JP2018074952A - 小麦粉含有生地の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱調理時の作業性が良好で、経時的な食感低下や再加熱調理による食感低下が抑制され、良好な食感と風味を有する小麦粉含有食品を手際良く製造し得る、小麦粉含有生地の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の小麦粉含有生地の製造方法は、α化加工物に老化処理を施して、含有されている澱粉を老化させる老化工程と、該老化処理が施されたα化加工物、及び小麦粉を主体とする穀粉類を用いて小麦粉含有生地(ただし、麺類、麺皮類及び春巻皮用の生地を除く)を調製する生地調製工程とを有する。前記老化処理は、前記α化加工物を冷蔵する処理であるか、又は、前記α化加工物を冷凍した後に解凍する処理であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、揚げ物の衣、たこ焼きなどの小麦粉含有食品の製造に用いられる小麦粉含有生地の製造方法に関する。
小麦粉含有生地は、典型的には、穀粉類として小麦粉を主原料として含有する生地であり、パン類、麺類の他に、揚げ物用バッター、たこ焼き用生地、お好み焼き用生地、菓子用生地など、種々の小麦粉含有食品の製造に用いられている。小麦粉含有生地に対する要望事項としては、それを加熱調理して得られた小麦粉含有食品の食感が良好であることに加えて、ハンドリング性についても要望があり、具体的には例えば天ぷら衣、クレープ、お好み焼き、たこ焼き、クッキーなどの製造において、該生地の焼成時にベタつきや脆さがなく作業性に優れることが要望されている。また、小麦粉含有食品の食感についても、製造直後の食感が良好であるだけでは足りず、製造後の経時的な食感低下や電子レンジ等で再加熱した際の食感低下が少ないことも要望されている。
特許文献1には、バッターの粘度安定性が高く作業性に優れ、且つ電子レンジで再加熱しても油ちょう直後と同様のカラッとし食感が得られるフライ食品用衣材として、コーングリッツ及び/又は小麦セモリナと、α化澱粉及び/又はα化穀粉と、小麦粉とを含有する衣材が記載されている。特許文献1記載の衣材において、電子レンジで再加熱した際の食感低下の防止に寄与しているのは担っているのはコーングリッツ、小麦セモリナであり、α化澱粉、α化穀粉は、該衣材に加水して作業性に優れる高粘度のバッターを調製した場合に、コーングリッツ、小麦セモリナが該バッター中で沈殿する不都合が防止するために用いられている。特許文献1には、α化澱粉、α化穀粉として具体的にどのようなものを用いるかについては記載されていない。
また本出願人は、先に、小麦粉含有生地の改良技術として、小麦粉を主体として含有する穀粉原料から得られる生地のpHを2段階で調整する工程を含む、小麦粉含有生地の製造方法を提案した(特許文献2)。特許文献2記載の製造方法によれば、ハンドリング性及び小麦粉含有食品の食感に優れ、揚げ物用バッター、たこ焼き用生地、お好み焼き用生地、スポンジ状菓子用生地又はシュー皮用生地として有用な小麦粉含有生地が得られる。
特開平4−40870号公報 特許第4995851号公報
近年の小麦粉含有食品の多様化などを背景に、小麦粉含有食品の食感に対する要求レベルは近年ますます高まっており、経時的な食感低下や電子レンジなどによる再加熱調理による食感低下の課題に有用な技術が要望されているが、従来技術では、斯かる要望に十分に応えられていないのが実情である。特許文献2記載の製造方法は、その製造結果物たる小麦粉含有生地の品質に関しては問題ないものの、生地のpH調整を2回実施する必要があるため、生産性の向上などの点で改善の余地がある。
本発明の課題は、加熱調理時の作業性が良好で、経時的な食感低下や再加熱調理による食感低下が抑制され、良好な食感と風味を有する小麦粉含有食品を手際良く製造し得る、小麦粉含有生地の製造方法を提供することに関する。
澱粉は周知の通り、非加熱の未α化澱粉の状態においては、アミロースとアミロペクチンとが水素結合によって規則的に集合したミセル構造を有し、高度に結晶化した粒状をなしているが、この粒状の未α化澱粉に水分を加えて加熱すると、その粒は水和して次第に膨潤し、さらに加熱を続けると結晶構造が崩れて糊状に変化する。この現象が糊化(α化)である。また、この水和した糊化澱粉を冷却すると、時間経過に伴い離水して澱粉分子が再び集合して部分的に再結晶化して凝集する。この現象が老化であり、再加熱しても完全にはもとの糊化の状態には戻らない。一般に、澱粉の糊化は、食品用途において消化され易くし、独特の形態やテクスチャーを造り出すために幅広く利用されているのに対し、澱粉の老化は、特に澱粉を含む食品の硬化、保水力の低下、食感の低下等を招くため、澱粉を含む食品にとって好ましくない現象と考えられており、澱粉の老化を防止する技術が種々提案されているのが実情である。
本発明者らは、揚げ物の衣、たこ焼き、焼き菓子などの小麦粉含有食品について、経時的な食感低下や電子レンジなどによる再加熱調理による食感低下の抑制を含めた、食感の改良を図るべく種々検討した結果、従来食品用途では好ましくないとされていた澱粉の老化を積極的に利用することが、斯かる食感の改良に有効であるとの知見を得た。即ち、小麦粉含有食品の中間製造物たる小麦粉含有生地の製造において、α化加工生地を冷蔵又は冷凍してそれに含まれるα化した澱粉を意図的に老化させ、斯かる老化処理された生地を用いることによって、経時的な食感低下や再加熱調理による食感低下が起こり難い小麦粉含有食品の製造が可能で、しかも作業性にも優れる小麦粉含有生地が得られることを知見した。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、α化加工物に老化処理を施して、該α化加工物中の澱粉を老化させる老化工程と、該老化処理されたα化加工物、及び小麦粉を主体とする穀粉類を用いて小麦粉含有生地(ただし、麺類、麺皮類及び春巻皮用の生地を除く)を調製する生地調製工程とを有する、小麦粉含有生地の製造方法である。
本発明の小麦粉含有生地の製造方法によれば、加熱調理時の作業性が良好で、経時的な食感低下や再加熱調理による食感低下が抑制され、良好な食感と風味を有する小麦粉含有食品を手際良く製造することができる。即ち、本発明の小麦粉含有生地の製造方法によれば、加熱調理時にベタつきや脆さがなく作業性が良好な小麦粉含有生地が得られ、且つ、これを用いることにより、加熱調理後の経時的な食感低下や電子レンジ等で再加熱した際の食感低下が抑制され、加熱調理直後と同等の軽く、ヒキがなく歯切れや口溶けのよい良好な食感を保持し、しかも良好な風味を有する小麦粉含有食品が得られる。特に、小麦粉含有食品が揚げ物の場合には、衣の食感が軽くクリスピーであり、たこ焼きの場合には、ヒキが無く且つ生地の脆さやベタつきがなく作業性が良好であり、焼き菓子の場合には、生地の脆さやベタつきがなく作業性が良好である。
本発明の小麦粉含有生地の製造方法においては、α化した澱粉(糊化澱粉)を含むα化加工物を用いる。本発明の主たる特徴の1つは、α化加工物に老化処理を施して、該α化加工物に含まれるα化した澱粉を老化させることにある。α化加工物は、α化した澱粉を含む物であれば良く、その形態は特に限定されず、例えば、生地(ペースト状、バッター状を含む)、麺を例示でできるが、作業性、汎用性等の観点から、α化加工生地であることが好ましい。α化加工生地は、後述する方法によって作製することができ、通常、水分を含むペースト状生地である。α化加工した麺としては、一般的な製麺法で作製した生麺を蒸煮工程によりα化した麺を用いることもできるが、α化加工した麺を用いる大きな利点の1つは、市販のα化処理された麺をそのまま老化処理の対象物として使用できる点にある。
本発明で用いるα化加工生地は、下記1)又は2)の方法によって作製することができる。
1)α化されていない穀粉・澱粉(以下、それぞれを単に「穀粉」、「澱粉」ということがある)を含む生地原料に加水し混合して中間生地を得、該中間生地を加熱する方法。
2)予めα化された穀粉・澱粉を含む生地原料に加水し混合する方法。
前記1)の方法において、「生地原料」としては、通常少なくとも、未α化処理の穀粉が用いられる。前記穀粉は、水分を加えて加熱する等のいわゆるα化処理が施されていない穀粉であり、α化されていない澱粉構造・組成を有する。必要に応じ、穀粉に加えてさらに、未α化処理の澱粉を用いても良い。前記1)の作製方法においては、穀粉や澱粉を含む生地原料から常法に従って、未α化状態の中間生地を作製し、該中間生地を加熱することで、これに含まれる穀粉あるいは澱粉中の澱粉をα化させ、α化加工生地を得る。
前記1)の生地原料(穀粉及び澱粉)としては、それぞれ、小麦粉含有食品の製造に通常用いられるものを特に制限なく用いることができる。
前記1)の生地原料用の穀粉としては、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉、又はこれらの熱処理粉等の小麦粉の他に、小麦粉以外の穀粉としてライ麦粉、コーンフラワー、大麦粉、そば粉、米粉、豆粉、はとむぎ粉、ひえ粉、あわ粉等が挙げられ、該小麦粉のみだけでなく、該小麦粉と小麦粉以外のこれら穀粉の1種以上を組み合わせて用いることができる。前記1)の生地原料用の小麦粉としては、中力粉及び薄力粉が好ましい。また、当該中力粉及び薄力粉としては、アミロース含量が30質量%未満、例えば27質量%程度とやや少ない、低アミロース小麦を原料とする小麦粉が好ましい。そのような、低アミロース小麦としては、「チクゴイズミ」(アミロース含量:約27%)があり、これを原料とする小麦粉も市販されている(例えば、日清製粉製「ちくご麦畑」など)。
前記1)の生地原料用の澱粉としては例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等;あるいはこれらの澱粉にエーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等を施した加工澱粉が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記1)の生地原料としては、主として小麦粉であることが好ましく、好ましくは生地原料のうち小麦粉が60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは小麦粉のみである。
前記1)の方法で用いる生地原料は、前記穀粉及び澱粉以外の他の原料を含んでいても良い。具体的には例えば、小麦グルテン、大豆蛋白質、大豆多糖類、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、卵蛋白酵素分解物、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;かんすい、焼成カルシウム、食物繊維、膨張剤、増粘剤、乳化剤、食塩、糖類、糖アルコール、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、デキストリン、難消化性デキストリン、難消化性でん粉、アルコール、保存剤、pH調整剤、酵素剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記1)の生地原料には、プロテアーゼ、アミラーゼ及び乳化剤の少なくとも1つの副原料を配合することが、α化加工生地(α化加工物)の老化処理後の工程、特に小麦粉含有生地の調製工程や該生地を用いた小麦粉含有食品の製造工程の作業性の向上の観点から好ましい。
プロテアーゼとしては、食品に使用可能な各種公知のプロテアーゼを特に制限なく用いることができる。プロテアーゼは、糸状菌由来のプロテアーゼを用いることが好ましい。α化加工生地の原料である穀粉や澱粉を含む生地原料にプロテアーゼを配合して、プロテアーゼの作用によりグルテンネットワークを適度に切断し、老化処理前にα化加工生地の粘度を低下させておくことにより、混合時の分散性がよくなり、その結果、α化加工生地の老化処理後の工程の作業性が向上する。
α化加工物(α化加工生地)の原料に対するプロテアーゼの配合量は、該原料中の穀粉及び澱粉の総量100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜2質量部であることがより好ましい。
アミラーゼとしては、食品に使用可能な各種公知のアミラーゼを特に制限なく用いることができる。アミラーゼとしては、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ等があるが、これらの中でもα-アミラーゼを用いることが好ましい。α化加工生地の原料である穀粉や澱粉を含む原料にアミラーゼを配合し、穀粉や澱粉のアミロースやアミロペクチンを適度に切断し、老化処理前にα化加工生地の粘度を低下させておくことにより、混合時の分散性がよくなり、その結果、α化加工生地の老化処理後の工程の作業性が向上する。
α化加工物(α化加工生地)の原料に対するアミラーゼの配合量は、該原料中の穀粉及び澱粉の総量100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜2質量部であることがより好ましい。
プロテアーゼやアミラーゼは、α化加工物の原料である穀粉及び/又は澱粉に5分〜2時間作用させることが好ましく、10分〜2時間作用させることがより好ましい。プロテアーゼやアミラーゼを作用させるには、具体的には、中間物(中間生地)の調製中から調整後に当該中間物を静置すればよい。また、プロテアーゼやアミラーゼは、中間物(中間生地)の加熱工程において失活させることが好ましい。
乳化剤としては、食品に使用可能な各種公知のもの等を特に制限なく用いることができるが、乳化機能を有するタンパク質を用いることが好ましい。乳化機能を有するタンパク質としては、乳由来ものや卵由来のものなどがあるが、乳清由来のタンパク質が好ましく、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)が更に好ましい。α化加工生地の原料である穀粉や澱粉を含む生地原料に乳化剤を配合し、離水を抑制させることにより、α化加工生地の安定性が向上し、これによりα化加工生地の老化処理後の工程の作業性が向上する。
α化加工物(α化加工生地)の原料に対する乳化剤の配合量は、該原料中の穀粉及び澱粉の総量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20質量部であり、更に好ましくは0.5〜10質量部である。
前記1)の方法において、α化加工物(α化加工生地)の原料への加水量は、加熱処理により中間生地がα化される量であれば特に制限されず、小麦粉含有生地の種類等に応じて適宜調整すれば良いが、該原料中の全原料粉100質量部に対して、好ましくは10〜3000質量部、さらに好ましくは30〜1000質量部である。本明細書において「原料粉」は、α化加工物(α化加工生地)の作製に用いられる原料としての小麦粉等の穀粉及び澱粉であり、油脂、食塩等の副原料は含まれない。
また、前記1)の方法において、中間生地(α化加工物の中間物)の加熱条件は、十分にα化(糊化)されるように設定する必要がある。具体的には、中間生地の温度(品温)が60℃以上、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上の状態が10分間以上維持されるような条件で、中間生地を加熱することが好ましい。
前記2)の方法において、「予めα化された穀粉・澱粉を含む生地原料」としては、通常少なくとも、未α化(生)の穀粉にα化処理したα化穀粉が用いられ、必要に応じ、未α化澱粉にα化処理したα化澱粉が用いられる。α化穀粉やα化澱粉としては市販のものを用いることができる。
本発明の小麦粉含有生地の製造方法においては、α化加工物に老化処理を施して、澱粉を老化させる(老化工程)。α化加工物としては、前述した通り、前記1)又は2)の方法によって作製されたα化加工生地を用いることが好ましいが、これに代えて、一般的な製麺法で作製した生麺を蒸煮工程によりα化した麺又は市販のα化加工した麺を用いることもできる。老化処理は、α化加工物を常温で所定時間放置することによって行うこともできるが、老化を促進させるために、i)α化加工物を冷蔵処理、ii)α化加工物を冷凍した後に解凍する処理が好ましい。
前記i)の老化処理(冷蔵処理)は、温度10℃以下の冷蔵条件下、例えば、冷蔵庫の庫内にα化加工物を所定時間放置することによって行うことができる。冷蔵条件は、α化した澱粉の老化が十分に進行し得る条件であり、具体的には、α化加工物の品温が好ましくは1〜10℃、さらに好ましくは1〜4℃の状態が6時間以上維持される条件が好ましい。
前記ii)の老化処理(冷凍解凍処理)における冷凍は、例えば、温度−5℃以下の冷凍条件下(例えば冷凍庫の庫内)にα化加工物を所定時間放置することによって行うことができる。前記ii)の冷凍には、短時間で凍結させる急速冷凍と、比較的ゆっくり凍結させる緩慢冷凍とがあり、本発明では何れの冷凍法も利用可能であるが、α化澱粉のさらなる老化促進の観点から、緩慢冷凍が好ましく、より具体的には、温度が−5〜−30℃程度、好ましくは−10℃〜−20℃程度でほぼ凍結するまでに1時間以上要し、凍結処理が6時間以上維持されるような緩慢冷凍が好ましい。
前記ii)の老化処理(冷凍解凍処理)において、冷凍したα化加工物(冷凍α化加工生地、冷凍麺等)の解凍は、該冷凍物を常温放置する自然解凍でも良いが、老化促進の観点から冷蔵解凍(緩慢解凍)が好ましい。冷蔵解凍は、前記冷蔵条件下、例えば、温度が1〜10℃、好ましくは1〜4℃下に、冷凍物を放置することによって行うことができる。
本発明の小麦粉含有生地の製造方法においては、α化加工物に対して、老化処理を複数回行うこともでき、そうすることによって、α化加工物の老化が一層促進され、それに起因する効果(食感の向上等)がより高いレベルで奏されるようになる。老化処理を複数回行う態様としては、例えば、前記i)及びii)の何れか一方のみを複数回行う態様、並びに、前記i)及びii)の両方を組み合わせる態様が挙げられる。また、後者の態様の具体例として、ii−1)冷蔵処理後、さらに冷凍処理する態様、及びii−2)冷凍処理後、さらに冷蔵処理する態様が挙げられる。
本発明の小麦粉含有生地の製造方法においては、前記老化工程後に、その老化処理が施されたα化加工物(以下、「老化処理済みα化加工物」ということがある)と、小麦粉とを用いて、小麦粉含有生地を調製する(生地調製工程)。生地調製工程において、老化処理済みα化加工物として、老化処理済み麺を用いる場合は、生地の作製をスムーズに行う観点から、麺線を粉砕した粉砕物を用いることが好ましい。麺の粉砕は、ミキサー等の公知の粉砕手段を用いて常法に従って行うことができる。
前記生地調製工程において、老化処理済みα化加工物と併用される、小麦粉を主体とする穀粉類には、小麦粉含有食品に通常用いられる小麦粉を特に制限なく用いることができ、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉が挙げられ、目的とする小麦粉含有食品の種類等に応じて、これらの1種又は2種以上を適宜選択することができるが、薄力粉又は中力粉が好ましい。
前記小麦粉を主体とする穀粉類における小麦粉として、熱処理小麦粉を用いることもできる。老化処理が施されたα化加工物に加えて熱処理小麦粉を使用して小麦粉含有生地を調製することで、該生地を用いて得られる小麦粉含有食品における食感が一層向上し、特に、軽くてヒキがなく歯切れや口溶けのよい良好な食感となり得る。熱処理小麦粉としては、例えば、特開2007−151508号公報、特開2007−166906号公報、特開2001−120162号公報等が挙げられる。
前記小麦粉を主体とする穀粉類には、小麦粉以外の穀粉及び澱粉(以下、「非小麦粉穀粉原料」ということがある)からなる群から選択される1種以上の非小麦粉穀粉原料を用いることもできる。その場合、この非小麦粉穀粉原料の使用量は、前記小麦粉を主体とする穀粉類100質量部中において、通常は1〜50質量部、好ましくは5〜30質量部、さらに好ましくは10〜20質量部となるような範囲である。前記生地調製工程において、小麦粉以外の穀粉原料を斯かる範囲内で使用することで、本発明の小麦粉含有生地を用いて製される小麦粉含有食品に、当該穀粉原料の使用による効果(食味、風味及び食感等)が付与される。
前記非小麦粉穀粉原料としては、小麦粉以外の穀粉及び澱粉として例えば、そば粉、米粉、コーンフラワー、大麦粉、ライ麦粉、はとむぎ粉、ひえ粉、あわ粉等の穀粉類;タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉類及びこれらのα化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理を施した加工澱粉類等が挙げられ、目的とする小麦粉含有食品の種類等により適宜選択される。
前記生地調製工程における老化処理済みα化加工物の使用量は、老化処理済みα化加工物中の小麦粉及び澱粉の総量(固形分)が、前記小麦粉を主体とする穀粉類100質量部に対して、通常は1〜50質量部、好ましくは2〜30質量部、さらに好ましくは5〜20質量部となるような範囲が好ましい。老化処理済みα化加工物の使用量が少ないと、澱粉の老化に起因する所望の効果が奏され難く、逆に老化処理済みα化加工物の使用量が多すぎると、小麦粉含有生地の保形性が低下したり、小麦粉含有食品の製造時における作業性が低下するおそれがある。
前記生地調製工程においては、前記老化処理済みα化加工物、小麦粉を主体とする穀粉類の他に、目的とする小麦粉含有食品の種類等に応じて、必要により、他の成分を配合することができる。斯かる他の成分としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、例えば、小麦グルテン、大豆蛋白質、大豆多糖類、全卵、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、卵蛋白酵素分解物、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;かんすい、焼成カルシウム、食物繊維、膨張剤、増粘剤、乳化剤、食塩、糖類、糖アルコール、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、デキストリン、難消化性デキストリン、難消化性でん粉、アルコール、保存剤、pH調整剤、酵素剤等、この他従来小麦粉含有食品の原料に添加されている添加成分が挙げられ、これらの中から1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記生地調製工程は、小麦粉含有食品の製造時に通常行われる生地の調製工程と同様に行うことができ、通常、前記各成分(老化処理が施されたα化加工物及び小麦粉、必要に応じて非小麦粉穀粉原料)の混合物に水を加えて混合することで、目的とする小麦粉含有生地が得られる。小麦粉含有生地の粘度は、特に制限されず、これを用いて製造される小麦粉含有食品の種類等に応じて適宜調整すれば良い。
本発明の製造方法によって製造された小麦粉含有生地は、様々な小麦粉含有食品の製造に使用することができる。小麦粉含有食品の典型的な製造方法は、本発明の製造方法によって製造された小麦粉含有生地を加熱調理する工程を含み、この加熱調理法としては、焼成、油ちょう、蒸しを例示できる。本発明が適用可能な小麦粉含有食品は、原料穀粉において小麦粉を主原料とする生地を用いて製造されるもの(ただし、麺類、麺皮類及び春巻皮を除く)であれば良い。ここでいう麺皮類とは、例えば、餃子、シューマイ、ワンタン、小籠包等である。
本発明が適用可能な小麦粉含有食品の好ましい例示として、揚げ物食品(天ぷら、フリッター、唐揚げ等)の衣、たこ焼き、焼き菓子が挙げられる。つまり、本発明の製造方法によって製造された小麦粉含有生地は、揚げ物用バッター生地、たこ焼き用生地、又は焼き菓子用生地として特に有用である。ここでいう焼き菓子は、小麦粉を含有する生地を用いて製造され、且つ内部が多孔質構造となっているものであれば特に限定されず、例えば、クッキー、カステラ、パンケーキ、ホットケーキ、スポンジケーキ、どら焼き、鯛焼き、マドレーヌ、クレープ、ホットドック、ドーナツ等が挙げられる。
本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
〔製造例1:老化処理済みα化加工生地〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に対し、水1000質量部を加えて撹拌して中間生地を得、該中間生地を、加熱攪拌機を用いて品温90℃で30分間加熱して、ペースト状のα化加工生地を得た(α化工程)。
次いで、得られたα化加工生地を4℃の冷蔵庫内で10時間冷蔵処理して、該生地の老化処理を行ってペースト状の老化処理済みα化加工生地を製造した(老化工程)。
〔製造例2:老化処理済みα化加工生地〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に対し、水500質量部を加えて撹拌して中間生地を得、該中間生地を、加熱攪拌機を用いて品温90℃で30分間加熱して、ペースト状のα化加工生地を得た(α化工程)。
次いで、得られたα化加工生地を4℃の冷蔵庫内で10時間冷蔵処理して、該生地の老化処理を行ってペースト状の老化処理済みα化加工生地を製造した(老化工程)。
〔製造例3:老化処理済みα化加工生地〕
製造例1において、α化加工生地を−20℃の冷凍庫内に10時間静置して緩慢冷凍処理し、次いでその冷凍物を温度20℃で2時間静置して、該生地の老化処理を行ったこと以外は製造例1と同様にしてペースト状の老化処理済みα化加工生地を製造した(老化工程)。
〔製造例4:老化処理済みα化加工生地〕
製造例1において、α化加工生地を−20℃の冷凍庫内に10時間静置して緩慢冷凍処理した後(1回目の老化処理)、−20℃の冷凍庫内に10時間静置して緩慢冷凍処理し、次いでその冷凍物を温度4℃で10時間冷蔵解凍して、該生地の老化処理を行ったこと以外は製造例1と同様にしてペースト状の老化処理済みα化加工生地を製造した(老化工程)。
〔実施例1〜4:天ぷら用バッター生地〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「バイオレット」)100質量部に、製造例1、3〜4の老化処理済みα化加工生地110質量部(固形分:10質量部)及び水50質量部を加えて混捏して、実施例1、3〜4の天ぷら用バッター生地(小麦粉含有生地)を得た(生地調製工程)。また、実施例1と同じ市販の小麦粉100質量部に、製造例2老化処理済みα化加工生地30質量部(老化処理された澱粉を含む固形分としては5質量部)及び水125質量部を加えて混捏して実施例2の天ぷら用バッター生地(小麦粉含有生地)を得た(生地調製工程)。
〔比較例1:天ぷら用バッター生地〕
実施例1と同じ市販の小麦粉100質量部に、水150質量部を加えて混捏して天ぷら用バッター生地(小麦粉含有生地)を製造した。
〔評価試験1:天ぷらの製造〕
イモに小麦粉の打ち粉をした後、打ち粉をしたイモの外面全体に、実施例1〜4及び比較例1の各天ぷら用バッター生地を付着させ、170℃で3分間油ちょうしてイモ天ぷらを得た。
得られた天ぷらを、室温で4時間放置、あるいは冷蔵庫で24時間保存後に電子レンジ(500W)で30秒間加熱調理した。そして、これらの天ぷらについて、10名のパネラーにより、室温4時間放置後の衣のさくみ及びヒキそれぞれの観点での食感、並びに電子レンジ再加熱後のさくみ・ヒキの観点での食感を、それぞれ下記評価基準によって評価した。その結果(10名のパネラーの平均点)を下記表1に示す。
Figure 2018074952
〔実施例5〜8及び比較例2:たこ焼き用生地〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「フラワー」)100質量部に、製造例1、3〜4の老化処理済みα化加工生地110質量部(固形分:10質量部)、砂糖3質量部、食塩3質量部及び水100質量部を加えて混捏して、実施例5、7〜8のたこ焼き用生地(小麦粉含有生地)を得た。
また、実施例5と同じ市販の小麦粉100質量部に、製造例2老化処理済みα化加工生地30質量部(固形分:5質量部)、砂糖3質量部、食塩3質量部及び水175質量部を加えて混捏して実施例6のたこ焼き用生地(小麦粉含有生地)を得た。
一方、実施例5と同じ市販の小麦粉100質量部に、砂糖3質量部、食塩3質量部及び水200質量部を加えて混捏して比較例2のたこ焼き用生地(小麦粉含有生地)を得た。
〔評価試験2:たこ焼きの製造〕
実施例5〜8及び比較例2の各たこ焼き用生地に、全卵30質量部及び粉末調味料10質量部を添加して均一になるまで混合し、その混合物を、たこ焼き用型に注入し、具材としてタコ片、5mm角みじん切りキャベツ、揚げ玉、紅生姜を入れて、6分間焼成した。
得られたたこ焼きを、室温で1時間放置、あるいは−20℃で冷凍して10日間保存後に電子レンジ(1500W)で1分間解凍・再加熱した。そして、これらのたこ焼きについて、10名のパネラーにより、室温1時間放置後及び電子レンジ再加熱後それぞれのヒキ及び歯切れ・口溶けの観点での食感を下記評価基準によって評価した。その結果(10名のパネラーの平均点)を下記表2に示す。
Figure 2018074952
〔実施例9〜12及び比較例3:クッキー用生地(焼き菓子用生地)〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「バイオレット」)100質量部に、乾燥全卵1質量部、ベーキングパウダー(BP)1質量部を添加して加えてよく混合した。別途、砂糖50質量部、食塩1質量部及びマーガリン40質量部をよく混合した後、製造例1、3〜5の老化処理済みα化加工生地22質量部(固形分:2質量部)あるいは製造例2の老化処理済みα化加工生地6質量部(固形分:1質量部)と水15質量部を添加して均一になるまで混合した。次いで、これら2つの混合物を合わせて均一になるまで混合し、クッキー用生地を製造した。
〔評価試験3:クッキー(焼き菓子)の製造〕
実施例9〜12及び比較例3の各クッキー用生地を4℃の冷蔵庫で一晩静置した後、圧延・型抜きした。次いで、190℃のオーブンで12分間焼成してクッキーを製造した。
得られたクッキーについて、室温24時間放置後、10名のパネラーにより、歯切れ・口溶けの観点での食感を下記評価基準によって評価した。その結果(10名のパネラーの平均点)を下記表3に示す。
Figure 2018074952
〔製造例5:老化処理済みα化加工生地〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に、プロテアーゼ(天野エンザイム社製、商品名「プロテアーゼM「アマノ」SD」)0.5質量部、アミラーゼ(天野エンザイム社製、糸状菌由来、商品名「ビオザイムA」)0.5質量部、乳化剤(太陽化学社製、商品名「カゼイン サンラクトS−3」10質量部、及び水100質量部を加えて撹拌して中間生地(α化未加工生地)を得た後、該中間生地を10分間静置し、更に品熱攪拌機を用いて品温90℃で30分間加熱して、ペースト状のα化加工生地を得た(α化工程)。
得られたα化加工生地を−20℃の冷凍庫内に10時間静置して緩慢冷凍処理した後(1回目の老化処理)、−20℃の冷凍庫内に10時間静置して緩慢冷凍処理し、次いでその冷凍物を温度4℃で10時間冷蔵解凍して、該生地の老化処理を行ってペースト状の老化処理済みα化加工生地を製造した(老化工程)。
〔製造例6:老化処理済みα化加工生地〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に、プロテアーゼ(天野エンザイム社製、商品名「プロテアーゼM「アマノ」SD」)0.5質量部、及び水100質量部を加えた以外は製造例5と同様にして、ペースト状の老化処理済みα化加工生地を製造した(老化工程)。
〔製造例7:老化処理済みα化加工生地〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に、アミラーゼ(天野エンザイム社製、糸状菌由来、商品名「ビオザイムA」)0.5質量部、及び水100質量部を加えた以外は製造例5と同様にして、ペースト状の老化処理済みα化加工生地を製造した(老化工程)。
〔製造例8:老化処理済みα化加工生地〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に、乳化剤(太陽化学社製、商品名「カゼイン サンラクトS−3」10質量部、及び水100質量部を加えた以外は製造例5と同様にして、ペースト状の老化処理済みα化加工生地を製造した(老化工程)。
〔製造例9:老化処理済みα化加工生地(参考例)〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に対し、プロテアーゼ、アミラーゼ及び乳化剤を添加しないこと以外は製造例5と同様にして、ペースト状の老化処理済みα化加工生地を製造した(老化工程)。
〔製造例10:未加工理生地(比較例)〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に、プロテアーゼ(天野エンザイム社製、商品名「プロテアーゼM「アマノ」SD」)0.5質量部、アミラーゼ(天野エンザイム社製、糸状菌由来、商品名「ビオザイムA」)0.5質量部、乳化剤(太陽化学社製、商品名「カゼイン サンラクトS−3」10質量部、及び水100質量部を加えて撹拌して未加工・未処理生地)を製造した。
〔実施例13〜16、参考例1及び比較例4:天ぷら用バッター生地〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「バイオレット」)100質量部に、製造例5〜9の何れかの老化処理済みα化加工生地110質量部(実施例13〜16及び参考例1)又は製造例10の未加工・未処理生地110質量部、及び水50質量部を加えて混捏して、実施例13〜16、参考例1及び比較例4の天ぷら用バッター生地(小麦粉含有生地)を得た(生地調製工程)。
〔評価試験4:天ぷらの製造〕
イモに小麦粉の打ち粉をした後、打ち粉をしたイモの外面全体に、実施例13〜16、参考例1及び比較例4の何れかの天ぷら用バッター生地を付着させ、170℃で3分間油ちょうしてイモ天ぷらを得た。
得られた天ぷらを、試験例1と同様に評価した。その結果を下記表4に示す。
Figure 2018074952
〔実施例17〜20、参考例2及び比較例5:たこ焼き用生地〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「フラワー」)100質量部に、製造例5〜9の何れかの老化処理済みα化加工生地110質量部(実施例13〜16)又は製造例10の未加工・未処理生地110質量部(比較例5)、砂糖3質量部、食塩3質量部及び水100質量部を加えて混捏して、実施例17〜20、参考例2及び比較例5のたこ焼き用生地(小麦粉含有生地)を得た。
〔評価試験5:たこ焼きの製造〕
実施例17〜20、参考例2及び比較例5のたこ焼き用生地に、全卵30質量部及び粉末調味料10質量部を添加して均一になるまで混合し、その混合物を、たこ焼き用型に注入し、具材としてタコ片、5mm角みじん切りキャベツ、揚げ玉、紅生姜を入れて、6分間焼成した。
得られたたこ焼きを、室温で1時間放置、あるいは−20℃で冷凍して10日間保存後に電子レンジ(1500W)で1分間解凍・再加熱した。そして、これらのたこ焼きについて、10名のパネラーにより、室温1時間放置後及び電子レンジ再加熱後それぞれのヒキ及び歯切れ・口溶けの観点での食感を下記評価基準によって評価してもらった。その結果(10名のパネラーの平均点)を下記表5に示す。
Figure 2018074952
〔実施例21〜24、参考例3及び比較例6:クッキー用生地(焼き菓子用生地)〕
市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「バイオレット」)100質量部に、乾燥全卵1質量部、ベーキングパウダー(BP)1質量部を添加して加えてよく混合した。別途、砂糖50質量部、食塩1質量部及びマーガリン40質量部をよく混合した後、製造例5〜9の何れかの老化処理済みα化加工生地22質量部(実施例21〜24)又は製造例10の未加工・未処理生地22質量部(比較例6)、を添加して均一になるまで混合した。次いで、これら2つの混合物を合わせて均一になるまで混合し、クッキー用生地を製造した。
〔評価試験6:クッキー(焼き菓子)の製造〕
実施例21〜24、参考例3及び比較例6の各クッキー用生地を4℃の冷蔵庫で一晩静置した後、圧延・型抜きした。次いで、190℃のオーブンで12分間焼成してクッキーを製造した。
得られたクッキーについて、室温24時間放置後、10名のパネラーにより、歯切れ・口溶けの観点での食感を下記評価基準によって評価した。その結果(10名のパネラーの平均点)を下記表6に示す。
Figure 2018074952
<食感(さくみ)の評価基準>
5点:非常に軽く、適度な硬さがある。
4点:軽い食感で良好である。
3点:やや軽い食感である。
2点:やや重く不良である。
1点:重く、軟らかい食感で不良である。
<食感(ヒキ)の評価基準>
5点:調理直後と同等でヒキが無く非常に良好。
4点:ヒキが少なく、良好。
3点:ヒキがやや有る。
2点:ヒキが有り、やや不良。
1点:ヒキが強く、不良。
<食感(さくみ・ヒキ)の評価基準>
5点:さくみの低下が極めて少なく、ヒキも無く非常に良好。
4点:さくみの低下が少なく、ヒキが少なく良好。
3点:さくみの低下がやや少ないが、ヒキがやや有る。
2点:さくみの低下がやや大きく、ヒキが有りやや不良。
1点:さくみの低下が大きく、ヒキも強く不良。
<食感(歯切れ・口溶け)の評価基準>
5点:非常に軽い食感で、歯切れや口溶けが良く非常に良好。
4点:やや軽い食感で、やや歯切れや口溶けが良くやや良好。
3点:やや軽い食感で、歯切れ・口溶けは普通。
2点:やや重い食感で、やや歯切れや口溶けに劣りやや不良。
1点:重く、軟らかい食感で、歯切れや口溶けに劣り不良。
<作業性の評価基準>
5点:脆さ又はベタつきが全くなく、非常に良好。
4点:脆さ又はベタつきが少なく、良好。
3点:脆さ又はベタつきが多少ある。
2点:脆さ又はベタつきがやや多く、やや不良。
1点:脆さ又はベタつきが多く、不良。

Claims (8)

  1. α化加工物に老化処理を施して、該α化加工物中の澱粉を老化させる老化工程と、該老化処理されたα化加工物、及び小麦粉を主体とする穀粉類を用いて小麦粉含有生地(ただし、麺類、麺皮類及び春巻皮用の生地を除く)を調製する生地調製工程とを有する、小麦粉含有生地の製造方法。
  2. 前記老化処理は、前記α化加工物を冷蔵する処理であるか、又は、前記α化加工物を冷凍した後に解凍する処理である請求項1に記載の小麦粉含有生地の製造方法。
  3. 前記α化加工物がα化加工生地である請求項1又は2に記載の小麦粉含有生地の製造方法。
  4. 前記α化加工生地の原料に、プロテアーゼ、アミラーゼ及び乳化剤の少なくとも1つを配合する請求項3に記載の小麦粉含有生地の製造方法。
  5. 前記α化加工物の原料中の穀粉及び澱粉の総量100質量部に対して、0.001〜10質量部のプロテアーゼ、0.001〜10質量部のアミラーゼ、及び0.1〜20質量部の乳化剤の少なくとも1つを配合する請求項4に記載の小麦粉含有生地の製造方法。
  6. 前記α化加工生地は、1)穀粉及び/又は澱粉を含む生地原料に加水し混合して中間生地を得、該中間生地を加熱して得られたものであるか、又は2)予めα化された穀粉及び/又は澱粉を含む生地原料に加水し混合して得られたものである請求項3〜6の何れか1項に記載の小麦粉含有生地の製造方法。
  7. 前記生地調製工程において、前記老化処理されたα化加工物中の穀粉及び澱粉の総量が、前記小麦粉を主体とする穀粉類100質量部に対して1〜50質量部である請求項1〜6の何れか1項に記載の小麦粉含有生地の製造方法。
  8. 前記小麦粉含有生地が、揚げ物用バッター生地、たこ焼き用生地、焼き菓子用生地の何れかである請求項1〜7の何れか1項に記載の小麦粉含有生地の製造方法。
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