JP2018074141A - 磁気メモリ - Google Patents

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智生 佐々木
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陽平 塩川
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Abstract

【課題】反転電流を下げることができ集積度を向上させることができる磁気メモリを提供することを目的とする。【解決手段】磁化方向が固定された第1強磁性金属層と磁化方向が変化する第2強磁性金属層と第1強磁性金属層及び第2強磁性金属層に挟持された非磁性層をそれぞれ備え、情報を保持する複数の磁気抵抗効果素子と、情報の読み込みを制御する複数の第1制御素子であり複数の第1強磁性金属層毎に1つが接続される第1制御素子と、複数のスピン軌道トルク配線であり磁気抵抗効果素子の積層方向に対して交差する第1の方向に延在し第2強磁性金属層毎に1つが接合するスピン軌道トルク配線と、スピン軌道トルク配線に流れる電流を制御する複数の第2制御素子であってスピン軌道トルク配線の第1接続点毎に1つが接続される第2制御素子と、複数のスピン軌道トルク配線の第2接続点それぞれに接続され情報の書き込みを制御する第3制御素子と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気メモリに関する。
強磁性層と非磁性層の多層膜からなる巨大磁気抵抗(GMR)素子、及び、非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)を用いたトンネル磁気抵抗(TMR)素子が知られている。一般に、TMR素子は、GMR素子と比較して素子抵抗は高いが、磁気抵抗(MR)比は、GMR素子より大きい。そのため、磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)用の素子として、TMR素子に注目が集まっている。
MRAMは、絶縁層を挟む二つの強磁性層の互いの磁化の向きが変化するとTMR素子の素子抵抗が変化するという特性を利用してデータを読み書きする。MRAMの書き込み方式としては、電流が作る磁場を利用して書き込み(磁化反転)を行う方式や磁気抵抗効果素子の積層方向に電流を流して生ずるスピントランスファートルク(STT)を利用して書き込み(磁化反転)を行う方式が知られている。
また、近年、MRAMは、高集積化が求められている(例えば、特許文献1参照)。MRAMの集積度を高めるためには、TMR素子を小型化する必要がある。しかしながら、TMR素子を小型化すると、磁化の安定性が低下する。磁化の安定性の低下は、熱等の影響によるデータの書き換わりの原因となる(例えば、特許文献2)。MRAMはデータの長期保存を目的としており、データが勝手に書き換わることは許されない。
磁化の安定性を高める方法として、強磁性層の体積を大きくする方法、強磁性層の磁気異方性エネルギーを高めることが考えられる。しかしながら、磁気異方性エネルギーは、材料固有のものであり、強磁性層に用いる材料及び強磁性層とその他の層との界面状態に依存する。データの長期保存を実現するためには、強磁性層の体積を所定のサイズ以上にすることが求められる。そのため、これらの制限を無視して磁気異方性エネルギーを増大させることは難しい。なお、強磁性層は薄膜であり、体積は面積とほぼ同値である。
特開2014−207469号公報 特開2011−138604号公報
I.M.Miron,K.Garello,G.Gaudin,P.-J.Zermatten,M.V.Costache,S.Auffret,S.Bandiera,B.Rodmacq,A.Schuhl,and P.Gambardella,Nature,476,189(2011).
スピントランスファートルク(STT)の大きさは、磁気抵抗効果素子の積層方向に流れる電流の電流密度によって決まる。そのため、STTにより磁化反転を行うためには、電流密度が所定の値以上であることが求められる。一方で、磁気抵抗効果素子の熱安定性を高めるには「所定のサイズ以上の面積」が必要である。そのため、STTにより磁化反転する素子を駆動するためには、「所定の値以上の電流密度」に「所定のサイズ以上の面積」を乗じた電流量の電流を磁気抵抗効果素子の積層方向に流す必要がある。
しかしながら、一つのTMR素子またはGMR素子に流す電流量が多くなると、素子の寿命に影響を及ぼす。例えば、TMR素子の絶縁層が絶縁破壊し、素子がデータを記録できなくなる。
また、一つのTMR素子またはGMR素子に流す電流量が多くなると、MRAM全体として必要な電流量が大きくなる。例えば、素子を並列に接続した場合、MRAM全体では「一つの素子に必要な電流量」×「素子数」の総電流が必要になる。
また、一つのTMR素子またはGMR素子に流す電流量が多くなると、反転電流(リーク電流)が増え、このリーク電流を防止する回路構成が必要になる。これにより、集積回路の集積率が低下する。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、反転電流を下げることができ、集積度を向上させることができる磁気メモリを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200)は、磁化方向が固定された第1強磁性金属層(1)と、磁化方向が変化する第2強磁性金属層(2)と、第1強磁性金属層及び第2強磁性金属層に挟持された非磁性層(3)と、をそれぞれ備え、情報を保持する複数の磁気抵抗効果素子(10)と、前記情報の読み込みを制御する複数の第1制御素子(読出し用制御素子110)であって、複数の前記第1強磁性金属層毎に1つが接続される第1制御素子と、複数のスピン軌道トルク配線(20)であって、前記磁気抵抗効果素子の積層方向である第1方向(z方向)に対して交差する第2方向(x方向)に延在し、前記第2強磁性金属層毎に1つが接合するスピン軌道トルク配線と、前記スピン軌道トルク配線に流れる電流を制御する複数の第2制御素子(素子選択用制御素子120)であって、前記スピン軌道トルク配線の第1接続点(抵抗22の他端)毎に1つが接続される第2制御素子と、複数の前記スピン軌道トルク配線の第2接続点(抵抗21の他端)それぞれに接続され、前記情報の書き込みを制御する第3制御素子(書込み用制御素子130)と、を備える。
(2)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200A)は、磁化方向が固定された第1強磁性金属層(1)と、磁化方向が変化する第2強磁性金属層(2)と、第1強磁性金属層及び第2強磁性金属層に挟持された非磁性層(3)と、をそれぞれ備え、情報を保持する複数の磁気抵抗効果素子(10)と、複数の前記第1強磁性金属層それぞれに接続され、前記情報の読み込みを制御する第1制御素子(読出し用制御素子110)と、複数のスピン軌道トルク配線(20)であって、前記磁気抵抗効果素子の積層方向である第1方向(z方向)に対して交差する第2方向(x方向)に延在し、前記第2強磁性金属層毎に1つが接合するスピン軌道トルク配線と、前記スピン軌道トルク配線に流れる電流を制御する複数の第2制御素子(素子選択用制御素子120)であって、前記スピン軌道トルク配線の第1接続点(抵抗22の他端)毎に1つが接続される第2制御素子と、前記情報の書き込みを制御する複数の第3制御素子(書込み用制御素子130)であって、前記スピン軌道トルク配線の第2接続点(抵抗21の他端)毎に1つが接続される第3制御素子と、を備える。
(3)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200または200A)において、前記磁気抵抗効果素子(10)の前記第1方向(z方向)に垂直の面における長軸が、前記第2方向(x方向)であるようにしてもよい。
(4)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200)は、前記第1制御素子(読出し用制御素子110)と前記第2制御素子(素子選択用制御素子120)が、前記第1方向(z方向)と前記第2方向(x方向)と交差する第3方向(y方向)に近接して配置されているようにしてもよい。
(5)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200A)は、前記第2制御素子(素子選択用制御素子120)と前記第3制御素子(書込み用制御素子130)が、前記第1方向(z方向)と前記第2方向(x方向)と交差する第3方向(y方向)に近接して配置されているようにしてもよい。
(6)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200または200A)は、1ビットの前記情報を記憶するために必要な空間的な構成において、回路構成における長さの最小加工寸法の単位をFとした場合、前記第3方向(y方向)の長さが8Fであるようにしてもよい。
(7)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200または200A)は、1ビットの前記情報を記憶するために必要な空間的な構成において、回路構成における長さの最小加工寸法の単位をFとした場合、回路構成に必要な前記第2方向(x方向)と前記第3方向(y方向)の平面の面積は16F〜1056Fである。
(8)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200または200A)において、前記第2制御素子(素子選択用制御素子120)及び前記第3制御素子(書込み用制御素子130)に流れる最大電流が、前記第1制御素子(読出し用制御素子110)に流れる最大電流よりも大きいようにしてもよい。
(9)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200または200A)において、前記磁気抵抗効果素子(10)の抵抗値が、前記磁気抵抗効果素子に接する前記スピン軌道トルク配線(20)層の抵抗値よりも高いようにしてもよい。
(10)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200または200A)において、前記第1制御素子(読出し用制御素子110)の抵抗値が前記磁気抵抗効果素子(10)の抵抗値よりも小さいようにしてもよい。
(11)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200または200A)において、前記磁気抵抗効果素子(10)が前記第2方向(x方向)に等間隔で配置されているようにしてもよい。
(12)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200または200A)において、1ビットの前記情報を記憶するために必要な領域が、前記第2方向(x方向)に等間隔で近接して配置されているようにしてもよい。
(13)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200または200A)において、1ビットの前記情報を記憶するために必要な領域が前記第3方向(y方向)に等間隔で配置されているようにしてもよい。
(14)また、本発明の一態様に係る磁気メモリ(200B)において、前記磁気抵抗効果素子10に接する絶縁層(181)が設置され、前記絶縁層を挟んで前記磁気抵抗効果素子の磁化方向に垂直な方向に磁場を印可するための磁場提供配線(182)が設置されるようにしてもよい。
本発明の一態様に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子によれば、反転電流を下げることができ、集積度を向上させることができる。
第1実施形態に係る磁気メモリの一例の回路図である。 第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子、読出し用制御素子、素子選択用制御素子、及びスピン軌道トルク配線を三次元的に配置したときの射視図である。 第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子に用いられる制御素子の要部を示した斜視模式図である。 第1実施形態に係る一つのスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子と二つの制御素子を配置するために必要なセルサイズを説明するための図である。 第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の集積性を高めるための配置を示す図である。 実施形態に係る磁気メモリにおける2ビット分の集積回路の配置イメージ図である。 第2実施形態に係る磁気メモリの一例の回路図である。 第2実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子、素子選択用制御素子、読み出し用制御素子、及びスピン軌道トルク配線を三次元的に配置したときの射視図である。 第3実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子、素子選択用制御素子、書込み用制御素子、スピン軌道トルク配線、及び磁場提供配線を三次元的に配置したときの変形例の射視図である。 図9に示した一つのスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子と二つの制御素子を配置するために必要なセルサイズを説明するための図である。 スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子を模式的に示した斜視図である。 スピンホール効果について説明するための模式図である。 STTを用いたスピントランスファートルク型磁気抵抗効果素子の模式図である。 比較例における磁気抵抗効果素子が形状異方性を有さない場合のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の模式図である。 第3実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子をz方向から見た図である。 フォトマスクの形状と、得られる磁気抵抗効果素子のz方向からの平面形状の対応関係を示した図である。
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明で用いる図面は、実施形態の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明で用いる図面は、実施形態の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる構成の一部を抜き出している場合がある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、実施形態はそれらに限定されるものではなく、実施形態の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
<第1実施形態>
磁気メモリ200の回路例を説明する。スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の動作原理等については、後述する。
図1は、第1実施形態に係る磁気メモリ200の一例の回路図である。図1において、磁気抵抗効果素子10の積層方向をz方向、スピン軌道トルク配線20が延在する第1の方向をx方向、z方向及びx方向のいずれにも直交する第2の方向をy方向とする。
図1に示す磁気メモリ200は、スピン軌道トルク(Spin−Orbit Torques;SOT)型磁気抵抗効果素子100(100a,100b,100c,100d)、読出し用制御素子110(110a,110b,110c,110d;第1制御素子)、素子選択用制御素子120(120a,120b,120c,120d;第2制御素子)、及び書込み用制御素子130(130a,130c;第3制御素子)を備える。スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100aは、磁気抵抗効果素子10a、及びスピン軌道トルク配線20aを備える。スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100bは、磁気抵抗効果素子10b、及びスピン軌道トルク配線20bを備える。
磁気抵抗効果素子10aは、磁化方向が固定された第1強磁性金属層1、磁化方向が変化する第2強磁性金属層2、及び第1強磁性金属層1及び第2強磁性金属層2に挟持された非磁性層3を備える。スピン軌道トルク配線20aは、抵抗21a、及び抵抗22aを備える。磁気抵抗効果素子10bは、第1強磁性金属層1、第2強磁性金属層2、及び非磁性層3を備える。スピン軌道トルク配線20bは、抵抗21b、及び抵抗22bを備える。また、スピン軌道トルク配線20は、磁気抵抗効果素子10の積層方向である第1方向(z方向)に対して交差する第2方向(x方向)に延在し、第2強磁性金属層2に接合している。また、磁気メモリ200において、磁気抵抗効果素子10の第1方向(z方向)に垂直の面における長軸が、第2方向(x方向)である。
以下の説明において、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100a,100b,100c,100dのうちの1つを特定しない場合は、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100という。読出し用制御素子110a,110b,110c,110dのうちの1つを特定しない場合は、読出し用制御素子110という。素子選択用制御素子120a,120b,120c,120dのうちの1つを特定しない場合は、素子選択用制御素子120という。書込み用制御素子130(130a,130c)のうちの1つを特定しない場合は、書込み用制御素子130という。磁気抵抗効果素子10a,10bのうちの1つを特定しない場合は、磁気抵抗効果素子10という。スピン軌道トルク配線20a,20bのうちの1つを特定しない場合は、スピン軌道トルク配線20という。
[磁気メモリ200の接続関係]
ここで、磁気メモリ200の接続関係を説明する。
読出し用制御素子110aは、ドレイン電極Dと、チャネルC(ゲート電極Gともいう)と、ソース電極Sとを備える。ドレイン電極Dは不図示の電源に接続される端子に接続され、チャネルCは不図示の制御装置に接続される端子に接続され、ソース電極Sは磁気抵抗効果素子10aの第1強磁性金属層1に接続される。
磁気抵抗効果素子10aの第2強磁性金属層2は、スピン軌道トルク配線20aに接合され、抵抗21aと抵抗22aとの間の中間接続点に接続される。
抵抗21aの一端(中間接続点と反対側の端部、以下「第2接続点」という)は、書込み用制御素子130aのソース電極Sと、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100bが備えるスピン軌道トルク配線20bの抵抗21bの第2接続点と、基準電位に接続される端子とに接続される。
抵抗22aの一端(中間接続点と反対側の端部、以下「第1接続点」という)は、素子選択用制御素子120aのドレイン電極Dに接続される。
素子選択用制御素子120aは、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続され、ソース電極Sが素子選択用制御素子120bのソース電極Sと、データを読み出す読出端子に接続される。
書込み用制御素子130aは、ドレイン電極Dが不図示の電源に接続される端子に接続され、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続される。
読出し用制御素子110bは、ドレイン電極Dが不図示の電源に接続される端子に接続され、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続され、ソース電極Sが磁気抵抗効果素子10bの第1強磁性金属層1に接続される。
磁気抵抗効果素子10bの第2強磁性金属層2は、抵抗21bと抵抗22bとの間の中間接続点に接続される。
抵抗22bの第1接続点は、素子選択用制御素子120bのドレイン電極Dに接続される。
素子選択用制御素子120bは、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続される。
なお、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(100c,100d)、読出し用制御素子110(110c、110d)、素子選択用制御素子120(120c,120d)、及び書込み用制御素子130cの接続関係は、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(100a,100b)、読出し用制御素子110(110a、110b)、素子選択用制御素子120(120a,120b)、及び書込み用制御素子130aの接続関係と同様である。
磁気抵抗効果素子10の抵抗値は、磁気抵抗効果素子10に接するスピン軌道トルク配線20の抵抗値よりも高くしてもよい。このような構成にすると、スピン軌道トルク配線から磁気抵抗効果素子に電流が流れにくくなる。その結果、スピン軌道トルク配線から供給されるスピン量が大きくなり、少ない電流による磁化反転が可能になる。
また、磁気メモリ200において、読出し用制御素子110の抵抗値を磁気抵抗効果素子10の抵抗値よりも小さくしてもよい。このような構成にすることで、読み込み時の磁気抵抗(Magnetic Resistance;MR)が大きくなり、読み込みエラーを低減できる。
スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(100a,100b,100c,100d)は、スピン軌道トルクを利用した磁気抵抗効果素子であり、データを保持する素子である。
読出し用制御素子110(110a,110b,110c、110d)、素子選択用制御素子120(120a,120b,120c,120d)、及び書込み用制御素子130(130a,130c)それぞれは、FET(Field−Effect Transistor)等のスイッチング素子である。
図1に示した回路図は一例であり、これに限られない。例えば、磁気抵抗効果素子10は、縦方向に2つ以上であってもよく、横方向に2つ以上であってもよい。例えば、横方向に3つであり、さらに磁気抵抗効果素子10eと磁気抵抗効果素子10fを備えているようにしてもよい。この場合、書込み用制御素子130aのソース電極Sは、磁気抵抗効果素子10eに接続される抵抗22を介して第2強磁性金属層2に接続され、書込み用制御素子130bのソース電極Sは、磁気抵抗効果素子10fに接続される抵抗22を介して第2強磁性金属層2に接続される。
[読み出し動作時のリーク電流、書き込み動作時のリーク電流]
次に、磁気メモリ200におけるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(100a,100b)、読出し用制御素子110(110a,110b)、素子選択用制御素子120(120a,120b)、及び書込み用制御素子130aの動作について説明する。
まず、データの読み込み時の動作例を説明する。
スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100bへのデータの読み込み時には、読出し用制御素子110bと素子選択用制御素子120bとがオン状態に制御される。この際、他の制御素子はオフ状態である。データの読み込み時には、読出し用制御素子110bから磁気抵抗効果素子10bの積層方向に電流を流すことができ、磁気抵抗効果素子10bの抵抗値変化を読出すことができる。
ここで、読出し用制御素子110bのドレインから供給される電流値が1mAの場合は、磁気抵抗効果素子10bに1mAの電流が流れ、そのほとんどが素子選択用制御素子120bから読み出される。スピン軌道トルク配線20bの抵抗21b側には、約0.13[nA(ナノアンペア)]が流れる。そして、横方向で近接する素子選択用制御素子120aに約1.7[pA(ピコアンペア)]のリーク電流が流れる。すなわち、本実施形態の磁気メモリ200は、読み込み時の電流リークは僅かである。
次に、データの書き込み時の動作例を説明する。
スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100bへのデータの書き込み時には、素子選択用制御素子120bと書込み用制御素子130aとがオン状態に制御され、書込み用制御素子130aのソースからスピン軌道トルク配線20bに電流が流れる。この際、他の制御素子はオフ状態である。これにより、磁気抵抗効果素子10bの第2強磁性金属層2の磁化反転(書込み)を行うことができる。
ここで、書込み用制御素子130aのソースから電流値が1mAの場合は、スピン軌道トルク配線20bにほぼ1mAの電流が流れる。横方向で近接する素子選択用制御素子120aに流れるリーク電流は僅かに約1.7[pA]である。すなわち、本実施形態の磁気メモリ200は、書き込み時の電流リークは僅かである。
[集積度]
次に、集積度について説明する。
図1に示す磁気メモリ200では、例えば書込み用制御素子130aが、複数のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(100a,100b)に渡っており、集積基板の端部等にまとめて設けることができる。換言すると、図1に示す磁気メモリ200において書込み用制御素子130aは、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(100a,100b)の集積性に大きな影響を及ぼさない。このため、集積回路の集積性に影響を与える一つの単位セルは、一つのスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100と二つの制御素子とによって構成されていると言える。二つの制御素子は、磁気メモリ200における読出し用制御素子110と素子選択用制御素子120である。
従来、SOTを用いたスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子には、それぞれ3つの制御素子が必要と考えられていたが、上述のように配置によっては集積性に影響を及ぼす制御素子を2つに収めることができる。
次に、磁気メモリ200を集積回路にしたときの構成例と配置例を説明する。
図2は、第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100、読出し用制御素子110、素子選択用制御素子120、及びスピン軌道トルク配線20を三次元的に配置したときの射視図である。図2において、磁気抵抗効果素子10の積層方向をz方向、スピン軌道トルク配線20が延在する第1の方向をx方向、z方向及びx方向のいずれにも直交する第2の方向をy方向とする。また、図2において、符号151〜符号157それぞれは、各層に設けられる配線を表している。また、符号161は、配線と配線とを接続する貫通ビアを表している。
なお、図2に示した配置例は一例であり、これに限られない。
図2に示すように、スピン軌道トルク配線20に磁気抵抗効果素子10が接合されている。
磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性金属層1が配線151〜配線153と貫通ビア161とを介して、読出し用制御素子110に接続されている。
スピン軌道トルク配線20は、一端(第1接続点)が配線154と貫通ビア161とを介して、素子選択用制御素子120に接続されて、他端(第2接続点)が貫通ビア161を介して配線155に接続されている。なお、配線155には、書込み用制御素子130(図1)が接続されている。
図2に示すように、集積化された磁気メモリ200は、磁気抵抗効果素子10のz方向の下方に読出し用制御素子110と素子選択用制御素子120とが配置されている。集積化された磁気メモリ200は、書込み用制御素子130がビット共通に接続されている。ビットとは情報の単位であり、実施形態では、1ビットの情報を読み出し・書き込みできる回路構成を1つの固まりとする。
図2に示すように、磁気メモリ200は、素子選択用制御素子120と書込み用制御素子130が、第1方向(z方向)と第2方向(x方向)と交差する第3方向(y方向)に近接して配置されている。
磁気メモリ200において、素子選択用制御素子120及び書込み用制御素子130に流れる最大電流が、読出し用制御素子110に流れる最大電流よりも大きくしてもよい。
図2において読出し用制御素子110のx方向の長さを素子選択用制御素子120と同じ長さで示しているが、読出し用制御素子110のx方向の長さは、配線156と絶縁空間分と配線153を足したx方向の長さであればよい。例えば、回路構成における長さの最小加工寸法をFとすると、読出し用制御素子110のx方向の最小の長さは、3Fである。また、読出し用制御素子110のy方向の最小の長さは、3Fである。これにより、読出し用制御素子110を他の制御素子より小さく構成することができる。
次に、一つの単位セルの大きさについて検討する。
一つの単位セルは、一つのスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100と二つの制御素子とによって決定される。そのため、これらの素子をどのように配置するかが問題になる。またスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100及び二つの制御素子を適切に動作させるために必要なそれぞれの素子サイズを見積もる必要がある。
まず、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100及び二つの制御素子を適切に動作させるために必要なそれぞれの素子サイズを見積もる。
スピントランスファートルク(Spin Transfer Torque;STT)を用いたSRAM(Static Randam Access Memory、以下「STT−SRAM」と言う)では、一例として直径90nmの円柱状の磁気抵抗効果素子が用いられる。この場合、磁気抵抗効果素子を積層方向から見た際の断面積は、(90/2)×π=6361nmとなる。このサイズの断面積を有する磁気抵抗効果素子は、熱擾乱等の影響を受けても10年間安定的にデータを保持できる。
安定的にデータを保持するために必要な磁気抵抗効果素子の断面積は、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100でも同等である。そのため、磁気抵抗効果素子を積層方向から見た際の断面積としては、6300nm程度が必要である。この断面積は、x方向の長さがL1でy方向の長さがL2の立方体形状の磁気抵抗効果素子において「x方向の長さL1」に「y方向の長さL2」を乗じた値に対応する。
x方向の長さL1とy方向の長さL2は、任意に設定できる。現状の半導体における最小加工寸法(feature size:F)は7nmと言われている。この場合は、y方向の長さL2は最低でも7nmであり、x方向の長さは900nmとなる。この他にも以下の表1に示すように、x方向の長さL1及びy方向の長さL2を設定できる。いずれにおいても、「y方向の長さL2」×「x方向の長さL1」≒6300nmであり、安定的にデータを保持できる。
表1は、磁気抵抗効果素子10のx方向の長さL1及びy方向の長さL2を変えた場合のそれぞれにおいて必要な電流量を示す表である。いずれの電流量も、同程度のデータ保持性を有するSTT−SRAMの磁化反転に必要な400μAと比較して十分小さい値である。
Figure 2018074141
また、表1に示すように、1ビットの情報を記憶するために必要な空間的な構成において、回路構成における長さの最小加工寸法の単位をFとした場合、回路構成に必要な第2方向(x方向)と第3方向(y方向)の平面の面積の最大値は1056Fである。また、磁気抵抗効果素子を素子の微細化可能なサイズまで減少させることができると仮定したが、磁気抵抗効果素子は1Fで作製できることとなる。制御素子の最小サイズは3Fで作製でき、制御素子は少なくとも2つ必要である。よって、制御素子が並ぶ方向には7Fが必要である。構成するセル同士を分ける領域として、少なくとも第2方向(x方向)と第3方向(y方向)にそれぞれ1Fが必要であるため、1ビットの情報を記憶するために必要な空間的な構成は(1+1)×(7+1)Fとなり、16Fが必要である。つまり、第2方向(x方向)と第3方向(y方向)の平面の面積の最小値は16Fである。
一方で、記憶素子として用いるためには、データを書き換えることができる必要がある。
STT−SRAMにおいて磁気抵抗効果素子の磁化を反転させる(データを書き換える)ためには、「磁気抵抗効果素子の断面積」に「磁化反転に必要な電流密度」を乗じた電流量が必要である。例えば、この電流量を400μAとすると、磁化反転に必要な電流密度は400μA/6361nm=6.2×10A/cmとなる。
本実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100では、データを書き換えるためには、「磁化反転に必要な電流密度」に「スピン軌道トルク配線20の断面積(WH)」を乗じた電流が必要になる。
「磁化反転に必要な電流密度」は、磁気抵抗効果素子の断面積が同等であるため、STT−SRAMにおける磁気抵抗効果素子を磁化反転させるのに必要な電流密度と大きく変わらない。すなわち、6.2×10A/cmとすることができる。
また、「スピン軌道トルク配線20の断面積(WH)」は、以下のように決定される。
スピン軌道トルク配線20の幅Wは、磁気抵抗効果素子10のy方向の長さL2以上である必要がある。またスピン軌道トルク配線20の厚みHは、スピン軌道トルク配線20の幅Wにもよるが十分な電流を流すためには、10nm程度必要である。
すなわち、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100においてデータを書き換えるのに必要な最小電流は、「磁化反転に必要な電流密度」に「y方向の長さL2(=スピン軌道トルク配線20の幅W)」と「スピン軌道トルク配線20の厚みH」を乗じた値となる。
一方で、磁化反転に必要な電流の制御は、それぞれの制御素子によって行われる。換言すると、それぞれの制御素子は、磁化反転に必要な電流を流すだけの能力が必要である。
すなわち、磁化反転に必要な電流量からそれぞれの制御素子に必要な素子サイズを見積もることができる。
図3は、第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子に用いられる制御素子の要部を示した斜視模式図である。読出し用制御素子110、素子選択用制御素子120及び書込み用制御素子130には、同じものを用いることができるため、以下、制御素子Tとして説明する。図3に示すように、制御素子Tは、ソース電極Sと、ドレイン電極Dと、チャネルCとを備える。
ソース電極Sの幅、ドレイン電極Dの幅及びソース電極Sとドレイン電極Dとの距離を最小加工寸法Fで固定すると、ソース電極Sとドレイン電極D間に流すことができる単位幅Wa当りの所定の電流量が決まる。単位幅を1μmの場合、一例として所定の電流量は0.5mAとなる。この場合、表1に示す実施例1のように磁化反転に必要な反転電流が4μAであれば、制御素子の幅Wcは8μm以上にする必要がある。表1には、その他の例における必要な制御素子の幅Wcも示した。
上述のように、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100及び二つの制御素子Tを適切に動作させるために必要なそれぞれの素子サイズを見積もることができる。次いで、一つのスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100と二つの制御素子Tとをどのように配置するかを検討する。
図4は、第1実施形態に係る一つのスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子と二つの制御素子を配置するために必要なセルサイズを説明するための図である。
スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100の大きさを最小加工寸法に正規化して表すと、x方向の長さL1はnF、y方向の長さL2はnFとなる。n及びnは設計値であるが、上述した表1に示すような相対関係を有する。
一方で、制御素子Tの一辺の長さは、ソース電極の幅、ドレイン電極の幅、及び、ソース電極とドレイン電極間のチャネル領域を確保するために、3Fが必要となる。これに対し、もう一辺の長さnFはチャネルCに流す電流量によって決まる(表1参照)。
これらの素子を所定の領域R内に配設する。スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100と、制御素子Tは同一平面上に加工する必要はなく、z方向から見て重畳させることができる。これに対し、制御素子Tは配線等の取り回しの関係上、y方向に並列に近接して配置する。
同一平面に存在する近接する素子間には、素子同士の短絡を避けるためのスペースが必要である。このスペースには、少なくとも最小加工寸法F分だけの間隔が必要となる。このように、集積回路の単位セルとしてy方向には8F分の幅が必要である。すなわち、1ビットの前記情報を記憶するために必要な空間的な構成において、回路構成における長さの最小加工寸法の単位をFとした場合、第3方向(y方向)の長さが8Fである。
集積回路の単位セルのx方向には、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100のx方向の長さ(nF)または制御素子Tのx方向の長さ(nF)のいずれか大きい方以上の大きさが必要である。実際には貫通ビアを作製するスペース(2F)、近接する素子間の距離を確保するスペース(1F)として、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100のx方向の長さ(nF)または制御素子Tのx方向の長さ(nF)のいずれか大きい方の値に3Fを足した分の幅が必要になる。
表1に示すように、実施例11を除くほとんどの場合で、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100のx方向の長さ(nF)が、集積回路の単位セルに必要なx方向の大きさを決定する。
このように、集積回路の単位セルに必要なセル面積は、8F×{(nF又はnF)+3}となる。ここで、「nF又はnF」はいずれか大きい方が選択される。磁気抵抗効果素子の形状を変えた際に必要なセル面積は、表1に示したようになる。
セル面積は、磁気抵抗効果素子10のx方向の幅L1(nF)と、制御素子Tのx方向の長さ(nF)の差が大きくなるほど大きくなる。この理由は、図4に示すように、素子が形成されないデッドスペースDSが増えるためである。すなわち、集積性の観点からは、磁気抵抗効果素子10のx方向の幅L1(nF)と、制御素子Tのx方向の長さ(nF)の差は小さい方が好ましい。なお、図5に示すように、デッドスペースDSを埋めるように、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100及び制御素子Tを配設し、集積度を高めてもよい。
図5は、第1実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の集積性を高めるための配置を示す図である。図5に示す例は、3組のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100及び制御素子Tを配置した例である。
図5に示すように、磁気メモリ200において、磁気抵抗効果素子10が第2方向(x方向)および第3方向(y方向)のうち少なくとも1つの方向に等間隔で配置されているようにしてもよい。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
また、図5に示すように、磁気メモリ200において、1ビットの情報を記憶するために必要な領域が、第2方向(x方向)に等間隔で近接して配置されているようにしてもよい。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
また、図5に示すように、磁気メモリ200において、1ビットの情報を記憶するために必要な領域が第3方向(y方向)に等間隔で配置されているようにしてもよい。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
図6は、本実施形態に係る磁気メモリ200における2ビット分の集積回路の配置イメージ図である。図6の座標系は、図2と同様である。図2では、図1に示した回路のうち、磁気抵抗効果素子10aと磁気抵抗効果素子10bに関する回路による2ビット分の集積回路の配置例をイメージ図として示している。
図6に示しように、デッドスペースに各配線、各貫通ビア、各制御素子を各層の空間に配置することができることを示している。このように配置することで、xy平面で見たとき図5で説明したように配置することができる。
また、図6に示した例は、読出し用制御素子110の大きさが素子選択用制御素子120の大きさより小さい例でもある。
また、図6では制御素子として、素子選択用制御素子120と書込み用制御素子130とを単位セルに組み込んでおり、図1の回路図に従った構造である。図6に示すように、3つの制御素子を繋ぐ配線は、互いに短絡することなく取り回されている。すなわち、図5に示す制御素子の配置は、立体構造を考慮しても可能であることが分かる。なお、図1の回路図に従った場合(図視略)でも、立体構造をとることが可能であることは確認した。
一方で、反転電流量を小さくするという観点からは、磁気抵抗効果素子10のx方向の幅L1(nF)と、制御素子Tのx方向の長さ(nF)の差が大きくなっても、磁気抵抗効果素子10のy方向の幅L2(nF)を小さくすることが好ましい。
ここで、最小加工寸法Fを10nmとして同様の検討を行った結果を表2に、最小加工寸法Fを28nmとして同様の検討を行った結果を表3に示す。表2及び表3においても表1の結果と同様の結果が確認できた。
Figure 2018074141
Figure 2018074141
なお、比較例1〜5(表3)では、磁気抵抗効果素子のy方向の幅L2がx方向の幅L1より大きく、磁化反転に必要な反転電流量が大きい。また集積回路のセル面積のx方向の幅が、制御素子の大きさに起因しており、集積度が悪くなっている。
また、表1〜表3に示した例は、情報(データ)を10年間、保持し続けられる条件で算出している。
MRAMをキャッシュ等に用いる場合、情報が保持される時間は短い。このため、一例として、情報が保持される時間が1秒の場合の例を表4〜表6に示す。
表4は、情報が保持される時間が1秒の場合の磁気抵抗効果素子10のx方向の長さL1及びy方向の長さL2を変えた場合のそれぞれにおいて必要な電流量を示す表である。
表4は、最小加工寸法Fが7nmであり、表1に対応する表である。いずれの電流量も、同程度のデータ保持性を有するSTT−MRAMの磁化反転に必要な400μAと比較して十分小さい値である。
Figure 2018074141
表5は、情報が保持される時間が1秒の場合の磁気抵抗効果素子10のx方向の長さL1及びy方向の長さL2を変えた場合のそれぞれにおいて必要な電流量を示す表である。
表5は、最小加工寸法Fが10nmであり、表2に対応する表である。
Figure 2018074141
表6は、情報が保持される時間が1秒の場合の磁気抵抗効果素子10のx方向の長さL1及びy方向の長さL2を変えた場合のそれぞれにおいて必要な電流量を示す表である。
表6は、最小加工寸法Fが28nmであり、表3に対応する表である。表5及び表6においても表4の結果と同様の結果が確認できた。
Figure 2018074141
以上のように、本実施形態の磁気メモリ200は、磁化方向が固定された第1強磁性金属層1と、磁化方向が変化する第2強磁性金属層2と、第1強磁性金属層1及び第2強磁性金属層2に挟持された非磁性層3と、をそれぞれ備え、情報(データ)を保持する複数の磁気抵抗効果素子10と、情報の読み込みを制御する複数の第1制御素子(読出し用制御素子110)であって、複数の第1強磁性金属層1毎に1つが接続される第1制御素子と、複数のスピン軌道トルク配線20であって、磁気抵抗効果素子10の積層方向である第1方向(z方向)に対して交差する第2方向(x方向)に延在し、第2強磁性金属層2毎に1つが接合するスピン軌道トルク配線20と、スピン軌道トルク配線20に流れる電流を制御する複数の第2制御素子(素子選択用制御素子120)であって、スピン軌道トルク配線20の第1接続点(抵抗22の他端)毎に1つが接続される第2制御素子と、複数のスピン軌道トルク配線20の第2接続点(抵抗21の他端)それぞれに接続され、情報の書き込みを制御する第3制御素子(書込み用制御素子130)と、を備える。
この構成によって、本実施形態の磁気メモリ200は、反転電流を下げることができる。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
また、本実施形態の磁気メモリ200Aは、スピン軌道トルク配線から磁気抵抗効果素子に電流が流れにくくなり、スピン軌道トルク配線層から供給されるスピン量が大きくなり、少ない電流での磁化反転が可能となる。
また、本実施形態の磁気メモリ200は、読み込み時の磁気抵抗を大きくとり、読み込みエラーを低減することができる。
また、本実施形態の磁気メモリ200は、集積性に影響を及ぼす制御素子を2つに収めることができる。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
また、本実施形態の磁気メモリ200は、読出し用制御素子110を他の制御素子より小さく構成することができる。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、書込み用制御素子130がマトリックスとして見たとき横方向に並ぶ複数のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100に共通に設けられている例を説明した。本実施形態では、読出し用制御素子110がマトリックスとして見たとき縦方向に並ぶ複数のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100に共通に設けられている例を説明する。
図7は、第2実施形態に係る磁気メモリ200Aの一例の回路図である。図7において、磁気抵抗効果素子10の積層方向をz方向、スピン軌道トルク配線20が延在する第1の方向をx方向、z方向及びx方向のいずれにも直交する第2の方向をy方向とする。
図7に示す磁気メモリ200Aは、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(100a,100b,100c,100d)、読出し用制御素子110(110a,110b;第1制御素子)、素子選択用制御素子120(120a,120b,120c,120d;第2制御素子)、及び書込み用制御素子130(130a,130b,130c,130d;第3制御素子)を備える。スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100aは、磁気抵抗効果素子10a、及びスピン軌道トルク配線20aを備える。スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100bは、磁気抵抗効果素子10b、及びスピン軌道トルク配線20bを備える。第1実施形態の磁気メモリ200と同じ機能を有する機能部には同じ符号を用いる。スピン軌道トルク配線20は、磁気抵抗効果素子10の積層方向である第1方向(z方向)に対して交差する第2方向(x方向)に延在し、第2強磁性金属層2に接合している。磁気メモリ200Aにおいて、磁気抵抗効果素子10の第1方向(z方向)に垂直の面における長軸が、第2方向(x方向)である。
[磁気メモリ200Aの接続関係]
ここで、磁気メモリ200Aの接続関係を説明する。
読出し用制御素子110aは、ドレイン電極DとチャネルCとソース電極Sとを備える。ドレイン電極Dは不図示の電源に接続される端子に接続され、チャネルCは不図示の制御装置に接続される端子に接続され、ソース電極Sは磁気抵抗効果素子10aの第1強磁性金属層1と磁気抵抗効果素子10cの第1強磁性金属層1とに接続される。
磁気抵抗効果素子10aの第2強磁性金属層2は、スピン軌道トルク配線20aに接合され、抵抗21aと抵抗22aとの間に接続される。
抵抗21aの第2接続点は、書込み用制御素子130aのソース電極Sに接続される。
抵抗22aの第1接続点は、素子選択用制御素子120aのドレイン電極Dに接続される。
素子選択用制御素子120aは、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続され、ソース電極Sが素子選択用制御素子120bのソース電極Sと、データを読み出す読出し端子に接続される。
書込み用制御素子130aは、ドレイン電極Dが書込み用制御素子130bのドレイン電極Dと不図示の電源に接続される端子とに接続され、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続される。
読出し用制御素子110bは、ドレイン電極Dが不図示の電源に接続される端子に接続され、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続され、ソース電極Sが磁気抵抗効果素子10bの第1強磁性金属層1と磁気抵抗効果素子10dの第1強磁性金属層1とに接続される。
磁気抵抗効果素子10bの第2強磁性金属層2は、スピン軌道トルク配線20bに接合され、抵抗21bと抵抗22bとの間の中間接続点に接続される。
抵抗21bの第2接続点は、書込み用制御素子130bのソース電極Sに接続される。
抵抗22bの第1接続点は、素子選択用制御素子120bのドレイン電極Dに接続される。
素子選択用制御素子120bは、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続される。
書込み用制御素子130bは、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続される。
磁気抵抗効果素子10cの第2強磁性金属層2は、スピン軌道トルク配線20cに接合され、抵抗21cと抵抗22cとの間の中間接続点に接続される。
抵抗21cの第2接続点は、書込み用制御素子130cのソース電極Sに接続される。
抵抗22cの第1接続点は、素子選択用制御素子120cのドレイン電極Dに接続される。
素子選択用制御素子120cは、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続され、ソース電極Sが素子選択用制御素子120dのソース電極Sと、データを読み出す読出端子に接続される。
書込み用制御素子130cは、ドレイン電極Dが書込み用制御素子130dのドレイン電極Dと不図示の電源に接続される端子とに接続され、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続される。
磁気抵抗効果素子10dの第2強磁性金属層2は、スピン軌道トルク配線20dに接合され、抵抗21dと抵抗22dとの間の中間接続点に接続される。
抵抗21dの第2接続点は、書込み用制御素子130dのソース電極Sに接続される。
抵抗22dの第1接続点は、素子選択用制御素子120dのドレイン電極Dに接続される。
素子選択用制御素子120dは、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続される。
書込み用制御素子130dは、チャネルCが不図示の制御装置に接続される端子に接続される。
磁気抵抗効果素子10の抵抗値は、磁気抵抗効果素子10に接するスピン軌道トルク配線20層の抵抗値よりも高くしてもよい。このような構成にすると、スピン軌道トルク配線から磁気抵抗効果素子に電流が流れにくくなる。その結果、スピン軌道トルク配線層から供給されるスピン量が大きくなり、少ない電流による磁化反転が可能となる。
また、磁気メモリ200において、読出し用制御素子110の抵抗値が磁気抵抗効果素子10の抵抗値よりも小さくしてもよい。このような構成にすることで、読み込み時の磁気抵抗を大きくとり、読み込みエラーを低減できる。
図7に示した回路図は一例であり、これに限られない。例えば、磁気抵抗効果素子10は、縦方向に2つ以上であってもよく、横方向に2つ以上であってもよい。例えば、縦方向に3つであり、さらに磁気抵抗効果素子10eと磁気抵抗効果素子10fを備えているようにしてもよい。この場合、読出し用制御素子110aのソース電極Sは、磁気抵抗効果素子10eの第1強磁性金属層1に接続され、読出し用制御素子110bのソース電極Sは、磁気抵抗効果素子10fの第1強磁性金属層1に接続される。
[読み出し動作時のリーク電流、書き込み動作時のリーク電流]
次に、磁気メモリ200Aにおけるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(100a,100b)、読出し用制御素子110(110a,110b)、素子選択用制御素子120(120a,120b)、及び書込み用制御素子130(130a,130b)の動作について説明する。
まず、データの読み込み時の動作例を説明する。
スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100bへのデータの読み込み時には、読出し用制御素子110bと素子選択用制御素子120bとがオン状態に制御される。この際、他の制御素子はオフ状態である。データの読み込み時には、読出し用制御素子110bから磁気抵抗効果素子10bの積層方向に電流を流すことができ、磁気抵抗効果素子10bの抵抗値変化を読出すことができる。
ここで、読出し用制御素子110bのドレインから供給される電流値が1mAの場合は、素子選択用制御素子120bがオン状態になっている磁気抵抗効果素子10bにほぼ1mAの電流が流れ、素子選択用制御素子120dがオフ状態になっている磁気抵抗効果素子10dに電流が流れない。このため、素子選択用制御素子120bに横方向で近接する素子選択用制御素子120aへのリーク電流は、ほぼ0[A]である。すなわち、本実施形態の磁気メモリ200Aは、読み込み時の電流リークは、ほぼ0[A]である。
次に、データの書き込み時の動作例を説明する。
スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100bへのデータの書き込み時には、素子選択用制御素子120bと書込み用制御素子130bとがオン状態に制御され、書込み用制御素子130bのソースからスピン軌道トルク配線20bに電流が流れる。この際、他の制御素子はオフ状態である。これにより、磁気抵抗効果素子10bの第2強磁性金属層2の磁化反転(書込み)を行うことができる。
ここで、書込み用制御素子130bのソースに流れる電流値が1mAの場合は、磁気抵抗効果素子10に約0.976mAの電流が流れる。縦方向に近接する磁気抵抗効果素子10dに流れるリーク電流は僅かに約0.8pAである。また、素子選択用制御素子120aと書込み用制御素子130aとがオフ状態に制御されているため、横方向に近接する磁気抵抗効果素子10aに流れるリーク電流は、僅かに約1.7pAである。すなわち、本実施形態の磁気メモリ200Aは、書き込み時の電流リークは僅かである。
[集積度]
次に、集積度について説明する。
図7に示す磁気メモリ200Aでは、例えば読出し用制御素子110aが、複数のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(100a,100c)に渡っており、集積基板の端部等にまとめて設けることができる。換言すると、図7に示す磁気メモリ200Aにおいて読出し用制御素子110aは、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100(100a,100c)の集積性に大きな影響を及ぼさない。
このため、集積回路の集積性に影響を与える一つの単位セルは、一つのスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100と二つの制御素子とによって構成されていると言える。二つの制御素子は、磁気メモリ200Aにおける素子選択用制御素子120と書込み用制御素子130である。
本実施形態においても、上述のように配置によっては、集積性に影響を及ぼす制御素子を2つに収めることができる。
次に、磁気メモリ200Aを集積回路にしたときの構成例と配置例を説明する。
図8は、第2実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100、素子選択用制御素子120、書込み用制御素子130、及びスピン軌道トルク配線20を三次元的に配置したときの射視図である。なお、座標系は、図2と同様である。図8において、符号171〜符号174それぞれは、各層に設けられる配線を表している。符号161は、配線と配線とを接続する貫通ビアを表している。
図8に示した配置例は一例であり、これに限られない。
図8に示すように、スピン軌道トルク配線20に磁気抵抗効果素子10が接合されている。
磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性金属層1が、配線171に接続されている。また、配線171は、図7に示したように近接する複数の磁気抵抗効果素子10に接続されている。なお、配線171には、読出し用制御素子110(図7)が接続されている。
スピン軌道トルク配線20は、一端が配線172と貫通ビア161とを介して素子選択用制御素子120(図7)に接続されて、他端が配線173と貫通ビア161を介して書込み用制御素子130(図7)に接続されている。
図8に示すように、集積化された磁気メモリ200Aは、磁気抵抗効果素子10のz方向の下方に素子選択用制御素子120と書込み用制御素子130とが配置されている。集積化された磁気メモリ200Aは、読出し用制御素子110がビット共通に接続されている。
図8に示すように、磁気メモリ200Aは、素子選択用制御素子120と書込み用制御素子130が、第1方向(z方向)と第2方向(x方向)と交差する第3方向(y方向)に近接して配置されている。
磁気メモリ200Aにおいて、素子選択用制御素子120及び書込み用制御素子130に流れる最大電流が、読出し用制御素子110に流れる最大電流よりも大きくなるようにしてもよい。
図8において読出し用制御素子110のx方向の長さを素子選択用制御素子120と同じ長さで示しているが、読出し用制御素子110のx方向の長さは、配線156と絶縁空間分と配線153を足したx方向の長さであればよい。例えば、回路構成における長さの最小加工寸法をFとすると、読出し用制御素子110のx方向の最小の長さは、3Fである。また、読出し用制御素子110のy方向の最小の長さは、3Fである。これにより、読出し用制御素子110を他の制御素子より小さく構成することができる。
図8に示すように、同一平面に存在する隣接する素子間には、素子同士の短絡を避けるためのスペースが必要である。このスペースには、最小加工寸法F分だけの間隔が必要となる。すなわち、集積回路の単位セルとしてy方向には8F分の幅が必要である。
第2実施形態の磁気メモリ200Aの集積回路は、第1実施形態で図4、図5を用いて説明したのと同様に構成することができる。
このため、磁気メモリ200Aにおいても、磁気抵抗効果素子10が第2方向(x方向)および第3方向(y方向)のうち少なくとも1つの方向に等間隔で配置されているようにしてもよい。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
また、磁気メモリ200Aにおいても、1ビットの情報を記憶するために必要な領域が、第2方向(x方向)に等間隔で近接して配置されているようにしてもよい。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
また、磁気メモリ200Aにおいても、1ビットの情報を記憶するために必要な領域が第3方向(y方向)に等間隔で配置されているようにしてもよい。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
以上のように、本実施形態の磁気メモリ200Aは、磁化方向が固定された第1強磁性金属層1と、磁化方向が変化する第2強磁性金属層2と、第1強磁性金属層1及び第2強磁性金属層2に挟持された非磁性層3と、をそれぞれ備え、情報(データ)を保持する複数の磁気抵抗効果素子10と、複数の第1強磁性金属層1それぞれに接続され、情報の読み込みを制御する第1制御素子(読出し用制御素子110)と、複数のスピン軌道トルク配線20であって、磁気抵抗効果素子10の積層方向である第1方向(z方向)に対して交差する第2方向(x方向)に延在し、第2強磁性金属層2毎に1つが接合するスピン軌道トルク配線20と、スピン軌道トルク配線20に流れる電流を制御する複数の第2制御素子(素子選択用制御素子120)であって、スピン軌道トルク配線20の第1接続点(抵抗22の他端)毎に1つが接続される第2制御素子と、情報の書き込みを制御する複数の第3制御素子(書込み用制御素子130)であって、スピン軌道トルク配線20の第2接続点(抵抗21の他端)毎に1つが接続される第3制御素子と、を備える。
この構成によって、本実施形態の磁気メモリ200Aは、上述したように反転電流(リーク電流)を下げることができる。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
また、本実施形態の磁気メモリ200Aは、スピン軌道トルク配線層から磁気抵抗効果素子に電流が流れにくくなり、スピン軌道トルク配線から供給されるスピン量が大きくなり、少ない電流での磁化反転が可能となる。
また、本実施形態の磁気メモリ200Aは、読み込み時の磁気抵抗を大きくとり、読み込みエラーを低減することができる。
また、本実施形態の磁気メモリ200Aは、集積性に影響を及ぼす制御素子を2つに収めることができる。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
また、本実施形態の磁気メモリ200Aは、読出し用制御素子110を他の制御素子より小さく構成することができる。これにより、本実施形態によれば、集積度を向上させることができる。
<第3実施形態>
ここで、実施形態の磁気メモリを磁場アシストSOT−MRAMに適用する例を説明する。
図9は、第3実施形態に係るスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100、書込み用制御素子130、素子選択用制御素子120、スピン軌道トルク配線20、及び磁場提供配線192を三次元的に配置したときの変形例の射視図である。本実施形態において、書込み用制御素子130と素子選択用制御素子120のチャンネルの向きがx方向である。なお、座標系は、図2と同様である。図9において、符号181〜符号183それぞれは、各層に設けられる配線を表している。符号161は、配線と配線とを接続する貫通ビアを表している。符号191は、絶縁層である。符号192は、磁気抵抗効果素子10の磁化方向に垂直な方向に磁場を印可するための磁場提供配線である。
図9に示した配置例は一例であり、これに限られない。
図9に示すように、スピン軌道トルク配線20に磁気抵抗効果素子10が接合されている。
磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性金属層1が、配線181に接続されている。配線181と磁場提供配線192との間に絶縁層191が形成されている。また、配線181には、読出し用制御素子110が接続されている。配線181に通電している時に、書込み用制御素子130と素子選択用制御素子120がオン状態になることによって書き込み動作が行われる。
スピン軌道トルク配線20は、一端が貫通ビア161を介して素子選択用制御素子120に接続されて、他端が貫通ビア161を介して書込み用制御素子130に接続されている。素子選択用制御素子120には、配線182が接続されている。書込み用制御素子130には、配線183が接続されている。
図9に示した例では、磁気抵抗効果素子10のz方向の上部に読出し用制御素子110がされる配線181を配置し、磁気抵抗効果素子10のz方向の下部に書込み用制御素子130と素子選択用制御素子120を配置する例を示したが、これに限られない。
磁気抵抗効果素子10のz方向の上部に書込み用制御素子130が接続される配線183を配置し、磁気抵抗効果素子10のz方向の下部に素子選択用制御素子120と読出し用制御素子110を配置するようにしてもよい。
図9の構成によれば、図2等の構成と比較してシンプルに磁気抵抗効果素子10と各制御素子とを接続することができるので、磁気メモリ200Bを低コストでの作成が可能である。
図9に示す集積化された磁気メモリ200Bは、図8に示した磁気メモリ200Aと同様に、磁気抵抗効果素子10のz方向の下方に素子選択用制御素子120と書込み用制御素子130とが配置されている。集積化された磁気メモリ200Bは、読出し用制御素子110がビット共通に接続されている。
図9に示した構成は一例であり、図2や図8の主旨と同様に配置するようにしてもよい。これにより、本実施形態においても、第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
第1実施形態または第2実施形態では制御素子をy方向に並列配置したが、図9と同様の主旨で制御素子Tをx方向に並列配置することもできる。
ここで、磁気メモリ200Bを配置するために必要なセルサイズを、図9を参照しつつ図10を用いて説明する。
図10に示すように、各素子の大きさは変わらない。一方で、配置が変化することで、二つの制御素子を設けるのに必要なx方向の幅が変化する。二つの制御素子に必要なx方向の幅は、各素子のx方向の幅(3F)の2倍に、素子間の距離(nF)を足したものとなる。素子間の距離は最短でFが必要なため、二つの制御素子に必要なx方向の幅は最低でも7F以上である必要がある。また、隣の単位セルとの間隔を確保するため、1Fが必要であるため、8F以上が必要となる。
この8Fの大きさは、2つの制御素子の大きさ(3×3)、制御素子同士の間隔(1)、隣のセルとのスペース(1)によって構成される。よって、スピン軌道トルク配線の長さは最低でも7Fとなる。スピン軌道トルク配線に面内の電流を流すには、下からコンタクトされる貫通ビア161(1)の2F分のスペースが必要であり、その内側に磁気抵抗効果素子が設置される。よって、7Fのスピン軌道トルク配線に許容される磁気抵抗効果素子のサイズは5Fとなる。一方で、磁気抵抗効果素子のサイズが5F以下だった場合でも、、スピン軌道トルク配線の長さは7F分必要である。磁気抵抗効果素子のサイズが5F以上の場合は、スピン軌道トルク配線の長さは磁気抵抗効果素子のサイズに3F(1+2)を足した分が必要となる。
y方向の長さは制御素子(1)とセル間のスペース(1)であるので、必要な電流から見積られたサイズに1Fを足せばy方向の長さとなる。この結果、x方向の長さは最低8F必要となる。
最小加工寸法Fを7nmとして、磁気抵抗効果素子の形状を変えた際に必要なセル面積を表7に、最小加工寸法Fを10nmとして、磁気抵抗効果素子の形状を変えた際に必要なセル面積を表8に、最小加工寸法Fを28nmとして、磁気抵抗効果素子の形状を変えた際に必要なセル面積を表9に示す。表7〜表9に示すように、制御素子のチャンネルの方向とMTJの長軸は直交する組み合わせの方が、集積度が高くなる。また、表7〜表9に示した例は、情報(データ)を10年間、保持し続けられる条件で算出している。
Figure 2018074141
Figure 2018074141
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以上のように、本実施形態の磁気メモリ200Bは、磁気抵抗効果素子10に接する絶縁層181が設置され、絶縁層を挟んで磁気抵抗効果素子の磁化方向に垂直な方向に磁場を印可するための磁場提供配線182が設置される。
これにより、本実施形態によれば、第1実施形態の磁気メモリ200または第2実施形の磁気メモリ200Aの一部を磁場アシストSOT−MRAMに適用することができる。
この結果、本実施形態によれば、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、反転電流を下げることができ、集積化を向上させることができる。
<スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100、磁気抵抗効果素子10の説明>
スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100について説明する。
図11は、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100を模式的に示した斜視図である。
図11に示すようにスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100は、磁気抵抗効果素子10と、スピン軌道トルク配線20とを備える。なお、図11の座標は図2と同様である。
次に、磁気抵抗効果素子10について説明する。
磁気抵抗効果素子10は、磁化方向が固定された第1強磁性金属層1と、磁化方向が変化する第2強磁性金属層2と、第1強磁性金属層1及び第2強磁性金属層2に挟持された非磁性層3とを備える。
磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性金属層1の磁化が一方向に固定され、第2強磁性金属層2の磁化の向きが相対的に変化することで機能する。保磁力差型(擬似スピンバルブ型;Pseudo spin valve 型)のMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory;磁気抵抗メモリ)に適用する場合には、第1強磁性金属層1の保磁力を第2強磁性金属層2の保磁力よりも大きくする。交換バイアス型(スピンバルブ;spin valve型)のMRAMに適用する場合には、磁気抵抗効果素子における第1強磁性金属層1の磁化を、反強磁性層との交換結合によって固定する。
また、磁気抵抗効果素子10は、非磁性層3が絶縁体からなる場合は、トンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magnetoresistance)素子であり、非磁性層3が金属からなる場合は巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistance)素子である。
磁気抵抗効果素子10の積層構成は、公知の磁気抵抗効果素子の積層構成を採用できる。例えば、各層は複数の層からなるものでもよいし、第1強磁性金属層1の磁化方向を固定するための反強磁性層等の他の層を備えてもよい。第1強磁性金属層1は固定層や参照層、第2強磁性金属層2は自由層や記憶層などと呼ばれる。
第1強磁性金属層1の材料には、公知のものを用いることができる。第1強磁性金属層1の材料には、例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属及びこれらの金属を1種以上含み強磁性を示す合金を用いることができる。第1強磁性金属層1の材料には、またこれらの金属と、B、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とを含む合金を用いることもできる。具体的には、Co−FeやCo−Fe−Bが挙げられる。また、第1強磁性金属層1の材料には、より高い出力を得るためにはCoFeSiなどのホイスラー合金を用いることが好ましい。ホイスラー合金は、XYZの化学組成をもつ金属間化合物を含み、Xは、周期表上でCo、Fe、Ni、あるいはCu族の遷移金属元素または貴金属元素であり、Yは、Mn、V、CrあるいはTi族の遷移金属又は上記のXの元素種であり、Zは、III族からV族の典型元素である。第1強磁性金属層1の材料には、例えば、CoFeSi、CoMnSiやCoMn1−aFeAlSi1−bなどが挙げられる。
また、第1強磁性金属層1の第2強磁性金属層2に対する保磁力をより大きくするために、第1強磁性金属層1と接する材料には、IrMn,PtMnなどの反強磁性材料を用いてもよい。さらに、第1強磁性金属層1の漏れ磁場を第2強磁性金属層2に影響させないようにするため、第1強磁性金属層1の第2強磁性金属層2との構造は、シンセティック強磁性結合の構造であってもよい。
さらに第1強磁性金属層1の磁化の向きを積層面に対して垂直にする場合には、CoとPtの積層膜を用いることが好ましい。具体的には、第1強磁性金属層1は、非磁性層3側から順にFeB(1.0nm)/Ta(0.2nm)/[Pt(0.16nm)/Co(0.16nm)]/Ru(0.9nm)/[Co(0.24nm)/Pt(0.16nm)]とすることができる。
第2強磁性金属層2の材料として、強磁性材料、特に軟磁性材料を適用できる。例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの金属を1種以上含む合金、これらの金属とB、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とが含まれる合金等を用いることができる。具体的には、Co−Fe、Co−Fe−B、Ni−Feが挙げられる。
第2強磁性金属層2の磁化の向きはz方向に(積層面に対して垂直に)配向している。
第2強磁性金属層2の磁化の向きがz方向に配向することで、磁気抵抗効果素子10の大きさを小さくできる。第2強磁性金属層2の磁化の向きは、第2強磁性金属層2を構成する結晶構造及び第2強磁性金属層2の厚みの影響を受ける。第2強磁性金属層2の厚みを2.5nm以下とすることが好ましい。垂直磁気異方性は第2強磁性金属層2の膜厚を厚くすることによって効果が減衰するため、第2強磁性金属層2の膜厚は薄い方が好ましい。
非磁性層3には、公知の材料を用いることができる。
例えば、非磁性層3が絶縁体からなる場合(トンネルバリア層である場合)、その材料としては、Al、SiO、MgO、及び、MgAl等を用いることができる。またこれらの他にも、Al,Si,Mgの一部が、Zn、Be等に置換された材料等も用いることができる。これらの中でも、MgOやMgAlはコヒーレントトンネルが実現できる材料であるため、スピンを効率よく注入できる。
非磁性層3が金属からなる場合、その材料としては、Cu、Au、Ag等を用いることができる。
なお、磁気抵抗効果素子10は、その他の層を有していてもよい。例えば、第2強磁性金属層2の非磁性層3と反対側の面に下地層を有していてもよいし、第1強磁性金属層1の非磁性層3と反対側の面にキャップ層を有していてもよい。
スピン軌道トルク配線20と磁気抵抗効果素子10との間に配設される層は、スピン軌道トルク配線20から伝播するスピンを散逸しないことが好ましい。例えば、銀、銅、マグネシウム、及び、アルミニウム等は、スピン拡散長が100nm以上と長く、スピンが散逸しにくいことが知られている。
またスピン軌道トルク配線20と磁気抵抗効果素子10との間に配設される層の厚みは、層を構成する物質のスピン拡散長以下であることが好ましい。この層の厚みがスピン拡散長以下であれば、スピン軌道トルク配線20から伝播するスピンを磁気抵抗効果素子10に十分伝えることができる。
次に、スピン軌道トルク配線20について説明する。
スピン軌道トルク配線20は、x方向に延在する。スピン軌道トルク配線20は、第2強磁性金属層2のz方向の一面に接続されている。スピン軌道トルク配線20は、第2強磁性金属層2に直接接続されていてもよいし、他の層を介して接続されていてもよい。
スピン軌道トルク配線20は、電流が流れるとスピンホール効果によって純スピン流が生成される材料からなる。かかる材料としては、スピン軌道トルク配線20中に純スピン流が生成される構成のものであれば足りる。従って、単体の元素からなる材料に限らないし、純スピン流が生成される材料で構成される部分と純スピン流が生成されない材料で構成される部分とからなるもの等であってもよい。ここで、スピンホール効果とは、材料に電流を流した場合にスピン軌道相互作用に基づき、電流の向きに直交する方向に純スピン流が誘起される現象である。
ここで、図12を参照して、スピンホール効果により純スピン流が生み出されるメカニズムを説明する。
図12は、スピンホール効果について説明するための模式図である。また、図12は、図11に示すスピン軌道トルク配線20をx方向に沿って切断した断面図である。
図12に示すように、スピン軌道トルク配線20の延在方向に電流Iを流すと、紙面奥側に配向した第1スピンS1と紙面手前側に配向した第2スピンS2はそれぞれ電流と直交する方向に曲げられる。通常のホール効果とスピンホール効果とは運動(移動)する電荷(電子)が運動(移動)方向を曲げられる点で共通するが、通常のホール効果は磁場中で運動する荷電粒子がローレンツ力を受けて運動方向を曲げられるのに対して、スピンホール効果では磁場が存在しないのに電子が移動するだけ(電流が流れるだけ)で移動方向が曲げられる点で大きく異なる。
非磁性体(強磁性体ではない材料)では第1スピンS1の電子数と第2スピンS2の電子数とが等しいので、図中で上方向に向かう第1スピンS1の電子数と下方向に向かう第2スピンS2の電子数が等しい。そのため、電荷の正味の流れとしての電流はゼロである。この電流を伴わないスピン流は特に純スピン流と呼ばれる。
強磁性体中に電流を流した場合は、第1スピンS1と第2スピンS2が互いに反対方向に曲げられる点は同じである。一方で、強磁性体中では第1スピンS1と第2スピンS2のいずれかが多い状態であり、結果として電荷の正味の流れが生じてしまう(電圧が発生してしまう)点が異なる。従って、スピン軌道トルク配線20の材料としては、強磁性体だけからなる材料は含まれない。
ここで、第1スピンS1の電子の流れをJ、第2スピンS2の電子の流れをJ、スピン流をJと表すと、J=J−Jで定義される。図12においては、純スピン流としてJが図中の上方向に流れる。ここで、Jは分極率が100%の電子の流れである。
図11に戻って、スピン軌道トルク配線20の説明を続ける。
図11において、スピン軌道トルク配線20の上面に強磁性体を接触させると、純スピン流は強磁性体中に拡散して流れ込む。すなわち、磁気抵抗効果素子10にスピンが注入される。
スピン軌道トルク配線20は、非磁性の重金属を含んでもよい。ここで、重金属とは、イットリウム以上の比重を有する金属の意味で用いている。スピン軌道トルク配線20は、非磁性の重金属だけから構成されていてもよい。この場合、非磁性の重金属は最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号39以上の原子番号が大きい非磁性金属であることが好ましい。かかる非磁性金属は、スピンホール効果を生じさせるスピン軌道相互作用が大きいからである。スピン軌道トルク配線20は、最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号39以上の原子番号が大きい非磁性金属だけからなってもよい。通常、金属に電流を流すとすべての電子はそのスピンの向きに関わりなく、電流とは逆向きに動くのに対して、最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号が大きい非磁性金属はスピン軌道相互作用が大きいためにスピンホール効果によって電子の動く方向が電子のスピンの向きに依存し、純スピン流Jが発生しやすい。
また、スピン軌道トルク配線20は、磁性金属を含んでもよい。磁性金属とは、強磁性金属、あるいは、反強磁性金属を指す。非磁性金属に微量な磁性金属が含まれるとスピン軌道相互作用が増強され、スピン軌道トルク配線20に流す電流に対するスピン流生成効率を高くできるからである。スピン軌道トルク配線20は、反強磁性金属だけからなってもよい。
スピン軌道相互作用は、スピン軌道トルク配線材料の物質の固有の内場によって生じるため、非磁性材料でも純スピン流が生じる。スピン軌道トルク配線材料に微量の磁性金属を添加すると、磁性金属自体が流れる電子スピンを散乱するためにスピン流生成効率が向上する。ただし、磁性金属の添加量が増大し過ぎると、発生した純スピン流が添加された磁性金属によって散乱されるため、結果としてスピン流が減少する作用が強くなる。したがって、添加される磁性金属のモル比はスピン軌道トルク配線における純スピン生成部の主成分のモル比よりも十分小さい方が好ましい。目安で言えば、添加される磁性金属のモル比は3%以下であることが好ましい。
また、スピン軌道トルク配線20は、トポロジカル絶縁体を含んでもよい。スピン軌道トルク配線20は、トポロジカル絶縁体だけからなってもよい。トポロジカル絶縁体とは、物質内部が絶縁体、あるいは、高抵抗体であるが、その表面にスピン偏極した金属状態が生じている物質である。物質にはスピン軌道相互作用という内部磁場のようなものがある。そこで外部磁場が無くてもスピン軌道相互作用の効果で新たなトポロジカル相が発現する。これがトポロジカル絶縁体であり、強いスピン軌道相互作用とエッジにおける反転対称性の破れにより純スピン流を高効率に生成することができる。トポロジカル絶縁体としては例えば、SnTe,Bi1.5Sb0.5Te1.7Se1.3,TlBiSe,BiTe,(BiSbTeなどが好ましい。これらのトポロジカル絶縁体は、高効率にスピン流を生成することが可能である。
なお、図11に示したスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100の構成は一例であり、これに限られない。スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100は、磁気抵抗効果素子10とスピン軌道トルク配線20以外の構成要素を有していてもよい。スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100は、例えば、支持体として基板等を有していてもよい。基板は、平坦性に優れることが好ましく、材料として例えば、Si、AlTiC等を用いることができる。
[スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の原理]
次に、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子の原理を、図11を参照して説明する。
図11に示すように、スピン軌道トルク配線20に電流Iを印加すると、純スピン流Jがz方向に生じる。スピン軌道トルク配線20のz方向には、磁気抵抗効果素子10が配設されている。そのため、スピン軌道トルク配線20から磁気抵抗効果素子10の第2強磁性金属層2にスピンが注入される。注入されたスピンは、第2強磁性金属層2の磁化にスピン軌道トルクを与え、磁化反転が生じる。
磁気抵抗効果素子10の磁化反転は、注入されるスピンの量に依存する。スピンの量は、スピン軌道トルク配線20を流れる電流Iの電流密度Ic1によって決まる。スピン軌道トルク配線20を流れる電流Iの電流密度Ic1は、スピン軌道トルク配線20を流れる電流を、電流の流れ方向に直交する面の面積で割ったものである。そのため、図11においては、電流密度Ic1=I/WHである。ここで、Wはスピン軌道トルク配線20のy方向の長さ(幅)であり、Hはスピン軌道トルク配線20のz方向の厚みである。この電流密度Icは、磁気抵抗効果素子のx方向の長さL1の成分を有しておらず、スピン軌道トルク配線20によって決定されている。このため、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100は、動作に必要な電流量を磁気抵抗効果素子10の面積(z方向から見た面積)に依らず設定できる。
図13は、STTを用いたスピントランスファートルク型磁気抵抗効果素子101の模式図である。図13の座標系は、図11と同様である。スピントランスファートルク型磁気抵抗効果素子101は、磁気抵抗効果素子11と、第1配線30と、第2配線40を有する。第1配線30及び第2配線40は、任意の導体を用いることができる。
第1配線30と第2配線40の間に電位差を与えると、磁気抵抗効果素子11の積層方向に電流Iが流れる。電流I2はSTTを生じ、第2強磁性金属層2の磁化を反転させる。
STTの大きさは、磁気抵抗効果素子11の積層方向に流れる電流Iの電流密度Ic2によって決まる。磁気抵抗効果素子11の積層方向に流れる電流Iの電流密度Ic2は、磁気抵抗効果素子11の積層方向に流れる電流Iを、電流の流れ方向に直交する面の面積(磁気抵抗効果素子11の断面積S)で割ったものである。そのため、図13においては、電流密度Ic2=I/Sである。
この電流密度Ic2は、磁気抵抗効果素子11の断面積Sをパラメータとして有している。そのためスピントランスファートルク型磁気抵抗効果素子101の動作に必要な電流量は、磁気抵抗効果素子11の面積(z方向から見た面積)に依存する。
磁気抵抗効果素子11の断面積Sが小さいと、第2強磁性金属層2の磁化が熱擾乱等の影響により磁化反転する確率が高まる。そのため、磁気抵抗効果素子11の断面積Sは、磁気記録の安定性の観点から所定の大きさ以上が必要である。つまり、スピントランスファートルク型磁気抵抗効果素子101を動作させるためには、「磁化反転に必要な電流密度」に「安定的に磁化を維持できる面積」を乗じた電流量が必要になる。
これに対し、実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100を動作させるためには、「磁化反転に必要な電流密度」に「スピン軌道トルク配線20の断面積」を乗じた電流量が必要になる。「スピン軌道トルク配線20の断面積」は、任意に設定できる。そのため、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100は、動作に必要な電流の総量を小さくすることができる。
ここで、図11に示すようにスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100の磁気抵抗効果素子10は、形状異方性を有する。磁気抵抗効果素子10のx方向の長さL1は、y方向の長さ(幅)L2より長い。スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100をこのような構成にすることで、動作に必要な電流の総量をより小さくすることができる。
次に、動作に必要な電流の総量をより小さくすることができる理由について説明する。
図14は、比較例における磁気抵抗効果素子12が形状異方性を有さない場合のスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子102の模式図である。図14の座標系は、図11と同様である。図14に示す磁気抵抗効果素子12のx方向の長さL1’とy方向の長さ(幅)L2’は等しい。すなわち、磁気抵抗効果素子12は、z方向から見て正方形である。
一般に、限られた空間内に限られたサイズの部材を導入する場合、対称性の高い部材の方が効率よく配設できる。そのため、MRAMの集積度を高めようとすると、磁気抵抗効果素子の対称性を高めようとすることが通常である。つまり、集積部材として用いられる磁気抵抗効果素子は、z方向から見て対称性の高い正方形(図13参照)や、円形が選択される。
スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子102を動作させるためには、「磁化反転に必要な電流密度Ic3」に「スピン軌道トルク配線20の断面積(W’H)」を乗じた電流Iが必要になる。すなわち、I=Ic3×W’Hが成り立つ。
磁気抵抗効果素子10(図11)、磁気抵抗効果素子12(図14)の層構成はいずれも同一であるため、電流密度Ic1と電流密度Ic3はほぼ一致する。熱安定性を確保するために磁気抵抗効果素子の面積を同等にする必要があることを考慮すると、磁気抵抗効果素子12はy方向の長さL2’を長くする必要がり、それに伴って、スピン軌道トルク配線20のy方向の幅W’も広くなる。すなわち、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子102のy方向の幅W’は、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100のy方向の幅Wより広い。つまり、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100を動作するために必要な電流Iは、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子102を動作するために必要な電流Iより小さくなる。
この観点から考えると、磁気抵抗効果素子10の幅Wは狭ければ狭い程好ましい。例えば、フォトリソグラフィー等の加工技術で可能な最小の幅が好ましい。またスピン軌道トルク配線20の厚みHも薄ければ薄い程好ましいが、十分な電流量を流すためには、10nm以上の厚みを有することが好ましい。
なお、スピン軌道トルク配線20の断面積が小さくなると、抵抗が大きくなることが想定される。しかしながら、スピン軌道トルク配線20は金属であり、抵抗が素子の動作に影響を与える程大きくなることは想定されない。STTで磁化反転を行うTMR素子のように、トンネルバリア層に電流を流す場合と比べると、抵抗増加量は微々たるものである。
スピン軌道トルク配線20の磁気抵抗効果素子10とz方向から見て重畳する部分の抵抗値は、磁気抵抗効果素子10の抵抗値より小さくすることが好ましい。ここで、「磁気抵抗効果素子10の抵抗値」とは、磁気抵抗効果素子のz方向に電流を流した場合の抵抗値である。また、磁気抵抗効果素子がTMRである場合、磁気抵抗効果素子10の抵抗値の大部分はトンネルバリア層の抵抗が占める。抵抗値をこのような関係にすることで、スピン軌道トルク配線20に流す電流Iが磁気抵抗効果素子10内に流れることを抑制できる。すなわち、スピン軌道トルク配線20に流す電流Iをより効率的に純スピン流の発生に寄与させることができる。
また磁気抵抗効果素子10が形状異方性を有すると、第2強磁性金属層2の磁化反転が容易になるという利点もある。z方向に第2強磁性金属層2の磁化が配向すると、SOTで磁化回転を行うためには、磁化回転のきっかけを与える必要がある。磁化回転のきっかけは、外部磁場等を加えることにより実現できる。しかしながら、磁場の発生源を素子外部に設けると、スピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100全体のサイズが大きくなる。
そこで、磁気抵抗効果素子10に形状異方性を与えることで、磁化回転のきっかけを無磁場の環境下でも生み出すことができる。
磁気抵抗効果素子10が形状異方性を有すると、磁気抵抗効果素子10の長軸方向(長さL1方向)と、短軸方向(長さL2方向)とで反磁場の大きさが異なる。すなわち、反磁場の大きさに分布が生じる。反磁場は、磁性体の端部に生じる磁極によって強磁性体内部に生じる逆向きの磁場である。そのため、反磁場の大きさは、磁極の分極率が大きいほど、磁極間の距離が短いほど、大きくなる。図11に示す磁気抵抗効果素子10の場合、短軸方向(長さL2方向)の反磁場の大きさは、長軸方向(長さL1方向)の反磁場の大きさより大きい。反磁場は、第2強磁性金属層の磁化が磁化回転し始めた際に元の状態に戻そうとする復元力を生み出す。復元力は磁化回転に対する反作用であり、復元力が大きい程、磁化は回転し難くなる。
このため、長軸方向に沿った回転方向(以下、第1回転方向という)と、短軸方向に沿った回転方向(以下、第2回転方向という)とでは、第2強磁性金属層2の磁化の回転しやすさが異なる。磁化が回転する際に受ける復元力の大きさは短軸方向の方が大きい。そのため、磁化は、第2回転方に沿って回転するより第1回転方向に沿って回転する方が、回転しやすい。つまり、第1回転方向が磁化反転容易方向となる。図14に示したようなz方向から見た平面視が正方形の磁気抵抗効果素子12は磁化反転容易方向を有さない。
また熱安定性を確保するために磁気抵抗効果素子の面積を同等にする必要があることを考慮すると、磁気抵抗効果素子10のx方向の長さL1は、磁気抵抗効果素子12のx方向の長さL1’より長い。つまり、磁気抵抗効果素子10を磁化反転するために必要なエネルギーは、磁気抵抗効果素子12を磁化反転させるのに必要なエネルギーより小さくなる。
ここで、磁気抵抗効果素子10の長軸方向の長さL1は、10nm以上60nm以下であることが好ましく、短軸方向の長さL2は、L1より小さいことが好ましい。磁気抵抗効果素子10の大きさが大きいと、第2強磁性金属層2内に磁区が形成される。磁区が形成されると、第2強磁性層の磁化の安定性が低下する。また磁気抵抗効果素子10の長軸方向の長さは、短軸方向の長さの2倍以上であることが好ましく、4倍以上であることがより好ましい。磁気抵抗効果素子10の長軸方向と短軸方向の比が当該範囲内であれば、反磁場による復元力の違いが十分得られる。
図15は、本実施形態にかかるスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子をz方向から見た図である。図15(a)は、図11に示すスピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子100をz方向から見た図に対応する。磁気抵抗効果素子の形状は、x方向の長さL1が、y方向の長さ(幅)L2より長ければ特に問わない。図15(a)に示す磁気抵抗効果素子10のように長方形状でも、図15(b)に示す磁気抵抗効果素子13のように楕円形状でもよい。
また図15(c)に示す磁気抵抗効果素子14のように、z方向から見た平面形状が内接する楕円領域Eを有し、その楕円領域Eのx方向の外側に外部領域Aを有する構成でもよい。外部領域Aを確保することで、磁気抵抗効果素子14の面積を大きくできる。磁気抵抗効果素子14の面積が大きくなると、磁化の安定性が高まり、熱擾乱等により磁化反転が生じることが避けられる。
また図15(d)に示す磁気抵抗効果素子15のように、磁気抵抗効果素子10の長軸が、スピン軌道トルク配線20の延在方向(x方向)に対して角度θだけ傾いていてもよい。
上述のように磁化反転容易方向は、磁気抵抗効果素子10の長軸方向に形成される。すなわち、磁気抵抗効果素子15においては、磁化反転容易方向はy方向の成分を有する。
ここで、スピン軌道トルク配線20内にスピンホール効果で生じるスピンは、スピン軌道トルク配線20の外表面に沿って配向する。つまり、スピン軌道トルク配線20から磁気抵抗効果素子10に注入するスピンはy軸方向に配向している。すなわち、スピンはy方向に成分を有する磁化の磁化反転に最も効率的に寄与する。
すなわち、磁気抵抗効果素子15の磁化反転容易方向がy方向の成分を有することで、磁化は、y方向に作用するSOTの影響を強く受けることができる。すなわち、SOTが磁化反転に効率的に作用し、外部磁場等の外力を印加しなくとも磁化を反転することができる。
図15に示すように、一方向に異方性を有する磁気抵抗効果素子は、フォトリソグラフィー等により作製することができる。
図16は、フォトマスクPMの形状と、得られる磁気抵抗効果素子10のz方向からの平面形状の対応関係を示した図である。図16(a)に示すように、1つのフォトマスクPMの形状が四角形の場合でも、磁気抵抗効果素子10の平面形状は楕円等の形状になる。これは、フォトマスクPMを通過後の光が、一部拡散してレジストを硬化するためである。またイオンミリング等のエッチング処理において、角となる部分はエッチングが進行しやすいためである。
また図15(c)に示すように、楕円領域Eの外側に外部領域Aを形成する場合は、フォトマスクの形状を図16(b)及び図16(c)に示す形状とする。図16(b)に示すフォトマスクPM1は、楕円を内接できる長方形領域Reと、長方形領域Reの角部Edに突出領域Pr1とを有する。また図16(c)に示すフォトマスクPM2は、楕円を内接できる長方形領域Reと、長方形領域Reの長辺部Sdに突出領域Pr2とを有する。図16(b)及び(c)における長方形領域Reは、図16(a)に示すフォトマスクに対応する。
図16(b)に示すように角部Edに突出領域Pr1を設けると、エッチング処理における角部Edのエッチングの進行を遅らせることができる。その結果、図15(c)に示すように外部領域Aを形成できる。また図16(c)に示すように辺部Sdに突出領域Pr2を設けると、エッチング処理における長辺部Sdと角部Edとのエッチング速度差をより大きくできる。その結果、図15(c)に示すように外部領域Aを形成できる。
また別の方法として、レーザー等の指向性を有する光を用いてスポット露光してもよい。例えば、ネガレジストを用いて、硬化したい部分だけに光を当て、所定の形状にレジストを加工する。この場合も同様に、露光するスポットの形状が四角形の場合でも、得られる形状が楕円形となる。
また図15(a)に示すように磁気抵抗効果素子10のz方向からの平面形状を長方形状にする場合は、2回に分けて磁気抵抗効果素子10を加工する。すなわち、第1強磁性金属層と、非磁性層及び第2強磁性金属層を有する積層体を一の方向に加工する第1工程と、一の方向に加工後の積層体を、一の方向と交差する二の方向に加工する第2工程と、に分けて行う。
なお、図11〜図16に示した図は、原理や構成をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率や形状などは実際とは異なっていることがある。また、図11〜図16に示した図は、原理や構成をわかりやすくするために便宜上特徴となる構成の一部を抜き出している。
200,200A,200B…磁気メモリ、1…第1強磁性金属層、2…第2強磁性金属
層、3…非磁性層、10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,11,1
2,13,14,15…磁気抵抗効果素子、20,20a,20b,20c,20d…ス
ピン軌道トルク配線、21,21a,21b,21c,21d,22,22a,22b,
22c,22d…抵抗、100,100a,100b,100c,100d,102…ス
ピン軌道トルク型磁気抵抗効果素子、101…スピントランスファートルク型磁気抵抗効
果素子、110,110a,110b,110c,110d…読出し用制御素子、120
,120a,120b,120c,120d…素子選択用制御素子、130,130a,
130b,130c,130d…書込み用制御素子、T…制御素子、S…ソース電極、D
…ドレイン電極、C…チャネル、151〜157,171〜173,181…配線、16
1…貫通ビア、191…絶縁層、192…磁場提供配線

Claims (14)

  1. 磁化方向が固定された第1強磁性金属層と、磁化方向が変化する第2強磁性金属層と、第1強磁性金属層及び第2強磁性金属層に挟持された非磁性層と、をそれぞれ備え、情報を保持する複数の磁気抵抗効果素子と、
    前記情報の読み込みを制御する複数の第1制御素子であって、複数の前記第1強磁性金属層毎に1つが接続される第1制御素子と、
    複数のスピン軌道トルク配線であって、前記磁気抵抗効果素子の積層方向である第1方向に対して交差する第2方向に延在し、前記第2強磁性金属層毎に1つが接合するスピン軌道トルク配線と、
    前記スピン軌道トルク配線に流れる電流を制御する複数の第2制御素子であって、前記スピン軌道トルク配線の第1接続点毎に1つが接続される第2制御素子と、
    複数の前記スピン軌道トルク配線の第2接続点それぞれに接続され、前記情報の書き込みを制御する第3制御素子と、
    を備える磁気メモリ。
  2. 磁化方向が固定された第1強磁性金属層と、磁化方向が変化する第2強磁性金属層と、第1強磁性金属層及び第2強磁性金属層に挟持された非磁性層と、をそれぞれ備え、情報を保持する複数の磁気抵抗効果素子と、
    複数の前記第1強磁性金属層それぞれに接続され、前記情報の読み込みを制御する第1制御素子と、
    複数のスピン軌道トルク配線であって、前記磁気抵抗効果素子の積層方向である第1方向に対して交差する第2方向に延在し、前記第2強磁性金属層毎に1つが接合するスピン軌道トルク配線と、
    前記スピン軌道トルク配線に流れる電流を制御する複数の第2制御素子であって、前記スピン軌道トルク配線の第1接続点毎に1つが接続される第2制御素子と、
    前記情報の書き込みを制御する複数の第3制御素子であって、前記スピン軌道トルク配線の第2接続点毎に1つが接続される第3制御素子と、
    を備える磁気メモリ。
  3. 前記磁気抵抗効果素子の前記第1方向に垂直の面における長軸が、前記第2方向である、請求項1または請求項2に記載の磁気メモリ。
  4. 前記第1制御素子と前記第2制御素子が、前記第1方向と前記第2方向と交差する第3方向に近接して配置されている、請求項1または請求項2に記載の磁気メモリ。
  5. 前記第2制御素子と前記第3制御素子が、前記第1方向と前記第2方向と交差する第3方向に近接して配置されている、請求項1または請求項2に記載の磁気メモリ。
  6. 1ビットの前記情報を記憶するために必要な空間的な構成において、回路構成における長さの最小加工寸法の単位をFとした場合、前記第3方向の長さが8Fである、請求項4または請求項5に記載の磁気メモリ。
  7. 1ビットの前記情報を記憶するために必要な空間的な構成において、回路構成における長さの最小加工寸法の単位をFとした場合、回路構成に必要な前記第2方向と前記第3方向の平面の面積は16F〜1056Fである、請求項4から請求項6のうち1項に記載の磁気メモリ。
  8. 前記第2制御素子及び前記第3制御素子に流れる最大電流が、前記第1制御素子に流れる最大電流よりも大きい、請求項4から請求項7のうち1項に記載の磁気メモリ。
  9. 前記磁気抵抗効果素子の抵抗値が、前記磁気抵抗効果素子に接する前記スピン軌道トルク配線層の抵抗値よりも高い、請求項4から請求項8のうち1項に記載の磁気メモリ。
  10. 前記第1制御素子の抵抗が前記磁気抵抗効果素子の抵抗よりも小さい、請求項4から請求項9のうち1項に記載の磁気メモリ。
  11. 前記磁気抵抗効果素子が前記第2方向に等間隔で配置されている、請求項4から請求項10のうち1項に記載の磁気メモリ。
  12. 1ビットの前記情報を記憶するために必要な領域が、前記第2方向に等間隔で近接して配置されている、請求項4から請求項11のうち1項に記載の磁気メモリ。
  13. 1ビットを構成するために必要な領域が前記第3方向に等間隔で配置されている、請求項4から請求項12のうち1項に記載の磁気メモリ。
  14. 前記磁気抵抗効果素子に接する絶縁層が設置され、前記絶縁層を挟んで前記磁気抵抗効果素子の磁化方向に垂直な方向に磁場を印可するための磁場提供配線が設置される、請求項4から請求項13のうち1項に記載の磁気メモリ。
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