系可塑剤;ジオクチルアジペート(DOA)、ジデシルアジペート(DDA)等のアジピン酸エステル系可塑剤;ジ(2−エチルヘキシル)セバケート(DOS)等のセバシン酸エステル系可塑剤;トリクレジルフォスフェート(TCP)、トリ−β−クロロエチルホスフェート(TCEP)等のリン酸エステル系可塑剤;トリエチルシトレート(TEC)等のクエン酸エステル系可塑剤;トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート(TOTM)等のトリメリット酸エステル系可塑剤等が適宜選択されて用いられうる。1又は2以上の可塑剤が用いられてもよい。流動性及びパンクシール性能の観点から、セバシン酸エステル系可塑剤が好ましく、セバシン酸ジエチルヘキシル(DOS)がより好ましい。
シーラント用ゴム組成物が、前述の可塑剤と共に、又は可塑剤に代えて、軟化剤を含んでもよい。軟化剤の種類は特に制限されないが、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル等の鉱物油;パーム油、ヒマシ油、綿実油、亜麻仁油、菜種油、大豆油、コーン油等の植物油;及び流動パラフィン等の合成油が適宜選択されて用いられうる。
可塑剤の量は、選択される可塑剤の種類に応じて適宜調整される。粘着性及び流動性を適正化するとの観点から、可塑剤の量は、基材ゴム100質量部に対して、1.0質量部以上が好ましく、2.0質量部以上がより好ましい。パンクシール性能及び加工性の観点から、可塑剤の量は、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。可塑剤と軟化剤とが併用される場合、両者の合計量が前述した配合量となるように調製される。
シーラント用ゴム組成物に含まれる他の成分として、架橋剤、架橋助剤及び無機充填剤が挙げられる。
シーラント用ゴム組成物に含まれる架橋剤の種類は、特に限定されない。反応性の観点から、有機過酸化物が好適に用いられる。有機過酸化物の例として、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ジベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド等のアシルパーオキサイド類、1−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシフタレートなどのパーオキシエステル類、メチルエチルケトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,3−ビス(1−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどのアルキルパーオキサイド類、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。1又は2以上の架橋剤が適宜選択されて用いられうる。アシルパーオキサイド類が好ましく、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)がより好ましい。
架橋剤の量は、選択される架橋剤の種類に応じて適宜調整される。流動性を適正化するとの観点から、架橋剤の量は、基材ゴム100質量部に対して、1.0質量部以上20質量部以下が好ましい。より好ましい架橋剤の量は、5.0質量部以上である。
シーラント用ゴム組成物に含まれる架橋助剤の種類は、特に限定されず、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオ尿素系、グアニジン系、ジチオカルバミン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサントゲン酸系、及びキノンジオキシム化合物等が適宜選択されて用いられうる。1又は2以上の架橋助剤が用いられてもよい。
反応性の観点から好ましい架橋助剤は、キノンオキシム化合物である。キノンオキシム化合物の具体例として、p−ベンゾキノンジオキシム、p−キノンジオキシム、p−キノンジオキシムジアセテート、p−キノンジオキシムジカプロエート、p−キノンジオキシムジラウレート、p−キノンジオキシムジステアレート、p−キノンジオキシムジクロトネート、p−キノンジオキシムジナフテネート、p−キノンジオキシムスクシネート、p−キノンジオキシムアジペート、p−キノンジオキシムジフロエート(difuroate)、p−キノンジオキシムジベンゾエート、p−キノンジオキシムジ(o−クロロベンゾエート)、p−キノンジオキシムジ(p−クロロベンゾエート)、p−キノンジオキシムジ(p−ビトロベンゾエート)、p−キノンジオキシムジ(m−ビトロベンゾエート)、p−キノンジオキシムジ(3,5−ジニトロベンゾエート)、p−キノンジオキシムジ(p−メトキシベンゾエート)、p−キノンジオキシムジ(n−アミルオキシベンゾエート)、p−キノンジオキシムジ(m−ブロモベンゾエート等が挙げられる。p−ベンゾキノンジオキシムがより好ましい。
架橋助剤の量は、選択される架橋助剤の種類に応じて適宜調整される。流動性を適正化するとの観点から、架橋助剤の量は、基材ゴム100質量部に対して、1.0質量部以上20質量部以下である。より好ましい架橋助剤の量は、3.0質量部以上である。
シーラント用ゴム組成物に含まれる無機充填剤の種類は、特に限定されず、カーボンブラック、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ等が適宜選択されて用いられうる。1又は2以上の無機充填剤が用いられてもよい。紫外線による劣化を防止する観点から、好ましい無機充填剤は、カーボンブラックである。
無機充填剤の量は、選択される無機充填剤の種類に応じて適宜調整される。紫外線劣化を抑制してパンクシール性能を維持する観点から、無機充填剤の量は、基材ゴム100質量部に対して、1.0質量部以上が好ましく、5.0質量部以上がより好ましい。流動性及び加工性の観点から、好ましい無機充填剤の量は、50質量部以下である。
本発明の目的が達成される限り、シーラント用ゴム組成物は、加硫剤、加硫促進剤及び加硫助剤を含みうる。加硫剤として、例えば、粉末硫黄、不溶性硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄等の硫黄;モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド等の硫黄化合物が挙げられる。加硫促進剤として、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド−アミン系化合物、アルデヒド−アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、キサンテート系化合物等が挙げられる。加硫助剤として、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。
本発明の効果を阻害しない範囲で、シーラント用ゴム組成物が、さらに老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、スコーチ防止剤、官能基含有化合物、ワックス、滑剤、加工助剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、香料、分散剤、溶剤等の添加剤を含んでもよい。
以上述べたシーラント用ゴム組成物に、忌避剤を配合することにより、シーラント材が得られる。本発明において、シーラント材を調製する方法は特に限定されない。例えば、従来のタイヤ製造工程において用いられる二軸混練押出機等の連続混練機の供給口に、シーラント用ゴム組成物について前述した各成分と、忌避剤とを順次供給することにより、忌避剤を含むシーラント材が調製されてもよい。
シーラント材の調製に連続混練機を使用する場合、各成分の混合容易性及び熱劣化防止の観点から、好ましい混合温度は、50℃以上150℃以下であり、好ましい混合時間は、0.5分以上3.0分以下である。連続混練機に投入された各成分は、スクリューの回転によって、混合される。スクリューの回転速度は、架橋剤等各成分の反応速度にも影響する。混合容易性及び反応速度制御の観点から、スクリューの回転速度は、50rpm以上550rpm以下が好ましい。
本発明において、調製されたシーラント材をインナーライナー16の表面に塗布する方法も、特に限定されず、従来のシーラントタイヤ製造工程において使用されるノズル等が用いられうる。また、シーラント材の調製に連続混練機を使用する場合には、この連続混練機の排出口に接続したノズルから、調製されたシーラント材を吐出して、直接インナーライナー16の表面に塗布してもよい。
厚みが均一なシーラント層18を形成するとの観点から、例えば、既知の回転駆動装置等を用いて、シーラント層18形成前のタイヤ本体を回転させながら、シーラント材を塗布する方法が好ましい。この場合、回転速度は、塗布するシーラント材の粘度等に応じて適宜調整される。塗布の均一性及び作業性の観点から、好ましい回転速度は、5m/min以上30m/min以下である。
架橋反応促進の観点から、予め加熱されたインナーライナー16の表面に、シーラント材を塗布する方法が好ましい。予熱されたインナーライナー16の表面に塗布されることにより、塗布直後からシーラント材の架橋反応が進行する。これにより、塗布されたシーラント材の粘度が増加して、インナーライナー16への粘着性が向上する。この観点から、予熱温度は、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。塗布の均一性の観点から、好ましい予熱温度は、100℃以下である。
必要に応じて、インナーライナー16の表面にシーラント材を塗布した後、このタイヤ2を加熱することにより、シーラント材の架橋反応を進行させてもよい。均一な厚みのシーラント層18を形成するとの観点から、タイヤ2を回転させながら加熱する方法が好ましい。反応速度制御及び熱劣化防止の観点から、好ましい架橋温度は、70℃以上190℃以下であり、好ましい架橋時間は、2分以上15分以下である。
このように、このタイヤ2では、インナーライナー16の半径方向内側には、シーラント層18が形成される。前述した通り、このシーラント層18の半径方向内側表面は、タイヤ内腔に露出している。粘着性のシーラント材から形成されたシーラント層18は、粘着性である。このシーラント層18は、その表面に、種々の機能性部材を接着して固定する機能を有している。機能性部材の種類及び数は、特に限定されず、市場の要望等に応じて適宜選択されうる。
機能性部材の具体例として、スポンジ吸音材、ヘルムホルツ吸音器のようなロードノイズ低減装置や、圧力、温度、加速度等を検出する各種センサー類、ICチップ等が挙げられる。これらの機能性部材は、シーラント層18の表面に押し付けられることにより、容易にその表面に固定される。さらに、シーラント層18の表面に固定された機能性部材は、タイヤ2の走行によっても脱落しない。
以下、図1に示された基本構成において、さらに機能性部材を備えた実施態様を、具体的に説明するが、本発明の内容がこの実施態様に限定して解釈されるものではない。
図2の(2a)及び(2b)は、機能性部材としてスポンジ吸音材30を備えたタイヤ22を説明するための概略図である。図2の(2a)は、タイヤ22の内面の一部が示された展開図である。(2a)において、上下方向がタイヤ22の周方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が半径方向である。(2a)に示された一点鎖線CLは、タイヤ赤道面である。図2の(2b)は、(2a)のIIb−IIb線に沿った一部断面図である。(2b)において、上下方向がタイヤ22の半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。
(2a)及び(2b)に示される通り、このタイヤ22は、インナーライナー26と、シーラント層28と、スポンジ吸音材30とを備えている。スポンジ吸音材30は帯状であって、タイヤ赤道面CLに沿って周方向に延在している。(2a)に示されている両矢印W1は、スポンジ吸音材30の幅である。(2b)に示されている両矢印d1は、スポンジ吸音材30の厚みである。
シーラント層28の半径方向内側表面は、粘着性を有している。スポンジ吸音材30は、シーラント層28の粘着性によって、その半径方向内側表面の一部の領域に接着されている。シーラント層28の表面に固定されたスポンジ吸音材30は、このタイヤ22の走行によって、シーラント層28の表面から脱落することはない。このタイヤ22を装着した車両では、走行中、スポンジ吸音材30によってロードノイズが有意に低減される。このタイヤ22は、機能性に優れている。
シーラント層28の半径方向内側表面のうち、スポンジ吸音材30が接着されていない領域は、タイヤ内腔に露出している。シーラント層28は、忌避剤を含んでいる。このタイヤ22では、シーラント層28への虫、動物等の付着が低減される。このタイヤ22では、虫、動物等の付着を回避するために、シーラント層28の表面を被覆する必要がない。このタイヤ22では、シーラント材の貫通孔への流入及び粘着が妨げられない。このタイヤ22では、シーラント層28によるパンクシール性能が充分に発揮されうる。
図3の(3a)及び(3b)は、機能性部材としてヘルムホルツ吸音器40を備えたタイヤ32を説明するための概略図である。図3の(3a)は、タイヤ32の内面の一部が示された展開図である。(3a)において、上下方向がタイヤ32の周方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が半径方向である。(3a)に示された一点鎖線CLは、タイヤ赤道面である。図3の(3b)は、(3a)のIIIb-IIIb線に沿った一部断面図である。(3b)において、上下方向がタイヤ32の半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。
(3a)及び(3b)に示される通り、このタイヤ32は、インナーライナー36と、シーラント層38と、ヘルムホルツ吸音器40とを備えている。ヘルムホルツ吸音器は、略円筒状のダクト41と気密室42とから構成されている。(3a)に示された両矢印d2及びd3は、気密室42の幅及び長さである。(3b)に示された両矢印h1は気密室42の高さであり、両矢印h2はダクト41の高さであり、両矢印d4はダクト41の直径である。
シーラント層38の半径方向内側表面は、粘着性を有している。ヘルムホルツ吸音器40は、シーラント層38の粘着性によって、その半径方向内側表面の一部の領域に接着されている。シーラント層38の表面に固定されたヘルムホルツ吸音器40は、このタイヤ32の走行によって、シーラント層38の表面から脱落することはない。このタイヤ32を装着した車両では、走行中、ヘルムホルツ吸音器40によってロードノイズが有意に低減される。このタイヤ32は、機能性に優れている。
シーラント層38の半径方向内側表面のうち、ヘルムホルツ吸音器40が接着されていない領域は、タイヤ内腔に露出している。シーラント層38は、忌避剤を含んでいる。このタイヤ32では、シーラント層38への虫、動物等の付着が低減される。このタイヤ32では、虫、動物等の付着を回避するために、シーラント層38の表面を被覆する必要がない。このタイヤ32では、シーラント材の貫通孔への流入及び粘着が妨げられない。このタイヤ32では、シーラント層28によるパンクシール性能が充分に発揮されうる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実験1]
[実施例1]
表1にbとして示された配合に従って、二軸混練押出機に各成分を順次投入し、100℃、200rpmの条件で2分間混練することにより、シーラント材bを調製した。シーラント材bには、忌避剤Aとして、N,N−ジエチル−m−トルアミド(和光純薬社製)を配合した。シーラント材bの40℃における粘度は、20000Pa・sであった。
次に、加硫成形済みのタイヤ本体(215/55R17、94W)を、回転駆動装置に取り付け、80℃に余熱した。続いて、回転駆動装置の運転を開始して、取り付けたタイヤ本体を12m/minで回転させながら、このタイヤ本体の内面にシーラント材bを塗布した後、回転を続けながら、さらに80℃で5分間加熱して、シーラント層を形成させることにより、実施例1の空気入りタイヤを得た。形成されたシーラント層の厚さdsは3mmであり、幅Wsは180mmであった。
[実施例2−9及び比較例1]
シーラント材の配合を表1−2にa及びc−jとして示されるものとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2−9及び比較例1の空気入りタイヤを製造した。
[比較例2]
シーラント材の配合を表1にaとして示されるものとし、シーラント層の表面を、熱可塑性フィルムで被覆した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の空気入りタイヤを製造した。
[付着試験]
実施例1−9及び比較例1のタイヤ各5本を、それぞれ、タイヤラックに縦置きして倉庫内に保管した。1ヶ月後に各タイヤを回収し、シーラント層の表面を目視により観察し、付着物の種類と数を記録した。5本のタイヤの平均値が、付着試験結果として、表1−2に示されている。数値が小さい程、忌避効果に優れている。
[パンクシール性能試験]
実施例1−9及び比較例1のタイヤを、それぞれリム組みして、内圧220kPaに空気を充填した。次いで、各タイヤのトレッドに、径5mm、長さ50mmの釘20本を打ち込んだ。釘を抜いた後、石鹸水を塗布して気泡の有無を目視により観察して、気泡が発生しなかった本数を計数し、打ち込んだ釘の全数に対する割合を算出した。得られた結果が、成功本数及び成功率として、表1−2に示されている。いずれも数値が大きい方が評価が高い。
Figure 2018075897
Figure 2018075897
表1−2に記載された化合物の詳細は、以下の通りである。
ブチルゴム:ブチル268(エクソンモービル社製、ムーニー粘度(ML1+8(125℃))=32)
可塑剤:DOS(田岡化学工業株式会社製のセバシン酸ジエチルヘキシル、比重0.915)
カーボンブラック:N330(キャボットジャパン社製、HAFグレード、DBP吸油量102ml/100g)
架橋剤:BPO(日油社製のジベンゾイルパーオキサイド)
架橋助剤:バルノックGM(大内新興化学社製のp−ベンゾキノンジオキシム)
液状ポリブテン:日石ポリブテンHV300(JX日興日石エネルギー社製、40℃における動粘度26000mm/s、100℃における動粘度590mm/s、数平均分子量1400)
A:N,N−ジエチル−m−トルアミド(和光純薬社製)
B:カプサイシン(和光純薬社製、和光1級)
C:PGガード(フマキラートータルシステム社製、ピレスロイド系化合物含有)
D:クモコロパー(住化コンビロサイエンス社製、ピレスロイド系化合物含有)
[実験2]
[実施例10]
実施例1のタイヤを用いて、図2の(2a)及び(2b)に示された構成を有する実施例10のタイヤを作製した。実施例10のタイヤは、機能性部材として、スポンジ吸音材(密度29kg/m)を備えている。このスポンジ吸音材の幅W1は、100mmであり、厚みd1は20mmである。
[実施例11]
実施例1のタイヤを用いて、図3の(3a)及び(3b)に示された構成を有する実施例11のタイヤを作製した。実施例11のタイヤは、機能性部材として、ヘルムホルツ吸音器を備えている。図示されないが、実施例11のタイヤでは、12個のヘルムホルツ吸音器が、タイヤ赤道面に沿って周方向に間隔をあけて配置される。12個の吸音器は同形であり、各吸音器間の間隔は略同じである。このヘルムホルツ吸音器の気密室の幅d2は3.08cmであり、長さd3は3.08cmである。気密室の高さh1は2.0cmであり、ダクトの高さh2は2.0cmであり、ダクトの直径d4は0.3cmである。
[吸音性試験]
実施例1、10及び11のタイヤをそれぞれリムに組み込み、内圧220kPaとなるように空気を充填した後、排気量2000cmのFF車に装着し、平均速度60km/hで走行させた時の吸音量(230kHz)を、運転席窓側に設置したマイクロフォンで採取して計測した。機能性部材を備えていない実施例1のタイヤの測定値を基準値0とした指数値が、吸音性として表3に示されている。数値が大きい程、吸音効果が高い。
[機能性部材の接着状態]
吸音性試験終了後に、車両から実施例10及び11のタイヤを取り外し、機能性部材の接着状態を目視により観察した。いずれのタイヤについても、機能性部材の剥離は見られず、良好な接着状態であった。
Figure 2018075897
表1−2に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて、虫、動物等の付着が低減された。さらに実施例のタイヤでは、パンクシール性能の低下が生じなかった。さらに、表3に示されるように、実施例のタイヤには吸音性能という有用な機能が付与された。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、その内面に種々の機能性部材を備えうる。これらのタイヤは、種々の車両に装着されうる。
2、22、32・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
14・・・バンド
16、26、36・・・インナーライナー
18、28、38・・・シーラント層
20・・・トレッド面
25・・・タイヤ内面
30・・・スポンジ吸音材
40・・・ヘルムホルツ吸音器
41・・・ダクト
42・・・気密室

Claims (5)

  1. インナーライナーと、このインナーライナーの半径方向内側に位置するシーラント層とを備えており、このシーラント層の半径方向内側表面が、タイヤ内腔に露出しており、このシーラント層が忌避剤を含んでいる空気入りタイヤ。
  2. 上記忌避剤が、動物忌避性成分、虫忌避性成分又はその混合物である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記忌避剤が、少なくとも1種の動物忌避性成分と、少なくとも1種の虫忌避性成分との混合物である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記シーラント層がシーラント材を材料として形成されており、このシーラント材が、100質量部の基材ゴムと、2質量部以上30質量部以下の上記忌避剤とを含んでいる請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記シーラント層の半径方向内側表面の少なくとも一の領域に、機能性部材が接着されており、この機能性部材が接着されていない他の領域がタイヤ内腔に露出している請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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